説明

画像読み取り装置の駆動方法

【課題】 画像読み取り性能を損なうこと無しに、画像の読み取りに要する時間を短縮することができる画像読み取り装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】 検知電極、プリチャージ制御スイッチ、アンプ及び読み出しスイッチを備えた画像読み取り装置の駆動方法は、プリチャージ制御スイッチを導通状態に切替え、プリチャージ電圧を検知電極に出力させる。プリチャージ制御スイッチを非導通状態に切替えた後、基準電圧をアンプに与え、調整された基準電圧がアンプから読み出しスイッチに出力される。基準電圧をアンプに与える前に、読み出しスイッチを導通状態に切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像読み取り装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザインタフェースの形としてタッチパネル機能を具備した表示装置を搭載した携帯電話や携帯情報端末、パーソナルコンピュータなどの電子機器が開発されている。このようなタッチパネル機能を具備した電子機器では、液晶表示装置や有機EL表示装置などの表示装置に、別途タッチパネル基板を貼り合わせることでタッチパネル機能を付加することが検討されている。
【0003】
また、近年、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりガラス基板等の透明な絶縁基板上にさまざまな材料で薄膜を形成し、切削や研削等の作業を繰り返し行うことにより、走査線や信号線からなる表示素子や、光センサ素子等を形成して、画像読み取り装置を製造する技術が研究されている。
【0004】
また、画像読み取り装置の読み取り方式として、光センサ素子等に替えて導電性の電極を配置し、この電極と指等との間の容量変化によりパネル表面の指やペン等の情報を検知するいわゆる静電容量方式により接触位置を検出する技術が研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−93894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像読み取り装置としては、検知電極、プリチャージ制御スイッチ、アンプ及び読み出しスイッチを備えている。上記画像読み取り装置の駆動方法としては、まず、プリチャージ制御スイッチを導通状態に切替える。そして、プリチャージ電圧を検知電極に出力させた後、プリチャージ制御スイッチを非導通状態に切替える。
【0007】
続いて、アンプへの基準電圧の印加を開始し、調整された基準電圧をアンプから読み出しスイッチに出力させる。基準電圧がアンプに印加されている期間内に、読み出しスイッチを導通状態に切替え、読み出しスイッチは、調整された基準電圧を出力する。これにより、画像を読み取ることができる。次いで、読み出しスイッチを非導通状態に切替えた後、アンプへの基準電圧の印加を終了する。
【0008】
しかしながら、上記画像読み取り装置の駆動方法では、画像の読み取りに要する時間が長くなってしまう。このため、画像読み取り性能を損なうこと無しに、画像の読み取りに要する時間を短縮することができる技術が求められている。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、画像読み取り性能を損なうこと無しに、画像の読み取りに要する時間を短縮することができる画像読み取り装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る画像読み取り装置の駆動方法は、
入力手段による入力動作に応じて検知容量が変化する検知電極と、前記検知電極に接続され、プリチャージ電圧を前記検知電極に出力する導通状態又は非導通状態に切替えられるプリチャージ制御スイッチと、前記検知電極に接続され、前記検知電極における前記プリチャージ電圧の減衰量に応じて与えられる基準電圧を調整して出力するアンプと、前記アンプに接続され、前記調整された基準電圧を出力する導通状態又は非導通状態に切替えられる読み出しスイッチと、を備えた画像読み取り装置の駆動方法において、
前記プリチャージ制御スイッチを前記導通状態に切替え、前記プリチャージ電圧を前記検知電極に出力させ、
前記プリチャージ制御スイッチを前記非導通状態に切替えた後、前記基準電圧を前記アンプに与え、調整された前記基準電圧が前記アンプから前記読み出しスイッチに出力され、
