画像誘導多線源放射線治療
高い処理能力と、高い精度と最小限の侵襲性とを備えた、頭蓋内と眼窩と頭頸部のターゲットの分割治療を実現するための、多線源コバルト−60ガンマ照射器と一体化された、非常に小型で高性能の容積測定撮像システムが提案される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の非侵襲的照射治療のための画像誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、頭蓋病変の治療は、最初は、頭蓋骨に作られた開口を通して脳組織にアクセスするという外科的プロセスによって前進した。明らかに、このような手術には非常な正確さが必要とされ、この目的のために定位フレームがLars Leksellによって1940年代後半に開発された。この定位フレームは、手術するべきものの内部に正確な基準フレームを設けることによって外科医を支援するものであった。典型的には、定位フレームは、局所麻酔下で軟らかい解剖学的構造を貫通して骨に当接するピンによって患者に装着され、頭蓋骨である剛体に対して固定された基準フレームを提供する。人体が普通に動く間に頭蓋骨内の脳組織が比較的小さな動きを示すことを考えると、これにより、脳組織とその関連する構造体とに対する外科用器具の正確な位置決めが可能となった。
【0003】
Leksellは、次いで、頭蓋内手術の適用範囲を、頭蓋底など、手術方法によって達するのが困難な区域に拡大しようと努めた。そのために、Leksellは、多線源放射線治療装置であるガンマ・ナイフを開発した。ガンマ・ナイフは、通常は半球形または円筒形をした、固定された支持体に装着された201個のCo60線源を備える。線源は、支持体のまわりに分布され、各線源は、定められた単一の点に向けられたビームを生成するように視準される。したがって、その点における総線量はすべての線源によって提供されるが、その点から離れると、総線量は最大でも、1つまたはごく少数の線源からの線量である。
【0004】
ガンマ・ナイフによる治療を続行するために、定位フレームは、デバイスに対して患者(したがって病変)の位置を固定するために患者の骨の解剖学的構造に付着される。フレームが所定位置にある間、治療されるべき病変(以下、ターゲットと呼ばれる)の体積がコンピュータ断層撮影(CT)と磁気共鳴映像法(MRI)などの画像診断法を使用して突き止められ、その後、定位座標がフレームに関連付けられる。ターゲットの治療は、その後、照射ユニットに対するフレーム(患者に付着された状態で)の慎重な位置決めによって達成される。したがって、フレームは、頭蓋内病変に対する治療過程の長期にわたる重要な一部である。
【0005】
定位フレームの使用には、以下の2つの大きな欠点がある。
(i)フレームは侵襲性が高く、長期間所定の位置にあることができない。したがって、分割治療と通常呼ばれる、長期の時間経過(複数日)にわたる複数回の曝露を必要とする治療に容易に使用できない。これは、単一線量で治療され得る病変に比べて、治療され得る病変のタイプを制限する。
(ii)この手法は、デバイスと、関連するターゲットおよび周辺の正常な解剖学的構造との間の厳密な変換を想定する。これは、頭蓋骨内の病変に関しては妥当な想定であるが、首と肩上部などのより広い区域に適用される場合には当てはまらない。したがって、これも、剛体として治療され得る体積内の病変に比べて、治療され得る病変のタイプを制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、脳、目、頭頸部の領域、すなわち多線源ユニットにアクセス可能なすべての領域で、かつ必ずしも頭蓋骨と共に剛体として作用する領域でない領域の癌病変などの疾患の非侵襲的照射治療に適した多線源照射ユニット用の容積測定に基づく(volumetric−based)X線画像誘導システムを提供しようと試みるものである。位置精度を得るために画像誘導を信頼することによって、定位フレームが不必要にされることができる。患者の解剖学的構造の固定化のいくつかの形が必要とされる可能性がある。この目的で定位フレームが使用されても良いが、唯一の選択肢である必要はない。WO96/036292A1に開示されている侵襲性が低い顎型クランプなどの代替形の固定が適切なことがある。
【0007】
このような固定方法は、患者が放射線治療装置に戻るときに同じ位置の再現性を提供しなくても良いが、位置の再現性は画像誘導システムによって補われることができる。実際は、固定システムは、基準空間フレームを提供するのではなく、治療中に患者を動かさずにおくだけでよい。
【0008】
したがって、多線源照射作業への撮像誘導システムの組み込みは、(i)より長期間にわたって続き、したがってある病変に対する治療の生物学的影響を潜在的に増加させることがある非侵襲的治療と、(ii)より広い区域、すなわち頭部と、頸部と、潜在的には肩上部の区域とにわたって適用され得る非侵襲的治療と、(iii)治療過程を通してターゲットのより正確な位置特定を可能とする。
【0009】
もちろん、多線源照射作業への撮像誘導システムの組み込みを行うには問題がある。具体的には、ガンマ・ナイフの幾何学的形状は、画像誘導システムの提供に適していない。患者のまわりの線源の配列と、関連するシールドと、コリメーションとが、現在利用可能な任意の形の撮像を妨害する。
【0010】
したがって、本発明は、それぞれ固定された場所にあって共通収束点に向けられた治療放射線源の配列と、共通収束点から離間された撮像点周囲の領域の容積測定(volumetric)画像の作成を可能にするために同期して移動可能な調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器であって、その移動を可能にするように、共通収束点に対して固定された台、および台(mount)と調査用線源と調査用放射線源のための検出器との間の関節式連結(articulation)によって支持される調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器と、第1の位置と、撮像点と共通収束点との間の変位に等しい変位だけ第1の位置から変位された第2の位置とから割り出し可能な(indexable)患者支持体とを備える放射線治療装置を提供する。
【0011】
このようにして、患者は、患者位置決めシステム上で所定の位置にある間に撮像され、その後、既知の変位だけ治療線源の配列に移動されることができる。変位が既知であり、したがって容積測定画像に対する収束点の場所が分かるので、位置の精度は維持される。容積測定画像の1つまたは複数の特徴を収束点により登録するための小さな調整は、患者支持体などによって行われることができる。
【0012】
Co60線源は十分に特徴付けられ、信頼性が証明されているので、治療放射線源は、Co60線源とすることができる。あるいは、他の線源が用いられることができる。
【0013】
関節式連結は、撮像システムが初期撮像ステップ中に治療システムの前に配置され、その後、(通常は)半球状または円筒状の治療体積へのアクセスを可能とするために遠ざけられることを可能とする部分である。これらの関節式連結は、好ましくは、その両端に調査用線源と検出器とが装着されたCアームを備える。Cアームは、たとえばこのような移動を空間効率の良いように可能にするために、リニア・アクチュエータを含む1つまたは複数の連結機構によって台に取り付けられることができる。
【0014】
別法として、またはこれに加えて、Cアームは回転関節(rotational joint)によって台に取り付けられることができる。アームが回転関節のみによって取り付けられている場合、関節式連結は、台から回転関節に延び、それによって回転関節を台から距離をあけて配置し、かつ容積測定画像に必要なデータを収集し、Cアーム構造体を治療体積の邪魔にならないように配置するためにCアームが回転されることを可能とするアームをさらに備えることが好ましい。
【0015】
あるいは、アームは、リニア・アクチュエータによって台に取り付けられることができる。このようにして、リニア・アクチュエータはCアームを邪魔にならないように片付ける(clear)ために用いられ、回転関節は、容積測定画像を生成するために必要に応じて撮像システムを回転させるために用いられることができる。したがって、リニア・アクチュエータは、アームが患者支持体と治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、アームが患者支持体と治療線源の配列との間の空間から離れている第2の位置とからアームを移動させるように構成されることができる。
【0016】
他の代替例では、アームは別の回転関節によって台に取り付けられることができる。この回転関節は、リニア・アクチュエータが、アームが患者支持体と治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、アームが患者支持体と治療線源の配列との間の空間から離れている第2の位置とからアームを移動させるように構成されることができる。
【0017】
したがって、本発明は、ターゲット部位に関する定位情報を決定するために容積測定画像が解析され、指定されたターゲティング場所と実際のターゲティング場所との間の不一致を解消するようにこの定位情報に従って患者支持体の位置が調整されることを可能とする。そうするために、好ましくは、適切な制御手段が提供される。
【0018】
調整手段は、調査用線源と検出器の移動に従って患者支持体の位置を調整するように構成されることができる。この調整手段は、患者を調査システムの撮像視野内に保ちながら、調査用線源と検出器が患者支持体のまわりを回転するときに調査システムに対応するのに役立つことがある。一般に、調査用線源と検出器とは、角度φだけ回転して移動し、その場合、調整手段は好ましくは、k.sin(φ+α)に比例する距離だけ患者支持体を直線的に移動させ、式中、kとαとは定数である。検出器に向かっての患者支持体の移動は、調査システムの有用な撮像視野内に患者を保つのに役立つので好ましい。
【0019】
したがって、本発明は、頭蓋と頭頸部の病変の高精度治療が可能なロボット駆動放射線源を備える多線源照射サブシステムと、高分解能(100μm)撮像が可能だが、高分解能撮像を含むだけに限定されない、1つまたは複数の放射線検出器とX線管とを備える容積測定X線撮像サブシステムと、患者位置決めサブシステムと、これらのサブシステム間での定位情報の通信を行うための制御システムとを備える、画像誘導による非侵襲的多線源照射システムを可能とする。
【0020】
このような容積測定撮像サブシステムは、撮像視野のすべての点において100μmに近い分解能で高い幾何学的忠実度(相対的なものと絶対的なもの)を有する再構築された画像を生成することができる。画像取得軌道(image acquisition trajectory)(回転と平行移動(translation))は、空間分解能と撮像視野に合致する性能によって決定されることができる。
【0021】
これらの画像から決定されるターゲット定位情報は、適切な電子的手段によってシステムの制御システムに転送されるかまたは他の方法で通信されることができ、指定されたターゲティングと実際のターゲティングとの間の不一致は、線源とシールドと患者との相対的な複合移動によって解消されることができる。このプロセスは、理想的には、照射プロセスの前とその間とその後の内部ターゲットの位置決めとモニタリングに有効である。
【0022】
第2の光学的モニタリング・サブシステムは、照射基準フレーム内の対象と患者の内部解剖学的構造の外部代用品の相対的位置の時間的な高分解能モニタリングを実現するために、ユニットと一体化されることができる。したがって、上記で定義された放射線治療装置は、患者支持体内の患者を表示するように設置された光検出器をさらに備えることができる。
【0023】
この光検出器は、ステレオ・ビデオ・カメラなどのビデオ・カメラとすることができる。光検出器は、好ましくは、患者支持体に固着されたアームに装着される。その目的は、支持体に対する患者の移動を検出することであり、したがって患者支持体自体に光検出器を装着することは、移動の検出をかなり簡単にする。アームは、患者の進入と退出とを助けるために関節式に連結される(articulated)ことができる。
【0024】
