説明

画像読み取り手段を備える画像形成関連装置及び画像形成関連装置における電力制御方法並びに電力制御プログラム

【課題】消費電力の低減を図りつつユーザの使い勝手を確保可能な高い融通性を有する省電力制御を実現する。
【解決手段】画像形成関連装置20を、ネットワークを介して接続された複数の端末において予め設定された特定の端末又は予め設定された所定数以上の端末が起動中であるという端末起動条件が充足されているかどうかを監視し(ステップS100)、上記端末起動条件が充足されないとき、段階的省電力モード(ステップS130)を実行し、充足されるとき、反復的省電力モード(ステップS190)を実施する。さらに、反復的省電力モードの実行中において、前記端末起動条件が充足されているかどうかを検出し、前記端末起動条件が充足されているときには、反復的省電力モード(ステップS190)を継続し、充足されていないときには、段階的省電力モード(ステップS130)に移行するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置を備える画像形成関連装置及び画像形成関連装置における電力制御方法並びに電力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、FAX、プリンタ、スキャナなどの画像形成関連装置における消費電力の低減のため各種の省電力モードが設定されている。典型的には、ユーザの使用頻度等を予測して、ユーザの使用可能性が低いほど深い又は消費電力の少ない省電力モードに移行するように構成されている(特許文献1)。しかしながらこうした深い節電モードはときとしてユーザにストレスを与えることがあった。例えば、FAXやスキャナなどの画像読み取り手段を備えた複合機においては、省電力モードから復帰させてFAX等が使用可能になるまでは時間を要することがあり、利用者のストレスとなっていた。これは、画像読み取りのための光源であるランプの消費電力が比較的大きく、複合機が節電モードで待機されている場合にはランプは消灯状態となっていることが多く、しかも省電力モードから復帰させるとき、しばらくの間消灯されていた状態からランプを所要の光強度に到達させるには時間を要することがあるからであった。
【特許文献1】特開2004−259223
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年の省エネルギーの要請を考慮すれば、できるだけ消費電力の低い状態で待機させることが好ましい。そこで、本発明の画像読み取り手段を備える画像形成関連装置及び画像形成関連装置における電力制御方法並びに節電プログラムは、消費電力の低減を図りつつユーザの使い勝手を確保可能な高い融通性を有する省電力制御を実現することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記した課題の少なくとも一つを解決するものとして、以下の手段を採った。
【0005】
本発明の画像読み取り手段を備える画像形成関連装置は、ネットワークを介して接続された複数の端末において予め設定された特定の端末又は予め設定された所定数の端末が起動中であるという端末起動条件が充足されているかどうかを監視する手段を有し、上記端末起動条件が充足されないとき、所定の条件下に段階的に消費電力を低下させる第1の省電力モードを実行し、上記端末起動条件が充足されるとき、第1の期間のスタンバイステップと、第2の期間の消費電力一定の省電力ステップと、を繰り返し実行する第2の省電力モードを実行し、前記第2の省電力モードの実行中、前記監視手段により前記第2の期間経過後に前記端末起動条件が充足されているかどうかを検出し、前記端末起動条件が充足されているときには、前記第1の期間のスタンバイステップを実行し、前記端末起動条件が充足されていないときには、前記第1の省電力モードに移行する、省電力モード制御手段を備えることを要旨とする。
【0006】
この画像形成関連装置によれば、上記の端末起動条件が充足されないときには、所定条件下に段階的に消費電力を低下させる第1の省電力モードが実行され、上記の端末起動条件が充足されるときには、第1の期間のスタンバイステップと第2の期間の省電力ステップとを繰り返し実行する第2の省電力モードが実行され、上記第2の期間の経過後に上記端末起動条件が充足される間は、第2の省電力モードが継続的に実行され、そうでないときには、第1の省電力モードが実行されることになる。この第2の省電力モードは、端末起動条件が満たされている間は、予め設定された時間でスタンバイステップと省電力ステップを一定期間毎に繰り返す省電力モードであるため、ユーザによる画像形成関連装置の使用操作がなされたとき、スタンバイステップにあってはすぐに処理の実行が可能である一方、省電力ステップにあっては省電レベル及び/又は第2の期間を適切に設定することで、ユーザの使用性を優先することもできるし省電力を優先することもできる。例えば、省電レベルを比較的浅めに設定するか又は第2の期間を第1の期間に対して長く設定することで、省電力ステップであっても比較的早期に処理の実行が可能となる。さらに、上記の端末起動条件が充足されないときに実行する第1の省電力モードを、第2の省電力モードとの関係で種々の設定とすることで効果的な省電力が可能となっている。したがって、本発明の画像形成関連装置によれば、融通性の高い省電力制御を実現することができる。
