説明

画像読み取りシステム、情報処理装置のプログラム、および画像読み取り装置

【課題】情報の漏洩を防止できる画像読み取りシステム等を提供すること。
【解決手段】画像読み取りシステム1は、画像を読み取り画像データを生成するMFP10と、画像データを受信してディスプレイ22に表示するPC20aとを備える。画像読み取り装置は、MFP10は、画像データをディスプレイ22で見ることが出来ない状態にロックする旨の表示ロック指示の入力を受け付ける。MFP10は、受付手段で表示ロック指示の入力を受け付けることに応じて表示ロック指示をPC20aに送信する。MFP10は、画像データをPC20aに送信する。PC20aは、MFP10から送信されてくる表示ロック指示を受信する。PC20aは、MFP10から送信されてくる画像データを受信する。PC20aは、表示ロック指示を受信することに応じて、受信した画像データのディスプレイ22への表示をロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙媒体等から画像を読み取り、読み取った画像に基づく画像データを生成すると共に、この画像データに基づく画像を表示する画像読み取りシステム、情報処理装置のプログラム、および画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)とスキャナとの間でスキャン画像データ等の授受を行う画像読み取りシステムが知られている。また、特許文献1には、上記システムにおいて、機密文書の情報漏洩を防止する技術例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−259138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読み取りシステムでは、スキャナ側からスキャン操作を行うプッシュスキャンが行われると、PCのモニタにスキャン画像が表示される設定がある。この設定では、ユーザがPCの近傍にいない場合には、第三者にモニタを覗き見られ、情報が漏洩してしまうおそれがあった。
【0005】
本願発明は上記課題を解決するためになされたものであり、プッシュスキャン機能により紙媒体等から読み取られたスキャン画像が第三者に盗み見され、情報が漏洩してしまうことを防ぐことができる画像読み取りシステム、情報処理装置のプログラム、および画像読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像読み取りシステムは、画像を読み取り画像データを生成する画像読み取り装置と、画像データを受信して表示手段に表示する情報処理装置と、表示ロックの要否を判定する表示ロック判定手段を備える。情報処理装置は、画像読み取り装置と通信可能に接続される。情報処理装置の一例としては、パーソナルコンピュータ(PC)が挙げられる。また、表示手段の一例としては、PCに備えられるディスプレイが挙げられる。表示ロック判定手段は画像読み取り装置或いはPCに備えられていてもよいし、他の装置であってもよい。画像読み取り装置には、ユーザの指示を受け付ける入力手段と、画像を読み取り画像データを生成する画像読み取り手段と、前記画像読み取り手段により読み取られた前記画像データを送信する送信手段とを備える。前記表示ロック判定手段は、前記画像読み取り装置の前記入力手段に所定の入力がされたか否か判断し、その結果により表示ロックの要否を判定する。情報処理装置は、前記画像読み取り装置の前記送信手段から送信された前記画像データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記画像データを表示する第1表示手段と、前記表示ロック判定手段が前記表示ロックを必要と判定した場合に前記画像データが前記第1表示手段に表示されないように制御する表示制御手段とを備える。
【0007】
本発明に係る画像読み取り装置は、入力手段と、送信手段と、を備える。入力手段は、画像データを表示手段で見ることが出来ない状態にロックする旨の表示ロック指示の入力を受け付ける。画像データを見ることが出来ない状態の一例としては、画像データ自体を表示しない状態や、表示手段の表示内容が情報処理装置の通常操作画面とは異なる画面(ログイン画面など)に切り替えられる状態が挙げられる。また、表示ロック指示の入力は、画像読み取り装置に備えられた入力キーの操作によって行われるとしてもよい。送信手段は、入力手段で表示ロック指示の入力を受け付けることに応じて表示ロック指示を情報表示装置に送信する。
第2送信手段は、画像データを情報処理装置に送信する。
【0008】
また、本発明に係る情報処理装置は、受信手段と、第1表示制御手段と、を備える。また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、受信手段と、第1表示制御手段として機能させる。受信手段は、画像読み取り装置から送信されてくる表示ロック指示を受信すし、画像読み取り装置から送信されてくる画像データを受信する。第1表示制御手段は、受信手段で表示ロック指示を受信することに応じて、受信手段で受信した画像データの表示手段への表示をロックする。
【0009】