本発明の一実施形態は、添付の図を参照して例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】制御システムを示す図である。
【図2】軌道回転するCアームX線撮像構成の概略図である。
【図3】撮像サブシステムを装着するために使用可能な軸受の場所の概要を示すユニット全体の座標系の概略図である。
【図4】ユニット上の所定位置にある図1のCアームを示す図である。
【図5】角度回転と傾斜角とを有するCアームX線撮像構成の概略図である。
【図6】回転された状態にある図5のCアームを示す図である。
【図7a】リニア・レールに装着されたX線管−検出器システムの、それぞれ正面から、および側面からの概略図である。
【図7b】リニア・レールに装着されたX線管−検出器システムの、それぞれ正面から、および側面からの概略図である。
【図8a】放射線ユニットの前面に付着された図7aと図7bのシステムを示す図である。止められた(parked)またはしまい込まれた(stowed)状態のシステムを示す。
【図8b】放射線ユニットの前面に付着された図7aと図7bのシステムを示す図である。作動中または展開された状態のユニットを示す。
【図8c】放射線ユニットの前面に付着された図7aと図7bのシステムを示す図である。動作中のユニットを示す。
【図9】放射線ユニットの前面に付着された回転軸受を使用して止められたまたは展開され得るX線管−検出器システムの概略図である。
【図10】回転軸受の構成を示す図である。
【図11】関係する2つの回転軸受の等角概略図である。
【図12a】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図12b】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図12c】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図12d】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13a】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13b】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13c】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13d】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図14a】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図14b】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図14c】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図14d】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15a】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15b】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15c】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15d】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15e】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15f】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16a】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16b】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16c】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16d】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16e】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図17a】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図17b】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図17c】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図17d】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図18】それぞれ側面と背面とに対して患者とフレームとに配置されたマーカを3Dで追跡可能なリアルタイム光学的モニタリング・システムの概略図である。
【図19】それぞれ側面と背面とに対して患者とフレームとに配置されたマーカを3Dで追跡可能なリアルタイム光学的モニタリング・システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の目的は、オンライン撮像とターゲット位置特定のために多線源ガンマ線照射ユニットと一体化され得る容積測定X線撮像システムを設計することである。
【0027】
本発明は、照射ユニットまたは近くの構造体に装着され、かつ二次元画像の迅速な回転、取得と三次元画像の再構成とが可能なX線管/検出器サブシステムによって、この目的を達成する。検出器は、好ましくは方形面を有し、その長さと幅とがそれぞれコーン・ビームの角度とファン・ビームの角度とを画定する。デバイスの回転はカウチの長軸として画定されたz軸のまわりで実施され、検出器の長辺(コーン角)は回転面と平行である。容積測定撮像サブシステムは、高レベルの精度を維持しながら、小型で、多線源照射ユニットの仕様に適合するようになされるべきである。これらの制約下で、撮像サブシステムの種々の実施形態が可能である。
【0028】
システム全体の制御構造の概略と、一体化された撮像誘導システムの概要とが図1に示されている。制御システムは、幾何学的目標と線量測定目標(dosimetric objective)とに基づいて、容積測定撮像サブシステムとリアルタイム・モニタリング・サブシステムから照射サブシステムへのデータを処理する。データの流れは双方向であり、制御システムへの流れと制御システムからの流れがある。容積測定撮像サブシステムとリアルタイム・モニタリング・サブシステムからのデータは制御システムに供給され、その後、幾何学的目標と線量測定目標の要求を参照して患者の位置または線源構成を更新しても良い。
【0029】
説明されるべき第1の実施形態は、z軸のまわりの軌道回転を有する、図2〜図4に示されるCアーム・システムである。この状況における軌道回転は、図3と図4とから明らかなように、Cアームの円周の方向における回転をいう。Cアームの性質によって課される制約を考えると、約195°の回転が可能である。この実施形態の状況における角度回転は、Cアームの円周方向に垂直な−すなわちz軸のまわりの回転をいう。
【0030】
したがって、この実施形態は、台12上に支持されたCアーム10を用いる。Cアームは部分円形であり、台12内のリニア・アクチュエータ上に支持される。これは、Cアーム10が、Cアーム10の角度θの必要な回転を生じるように台12内で摺動することを可能とする。Cアーム10の両端には、診断線源14と二次元フラット・パネル検出器16とがある。Cアームが回転するとき、線源14と検出器16とは、名目上180°の円弧を掃引する。
【0031】
図3は、治療放射線ユニット18を示す。Co60線源の配列がコリメータのまわりに円筒状配列をなして構成される(図示せず)。コリメータは、事実上円筒状であり、内部に複数のコリメータ穴が線源ごとに1つまたは複数個形成された、タングステンからなる中実部である。この穴は、各穴が単一の共通収束点に向くような角度であり、このことは、この収束点が実質上すべての線源から非常に高い線量を受け取ることを意味する。線源は、患者が位置合わせされている間に放射線源を遮蔽するために、関連する1つまたは複数のコリメータ穴から遠ざけられ、その後、線量を投与するための場所に移動されることができる。開口20は、治療線量の投与を可能とするために放射線ユニット18内に患者の頭部領域を配置されることを可能とする。台12は、12aに示される開口の上に、または開口12bの下などに配置されることができる。図4は、開口20の下の12bにおいて装着された、所定位置にあるシステムを示す。患者22は、患者支持体24上に支持される。この支持体は、患者22の頭部をCアーム10の円弧内に配置するように位置付けされている。したがって、Cアーム10の回転によって、患者の容積測定CT画像が作成されることができる。患者支持体はその後、患者22が開口20の中へ突き出し、かつその頭部が治療用放射線ユニット内にある別の位置に割り出されることができる。
【0032】
患者の移動が完全に患者支持体24の制御下にあると考えると、変位が分かり、容積測定CT画像は患者22の現在の位置と関連付けられることができる。このため、患者支持体24による患者位置の微調整により、ターゲット構造体がアイソセンタすなわち放射線ユニットの収束点に配置され、治療が可能とされることが可能となる。
【0033】
Cアームの円周に応じて、必要な向きが照射ユニットおよび/または患者支持体24の位置決めによって制限または防止されても良い。考えられる解決方法は、図3に示されるように、yz平面において傾斜角を用いることである。Cアーム26は、今度は、図5に示される位置と図6に示される位置との間(それらの間で180゜回転する)での線源32と検出器34の回転ができるようにするために回転関節30によって支持アーム28に装着される。支持アーム28は、Cアーム26を放射線ユニット18の前方に位置付け、線源32と検出器34の撮像平面(plane of view)が前方に傾斜される。したがって、この性質の回転は、患者の頭部のCT画像が取得されることを可能とする。
【0034】
Cアームの軌道回転の場合に回転角度が潜在的に制限され、Cアームの角度回転の場合に空間が制約されるため、X線撮像システムの他の実施形態が図7と図8とに示されている。この変形形態では、X線管(線源)100と検出器102とが回転ガントリ104に沿って接続され、回転ガントリ104はベルト駆動回転軸受108によって支持アーム106に装着される。支持アーム106は、支持アーム106全体部の水平運動を可能とするリニア軸受112によって照射ユニット110に装着される。これは、システムが必要に応じて止められるまたは展開されることを可能とする。
【0035】
したがって、図7aと図7bとに示されるように、線源100によって放射されて検出器102によって検出されるコーン・ビームは、患者の頭部114の全体的な体積を包含することが可能である。その後、軸受108のまわりでのガントリ104の回転は、いくつかのこのような画像が収集され、容積測定CT画像が作成されることを可能とする。
【0036】
(患者に対して)この位置にあるので、ガントリ104と、線源100と、検出器102とは、患者の画像を取得するために理想的に配置されるが、また、照射ユニット110へのアクセスをブロックするように位置決めされる。したがって、リニア軸受112は、サブアセンブリ全体が、図8aに示される照射ユニット110のアクセス開口116から離れて位置するように、サブアセンブリ全体が片側に移動されることを可能とし、それにより、患者支持体上の患者は、既知の変位だけ前方に割り出されて照射ユニット110に入ることが可能となる。必要なときに、リニア軸受112は、サブアセンブリをアクセス開口116の前に配置して画像を取得するように動作されることができる。
【0037】
図8cは、アクセス開口116の前の所定の位置にあるときに、照射野のまわりの円形経路を回って線源100と検出器102とを担持するために、ガントリ104が回転軸受108のまわりを回転することができることを示す。