【0007】
前記第2の省電力モードにおける前記第1の期間は、前記第2の期間よりも長く設定されることができる。こうすることで、ユーザの使用性を向上させた省電力制御が可能となる。
【0008】
前記第2の省電力モードにおける前記スタンバイステップは、前記画像読み取り手段の画像読み取り用光源の電源をオンとするモードであり、前記省電力ステップは、前記画像読み取り手段の画像読み取り用光源の電源をオフとするモードとすることができる。こうすることで、画像読み取り用光源のウォームアップ時間の抑制と画像読み取り用光源の消費電力を低減とについての融通性のある省電力制御が可能となる。
【0009】
前記第1の省電力モードを、所定の条件下に段階的に消費電力を低下させる省電力モードとすることができる。こうすることで、前記端末起動条件が充足されない場合においては深い省電力モードでの省電力制御が可能となる。また、第2の省電力モードとの組み合わせで全体として消費電力を低減させるような省電力制御が可能となる。
【0010】
上記いずれかに記載の画像形成関連装置は、前記画像読み取り手段としてファクシミリ手段を備えることができる。また、上記いずれかに記載の画像形成関連装置は、前記画像読み取り手段として複写手段を備えることができる。
【0011】
本発明の画像読み取り手段を備える画像形成関連装置のための電力制御方法は、
(a)ネットワークを介して接続された複数の端末において予め設定された特定の端末又は予め設定された所定数の端末が起動中であるという端末起動条件が充足されるかどうかを検出し、
(b)上記端末起動条件が充足されないとき、第1の省電力モードを実行し、
(c)上記端末起動条件が充足されるとき、第1の期間のスタンバイステップと、第2の期間の消費電力一定の省電力ステップと、を繰り返し実行する第2の省電力モードを実行し、
(d)前記第2の省電力モードの実行中、前記第2の期間経過後に前記端末起動条件が充足されているかどうかを検出し、前記端末起動条件が充足されているときには、前記第1の期間のスタンバイステップを実行し、前記端末起動条件が充足されていないときには、前記第1の省電力モードに移行する、ことを要旨としている。
【0012】
この電力制御方法によれば、本発明の画像形成関連装置によれば、融通性の高い省電力制御を実現することができる。
【0013】
本発明の電力制御プログラムは、
画像読み取り手段を備える画像形成関連装置のための電力制御プログラムであって、
上記電力制御方法に記載の前記(a)〜(d)の各ステップを実行させることを要旨とする。この電力制御プログラムによれば、融通性の高い省電力制御を実現できる。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(例えば、ハードディスク、ROM、FD、CD、DVD、チップ)などに記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから他のコンピュータに配信されたものであってもよいし、その他どのような形態で授受されたものであってもよい。また、このプログラムは、プリンタドライバプログラムとすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明について実施形態を挙げて説明する。図1は、本発明の画像読み取り手段を備える画像形成関連装置としてのスキャナ装置を備えるカラーレーザプリンタ複合機20(以下、単に複合機20というものとする。)を含むネットワーク構成及び複合機20の電源供給構成の概略を示す図であり、図2は、複合機20の構成の概略を示す図であり、図3は複合機20のコントローラ60における制御信号の入出力を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、複合機20は、LAN(Local Area Network)12に接続され、複合機20に印刷ジョブなどの実行指令を出力する印刷ジョブ送信装置としての、複数台のクライアントコンピュータ(以下、単にクライアントという)100a〜100hとを備えている。