前記基準電圧を前記アンプに与える前に、前記読み出しスイッチを前記導通状態に切替えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施形態における電子機器を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した電子機器を示す概略構成図であり、アレイ基板を示す平面図である。
【図3】図3は、上記電子機器の画素及びセンサ回路等の等価回路を示す図である。
【図4】図4は、上記電子機器のアレイ基板の一部を示す拡大平面図である。
【図5】図5は、上記センサ回路の一構成例を説明するための等価回路図である。
【図6】図6は、上記一実施形態の実施例1に係る画像読み取り装置の駆動方法における、各種の信号、電位、及び電位差を示すタイミングチャートである。
【図7】図7は、上記一実施形態の実施例2に係る画像読み取り装置の駆動方法における、各種の信号、電位、及び電位差を示すタイミングチャートである。
【図8】図8は、上記一実施形態の実施例3に係る画像読み取り装置の駆動方法における、各種の信号、電位、及び電位差を示すタイミングチャートである。
【図9】図9は、上記一実施形態の比較例に係る画像読み取り装置の駆動方法における、各種の信号、電位、及び電位差を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る画像読み取り装置の駆動方法について詳細に説明する。この実施形態において、画像読み取り装置が電子機器に設けられた場合を例に説明する。始めに、画像読み取り装置を含む電子機器の構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、電子機器は、画像を表示する表示パネルとしての液晶表示パネルPと、液晶表示パネルPに設けられた画像読み取り装置Mと、バックライトユニットBとを備えている。
【0013】
図1、図2及び図3に示すように、液晶表示パネルPは、アレイ基板ASと、対向基板OSと、液晶層LCとを備えている。アレイ基板ASの延出部及び基板50は、FPC(flexible printed circuit)52で接続されている。液晶表示パネルPは、アレイ基板AS及び対向基板OSに重なった矩形状の表示領域(アクティブエリア)R1を有している。なお、後述する入力領域R2は表示領域R1に重なっている。
【0014】
表示領域R1の外側において、アレイ基板AS側(後述するガラス基板1上)には、XドライバXD及びYドライバYD1、YD2が形成されている。基板50上に形成(搭載)されたIC51(センサ用LSI)は、FPC52を介してXドライバXD及びYドライバYD1、YD2に電気的に接続されている。IC51は、少なくとも画像読み取り装置の出力をデジタル信号に変換する等処理を行う。なお、XドライバXD及びYドライバYD1、YD2には、図示しない他のFPCを介して画像表示用のデータが与えられる。
【0015】
アレイ基板AS及び対向基板OSは、図示しない複数本の柱状スペーサにより所定の間隙を保持して対向配置されている。アレイ基板AS及び対向基板OSは、表示領域R1の周縁部である両基板の周縁部に配置された矩形枠状のシール材31により互いに接合されている。
【0016】
液晶層LCは、アレイ基板AS及び対向基板OS間に挟持され、シール材31で囲まれている。シール材31の一部に形成された液晶注入口32は、封止材33により封止されている。
【0017】
この実施形態において、液晶表示パネルPは、例えば、アレイ基板AS側に表示面を有している。また、表示面は入力面としても機能している。このため、液晶表示パネルPは、フロントアレイ構造と呼ばれる構造を採っており、アレイ基板ASは対向基板OSよりユーザ側に配置されている。
【0018】
バックライトユニットBは、対向基板OSに対してアレイ基板ASの反対側に配置されている。バックライトユニットBは、対向基板OSに対向配置された導光板と、導光板の一側縁に対向配置された光源及び反射板とを備えている。バックライトユニットBは、対向基板OSに向けて光を放出する。
【0019】
液晶表示パネルPは、入射されるバックライトを透過させるかどうかを制御する。液晶表示パネルPは、対向基板OSの外面側に光を透過させることにより、表示領域R1に画像を表示する。
【0020】
図2及び図3に示すように、アレイ基板ASは、互いに直交する行方向X及び列方向Yに沿ってマトリクス状に設けられた複数の画素PXを有している。複数の画素PXは、表示領域R1に重なっている。画素PXは、行方向X及び列方向Yに並べられている。
【0021】
