説明

画像読取装置、およびこれを備えた画像形成装置

【課題】コンタクトガラスと搬送される原稿との間に配設される透明読取シートに傷がつきにくく、安価な透明読取シートを備えた画像読取装置、およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像読取装置3において、原稿シートPは、第2搬送路342を搬送され、原稿読取位置Xを通過した後、第3搬送路343を通って排出される。コンタクトガラス222の上には、透明シート70が配置される。原稿読取位置Xの搬送方向上流側では、原稿シートPは、搬送ガイドシート62のガイドシート先端部622に当接し、搬送方向下流側では、原稿排出ガイド63に支持された透明シート70の透明シート当接部704に当接する。このため、原稿シートPが、直接、透明シート70に接触することが抑止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を読み取る画像読取装置、およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の読取方式として、原稿固定読取と原稿搬送読取の2つの方式が知られている。原稿固定読取方式は、コンタクトガラス上に原稿が載置され、プラテンマットや原稿搬送装置等によって該原稿がコンタクトガラスに押し当てられ、読取ユニットが走査されることによって原稿画像が読み取られる方式である。一方、原稿搬送読取方式は、所定の位置に読取ユニットが固定され、読取ユニット上を原稿が搬送されながら、原稿画像が読み取られる方式である。
【0003】
原稿搬送読取方式において、原稿読取位置に搬送された原稿を、コンタクトガラスから離間させるためには、原稿読取位置の下流側に、原稿排出ガイドが配設される。原稿固定読取用のコンタクトガラスと原稿搬送読取用のコンタクトガラとが2枚で構成された場合、該2枚のコンタクトガラスの間を利用して、原稿搬送読取用のコンタクトガラスの下に原稿排出ガイドの基端部が配設される。一方、コンタクトガラスが1枚で構成された場合は、コンタクトガラス上に、原稿排出ガイドが配設されることとなる。この場合、搬送される原稿の先端が、原稿排出ガイドに衝突するという不具合が生じる。このような不具合を解決するために、特許文献1に記載の技術では、コンタクトガラスと搬送される原稿との間に、透明読取シートが設けられ、透明読取シートとコンタクトガラスとを介して画像が読み取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−41481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、原稿は、透明読取シートに摺擦しながら、原稿読取位置を通過する。このため、透明読取シートの原稿搬送面側には、ハードコート処理が施されている。しかしながら、このようなハードコート処理が施されても、搬送される原稿によって、透明読取シートに傷が生じてしまう。そして、透明読取シートに傷がつくと、該傷部分の読取光量が低下し、原稿の白地部分は暗い画像(かぶり画像)になり、原稿の黒地部分は、シートで光が反射するために明るい画像になってしまう。更に、透明読取シートに施されたハードコート処理は、透明読取シート自体のコストアップに繋がってしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、コンタクトガラスと原稿との間に配設される透明読取シートおよび搬送される原稿に傷がつきにくく、安価な透明読取シートを備えた画像読取装置、およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、第1の筐体と、前記第1の筐体に対して、開閉可能な第2の筐体と、前記第2の筐体に配設され、閉状態の前記第2の筐体に対向する前記第1の筐体上の第1の位置を通過するように原稿を搬送する原稿搬送路と、前記第1の位置と、前記第1の位置に隣接し、上面に原稿面を下にして固定原稿が載置される第2の位置とを含むように、前記第2の筐体に対向して、前記第1の筐体に配設される板状の透明部材と、前記第1の筐体に配設され、前記第1の位置および前記第2の位置で、前記透明部材を通して、前記原稿または前記固定原稿の画像を読み取る読取手段と、前記第1の位置よりも前記原稿の搬送方向下流側において、前記透明部材上に配設され、前記原稿を搬送方向下流側に誘導するガイド部材と、前記搬送方向上流側から前記搬送方向下流側にかけて、前記第1の位置を覆うように、前記透明部材上に配置される第1シート部と、前記ガイド部材に沿うように、該ガイド部材に当接し、前記原稿搬送路を搬送される前記原稿が接触する第2シート部と、を備える透明シート部材と、前記第1の位置よりも前記搬送方向上流側の前記第1シート部を、前記透明部材側に押さえ、かつ、前記原稿搬送路を搬送される前記原稿が接触する押さえ部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、第1の筐体に対して、第2の筐体が開閉可能に配設される。第1の筐体には、第1の位置および第2の位置を含むように板状の透明部材が配設される。また、第1の筐体には、透明部材に対して、第2の筐体と反対側に、読取手段が配置される。読取手段は、透明部材を通して、第2の筐体に配設された原稿搬送路によって第1の位置に搬送された原稿の画像を読み取ると共に、第2の位置で、上面に原稿面を下にして載置される固定原稿の画像を読み取る。第1の位置には、透明部材上に、透明シート部材が配設される。透明シート部材は、第1の位置を覆うように、搬送方向上流側から搬送方向下流側にかけて、透明部材上に配設される第1シート部と、第1の位置よりも搬送方向下流側に配設される第2シート部とを備える。第2シート部は、第1の位置よりも搬送方向下流側の透明部材上に配設されたガイド部材に沿うように当接する。また、第1シート部の第1の位置よりも搬送方向上流側には、第1シート部を透明部材側に押さえ、かつ、原稿搬送路を搬送される原稿が接触する押さえ部材が配置される。原稿搬送路を第1の位置に向かって搬送される原稿は、まず、該押さえ部材に接触する。そして該原稿は、第1の位置において、透明シート部材を介して、透明部材に対向し、原稿画像が、読取手段によって読み取られる。更に、原稿は、ガイド部材上に当接する透明シート部材の第2シート部に接触しながら、搬送方向下流側に搬送される。このように、第1の位置に搬送される原稿は、第1の位置を挟んで上流側では押さえ部材に、下流側では第2シート部に接触する。このため、第1の位置では、原稿が、透明シート部材の第1シート部に接触しにくく、接触した場合であっても、その接触圧が低いため、透明シート部材に傷がつきにくい。更に、透明シート部材の原稿搬送路側にハードコート処理を施す必要がないため、搬送される原稿に傷がつきにくく、透明シート部材が安価で製造される。
