画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法
【課題】コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図る。
【解決手段】省エネルギーモードからの復帰に際して、検出手段1200のピーク検出回路1202で検出した白基準板のピークデータに基づいて照明手段の照度の立ち上りを検出し、ピークデータが基準レベルを超えた場合には、照明手段の照度が立ち上がったと判定し、ゲイン調整処理へ移行するようにした。これにより、従来のように時間管理にて照明手段の照度の安定を判定していた場合と比較して、ゲイン調整に移行するまでの時間を短縮することができるので、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることができる。
【解決手段】省エネルギーモードからの復帰に際して、検出手段1200のピーク検出回路1202で検出した白基準板のピークデータに基づいて照明手段の照度の立ち上りを検出し、ピークデータが基準レベルを超えた場合には、照明手段の照度が立ち上がったと判定し、ゲイン調整処理へ移行するようにした。これにより、従来のように時間管理にて照明手段の照度の安定を判定していた場合と比較して、ゲイン調整に移行するまでの時間を短縮することができるので、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、スキャナ、フアクシミリなどに用いられる画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境保護、省エネルギーが取り上げられ、複写機やMFPなどの設計においても、エナジースター、ZESM等の省エネルギーを目標として提唱されている規格に適合させるための努力が続けられている。これらの規格は省エネルギーを目的とし、待機状態(主電源オン後、使用されない状態が所定の時間経ったときに一部の電源供給を停止し、復帰指令を待つ状態)にある時、消費エネルギーに制限を設けたものである。
【0003】
現在、複写機やMFPで実施されている待機時における省エネモードは、消費電力の大きい定着ヒータをはじめ、操作パネル等の電源はオフ、あるいは低電力運転に切り替えられ、スキャナ部に於いては電源を一括してオフされることが一般的である。
【0004】
一方、待機状態にある複写機やMFPを使用する場合は、電源をオン状態に戻したり、低電力運転から通常運転状態に戻し、使用可能な状態になるまでユーザを待たせることになる。この待ち時間はユーザにとっては実際以上に長く感じられ、ストレスを与えることにつながっている。
【0005】
具体的には、待機状態からの復帰時において、スキャナ部は得られたアナログ画像信号が精度良くデジタル画像信号に変換されるように、電源がオンされた時に以下の調整を行っている。
・ アナログ画像信号を程よい大きさに増幅するための増幅率の調整。
・ 黒レベルが最適な値になるように基準レベルの調整。
【0006】
従って、スキャナ部への電源供給を停止する場合における待機状態からの復帰時に、上記した調整を行うための時間が含まれ、ユーザをより長く待たせる結果につながると言う不具合がある。
【0007】
そこで従来においては、ゲイン調整実行前の走行体のイニシャライズ処理(ホームポジション検出)を省略して上述した調整に掛かる時間の短縮を行うもの(特許文献1)や上述した調整の初期値を保存しておいた省エネモード移行前の値とする事で調整に掛かる時間の短縮を行うもの(特許文献2,3)などが提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−118726号公報
【特許文献2】特開2002−112027号公報
【特許文献3】特開2002−077520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年においては、特許文献1〜3のような技術による復帰時間の短縮化に加えて、更なる復帰時間の短縮が必要となってきている。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、前記照明手段により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータに基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、を備える。
【0012】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0013】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0014】
また、請求項4にかかる発明は、請求項2または3記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される。
【0015】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0016】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【0017】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段を制御するCPUに対して割込み信号を出力する。
【0018】
また、請求項8にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、前記照明手段により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、前記ゲイン調整手段によるゲイン調整に基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、を備え、前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段によるゲイン調整処理を終了する。
【0019】
また、請求項9にかかる発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0020】
また、請求項10にかかる発明は、請求項9記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0021】
また、請求項11にかかる発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0022】
また、請求項12にかかる発明は、請求項11記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【0023】
また、請求項13にかかる発明の画像形成装置は、請求項1ないし12のいずれか一記載の画像読取装置と、前記画像読取装置が読み取った画像データに従って画像を形成して出力する画像印刷装置と、を備える。
【0024】