画素PXは、複数色の何れかを表示し、この実施形態において、赤色、緑色及び青色の何れかを表示する。この実施形態において、赤色の画素PX、緑色の画素PX及び青色の画素PXは、行方向Xに繰返し並べられている。赤色の画素PXは後述する赤色の着色層に、緑色の画素PXは後述する緑色の着色層に、青色の画素PXは後述する青色の着色層に、それぞれ重ねられている。
【0022】
アレイ基板ASは、複数(n本)の信号線sと、複数(m本)の走査線gと、複数(m本)の補助容量線cとを有している。信号線sは、列方向Yに延在し、行方向Xに間隔を置いて並んでいる。信号線sは、XドライバXDに接続されている。水平走査期間中や垂直走査期間中、複数の信号線sには、XドライバXDを介して映像信号が与えられる。
【0023】
走査線gは、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。補助容量線cは、走査線gに間隔を置いて並べられている。補助容量線cは、走査線gと同様、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。走査線g及び補助容量線cは、YドライバYD1及びYドライバYD2の少なくとも一方に接続されている。
【0024】
複数の画素PXは、複数の信号線s並びに複数の走査線g及び複数の補助容量線cの交差部近傍に設けられている。画素PXは、信号線s、走査線g及び補助容量線cに接続されている。画素PXは、スイッチング素子GSWと、画素電極EPと、補助容量Csとを有している。
【0025】
スイッチング素子GSWは、走査線g及び信号線sに電気的に接続され、TFT(薄膜トランジスタ)で形成され、ここでは、NMOS型のTFTで形成されている。画素電極EPは、スイッチング素子GSWに電気的に接続されている。補助容量Csは、画素電極EPに電気的に接続されている。補助容量Csは、補助容量線c及び図示しない補助容量電極を有し、容量を形成する。
【0026】
図2乃至図5に示すように、画像読み取り装置Mは、複数のセンサ回路SNと、複数の容量カップリング線cup1、cup2と、複数のプリチャージ線preと、複数のプリチャージ制御線pregと、複数の読み出し線outと、複数の読み出し制御線outgと、を有している。
【0027】
センサ回路SNは、それぞれ隣合う複数の画素PXが設けられた領域(画素群)内に1つの割合で配置されている。この実施形態において、センサ回路SNは、24画素PX(2行×12列)毎に1つ配置されている。
【0028】
プリチャージ制御線pregは、走査線g及び補助容量線cに間隔を置いて並べられている。プリチャージ制御線pregは、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。プリチャージ制御線pregは、YドライバYD1及びYドライバYD2の少なくとも一方に接続されている。プリチャージ制御線pregには、YドライバYD1、YD2からプリチャージ制御信号PGが与えられる。
【0029】
読み出し制御線outgは、走査線g、補助容量線c及びプリチャージ制御線pregに間隔を置いて並べられている。読み出し制御線outgは、行方向Xに延在し、列方向Yに間隔を置いて並んでいる。読み出し制御線outgは、YドライバYD1及びYドライバYD2の少なくとも一方に接続されている。読み出し制御線outgには、YドライバYD1、YD2から読み出し制御信号RGが与えられる。
【0030】
プリチャージ線pre、読み出し線out及び容量カップリング線cup1、cup2は、信号線sと共用している。プリチャージ線pre、容量カップリング線cup1及び読み出し線outは、1つのセンサ回路SN毎に1本ずつ配置されている。容量カップリング線cup2は、1つのセンサ回路SN毎に9本ずつ配置されている。
【0031】
容量カップリング線cup2は、後述する検知電極DEとの間にカップリング容量を形成する。なお、この実施形態において、容量カップリング線cup1は、検知電極DEに電気的に接続されたゲート電極7との間にカップリング容量を形成する。
【0032】
センサ回路SNは、検知電極DEと、プリチャージ制御スイッチPSWと、アンプとしての増幅スイッチAMPと、読み出しスイッチOSWとを有している。
検知電極DEは、行方向Xに延在し、入力手段30による入力動作に応じて検知容量Cfが変化するものである。
【0033】
プリチャージ制御スイッチPSWは、TFTで形成され、ここでは、PMOS型のTFTで形成されている。プリチャージ制御スイッチPSWは、プリチャージ線pre及び検知電極DE間に接続され、プリチャージ線preを介して入力されるプリチャージ電圧PRを検知電極DEに与えるかどうか切替える。
【0034】
