説明

画像誘導放射線治療

患者の一部にある病変の放射線治療は、固定化装置を用いて定位置で患者支持テーブル上に患者を維持することによって行われ、その間、該テーブルは、磁気共鳴画像診断システムと、病変の位置で患者の360度のスキャン画像を生成するためのCT撮像システムと、病変の処置のために放射線ビームを発生させるための、および、病変の周囲360度でビームをスキャンするための、放射線治療システムとの間で回転する。MR画像は病変を見つけ、CTシステムは処置の計算のために使用される。MR画像、CT画像、および、放射線治療の間の登録は、テーブル上の患者の一部の定位置によって提供され、患者は、頭部が含まれる成形した頭部マスクを含む関連部分に適切な固定化システムを用いて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の一部にある病変の放射線治療で使用するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
LINAC放射線治療システムは周知であり、患者の身体内の様々な位置にある病変の放射線治療に広く使用されている。LINAC装置は身体部分の回りを回転し、病変にできるだけ正確に放射するために可変放射強度を適用する。
【0003】
典型的には、最初のCTスキャンは、CT画像から利用可能な減衰データを用いた処置を計画するために実行されることが知られている。CT撮像は別々の位置で達成され、減衰データを使用するために、処置器具によるCTスキャンの画像を登録することが必要である。この目的のために、頭頚部伸展ボードは、LINACテーブル上と、同じ固定空間(locking space)を備えたCTテーブル上に配される。同様に、患者の頭部は、取り付け可能な熱可塑性のマスクによって頭頚部伸展ボードに配される。これは、患者がCT画像システムからLINAC処置システムに移動するのと同じ位置に配されることを保証するように意図されたものである。
【0004】
したがって、頭頚部マスクは、2つの装置間の共通の基準フレームである。さらに、CT適合性の基準(fiducial)が頭頚部マスク上に提供される。
【0005】
LINAC構造フレームと一体化するとともに、LINACと同じ回転点を有するコーンビームCT(CBCT)は、CBCTからの3D低解像度CT画像をCT撮像システムから得られる画像と関連付けるために使用され、計画段階のために利用される。処置領域の近くの患者の骨部分の相関性が一致すれば、LINACを含む計画処置を進めることができる。CBCTと通常のCTスキャナーとの間の共通点は頭頸部マスクであり、該マスクは、温水溶液にマスクを入れることにより頭部と頚部の正確な形状に一致するとともに、その後、頭部と頸部の領域上にしっかりと置かれる。マスクが治療されるあらゆる個人に特有のものであるとともに、放射治療のあらゆる段階にまで該個人について回るという一致は、LINACによる処置に至る計画段階に対するCT画像の獲得を形成する。
【0006】
CTスキャナーの所望の中心点は、マスク上の3つの基準と位置合わせするとともに、CBCTとLINACのセット上で使用される同じ回転点である点に一致する、1セットの3つのレーザービームによって決定される。したがって、この点を識別することによって、CBCTからの画像を、CTから以前に集めた画像に重ね合わせて、かつ、患者がLINAC処置のために正しく位置決めされることを保証する。
【0007】
このシステムは広く使用され、比較的精度が低いということが分かっており、該精度はしばしば2センチと同程度に乏しいため、その処置は健康な組織への放射線を避けるために非常に保守的な進行に従わなければならない。したがって、低線量の放射線による多くの処理が、理論上必要であるよりも必要になってくることが一般的である。
【0008】
同様に当然のことながら、MR撮像は病変のはるかに適切な画像を提供する。この理由のため、この領域における1つの進展は、MR撮像システムとLINACとの組み合わせを提供することであり、その結果、LINAC処置が行われる際に、患者はMR撮像システム位置に留まることができる。Philips Medical Systems(添付書類を参照)。
【0009】
MRIにより、一般的には超伝導の高磁場磁石はトーラス構造で並べられるとともに、テーブル上の磁石内部に患者を横たわらせ、該テーブルでは、磁場によってパルス状の連続した磁場およびEM場が画像を生成するために身体を調査することができ、これによって、訓練された放射線専門医が高い確率で患者の解剖学的構造を測定することができる。MRI技術は、例えば、腫瘍などの異なる疾患の解剖学的位置を検出するのに非常に優れている。
【0010】
最も高い磁場強度のための磁石は一般的には円筒形であり、患者を穴部(bore)に沿って横たわらせているが、他の磁石形状と配置は低強度構造で使用される。
【0011】
ほとんどのMR撮像は診断基準に基づいて行われ、この場合、患者は診断テーブルに置かれ、該診断テーブルは患者を穴部へと移動させ、所要位置に患者を運ぶ。これらの場合では、患者は通常意識があり、テーブル上の必要とされる位置に移動させられるため、テーブルが穴部に入る際に、撮像される患者の一部がテーブルに対して配され、その結果、テーブルがMRシステムの視野において穴部に、通常は、軸状の穴部の中心に入るようになる。したがって、ほとんどの場合、テーブルは、穴部の中におよび穴部の外から患者を移動させるために、穴部の長手方向にのみ移動可能である。
【0012】
テーブルは同様に穴部に対する任意の大がかりな移動を妨げられる。なぜなら、該テーブルはテーブル面下で利用可能な部分の円筒状領域を満たす機械的構造を含んでいるためである。
【0013】
1998年4月7日に発行された特許文献1(Hoult et al)では、磁石がテーブルに対して、および、テーブル上の患者に対して、長手方向に移動可能な医療手順が開示されている。移動磁石システムによって、手術中のMRI画像を神経外科患者で容易に生成しやすくなり、該システムは、肝臓、胸、脊椎、および、心臓外科患者のための追加の用途を有する。テーブルは必要とされる手術のために設定され、磁石は撮像を達成するためにテーブル上の場所に移動される。テーブルを横軸回りに傾けて、長手軸回りに回転させることができる。
【0014】