【0038】
図9〜図11は、回転軸受に基づいた一実施形態の概略図を示す。ここでも、X線管(線源)100と検出器102とが回転ガントリ104に沿って接続され、回転ガントリ104がベルト駆動回転軸受108によって支持アーム106に装着される。しかし、この実施形態では、支持アーム106は、その上端で第2の回転軸受118によって照射ユニット110に装着され、その上端のまわりでの支持アーム106全体の回転を可能とする。これは、システムが必要に応じて止められるまたは展開されることを可能とする。
【0039】
ビームの幾何学的形状はもちろん、図7aと図7bとに示されるビームの幾何学的形状と同じである。軸受108のまわりのガントリ104の回転はここでも、いくつかのX線像が収集され、容積測定CT画像が作成されることを可能とする。
【0040】
ガントリ104と、線源100と、検出器102とは、図8aに示されるように、サブアセンブリ全体が照射ユニット110のアクセス開口116から離れて位置するようにサブアセンブリ全体を回転させる第2の回転軸受118の回転によって、アクセス開口116の邪魔にならないように移動されることができる。これは、その後、患者支持体上の患者が既知の変位だけ前方に割り出されて照射ユニット110に入ることを可能とする。必要なときに、別の回転軸受118は、サブアセンブリをアクセス開口116の前に配置して画像を取得するように動作されることができる。
【0041】
図9は、アクセス開口116の前の所定位置にあるときに、照射野のまわりの円形経路を回って線源100と検出器102とを担持するために、ガントリ104が回転軸受108のまわりを角度θだけ回転することができることも示す。
【0042】
図10は、2つの回転軸受108、118が支持アーム106の両端にある構成を示す。別の回転軸受118のまわりの回転は、図10に示される止められた位置と点線で示される展開された位置120との間で支持アーム106を移動させる。止め具122は、固定式割り出し点(firm index point)を形成するために、支持アーム106が適切な展開された位置120にあるときに支持アーム106に隣接する照射ユニット110上に位置付けされる。止め具122は、単に支持アーム106のさらなる移動を防ぐ固定式止め具とすることができ、または支持アーム106が適切な位置にあるというフィードバックを提供するために近接検出器またはマイクロスイッチなどのアーム106用の検出器を組み込むこともできる。
【0043】
図11は、どのようにして両方の回転軸受の独立した回転が容易に提供されることができるかを示す。1対の同心のシャフト124が設けられることができ、外側シャフトは、支持アーム106に取り付けられてこれを駆動するべき別の回転軸受118を貫通し、内側シャフトは、別の回転軸受118と同心の内側シャフトに装着された支持アーム106の前に位置する上部歯車126を駆動するために支持アーム106を貫通する。その後、これは2つの歯車126、128を接続するベルト・ドライブまたはチェーン・ドライブ132によって、支持アーム106の下端で自由に回転するシャフト130に装着された下部歯車128を駆動する。ガントリ104は、その後、自由に回転するシャフト130に装着される。
【0044】
このようにして、両方の回転軸受108、118は独立して制御されることができる。外側シャフト124は支持アーム106を回転させてサブアセンブリを所定位置に移動させるかまたは所定位置から移動させるように駆動されることができ、内側シャフト124は、ガントリ104を回転させるために、サブアセンブリがいったん所定の位置に置かれると駆動されることができる。
【0045】
もちろん、別の回転軸受118が90°回転した後、上部歯車126は、もはや下部歯車128の上にないが、その一方にある。別の回転軸受118のさらなる回転は、この回転が許可される場合、下部歯車128を上部歯車126の上に配置する。それにもかかわらず、下部歯車128はそのほとんどの時間を上部歯車126の下で過ごし、歯車の名前はこのような理由で選定された。歯車の名前は、永続的な空間的関係のいかなる形も意味するものではない。
【0046】
図12a〜図12dと図13a〜図13dとは、リニア・レールを使用する本発明によるシステムのコンピュータ描画を示し、止められるときと展開されるときのシステムを示す。図12a〜図12dはガントリアームの種々の回転を示し、図13a〜図13dは変化する傾斜の程度を示す。最初に図12について説明すると、図12aは止められたシステムを示し、図12bは回転角0°で展開されたシステムを示す。図12cは小さな回転角で展開されたシステムを示し、図12dは管がカウチに衝突する前に許容される最大の回転角を示す。
【0047】
したがって、図12aは、1つまたは複数の線量を受けるためにそれを通して患者が突き出され得るアクセス開口154を含めて、フロント・パネル152が示されるガンマ・ナイフ照射装置の前の患者支持体150を示す。患者支持体150は、患者の肩に合うような形状にされた肩拘束具(shoulder restraint)156を含む。患者は、支持体150上に配置され、肩は拘束具156のちょうど後ろにある。装置は、拘束具156が他の任意の物体にぶつかることを可能とすることなく患者支持体が必要に応じて移動できるようにプログラムされる。患者が拘束具156の後ろにあることが分かっていることを考えると、これは、支持体150の移動中に患者の肩が任意の物体に当たることを防ぐ。
【0048】
リニア・アクチュエータ158は、照射ユニット152の前面に取り付けられる。照射ユニット152は、フロント・パネル152上の開口154の上およびその片側に所定の位置に固定されたレール160と、レール160に沿って両方向に駆動され得るシャトル(shuttle)162とを備える。アーム164はシャトル162から下方に延び、照射ユニットのアイソセンタと同じ高さのところに回転軸受165を有する。ガントリ166は回転軸受165に取り付けられ、Cアームガントリの一般的な形をなすように構成される、すなわち調査用X線源168が一端に、フラット・パネル検出器170が他端にある。線源168とフラット・パネル検出器170とはガントリ166の前方に装着され、それらの軸はガントリ166と略平行である。したがって、検出器170は、線源168と検出器170との間の開放空間に含まれる任意の物質による減衰後に線源168によって放射された放射線を受けるように位置付けされる。
【0049】
図12aは、止められた位置にある装置、すなわちシャトル162がレール160の一端にあり、開口154から離れている状態を示す。図12bは、シャトルがレールに沿って、アーム164が開口154の真正面に配置され、かつ回転軸受165がアイソセンタの真正面に配置される位置に移動された後のシステムを示す。この結果、線源168と検出器170の回転中心は、長手方向の変位を除いて、アイソセンタと一致する。しかし、その変位は、装置の種々の構成部品の寸法によって固定されるので、分かっている。
【0050】
アーム164とガントリ166とは、図12bに示される、回転軸受165のまわりの回転がない展開された位置において、検出器170が支持体150の真上にあるような寸法にされることに留意されたい。したがって、この位置から、ガントリ166は、線源168と検出器170を患者のまわりで回転させるために回転軸受165のまわりで回転され、そうするときにさまざまな方向からX線像を取得することができる。小さく回転した後、ガントリは図12cに示される位置に到達する。最終的に、ガントリは、図12dに示されるように、線源168が支持体150にぶつかろうとしている図12dに示される最大角度に到達する。調査用X線ビームの必要な幅を制限し、それによってその品質を保証するために、線源168は、検出器170以外のところに、回転軸受165から離れて装着される。これは、線源168と患者との間の距離を最大にするが、完全な360°の回転は可能でないことを意味する。したがって、図12dに示される最大位置まで回転した後、ガントリ166は、他の方向における対応する最大点に到達するまで逆方向に回転されることができる。
【0051】
回転軸受165と検出器170との間の距離はもちろんアイソセンタと支持体150の最上部との間の高さの差によって制限され、その結果、図12bに示され、かつ上述のように、検出器170は支持体150を片付けることができる。いずれにしても、検出器170が患者の下にある限り、正確な距離は重要ではない。(図12aに示されるように)デバイスが止められ、検出器が最下部にあり線源が最上部にあるのは、この理由のためである。
【0052】
このようにして画像が収集された後、画像は、適切な演算手段に渡されて容積測定CT画像を構築することができる。図12aに示されるように装置を止めるために、ガントリ166が図12bに示される直立位置に戻され、シャトル162がレール160に沿って移動されることができる。開口154は開いておらず、患者は、患者の頭部と肩を照射ユニット内に配置するために、線源168と検出器170の回転中心と照射ユニットのアイソセンタとの間の変位に等しい変位だけの支持体150の移動によって前方に割り出されることができる。したがって、ここで、容積測定CT画像の中心にある患者の場所がアイソセンタにくることになる。線量を送達する前に所望の構造体をアイソセンタに配置するように患者支持体150によって微調整が行われることができる。このようにして、画像誘導多線源放射線治療が達成される。
【0053】
図13a〜図13dは、どのようにして傾斜角が組み込まれ得るかを示す他の実施形態を示す。各図は、等角図と側面からの図とを含む。この実施形態では、ガントリ172の下端に位置する線源170と上端に位置する検出器174とを用いる。線源170と検出器174とは、ガントリアームの360°回転を可能とするために、ガントリ172が装着される回転軸受176から名目上等しい距離に位置する。線源の正確なコーン・ビーム角度に応じて、これは、360°回転と引き換えに撮像視野のいくらかの犠牲(またはより広いビームの拡散の受け入れ)を伴うことがある。しかし、この実施形態は、回転軸受が図示のようにガントリ172の前傾斜を可能にするための追加の関節式連結を含み、ガントリの上端が照射ユニット178からさらに遠くなり下端がさらに近くなるという点で、図13の実施形態と異なる。これは、線源170と検出器174の有効な回転中心がガントリアーム172の下端に対して前方に移動され、したがって患者の頭部の下を直接通過する必要がないので、患者支持体180の下のより良い隙間を可能とする。
【0054】
図13a〜図13dは、傾斜角を含むシステムの種々の描画を示す。具体的な角度は、以下のとおりである。
【表1】
【0055】
図12a〜図12dを参照して上記で説明された実施形態では、線源と検出器とを備える撮像システムの回転中心を照射システムのアイソセンタと同一線上に(そこから変位されてはいるが)、かつ全体的に、撮像されるべき対象の中央にある配置することを伴っていた。しかし、これは必須ではない。回転軌道に関して、図14〜図16に示されるような、単一のX線源を使用するいくつかの変形形態が提案されている。図14a〜図14dに示される第1の変形形態では、固定されたアイソセンタ204と静止対象206のまわりでの線源200と検出器202の単純な回転を伴い、図12の形態に全体的に対応する。線源−回転軸間距離(SAD)は1000mmであり、回転軸−検出器間距離(ADD)は200mmである。約28°のファン角と約37°のコーン角とは、その後に十分である。図に示されるように、260°の回転はこの幾何学的形状により可能にされており、その結果得られる倍率は約1.2である。図14a〜図14dは、以下のとおりさまざまな回転角φを示す。
【表2】
【0056】
ここで、φ=0°は、線源がアイソセンタの真下にある位置として定義される。したがって、止められた位置と、撮像システムが止められた位置に移動する準備ができた位置では、φ=180°は図14dに示されるとおりである。したがって、システムは、パラメータ50°≦φ≦310°内で回転することができる。
【0057】