また、請求項14にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、前記照明工程により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出工程と、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータに基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、を含む。
【0025】
また、請求項15にかかる発明は、請求項14記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0026】
また、請求項16にかかる発明は、請求項15記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0027】
また、請求項17にかかる発明は、請求項15または16記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される。
【0028】
また、請求項18にかかる発明は、請求項14記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0029】
また、請求項19にかかる発明は、請求項18記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【0030】
また、請求項20にかかる発明は、請求項14記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程を制御するCPUに対して割込み信号を出力する。
【0031】
また、請求項21にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、前記照明工程により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、前記ゲイン調整工程によるゲイン調整に基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、を含み、前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程によるゲイン調整処理を終了する。
【0032】
また、請求項22にかかる発明は、請求項21記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0033】
また、請求項23にかかる発明は、請求項22記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0034】
また、請求項24にかかる発明は、請求項21記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0035】
また、請求項25にかかる発明は、請求項24記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【発明の効果】
【0036】
請求項1,14にかかる発明によれば、省エネルギーモードからの復帰に際して、白基準板のピークデータに基づいて照明手段の照度の立ち上りを検出し、ゲイン調整処理へ移行する為の判定処理を行うようにしたことにより、従来のように時間管理にて照明手段の照度の安定を判定していた場合と比較して、ゲイン調整に移行するまでの時間を短縮することができるので、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0037】
また、請求項2,15にかかる発明によれば、検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することができるので、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0038】
また、請求項3,16にかかる発明によれば、照明手段の照度に応じて照度立ち上がりの基準レベルを任意に可変出来るようにすることで、経時の変動にもフレキシブルに対応することができる、という効果を奏する。
【0039】
また、請求項4,17にかかる発明によれば、基準レベルは、主電源投入時における白基準板の読取りレベル(電源投入時のイニシャライズ処理における照明手段の照度の検出レベル)に基づいて演算されて保存されることにより、省電力状態からの復帰でない場合の照度を基準レベルとすることになるので、より適切な基準レベルを設定し、経時の変動にもフレキシブルに対応することができる、という効果を奏する。
【0040】
また、請求項5,18にかかる発明によれば、検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、基準レベルの設定を必要とせず、ウェイト時間の短縮を行なうことができる、という効果を奏する。
【0041】
また、請求項6,19にかかる発明によれば、比較に用いる変化率の基準値は変更可能であることにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することが可能となり、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0042】
また、請求項7,20にかかる発明によれば、照度立ち上がりの基準レベルを超えた場合に割込み信号を発生させることでリアルタイムな処理の実行を可能とし、制御の負荷を軽減することができる、という効果を奏する。
【0043】
また、請求項8,21にかかる発明によれば、照度の立ち上がり途中におけるゲイン調整の実行結果から照度の立ち上がりを判断することで、初期調整にかかる時間を短縮し、復帰時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0044】
また、請求項9,22にかかる発明によれば、ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することができるので、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0045】
また、請求項10,23にかかる発明によれば、照明手段の照度に応じて照度立ち上がりの基準レベルを任意に可変出来るようにすることで、経時の変動にもフレキシブルに対応することができる、という効果を奏する。
【0046】
また、請求項11,24にかかる発明によれば、ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、基準レベルの設定を必要とせず、ウェイト時間の短縮を行なうことができる、という効果を奏する。
【0047】
また、請求項12,25にかかる発明によれば、変化率の基準値は変更可能であることにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することが可能となり、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0048】