これにより、ユーザが画像表示ロック指示を入力した場合には、画像データの表示手段への表示がロックされる。よって、表示ロックをするか否かをユーザが選択できるため、ユーザの使い勝手を損ねることが防止される。また、ユーザの利便性の向上と、機密情報の取り扱いの安全性向上とを両立することが可能となる。
【0010】
また、情報処理装置は、受信手段から受け取った画像データを表示手段に表示する表示実行手段をさらに備えるとしてもよい。また、第1表示制御手段は、受信手段で表示ロック指示を受信することに応じて、受信手段から表示実行手段への画像データの受け渡しを中断させる、としてもよい。これにより、画像データが表示手段に表示されることを防止することで、表示のロックを行うことが可能となる。
【0011】
また、第1表示制御手段は、受信手段で表示ロック指示を受信することに応じて、情報処理装置をログオフ状態にする、としてもよい。ログオフ状態とは、ログオン状態(ユーザ認証などを経て情報処理装置にアクセス可能とされた状態)が解消された状態である。これにより、情報処理装置をログオフ状態とすることで、第三者が情報処理装置を操作して画像データを盗み見ることを防止できるため、確実に機密保持を行うことが可能となる。
【0012】
また、画像読み取り装置は、第1検出手段と、第2表示制御手段とをさらに備えるとしても良い。第1検出手段は、予め定められた所定情報が画像データに含まれているか否かを検出する。所定情報の一例としては、「社外秘」などの文字が挙げられる。所定情報は、ユーザ等によって予め定められるとしても良い。また、所定情報の検出は、例えば、OCR(光学式文字読み取り)技術によって所定の文字列の有無を検出することで行われるとしてもよい。また、第2表示制御手段は、第1検出手段で所定情報が画像データに含まれていることが検出されることに応じて、表示ロック指示を情報表示装置に送信した旨の情報を、画像読み取り装置が備える第2表示手段に表示する、としてもよい。また、送信手段は、第1検出手段で所定情報が画像データに含まれていることが検出されることに応じて表示ロック指示を情報表示装置に送信する、としてもよい。
【0013】
これにより、ユーザが表示ロック指示を入力していない場合においても、第1検出手段によって所定情報が画像データに含まれていることが検出されると、表示ロック指示が自動的に発信される。よって、第1検出手段により自動で表示ロックを行うことができるため、ユーザの不注意による情報漏洩を防止できる。またこれにより、画像データの表示手段への表示がロックされた旨をユーザに報知することができるため、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、受信した画像データに所定情報が含まれているか否かを検出する第2検出手段としてコンピュータを機能させるとしてもよい。また、第1表示制御手段は、第2検出手段で所定情報が画像データに含まれていることが検出されることに応じて、画像データの表示手段への表示をロックする、としてもよい。これにより、コンピュータ側において、画像データに所定情報が含まれているか否かを検出することができる。そして、コンピュータの方が画像読み取り装置よりも情報処理能力が高い場合においては、より迅速かつ正確な検出処理を行うことが可能となる。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、画像読み取り装置を制御するためのデバイスドライバである、としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像読取システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態のMFPの動作フロー図である。
【図3】本発明の第1実施形態のPCの動作フロー図である。
【図4】本発明の第2実施形態のMFPの動作フロー図である。
【図5】本発明の第2実施形態のPCの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の画像読み取りシステム1の構成を示すブロック図である。画像読み取りシステム1は、プリンタ、スキャナ、コピー機、FAX等の機能を有するMFP(多機能周辺装置)10と、パーソナルコンピュータであるPC20a、PC20b、PC20cとを有している。MFP10と、PC20a及びPC20bとは、LAN30により接続されている。また、MFP10とPC20cとは、USB40により接続されている。
【0018】
MFP10の詳細な構成について説明する。MFP10は、CPU11、液晶表示パネル12、入力部13、スキャンエンジン14、USB_I/F15、記憶部16、ネットワークI/F17、印刷エンジン18、RAM19を備える。これらの構成要素は、バスを介して接続されている。記憶部16は、ROM、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体から構成され、MFP10が各種機能を実現する際に利用するデータの記憶領域として用いられる。CPU11は、記憶部16等に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。RAM19は、CPU11がデータの書き込みや読み出しをすることができるメモリ空間を備える。