上記の構成上の単一線源の一変形形態では、患者と撮像システムとの衝突を回避するために、同時に患者206が側方に偏位することを伴う。これらの場合に得られる倍率は、回転角の関数として変化する。図15a〜図15fに示される「管が上(tube over)」設計では、線源は、280°の角度まで患者の上を回転する。SADは550mm、ADDは200mm、コーン角は約56°、ファン角は約44°である。線源と検出器とが、固定された軸のまわりを回転するとき、撮像されている対象204は、支持体208を操作することによって、関数x偏位=−40sin(φ)として検出器に向かってx方向に移動され、それにより、270°または90°の角度で、最大の偏位が生じる(±40mm)。この式の一般的な形はもちろんx偏位=k.sin(φ+α)であり、式中、kとαとは、定数である。Kは装置の規模によって決まり、αはφ=0°に選定された向きによって決まる。
【0058】
図15a〜図15fは、以下のとおりさまざまな回転角を示す。
【表3】
【0059】
上表から、撮像されるべき対象を偏位することは、使用可能な空間とビームの回転に制約があるにもかかわらず、その対象の大部分がコーン・ビーム内に残ることを可能とすることが分かる。
【0060】
「管が下(tube under)」設計(図16a〜図16e)では、線源は、患者の下で240°の最大角度まで回転する。線源200を患者206の下で適合させることは、撮像システムの幾何学的形状のいくらかの調整を必要とし、この場合、SADは310mm、ADDは310mm、コーン角は約66°、ファン角は約52°、拡大係数は1.32〜2.0である。これは、最大240°の回転を可能にする。線源と検出器とが、固定された軸のまわりを回転するとき、この場合もやはり、撮像されている対象206は関数x偏位=160sin(φ)として検出器に向かってx方向に移動し、それにより、270°または90°の角度で最大の偏位が生じる(160mm)。
【0061】
図16a〜図16eは、以下のとおりさまざまな回転角を示す。
【表4】
【0062】
上表から、この場合もやはり、撮像されるべき対象を偏位することは、使用可能な空間とビームの回転に制約があるにもかかわらず、その対象の大部分がコーン・ビーム内に残ることを可能とすることが分かる。
【0063】
図17に示されるような2つの線源を用いる手法は、線源と検出器の360°の回転も容易にする小型線源−検出器の設定を使用しながら、撮像された体積のカバレッジの増加を可能とする。したがって、1対の並んでいる線源200aと200bとはそれぞれ、拡散ビームを単一のフラット・パネル検出器202に向ける。検出器202は一般に2つの線源200a、200bの中間点に合わされ、線源はそれぞれ、他の線源の軸に向かって一方向により広いわずかに非対称的なコーン・ビームを放射し、その結果、それぞれが検出器202の区域全体を包含する。これは、290mmのSADと200mmのADDとを可能とする。線源は200mm離間され、したがって、それぞれは検出器202の中心軸から100mmのところにある。図17a〜図17dは、以下のとおり種々の回転をしているこの構成を示す。
【表5】
【0064】
この幾何学的形状を用いることにより、さらなる小型化が達成され、それが360°の回転を可能にする。
【0065】
上記の実施形態の種々の態様は、もちろん組み合わせることができる。たとえば、説明された種々の回転幾何学的形状はまた、図5、図6、または図13に示されるような前方に傾斜された線源−検出器回転軸と共に適用されることができる。撮像される体積のカバレッジを最大限にするために、この傾斜角はまた、回転角の関数として変化するように形成されることができる。さらに、図15と図116の可変のxオフセットは、図17の二重線源などと組み合わされることができる。
【0066】
上述のX線容積測定撮像サブシステムは、内部の解剖学的構造の位置を正確に突き止めるために使用されることができる。光学的モニタリング・サブシステムも、容積測定撮像を含めて治療過程全体の間の変位の連続的なリアルタイム3D追跡のために含まれることができる。これは、撮像と治療の間に患者が支持体に対して移動しなかったことを連続して光学的に確認することを可能とする。マーカは、患者と固定フレームとの上に配置されることができ、それらの三次元の位置は光学的システムによって自動的に追跡される。
【0067】
図18と図19は、そのようなシステムを示す。カメラ300は可撓性アーム302に装着され、可撓性アーム302は治療カウチ304に装着される。したがって、カウチが治療位置または撮像位置に入ってそこから出るときに、一定の固定された基準フレーム・システムがカメラ300と、患者306と、固定フレーム308との間に確立される。このサブシステムは、患者の設定と固定化の信頼度と精度の向上をもたらす。可視マーカ310、312は、画像解析の簡略化を可能とする。別法として、干渉縞が、カメラ300と同じ場所に位置するプロジェクタなどから、患者306上に投影されることができる。これは、患者306が移動した場合に表示された画像が劇的に変化するようにする。もちろん、患者306を単純に表示して移動を検出することは可能である。
【0068】
カメラ300は、より正確な動きの検出を可能とするために立体的であり、支持アーム302は、患者306の進入と退出の間にカメラが邪魔しないように移動されることを可能とするように一体型の玉継手314を用いて可撓性である。
【0069】
このような視覚システムは、もちろん他の放射線治療および/または撮像システムと共に用いられることができる。
【0070】
もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に数多くの変形が加えられ得ることが理解されよう。たとえば、リニア・アクチュエータまたはリニア・ガイドは、治療室の天井に取り付けられ、直線運動または回転運動を実施することができる。これは、撮像を実施する前に、非常に高い再現性で調査用線源と検出器とを共通収束点に導く。その後、リニア・アクチュエータまたはリニア・ガイドは、患者位置決めシステムが治療焦点に対する患者の相対的な移動を実施することを可能とするために戻されることができる。また、空間が制限されている場合、患者の長軸に沿って患者の必要なすべての部分を撮像するために必要とされるより短い検出器を使用することが必要なことがある。この場合、患者が撮像の間で移動され、拡大された撮像視野を形成するためにいくつかの組の容積測定画像が組み合わされることを必要とする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の非侵襲的照射治療のための画像誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、頭蓋病変の治療は、最初は、頭蓋骨に作られた開口を通して脳組織にアクセスするという外科的プロセスによって前進した。明らかに、このような手術には非常な正確さが必要とされ、この目的のために定位フレームがLars Leksellによって1940年代後半に開発された。この定位フレームは、手術するべきものの内部に正確な基準フレームを設けることによって外科医を支援するものであった。典型的には、定位フレームは、局所麻酔下で軟らかい解剖学的構造を貫通して骨に当接するピンによって患者に装着され、頭蓋骨である剛体に対して固定された基準フレームを提供する。人体が普通に動く間に頭蓋骨内の脳組織が比較的小さな動きを示すことを考えると、これにより、脳組織とその関連する構造体とに対する外科用器具の正確な位置決めが可能となった。
【0003】
Leksellは、次いで、頭蓋内手術の適用範囲を、頭蓋底など、手術方法によって達するのが困難な区域に拡大しようと努めた。そのために、Leksellは、多線源放射線治療装置であるガンマ・ナイフを開発した。ガンマ・ナイフは、通常は半球形または円筒形をした、固定された支持体に装着された201個のCo60線源を備える。線源は、支持体のまわりに分布され、各線源は、定められた単一の点に向けられたビームを生成するように視準される。したがって、その点における総線量はすべての線源によって提供されるが、その点から離れると、総線量は最大でも、1つまたはごく少数の線源からの線量である。
【0004】
ガンマ・ナイフによる治療を続行するために、定位フレームは、デバイスに対して患者(したがって病変)の位置を固定するために患者の骨の解剖学的構造に付着される。フレームが所定位置にある間、治療されるべき病変(以下、ターゲットと呼ばれる)の体積がコンピュータ断層撮影(CT)と磁気共鳴映像法(MRI)などの画像診断法を使用して突き止められ、その後、定位座標がフレームに関連付けられる。ターゲットの治療は、その後、照射ユニットに対するフレーム(患者に付着された状態で)の慎重な位置決めによって達成される。したがって、フレームは、頭蓋内病変に対する治療過程の長期にわたる重要な一部である。
【0005】
定位フレームの使用には、以下の2つの大きな欠点がある。
(i)フレームは侵襲性が高く、長期間所定の位置にあることができない。したがって、分割治療と通常呼ばれる、長期の時間経過(複数日)にわたる複数回の曝露を必要とする治療に容易に使用できない。これは、単一線量で治療され得る病変に比べて、治療され得る病変のタイプを制限する。
(ii)この手法は、デバイスと、関連するターゲットおよび周辺の正常な解剖学的構造との間の厳密な変換を想定する。これは、頭蓋骨内の病変に関しては妥当な想定であるが、首と肩上部などのより広い区域に適用される場合には当てはまらない。したがって、これも、剛体として治療され得る体積内の病変に比べて、治療され得る病変のタイプを制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、脳、目、頭頸部の領域、すなわち多線源ユニットにアクセス可能なすべての領域で、かつ必ずしも頭蓋骨と共に剛体として作用する領域でない領域の癌病変などの疾患の非侵襲的照射治療に適した多線源照射ユニット用の容積測定に基づく(volumetric−based)X線画像誘導システムを提供しようと試みるものである。位置精度を得るために画像誘導を信頼することによって、定位フレームが不必要にされることができる。患者の解剖学的構造の固定化のいくつかの形が必要とされる可能性がある。この目的で定位フレームが使用されても良いが、唯一の選択肢である必要はない。WO96/036292A1に開示されている侵襲性が低い顎型クランプなどの代替形の固定が適切なことがある。
【0007】
このような固定方法は、患者が放射線治療装置に戻るときに同じ位置の再現性を提供しなくても良いが、位置の再現性は画像誘導システムによって補われることができる。実際は、固定システムは、基準空間フレームを提供するのではなく、治療中に患者を動かさずにおくだけでよい。
【0008】
したがって、多線源照射作業への撮像誘導システムの組み込みは、(i)より長期間にわたって続き、したがってある病変に対する治療の生物学的影響を潜在的に増加させることがある非侵襲的治療と、(ii)より広い区域、すなわち頭部と、頸部と、潜在的には肩上部の区域とにわたって適用され得る非侵襲的治療と、(iii)治療過程を通してターゲットのより正確な位置特定を可能とする。
【0009】
もちろん、多線源照射作業への撮像誘導システムの組み込みを行うには問題がある。具体的には、ガンマ・ナイフの幾何学的形状は、画像誘導システムの提供に適していない。患者のまわりの線源の配列と、関連するシールドと、コリメーションとが、現在利用可能な任意の形の撮像を妨害する。
【0010】
したがって、本発明は、それぞれ固定された場所にあって共通収束点に向けられた治療放射線源の配列と、共通収束点から離間された撮像点周囲の領域の容積測定(volumetric)画像の作成を可能にするために同期して移動可能な調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器であって、その移動を可能にするように、共通収束点に対して固定された台、および台(mount)と調査用線源と調査用放射線源のための検出器との間の関節式連結(articulation)によって支持される調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器と、第1の位置と、撮像点と共通収束点との間の変位に等しい変位だけ第1の位置から変位された第2の位置とから割り出し可能な(indexable)患者支持体とを備える放射線治療装置を提供する。