詳しくは、プリチャージ制御スイッチPSWにおいて、ゲート電極6はプリチャージ制御線pregに接続され、半導体層3のソース領域はプリチャージ線preに接続され、半導体層3のドレイン領域は接続電極13等を介して検知電極DEに接続されている。プリチャージ制御スイッチPSWは、プリチャージ制御信号PGに応じてプリチャージ電圧PRを検知電極DEに出力する導通状態又は非導通状態に切替えられる。
【0035】
増幅スイッチAMPは、TFTで形成され、ここでは、PMOS型のTFTで形成されている。増幅スイッチAMPのゲート電極7において、一端は接続電極16を介して検知電極DEに接続され、他端は接続電極13を介して半導体層3のドレイン領域に接続されている。増幅スイッチAMPのソース電極14は容量カップリング線cup1に接続されている。増幅スイッチAMPは、検知電極DEに与えられたプリチャージ電圧PRの減衰量が少ない場合に導通状態(オン)となり、検知電極DEに与えられたプリチャージ電圧PRの減衰量が多い場合に非導通状態(オフ)となる。
【0036】
増幅スイッチAMPは、容量カップリング線cup1を介して与えられる基準電圧Vst(容量カップリングパルス信号CPL)を、検知電極DEにおけるプリチャージ電圧PRの減衰量に応じた電圧値に調整してドレイン電極15に出力する。このため、増幅スイッチAMPは、検知電極DEに与えられたプリチャージ電圧PRの減衰量(検知電極DEに生じた電位差)を増幅して出力すると言い換えることができる。
また、容量カップリング線cup1に与えられる容量カップリングパルス信号CPLの電圧変動の際に、カップリング容量Cpを介し検知電極DEの電位は変動する。
【0037】
読み出しスイッチOSWは、TFTで形成され、ここでは、PMOS型のTFTで形成されている。読み出しスイッチOSWは、増幅スイッチAMPに接続されている。読み出しスイッチOSWは、増幅スイッチAMPのドレイン電極15及び読み出し線out間に接続されている。読み出しスイッチOSWは、電圧値が調整された基準電圧Vstを出力する導通状態又は非導通状態に切替えるものである。
【0038】
詳しくは、読み出しスイッチOSWにおいて、ゲート電極8は読み出し制御線outgに接続され、半導体層5のソース領域は増幅スイッチAMPのドレイン電極15に接続され、半導体層5のドレイン領域は読み出し線outに接続されている。
【0039】
読み出しスイッチOSWが導通状態に切替えられることにより、読み出し線outの電位は、入力手段30及び検知電極DE間の検知容量Cfの有無や強弱に基づいて変動することになる。すなわち、読み出し線outの電位の変動を取得することにより、入力手段30にて接触される個所の位置情報を抽出することができる。
【0040】
なお、画像読み取り装置Mを用いた入力手段30にて接触される個所の位置情報の抽出は、映像信号の書込みをしていない水平ブランキング期間中や垂直ブランキング期間中等に行われる。
【0041】
図4に示すように、容量カップリング線cup2は、行方向Xに突き出た複数のシールド電極SLDを有している。検知電極DEは、複数のシールド電極SLDで囲まれている。複数の画素PXは、行方向Xに沿って一様に並べられ、列方向Yに沿って1行毎に反転して並べられている。
【0042】
次に、上記画像読み取り装置Mが設けられた液晶表示パネルPの積層構造について説明する。
図2乃至図5に示すように、アレイ基板ASは、透明な絶縁基板として、ガラス基板1を有している。アレイ基板ASは、ガラス基板1上に成膜されたアンダーコート絶縁膜と、アンダーコート絶縁膜上に形成された半導体層3、4、5、スイッチング素子GSWの半導体層及び補助容量電極と、各半導体層及び補助容量電極を覆ったゲート絶縁膜を含んでいる。
【0043】
ゲート絶縁膜上には、プリチャージ制御線preg、読み出し制御線outg、ゲート電極6、7、8、検知電極DE、走査線g、補助容量線c等が形成されている。プリチャージ制御線preg等が形成されたゲート絶縁膜上には、層間絶縁膜が形成され、さらに層間絶縁膜上には、信号線s(プリチャージ線pre、読み出し線out、容量カップリング線cup1、cup2)、接続電極16、ソース電極14、ドレイン電極15、シールド電極SLD等が形成されている。
【0044】
信号線s等が形成された層間絶縁膜上には、パッシベーション膜や平坦化膜が順に形成され、平坦化膜上には、共通電極ET、絶縁膜、画素電極EP及び配向膜が順に形成されている。画素電極EPには複数のスリットが形成されている。このため、液晶表示パネルPは、横電界を利用するFFS(Fringe Field Switching)モードを採っている。
【0045】