【0009】
上記の構成において、前記透明シート部材は、屈曲部を有し、該屈曲部は、前記第1シート部の前記搬送方向下流側に配置され、前記屈曲部より前記搬送方向上流側が前記第1シート部であり、前記屈曲部より前記搬送方向下流側が前記第2シート部であり、前記屈曲部は、前記第1シート部が前記透明部材に密着するように屈曲されたことが好ましい。
【0010】
本構成によれば、第2シート部材は、第1の位置よりも搬送方向下流側で、屈曲部を介して、第1シート部に連設される。また、屈曲部は、第1シート部が透明部材に密着するように屈曲される。したがって、第2シート部がガイド部材に当接するにあたり、屈曲部よりも搬送方向上流側の第1シート部が、透明部材に密着し、該透明部材から浮きにくくなる。このため、読取手段における原稿の焦点位置が、好適に維持される。
【0011】
上記の構成において、前記ガイド部材は、前記第1の位置よりも前記搬送方向下流側で、前記透明部材に対して立設される立壁と、前記立壁に連設され、前記搬送方向下流側に向かって、前記透明部材から離れる方向に傾斜した傾斜部と、を備え、前記第2シート部は前記ガイド部材の前記傾斜部に面接触によって当接することを特徴とすることが好ましい。
【0012】
本構成によれば、ガイド部材は、第1の位置よりも搬送方向下流側で、透明部材に対して立設される立壁と、立壁に連設され、搬送方向下流側に向かって、透明部材から離れる方向に傾斜した傾斜部とを備える。そして、第2シート部は傾斜部に面接触によって当接する。このため、屈曲部周辺の透明シート部材に、撓みが生じにくく、透明シート部材に、弾性力が蓄積されることによって、搬送される原稿に不安定な力がかかることが抑止される。
【0013】
上記の構成において、前記透明シート部材の前記透明部材に対向する面には、反射防止処理が施されていることが好ましい。
【0014】
本構成によれば、透明シート部材の透明部材に対向する面には、コーティングなどの反射防止処理が施される。透明部材と透明シート部材とを重ね合わせたとき、透明部材と透明シート部材の第1シート部との間に、わずかな空気層が形成される場合がある。この際、透明部材と空気層の境界で形成される反射光と、空気層と透明シート部材の第1シート部の境界で形成される反射光とが干渉し、干渉縞の模様が読取画像に含まれる。このような場合であっても、透明シート部材の透明部材に対向する面に反射防止処理が施されることによって、前記光の干渉が抑止され、干渉縞の模様が読取画像に含まれることが防止される。
【0015】
上記の構成において、前記透明シート部材の前記第1シート部の前記搬送方向上流側の端部と、前記押さえ部材の前記搬送方向上流側の端部と、を支持する支持部材を更に備えたことが好ましい。
【0016】
本構成によれば、支持部材が、透明シート部材の第1シート部の搬送方向上流側の端部と、押さえ部材の搬送方向上流側の端部とを支持する。このため、透明シート部材が、安定して、透明部材側に押さえられ、透明シート部材の第1シート部と透明部材との間に空気層が生じにくくなる。
【0017】
上記の構成において、前記透明シート部材は、前記透明部材よりも透過率が低く、前記読取手段によって読み取られた画像を補正する画像補正手段を更に備え、前記画像補正手段は、前記第1の位置で読み取られた前記原稿の画像と、前記第2の位置で読み取られた前記固定原稿の画像との間で、異なる画像補正を実行することが好ましい。
【0018】
本構成によれば、透明シート部材は、透明部材よりも透過率が低い、安価な材料によって製造される。この際、透明シート部材および透明部材を介して、原稿画像が読み取られる第1の位置の方が、透明シート部材を介さず、原稿画像が読み取られる第2の位置よりも、原稿に照射される原稿照射光量が低下する。このような場合であっても、画像補正手段が、第1の位置で読み取られた原稿の画像と、第2の位置で読み取られた固定原稿の画像との間で、異なる画像補正を実行する。したがって、原稿照射光量の差によって生じる、画像濃度差が低減される。
【0019】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記に記載の画像読取装置と、前記画像読取装置によって読み取られた画像に基づいて、シートに画像を形成する画像形成手段と、
を備えたことが好ましい。
【0020】
本構成によれば、第1の位置で原稿画像が読み取られる際に、原稿が、透明シート部材の第1シート部に接触しにくく、また、接触した場合であっても、その接触圧が低いため、透明シート部材に傷がつきにくい。したがって、読み取り画像に傷によってもたらされるノイズ画像が含まれず、高い画像品質を備えた画像形成装置が提供される。更に、透明シート部材の原稿搬送路側にハードコート処理を施す必要がないため、安価な透明シート部材を備えた画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンタクトガラスと原稿との間に配設される透明読取シートに傷がつきにくく、安価な透明読取シートを備えた画像読取装置、およびこれを備えた画像形成装置を提供することができる。特に、原稿固定読取用のコンタクトガラスと原稿搬送読取用のコンタクトガラスが1枚のガラスで構成される場合であっても、コンタクトガラス上に配設されたガイド部材に原稿が衝突することがなく、透明読取シート自体にも傷がつくことが抑制される。このため、原稿読取画像に傷によってもたらされるノイズ画像が含まれることがなく、画像形成装置の出力画像品質が安定して維持される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動原稿給紙装置の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る自動原稿給紙装置の要部である原稿搬送部の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像読取ユニットを示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像読取ユニットを示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像読取ユニットを示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置3を備えた画像形成装置1の外観を示す斜視図、図2は、自動原稿給紙装置3Aの外観を示す斜視図、図3は、画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。また、図4は、自動原稿給紙装置3Aの要部である原稿搬送部32の断面図である。ここでは、画像形成装置1として胴内排紙型の複写機を例示しているが、画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0024】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間を備えた装置本体2、装置本体2の上面に配置された自動原稿給紙装置3A(第2の筐体)、及び装置本体2の下側に組み付けられた増設給紙ユニット4を含む。