【0019】
液晶表示パネル12は、各種の情報を表示する。入力部13は、メカニカルスイッチやタッチパネル等を備え、ユーザからの操作入力を受け付ける。スキャンエンジン14は、CPU11からの指令に基づき、所定の原稿読み取り位置にセットされた原稿の画像を読み取り、画像データを生成する。1つの画像データは、複数の画像データブロックによって構成される。そして、画像データの生成、送信、受信は、画像データブロックごとに分割して行われる。USB_I/F15は、USB対応機器(本実施形態ではPC20c)とUSB規格に基づいた通信を実現するための通信処理を行う。ネットワークI/F17は、LAN30上の機器(本実施形態ではPC20aとPC20b)と通信を行う。印刷エンジン18は、CPU11からの指令に基づき、印刷媒体に画像を印刷する。
【0020】
次に、PC20aの詳細な構成について説明する。PC20は、CPU21、ディスプレイ22、キーボード23、マウス24、ネットワークI/F25、記憶部26、USB_I/F27、RAM29を備える。これらの構成要素は、バスを介して接続されている。記憶部26には、OS(Operating System)や、各種アプリケーションプログラムや、MFP10を制御するためのデバイスドライバなどの、各種のソフトウェアが保持される。アプリケーションプログラムの一例としては、画像表示アプリケーション、ワープロアプリケーション、表計算アプリケーションなどが挙げられる。また、デバイスドライバの一例としては、スキャンエンジン14を制御するためのスキャナドライバや、印刷エンジン18を制御するためのプリンタドライバなどが挙げられる。CPU21は、記憶部26に記憶された各種のソフトウェアに基づいて処理を実行する。
【0021】
RAM19は、CPU21がデータの書き込みや読み出しをすることができるメモリ空間を備える。メモリ空間は、各種のソフトウェアごとに対応して確保される。例えば、スキャナドライバと画像表示アプリケーションとが実行されている場合には、スキャナドライバに割り当てられるメモリ空間と、画像表示アプリケーションに割り当てられるメモリ空間とが確保される。
【0022】
ディスプレイ22は、各種の情報を表示する。キーボード23は、周知のキーボードであり、ユーザからの操作入力を受け付ける。マウス24は、周知のマウスであり、ユーザからの操作入力を受け付ける。ネットワークI/F25は、他のLAN30上の機器(本実施形態ではMFP10)と通信を行う。USB I/F27は、USB対応機器(本実施形態ではMFP10)とUSB規格に基づいた通信を実現するための通信処理を行う。なお、PC20bおよびPC20cの構成は、PC20aの構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0023】
画像読み取りシステム1で行われるプッシュスキャンについて、図2および図3のフローチャートを用いて説明する。本実施形態の説明例では、MFP10にて生成された画像データを、LAN30を介してPC20aに送信する場合を説明する。
【0024】
図2のフローを用いて、本発明の第1実施形態のMFP10の動作を説明する。ユーザがMFP10に原稿をセットし、画像データの送信先としてPC20aを選択してプッシュスキャンの開始を指示すると、MFP10においてプッシュスキャンが開始される。開始指示の入力操作や、送信先の選択操作は、入力部13を用いて行われる。開始指示の入力操作の一例としては、「通常スキャン開始」(表示ロック指示を伴わないスキャン)のボタンと、「セキュアスキャン開始」(表示ロック指示を伴うスキャン)のボタンとがタッチパネルに表示される形態が挙げられる。ユーザは、機密を守りたい原稿をスキャンする場合には「セキュアスキャン開始」のボタンをタッチし、機密を守る必要がないときは「通常スキャン開始」をタッチすることで、表示ロックの有無を選択することができる。また、送信先の選択操作の一例としては、PC20aないしPC20cを選択するボタンがタッチパネルに表示される形態が挙げられる。
【0025】
またMFP10は、プッシュスキャンの指示が入力されることに応じて、選択されたPC20aに対し、プッシュスキャンのための準備を指令するプッシュスキャン準備指令を送信する。そしてS11へ進む。
【0026】
S11において、CPU11は、表示ロック指示が入力部13から入力されたか否かを判断する。表示ロック指示は、画像データをPCのディスプレイ22で見ることが出来ない状態にロックする旨の指示である。本実施形態の説明例では、「セキュアスキャン開始」のボタンがタッチされた場合に、表示ロック指示が入力されたと判断される。表示ロック指示が入力されていないと判断される場合(S11:NO)には、S15へ進む。一方、表示ロック指示が入力されていると判断される場合(S11:YES)にはS13へ進む。S13において、CPU11は、LAN30を介してPC20aに表示ロック指示を送信する処理を行う。そしてS15へ進む。
【0027】
S15において、CPU11は、画像データブロック読み取り処理を行う。画像データブロック読み取り処理では、原稿読み取り位置にセットされた原稿がブロック単位で読み取られ、画像データブロックが生成される。