関連する開示は、譲受人によって2008年12月11日に出願された特許文献2(公報第20090306495号、2009年12月10日)と、2009年4月8日に出願された特許文献3(公報2009/0306494号、2009年12月10日)でなされており、これらの開示は参照することによって全体として本明細書に組み込まれ、該文献は、以下の詳細で参照される、2009年5月25日に出願された特許文献4と特許文献5に対応する。
【0015】
2008年1月15日に発行され、Philipsに譲渡された特許文献6(Petot)は、MRI磁石の穴部内のテーブルの駆動システムにフィードバックを与えるために、位置センサーの使用を主張している。開示されるような移動は、穴部に沿った単なる直線移動のように見える。
【0016】
2009年2月3日に発行され、RicohまたはHitachiに譲渡された特許文献7(Nagao)は、実際の位置と所望の位置との間の違いに関連した情報に基づいてテーブルを移動させることを開示している。長手方向に対して直角な第2方向への移動は、全身スキャンの間に可能である。
【0017】
2004年11月23日に発行され、Toshibaに譲渡された特許文献8(Yamagata)は、磁石内の必要とされる撮像位置に所望の点を移動させるために、テーブルを2つの方向に移動させることを開示している。
【0018】
2000年4月4日に発行され、Hitachiに譲渡された特許文献9(Igeta)は、2つの方角に移動させること可能なX線およびMRIで使用されるテーブルを開示している。
【0019】
2005年7月14日に公開された特許文献10(Zhao)は、磁石内で撮像の間に、2つの方向に移動させ、かつ、傾けることが可能なMRIで使用されるテーブルを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第5,735,278号
【特許文献2】米国特許出願第12/333,032号
【特許文献3】米国特許出願第12/420,859号
【特許文献4】PCT出願第CA/2009/000672号
【特許文献5】PCT出願第CA/2009/00673号
【特許文献6】米国特許第7,319,325
【特許文献7】米国特許第7,486,076号
【特許文献8】米国特許第6,822,447号
【特許文献9】米国特許第6,045,262号
【特許文献10】米国特許出願第2005/0154291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
健康な組織を損傷するのを避けつつ、高線量でかつ低数回の処置の可能性を伴う、精度を改善することができる放射線治療のための改良方法および装置を提供することが本発明の1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の1つの態様に従って、患者の一部にある病変の放射線治療で使用するためのシステムが提供され、該システムは、病変の治療の計画を立てて達成する間に、患者を収容および支持するための患者支持テーブルと、計画と治療の間に、テーブルに対して固定されるように、テーブル上に患者の一部を配するための固定化装置と、磁石、少なくとも1つのRFコイル、および、撮像制御装置(Imaging control system)を含む、患者の病変のMR画像を得るための磁気共鳴画像診断システムと、病変の位置で患者の360度のスキャン画像を生成するためのCT撮像システムと、病変の処置のために放射線ビームを発生させるための、および、病変の周囲360度でビームをスキャンするための、放射線治療システムとを含み、磁気共鳴画像診断システム、CT撮像システム、および、放射線治療システムは、患者支持テーブルの周囲で角をなして離間した位置に配置され、磁気共鳴画像診断システムは、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の撮像を可能にするために、テーブルとシステムとの間の相対運動を提供するように配置され、CT撮像システムは、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の撮像を可能にするために、テーブルとシステムの間の相対運動を提供するように配置され、放射線治療システムは、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の放射線治療を可能にするために、テーブルとシステムの間の相対運動を提供するように配置され、CT撮像システムおよび放射線治療システムは、画像および処置が施されるように配されることで、CT撮像システムおよび放射線治療システムは患者の病変の回りの共通した平面にあり、テーブルおよび固定化装置は、テーブル上に固定したままで患者の撮像及び処置を可能にするように、MR適合性であり、放射線半透過性(radiation translucent)であり、非伝導性であり、および、該システムは、MR画像を用いて病変を見つけるために、かつ、CT画像を用いて面の周囲の放射強度を変えるように放射線治療を計画するために配置された処置制御システムを含む。
【0023】
好ましくは、固定化装置は、患者の解剖学的構造と一致するために成形される頭頚部の熱可塑性マスクを含む。
【0024】
好ましくは、固定化装置は、テーブル上の定位置に置かれるように配置された固定ボードを含む。
【0025】
好ましくは、RFコイルは、頭頚部の熱可塑性マスクを受け取ることができる固定ボードに組み込まれた基部部分を含む。
【0026】
他の固定化装置は、同様に、腹部、骨盤、上肢、および、下肢といった身体の他の部分にも利用することができる。
【0027】
好ましくは、テーブルは、病変の位置の真下に位置する、穿孔部分を含む。
【0028】
好ましくは、穿孔部分は穿孔した頭部伸展ボードに位置する。
【0029】
好ましくは、頭部伸展ボードは、繊維が非伝導性である繊維強化樹脂材から形成される。
【0030】
好ましくは、テーブルは、磁石、CTスキャンシステム、および、放射線治療システムとテーブルを位置合わせるように、テーブルを通る垂直軸の回りを回転する。
【0031】
好ましくは、テーブルは軸の回りの回転によってのみ、それぞれの位置に移動可能である。しかしながら、側方運動または並進運動は、適切な取り付け連結配置によって提供される。
【0032】
好ましくは、磁石はテーブルと連携して移動するように長手方向に移動可能である。
