説明

画像記録装置

【目的】 1回のスキャン動作によって1枚の出力画像の可能な画像記録装置を提供することを目的とする。
【構成】 画像読み取り手段100によって読みとられたRGBの3色のデータのうち少なくとも2色のデータか、前記画像読み取り手段100によって読みとられた後、画像処理終了後のRGBの3色のデータのうち少なくとも2色のデータを記憶する記憶手段109を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像記録装置に係り、特にカラー原稿をカラーコピー可能なデジタルカラー方式の画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のデジタルカラー複写機(画像記録装置)は、スキャナーで原稿を取込む場合には3回の画像取込みが必要であった。即ち、1回目のスキャンニングにより取込んだ赤色,緑色,青色(R、G、B)の画像データに基づき色補正したR、G、Bの内の1色の画像データを、画像の記憶手段に蓄えることなくそのまま画像出力手段(例えば液晶表示装置)にリアルタイムで転送して第1の色(例えばR)を表示し、この第1の色の表示後、所定の露光をする。次いで、2回目のスキャンニングにより同様にして第2の色(例えばG)の出力画像を得た後、所定の露光を行い、更に3回目のスキャンニングにより第3の色(例えばB)の出力画像を得た後、所定の露光を行い、更に現像をして1枚のカラー画像(ハードコピー)を得ていた。従って、1枚のカラー出力画像を得るためには、少なくともスキャナーを3回スキャンニングさせる必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スキャンニングは、画像出力手段の表示速度に同期させて高速動作させる必要があり、また、前述のように1枚の出力画像を得るために少なくとも3回のスキャンニングが必要とされていた。そのため、機構設計上において高速性と耐久性が要求され、機構装置のコストアップの原因となるという問題点があった。
【0004】そこで本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、1回のスキャン動作のみで1枚の出力画像を得ることができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を解決するために、読取装置により読取った原稿の画像の画像データを3色に色分解し、色分解後に順次表示出力装置上に表示せしめられた各カラー画像に基づいて感光紙上に順次露光することによりハードコピーを得る画像記録装置において、前記色分解されたカラーデータを記憶するカラーデータ記憶装置を備え、前記読取動作を1回行った後、色分解されたカラーデータを前記カラーデータ記憶装置に格納し、格納後のカラーデータに基づいて各カラー画像を前記表示出力装置上に表示するように制御する制御部を備えて構成した。
【0006】
【作用】本発明によれば、1回の読取動作により原稿から読取った画像データを3色に色分解する。制御部は、色分解した後のカラーデータをカラーデータ記憶装置に格納し、所定順にカラーデータに基づいて表示出力装置上に表示し、感光紙上に露光する。従って、1回の読取動作により3色の露光をすることができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明する。図2にデジタルカラー複写機(デジタルコピア)1の概略構成図を示す。
【0008】図2に示すように、デジタルコピア1は、スキャナー100と画像処理装置40と液晶シャッターによる画像出力装置Sとにより構成され、感光感圧紙7(以下、マイクロカプセル紙と記す)と顕色紙8とからなる感光記録媒体が使用されている。なお、本実施例に使用されているマイクロカプセル紙7の支持体の表面にはマイクロカプセルが塗布され、このマイクロカプセル内には次に説明する顕色剤と反応する染料前駆体等が包含されている。顕色紙8の支持体の表面には、顕色剤が塗布され、顕色剤と染料前駆体とが反応すると発色するが、詳細については米国特許第4399209号等に詳しく記載されているので、本明細書では説明を省略する。
【0009】スキャナー100は、密着型のカラーCCD30とハロゲンランプ31等により構成されている。原稿MSにはハロゲンランプ31からの光が投射され、この投射による反射光がCCD30により読取られる。読取られた情報はアナログデータとして画像処理装置40に送られ、この処理装置で色補正等が施されて液晶表示パネル(LCD)6へ送られる。
【0010】ここで、図1に基づいて画像処理装置40を説明する。図1に示すように、画像処理装置40は、スキャナーからのアナログデータをデジタル化するA/Dコンバータ101とカラーCCD30の1ライン分のデータを記憶するラインメモリ101、102、103と、画像処理回路105と、LCDを駆動するLCD駆動回路106と、LCDに表示するデータを記憶するメモリ108と、緑と青のデータを記憶するメモリ109等により構成されている。
【0011】図2に示すように、露光光源としてハロゲンランプ3が使用され、ハロゲンランプ3の上方にはリフレクタ2が配置されている。ハロゲンランプ3の下方には、順次、集光レンズ4と赤外線カットフィルタ5が配置されている。赤外線カットフィルタ5の下方には、交互に光路内に挿入可能な色フィルタ22R、22G、22Bからなるフィルタユニット22と、液晶表示パネル(LCD)6が配設されている。