【0011】
このようにして、患者は、患者位置決めシステム上で所定の位置にある間に撮像され、その後、既知の変位だけ治療線源の配列に移動されることができる。変位が既知であり、したがって容積測定画像に対する収束点の場所が分かるので、位置の精度は維持される。容積測定画像の1つまたは複数の特徴を収束点により登録するための小さな調整は、患者支持体などによって行われることができる。
【0012】
Co60線源は十分に特徴付けられ、信頼性が証明されているので、治療放射線源は、Co60線源とすることができる。あるいは、他の線源が用いられることができる。
【0013】
関節式連結は、撮像システムが初期撮像ステップ中に治療システムの前に配置され、その後、(通常は)半球状または円筒状の治療体積へのアクセスを可能とするために遠ざけられることを可能とする部分である。これらの関節式連結は、好ましくは、その両端に調査用線源と検出器とが装着されたCアームを備える。Cアームは、たとえばこのような移動を空間効率の良いように可能にするために、リニア・アクチュエータを含む1つまたは複数の連結機構によって台に取り付けられることができる。
【0014】
別法として、またはこれに加えて、Cアームは回転関節(rotational joint)によって台に取り付けられることができる。アームが回転関節のみによって取り付けられている場合、関節式連結は、台から回転関節に延び、それによって回転関節を台から距離をあけて配置し、かつ容積測定画像に必要なデータを収集し、Cアーム構造体を治療体積の邪魔にならないように配置するためにCアームが回転されることを可能とするアームをさらに備えることが好ましい。
【0015】
あるいは、アームは、リニア・アクチュエータによって台に取り付けられることができる。このようにして、リニア・アクチュエータはCアームを邪魔にならないように片付ける(clear)ために用いられ、回転関節は、容積測定画像を生成するために必要に応じて撮像システムを回転させるために用いられることができる。したがって、リニア・アクチュエータは、アームが患者支持体と治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、アームが患者支持体と治療線源の配列との間の空間から離れている第2の位置とからアームを移動させるように構成されることができる。
【0016】
他の代替例では、アームは別の回転関節によって台に取り付けられることができる。この回転関節は、リニア・アクチュエータが、アームが患者支持体と治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、アームが患者支持体と治療線源の配列との間の空間から離れている第2の位置とからアームを移動させるように構成されることができる。
【0017】
したがって、本発明は、ターゲット部位に関する定位情報を決定するために容積測定画像が解析され、指定されたターゲティング場所と実際のターゲティング場所との間の不一致を解消するようにこの定位情報に従って患者支持体の位置が調整されることを可能とする。そうするために、好ましくは、適切な制御手段が提供される。
【0018】
調整手段は、調査用線源と検出器の移動に従って患者支持体の位置を調整するように構成されることができる。この調整手段は、患者を調査システムの撮像視野内に保ちながら、調査用線源と検出器が患者支持体のまわりを回転するときに調査システムに対応するのに役立つことがある。一般に、調査用線源と検出器とは、角度φだけ回転して移動し、その場合、調整手段は好ましくは、k.sin(φ+α)に比例する距離だけ患者支持体を直線的に移動させ、式中、kとαとは定数である。検出器に向かっての患者支持体の移動は、調査システムの有用な撮像視野内に患者を保つのに役立つので好ましい。
【0019】
したがって、本発明は、頭蓋と頭頸部の病変の高精度治療が可能なロボット駆動放射線源を備える多線源照射サブシステムと、高分解能(100μm)撮像が可能だが、高分解能撮像を含むだけに限定されない、1つまたは複数の放射線検出器とX線管とを備える容積測定X線撮像サブシステムと、患者位置決めサブシステムと、これらのサブシステム間での定位情報の通信を行うための制御システムとを備える、画像誘導による非侵襲的多線源照射システムを可能とする。
【0020】
このような容積測定撮像サブシステムは、撮像視野のすべての点において100μmに近い分解能で高い幾何学的忠実度(相対的なものと絶対的なもの)を有する再構築された画像を生成することができる。画像取得軌道(image acquisition trajectory)(回転と平行移動(translation))は、空間分解能と撮像視野に合致する性能によって決定されることができる。
【0021】
これらの画像から決定されるターゲット定位情報は、適切な電子的手段によってシステムの制御システムに転送されるかまたは他の方法で通信されることができ、指定されたターゲティングと実際のターゲティングとの間の不一致は、線源とシールドと患者との相対的な複合移動によって解消されることができる。このプロセスは、理想的には、照射プロセスの前とその間とその後の内部ターゲットの位置決めとモニタリングに有効である。
【0022】
第2の光学的モニタリング・サブシステムは、照射基準フレーム内の対象と患者の内部解剖学的構造の外部代用品の相対的位置の時間的な高分解能モニタリングを実現するために、ユニットと一体化されることができる。したがって、上記で定義された放射線治療装置は、患者支持体内の患者を表示するように設置された光検出器をさらに備えることができる。
【0023】
この光検出器は、ステレオ・ビデオ・カメラなどのビデオ・カメラとすることができる。光検出器は、好ましくは、患者支持体に固着されたアームに装着される。その目的は、支持体に対する患者の移動を検出することであり、したがって患者支持体自体に光検出器を装着することは、移動の検出をかなり簡単にする。アームは、患者の進入と退出とを助けるために関節式に連結される(articulated)ことができる。
【0024】
本発明の一実施形態は、添付の図を参照して例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】制御システムを示す図である。
【図2】軌道回転するCアームX線撮像構成の概略図である。
【図3】撮像サブシステムを装着するために使用可能な軸受の場所の概要を示すユニット全体の座標系の概略図である。
【図4】ユニット上の所定位置にある図1のCアームを示す図である。
【図5】角度回転と傾斜角とを有するCアームX線撮像構成の概略図である。
【図6】回転された状態にある図5のCアームを示す図である。
【図7a】リニア・レールに装着されたX線管−検出器システムの、それぞれ正面から、および側面からの概略図である。
【図7b】リニア・レールに装着されたX線管−検出器システムの、それぞれ正面から、および側面からの概略図である。
【図8a】放射線ユニットの前面に付着された図7aと図7bのシステムを示す図である。止められた(parked)またはしまい込まれた(stowed)状態のシステムを示す。
【図8b】放射線ユニットの前面に付着された図7aと図7bのシステムを示す図である。作動中または展開された状態のユニットを示す。
【図8c】放射線ユニットの前面に付着された図7aと図7bのシステムを示す図である。動作中のユニットを示す。
【図9】放射線ユニットの前面に付着された回転軸受を使用して止められたまたは展開され得るX線管−検出器システムの概略図である。
【図10】回転軸受の構成を示す図である。
【図11】関係する2つの回転軸受の等角概略図である。
【図12a】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図12b】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図12c】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図12d】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13a】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13b】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13c】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図13d】止められた位置と種々の展開された位置とにある、リニア・レールに基づいたX線システムの描画(rendering)である。
【図14a】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図14b】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図14c】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図14d】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15a】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15b】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15c】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15d】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15e】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図15f】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16a】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16b】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16c】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16d】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図16e】変化する線源−回転軸距離と検出器距離、固定された対象対動いている対象とを含む種々の単一平面取得軌道(single−plane acquisition trajectory)を示す図である。
【図17a】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図17b】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図17c】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図17d】2つの線源による、360°の画像取得幾何学的形状の平面図である。
【図18】それぞれ側面と背面とに対して患者とフレームとに配置されたマーカを3Dで追跡可能なリアルタイム光学的モニタリング・システムの概略図である。
【図19】それぞれ側面と背面とに対して患者とフレームとに配置されたマーカを3Dで追跡可能なリアルタイム光学的モニタリング・システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の目的は、オンライン撮像とターゲット位置特定のために多線源ガンマ線照射ユニットと一体化され得る容積測定X線撮像システムを設計することである。
【0027】
本発明は、照射ユニットまたは近くの構造体に装着され、かつ二次元画像の迅速な回転、取得と三次元画像の再構成とが可能なX線管/検出器サブシステムによって、この目的を達成する。検出器は、好ましくは方形面を有し、その長さと幅とがそれぞれコーン・ビームの角度とファン・ビームの角度とを画定する。デバイスの回転はカウチの長軸として画定されたz軸のまわりで実施され、検出器の長辺(コーン角)は回転面と平行である。容積測定撮像サブシステムは、高レベルの精度を維持しながら、小型で、多線源照射ユニットの仕様に適合するようになされるべきである。これらの制約下で、撮像サブシステムの種々の実施形態が可能である。