【0028】
S17に進むと、CPU11は、画像データブロック解析処理を行う。画像データブロック解析処理では、OCR(光学式文字読み取り)技術によって、画像データブロックの文字認識が行われる。なお、OCR技術は、一般の技術を用いればよいため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0029】
S19において、CPU11は、キーワード検索処理を行う。キーワード検索処理は、OCRによって認識された文字データ中に、規定のキーワードが含まれているか否かを検索する処理である。規定のキーワードの一例としては、「社外秘」「Confidential」「Agreement」などの文字が挙げられる。規定のキーワードは、ユーザ等によって予め定めら
れるとしても良い。これにより、機密書類に含まれる文字を規定のキーワードとして設定することで、スキャンしている原稿が機密書類であるか否かを自動的に検出することが可能となる。そして、規定のキーワードが含まれていないと判断される場合(S19:NO)にはS25へ進み、規定のキーワードが含まれていると判断される場合(S19:YES)にはS21へ進む。
【0030】
S21において、CPU11は、LAN30を介してPC20aに表示ロック指示を送信する処理を行う。S23に進むと、CPU11は、MFP10の液晶表示パネル12に、表示ロック指示をPC20aへ送信した旨の情報を表示する。そしてS25へ進む。
【0031】
S25において、CPU11は、画像データブロック送信処理を行う。画像データブロック送信処理では、画像データブロックを、MFP10からPC20aに対してブロックごとに送信する。
【0032】
S27に進むと、CPU11は、原稿の読み取りが完了したか否かを判断する。読み取りが完了していないと判断される場合(S27:NO)には、S15へ戻り、次の画像データブロックについての処理を行う。一方、読み取りが完了したと判断される場合(S27:YES)には、フローが終了される。
【0033】
図3のフローを用いて、本発明の第1実施形態のPC側の動作を説明する。例として、画像表示アプリケーションによって画像データが表示される場合を説明する。MFP10からプッシュスキャン準備指令を受け付けたPC20aは、スキャナドライバおよび画像表示アプリケーションを起動する。そしてS41へ進む。
【0034】
S41において、スキャナドライバは、画像データブロックを、ブロック単位で受信する。そして、スキャナドライバに割り当てられたメモリ空間に、受信した画像データブロックを記憶する。
【0035】
S43において、スキャナドライバは、MFP10から表示ロック指示を受信したか否かを判断する。受信していると判断される場合(S43:YES)には、S45へ進む。S45において、スキャナドライバは、OSに対して表示ロックコマンドを送信する。OSは、表示ロックコマンドを受信することに応じて、画像データのディスプレイ22への表示をロックする。表示をロックする方法の一例としては、PC20aを外部から操作および参照できない状態にすることが挙げられる。例えば、スキャナドライバを起動させたままの状態で、起動中のOSをログオフとすることで、画像データが表示されない状態としても良い。再度ログインするには、ユーザ認証を行うためにユーザ名やパスワードなどの情報を入力する必要があるため、第三者がPC20aを操作して画像データを盗み見ることを防止できる。
【0036】
また、S45において、OSは、表示ロックコマンドを受信することに応じて、スキャナドライバから画像表示アプリケーションへの画像データの受け渡しを中断させる。そしてS53へ進む。
【0037】
画像表示アプリケーションは、画像データを受け取ることによって、始めて画像データをディスプレイ22に表示することが可能となる。よって、画像表示アプリケーションへ画像データが受け渡されるか否かにより、ディスプレイ22に画像データを表示するか否かを制御することができる。これにより、画像表示アプリケーションが表示ロックのための特別な制御手段を有するか否かに関わらず、確実に画像データの画像表示アプリケーションでの表示実行の有無を制御することが可能となる。
【0038】
一方、S43において、表示ロック指示を受信していないとスキャナドライバが判断する場合(S43:NO)には、S47へ進む。S47において、画像データブロック解析処理が行われる。なお、画像データブロック解析処理は、S17で説明した処理と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0039】
S49に進むと、キーワード検索処理が行われる。なお、画像データブロック解析処理は、S17で説明した処理と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。S49において、規定のキーワードが含まれていないと判断される場合(S49:NO)にはS53へ進み、規定のキーワードが含まれていると判断される場合(S49:YES)にはS51へ進む。
【0040】