【0025】
装置本体2は、シートに対して画像形成処理を行う。装置本体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22(第1の筐体)と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21には画像形成のための各種機器が収容され、上部筐体22には原稿画像を光学的に読み取るための画像読取ユニット3Bが収容されている。前記自動原稿給送装置3Aおよび画像読取ユニット3Bによって、画像読取装置3が構成される。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる胴内空間が、画像形成後のシートを収容可能な胴内排紙部24とされている。連結筐体23は、装置本体2の右側面の側に配置され、胴内排紙部24へシートを排出するための排出口961(図3)が設けられている。
【0026】
胴内排紙部24として利用される前記胴内空間は、装置本体2の前面及び左側面において外部に開放されている。ユーザは、これらの開放部分から手を差し入れ、胴内排紙部24から画像形成後のシートを取り出すことが可能である。前記胴内空間の底面241は、下部筐体21の上面で区画され、排出口961から排出されたシートが積載される。
【0027】
上部筐体22の前面には、操作パネルユニット25が突出して設けられている。操作パネルユニット25は、テンキー、スタートキーなどを含む操作キー251及びLCDタッチパネル252などを備え、ユーザからの各種の操作指示の入力を受け付ける。ユーザは、操作パネルユニット25を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。
【0028】
下部筐体21には、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット211が装着されている。増設給紙ユニット4もまた、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット41、42を含む。これら給紙カセット211、41、42は、自動給紙用に設けられたカセットであり、大量の記録シートをサイズ別に収容することができる。また、給紙カセット211、41、42は、下部筐体21又は増設給紙ユニット4の前面から手前方向に引出可能である。なお、図3では、下部筐体21の給紙カセット211のみを描いている。
【0029】
装置本体2の右側面には、ユーザに手差し給紙を行わせるためのマルチトレイユニットMが装着されている。マルチトレイユニットMは、手差しの記録シートが載置される給紙トレイ43と、前記記録シートを下部筐体21内の画像形成部へ搬入する給紙ユニット44とを含む。給紙トレイ43は、その下端部において下部筐体21に対して開閉自在に取り付けられており、不使用時は閉状態とされる。ユーザは、手差し給紙を行う場合、給紙トレイ43を開き、その上に記録シートを載置する。
【0030】
自動原稿給紙装置3Aは、装置本体2の上面に、その後側において回動自在に取り付けられている。なお、図3では、この自動原稿給紙装置3Aの記載を省いている。自動原稿給紙装置3Aは、装置本体2における所定の原稿読取位置に向けて、複写される原稿シートを自動給紙する。一方、ユーザが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置に載置する場合は、自動原稿給紙装置3Aは上方に開けられる。
【0031】
図2を参照して、自動原稿給紙装置3Aは、本体ハウジング30、原稿給紙トレイ31、原稿搬送部32、原稿排紙トレイ33を備える。本体ハウジング30は、自動原稿給紙装置3Aに備えられている各種の機構を収容する筐体である。自動原稿給紙装置3Aは、原稿搬送部32を収容する左側部分に、上方に隆起した前壁部301及び後壁部302を有すると共に、右側部分に、ほぼフラットな低層部分を備えている。
【0032】
原稿給紙トレイ31は、画像読取位置へ給送される原稿シートが載置されるトレイであって、本体ハウジング30の給送口30Hから延出するように、本体ハウジング30に付設されている。原稿給紙トレイ31には、載置された原稿シートの幅合わせを行うための一対のカーソル311が備えられている。
【0033】
原稿搬送部32は、原稿給紙トレイ31上の原稿シートを、画像読取位置を経由して原稿排紙トレイ33まで搬送する搬送路及び搬送機構を備える。原稿搬送部32は、本体ハウジング30の前壁部301及び後壁部302の間の開口に嵌め込まれる上部カバーユニット32Uを含む。これら詳細については、図4に基づいて後記で詳述する。
【0034】
原稿排紙トレイ33は、原稿画像が光学的に読み取られた後の原稿シートが排出されるトレイである。本体ハウジング30の右側における前記低層部分の上面が、原稿排紙トレイ33とされている。
【0035】
続いて、図3に基づいて、装置本体2の内部構造を説明する。下部筐体21の内部には、上方から順に、トナーコンテナ99Y、99M、99C、99Bk、中間転写ユニット92、画像形成部93、露光ユニット94、及び上述の給紙カセット211が収容されている。
【0036】
画像形成部93は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkを備える。各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲に配置された、帯電器12、現像装置13、一次転写ローラー14及びクリーニング装置15とを含む。
【0037】
感光体ドラム11は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム11としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器12は、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム11の周面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。