また、請求項13にかかる発明によれば、従来のように時間管理にて照明手段の照度の安定を判定していた場合と比較して、ゲイン調整に移行するまでの時間を短縮することができるので、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0050】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図12に基づいて説明する。本実施の形態は画像形成装置として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿画像やプリンタあるいはFAX機能により入力された画像)を配信する機能等を複合したいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称されるデジタル複合機を適用した例である。
【0051】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるデジタル複合機1000を概略的に示す構成図である。本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、後処理装置であるフィニシャ100と画像読取装置であるスキャナ部200と画像印刷装置であるプリンタ部300とで構成されている。
【0052】
本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、操作部400(図2参照)のアプリケーション切り替えキーにより、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となっており、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。ここでは、複写モードにおける画像形成の流れを例に挙げ、図1を参照して説明する。
【0053】
まず、デジタル複合機1000のスキャナ部200について説明する。スキャナ部200は、概略的には、自動原稿送り装置(以後、ADF(Auto Document Feeder)という。)1と読み取りユニット50とで構成されている。
【0054】
ADF1の原稿台2に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部400上のプリントキー(図示せず)が押下されると、一番下の原稿から給送ローラ3、給送ベルト4によってコンタクトガラス6上の所定の位置に給送される。なお、デジタル複合機1000は、1枚の原稿をコンタクトガラス6上の所定の位置に給送完了する毎に原稿枚数をカウントアップするカウント機能を有している。
【0055】
コンタクトガラス6上の所定の位置に給送された原稿は、読み取りユニット50によって画像データを読み取られる。
【0056】
ここで、読み取りユニット50について詳述する。読み取りユニット50は、原稿を載置するコンタクトガラス6と光学走査系で構成されている。光学走査系は、照明手段である露光ランプ51、第1ミラー52、レンズ53、CCDイメージセンサ54等で構成されている。露光ランプ51および第1ミラー52は、図示しない第1キャリッジ上に固定され、第2ミラー55および第3ミラー56は、図示しない第1キャリッジ上に固定されている。この光学走査系は、図示しないスキャナ駆動モータにて駆動される。本実施の読み取りユニット50は、コンタクトガラス6上に原稿が搭載された場合に、露光ランプ51を点灯し、走行体である第1キャリッジおよび第2キャリッジをスキャナ駆動モータにより右方向に移動走査して原稿を読み取る読み取り方式と、露光ランプ51を点灯し、第1キャリッジおよび第2キャリッジは停止した状態のまま、ADF1によって搬送される原稿を読み取る読み取り方式が選択可能である。第1キャリッジおよび第2キャリッジをスキャナ駆動モータにより右方向に移動走査して原稿を読み取る読み取り方式の場合には、原稿像を読み取るときには、光路長が変わらないように、第1キャリッジと第2キャリッジとが2対1の相対速度で副走査方向に機械的に走査される。原稿画像は、CCDイメージセンサ54によって読み取られ、電気信号に変換されて出力される。CCDイメージセンサ54からの出力信号は、ADコンバータによりデジタルデータ(画像データ)に変換される。
【0057】
デジタルデータに変換された原稿画像情報は、例えばプリンタ部300に送られてプリント出力として画像情報の出力が行なわれる場合や、あるいは記憶装置に送られて入力画像情報の記憶が行なわれる場合等、種々あり、各々のスキャナ部200の情報として使用されている。
【0058】
読み取りユニット50によって画像データの読み取りが終了した原稿は、給送ベルト4および排送ローラ5によって排出される。
【0059】
さらに、原稿セット検知7にて原稿台2に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様に、次の原稿がコンタクトガラス6上に給送される。
【0060】
上述した給送ローラ3、給送ベルト4、排送ローラ5は、それぞれ搬送モータ(図示せず)によって駆動される。
【0061】
次に、デジタル複合機1000のプリンタ部300について説明する。プリンタ部300は、概略的には、作像ステーション70と定着ユニット17と給紙部80と両面給紙ユニット111とで構成されている。
【0062】
作像ステーション70は、電子写真方式で作像するものであり、書き込みユニット57と感光体15と現像ユニット27と転写部としても機能する搬送ベルト16とを主体として構成されている。
【0063】
給紙部80は、第1トレイ8と第2トレイ9と第3トレイ10と第1給紙装置11と第2給紙装置12と第3給紙装置13と縦搬送ユニット14とにより構成されている。第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10に積載された転写紙Pは、各々第1給紙装置11、第2給紙装置12、第3給紙装置13によって給紙され、縦搬送ユニット14によって感光体15に当接する位置まで搬送される。
【0064】
読み取りユニット50にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット57から出力されるレーザビームによって感光体15に書き込まれ、現像ユニット27を通過することによってトナー像が形成される。書き込みユニット57は、レーザ出力ユニット58、結像レンズ59、ミラー60で構成され、レーザ出力ユニット58の内部には、レーザ光源であるレーザダイオードおよびモータによって高速で定速回転する多角形ミラー(ポリゴンミラー)が備わっている。なお、特に図示しないが、感光体15の一端近傍のレーザビームを照射される位置に、主走査同期信号を発生するビームセンサが配置されている。
【0065】
感光体15上のトナー像は、感光体15の回転と等速で搬送ベルト16によって搬送される転写紙Pに転写される。その後、定着ユニット17に搬送されて画像を定着された転写紙Pは、排紙ユニット18によって後処理装置であるフィニシャ100に排出される。
【0066】