S51において、スキャナドライバは、OSに対して表示ロックコマンドを送信する。OSは、表示ロックコマンドを受信することに応じて、画像データのディスプレイ22への表示をロックする。なお、表示をロックする方法の詳細内容については、S45で説明した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。そしてS53へ進む。
【0041】
これにより、受信した画像データに所定のキーワードが含まれているかを検出する画像データブロック解析処理を、PC20aにおいても実行することができる。そして、所定のキーワードが画像データに含まれていることが検出されることに応じて、表示ロック指示を自動的に発信することができる。よって、PC20aの方がMFP10よりも情報処理能力が高い場合においては、より迅速かつ正確な画像データブロック解析処理を行うことが可能となる。
【0042】
S53において、スキャナドライバは、複数に分割されて送信されてきた画像データブロックのうちの、最後の画像データブロックを受信したか否かを判断する。最後の画像データブロックではないと判断される場合(S53:NO)には、S41へ戻り、次の画像データブロックを受信する。一方、最後の画像データブロックであると判断される場合(S53:YES)には、S55へ進む。
【0043】
S55において、スキャナドライバは、OSへ表示ロックコマンドが送信されたか否かを判断する。表示ロックコマンドが送信されていないと判断される場合(S55:NO)にはS61へ進み、表示ロックコマンドが送信されたと判断される場合(S55:YES)にはS57へ進む。S57において、スキャナドライバは、PC20aのディスプレイ22に、表示ロックが行われている旨の情報を表示する。これにより、画像データのディスプレイ22への表示がロックされた旨を、ユーザに報知することができる。そしてS59へ進む。
【0044】
S59において、スキャナドライバは、表示ロック指示の解除条件が成立したか否かを監視する。解除条件が成立する例としては、ディスプレイ22に表示される「OK」ボタンがマウス24などの操作により選択されることで成立する場合が挙げられる。また、画像データの表示ロック後に、所定の時間が経過することで成立する場合が挙げられる。また、ユーザからキーボード23を介して入力される所定のパスワードを受け付けることで、成立する場合が挙げられる。解除条件が成立していないと判断される場合(S59:NO)には、S59へ戻り、条件成立まで待機する。一方、解除条件が成立する判断される場合(S59:YES)には、S61へ進む。
【0045】
S61において、スキャナドライバから画像表示アプリケーションへの画像データの受け渡しが実行される。具体的には、スキャナドライバに割り当てられるメモリ空間から、画像表示アプリケーションに割り当てられるメモリ空間へ、画像データをコピーすることによって、受け渡し動作が行われる。
【0046】
S63において、画像表示アプリケーションは、受け渡された画像データをディスプレイ22に表示する。
【0047】
図4および図5のフローチャートを用いて、本発明の第2実施形態について説明する。図4は本発明の第2実施形態のMFP10の動作のフロー図であり、図5は本発明の第2実施形態のPC側の動作のフロー図である。
図4に示すように、MPF10の動作は第1実施形態のS11とS13の処理に代えてS101及びS102の処理を行う。S101にてPCから読み取り指示がある場合(S101:YES)または入力部13から読み取り指示がある場合(S102:YES)に、S15以降の画像読み取り処理を行い、画像データブロックがPCに送信される。S101にてPCから読み取り指示がなく(S101:NO)、入力部13からも読み取り指示がない場合(S102:NO)には、S101に戻りいずれかの読み取り指示がるまでS101とS102の判断処理を繰り返す。S15以降の処理は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
一方、図5に示すように、PC20aの動作は第1実施形態にS201の処理が追加されたものである。S41及びS43以降の処理は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。S201にてPCからの読み取り指示がされていない場合(S201:NO)、すなわち、MFP10が画像読み取りを行ったのが入力部13からの読み取り指示がされたことに起因する場合(図4のS102:NO)であるとき、S45以降の処理により表示ロックが行われる。S201にてPC20aからの読み取り指示がされていた場合(S201:YES)、すなわち、MFP10が画像読み取りを行ったのがPC20aからの読み取り指示に起因するもので入力部13からの読み取り指示がされたことに起因しない場合(図4のS101:YES)であるとき、そのことを理由としてはS45には処理は進まず表示ロックが行われない。S201の判断の具体例としては、次のようにすればよい。PC20aは、先ず読み取り指示をMFP10に送信する際に、自己から発した読み取り指示をRAM29に記憶する。そして、画像データブロックを受信した際に自己から発した読み取り指示をRAM29から読み出すことでS201の判断をおこなう。