【0033】
好ましくは、CTスキャンシステムはテーブルに対して移動可能である。
【0034】
好ましくは、放射線治療システムはテーブルに対して移動可能である。
【0035】
好ましくは、ここで、RFコイルは、患者の一部上を覆うための可撓性を有する前部コイルを含む。
【0036】
好ましくは、MR画像とCT画像、および、放射線治療の間の登録は、テーブル上の患者の一部の定位置によって提供される。
【0037】
好ましくは、RFコイルは、様々な頚部サイズのすべてに一致するとともに下胴領域まで伸びる、可撓性または半可撓性を有する頚部部分を含む。
【0038】
好ましくは、固定ボードは、ウレタンまたはRohacell(商標)フォームとともに、放射線半透過性かつMR適合性のケブラーコンポジット(Kevlar composite)から作られ、放射線治療の間に取り外し可能な頭部アレイコイルの下方頭部部分を組み入れる空洞部を有する。
【0039】
好ましくは、患者支持テーブルは、少なくとも以下の移動のために配置され、該移動は、テーブルの左右への横移動の長手軸に沿った長手方向への移動、テーブルの長手軸回りの回転運動、テーブルの横軸回りの傾斜運動、テーブルの端部から離間した位置でのテーブルの横のヒンジ線に対するテーブルの曲げ運動を少なくとも含み、制御システムは、患者支持テーブルテーブルが視野にある間の、前記動作を達成するために配置される。
【0040】
好ましくは、テーブルは、台座(pedestal base)、台座に取り付けられたテーブル部材、および、テーブル部材に取り付けられた取り替え可能なテーブル上部部分を含む。
【0041】
好ましくは、台座とテーブル部材は、テーブルの長手軸に沿った前記長手方向の移動と、左右への前記横移動、テーブルの長手軸回りの前記回転運動、および、テーブルの横軸回りの前記傾斜運動を提供するように移動可能である。
【0042】
好ましくは、取り替え可能なテーブル上部部分は、テーブルの端部から離間した位置でテーブル上部部分の横のヒンジ線に対するテーブルの前記曲げ運動を含む。
【0043】
好ましくは、台座は垂直軸回りで回転することができる。
【0044】
好ましくは、テーブル移動は上下への移動を含む。
【0045】
好ましくは、テーブル移動は、垂直軸回りの回転を含む。
【0046】
好ましくは、テーブルの曲げ運動は、テーブルの平面の中心位置の上方と下方の両方である。
【0047】
その運動は、テーブル内の2以上の横のヒンジ線に対するテーブルの曲げ運動を含む。
【0048】
好ましくは、テーブルは、テーブルの上に横たわる患者を収容するように配置され、ここで、テーブルは、患者の一方の端部のテーブルの一方の端部にあるテーブル内の第1の横のヒンジ線と、患者に沿った途中の位置で第2の横のヒンジ線とを含む。
【0049】
好ましくは、テーブルは、平らな上部表面と、上部表面と通常は平行な平らな下部表面とを有する平面ボードを含む。
【0050】
好ましくは、テーブルは、2.5インチ未満の表面間の垂直な厚みを有する。
【0051】
好ましくは、ここで、テーブルは、患者の全身が片持ち(cantilevered)された部分に運ばれるような長さで片持ちされたテーブル上部を備える台座およびテーブル上部を有する。
【0052】
好ましくは、台座はテーブルの移動のためにホイール上にある。
【0053】
好ましくは、その移動をロックすることができる。
【0054】
好ましくは、磁石は水平の円筒穴部を備えた環状である。
【0055】
好ましくは、磁石の穴部の内部表面で、患者またはテーブルの衝撃の検出のための衝撃検出システム(Impact detection System)が提供される。
【0056】
1つの配置では、衝撃検出システムは、ビームを生成するレーザー送信機とビーム用の受信機を提供することによって作動し、ここで、ビームの切断は潜在的な衝撃を示す。
【0057】
別の配置では、衝撃検出システムは、磁石の内部表面上に接触感受性検知システムを提供することにより作動する。
【0058】
別の配置では、衝撃検出システムは、テーブル上部に接触感受性検知システムを提供することにより作動する。
【0059】
好ましくは、その移動は、MR適合性であるとともに、その移動の間に穴部内にその少なくともいくつかがあるモーターによって達成される。
【0060】
1つの配置では、移動は電気モーターによって達成される。
【0061】
別の配置では、移動は水力モーターによって達成される。
【0062】
好ましくは、制御システムは、テーブルの設定された位置をメモリに入力するための入力部を含み、ここで、制御システムは、指示があると、テーブルの位置を設定されていた位置に戻すように配置される。
【0063】
好ましくは、制御システムは撮像の間にテーブルを固定して保持するように配置される。
【0064】
本発明の第2の態様に従って、患者の一部にある病変の放射線治療のための方法が提供され、該方法は、患者を収容および支持するための患者支持テーブルテーブルに患者を配する工程と、テーブル上に患者の一部を固定する工程と、患者がテーブル上で固定されている間に、病変を探すための患者の病変のMR画像を得るために、磁気共鳴画像診断システムを用いて患者の一部を撮像する工程と、患者がテーブル上で固定されている間に、病変の位置で患者の360度のCTスキャン画像を得る工程と、患者がテーブル上で固定されている間に、放射線治療を計画するために、360度のCTスキャン画像とMR画像とを使用する工程と、患者がテーブル上で固定されている間に、計画された処置に従うために、病変の処置のために放射線のビームを照射するとともに様々な強度で病変の周辺360度のビームをスキャンする工程を含む。
【0065】