【0038】
現像装置13は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム11の周面にトナーを供給する。現像装置13は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー16、17、磁気ローラー18、及び現像ローラー19を含む。攪拌ローラー16、17は、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラー18の周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラー19の周面には、磁気ローラー18と現像ローラー19との間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー19上のトナーは、感光体ドラム11の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
【0039】
一次転写ローラー14は、中間転写ユニット92に備えられている中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム11とニップ部を形成し、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置15は、トナー像転写後の感光体ドラム11の周面を清掃する。
【0040】
イエロー用トナーコンテナ99Y、マゼンタ用トナーコンテナ99M、シアン用トナーコンテナ99C、及びブラック用トナーコンテナ99Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkの現像装置13に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0041】
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkの各々に設けられた感光体ドラム11の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0042】
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラー922及び従動ローラー923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム11からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、給紙カセット211から供給される記録シートに、二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラー922及び従動ローラー923は、下部筐体21によって回転自在に支持される。
【0043】
給紙カセット211(41、42)は、複数の記録シートが積層されてなるシート束を収納する。給紙カセット211の右端側の上部には、繰り出しローラー212が配置されている。繰り出しローラー212の駆動により、給紙カセット211内のシート束の最上層の記録シートが1枚ずつ繰り出され、搬入搬送路26へ搬入される。一方、給紙トレイ43に載置された手差しの記録シートは、給紙ユニット44の搬送ローラー45の駆動によって、搬入搬送路26へ搬入される。
【0044】
搬入搬送路26の下流側には、二次転写部98、後述する定着ユニット97及び排紙ユニット96を経由して排出口961まで延びる搬送路28が設けられている。搬送路28の上流部分は、下部筐体21に形成された内壁と、反転搬送ユニット29の内側面を形成する内壁との間に形成されている。なお、反転搬送ユニット29の外側面は、両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路291の片面を構成している。搬送路28の、二次転写部98よりも上流側にはレジストローラー対27が配置されている。シートは、レジストローラー対27にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部98に送り出される。
【0045】
連結筐体23の内部には、定着ユニット97と排紙ユニット96とが収納されている。定着ユニット97は、定着ローラーと加圧ローラーとを含み、二次転写部98においてトナー像が二次転写された記録シートを加熱及び加圧することで、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付の記録シートは、定着ユニット97の下流に配置されている排紙ユニット96により、排出口961から胴内排紙部24に向けて排出される。
【0046】
上部筐体22(第2の筐体)には、画像読取ユニット3Bが配設される。画像読取ユニット3Bは、コンタクトガラス222(透明部材)と、CISユニット224(読取手段)と、画像処理ユニット225(画像補正手段)とを含む。コンタクトガラス222は、自動原稿給紙装置3Aから自動給送される原稿シートと、上面に原稿面を下にして載置される固定原稿とに対向し、これらの原稿の画像が読み取られるための読み取り面となる。
【0047】
CISユニット224は、原稿シートの原稿情報を光学的に読み取る。CISユニット224は、不図示のLED光源と、GRIN(Graded-Index)レンズと、CIS(密着型イメージセンサ:Contact Image Sensor)とを含む。LED光源で照明された原稿からの反射光が、アレイ状に配置されたGRINレンズを介して、ライン状に配設されたCISで光電変換され、原稿の画像が読み取られる。CISで光電変換された原稿画像の画像データは、画像処理ユニット225に送られる。画像処理ユニット225は、原稿画像の読取条件に応じて、画像データに対して各種の画像処理を実行した後、処理後の画像データを露光ユニット94に送る。
【0048】
続いて、図4に基づき、自動原稿給紙装置3Aの内部構造について詳述する。図4は、自動原稿給紙装置3Aの要部である原稿搬送部32の断面図である。原稿搬送部32は、原稿シートPの搬送経路となる第1〜第3搬送路341〜343(原稿搬送路)と、これら第1〜第3搬送路341〜343の適所に配置された第1搬送ローラー対351および第2搬送ローラー対352と、原稿給紙トレイ31に載置された原稿シートを原稿搬送部32内へ送り込む原稿給送ユニット5と、を備える。
【0049】