上述の第1実施形態では表示ロックするか否かをMFP10で判定(S11)するのに対し、上述の第2実施形態では表示ロックするか否かはPC20aにて判定(S201)するものである。いずれの実施形態であってもMFP10の入力部13への入力がユーザによりなされた判断することで表示ロックの要否を判定するものであり、表示ロック要否判定手段として機能する。この判定はMFP10とPC20aのいずれで実行してもよいし、他の装置で実行してもよい。
【0048】
本実施形態に係る発明の効果を以下に説明する。本実施形態に係る画像読み取りシステム1では、ユーザがMFP10の入力部13に所定の入力した場合には、画像データのディスプレイ22への表示がロックされる。よって、表示ロックをするか否かユーザが容易に指示できるため、ユーザの利便性の向上と、機密情報の取り扱いの安全性向上とを両立することが可能となる。
また、本実施形態に係る画像読み取りシステム1では、ユーザが表示ロック指示を入力していない場合においても、画像データブロック解析処理によって所定のキーワードが画像データに含まれていることが検出されると、表示ロック指示が自動的に発信される。よって、画像データブロック解析処理により自動で表示ロックを行うことができるため、ユーザの不注意による情報漏洩を防止できる。また、画像データのディスプレイ22への表示がロックされた旨を、液晶表示パネル12やディスプレイ22を用いてユーザに報知することができるため、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0049】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0050】
本実施形態では、表示をロックする方法の一例として、OSをログオフする方法を説明したが、この形態に限られない。例えば、スキャナドライバや画像表示アプリケーションに対し、画像データの表示を禁止させても良い。また、画像データの全体像を把握することが困難となる程度に、画像データの巣少なくとも一部の表示を禁止するとしてもよい。
【0051】
また、解除条件の成立は、本実施形態の説明例に限られない。例えば、OSをログオフ状態とすることにより画像データの表示をロックした場合には、プッシュスキャン開始時にログオンしていたユーザが再度ログオンした場合に、ロック解除条件が成立したとみなしても良い。
【0052】
また、本実施形態では、文字データ中に規定のキーワードが含まれている場合に、表示ロック指示をPC20aへ送信した旨の情報を液晶表示パネル12に表示する(S23)としたが、この形態に限られない。文字データ中に規定のキーワードが含まれているか否かに関わらず、PC20aに表示ロック指示が送信されること(S13)に応じて、表示ロック指示をPC20aへ送信した旨の情報を液晶表示パネル12に表示する、としてもよい。
【0053】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0054】
なお、MFP10は画像読み取り装置の一例、ディスプレイ22は第1表示部の一例、PC20aないしPC20cは情報処理装置の一例、所定のキーワードは所定情報の一例、液晶表示パネル12は第2表示部の一例、である。
【0055】
また、S11を実行する制御部は受付手段の一例である。S13、S21を実行する制御部は第1送信手段の一例である。S25を実行する制御部は第2送信手段の一例である。S43を実行する制御部は第1受信手段の一例である。S41を実行する制御部は第2受信手段の一例である。S59を実行する制御部は第1表示制御手段の一例である。S63を実行する制御部は表示実行手段の一例である。S19を実行する制御部は第1検出手段の一例である。S23を実行する制御部は第2表示制御手段の一例である。
【符号の説明】
【0056】
1 画像読み取りシステム
10 MFP
12 液晶表示パネル
11、21 CPU
16、26 記憶部
19、29 RAM
20aないし20c PC
22 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指示を受け付ける入力手段と、画像を読み取り画像データを生成する画像読み取り手段と、前記画像読み取り手段により読み取られた前記画像データを送信する送信手段とを備えた画像読み取り装置と、
前記画像読み取り装置の前記入力手段に所定の入力がされたか否か判断し、その結果により表示ロックの要否を判定する表示ロック判定手段と、
前記画像読み取り装置の前記送信手段から送信された前記画像データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記画像データを表示する第1表示手段と、前記表示ロック判定手段が前記表示ロックを必要と判定した場合に前記画像データが前記第1表示手段に表示されないように制御する表示制御手段とを備えた情報処理装置と、
を備えることを特徴とする画像読み取りシステム。
【請求項2】
前記画像読み取り装置の前記入力手段は表示ロック指示の入力を受け付けるように構成され
前記表示ロック判定手段は前記画像読み取り装置に備えられ、前記入力手段が前記表示ロック指示の入力を受け付けたか否か判断することにより前記表示ロックの要否を判定するよう構成され、