【0016】
図2に示すように、複合機20は、単一感光体方式と中間転写方式とを採用したフルカラーの電子写真方式の画像形成装置として構成されており、図2に例示するように、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に色分解された各色の画像を帯電された感光体21上にレーザを照射して静電潜像として形成する露光器22と、装着された各色のトナーカートリッジ32C、32M、32Y、32Kから供給される各色のトナーを用いて感光体21上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器23と、感光体21上に現像された各色のトナー像を転写ベルト24に重ねて転写してカラートナー像を形成する一次転写ユニット25と、用紙カセット26から用紙を搬送する搬送ユニット27と、搬送された用紙に転写ベルト24に形成されたカラートナー像を転写する二次転写ユニット28と、転写されたカラートナー像を用紙に融着定着させて排紙する定着ユニット29と、複合機20全体の動作を制御するコントローラ60とを備えている。
【0017】
また、複合機20は、スキャナユニット40を備えており、コントローラ60によりその動作が制御されている。図2に示すように、スキャナユニット40は、原稿台41、光学系42、CCDラインセンサ47および信号処理部48を備えている。光学系42は、露光ランプ43と露光ランプ43が原稿に照射された反射光を反射するミラー44a〜44cを備えるキャリッジ45と、集光レンズ46とを備えている。キャリッジ45は副走査方向に移動可能に形成され、原稿台41上に配置された原稿上の画像からの反射光を集光して画像をCCDラインセンサ47上に結像させるようになっている。CCDラインセンサ47は、読み取り幅(主走査)方向に配列されて、原稿からの反射光を赤(R)、緑(G)、青(B)の電気信号(アナログ信号)に変換して信号処理部48に入力するようになっている。また、信号処理部48では、入力された赤、緑、青のアナログ信号を、A/Dコンバータおよびエンコータによって各カラーチャンネルでデジタルデータ化し、このデジタル化された画像データをCPU61に出力するようになっている。
【0018】
コントローラ60は、図3に示すように、CPU61やRAM62,ROM63等を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、各種センサ(例えば、定着ユニット29の定着ローラー温度やその近傍の雰囲気温度を検出する各種温度センサや定着ユニット近傍の湿度を検出する湿度センサなど)による検出値やその他の入力信号(例えば、クライアントからの印刷ジョブ送信信号など)がインターフェース52を介して入力され、これらの入力信号に基づいて、露光器駆動制御部64や現像器駆動制御部65、一次転写ユニット駆動制御部66,二次転写ユニット駆動制御部67,定着ユニット駆動制御部68,搬送ユニット駆動制御部69などを備える出力エンジンコントローラ70を介して、露光器22や現像器23,一次転写ユニット25,二次転写ユニット28,定着ユニット29,搬送ユニット27などを備える出力エンジン部50を制御する。また、コントローラ60は、スキャナユニット駆動制御部80を介してスキャナユニット40を制御する。
【0019】
ROM63には、複合機20の各部を制御して印刷ジョブやスキャナ動作を実行するプログラムのほか、複合機20において、後述する省電力制御を実施するためのプログラムが格納されている。
【0020】
クライアント100は、図示しないコントローラを有しており、LAN12を介してプリンタ20に対して印刷ジョブを送信可能に接続されている。
【0021】
また、図1に示すように、複合機20は、電源部90として、商用電源電圧のコンセントに電源ケーブルを介して接続される電源コネクタ91と、電源スイッチ92とを備えている。電源部90は、コントローラ60と、出力エンジン部50と、これをコントロールする出力エンジンコントローラ70と、スキャナユニット40とに対してそれぞれ電源供給するようになっているとともに、これらへの電源供給をコントローラ60により制御されるようになっている。
【0022】
さらに、複合機20は、ネットワークプリンタとして機能するように図示しないLANボードを備えている。
【0023】