対向基板OSは、透明な絶縁基板として、他のガラス基板を有している。他のガラス基板上には、カラーフィルタ及び配向膜が順に形成されている。カラーフィルタは、ブラックマトリクス層と、赤色、緑色、青色の複数の着色層を有している。
ガラス基板1(アレイ基板AS)及び他のガラス基板(対向基板OS)の外面には偏光板を含む光学素子が配置されている。
【0046】
次に、本実施形態に係る実施例1、実施例2、実施例3及び比較例の画像読み取り装置Mの駆動方法について説明する。なお、画像読み取り装置Mの駆動は、IC51にてXドライバXD及びYドライバYD1、YD2の駆動を制御することにより行われる。
【0047】
(実施例1)
図3、図5及び図6に示すように、タイミングT1は、画像読み取り装置の動作開始と同時に設定されている。まず、タイミングT1において、電圧レベルがオンレベルとしてロー(L)レベルに切替えられたプリチャージ制御信号PGを、プリチャージ制御線pregを介してプリチャージ制御スイッチPSWのゲート電極に与え、プリチャージ制御スイッチPSWを導通状態に切替える。そして、プリチャージ線preに与えられるプリチャージ電圧PRを、プリチャージ制御スイッチPSWを介して検知電極DEに出力させる。
【0048】
また、タイミングT1において、電圧レベルがリセットレベルとしてLレベルに切替えられた初期化信号PRGを読み出し線outに与える。これにより、読み出し線outの電圧を初期化することができる。
【0049】
上記のように、一定の期間に、プリチャージ電圧PRを検知電極DEに出力し、読み出し線outの電圧を初期化した後、タイミングT2において、プリチャージ制御信号PGの電圧レベルがオフレベルとしてハイ(H)レベルに切替えられ、プリチャージ制御スイッチPSWが非導通状態に切替えられ、初期化信号PRGの電圧レベルがHレベルに切替えられる。なお、タイミングT2以降、プリチャージ制御信号PGの電圧レベル及び初期化信号PRGの電圧レベルは、Hレベルに保持される。
【0050】
次いで、タイミングT2から一定の期間を経たタイミングT3において、電圧レベルがオンレベルとしてLレベルに切替えられた読み出し制御信号RGを、読み出し制御線outgを介して読み出しスイッチOSWのゲート電極に与え、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替える。ここで、基準電圧Vstを増幅スイッチAMPに与える前に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えている。
【0051】
その後、タイミングT3から一定の期間を経たタイミングT4において、電圧レベルがHレベルに切替えられた容量カップリングパルス信号、すなわち基準電圧Vstを容量カップリング線cup1を介して増幅スイッチAMPに与える。
【0052】
入力(入力手段30による接触)が無い場合と、有る場合との間で、検知電極DEの電位に差を生じさせることができる。
図6の増幅スイッチAMPのゲート電極−ソース電極間の電位差を示す波形は、検知電極DEの電位の違いが、増幅スイッチAMPの動作点の差に反映されることを示している。入力が無い場合と、有る場合との間で、増幅スイッチAMPのゲート電極−ソース電極間の電位差に違いを生じさせることができる。
図6の出力信号POLを示す波形は、この出力信号の電位変動を示したものである。入力が無い場合と、有る場合との間で、出力信号POLの電位に差を生じさせることができる。
そして、調整された基準電圧Vstは、増幅スイッチAMPから読み出しスイッチOSWに出力され、さらに読み出し線outに出力される。
【0053】
その後、タイミングT5において、読み出し制御信号RGの電圧レベルをオフレベルとしてHレベルに切替え、読み出しスイッチOSWを非導通状態に切替える。これにより、読み出し線outの電位を保持することができる。このため、保持された読み出し線outの電位(調整された基準電圧Vst)を取得することにより、入力手段30にて接触される個所の位置情報を抽出することができる。
【0054】
続いて、タイミングT5から一定の期間を経たタイミングT6において、容量カップリングパルス信号の電圧レベルがLレベルに切替えられる。タイミングT6は、画像読み取り装置の動作終了と同時に設定されている。
【0055】
(実施例2)
図3、図5及び図7に示すように、タイミングT1は、画像読み取り装置の動作開始と同時に設定されている。まず、タイミングT1において、Lレベルに切替えられたプリチャージ制御信号PGを、プリチャージ制御線pregを介してプリチャージ制御スイッチPSWのゲート電極に与え、プリチャージ制御スイッチPSWを導通状態に切替える。そして、プリチャージ線preに与えられるプリチャージ電圧PRを、プリチャージ制御スイッチPSWを介して検知電極DEに出力させる。