【0028】
システム全体の制御構造の概略と、一体化された撮像誘導システムの概要とが図1に示されている。制御システムは、幾何学的目標と線量測定目標(dosimetric objective)とに基づいて、容積測定撮像サブシステムとリアルタイム・モニタリング・サブシステムから照射サブシステムへのデータを処理する。データの流れは双方向であり、制御システムへの流れと制御システムからの流れがある。容積測定撮像サブシステムとリアルタイム・モニタリング・サブシステムからのデータは制御システムに供給され、その後、幾何学的目標と線量測定目標の要求を参照して患者の位置または線源構成を更新しても良い。
【0029】
説明されるべき第1の実施形態は、z軸のまわりの軌道回転を有する、図2〜図4に示されるCアーム・システムである。この状況における軌道回転は、図3と図4とから明らかなように、Cアームの円周の方向における回転をいう。Cアームの性質によって課される制約を考えると、約195°の回転が可能である。この実施形態の状況における角度回転は、Cアームの円周方向に垂直な−すなわちz軸のまわりの回転をいう。
【0030】
したがって、この実施形態は、台12上に支持されたCアーム10を用いる。Cアームは部分円形であり、台12内のリニア・アクチュエータ上に支持される。これは、Cアーム10が、Cアーム10の角度θの必要な回転を生じるように台12内で摺動することを可能とする。Cアーム10の両端には、診断線源14と二次元フラット・パネル検出器16とがある。Cアームが回転するとき、線源14と検出器16とは、名目上180°の円弧を掃引する。
【0031】
図3は、治療放射線ユニット18を示す。Co60線源の配列がコリメータのまわりに円筒状配列をなして構成される(図示せず)。コリメータは、事実上円筒状であり、内部に複数のコリメータ穴が線源ごとに1つまたは複数個形成された、タングステンからなる中実部である。この穴は、各穴が単一の共通収束点に向くような角度であり、このことは、この収束点が実質上すべての線源から非常に高い線量を受け取ることを意味する。線源は、患者が位置合わせされている間に放射線源を遮蔽するために、関連する1つまたは複数のコリメータ穴から遠ざけられ、その後、線量を投与するための場所に移動されることができる。開口20は、治療線量の投与を可能とするために放射線ユニット18内に患者の頭部領域を配置されることを可能とする。台12は、12aに示される開口の上に、または開口12bの下などに配置されることができる。図4は、開口20の下の12bにおいて装着された、所定位置にあるシステムを示す。患者22は、患者支持体24上に支持される。この支持体は、患者22の頭部をCアーム10の円弧内に配置するように位置付けされている。したがって、Cアーム10の回転によって、患者の容積測定CT画像が作成されることができる。患者支持体はその後、患者22が開口20の中へ突き出し、かつその頭部が治療用放射線ユニット内にある別の位置に割り出されることができる。
【0032】
患者の移動が完全に患者支持体24の制御下にあると考えると、変位が分かり、容積測定CT画像は患者22の現在の位置と関連付けられることができる。このため、患者支持体24による患者位置の微調整により、ターゲット構造体がアイソセンタすなわち放射線ユニットの収束点に配置され、治療が可能とされることが可能となる。
【0033】
Cアームの円周に応じて、必要な向きが照射ユニットおよび/または患者支持体24の位置決めによって制限または防止されても良い。考えられる解決方法は、図3に示されるように、yz平面において傾斜角を用いることである。Cアーム26は、今度は、図5に示される位置と図6に示される位置との間(それらの間で180゜回転する)での線源32と検出器34の回転ができるようにするために回転関節30によって支持アーム28に装着される。支持アーム28は、Cアーム26を放射線ユニット18の前方に位置付け、線源32と検出器34の撮像平面(plane of view)が前方に傾斜される。したがって、この性質の回転は、患者の頭部のCT画像が取得されることを可能とする。
【0034】
Cアームの軌道回転の場合に回転角度が潜在的に制限され、Cアームの角度回転の場合に空間が制約されるため、X線撮像システムの他の実施形態が図7と図8とに示されている。この変形形態では、X線管(線源)100と検出器102とが回転ガントリ104に沿って接続され、回転ガントリ104はベルト駆動回転軸受108によって支持アーム106に装着される。支持アーム106は、支持アーム106全体部の水平運動を可能とするリニア軸受112によって照射ユニット110に装着される。これは、システムが必要に応じて止められるまたは展開されることを可能とする。
【0035】
したがって、図7aと図7bとに示されるように、線源100によって放射されて検出器102によって検出されるコーン・ビームは、患者の頭部114の全体的な体積を包含することが可能である。その後、軸受108のまわりでのガントリ104の回転は、いくつかのこのような画像が収集され、容積測定CT画像が作成されることを可能とする。
【0036】
(患者に対して)この位置にあるので、ガントリ104と、線源100と、検出器102とは、患者の画像を取得するために理想的に配置されるが、また、照射ユニット110へのアクセスをブロックするように位置決めされる。したがって、リニア軸受112は、サブアセンブリ全体が、図8aに示される照射ユニット110のアクセス開口116から離れて位置するように、サブアセンブリ全体が片側に移動されることを可能とし、それにより、患者支持体上の患者は、既知の変位だけ前方に割り出されて照射ユニット110に入ることが可能となる。必要なときに、リニア軸受112は、サブアセンブリをアクセス開口116の前に配置して画像を取得するように動作されることができる。
【0037】
図8cは、アクセス開口116の前の所定の位置にあるときに、照射野のまわりの円形経路を回って線源100と検出器102とを担持するために、ガントリ104が回転軸受108のまわりを回転することができることを示す。
【0038】
図9〜図11は、回転軸受に基づいた一実施形態の概略図を示す。ここでも、X線管(線源)100と検出器102とが回転ガントリ104に沿って接続され、回転ガントリ104がベルト駆動回転軸受108によって支持アーム106に装着される。しかし、この実施形態では、支持アーム106は、その上端で第2の回転軸受118によって照射ユニット110に装着され、その上端のまわりでの支持アーム106全体の回転を可能とする。これは、システムが必要に応じて止められるまたは展開されることを可能とする。
【0039】
ビームの幾何学的形状はもちろん、図7aと図7bとに示されるビームの幾何学的形状と同じである。軸受108のまわりのガントリ104の回転はここでも、いくつかのX線像が収集され、容積測定CT画像が作成されることを可能とする。
【0040】
ガントリ104と、線源100と、検出器102とは、図8aに示されるように、サブアセンブリ全体が照射ユニット110のアクセス開口116から離れて位置するようにサブアセンブリ全体を回転させる第2の回転軸受118の回転によって、アクセス開口116の邪魔にならないように移動されることができる。これは、その後、患者支持体上の患者が既知の変位だけ前方に割り出されて照射ユニット110に入ることを可能とする。必要なときに、別の回転軸受118は、サブアセンブリをアクセス開口116の前に配置して画像を取得するように動作されることができる。
【0041】
図9は、アクセス開口116の前の所定位置にあるときに、照射野のまわりの円形経路を回って線源100と検出器102とを担持するために、ガントリ104が回転軸受108のまわりを角度θだけ回転することができることも示す。
【0042】
図10は、2つの回転軸受108、118が支持アーム106の両端にある構成を示す。別の回転軸受118のまわりの回転は、図10に示される止められた位置と点線で示される展開された位置120との間で支持アーム106を移動させる。止め具122は、固定式割り出し点(firm index point)を形成するために、支持アーム106が適切な展開された位置120にあるときに支持アーム106に隣接する照射ユニット110上に位置付けされる。止め具122は、単に支持アーム106のさらなる移動を防ぐ固定式止め具とすることができ、または支持アーム106が適切な位置にあるというフィードバックを提供するために近接検出器またはマイクロスイッチなどのアーム106用の検出器を組み込むこともできる。
【0043】
図11は、どのようにして両方の回転軸受の独立した回転が容易に提供されることができるかを示す。1対の同心のシャフト124が設けられることができ、外側シャフトは、支持アーム106に取り付けられてこれを駆動するべき別の回転軸受118を貫通し、内側シャフトは、別の回転軸受118と同心の内側シャフトに装着された支持アーム106の前に位置する上部歯車126を駆動するために支持アーム106を貫通する。その後、これは2つの歯車126、128を接続するベルト・ドライブまたはチェーン・ドライブ132によって、支持アーム106の下端で自由に回転するシャフト130に装着された下部歯車128を駆動する。ガントリ104は、その後、自由に回転するシャフト130に装着される。
【0044】
このようにして、両方の回転軸受108、118は独立して制御されることができる。外側シャフト124は支持アーム106を回転させてサブアセンブリを所定位置に移動させるかまたは所定位置から移動させるように駆動されることができ、内側シャフト124は、ガントリ104を回転させるために、サブアセンブリがいったん所定の位置に置かれると駆動されることができる。
【0045】
もちろん、別の回転軸受118が90°回転した後、上部歯車126は、もはや下部歯車128の上にないが、その一方にある。別の回転軸受118のさらなる回転は、この回転が許可される場合、下部歯車128を上部歯車126の上に配置する。それにもかかわらず、下部歯車128はそのほとんどの時間を上部歯車126の下で過ごし、歯車の名前はこのような理由で選定された。歯車の名前は、永続的な空間的関係のいかなる形も意味するものではない。
【0046】
図12a〜図12dと図13a〜図13dとは、リニア・レールを使用する本発明によるシステムのコンピュータ描画を示し、止められるときと展開されるときのシステムを示す。図12a〜図12dはガントリアームの種々の回転を示し、図13a〜図13dは変化する傾斜の程度を示す。最初に図12について説明すると、図12aは止められたシステムを示し、図12bは回転角0°で展開されたシステムを示す。図12cは小さな回転角で展開されたシステムを示し、図12dは管がカウチに衝突する前に許容される最大の回転角を示す。
【0047】
したがって、図12aは、1つまたは複数の線量を受けるためにそれを通して患者が突き出され得るアクセス開口154を含めて、フロント・パネル152が示されるガンマ・ナイフ照射装置の前の患者支持体150を示す。患者支持体150は、患者の肩に合うような形状にされた肩拘束具(shoulder restraint)156を含む。患者は、支持体150上に配置され、肩は拘束具156のちょうど後ろにある。装置は、拘束具156が他の任意の物体にぶつかることを可能とすることなく患者支持体が必要に応じて移動できるようにプログラムされる。患者が拘束具156の後ろにあることが分かっていることを考えると、これは、支持体150の移動中に患者の肩が任意の物体に当たることを防ぐ。
【0048】
リニア・アクチュエータ158は、照射ユニット152の前面に取り付けられる。照射ユニット152は、フロント・パネル152上の開口154の上およびその片側に所定の位置に固定されたレール160と、レール160に沿って両方向に駆動され得るシャトル(shuttle)162とを備える。アーム164はシャトル162から下方に延び、照射ユニットのアイソセンタと同じ高さのところに回転軸受165を有する。ガントリ166は回転軸受165に取り付けられ、Cアームガントリの一般的な形をなすように構成される、すなわち調査用X線源168が一端に、フラット・パネル検出器170が他端にある。線源168とフラット・パネル検出器170とはガントリ166の前方に装着され、それらの軸はガントリ166と略平行である。したがって、検出器170は、線源168と検出器170との間の開放空間に含まれる任意の物質による減衰後に線源168によって放射された放射線を受けるように位置付けされる。