後処理装置のフィニシャ100は、排紙ユニット18の排紙ローラ19によって搬送された転写紙Pを、通常排紙ローラ102方向とステープル処理部方向へと切り替えて導くことができる。より詳細には、後処理装置であるフィニシャ100は、切り替え板101を上に切り替えることにより、搬送ローラ103を経由して通常の排紙トレイ104側に転写紙Pを排紙することができ、切り替え板101を下方向に切り替えることで、搬送ローラ105、107を経由して、ステープル台108に転写紙Pを搬送することができる。
【0067】
ステープル台108に積載された転写紙Pは、一枚排紙されるごとに紙揃え用のジョガー109によって、紙端面が揃えられ、一部のコピー完了と共にステープラ106によって綴じられる。ステープラ106で綴じられた転写紙P群は、自重によってステープル完了排紙トレイ110に収納される。
【0068】
一方、フィニシャ100の通常の排紙トレイ104は、前後に移動可能な排紙トレイである。前後に移動可能な排紙トレイ104は、原稿毎、あるいは、画像メモリによってソーティングされたコピー部毎に、前後に移動し、簡易的に排出されてくるコピー紙を仕分けるものである。
【0069】
本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、転写紙Pの両面に画像を作像可能である。転写紙Pの両面に画像を作像する場合は、各給紙トレイ8〜10から給紙され作像された転写紙Pを排紙トレイ104側に導かないで、排紙ユニット18の経路切り替えの為の分岐爪112を上側にセットすることで、一旦両面給紙ユニット111にストックする。その後、両面給紙ユニット111にストックされた転写紙Pは、再び感光体15に作像されたトナー画像を転写するために、反転された状態で両面給紙ユニット111から再給紙され、下側にセットされた分岐爪112を介して排紙トレイ104に導かれる。このように、転写紙Pの両面に画像を作成する場合に両面給紙ユニット111は使用される。また、画像の載った転写紙Pの裏面に印字を行なう際にも両面給紙ユニット111を用いて転写紙Pの裏表を変えることができる。
【0070】
なお、上述した感光体15、搬送ベルト16、定着ユニット17、排紙ユニット18、現像ユニット27、フィニシャ100は、メインモータ(図示せず)によって駆動され、各給紙装置11〜13はメインモータの駆動を各々給紙クラッチ(図示せず)によって伝達駆動される。縦搬送ユニット14は、メインモータの駆動を中間クラッチ(図示せず)によって伝達駆動される。
【0071】
図2は、デジタル複合機1000のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、このデジタル複合機1000は、コントローラ1101とプリンタ部300及びスキャナ部200とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ1101は、デジタル複合機1000全体の制御と描画、通信、操作部400からの入力を制御するコントローラである。なお、プリンタ部300又はスキャナ部200には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0072】
コントローラ1101は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)1111と、システムメモリ(MEM−P)1112と、ノースブリッジ(NB)1113と、サウスブリッジ(SB)1114と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)1116と、ローカルメモリ(MEM−C)1117と、ハードディスクドライブ(HDD)1118とを有し、NB1113とASIC1116との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス1115で接続した構成となる。また、MEM−P1112は、ROM(Read Only Memory)1112aと、RAM(Random Access Memory)1112bとをさらに有する。
【0073】
CPU1111は、デジタル複合機1000の全体制御を行うものであり、NB1113、MEM−P1112およびSB1114からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0074】
NB1113は、CPU1111とMEM−P1112、SB1114、AGPバス1115とを接続するためのブリッジであり、MEM−P1112に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0075】
MEM−P1112は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM1112aとRAM1112bとからなる。ROM1112aは、CPU1111の動作を制御するプログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM1112bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0076】
SB1114は、NB1113とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB1114は、PCIバスを介してNB1113と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部1104なども接続される。
【0077】
ASIC1116は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス1115、PCIバス、HDD1118およびMEM−C1117をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC1116は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC1116の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C1117を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プリンタ部300やスキャナ部200との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。このASIC1116には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)1121、USB(Universal Serial Bus)1122、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース1123が接続される。
【0078】
MEM−C1117は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD1118は、画像データの蓄積、CPU1111の動作を制御するプログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0079】