MRは、特に頭部および頸部領域で任意のCTスキャナーが提供できるよりもはるかに優れた、前例のない軟組織のコントラストと、腫瘍領域の正確な3D構造とを与えることができるモダリティである。しかしながら、放射線による計画と治療については、線量の計算(すなわち、可変の減衰に基づく約360度のスキャン強度における変動である)がCT画像に基づくため、CTが必要とされる。この線量計算は計画ツールに転送され、計画される治療領域はその後、処置のためのLINAC割当治療システム(a LINAC ration therapy system)に転送される。CTスキャナー領域には、炭素繊維(放射線透過性レベルが低いためCTとLINACに許容可能であるが、RF加熱の伝導性の問題と懸念のためMRには許容可能ではない材料)から作られる頭部伸展ボードが存在し、その上で頭頚部マスクは7つの点で固定される。残念ながら、計画段階の間に腫瘍の識別を改善するために、CT画像と相関させる、または、CT画像と融合するMR画像を用いることは情報価値のあるレベル(informative level)でのみなされるものである。なぜなら、頭頚部ボードに使用される材料が不適合であることから、頭頚部ボードと頭頚部マスクを、CTスキャナーで使用される頭頚部ボードと頭頚部マスクと相関させる方法が現時点で存在しないためである。材料(炭素繊維)は、CTとLINACの機械のための低シグネチャー(low signature)で高無線透過性の因子を提供するために選択されるが、重大な安全性の懸念(炭素繊維の伝導特性に由来する高周波加熱)がある間は、MRスキャナーとは不適合である。
【0066】
頭頚部マスクの特別なサイズ要件に適したマスクとともに使用されるRFコイルを提供することが必要である。
【0067】
MRシステムに使用されるMR適合性の頭頸部ボードを提供することが必要である。先行技術では一般的に、頭頚部マスクのMR画像への登録は、うわべだけにすぎず、これらの2つの装置を結びつける基準フレームがないという事実から現実的ではない。
【0068】
新しいRFコイル設計は、MR適合性材料を用いて頭頸部ボードを組み入れると以下に記載されている。本発明は頭部および頚部領域上に分布した多くのコイルについて言及するが、コイル配置は直交駆動(quadrature drive)送信/受信コイルを、または、多くの受信コイルアレイを含むことができる。本発明は頭頚部RFコイル構造の技術分野について議論しているが、同様のやり方で、骨盤および/または下肢と同様に熱可塑性溶液(thermoplastic solution)を保持する適切な本体部を備えた腹部拘束ボードに取り付けられたRFコイル構造が検討される。
【0069】
本明細書に記載されている配置は、頭部と頸部の領域のためのフェーズドアレイ構造を提供し、ここで、コイルの基部部分は、頭頚部の熱可塑性マスクを許容可能なMR適合性の頭頸部ボードとともに組み入れられる。非常に様々な頭部サイズに一致するコイルの可撓性を有する上部アレイ、および、様々な頚部サイズのすべてに一致する可撓性または半可撓性を有する頸部部分は下胴領域まで伸びる。
【0070】
本明細書に記載されている配置は、ウレタンまたはEvonik Rohm GmbH(Kirschenallee 64293 Darmstadt Germany)から入手可能なRohacell(商標)フォームとともに、放射線半透過性かつMR適合性のケブラーコンポジットから作られ、放射線治療の間に取り外し可能な頭部アレイコイルの下方頭部部分を組み入れる空洞部を有する。非常に様々な頭部サイズに一致するコイルの可撓性を有する上部アレイ、および、様々な頚部サイズのすべてに一致する可撓性または半可撓性の頸部片は下胴領域を伸ばす。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による放射線治療システムの1つの実施形態の等角の概略図である。
【図2】図1のテーブルの1つの実施形態の等角図であり、患者を配する部品はさらなる詳細について分解組立図で表される。
【図3】図1のテーブルの第2の実施形態の等角図であり、患者を配する部品はさらなる詳細について分解組立図で表される。
【図4】図1のテーブルのみの等角図である。
【図5】頭部の処置のための構造を示す、患者を取り付けるための図1のテーブルの等角図である。
【図6】胸部の処置のための構造を示す、患者を取り付けるための図1のテーブルの等角図である。
【図7】脊椎の処置のための構造を示す、患者を取り付けるための図1のテーブルの等角図である。
【図8】鼠径部の処置のための構造を示す、患者を取り付けるための図1のテーブルの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とともに以下に記載される。図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【0073】
図1では、患者が患者支持テーブルテーブル上に固定されたまま、患者の磁気共鳴映像法を実行するための配置が示される。該配置は部屋(1)を提供し、該部屋(1)では患者支持テーブル(10)が取り付けられ、磁石庫(magent bay)(1A)からのMR撮像システムの磁石(3)の部屋へ入るために該部屋の一方にドア(2)がある。
【0074】
MR画像システムは、2つ以上の部屋の間の頭上レール上を移動する、高磁場(例えば、1.5Tまたは3T)磁石である。
【0075】
患者対応システム(Patient Handling System)または支持テーブルが図1に示され、通常は(10)で示される。患者支持テーブルは、基部または台座(11)を含み、該台座によって、基部は、所望の高さおよび方向の位置に患者支持テーブル部分(12)を移動させることができる。基部(11)の上部で、患者支持テーブル部分(12)は、患者支持テーブル部分上に横たわっている間に患者を支持するのに十分な表面積を定義するように、線維強化プラスチック材料から形成された一般的に平らな本体部(12A)の形で取り付けられる。
【0076】
図4は、図1の磁石(3)とは離れていて、磁石の従来の診断テーブル(3A)の反対側の穴部の端部に通常はある磁石(3)の円筒穴部の1つの端部へ挿入するために配置される、テーブルそれ自体を示す。
【0077】
テーブル(10)は、接地ホイール(ground wheel)(21)に取り付け可能な台座(20)を含むか、または、接地ホイールは安定性の強化のために省略されてもよい。接地ホイール(もし、あれば)は、横移動を防ぐためにロックされるか、または、床に台座をしっかりと置くために引っ込められる。
【0078】