第1、第2及び第3搬送路341、342、343は、上述の給送口30Hから、搬送される原稿の画像の光学的な原稿読取位置X(第1の位置)を経由して、原稿シートPを原稿排紙トレイ33に排紙する排紙口30Eまで延びる、U字型に湾曲したシート搬送路を構成している。
【0050】
第1搬送路341は、原稿給紙トレイ31に連なって給送口30Hから左方に、略円弧形状を有しながら、第1搬送ローラー対351まで、やや先下がりに延びる搬送路である。第1搬送路341は、原稿給送ユニット5から送り出された原稿シートPが最初に通過する搬送路である。この第1搬送路341の上側搬送面は、上部カバーユニット32Uの第1ガイド部材355により画定されている。
【0051】
第2搬送路342は、第1搬送路341の下流端から、原稿読取位置Xを形成する接面ガイド36との対向位置まで延びる、円弧状の搬送路である。なお、接面ガイド36は、コンタクトガラス222(図3)に対向配置され、該コンタクトガラス222との間で原稿読取位置Xを形成する。第2搬送路342の下側搬送面は、円弧状の第2ガイド部材361によって画定され、第2搬送路342の上側搬送面は、第2ガイド部材361に対向して配置される、円弧状の第3ガイド部材362によって画定される。
【0052】
第3搬送路343は、接面ガイド36との対向位置から右方に、排紙口30Eまでやや先上がりに延びる搬送路である。第3搬送路343の入口側は、コンタクトガラス222上に配設された後記の原稿排出ガイド63と、該原稿排出ガイド63の上方に対向配置される第4ガイド部材363とによって画定される。
【0053】
原稿給送ユニット5は、第1搬送路341の入口側に配置されている。また、原稿給送ユニット5は、上部カバーユニット32Uの下面に組み付けられている。原稿給送ユニット5は、各構成部品を支持するホルダ50と、ピックアップローラー51と、該ピックアップローラー51に対してシート搬送方向の下流側に所定間隔をおいて配置される原稿給紙ローラー52と、ピックアップローラー51と原稿給紙ローラー52との間の駆動伝達を行うアイドラギア57とを含む。
【0054】
ピックアップローラー51は、不図示の駆動手段により回転駆動され、原稿給紙トレイ31に載置された原稿シートPを、第1搬送路341に向けて送り出す。図4に示すように、本体ハウジング30の原稿給紙トレイ31の下流端には、ピックアップローラー51と対向する位置に、対向パッド313が配置されている。ピックアップローラー51は、原稿シートPに当接するために、不図示の回動手段によって矢印D1の方向に回動される。そして、ピックアップローラー51と対向パッド313との間に、原稿シートPが挟持されるニップ部A1が形成される。
【0055】
原稿給紙ローラー52は、不図示の駆動手段によって回転駆動され、ピックアップローラー51から送り出された原稿シートを、さらに第1搬送路341下流に向けて1枚ずつ搬送する。図4に示すように、本体ハウジング30には、原稿給紙ローラー52に対向して、分離パッド350が下方に配置されている。分離パッド350の更に下方には、該分離パッド350を上方に押圧するバネ部材350aが配置されている。バネ部材350aの押圧力により、原稿給紙ローラー52と分離パッド350との間で、ニップ部B1が形成される。
【0056】
第1、第2搬送ローラー対351、352は、それぞれ、原稿シートを搬送する回転駆動力を発生する駆動ローラー351A、352Aと、これに当接されて従動回転する従動ローラー351B、352Bとの組み合わせからなる。
【0057】
第1搬送ローラー対351は、第1搬送路341と第2搬送路342との間に配置され、原稿給送ユニット5から送り出された原稿シートを原稿読取位置Xに向けて給送する。第2搬送ローラー対352は、第3搬送路343の終端に配設され、原稿読取位置Xにおいて読み取り動作が終了された原稿シートPを排紙口30Eから原稿排紙トレイ33に向けて給送する。
【0058】
次に、図5〜図8を参照して、本実施形態に係る画像読取ユニット3Bの構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る画像読取ユニット3Bを示す断面図であり、図6および図7は、画像読取ユニット3Bを示す平面図である。図6は、図7に対して、後記のシートホルダ61、搬送ガイドシート62、透明シート70が取り外された状態を表している。また、図8は、自動原稿給送装置3Aと画像読取ユニット3Bとの間に形成された、原稿読取位置Xの周辺の構成を示す拡大断面図である。
【0059】
図5を参照して、画像読取ユニット3Bは、上部筐体22に収容される。上部筐体22(第1の筐体)は、上部フレーム22Aと、下部フレーム22Zと、原稿排出ガイド63(ガイド部材)と、サイドフレーム223とを備える。上部筐体22は、上方を上部フレーム22Aに、下方を下部フレーム22Zによって画定される。すなわち、上部フレーム22Aおよび下部フレーム22Zが、組み合わされることで、箱型の上部筐体22が形成される。
【0060】
図6を参照して、上部フレーム22Aには、上方に開口する2つの開口部が、それぞれ読取領域Aおよび読取領域Bとして形成されている。読取領域Aと読み取り領域Bとの境界は、後記の原稿排出ガイド63で画定される。読取領域Aは、自動原稿給送装置3Aによって搬送される原稿の画像が読み取られる原稿読取位置X(第1の位置)が含まれる領域であり、読取領域B(第2の位置)は、コンタクトガラス222に載置される固定原稿の画像が読み取られる領域である。読取領域Aは、上部フレーム22Aの左端に、前後方向に細長形状を持って形成され、四辺を第11開口辺22B、第12開口辺22C、第13開口辺22D、第14開口辺22Eによって画定される。一方、読取領域Bは、読取領域Aの右側に所定の間隔をおいて隣接して形成される。読取領域Bは、読取領域Aの右側近傍から、上部フレーム22Aの右端近傍にまで広がるように、形成されている。読取領域Bは、四辺を第21開口辺22F、第22開口辺22G、第23開口辺22H、第24開口辺22Iによって画定される。
【0061】
図5および図6を参照して、コンタクトガラス222(透明部材)は、上部フレーム22Aの裏側から挿入され、読取領域Aおよび読取領域Bを下方から塞ぐように、上部フレーム22Aに固定配置される。本実施形態では、コンタクトガラス222は、1枚のガラス板から構成される。コンタクトガラス222の読取領域Aに配設された部分は、自動原稿給送装置3Aによって搬送された原稿シートが対向し、コンタクトガラス222の読取領域B(第2の位置)に配設された部分は、固定原稿が、上面に原稿面を下にして載置される。そして、CISユニット224は、図5の矢印Diに示すように、これらの原稿画像を読み取るために、読取領域Aから読取領域Bの右端までの間を、不図示の移動手段によって、移動可能に配設されている。