AGPバス1115は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P1112に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0080】
次に、本実施の形態のデジタル複合機1000のコントローラ1101がプログラムに従って実現する待機時に省電力化を図る省エネルギーモード(以下、省エネモードという)機能について簡単に説明する。デジタル複合機1000で実施される待機時における省エネモードは、消費電力の大きい定着ユニット17の定着ヒータや操作部400等の電源はオフあるいは低電力運転に切り替え、スキャナ部200においては電源を一括してオフする。より詳細には、デジタル複合機1000は、下記に示す3種類の省エネモードを備えている。
低電力モード:最後に機器を使用してから一定時間経過した場合に、エンジン系負荷の一部を除いて電源供給停止+定着温度を下げる。
スリープモード:低電力モードに移行後、引き続き操作が行われなかった場合、エンジン系負荷への電源供給を停止する。
オフモード:設定時間以上機器を使用しない場合に、エンジン系負荷は全て、コントローラ系負荷は一部を除いて電源供給停止する。
【0081】
なお、スリープモードは、オプション追加によりプリンタ機能やスキャナ機能を有した場合に有効となる。オフモードは、コピー機能しか有しない場合に有効となる。よって、スリープとオフモードは、デジタル複合機1000がどのような機能を有しているかにより、一方の機能のみ有効になる。すなわち、スリープモードとオフモードは、排他の関係にある。
【0082】
ところで、上述したような省エネモードによる待機状態からの復帰時においては、スキャナ部200は、得られたアナログ画像信号が精度良くデジタル画像信号に変換されるように、電源がオンされた時に以下の調整を行っている。
・ アナログ画像信号を程よい大きさに増幅するための増幅率の調整。
・ 黒レベルが最適な値になるように基準レベルの調整。
【0083】
従って、待機状態においてスキャナ部200への電源供給を停止する場合における待機状態からの復帰時に、上記した調整を行うための時間が含まれるため、電源投入後のスキャナ部200の原稿読み取り可能となるまでのウェイト時間の短縮が望まれている。
【0084】
次に、本実施の形態のデジタル複合機1000が備える特徴的な機能について説明する。
【0085】
図3は、スキャナ部200の読み取りユニット50を示す概略構成図である。前述した構成に加えて、読み取りユニット50の上部であってコンタクトガラス6の副走査方向上流側には、白基準板90が配置されている。この白基準板90は、電源オン時には画像信号を増幅するゲインアンプのゲイン調整する際の読み取り対象であり、原稿読み取り時にはシェーディング補正データを得るための読み取り対象である、主走査方向に設けられた均一濃度のほぼ白色の部材である。
【0086】
本実施の形態のデジタル複合機1000においては、原稿の読み取りに先立って白基準板90の読み取りデータを走査して、シェーディング補正用データを生成しメモリに記憶しておき、そのシェーディング補正用データで原稿画像を読み取りながら正規化することで、該装置における光量分布ムラ、CCDの感度ムラ、そして出力変動等を補正し、原稿の画像情報を精度よく読み取っている。
【0087】
CCDイメージセンサ54は、CCD基板92に搭載されている。このCCD基板92は、信号処理IC91(図4参照)などを備えている。CCD基板92は、入射光量に対応した電圧を出力し、画像処理部93に画像データとして渡す。
【0088】
上述したように、スキャナ部200はコントローラ1101に制御されるものであり、CCD基板92と画像処理部93とについてもコントローラ1101により制御されることになる。
【0089】
ここで、図4はスキャナ部200の制御系を示すブロック図である。図4に示すように、コントローラ1101は、信号処理IC91を制御する。また、コントローラ1101は、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能および露光ランプ51の照度の立ち上りの検出機能を備える検出手段1200を有している。検出手段1200は、白基準板90の読取レベルに対してノイズを除去する為の平均化処理を行なう平均化回路1201と、白基準板90の読取レベルについてピークデータを検出するピーク検出回路1202と、基準レベルを保持する基準レベル保持回路1203と、ピーク検出回路1202で検出したピークデータと基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルとを比較する比較回路1204とで構成されている。
【0090】
図4に示すように、CCDイメージセンサ54からの読み取り画像信号を処理する信号処理IC91は、RGB毎のアナログ処理回路により信号処理し、その後A/D変換し、読み取りデータとして画像処理部93に出力するまでの読み取り画像の信号処理を行う。信号処理IC91内の信号処理のフローを説明すると、ここでは、CCDイメージセンサ54の出力を交流結合した信号をクランプ(CLMP)回路91aによりラインクランプした後、サンプルホールド(SH)回路91bにより保持し、保持した信号をゲインが制御できる可変ゲインアンプ(VGA)91cを通して増幅してA/Dコンバータ(ADC)91dに入力する。変換後のデジタル画像データは、読み取り画像データとして画像処理部93に入力される。信号処理IC91は、上記した信号処理フローを実行する制御信号を生成するために、CCDイメージセンサ54の駆動や信号処理IC91のタイミング信号を発生するタイミングジェネレータ91e、CPU1111と直接やり取りを行うCPU IF91f等を構成要素として有する。
【0091】
このようなデジタル複合機1000の主電源投入時又は省エネモードからの復帰時には、A/Dコンバータ(ADC)91dのダイナミックレンジを有効に使用するため、上記白基準板90の読取レベルが規定のレベルとなるようにCCD出力のゲイン調整を行う処理が実行される。CCD出力のゲイン調整は、CCD出力をサンプリングした後、可変ゲインアンプ(VGA)91cにてアナログ信号として増幅する。なお、CCD出力のゲイン調整は、コンバータの分解能が十分な場合には、A/D変換を行った後にデジタル的に増幅する場合もある。また、CCD出力のゲイン調整は、両者の組合せで行う場合もある。
【0092】
主電源投入時又は省エネモードからの復帰時からゲイン調整にいたるステップとしては、一般的に次のような手順となる。まず、第1キャリッジおよび第2キャリッジのイニシャライズ処理(ホームポジション検出)を行った後、露光ランプ51の起動及び白基準板90領域へ第1キャリッジおよび第2キャリッジの移動が行われた後、ゲイン調整が実行される。ゲイン調整終了後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動が行われ、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行する。
【0093】