台座は、その上方端部で、患者が横たわることができるテーブルの第1の部品を定義する、一般的には平らなテーブル部分の形状をしたテーブル部材(22)を支持する。テーブル部材は、その外部端部または前端部で、テーブル上部部分(24)を取り付け可能な連結器(23)を含む。連結器(23)は、テーブル上部部分(24)からテーブル部材(22)までの物理的な接続を提供するため、テーブル上部部分に横たわる患者からの力は、患者を定位置で維持するためにテーブル部材に伝えられる。テーブル上部部分は、テーブル部材(22)の前端から外側に向かって片持ちにされる。テーブル上部部分(24)は、連結器(23)から取り外し可能であるため、それは、例えば、以下に記載されたタイプの代替的な構造に置き換え可能である。
【0079】
テーブル部材(22)は、複数の異なる方向で台座に対するテーブル上部部材(22)の移動を提供する手法で、台座に取り付けられる。
【0080】
第1の移動方向では、台座(20)は基部部分(25)に対して垂直軸回りが回転することができるため、テーブル全体が垂直軸回りに回転することができる。通常は、この回転運動は手動で達成される。なぜなら、それが比較的進路に沿った移動であるためであり、かつ、垂直軸回りのテーブルの手動による回転運動を可能にするテーブルの構造からの十分な機械的利点があるためである。
【0081】
加えて、台座は、基部に対する台座の上方および下方への移動(27)を駆動可能な、線形アクチュエータ形状をした第1のモーター(26)を含む。線形アクチュエータは、(28)で概略的に示される親ねじを含むタイプであってもよい。
【0082】
さらなるモーター(29)は、テーブルの一般的に長手の水平軸の回りで(30)で示されたような、ローリング作用でのテーブル部材の傾斜運動を提供する。
【0083】
図3で見えるさらなるモーター(31)は、台座に対してテーブルの前端部を上げ下げし、そうして、横軸回りに患者を傾けるために、横軸回りにテーブルの傾斜運動を提供する。傾斜運動は図2において(32)で示される。
【0084】
2つの追加的なモーターが(33)と(34)で概略的に示され、これらは、台座に対して前方または後方へのテーブルの長手の移動と、台座に対するテーブルの左右への運動とを提供する。
【0085】
上記の4つのモーターはすべて、必要に応じてテーブル上への患者の正確な位置付けを確実にするように、台座に対するテーブル上部の制御されたゆっくりな移動を提供する正確なモーターである。
【0086】
図2の置き換え可能なテーブル上部部分(24)は、横のヒンジ(35)を含み、該ヒンジは、主要なテーブル部材(22)に対して(37)で示されるような異なる角度を取るように、テーブル上部部分の片持ち部分(36)が上方および下方に移動することを可能にする。ヒンジ線を越えて片持ちにされているこの前方部分(36)は、正および負の角度で上方および下方に回転することができる。図3で示されるように、部分(36)は、180度未満の角度を提供するように、テーブル上部部材(22)に対して上方に回転する。図7では、同じテーブル上部部分(36)は、テーブル部材(22)に対して下方に回転する。
【0087】
ヒンジ線(35)から外側に離間したさらなる横のヒンジ線を提供する代替的な配置(図示せず)が提供可能であり、テーブル上部部分のさらなる曲げ移動を可能にする。
【0088】
使用時には、患者は、所望の場所で患者の手術のために配置された構造でテーブル上部に配される。以下に記載されるさらなる詳細は、このような構造の多くの例を提供する。しかしながら、他の構造も同様に可能である。
【0089】
したがって、手術台上の患者は、処置される患者の一部の外科医による手術に特に適した位置に配される。手術は侵襲性である必要はなく、介入の任意の形態は記載されたテーブル構造を用いて可能である。加えて、テーブル構造は放射線治療に使用することができ、患者は、所望の位置に照射される放射線のために適切な構造に配される。
【0090】
患者は手術または他の介入のために配置され、その構造内に留まりながら、適切な拘束具によってその構造内で固定される患者は、上に説明したHoultの特許に従って、その長さに沿って通常は長手方向への磁石の移動によって、磁石の穴部に移動させられる。したがって、磁石の円筒穴部は、磁石がテーブルと患者の上を通過できるような位置にテーブルが調節されることで、テーブル上と、テーブル上の患者の上を通る。したがって、磁石の移動前に、患者が手術に必要な構造内に留まっている間に、テーブルは、磁石の穴部が患者とテーブルの上を移動することができるようにテーブルを位置決めするために、上記の許容可能な移動のいずれかに従って、角度のために高さを調節する。
【0091】
加えて、磁石を適所に配して、患者の一部は、撮像のために磁石内部の視野に通常は配される。
【0092】
しかしながら、テーブル上の患者の構造と、所望の撮像位置に磁石を移動させることが可能なテーブルの位置は、望ましい画像パラメータを得るために、視野内の最適な場所に患者の一部を位置決めしないことが多い。
【0093】
したがって、患者とテーブルが穴部内にある間に、テーブルは撮像のための最善位置に患者の一部を移動させるように調整可能である。この移動は、外科手術のために設定された構造から患者を大掛かりに移動させることを回避しつつ、患者を最適に位置決めするためになされ得る利用可能な潜在的な移動すべてを念頭において、計算可能である。場合によっては、構造のための調節が穴部内のこの移動に必要なことがあるが、当然のことながら、外科手術を危険にさらすのを避けるために、この調節は最小限にされる。場合によっては、許容されるテーブルの移動が撮像のための患者の一部の位置を最適化する間に構造を動かさずに維持する移動に制限される際には、構造の移動は可能ではない。
【0094】
一方の患者およびテーブルともう一方の磁石との間の衝突を避けるためのシステムが提供される。
【0095】
磁石の穴部との衝突が生じる位置に患者を移動させないようにするために、穴部に入る前に、および、穴部内を患者が移動する間に、テーブルと患者の位置を計算する制御システムが提供可能である。
【0096】
しかしながら、有効な安全手順については、患者と穴部との間の衝撃検出システムを提供することも必要である。
【0097】
一例では、これは穴部内に配されたレーザーシステムを使用して提供され、該レーザーシステムは、テーブルまたは患者が磁石の穴部に接近した場合に破断する、穴部内の一連のビームを提供する。そのようなビームはレセプターとともに方向配置を含み、該配置は、破断していない位置でビームを収容するとともに、ビームのいずれかが患者またはテーブルに移動により遮断されると、表示を提供する。
【0098】