【0062】
原稿排出ガイド63(ガイド部材)は、上部フレーム22Aの一部であり、上部フレーム22Aが一体成型によって製造されることで、上部フレーム22Aの上面に配置される。原稿排出ガイド63は、読取領域Aおよび読取領域Bの境界に相当し、第13開口辺22Dおよび第21開口辺22Fは、原稿排出ガイド63の側縁によって形成される。図8を参照して、原稿排出ガイド63は、コンタクトガラス222の上面から立設し、互いに左右方向に離間して配設される第1ガイド脚部631及び第2ガイド脚部633と、ガイド傾斜部635とを備える。第1ガイド脚部631は、読取領域A側でコンタクトガラス222の上面から立設するように配設される壁部であり、第2ガイド脚部633は、読取領域B側でコンタクトガラス222から立設するように配設される壁部である。第2ガイド脚部633は、第1ガイド脚部631に比べて、高く配設される。ガイド傾斜部635は、第1ガイド脚部631と第2ガイド脚部633とを連設する。ガイド傾斜部635は、第1ガイド脚部631のガイド前壁634から延設され、第2ガイド脚部633側に向かって、コンタクトガラス222から離れるように(上方向に向かって)、所定の角度で傾斜した平面部である。
【0063】
サイドフレーム223は、上部フレーム22Aの一部であり、上部フレーム22Aが一体成型によって製造されることで、上部フレーム22Aの上面に配置される。サイドフレーム223は、読取領域Aの左端に位置し、後記のシートホルダ61を保護する機能を備える。
【0064】
図7および図8を参照して、画像読取ユニット3Bは、読取領域Aにおいて、透明シート70(透明シート部材)と、搬送ガイドシート62(押さえ部材)と、シートホルダ61とを備える。
【0065】
図8において、読取領域Aの左右方向の略中心位置に、CISユニット224内のCISが原稿を読み取る原稿読取位置X(第1の位置)が配置される。また、読取領域Aの上方には、前述の自動原稿給送装置3A内の第2搬送路342および第3搬送路343が配置される。すなわち、原稿シートPは、第2搬送路342を左上方から搬送され、コンタクトガラス222上の原稿読取位置Xを通過し、第3搬送路343を右上方に向かって搬送される。
【0066】
透明シート70は、透明の薄板状のシート部材である。本実施形態では、透明シート70の材料として、板厚0.2mmのPETフィルムが用いられる。なお、透明シート70として、その他の透明のシート材料を採用することができる。この場合、透明シート70の板厚は、好ましくは、0.1mmから0.4mmの範囲に設定される。透明シート70は、第1シート部705と第2シート部706とを備える。第1シート部705は、原稿シートPの搬送方向上流側から搬送方向下流側にかけて、原稿読取位置Xを覆うように、コンタクトガラス222上に配置される。第2シート部706は、第1シート部705の搬送方向下流側で第1シート部705に連設され、かつ、原稿排出ガイド63のガイド傾斜部635に当接する。第1シート部705は、コンタクトガラス222の上面に密着するように配設される。また、透明シート70は、第1シート部705と第2シート部706との間に、屈曲部701を備える。すなわち、屈曲部より原稿シートPの搬送方向上流側が第1シート部であり、屈曲部より原稿シートPの搬送方向下流側が第2シート部である。また、透明シート70の第1シート部705および第2シート部706のコンタクトガラス222に対向する面には、反射防止処理が施されている。
【0067】
搬送ガイドシート62は、原稿読取位置Xよりも、原稿シートPの搬送方向上流側に配設される。搬送ガイドシート62は、透明シート70と同様の透明の薄板状のシート部材である。搬送ガイドシート62には、透明シート70と同種の材料が用いられる。搬送ガイドシート62は、原稿読取位置Xよりも搬送方向上流側の第1シート部705を、コンタクトガラス222側に押さえる機能を備える。また、搬送ガイドシート62のうち、搬送方向下流側の原稿読取位置Xの近傍に配設されたガイドシート先端部622は、第2搬送路342に進入するように配置される。このため、第2搬送路342を搬送される原稿シートPは、ガイドシート先端部622に当接しながら、原稿読取位置Xに向かう。
【0068】
シートホルダ61は、透明シート70および搬送ガイドシート62よりも、原稿シートPの搬送方向上流側のコンタクトガラス222上に配置される。シートホルダ61は、僅かに高さを持った左右方向の断面視で略T字形状の板状部材である。シートホルダ61は、コンタクトガラス222の上面から立設するように配設されるホルダ支持部611と、ホルダ支持部611から、それぞれ左右方向に延設されるホルダ基端部612とホルダ先端部613とを備える。ホルダ基端部612は、サイドフレーム223によって上方を覆われている。すなわち、シートホルダ61は、ホルダ基端部612にユーザが触れることができないように、サイドフレーム223によって保護されており、これによって、シートホルダ61がホルダ支持部611を支点として、左側に倒れることが抑止される。また、ホルダ先端部613は、コンタクトガラス222との間で、透明シート70の第1シート部705の透明シート基端部703および搬送ガイドシート62のガイドシート基端部621を挟むように支持する。そして、図7に示すように、シートホルダ61の前後方向の中央部には、締結部62aが2箇所配設されている。該締結部62aによって、透明シート70と搬送ガイドシート62とが一体的に固定され、読取領域Aから離脱することが抑止される。なお、サイドフレーム223によって、ホルダ支持部611を支点としたシートホルダ61の傾動が抑止されるため、搬送ガイドシート62および透明シート70を支持するホルダ先端部613が上方に浮きあがることが防止される。
【0069】
次に、本実施形態において、読取領域Aにおいて発現される作用について説明する。自動原稿給送装置3Aの原稿給送ユニット5(図4)によって給送された原稿シートPは、第1搬送路341から第2搬送路342に搬入される。そして、第2搬送路342を原稿読取位置Xに向かって搬送される原稿シートPは、搬送ガイドシート62のガイドシート先端部622に接触する(図8)。この際、原稿シートPの進行方向は、右下方向から略水平方向に変化される。このため、原稿シートPは、原稿読取位置Xの上方を、略水平方向に搬送される。そして、CISユニット224によって、原稿読取位置Xを通過する原稿シートPの原稿画像が読み取られる。原稿読取位置Xを通過した原稿シートPは、原稿排出ガイド63上に当接した第2シート部706の透明シート当接部704に接触する。この際、原稿シートPの進行方向は、略水平方向から、右上方向に向かうように変化される。透明シート当接部704に当接した原稿シートPは、第3搬送路343を更に下流側に向かって搬送され、排紙口30Eから原稿排紙トレイ33に排出される。