【0049】
図12aは、止められた位置にある装置、すなわちシャトル162がレール160の一端にあり、開口154から離れている状態を示す。図12bは、シャトルがレールに沿って、アーム164が開口154の真正面に配置され、かつ回転軸受165がアイソセンタの真正面に配置される位置に移動された後のシステムを示す。この結果、線源168と検出器170の回転中心は、長手方向の変位を除いて、アイソセンタと一致する。しかし、その変位は、装置の種々の構成部品の寸法によって固定されるので、分かっている。
【0050】
アーム164とガントリ166とは、図12bに示される、回転軸受165のまわりの回転がない展開された位置において、検出器170が支持体150の真上にあるような寸法にされることに留意されたい。したがって、この位置から、ガントリ166は、線源168と検出器170を患者のまわりで回転させるために回転軸受165のまわりで回転され、そうするときにさまざまな方向からX線像を取得することができる。小さく回転した後、ガントリは図12cに示される位置に到達する。最終的に、ガントリは、図12dに示されるように、線源168が支持体150にぶつかろうとしている図12dに示される最大角度に到達する。調査用X線ビームの必要な幅を制限し、それによってその品質を保証するために、線源168は、検出器170以外のところに、回転軸受165から離れて装着される。これは、線源168と患者との間の距離を最大にするが、完全な360°の回転は可能でないことを意味する。したがって、図12dに示される最大位置まで回転した後、ガントリ166は、他の方向における対応する最大点に到達するまで逆方向に回転されることができる。
【0051】
回転軸受165と検出器170との間の距離はもちろんアイソセンタと支持体150の最上部との間の高さの差によって制限され、その結果、図12bに示され、かつ上述のように、検出器170は支持体150を片付けることができる。いずれにしても、検出器170が患者の下にある限り、正確な距離は重要ではない。(図12aに示されるように)デバイスが止められ、検出器が最下部にあり線源が最上部にあるのは、この理由のためである。
【0052】
このようにして画像が収集された後、画像は、適切な演算手段に渡されて容積測定CT画像を構築することができる。図12aに示されるように装置を止めるために、ガントリ166が図12bに示される直立位置に戻され、シャトル162がレール160に沿って移動されることができる。開口154は開いておらず、患者は、患者の頭部と肩を照射ユニット内に配置するために、線源168と検出器170の回転中心と照射ユニットのアイソセンタとの間の変位に等しい変位だけの支持体150の移動によって前方に割り出されることができる。したがって、ここで、容積測定CT画像の中心にある患者の場所がアイソセンタにくることになる。線量を送達する前に所望の構造体をアイソセンタに配置するように患者支持体150によって微調整が行われることができる。このようにして、画像誘導多線源放射線治療が達成される。
【0053】
図13a〜図13dは、どのようにして傾斜角が組み込まれ得るかを示す他の実施形態を示す。各図は、等角図と側面からの図とを含む。この実施形態では、ガントリ172の下端に位置する線源170と上端に位置する検出器174とを用いる。線源170と検出器174とは、ガントリアームの360°回転を可能とするために、ガントリ172が装着される回転軸受176から名目上等しい距離に位置する。線源の正確なコーン・ビーム角度に応じて、これは、360°回転と引き換えに撮像視野のいくらかの犠牲(またはより広いビームの拡散の受け入れ)を伴うことがある。しかし、この実施形態は、回転軸受が図示のようにガントリ172の前傾斜を可能にするための追加の関節式連結を含み、ガントリの上端が照射ユニット178からさらに遠くなり下端がさらに近くなるという点で、図13の実施形態と異なる。これは、線源170と検出器174の有効な回転中心がガントリアーム172の下端に対して前方に移動され、したがって患者の頭部の下を直接通過する必要がないので、患者支持体180の下のより良い隙間を可能とする。
【0054】
図13a〜図13dは、傾斜角を含むシステムの種々の描画を示す。具体的な角度は、以下のとおりである。
【表1】
【0055】
図12a〜図12dを参照して上記で説明された実施形態では、線源と検出器とを備える撮像システムの回転中心を照射システムのアイソセンタと同一線上に(そこから変位されてはいるが)、かつ全体的に、撮像されるべき対象の中央にある配置することを伴っていた。しかし、これは必須ではない。回転軌道に関して、図14〜図16に示されるような、単一のX線源を使用するいくつかの変形形態が提案されている。図14a〜図14dに示される第1の変形形態では、固定されたアイソセンタ204と静止対象206のまわりでの線源200と検出器202の単純な回転を伴い、図12の形態に全体的に対応する。線源−回転軸間距離(SAD)は1000mmであり、回転軸−検出器間距離(ADD)は200mmである。約28°のファン角と約37°のコーン角とは、その後に十分である。図に示されるように、260°の回転はこの幾何学的形状により可能にされており、その結果得られる倍率は約1.2である。図14a〜図14dは、以下のとおりさまざまな回転角φを示す。
【表2】
【0056】
ここで、φ=0°は、線源がアイソセンタの真下にある位置として定義される。したがって、止められた位置と、撮像システムが止められた位置に移動する準備ができた位置では、φ=180°は図14dに示されるとおりである。したがって、システムは、パラメータ50°≦φ≦310°内で回転することができる。
【0057】
上記の構成上の単一線源の一変形形態では、患者と撮像システムとの衝突を回避するために、同時に患者206が側方に偏位することを伴う。これらの場合に得られる倍率は、回転角の関数として変化する。図15a〜図15fに示される「管が上(tube over)」設計では、線源は、280°の角度まで患者の上を回転する。SADは550mm、ADDは200mm、コーン角は約56°、ファン角は約44°である。線源と検出器とが、固定された軸のまわりを回転するとき、撮像されている対象204は、支持体208を操作することによって、関数x偏位=−40sin(φ)として検出器に向かってx方向に移動され、それにより、270°または90°の角度で、最大の偏位が生じる(±40mm)。この式の一般的な形はもちろんx偏位=k.sin(φ+α)であり、式中、kとαとは、定数である。Kは装置の規模によって決まり、αはφ=0°に選定された向きによって決まる。
【0058】
図15a〜図15fは、以下のとおりさまざまな回転角を示す。
【表3】
【0059】
上表から、撮像されるべき対象を偏位することは、使用可能な空間とビームの回転に制約があるにもかかわらず、その対象の大部分がコーン・ビーム内に残ることを可能とすることが分かる。
【0060】
「管が下(tube under)」設計(図16a〜図16e)では、線源は、患者の下で240°の最大角度まで回転する。線源200を患者206の下で適合させることは、撮像システムの幾何学的形状のいくらかの調整を必要とし、この場合、SADは310mm、ADDは310mm、コーン角は約66°、ファン角は約52°、拡大係数は1.32〜2.0である。これは、最大240°の回転を可能にする。線源と検出器とが、固定された軸のまわりを回転するとき、この場合もやはり、撮像されている対象206は関数x偏位=160sin(φ)として検出器に向かってx方向に移動し、それにより、270°または90°の角度で最大の偏位が生じる(160mm)。
【0061】
図16a〜図16eは、以下のとおりさまざまな回転角を示す。
【表4】
【0062】
上表から、この場合もやはり、撮像されるべき対象を偏位することは、使用可能な空間とビームの回転に制約があるにもかかわらず、その対象の大部分がコーン・ビーム内に残ることを可能とすることが分かる。
【0063】
図17に示されるような2つの線源を用いる手法は、線源と検出器の360°の回転も容易にする小型線源−検出器の設定を使用しながら、撮像された体積のカバレッジの増加を可能とする。したがって、1対の並んでいる線源200aと200bとはそれぞれ、拡散ビームを単一のフラット・パネル検出器202に向ける。検出器202は一般に2つの線源200a、200bの中間点に合わされ、線源はそれぞれ、他の線源の軸に向かって一方向により広いわずかに非対称的なコーン・ビームを放射し、その結果、それぞれが検出器202の区域全体を包含する。これは、290mmのSADと200mmのADDとを可能とする。線源は200mm離間され、したがって、それぞれは検出器202の中心軸から100mmのところにある。図17a〜図17dは、以下のとおり種々の回転をしているこの構成を示す。
【表5】
【0064】
この幾何学的形状を用いることにより、さらなる小型化が達成され、それが360°の回転を可能にする。
【0065】
上記の実施形態の種々の態様は、もちろん組み合わせることができる。たとえば、説明された種々の回転幾何学的形状はまた、図5、図6、または図13に示されるような前方に傾斜された線源−検出器回転軸と共に適用されることができる。撮像される体積のカバレッジを最大限にするために、この傾斜角はまた、回転角の関数として変化するように形成されることができる。さらに、図15と図116の可変のxオフセットは、図17の二重線源などと組み合わされることができる。
【0066】
上述のX線容積測定撮像サブシステムは、内部の解剖学的構造の位置を正確に突き止めるために使用されることができる。光学的モニタリング・サブシステムも、容積測定撮像を含めて治療過程全体の間の変位の連続的なリアルタイム3D追跡のために含まれることができる。これは、撮像と治療の間に患者が支持体に対して移動しなかったことを連続して光学的に確認することを可能とする。マーカは、患者と固定フレームとの上に配置されることができ、それらの三次元の位置は光学的システムによって自動的に追跡される。
【0067】
図18と図19は、そのようなシステムを示す。カメラ300は可撓性アーム302に装着され、可撓性アーム302は治療カウチ304に装着される。したがって、カウチが治療位置または撮像位置に入ってそこから出るときに、一定の固定された基準フレーム・システムがカメラ300と、患者306と、固定フレーム308との間に確立される。このサブシステムは、患者の設定と固定化の信頼度と精度の向上をもたらす。可視マーカ310、312は、画像解析の簡略化を可能とする。別法として、干渉縞が、カメラ300と同じ場所に位置するプロジェクタなどから、患者306上に投影されることができる。これは、患者306が移動した場合に表示された画像が劇的に変化するようにする。もちろん、患者306を単純に表示して移動を検出することは可能である。
【0068】
カメラ300は、より正確な動きの検出を可能とするために立体的であり、支持アーム302は、患者306の進入と退出の間にカメラが邪魔しないように移動されることを可能とするように一体型の玉継手314を用いて可撓性である。
【0069】
このような視覚システムは、もちろん他の放射線治療および/または撮像システムと共に用いられることができる。
【0070】
もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に数多くの変形が加えられ得ることが理解されよう。たとえば、リニア・アクチュエータまたはリニア・ガイドは、治療室の天井に取り付けられ、直線運動または回転運動を実施することができる。これは、撮像を実施する前に、非常に高い再現性で調査用線源と検出器とを共通収束点に導く。その後、リニア・アクチュエータまたはリニア・ガイドは、患者位置決めシステムが治療焦点に対する患者の相対的な移動を実施することを可能とするために戻されることができる。また、空間が制限されている場合、患者の長軸に沿って患者の必要なすべての部分を撮像するために必要とされるより短い検出器を使用することが必要なことがある。この場合、患者が撮像の間で移動され、拡大された撮像視野を形成するためにいくつかの組の容積測定画像が組み合わされることを必要とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像誘導多線源放射線治療装置。