こうして構成される複合機20は、その電力消費量を抑制するために、必要に応じて消費電力量の異なる複数のモードを択一的に実行するようになっている。例えば、カラーレーザプリンタの省電力のための複数のモードとしては、定着ローラーを定着温度に維持して画像形成のために各ユニットを起動して画像を形成する印刷ジョブ実行モード、起動時や復帰時など急速に定着ローラーを加熱するとともに適宜プロセスコントロールを実行する起動モード、定着ローラーを使用時温度近傍に維持して印刷ジョブを待機する第1の待機モード、定着ローラー温度をさらに低下させコントローラ60を主体として通電する第2の他の待機モード、出力エンジン部50には電源を供給せず、最低限のコントローラ60の機能を実行可能に通電するさらに他の第3の待機モードなどが挙げられる。
【0024】
また、複合機20は、スキャナユニット40の電力消費量を抑制するための消費電力量の異なる複数の省電力モードを択一的に実行できるようになっている。こうした省電力モードとしては、所定条件下に段階的に消費電力量を低下させる省電力モードが挙げられる。例えば、スキャナユニット40においては、露光ランプ43が最も電力を消費するが、一定時間の間一定回数以下しかスキャナユニット40が使用されない場合には、露光ランプ43への電力供給を低下させ、さらに一定時間経過したときも所定回数以下しかスキャナユニット40が使用されない場合には、露光ランプ43は完全に消灯されるようになっている。
【0025】
なお、本明細書において、スタンバイモードとは、印刷やスキャナなどの動作を速やかに実行可能に準備された状態をいう。したがって、例えばウォームアップをすることなくあるいはほとんどすることなく各種動作を実行できる程度に準備された状態が含まれる。また、省電力モードとは、コントローラ60により電源部90からコントローラ60及び/又は出力エンジンコントローラ70に対する電源供給を制限するモードである。たとえば、最も電力消費量が大きい印刷ジョブ実行モード、スキャナ実行モードあるいは出力エンジン部50やスキャナユニット40の起動モードよりも電力供給が制限されているモードであれば、省電力モードであるといえる。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態の複合機20の動作、特に、複合機20の省電力制御について説明する。図4には、複合機20が起動された後、所定の起動操作がなされ一定時間経過後にCPU61によって実行される省電力制御のフローチャートの一例を示す。図5に示すように、CPU61は、例えば、クライアント100a〜100hのいずれかに電源が投入されて起動されたことを検出して複合機20を起動し、起動操作を実行しさらに所定時間が経過した後、省電力制御を始めるためにクライアント起動状態監視処理を開始する(ステップS100)。すなわち、CPU61は、LAN12に接続されたクライアント100a〜100hのうち、何台が起動されているか又はどのクライアント100a〜100hのうち、どのクライアントが起動しているかを監視する処理を開始する。
【0027】
こうしたクライアントの起動を監視する処理は、例えば、TCP/IPのような所定のプロトコルに基づいて実施することもできるし、クライアントが起動状態であることを示す通信ケーブル中のある特定の信号線のステート状態や変化、あるいはLAN12におけるクライアント100a〜100hから送信されるパケット信号などを監視することにより起動しているクライアント100a〜100hを検知することができる。一旦、このクライアント起動監視処理が開始されると、複合機20の電源オフあるいは深夜帯に設定される深い省電力状態にない以外は、所定間隔で継続して実施され、その都度クライアントの起動状態に関する情報をCPU61に返すようになっている。
【0028】
CPU61が、クライアント起動監視処理によりクライアント100a〜100hの起動状態を取得すると(ステップS110)、CPU61は、次いで、予め設定された特定のクライアントが起動しているかどうか、あるいは所定台数以上のクライアントが起動しているかどうかを判定する(ステップS120)。
【0029】
ここで、特定のクライアントとは、例えば、複合機20の利用頻度が高いクライアントが挙げられる。すなわち、印刷ジョブの送信数が多いクライアント、スキャナ利用の多いクライアント等が挙げられる。例えば、スキャナ利用時の使用性や省電力性を調整したい場合には、ここでいう特定のクライアントにこうしたクライアントを設定しておくことができる。また、カラーレーザプリンタ利用時の使用性や省電力性を調整したい場合には、印刷ジョブの多いクライアントやカラー印刷ジョブの多いクライアントを設定しておくことができる。さらに、これらの両方について使用性や省電力性を調整したい場合には、これらのいずれかのクライアントを特定のクライアントとして設定しておくことができる。一方、カラーレーザプリンタについてもスキャナについてもクライアント毎の使用性や省電力性の調整の要請がそれほど大きくない場合には、特定クライアントとしては、特に設定しておく必要はない。