また、タイミングT1において、Lレベルに切替えられた初期化信号PRGを読み出し線outに与え、読み出し線outの電圧を初期化する。
【0056】
上記のように、プリチャージ電圧PRを検知電極DEに出力し、読み出し線outの電圧を初期化する期間中のタイミングT2において、Lレベルに切替えられた読み出し制御信号RGを、読み出し制御線outgを介して読み出しスイッチOSWのゲート電極に与え、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替える。ここで、基準電圧Vstを増幅スイッチAMPに与える前に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えている。
【0057】
次いで、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えた後のタイミングT3において、プリチャージ制御信号PGの電圧レベルがHレベルに切替えられ、プリチャージ制御スイッチPSWが非導通状態に切替えられ、初期化信号PRGの電圧レベルがHレベルに切替えられる。なお、タイミングT3以降、プリチャージ制御信号PGの電圧レベル及び初期化信号PRGの電圧レベルは、Hレベルに保持される。
【0058】
その後、タイミングT3から一定の期間を経たタイミングT4において、電圧レベルがHレベルに切替えられた容量カップリングパルス信号、すなわち基準電圧Vstを容量カップリング線cup1を介して増幅スイッチAMPに与える。
【0059】
そして、調整された基準電圧Vstは、増幅スイッチAMPから読み出しスイッチOSWに出力され、さらに読み出し線outに出力される。
【0060】
その後、タイミングT5において、読み出し制御信号RGの電圧レベルをHレベルに切替え、読み出しスイッチOSWを非導通状態に切替える。これにより、読み出し線outの電位を保持することができる。このため、保持された読み出し線outの電位(調整された基準電圧Vst)を取得することにより、入力手段30にて接触される個所の位置情報を抽出することができる。
【0061】
続いて、タイミングT5から一定の期間を経たタイミングT6において、容量カップリングパルス信号の電圧レベルがLレベルに切替えられる。タイミングT6は、画像読み取り装置の動作終了と同時に設定されている。
【0062】
(実施例3)
図3、図5及び図8に示すように、タイミングT1は、画像読み取り装置の動作開始と同時に設定されている。まず、タイミングT1において、Lレベルに切替えられたプリチャージ制御信号PGを、プリチャージ制御線pregを介してプリチャージ制御スイッチPSWのゲート電極に与え、プリチャージ制御スイッチPSWを導通状態に切替える。そして、プリチャージ線preに与えられるプリチャージ電圧PRを、プリチャージ制御スイッチPSWを介して検知電極DEに出力させる。
【0063】
また、タイミングT1において、Lレベルに切替えられた初期化信号PRGを読み出し線outに与え、読み出し線outの電圧を初期化する。
さらに、タイミングT1において、Lレベルに切替えられた読み出し制御信号RGを、読み出し制御線outgを介して読み出しスイッチOSWのゲート電極に与え、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替える。ここで、基準電圧Vstを増幅スイッチAMPに与える前に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えている。
【0064】
上記のように、プリチャージ電圧PRを検知電極DEに出力し、読み出し線outの電圧を初期化し、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えた後のタイミングT2において、プリチャージ制御信号PGの電圧レベルがHレベルに切替えられ、プリチャージ制御スイッチPSWが非導通状態に切替えられ、初期化信号PRGの電圧レベルがHレベルに切替えられる。なお、タイミングT2以降、プリチャージ制御信号PGの電圧レベル及び初期化信号PRGの電圧レベルは、Hレベルに保持される。
【0065】
その後、タイミングT2から一定の期間を経たタイミングT3において、電圧レベルがHレベルに切替えられた容量カップリングパルス信号、すなわち基準電圧Vstを容量カップリング線cup1を介して増幅スイッチAMPに与える。
【0066】
そして、調整された基準電圧Vstは、増幅スイッチAMPから読み出しスイッチOSWに出力され、さらに読み出し線outに出力される。