第2の例において、対象と穴部の内面との間の実際の接触を検出する配置が提供される。
この構造は現在の譲受人に対して2008年11月4日に発行された米国特許第7,446,304号(Li)で示されるタイプのものであり、この文献の開示内容は参照することによって本明細書に組み入れられる。したがって、この配置では、穴部の内面は柔軟な受け取り面(receiving surface)を支持し、この面は穴部内の対象と接触した場合に偏向し、その結果、そのような偏向が測定されるや否や患者とテーブルのさらなる移動は停止される。
【0099】
さらなる代わりとして、このタイプの偏向システムは、テーブル上に、および/または、患者の位置を取り囲むとともに識別する要素上に設けられる。したがって、テーブル自体に対する、または、患者の位置を識別するこれらの要素のうちの1つに対する穴部の影響が、要素そのもの内で信号を誘発し、これが患者およびテーブルの不適切な位置への移動を再度停止させる。
【0100】
ここで図5に目を向けると、患者の頭部上での手順のために設定されるテーブルの配置が示される。この配置では、患者の脚がヒンジ線(35)にある患者の膝とテーブル部材(22)上にあるように、患者はテーブルに配される。その後、部分(36)がヒンジ線(35)から上方かつ前方に傾けられることで、部分(22)と部分(36)は浅い鈍角を定義する。示されるように、テーブル部分(22)は、前方かつ下方へ傾けられる。この配置では、テーブル部分(36)は、クランプ(41)と取り付けブラケット(42)とともに頭部取り付け具(40)を含む。取り付けブラケット(42)は、幅の狭い部分(36A)の部分(36)の端部の下面に取り付けられる。ブラケットが部分(36)の前端部の真下に配されることで、クランプ(41)が部分(36)の端部(36B)から前方かつ下方に位置決めされる。このように、患者は、頭部を下方かつ前方に向けた状態でテーブル上にうつ伏せに横たわり、頭蓋の後部または頭蓋の底部での適切な外科手術のために頭部(44)の後部(43)を晒す。
【0101】
患者の頭部を前方かつ下方に位置付けることによって、患者の構造が適切に配置可能となるため、患者は穴部に入ることができる。ひとたび穴部内に入ると、患者の頭部を前方に、後方に、上下の傾斜運動とともに左右に調節し、磁石内の視野内の最適な位置に、撮像される頭部の一部を位置決めすることができる。
【0102】
図6において、胸部での操作のために提供される構造が示される。この配置では、代わりのテーブル部分(50)としてのテーブル部材(22)が容器(23)に取り付けられる。テーブル部分(50)は横のヒンジ線を有しておらず、基部の平面(52)上のアーチ部分(51)を提供するフレーム構造から形成される。アーチ部分(51)は、横部材とともに患者の夫々の側面に配される2つの側部を有し、該側部は、アーチ部分(51)上にうつ伏せ状態で横たわらせた際に患者を支持することで、患者の胸部領域がアーチの真下に、かつ、平らな基部部分(50)の上に配されて、構造の開いた側部(53)からアクセスできるようになる。開口部(53)を提供するアーチ形のフレーム(51)は、RFコイル(54)の取り付けも可能にする。このように、患者はアーチの後部から下方かつ後方に突き出たままうつ伏せに支持され、患者はアーチにもたれかかり、膝と脚はその平らな部分の外側に突出している部分(55)上で支持される。再度、患者を穴部に挿入後の穴部内の患者の位置は、撮像される一部を必要とされる位置に移動させるのに必要な傾斜運動によって調節可能である。患者はアーチにもたれかかった構造内に留まり、ストラップまたは他の拘束具によってその位置で固定され、撮像される一部の適切な位置付けのために(必要に応じて)テーブルを一方の側に傾けることができる。
【0103】
胸部の手順については、患者は、胸部領域上の開口部によってうつ伏せで位置決めされる。クッションは、胸骨を介して頭部と身体の残りを支持し、脚と上部骨盤は曲げられている。この位置によって、胸部への十分な一側かつ両側のアクセスを可能にする。
【0104】
図6の配置はOSI(カリフォルニア州ユニオン市)から入手可能な既知のWilson frameも利用することができ、それらの詳細については当業者に知られている。
【0105】
ここで図7に目を向けると、図4と5で使用される構造が示されており、同じ構造が通常は患者の脊椎または背骨上の操作のために用いられる。したがって、この配置では、ヒンジ線(35)は患者の胴部領域の周辺に配され、脚はテーブル部材(22)上に配され、患者の上部胴はうつ伏せになった状態で部分(36)上にもたれかかっている。この配置では、頭部は、部分(36)のもっとも前方の端部から離間した位置に位置決めされる。患者の後部領域がヒンジ線(35)上に伸張して、患者の背骨と脊椎に対する効果的なアクセスを可能にするように、部分(36)は180°よりわずかに大きな角度を提供するように下方へ曲がる。再度、示された配置によって、患者を穴部への所望の構造内に留めたまま構造を適切に配することができ、その後、手術のために設定された患者の構造を変更することなく、患者を調節するテーブルを撮像のための所望の位置に移動させることができる。
【0106】
ここで図8に目を向けると、容器(23)のテーブル部材(22)上で取り付けられるさらなるテーブル上部部分(60)を利用するテーブルのさらなる配置が示される。この配置では、テーブル上部部分は、身体のその位置で必要とされる様々な手順のために、鼠径部領域での操作のために設計される。この配置では、ヒンジ線(61)が設けられ、該ヒンジ線(61)はテーブル部材(22)から離間した位置に配されることで、ヒンジ線(61)における角度で配置可能な第1部分(62)と第2部分(63)を提供する。開口部(64)はちょうどヒンジ線の向こうの第2部分(63)に配され、一方の側(65)から部分(63)の反対側の狭い部分(66)まで広がっている。これは、必要とされる領域の患者へのアクセスを可能にする開口部(67)を提供する。
【0107】
図1、2、および、3に再び目を向けると、患者の一部の病変の放射線治療で使用するためのシステムが示されている。上に記載した患者支持テーブルは、病変の治療のために計画するとともに病変の治療を達成する間に患者を収容および支持する。患者支持テーブルは、患者の病変のMR画像を得るために、磁気共鳴画像診断システム(3)と協働するように、第1の位置(70)に対して垂直軸回りに回転可能である。MRIシステムは、磁石、少なくとも1つのRFコイル、および、撮像制御装置(100)を含む。