【0030】
また、所定台数以上のクライアントとしては、クライアント100a〜100hによる複合機20の使用頻度から、適宜設定することができる。例えば、半数以上又は全数としてもよい。また、1台以上とすることもできる。
【0031】
上記ステップS120において、特定のクライアント又は所定台数以上のクライアントの起動が確認されなかったときには、図5に示すような所定条件下に段階的に消費電力が低下するような段階的省電力モードを開始する(ステップS130)。この段階的省電力モードでは、CPU61が処理信号や操作を検出したときには直ちにスタンバイモードに復帰するが、処理信号を設定した一定期間受け付けない場合には、より消費電力量の少ない深い省電力モードに移行する省電力モードとなっている。
【0032】
こうした省電力モードの処理を開始すると、CPU61がスキャナユニット駆動制御部80に対して露光ランプ43などの各部のスタンバイレベルを低下させるなどして、電力消費量を低下させる。そして、印刷ジョブやスキャナ操作(例えば蓋の開閉など)などの処理要求や操作の有無をチェックし(ステップS140)、ジョブ等が検出されたときには、この処理を終了して、そのジョブ等に対応した処理を実施する。
【0033】
ジョブ等が検出されなかったときには、ステップS110及びステップS120と同様に、クライアントの起動状態に関する情報を取得して特定の条件を充足するか否かを判定し(ステップS150、ステップS160)、取得したクライアント100a〜100hの起動状態が上記条件に合致してないときには、所定時間T1が到来したか否かを判定し(ステップS170)、所定時間T1が到来したら、次のさらに深い省電力ステップに移行する。(ステップS180)。なお、さらに消費電力量の少ない深い省電力ステップS180も、ステップS140〜ステップS170と同様に処理して、ジョブ等を検出するかあるいはクライアント100a〜100hが上記起動条件を満たさない限り、深い省電力ステップを継続する。
【0034】
一方、クライアント100a〜100hの起動状態が上記条件に合致しているときには、次に説明する反復的省電力モードに移行する(ステップS190)。
【0035】
上記ステップS120及びステップS160でクライアント100a〜100hの状態が上記起動条件を充足している場合には、反復的省電力モードを開始する(ステップS190)。反復的省電力モードは、図6に示すように、CPU61が処理信号や操作を検出したときには直ちにスタンバイモードに復帰するが、そうでない場合には、一定期間のスタンバイ状態と一定期間の省電力状態とを繰り返し行う省電力モードである。
【0036】
こうした省電力モードの処理は、CPU61は、期間Taの間スタンバイ状態を開始する(ステップS200)。この間、ジョブ等があるかどうかを検出し(ステップS210)、検出されたらこの処理を終了する一方、検出されないときには、期間Taの到来を判定する(ステップS220)。次いで期間Tbの間省電力状態を開始する(ステップS230)。この期間Tb中、ジョブ等があるかどうかを検出し(ステップS240)、検出されたらこの処理を終了する一方、検出されないときには、期間Tbの到来を判定する(ステップS250)。
【0037】
CPU61は、この後、再びステップS110、ステップS120に戻って、クライアント情報を取得し、特定のクライアントが起動しているかどうか又は所定台数以上のクライアントが起動しているかどうかを判定して、以下、同様の処理を繰り返す。
【0038】
ここで、スタンバイ状態を維持するステップS200〜ステップS220の期間Taと省電力状態を維持するステップS230〜ステップS250の期間Tbとを適宜調整することで、使用性と省電力性とを調整することができる。例えば、期間Taをより長く設定することで、使用性を考慮した省電力モードとすることができる。一方、期間Tbをより長くすることで、より省電力性を考慮した省電力モードとすることができる。また、期間Taと期間Tbとを同程度とすることもできる。さらに、省電力状態における省電力レベルを適宜調整することで、使用性や省電力性を調整することができる。例えば、ステップS200を露光ランプ43の電源をオンとするステップとし、ステップS230を露光ランプ43の電源をオフとするモードとするステップとすることができる。こうすることで、露光ランプ43のウォームアップ時間を抑制できるとともに、露光ランプ43の消費電力を低減とについての融通性のある省電力制御が可能となる。尚、ステップS230は、露光ランプ43の電源をオフにすることなく、消費電力を低減させるにとどめておいてもよい。