ここで、図5はスキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1キャリッジおよび第2キャリッジは、省エネモードへの移行時に白基準板90の領域へ移動して停止した状態となっている。なお、通常動作に戻る場合、原稿のセットなどをトリガとして、復帰の処理が実行される。
【0094】
復帰処理が開始されると、信号処理IC91等に必要な初期設定が行われ(ステップS1)、露光ランプ51の点灯処理が行われる(ステップS2:点灯手段)。
【0095】
従来は、この後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへと移動するホーミング動作を行うため、露光ランプ51の照度の安定期間を確保することが可能となっていた。しかしながら、第1キャリッジおよび第2キャリッジがすでに白基準板90の領域にいる場合においては、露光ランプ51の照度の安定期間のウェイトが必要となる。前述したように、本実施の形態では、更なる調整時間の短縮を行うため、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上がりを検出し、調整処理へ移行する為の判定処理を行っている。本実施の形態においては、露光ランプ51を点灯した後、一定間隔で白基準板90の読取レベルを検出し、予め設定してある基準レベルに対する判定を行う。
【0096】
具体的には、白基準板90を読取り(ステップS3)、ピークデータを検出する(ステップS4:ピーク検出手段)。ピークデータの検出は、検出手段1200により実行される。すなわち、検出手段1200の平均化回路1201で白基準板90の読取レベルに対してノイズを除去する為の平均化処理が行われ、平均化処理が行われた白基準板90の読取レベルについてピーク検出回路1202でピークデータが検出される。
【0097】
その後、ピークデータが基準レベル以上か否かが判定される(ステップS5)。ピークデータが基準レベル以上か否かの判定も、検出手段1200により実行される。すなわち、ピーク検出回路1202で検出したピークデータと、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルとの比較が比較回路1204で行われる。
【0098】
ピークデータが基準レベルを超えた場合には、露光ランプ51の照度が立ち上がったと判定し(ステップS5のYes:立ち上り検出手段)、ゲイン調整処理へ移行する(ステップS6:ゲイン調整手段)。
【0099】
ゲイン調整が終了すると、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動であるホーミング処理を行い、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行し(ステップS7)、露光ランプ51の消灯処理を行って(ステップS8)、処理を終了する。
【0100】
このように本実施の形態によれば、省エネモードへの移行時に第1キャリッジおよび第2キャリッジが白基準板90の領域へ移動して停止した状態である場合において、省エネモードからの復帰時のスキャナ部200の原稿読み取り可能となるまでのウェイト時間の短縮を図るため、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上りを検出し、ゲイン調整処理へ移行する為の判定処理を行うようにしたことにより、従来のように時間管理にて露光ランプ51の照度の安定を判定していた場合と比較して、更なる調整時間の短縮を図ることができる。
【0101】
なお、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルは、以下の方法で取得可能である。例えば、従来と同様、主電源ON時に初期設定処理、ランプ点灯処理、走行体のホーミング処理を経て、白基準板90の領域への移動が行われる。このとき、ゲイン調整を開始する前に、白基準板90の読み取りが実行される。このときの読取レベルに基づいて、ランプ立ち上りを判断するための基準レベルの演算及び基準レベルの保存が行われる。このときの基準レベルは、露光ランプ51の照度変動の特性を考慮して、読取ったレベルの70〜80%程度を基準レベルとして設定する。また、基準レベルを超えてからのウエイトを入れる場合などは、より低い基準レベルとすることもできる。
【0102】
また、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルは変更することができるものであっても良い。このように基準レベルを可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた基準レベルの設定が可能となっている。
【0103】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を図6および図7に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0104】
ここで、図6はスキャナ部200の制御系を示すブロック図である。図6に示すように、本実施の形態においては、ピーク検出回路1202で検出したピークデータと、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルとの比較が比較回路1204で行われた結果、ピークデータが予め設定された基準レベルを超えた場合に、比較回路1204はCPU1111に対して割込み信号を出力する。CPU1111は、比較回路1204からの割込み信号を受け取ると、ゲイン調整処理を開始する。
【0105】
図7は、スキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1キャリッジおよび第2キャリッジは、省エネモードへの移行時に白基準板90の領域へ移動して停止した状態となっている。なお、通常動作に戻る場合、原稿のセットなどをトリガとして、復帰の処理が実行される。
【0106】
復帰処理が開始されると、信号処理IC91等に必要な初期設定が行われ(ステップS11)、露光ランプ51の点灯処理が行われる(ステップS12)。
【0107】
従来は、この後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへと移動するホーミング動作を行うため、露光ランプ51の照度の安定期間を確保することが可能となっていた。しかしながら、第1キャリッジおよび第2キャリッジがすでに白基準板90の領域にいる場合においては、露光ランプ51の照度の安定期間のウェイトが必要となる。前述したように、本実施の形態では、更なる調整時間の短縮を行うため、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上がりを検出し、調整処理へ移行する為の判定処理を行っている。本実施の形態においては、露光ランプ51を点灯した後、一定間隔で白基準板90の読取レベルを検出し、予め設定してある基準レベルに対する判定を行う。
【0108】