【請求項2】
前記線源がコバルト−60である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
共通収束点に向けられた治療放射線源の配列と、
前記共通収束点から離間された撮像点のまわりの領域の容積測定画像の作成を可能にするために同期して移動可能な調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器であって、その前記移動を可能にするように、前記共通収束点に対して固定された台、および前記台と前記調査用線源と前記検出器との間の関節式連結によって支持される、調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器と、
第1の位置と、前記撮像点と前記共通収束点との間の変位に等しい変位だけ前記第1の位置から変位された第2の位置との間で割り出し可能な患者位置決めシステムとを備える放射線治療装置。
【請求項4】
前記線源がコバルト−60線源である、請求項3に記載の放射線治療装置。
【請求項5】
前記関節式連結が、その両端に前記調査用線源と前記検出器とが装着されたCアームを備える、請求項3または4に記載の放射線治療装置。
【請求項6】
前記Cアームがリニア・アクチュエータによって前記台に取り付けられる、請求項5に記載の放射線治療装置。
【請求項7】
前記Cアームが回転関節によって前記台に取り付けられる、請求項5に記載の放射線治療装置。
【請求項8】
前記関節式連結が前記台から前記回転関節に延びるアームをさらに備え、それによって前記台から前記回転関節を離間する、請求項7に記載の放射線治療装置。
【請求項9】
前記アームがリニア・アクチュエータによって前記台に取り付けられる、請求項7または8に記載の放射線治療装置。
【請求項10】
前記リニア・アクチュエータが、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間の前記空間から離れている第2の位置とから前記アームを移動させるように構成される、請求項9に記載の放射線治療装置。
【請求項11】
前記アームが別の回転関節によって前記台に取り付けられる、請求項7に記載の放射線治療装置。
【請求項12】
前記別の回転関節が、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間の前記空間から離れている第2の位置と、から前記アームを移動させるように構成される、請求項11に記載の放射線治療装置。
【請求項13】
複数の調査用放射線源を含む、請求項3から12のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項14】
前記患者支持体の前記位置を調整するための調整手段をさらに備える、請求項3から13のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項15】
前記容積測定画像から定位情報を決定するための手段と、指定されたターゲティング場所と実際のターゲティング場所との間の不一致を解消するように前記定位情報に従って前記手段を制御する制御手段とをさらに備える、請求項14に記載の放射線治療装置。
【請求項16】
前記調整手段が前記調査用線源と前記検出器の移動に従って前記患者支持体の前記位置を調整するように構成される、請求項14または15に記載の放射線治療装置。
【請求項17】
前記調査用線源と前記検出器が回転して移動する、請求項16に記載の放射線治療装置。
【請求項18】
前記調査用線源と前記検出器が角度φだけ移動し、前記調整手段が、k.sin(φ+α)に比例する距離だけ前記患者支持体を直線的に移動させ、式中kとαとは定数である、請求項17に記載の放射線治療装置。
【請求項19】
前記調整手段が、前記患者支持体を全体的に前記検出器に向かって一方向に移動させるように構成される、請求項16から18のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項20】
前記患者支持体内の患者を表示するように設置された光検出器をさらに備える、請求項3から19のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項21】
前記光検出器がビデオ・カメラである、請求項20に記載の放射線治療装置。
【請求項22】
前記光検出器がステレオ・ビデオ・カメラである、請求項20に記載の放射線治療装置。
【請求項23】
前記光検出器が、前記患者支持体に固着されたアームに装着される、請求項20から22のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項24】
前記アームが関節式に連結される、請求項23に記載の放射線治療装置。
【請求項25】
実質的に本明細書において添付の図面を参照して説明される、および/または添付の図面に示される放射線治療装置。
【請求項1】
画像誘導多線源放射線治療装置。
【請求項2】
前記線源がコバルト−60である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
共通収束点に向けられた治療放射線源の配列と、
前記共通収束点から離間された撮像点のまわりの領域の容積測定画像の作成を可能にするために同期して移動可能な調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器であって、その前記移動を可能にするように、前記共通収束点に対して固定された台、および前記台と前記調査用線源と前記検出器との間の関節式連結によって支持される、調査用放射線源と調査用放射線源のための検出器と、
第1の位置と、前記撮像点と前記共通収束点との間の変位に等しい変位だけ前記第1の位置から変位された第2の位置との間で割り出し可能な患者位置決めシステムとを備える放射線治療装置。
【請求項4】
前記線源がコバルト−60線源である、請求項3に記載の放射線治療装置。
【請求項5】
前記関節式連結が、その両端に前記調査用線源と前記検出器とが装着されたCアームを備える、請求項3または4に記載の放射線治療装置。
【請求項6】
前記Cアームがリニア・アクチュエータによって前記台に取り付けられる、請求項5に記載の放射線治療装置。
【請求項7】
前記Cアームが回転関節によって前記台に取り付けられる、請求項5に記載の放射線治療装置。
【請求項8】
前記関節式連結が前記台から前記回転関節に延びるアームをさらに備え、それによって前記台から前記回転関節を離間する、請求項7に記載の放射線治療装置。
【請求項9】
前記アームがリニア・アクチュエータによって前記台に取り付けられる、請求項7または8に記載の放射線治療装置。
【請求項10】
前記リニア・アクチュエータが、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間の前記空間から離れている第2の位置とから前記アームを移動させるように構成される、請求項9に記載の放射線治療装置。
【請求項11】
前記アームが別の回転関節によって前記台に取り付けられる、請求項7に記載の放射線治療装置。
【請求項12】
前記別の回転関節が、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間に位置する第1の位置と、前記アームが前記患者支持体と前記治療線源の配列との間の前記空間から離れている第2の位置と、から前記アームを移動させるように構成される、請求項11に記載の放射線治療装置。
【請求項13】
複数の調査用放射線源を含む、請求項3から12のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項14】
前記患者支持体の前記位置を調整するための調整手段をさらに備える、請求項3から13のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項15】
前記容積測定画像から定位情報を決定するための手段と、指定されたターゲティング場所と実際のターゲティング場所との間の不一致を解消するように前記定位情報に従って前記手段を制御する制御手段とをさらに備える、請求項14に記載の放射線治療装置。
【請求項16】
前記調整手段が前記調査用線源と前記検出器の移動に従って前記患者支持体の前記位置を調整するように構成される、請求項14または15に記載の放射線治療装置。
【請求項17】
前記調査用線源と前記検出器が回転して移動する、請求項16に記載の放射線治療装置。
【請求項18】
前記調査用線源と前記検出器が角度φだけ移動し、前記調整手段が、k.sin(φ+α)に比例する距離だけ前記患者支持体を直線的に移動させ、式中kとαとは定数である、請求項17に記載の放射線治療装置。
【請求項19】
前記調整手段が、前記患者支持体を全体的に前記検出器に向かって一方向に移動させるように構成される、請求項16から18のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項20】
前記患者支持体内の患者を表示するように設置された光検出器をさらに備える、請求項3から19のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項21】
前記光検出器がビデオ・カメラである、請求項20に記載の放射線治療装置。
【請求項22】
前記光検出器がステレオ・ビデオ・カメラである、請求項20に記載の放射線治療装置。
【請求項23】
前記光検出器が、前記患者支持体に固着されたアームに装着される、請求項20から22のいずれか一項に記載の放射線治療装置。
【請求項24】
前記アームが関節式に連結される、請求項23に記載の放射線治療装置。
【請求項25】
実質的に本明細書において添付の図面を参照して説明される、および/または添付の図面に示される放射線治療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図15e】
【図15f】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図16e】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図15d】
【図15e】
【図15f】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図16e】
【図17a】
【図17b】
【図17c】
【図17d】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2011−529363(P2011−529363A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520577(P2011−520577)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001821
【国際公開番号】WO2010/012983
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(500321704)エレクタ、アクチボラグ (18)
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA AB
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001821
【国際公開番号】WO2010/012983
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(500321704)エレクタ、アクチボラグ (18)
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA AB
【Fターム(参考)】
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