【0108】
病変の位置で患者の360°スキャン画像を生成するために、CT撮像システム(74)と協働するようにテーブルを第2の位置(72)に移動することができ、および、病変の処置のために放射線ビームを生成するために、かつ、病変の周辺360度のビームをスキャンするために、放射線治療システム(75)と協働するようにテーブルを第3の位置(71)に移動することができる。CTシステムは制御システム(101)を含む。
【0109】
したがって、磁気共鳴画像診断システム(3)、CT撮像システム(74)、および、放射線治療システム(75)は、患者支持テーブルの台座の垂直軸回りの角度をなして離間した位置に配置される。
【0110】
磁気共鳴画像診断システムは、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の撮像を可能にするために、テーブルに対する磁石の移動を提供するように取り付けられる。
【0111】
CT撮像システム(74)は、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の撮像を可能にするために、テーブルとCTシステム(74)との間の移動を可能にするように、移動可能な取り付け部(77)上に取り付けられる。したがって、磁石が磁石室に引っ込められる際に、CTシステムは撮像位置に移動することができ、CT撮像が完全な際には、CTシステム(74)は遠方に引っ込められる。
【0112】
同様に、磁石が引っ込められる際に、および、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に、放射線治療システムは、患者の放射線治療を可能にするために、テーブルと放射システムの間の相対運動を提供するように、取り付け部(78)に取り付けられる。放射線治療は、意図した処置パターンを定義する入力パラメータを受け取るために、および、それに応じて放射線を制御するために、制御部(102)を含む。
【0113】
CTシステム(74)と放射システム(75)を取り付けて移動させるのに適切な取り付けシステム(77)および(78)は、当業者の技術の範囲内であるため、これ以上の詳細は本明細書では提供されない。
【0114】
図2に示されるように、固定化装置(80)は、計画と治療の間にテーブルに対して固定されたままであるように、テーブルに患者の一部を配するために設けられる。患者の頭部と頚部領域のために使用される際に、固定化装置(80)は、患者の解剖学的構造に一致するように成形される頭頚部の熱可塑性マスク(81)を含む。このタイプの装置は当業者には周知である。さらに、図2では、固定化装置は、留め具(83)によってテーブル上の定位置に置かれるように配置された固定ボード(82)を含む。RFコイル(84)は、前部または上部コイル(85)と、後部または基部コイル(86)を含む。後部コイルは、定位置で固定ボードに固定された頭頚部の熱可塑性マスクを受け取ることが可能な方法で、固定ボードに組み入れられ、こうして、処置を必要とする患者の領域、すなわち、この場合は頭部または頚部領域を見つける。
【0115】
場合によっては、テーブルは、病変位置の真下に配された穿孔部分(88)を含み、頭部に対する処置の場合は、穿孔部分(88)が、テーブルの穿孔された頭部伸展ボード(89)に配される。
【0116】
上記の構造の配置は、先の特許文献2(公報第20090306495号(2009年12月10日)で示され、その開示は参照することによって本明細書に組み入れられる。
【0117】
RFコイル(84)の前部コイル部分(85)は患者の一部上を覆うような可撓性を有するものである。繊維構造内に含まれる伝導性コイルを有する適切な裏地から作られるそのような可撓性を有する構造は、一般的に知られている。コイルは患者の頚部および上方胸部を覆う頸部部分(85A)も含むことができ、該頸部部分は、様々な頚部サイズのすべてに一致するとともに下胴領域まで伸びる可撓性または半可撓性を有する。
【0118】
頭部伸展ボードと、その上にある固定ボードは、繊維が非伝導性の繊維強化樹脂材から形成される。
【0119】
使用時には、中央の制御システム(103)は、部品の移動、および、撮像と処置の操作を制御するようにプログラムされる。制御部(103)は、磁石、CTスキャナー、および、放射線治療システムをテーブルと一直線に並べるために、テーブルを通って垂直軸回りでテーブルを回転させるように機能する。CT撮像システムと放射線治療システムが配置されることで、画像と処置が患者の病変の周囲の共通した面にあるようになり、患者がテーブルに対する患者の固定した位置付けによる2つのモダリティと、その2つのモダリティに対するテーブルとの間を移動する際に、その平面が自動的に重なるように配置される。処置制御システムは、MR画像を用いて病変を発見するために、かつ、CT画像を用いて面の周囲の放射強度を変えるように放射線治療を計画するために配置される。したがって、MR画像、CT画像、および、放射線治療の間の登録は、テーブル上の患者の一部の定位置によって提供される。
【0120】
テーブルと、ボードと頭部/頚部マスクとを含むと固定化装置は、テーブル上に固定したまま患者の撮像及び処置を可能にするために、MR適合性であり、放射線半透過性であり、非伝導性である。
【0121】
典型的には、固定ボードは、ウレタンまたはRohacell(商標)フォームとともに、放射線半透過性かつMR適合性のケブラーコンポジットから作られ、放射線治療の間に取り外し可能な頭部アレイコイルの下方頭部部分を組み入れる空洞部を有する。
【0122】
当業者に知られている適切な配置は、請求項中の腹部、骨盤、下肢、および、上肢の固定化にも使用可能である。
【0123】
図3では図2に似た配置が示されており、固定ボード(82)が省略され、その代わりに、テーブルが頭部と頚部を直接収容するために配置された外端部を有するように設計される。この配置では、テーブルは頭部支持部分の真下の凹部で後部コイル(86A)も収容するように設計される。
【0124】