【0039】
以上説明した本実施形態の複合機20によれば、クライアント100a〜100hについての上記起動条件が充足されないときには、段階的省電力モード(ステップS130)が実行され、上記起動条件が充足されるときには、反復的省電力モード(ステップS190)が実行され、反復的省電力モードにおいて省電力状態(ステップS230)の期間Tbを経過した後、クライアント100a〜100hについて上記起動条件が依然として充足されている場合には、反復的省電力モード(ステップS190)に復帰し、そうでない場合には、段階的省電力モード(ステップS130)に移行する。この反復的省電力モードは、ユーザによる複合機20の使用操作がなされたときには、スタンバイステップにあってはすぐに処理の実行が可能である一方、省電力ステップにあっては、省電レベル及び/又は第2の期間を適切に設定することで、ユーザの使用性を優先することもできるし省電力を優先することもできるようになっている。さらに、上記の起動条件が充足されないときに実行する段階的省電力モードの内容を、反復的省電力モードの関係で種々の設定とすることで効果的な省電力が可能となっている。したがって、本実施形態の複合機20は、融通性の高い省電力制御を実現することができる。
【0040】
また、本実施形態の複合機20によれば、クライアント100a〜100hの起動状態が上記起動条件に合致しないときに実施する省電力モードを段階的省電力モードとすることで、上記起動条件が充足されないときには、従来通り深い省電力モードでの省電力制御が可能となる。このように段階的省電力モードと反復的省電力モードとを組み合わせることで全体として消費電力を低減させるような省電力制御が可能となる。
【0041】
以上説明した本実施形態においては、電力制御処理のステップS100を実施する複合機20のCPU61が本発明の端末起動条件が充足されているかどうかを監視する手段に相当し、電力制御処理のステップS110〜ステップS250等を実行する複合機20のCPU61が本発明の省電力モード制御手段に相当する。
【0042】
また、以上説明した本実施形態においては、画像読み取り手段を備える画像形成関連装置として、スキャナユニット40を備える複合機20を用いて説明したが、画像読み取り手段としてスキャナに限定するものではなくファクシミリ、複写装置など公知の他の画像読み取り手段又は他の機能と複合化したものであってもよい。また、画像形成関連装置としては、カラーレーザプリンタに限定するものではなく、インクジェットプリンタ、モノクロレーザカラーレーザプリンタであってもよく、さらに複写機、ファクシミリ装置、スキャナ装置など、単体機能の装置であってもよい。
【0043】
本発明の実施形態では、複合機20であることからカラーレーザプリンタ側の出力エンジン等の電力制御処理も合わせて行うものとしたが、露光ランプ43など画像読み取り手段側の電力制御処理のみを行うものとしてもよいし、CPU61に独立してカラーレーザプリンタ側とスキャナ側との電力制御処理を実行させてもよい。
【0044】
本発明の実施形態では、クライアント100a〜100hが上記起動条件を充足しない場合には、段階的省電力モードを実行するものとしたが、これに限定するものではなく、本実施形態の反復的省電力モード以外の他の省電力モードを実施するようにしてもよい。
【0045】
本発明の実施形態では、複合機20の起動については特に言及していないが、例えば、LAN12に接続されたいずれかのクライアント100a〜100hのいずれかのクライアントの起動により複合機20が起動されるように制御し、一定期間スタンバイモードを継続するようにしてもよい。
【0046】
さらに、本実施形態では、本発明を複合機20を画像読み取り手段を備える画像形成関連装置の一形態として説明したが、本発明は、画像読み取り手段を備える画像形成関連装置の電力制御方法及び画像形成関連装置の電力制御のためのプログラムの形態として実施することができる。
【0047】
以上、本発明の最良の実施の形態について画像形成システムの実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】複合機20の電源構成の概略を示す図。
【図2】複合機20の構成の概略を示す構成図。
【図3】コントローラ60における制御信号の入出力を示すブロック図。
【図4】複合機20の省電力制御処理の一例を示すフローチャート。
【図5】複合機20における段階的省電力モードのタイムチャート。
【図6】複合機20における反復的省電力モードのタイムチャート。
【符号の説明】
【0049】