【0070】
このように、本実施形態では、原稿読取位置Xを搬送方向上流側から下流側に向かって搬送される原稿シートPは、原稿読取位置Xよりも上流側の位置で、ガイドシート先端部622に接触する。また、原稿シートPは、原稿読取位置Xよりも下流側の位置で、透明シート当接部704に接触する。そして、ガイドシート先端部622から透明シート当接部704に向かって搬送される原稿シートPは、略水平方向に搬送されるため、原稿シートPが、透明シート70の第1シート部705に接触することが抑止される。したがって、透明シート70の第1シート部705が、原稿シートPによって摺擦され、第1シート部705に傷が生じることが抑制される。この結果、該傷によってCISユニット224が読み取る読取画像に、ノイズ画像は含まれることがない。更に、透明シート70の第1シート部705に、傷の発生を防止するためのハードコート処理が施される必要がない。
【0071】
更に、本実施形態では、搬送ガイドシート62が、第1シート部705をコンタクトガラス222側に押さえる機能を備える。このため、第1シート部705がコンタクトガラス222から上方に浮き上がり、原稿シートPに接触することが抑止される。また、第1シート部705とコンタクトガラス222との間に、空気層が形成されにくいため、該空気層と透明シート70との境界で、CIS224がもたらす反射光が干渉し、読取画像に干渉縞が含まれることが防止される。
【0072】
また、本実施形態では、第1シート部705と第2シート部706との間には、第1シート部705がコンタクトガラス222に密着するように、屈曲部701が形成されている。屈曲部701によって、第1シート部705および第2シート部706の姿勢が、互いに影響を受けにくく、第1シート部705がコンタクトガラス222に密着される状態が維持される。したがって、上記のように、空気層が形成されることによってもたらされる不具合が防止される。
【0073】
更に、本実施形態では、屈曲部701の屈曲角度は、原稿排出ガイド63のガイド傾斜部635がガイド前壁634から傾斜する傾斜角度と平行になるように、設定されている。この結果、透明シート70の第2シート部706は、原稿排出ガイド63のガイド傾斜部635に面接触によって当接する。このため、屈曲部701の周辺が撓み、屈曲部701がコンタクトガラス222から浮き上がることが抑止される。また、透明シート70の撓みによって、透明シート70に弾性力が蓄積され、搬送される原稿シートPが、透明シート70に接触した際に、不安定な力が原稿シートPに付与されることが防止される。
【0074】
なお、前述のとおり、透明シート70の第1シート部705および第2シート部706のコンタクトガラス222に対向する面には、反射防止処理が施されている。透明シート70がコンタクトガラス222上に配設された際に、コンタクトガラス222と透明シート70の第1シート部705との間に、わずかな空気層ができる場合がある。この際、コンタクトガラス222と空気層との境界で生じる反射光と、空気層と透明シート70の第1シート部705との境界で生じる反射光と、が干渉し、干渉縞の模様が読取画像に含まれることがある。したがって、透明シート70のコンタクトガラス222に対向する面に反射防止処理が施されることによって、前記光の干渉が抑止され、干渉縞の模様が読取画像に含まれることが防止される。
【0075】
また、本実施形態では、透明シート70および搬送ガイドシート62の搬送方向上流側では、透明シート基端部703およびガイドシート基端部621が、ホルダ先端部613によって一体的に支持されている。したがって、第1シート部705のコンタクトガラス222への密着と、ガイドシート先端部622の第2搬送路342への進入位置が安定して維持される。
【0076】
以上、本実施形態に係る画像読取装置3および画像形成装置1について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0077】
(1)本実施形態では、原稿排出ガイド63が、上部フレーム22Aに一体的に配設される構成として説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、原稿排出ガイド63は、上部フレーム22Aに対して、別部材として、固定される構成であってもよい。
【0078】
(2)また、本実施形態では、透明シート70において、第1シート部705と第2シート部706との間に、屈曲部701が形成される構成で説明したが、これに限定されるものではない。第1シート部705のコンタクトガラス222への密着と、第2シート部706の原稿排出ガイド63への当接面が安定して確保される構成であれば、他の態様でも同様の効果が奏される。たとえば、第2シート部706は、原稿排出ガイド63に対して、所定の幅をもって両面テープなどで固定される態様であってもよい。
【0079】
(3)また、本実施形態では、原稿読取位置Xにおいて、搬送される原稿シートPの原稿画像が、CIS224によって読み取られる構成で説明したが、これに限定されるものではない。原稿画像を読み取る読取手段として、各種の縮小光学系および密着光学系の読取手段が採用される態様であってもよい。
【0080】
(4)更に、上記の透明シート70には、CISユニット224による原稿画像の読取に影響を与えないために、高い透過率(全光線透過率)を備えた材料が用いられることが好適であるが、コンタクトガラス222よりも透過率が低い材料が用いられる態様であってもよい。この場合、透明シート70の材料コストが抑制される。一方、このように、透明シート70の透過率がコンタクトガラス222よりも低い場合、読取領域Aにおいて、搬送される原稿シートPの原稿画像が読み取られる場合の方が、読取領域Bにおいて、固定原稿の原稿画像が読み取られる場合よりも、CISユニット224による原稿照射光量が低下する。読取領域Bでは、固定原稿は、コンタクトガラス222のみを通過した照射光を受けるが、読取領域Aでは、原稿シートPは、コンタクトガラス222および透明シート70を通過した照射光を受けるためである。この結果、原稿シートPの原稿画像を基に形成されたプリント画像のほうが、固定原稿の原稿画像を基に形成されたプリント画像よりも、濃度が低くなってしまう。
【0081】