本明細書で先に記載されたように私の本発明では様々な修正を行うことができ、同じものの明らかに広範で多様な実施形態がその精神と範囲から逸脱することなく、請求項の精神と範囲内で作られ得るため、添付の明細書に含まれるすべてのことはたんなる説明目的でのみ解釈され、制限する意味では解釈されないということが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の一部にある病変の放射線治療で使用するためのシステムであって、
前記システムは、
病変の治療の計画を立てて達成する間に、患者を収容および支持するための患者支持テーブルと、
計画と治療の間に、テーブルに対して固定されるように、テーブル上に患者の一部を配するための固定化装置と、
磁石、少なくとも1つのRFコイル、および、撮像制御装置を含む、患者の病変のMR画像を得るための磁気共鳴画像診断システムと、
病変の位置で患者の360度のスキャン画像を生成するためのCT撮像システムと、
病変の処置のために放射線ビームを発生させるための、および、病変の周囲360度でビームをスキャンするための、放射線治療システムとを含み、
磁気共鳴画像診断システム、CT撮像システム、および、放射線治療システムは、患者支持テーブルの周囲で角をなして離間した位置に配置され、
磁気共鳴画像診断システムは、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の撮像を可能にするために、テーブルとシステムとの間の相対運動を提供するように配置され、
CT撮像システムは、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の撮像を可能にするために、テーブルとシステムとの間の相対運動を提供するように配置され、
放射線治療システムは、患者がテーブル上の定位置に留まっている間に患者の放射線治療を可能にするために、テーブルとシステムとの間の相対運動を提供するように配置され、
CT撮像システムおよび放射線治療システムは、画像および処置が施されるように配されることで、CT撮像システムおよび放射線治療システムは患者の病変の回りの共通した平面にあり、
テーブルおよび固定化装置は、テーブル上に固定化したままで患者の撮像及び処置を可能にするように、MR適合性であり、放射線半透過性であり、非伝導性であり、および、
前記システムはさらに、
MR画像を用いて病変を位置付けるために、かつ、CT画像を用いて面の周囲の放射強度を変えるように放射線治療を計画するために配置された処置制御システムを含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
固定化装置が患者の解剖学的構造と一致するために成形される頭頚部の熱可塑性マスクを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
固定化装置がテーブル上の定位置に置かれるように配置された固定ボードを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
RFコイルは、頭頚部の熱可塑性マスクを受け取ることができる固定ボードに組み込まれた基部部分を含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
テーブルは、病変の位置の真下に位置する穿孔部分を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
穿孔部分は穿孔した頭部伸展ボードに位置することを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
頭部伸展ボードは、繊維が非伝導性である繊維強化樹脂材から形成されることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
テーブルは、磁石、CTスキャンシステム、および、放射線治療システムとテーブルを位置合わせるように、テーブルを通る垂直軸の回りを回転することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
テーブルは軸の回りの回転によってのみ、それぞれの位置に移動可能であることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
磁石はテーブルと連携して移動するように長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
CTスキャンシステムはテーブルに対して移動可能であることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
放射線治療システムはテーブルに対して移動可能であることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
RFコイルは、患者の一部上を覆うための可撓性を有する前部コイルを含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
MR画像とCT画像、および、放射線治療の間の登録は、テーブル上の患者の一部の定位置によって提供されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
RFコイルは、様々な頚部サイズのすべてに一致するとともに下胴領域まで伸びる、可撓性または半可撓性を有する頚部部分を含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
固定ボードは、フォームとともに、放射線半透過性かつMR適合性のケブラーコンポジットから作られ、放射線治療の間に取り外し可能な頭部アレイコイルの下方頭部部分を組み入れる空洞部を有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−531222(P2012−531222A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516442(P2012−516442)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000892
【国際公開番号】WO2011/000077
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(510318860)イムリス インク. (7)
【Fターム(参考)】