12 LAN、20 複合機、21 感光体、22 露光器、23 現像器、24 転写ベルト、25 一次転写ユニット、26 用紙カセット、27 搬送ユニット、28 二次転写ユニット、29 定着ユニット、32C,32M,32Y,32K トナーカートリッジ、40 スキャナユニット、41 原稿台、42 光学系、43 露光ランプ、44a〜44c ミラー、45 キャリッジ、46 集光レンズ、47 ラインセンサ、48 信号処理部、50 出力エンジン部、52 インターフェース、60 コントローラ、61 CPU、62 RAM、63 ROM、64 露光器駆動制御部、65 現像器駆動制御部、66 一次転写ユニット駆動制御部、67 二次転写ユニット駆動制御部、68 定着ユニット駆動制御部、69 搬送ユニット駆動制御部、70出力エンジンコントローラ、80 スキャナユニット駆動制御部、90 電源部、91 電源コネクタ、92 電源スイッチ、100a〜100h クライアントコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読み取り手段を備える画像形成関連装置であって、
ネットワークを介して接続された複数の端末において予め設定された特定の端末又は予め設定された所定数以上の端末が起動中であるという端末起動条件が充足されているかどうかを監視する手段を備え、
上記端末起動条件が充足されないとき、
第1の省電力モードを実行し、
上記端末起動条件が充足されるとき、
第1の期間のスタンバイステップと、第2の期間の消費電力一定の省電力ステップと、を繰り返し実行する第2の省電力モードを実行し、
前記第2の省電力モードの実行中、前記監視手段により前記第2の期間経過後に前記端末起動条件が充足されているかどうかを検出し、前記端末起動条件が充足されているときには、前記第1の期間のスタンバイステップを実行し、前記端末起動条件が充足されていないときには、前記第1の省電力モードに移行する、省電力モード制御手段を備える、画像形成関連装置。
【請求項2】
前記第2の省電力モードにおける前記第1の期間は、前記第2の期間よりも長く設定されている、請求項1に記載の画像形成関連装置。
【請求項3】
前記第2の省電力モードにおける前記スタンバイステップは、前記画像読み取り手段の画像読み取り用光源の電源をオンとするモードであり、前記省電力ステップは、前記画像読み取り手段の画像読み取り用光源の電源をオフとするモードである、請求項1又は2に記載の画像形成関連装置。
【請求項4】
前記第1の省電力モードは、所定の条件下に段階的に消費電力を低下させる省電力モードである、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成関連装置。
【請求項5】
前記画像形成関連装置は、前記画像読み取り手段としてファクシミリ手段を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成関連装置。
【請求項6】
前記画像形成関連装置は、前記画像読み取り手段として複写手段を備える、請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成関連装置。
【請求項7】
画像読み取り手段を備える画像形成関連装置のための電力制御方法であって、
(a)ネットワークを介して接続された複数の端末において予め設定された特定の端末又は予め設定された所定数の端末が起動中であるという端末起動条件が充足されるかどうかを検出し、
(b)上記端末起動条件が充足されないとき、所定の条件下に段階的に消費電力を低下させる第1の省電力モードを実行し、
(c)上記端末起動条件が充足されるとき、第1の期間のスタンバイステップと、第2の期間の消費電力一定の省電力ステップと、を繰り返し実行する第2の省電力モードを実行し、
(d)前記第2の省電力モードの実行中、前記第2の期間経過後に前記端末起動条件が充足されているかどうかを検出し、前記端末起動条件が充足されているときには、前記第1の期間のスタンバイステップを実行し、前記端末起動条件が充足されていないときには、前記第1の省電力モードに移行する、電力制御方法。
【請求項8】
画像読み取り手段を備える画像形成関連装置のための電力制御プログラムであって、
請求項7に記載の前記(a)〜(d)の各ステップを実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−124309(P2007−124309A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314331(P2005−314331)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】