【0067】
その後、タイミングT4において、読み出し制御信号RGの電圧レベルをHレベルに切替え、読み出しスイッチOSWを非導通状態に切替える。これにより、読み出し線outの電位を保持することができる。このため、保持された読み出し線outの電位(調整された基準電圧Vst)を取得することにより、入力手段30にて接触される個所の位置情報を抽出することができる。
【0068】
続いて、タイミングT4から一定の期間を経たタイミングT5において、容量カップリングパルス信号の電圧レベルがLレベルに切替えられる。タイミングT5は、画像読み取り装置の動作終了と同時に設定されている。
【0069】
(比較例)
図3、図5及び図9に示すように、タイミングT1は、画像読み取り装置の動作開始と同時に設定されている。まず、タイミングT1において、Lレベルに切替えられたプリチャージ制御信号PGを、プリチャージ制御線pregを介してプリチャージ制御スイッチPSWのゲート電極に与え、プリチャージ制御スイッチPSWを導通状態に切替える。そして、プリチャージ線preに与えられるプリチャージ電圧PRを、プリチャージ制御スイッチPSWを介して検知電極DEに出力させる。
また、タイミングT1において、Lレベルに切替えられた初期化信号PRGを読み出し線outに与え、読み出し線outの電圧を初期化する。
【0070】
上記のように、プリチャージ電圧PRを検知電極DEに出力し、読み出し線outの電圧を初期化した後のタイミングT2において、プリチャージ制御信号PGの電圧レベルがHレベルに切替えられ、プリチャージ制御スイッチPSWが非導通状態に切替えられ、初期化信号PRGの電圧レベルがHレベルに切替えられる。なお、タイミングT2以降、プリチャージ制御信号PGの電圧レベル及び初期化信号PRGの電圧レベルは、Hレベルに保持される。
【0071】
その後、タイミングT2から一定の期間を経たタイミングT3において、電圧レベルがHレベルに切替えられた容量カップリングパルス信号、すなわち基準電圧Vstを容量カップリング線cup1を介して増幅スイッチAMPに与える。
【0072】
次いで、基準電圧Vstが増幅スイッチAMPに与えられる期間中のタイミングT4において、Lレベルに切替えられた読み出し制御信号RGを、読み出し制御線outgを介して読み出しスイッチOSWのゲート電極に与え、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替える。ここで、基準電圧Vstを増幅スイッチAMPに与えた後に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えている。
そして、調整された基準電圧Vstは、増幅スイッチAMPから読み出しスイッチOSWに出力され、さらに読み出し線outに出力される。
【0073】
次いで、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えた後のタイミングT5において、読み出し制御信号RGの電圧レベルをHレベルに切替え、読み出しスイッチOSWを非導通状態に切替える。これにより、読み出し線outの電位を保持する。
【0074】
続いて、タイミングT5から一定の期間を経たタイミングT6において、容量カップリングパルス信号の電圧レベルがLレベルに切替えられる。タイミングT6は、画像読み取り装置の動作終了と同時に設定されている。
【0075】
上記のように構成された一実施形態に係る画像読み取り装置の駆動方法によれば、比較例の画像読み取り装置の駆動方法では基準電圧Vstを増幅スイッチAMPに与えた後に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えているのに対し、実施例1乃至3の画像読み取り装置の駆動方法では基準電圧Vstを増幅スイッチAMPに与える前に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えている。
【0076】
実施例1乃至3では、比較例で言うタイミングT3からタイミングT4の間(基準電圧Vstを増幅スイッチAMPに与えてから読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えるまでの間)の期間、すなわち、画像読み取り動作に実質的に寄与していない期間を削減することができる。このため、画像読み取り性能(高い読み取り解像度)を損なうこと無しに、画像の読み取りに要する時間を短縮することができる。
【0077】
表示動作に与えられる期間(映像信号の書込み期間)をその分大きくとれるため、信号選択数を多くでき、その結果、外部IC(IC51)の出力数を少なくでき、画像読み取り装置の低コスト化が可能となる。