この場合、画像補正ユニット225(画像補正手段)が、読取領域Aにおいて、搬送される原稿シートPの原稿画像が読み取られる場合と、読取領域Bにおいて、固定原稿の原稿画像が読み取られる場合とでは、異なる画像補正動作を実行することが好ましい。
【0082】
たとえば、原稿に照射する照明光の光量分布の不均一性や受光素子間の受光感度のバラツキがあると画像データの読み取り品質が低下するため、画像補正ユニット225はシェーディング補正機能を備える。CISユニット224には、不図示の白色基準板(白色基準値を測定するために用いられる基準板)を備える。CISユニット224が、白色基準板に照明光を照射して得られる反射光等を受光素子(不図示)で受光する。そして、該反射光に基づいて、画像補正ユニット225が、シェーディング補正用データを受光素子毎に求め、このデータを用いて原稿から読み取られた原稿画像データを補正する。このように、シェーディング補正機能は、照明光の光量分布の不均一性や受光素子間の受光感度のバラツキを補正する機能である。
【0083】
このシェーディング補正機能を利用して、読取領域Aにおいて、搬送される原稿シートPの原稿画像が読み取られる場合には、画像補正ユニット225は、前記シェーディング補正用データに、予め不図示の記憶部に格納された補正データを加算(または減算)する。これにより、原稿シートPの原稿画像に基づいて形成されたプリント画像の濃度を、固定原稿の原稿画像に基づいて形成されたプリント画像の濃度に、近づけることが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 画像読取装置
3A 自動原稿給送装置(第2の筐体)
3B 画像読取ユニット
22 上部筐体(第1の筐体)
22A 上部フレーム
22Z 下部フレーム
223 サイドフレーム
22B 第11開口辺
22C 第12開口辺
22D 第13開口辺
22E 第14開口辺
22F 第21開口辺
22G 第22開口辺
22H 第23開口辺
22I 第24開口辺
222 コンタクトガラス(透明部材)
224 CISユニット(読取手段)
225 画像補正ユニット(画像補正手段)
355 第1ガイド部材
36 接面ガイド
361 第2ガイド部材
362 第3ガイド部材
363 第4ガイド部材
61 シートホルダ(支持部材)
611 ホルダ支持部
612 ホルダ基端部
613 ホルダ先端部
62 搬送ガイドシート(押さえ部材)
621 ガイドシート基端部
622 ガイドシート先端部
63 原稿排出ガイド(ガイド部材)
631 第1ガイド脚部
632 ガイド頂部
633 第2ガイド脚部
634 ガイド前壁
635 ガイド傾斜部
70 透明シート(透明シート部材)
701 屈曲部
702 透明シート先端部
703 透明シート基端部
704 透明シート当接部
705 第1シート部
706 第2シート部
A 読取領域A
B 読取領域B(第2の位置)
X 原稿読取位置X(第1の位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
前記第1の筐体に対して、開閉可能な第2の筐体と、
前記第2の筐体に配設され、閉状態の前記第2の筐体に対向する前記第1の筐体上の第1の位置を通過するように原稿を搬送する原稿搬送路と、
前記第1の位置と、前記第1の位置に隣接し、上面に原稿面を下にして固定原稿が載置される第2の位置とを含むように、前記第2の筐体に対向して、前記第1の筐体に配設される板状の透明部材と、
前記第1の筐体に配設され、前記第1の位置および前記第2の位置で、前記透明部材を通して、前記原稿または前記固定原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記第1の位置よりも前記原稿の搬送方向下流側において、前記透明部材上に配設され、前記原稿を搬送方向下流側に誘導するガイド部材と、
前記搬送方向上流側から前記搬送方向下流側にかけて、前記第1の位置を覆うように、前記透明部材上に配置される第1シート部と、前記ガイド部材に沿うように、該ガイド部材に当接し、前記原稿搬送路を搬送される前記原稿が接触する第2シート部と、を備える透明シート部材と、
前記第1の位置よりも前記搬送方向上流側の前記第1シート部を、前記透明部材側に押さえ、かつ、前記原稿搬送路を搬送される前記原稿が接触する押さえ部材と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記透明シート部材は、屈曲部を有し、該屈曲部は、前記第1シート部の前記搬送方向下流側に配置され、
前記屈曲部より前記搬送方向上流側が前記第1シート部であり、
前記屈曲部より前記搬送方向下流側が前記第2シート部であり、
前記屈曲部は、前記第1シート部が前記透明部材に密着するように屈曲された
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記第1の位置よりも前記搬送方向下流側で、前記透明部材に対して立設される立壁と、前記立壁に連設され、前記搬送方向下流側に向かって、前記透明部材から離れる方向に傾斜した傾斜部と、を備え、
前記第2シート部は前記ガイド部材の前記傾斜部に面接触によって当接することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記透明シート部材の前記透明部材に対向する面には、反射防止処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記透明シート部材の前記第1シート部の前記搬送方向上流側の端部と、前記押さえ部材の前記搬送方向上流側の端部と、を支持する支持部材を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記透明シート部材は、前記透明部材よりも透過率が低く、
前記読取手段によって読み取られた画像を補正する画像補正手段を更に備え、
前記画像補正手段は、前記第1の位置で読み取られた前記原稿の画像と、前記第2の位置で読み取られた前記固定原稿の画像との間で、異なる画像補正を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置によって読み取られた画像に基づいて、シートに画像を形成する画像形成手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115711(P2013−115711A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261896(P2011−261896)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】