前記画像読み取り装置の前記送信手段は、表示ロック判定手段が前記表示ロックを必要と判断した場合に表示ロック指示を前記情報表示装置に送信
前記情報処理装置の前記受信手段は、前記画像読み取り装置から送信されてくる前記表示ロック指示を受信
前記情報処理装置の前記表示制御手段は、前記受信手段前記表示ロック指示を受信することに応じて前記画像データの前記表示手段への表示をロックする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取りシステム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記受信手段から受け取った前記画像データを前記第1表示手段に表示する表示実行手段を備え、
前記第1表示制御手段は、前記受信手段で前記表示ロック指示を受信することに応じて、前記受信手段から前記表示実行手段への前記画像データの受け渡しを中断させる
ことを特徴とする請求項に記載の画像読み取りシステム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記受信手段で前記表示ロック指示を受信することに応じて、前記情報処理装置をログオフ状態にする
ことを特徴とする請求項または請求項の何れかに記載の画像読み取りシステム。
【請求項5】
前記画像読み取り装置は、
予め定められた所定情報が前記画像データに含まれているか否かを検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段で前記所定情報が前記画像データに含まれていることが検出されることに応じて、前記表示ロック指示を前記情報処理装置に送信した旨の情報を、前記画像読み取り装置が備える第2表示手段に表示する第2表示制御手段と
を備え、
前記第1送信手段は、前記第1検出手段で前記所定情報が前記画像データに含まれていることが検出されることに応じて前記表示ロック指示を前記情報処理装置に送信する
ことを特徴とする請求項ないし請求項の何れかに記載の画像読み取りシステム。
【請求項6】
前記画像読み取り装置の前記入力手段によりユーザの画像読み取り指示を受け付け、
前記画像読み取り装置の前記画像読み取り手段は、前記情報処理装置からの画像読み取り指示があると、又は前記入力手段がユーザの画像読み取り指示を受け付けると、前記画像を読み取り前記画像データを生成し、前記送信手段は前記画像読み取り手段により読み取られた前記画像データを前記情報処理装置に送信し、
前記表示ロック判定手段は前記情報処理装置に備えられ、前記情報処理装置の前記受信手段が前記画像データを受信すると、前記表示ロック判定手段は、前記画像読取装置の前記入力手段により画像読み取り指示入力を受け付けたか否か判断することにより前記表示ロックの要否を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取りシステム。
【請求項7】
画像を読み取り画像データを生成する画像読み取り装置と通信可能に接続され、前記画像データを受信して第1表示手段に表示するコンピュータを、
前記画像読み取り装置から送信されてくる前記表示ロック指示を受信する第1受信手段と、
前記画像読み取り装置から送信されてくる前記画像データを受信する第2受信手段と、 前記第1受信手段で前記表示ロック指示を受信することに応じて、前記第2受信手段で受信した前記画像データの前記第1表示手段への表示をロックする第1表示制御手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項8】
受信した前記画像データに前記所定情報が含まれているか否かを検出する第2検出手段として前記コンピュータを機能させ、
前記第1表示制御手段は、前記第2検出手段で前記所定情報が前記画像データに含まれていることが検出されることに応じて、前記画像データの前記第1表示手段への表示をロックする
ことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記プログラムは、前記画像読み取り装置を制御するためのデバイスドライバである
ことを特徴とする請求項または請求項に記載のプログラム。
【請求項10】
画像データを受信して第1表示手段に表示する情報処理装置と通信可能に接続される画像読み取り装置であって、
前記画像データを前記第1表示手段で見ることが出来ない状態にロックする旨の表示ロック指示の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段で前記表示ロック指示の入力を受け付けることに応じて前記表示ロック指示を前記情報表示装置に送信する第1送信手段と、
前記画像データを前記情報処理装置に送信する第2送信手段と、
を備えることを特徴とする画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−252319(P2010−252319A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69361(P2010−69361)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】