【0078】
さらに、実施例2では、プリチャージ制御スイッチPSWが導通状態に切替えられている期間内に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えている。このようにタイミングを設定することによって、比較例で言うタイミングT3からタイミングT4の間の期間、すなわち、画像読み取り動作に実質的に寄与していない期間を、実施例1よりもさらに短縮することができる。この結果、画像読み取り装置のさらなる低コスト化が可能となる。
【0079】
またさらに、実施例3では、プリチャージ制御スイッチPSWを導通状態に切替えるタイミングと同時に、読み出しスイッチOSWを導通状態に切替えている。このようにタイミングを設定することによって、プリチャージ制御スイッチPSWが導通状態に切替えられている期間、すなわち実施例2で言うタイミングT1からタイミングT3の間の期間を、実施例2よりもさらに短縮することができる。この結果、画像読み取り装置のさらなる低コスト化が可能となる。
上記のことから、画像読み取り性能を損なうこと無しに、画像の読み取りに要する時間を短縮することができる画像読み取り装置の駆動方法を得ることができる。
【0080】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0081】
例えば、このため、液晶表示パネルPは、リアアレイ構造と呼ばれる構造を採ってもよく、この場合、対向基板OSはアレイ基板ASよりユーザ側に配置される。
【0082】
液晶表示パネルPは、横電界を利用するFFS(Fringe Field Switching)モードを採っているが、これに限らず、各種のモードを採ることができる。この場合、液晶表示パネルPの配線構造や積層構造は異なるが、上述した効果が得られることは言うまでもない。
【0083】
表示パネルは、液晶表示パネルPに限定されるものではなく、画像を表示領域R1に表示するように構成されたものであれば良い。
画像読み取り装置は、上記電子機器に限らず、各種の電子機器に設けて使用することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
M…画像読み取り装置、SN…センサ回路、cup1,cup2…容量カップリング線、pre…プリチャージ線、preg…プリチャージ制御線、out…読み出し線、outg…読み出し制御線、DE…検知電極、PSW…プリチャージ制御スイッチ、AMP…増幅スイッチ、OSW…読み出しスイッチ、Cf…検知容量、PR…プリチャージ電圧、Vst…基準電圧、Cp…カップリング容量、51…IC、30…入力手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段による入力動作に応じて検知容量が変化する検知電極と、前記検知電極に接続され、プリチャージ電圧を前記検知電極に出力する導通状態又は非導通状態に切替えられるプリチャージ制御スイッチと、前記検知電極に接続され、前記検知電極における前記プリチャージ電圧の減衰量に応じて与えられる基準電圧を調整して出力するアンプと、前記アンプに接続され、前記調整された基準電圧を出力する導通状態又は非導通状態に切替えられる読み出しスイッチと、を備えた画像読み取り装置の駆動方法において、
前記プリチャージ制御スイッチを前記導通状態に切替え、前記プリチャージ電圧を前記検知電極に出力させ、
前記プリチャージ制御スイッチを前記非導通状態に切替えた後、前記基準電圧を前記アンプに与え、調整された前記基準電圧が前記アンプから前記読み出しスイッチに出力され、
前記基準電圧を前記アンプに与える前に、前記読み出しスイッチを前記導通状態に切替える、画像読み取り装置の駆動方法。
【請求項2】
前記プリチャージ制御スイッチが前記導通状態に切替えられている期間内に、前記読み出しスイッチを前記導通状態に切替える、請求項1に記載の画像読み取り装置の駆動方法。
【請求項3】
前記プリチャージ制御スイッチを前記導通状態に切替えるタイミングと同時に、前記読み出しスイッチを前記導通状態に切替える、請求項1に記載の画像読み取り装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−247989(P2012−247989A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119106(P2011−119106)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】