【0012】遮光性のカートリッジ18の内部には、カートリッジ軸15に未露光のマイクロカプセル紙7が巻回された状態で収納されている。カートリッジ18の右方には送りローラ19が配設されている。マイクロカプセル紙7は、LCD6の下方で静止状態で露光され、潜像が形成される。マイクロカプセル紙7は、加圧ローラ11a、11b間を通過して巻取軸16に巻き取られる。
【0013】顕色紙8を積層収納するカセット8aの上方には半月ローラ9が配設され、左方には給紙ローラ10と給紙ガイド17が配設されている。カセット8aの下方には熱定着装置12が配置され、熱定着装置の内部にはヒータ13が配設され、下部には搬送ベルト14が配設されている。
【0014】次にデジタルコピア1の動作を説明する。先ず、プリントスタートキー(図示せず)が押下されると、スキャナー100のハロゲンランプ31が点灯され、カラーCCD30により原稿MSが読取られる。カラーCCD30により読取られた1ライン毎にA/Dコンバータ101によりデジタル化されラインメモリ102に赤のデータが記憶され、ラインメモリ103に緑のデータが記憶され、ラインメモリ104に青のデータが1ライン分ずつ記憶される。1ライン分のデータが揃うと画像処理回路105へ赤、緑、青のデータが1ドット分ずつ転送され、最初に画像処理された赤のデータがLCD駆動回路106を介してメモリ108へ転送され、次に画像処理された緑と青のデータがメモリ109へ転送される。次にスキャナー100が1ライン分移動し、前述と同様にして赤のデータがメモリ108へ転送され、緑と青のデータはメモリ109へ転送される。このような動作を1画面分繰り返す。
【0015】最初に、LCD6に外部から入力された画像信号に応じた赤に対応した画像が表示される。1画面の赤のデータが揃うと、ハロゲンランプ3が点灯される。ハロゲンランプ3の光は、リフレクタ2と集光レンズ4とにより効率良く集光され、所定の広がりのある光となり、赤外線カットフィルタ5と赤色フィルタ22Rを介してLCD6に照射される。静止しているマイクロカプセル紙7は記憶すべき画像の赤色信号に応じて制御されるLCD6で選択された光により露光される。赤色露光が終了すると、赤色フィルタ22Rは緑色フィルタ22Gに入れ替えられる。
【0016】次に、LCD6の赤色信号はメモリ109に記憶されているデータがメモリ108へ転送することにより緑色信号に切り替えられ、前述と同様にして露光される。青色についても同様であり、3回の露光が終了するとハロゲンランプ3は消灯される。以上のようにしてマイクロカプセル紙7にカラーの潜像が形成される。
【0017】次にマイクロカプセル紙7は巻取ローラ16と送りローラ19の駆動力により加圧ローラ11a、11bの方向に送られる。一方、顕色紙8は半月ローラ9により1枚ずつ給紙され、給紙ガイド17を通過し、給紙ローラ10により加圧ローラ11a、11bまで送られる。マイクロカプセル紙7の露光面と顕色紙8の顕色剤塗布面とが対面する状態で加圧ローラ11a、11bにより加圧され、画像は顕色紙8に転写される。顕色紙8は、更に搬送ベルト14により搬送されつつ熱定着装置12のヒータ13の加熱により発色が促進され、画像として出力される。
【0018】なお、本実施例ではメモリ109の接続位置が画像処理回路105の出力側であるが、画像処理回路105の入力側に配置してもよい。画像形成部はLCD6に限られるものではなく、例えば熱昇華型のプリンタでもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、1回のスキャナーのデータ取込み動作により、例えば赤色、緑色、青色の3色分のカラー出力処理がなされるので、スキャナー動作機構には高速性および耐久性の要求が従来より少なくなり、装置のコストダウンに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に実施例の画像処理回路のブロック図である。
【図2】本発明の実施例の側面構成図である。
【符号の説明】
6…液晶表示パネル(画像出力部)
7…感光感圧紙
8…顕色紙
30…CCD
40…画像処理装置
100…スキャナー
101…A/Dコンバータ
102〜104…ラインメモリ
105…画像処理回路
106…LCD駆動回路
108、109…メモリ
MS…原稿
S…画像出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 読取装置により読取った原稿の画像の画像データを3色に色分解し、色分解後に順次表示出力装置上に表示せしめられた各カラー画像に基づいて感光紙上に順次露光することによりハードコピーを得る画像記録装置において、前記色分解されたカラーデータを記憶するカラーデータ記憶装置を備え、前記読取動作を1回行った後、色分解されたカラーデータを前記カラーデータ記憶装置に格納し、格納後のカラーデータに基づいて各カラー画像を前記表示出力装置上に表示するように制御する制御部を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】 前記色分解された3色のカラーデータの内、2色のカラーデータを記憶するカラーデータ記憶装置を備え、前記読取動作を1回行った後、1色のカラーデータはリアルタイムで前記表示出力装置上に表示して前記感光紙上に露光せしめ、他の2色のカラーデータは前記カラーデータ記憶装置に格納した後、順次取り出して露光せしめるように制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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