具体的には、白基準板90を読取るとともに、ピークデータの検出を開始する(ステップS13)。ピークデータの検出は、検出手段1200により実行される。すなわち、検出手段1200の平均化回路1201で白基準板90の読取レベルに対してノイズを除去する為の平均化処理が行われ、平均化処理が行われた白基準板90の読取レベルについてピーク検出回路1202でピークデータが検出される。
【0109】
その後、ピークデータが予め設定された基準レベルを超えた場合に、比較回路1204からの割込み信号を受け取ると(ステップS14のYes)、露光ランプ51の照度が立ち上がったと判定し、ゲイン調整処理へ移行する(ステップS15)。
【0110】
ゲイン調整が終了すると、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動であるホーミング処理を行い、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行し(ステップS16)、露光ランプ51の消灯処理を行って(ステップS17)、処理を終了する。
【0111】
このように本実施の形態によれば、割込み信号によりゲイン調整が開始されるようにすることで、ソフト的な処理の負荷が低減される。
【0112】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を図8に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0113】
図8は、スキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態は、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様に、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上がりを検出し、ゲイン調整処理へ移行する為の判定処理を行うものである。
【0114】
ただし、露光ランプ51を点灯してから、一定間隔でA/D変換後の白基準板90の読取レベルの検出を行うが、本実施の形態においては、一定間隔で白基準板90を読取り、ピークデータの変化率の演算を行い(ステップS21)、変化率が基準値以下となった場合(ステップS22のYes)、ランプ照度が安定したと判断し、ゲイン調整に移行する(ステップS6)。
【0115】
なお、変化率の基準値は変更することができるものであっても良い。このように変化率の基準値を可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた変化率の基準値の設定が可能となる。
【0116】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態を図9ないし図11に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0117】
ここで、図9はスキャナ部200の制御系を示すブロック図である。図9に示すように、本実施の形態においては、ゲイン調整を行う機能を発揮するAGC回路94を信号処理IC91内に備えており、ハード的なゲイン調整が可能となっている。
【0118】
図10は、AGC回路94の構成を示すブロック図である。AGC回路94におけるAGCの起動は、SHGT信号のアサートにより実行される。SHGTアサート期間の画像データは、AGC回路94の平均化回路94aにて平均化される。平均化(例えば、4画素のデータの移動平均)によりノイズの影響を低減した画像データは、ピーク検出回路94bにて1ライン毎のピークを検出される。ピーク検出データのラッチはLGT信号のネゲートタイミングで行われ、ピークデータが確定する。確定したピーク検出結果は、ゲイン演算回路94dに入力され、予め設定された白レベル目標値94cとの比較演算が行われる。目標値に対する公差外の場合にはゲイン演算が行われ、その値がゲインレジスタ94eに設定される。
【0119】
ここで、図11は画像読取時の主走査方向の同期信号と読取データの有効領域のタイミングチャートである。主走査の同期信号LSYNCに同期して、CCDイメージセンサ54から1ライン毎のデータの読み取りが行われるが、1ラインの読取データのうち、図11中のLGT信号のタイミングがCCD出力として有効な画像データの期間である。また、図12は、副走査方向のタイミングチャートであり、SHGT信号はAGCの実行期間を示している。
【0120】
図13は、スキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1キャリッジおよび第2キャリッジは、省エネモードへの移行時に白基準板90の領域へ移動して停止した状態となっている。なお、通常動作に戻る場合、原稿のセットなどをトリガとして、復帰の処理が実行される。
【0121】
復帰処理が開始されると、信号処理IC91等に必要な初期設定が行われ(ステップS31)、露光ランプ51の点灯処理が行われる(ステップS32:点灯手段)。
【0122】
従来は、この後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへと移動するホーミング動作を行うため、露光ランプ51の照度の安定期間を確保することが可能となっていた。しかしながら、第1キャリッジおよび第2キャリッジがすでに白基準板90の領域にいる場合においては、露光ランプ51の照度の安定期間のウェイトが必要となる。前述したように、本実施の形態では、更なる調整時間の短縮を行うため、ゲイン調整の実行を行うと共に、露光ランプ51の立ち上がりの検出を行なう。
【0123】
具体的には、ゲイン調整値が白レベル目標値(基準レベル)以下となるまで(ステップS34のYes:立ち上り検出手段)、ゲイン調整処理を実行する(ステップS33:ゲイン調整手段)。すなわち、検出したゲイン調整値と基準レベルの比較を行い基準レベル以下となった場合に、ランプ照度が立ち上がったと判定しゲイン調整処理を終了する。
【0124】
ゲイン調整が終了すると、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動であるホーミング処理を行い、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行し(ステップS35)、露光ランプ51の消灯処理を行って(ステップS36)、処理を終了する。
【0125】
なお、白レベル目標値(基準レベル)は、以下の方法で取得可能である。例えば、主電源ON時に初期設定処理、ランプ点灯処理、走行体のホーミング処理を経て、白基準板90の領域への移動が行われ、ゲイン調整が行なわれる。このときの調整値に基づいて、ランプ立ち上りを判断するための白レベル目標値(基準レベル)の演算及び白レベル目標値(基準レベル)の保存が行われる。
【0126】
また、白レベル目標値(基準レベル)は変更することができるものであっても良い。このように白レベル目標値(基準レベル)を可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた白レベル目標値(基準レベル)の設定が可能となっている。
【0127】
このように本実施の形態においては、ゲイン調整の実行を行うと共にランプ立ち上がりの検出を兼ねることが可能となっている。
【0128】
なお、検出したゲイン調整値と基準レベルの比較を行い基準レベル以下となった場合に、ランプ照度が立ち上がったと判定しゲイン調整処理を終了するようにしたが、これに限るものではない。例えば、図14に示すように、一定間隔で検出したゲイン調整値の変化率の演算を行い、変化率が基準値以下となった場合、ランプ照度が立ち上がったと判定しゲイン調整処理を終了するようにしても良い。
【0129】
また、変化率の基準値は変更することができるものであっても良い。このように変化率の基準値を可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた変化率の基準値の設定が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるデジタル複合機を概略的に示す構成図である。
【図2】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】スキャナ部の読み取りユニットを示す概略構成図である。
【図4】スキャナ部の制御系を示すブロック図である。
【図5】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかるスキャナ部の制御系を示すブロック図である。
【図7】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかるスキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態にかかるスキャナ部の制御系を示すブロック図である。
【図10】AGC回路の構成を示すブロック図である。
【図11】画像読取時の主走査方向の同期信号と読取データの有効領域のタイミングチャートである。
【図12】副走査方向のタイミングチャートである。
【図13】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0131】
51 照明手段
90 白基準板
91c ゲインアンプ
200 画像読取装置
300 画像印刷装置
1000 画像形成装置
1111 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、スキャナ、フアクシミリなどに用いられる画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境保護、省エネルギーが取り上げられ、複写機やMFPなどの設計においても、エナジースター、ZESM等の省エネルギーを目標として提唱されている規格に適合させるための努力が続けられている。これらの規格は省エネルギーを目的とし、待機状態(主電源オン後、使用されない状態が所定の時間経ったときに一部の電源供給を停止し、復帰指令を待つ状態)にある時、消費エネルギーに制限を設けたものである。
【0003】
現在、複写機やMFPで実施されている待機時における省エネモードは、消費電力の大きい定着ヒータをはじめ、操作パネル等の電源はオフ、あるいは低電力運転に切り替えられ、スキャナ部に於いては電源を一括してオフされることが一般的である。
【0004】
一方、待機状態にある複写機やMFPを使用する場合は、電源をオン状態に戻したり、低電力運転から通常運転状態に戻し、使用可能な状態になるまでユーザを待たせることになる。この待ち時間はユーザにとっては実際以上に長く感じられ、ストレスを与えることにつながっている。
【0005】
具体的には、待機状態からの復帰時において、スキャナ部は得られたアナログ画像信号が精度良くデジタル画像信号に変換されるように、電源がオンされた時に以下の調整を行っている。
・ アナログ画像信号を程よい大きさに増幅するための増幅率の調整。
・ 黒レベルが最適な値になるように基準レベルの調整。
【0006】
従って、スキャナ部への電源供給を停止する場合における待機状態からの復帰時に、上記した調整を行うための時間が含まれ、ユーザをより長く待たせる結果につながると言う不具合がある。
【0007】
そこで従来においては、ゲイン調整実行前の走行体のイニシャライズ処理(ホームポジション検出)を省略して上述した調整に掛かる時間の短縮を行うもの(特許文献1)や上述した調整の初期値を保存しておいた省エネモード移行前の値とする事で調整に掛かる時間の短縮を行うもの(特許文献2,3)などが提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−118726号公報
【特許文献2】特開2002−112027号公報
【特許文献3】特開2002−077520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年においては、特許文献1〜3のような技術による復帰時間の短縮化に加えて、更なる復帰時間の短縮が必要となってきている。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、前記照明手段により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出手段と、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータに基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、を備える。
【0012】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0013】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0014】
また、請求項4にかかる発明は、請求項2または3記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される。
【0015】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0016】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【0017】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段を制御するCPUに対して割込み信号を出力する。
【0018】
また、請求項8にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、前記照明手段により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、前記ゲイン調整手段によるゲイン調整に基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、を備え、前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段によるゲイン調整処理を終了する。
【0019】
また、請求項9にかかる発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0020】
また、請求項10にかかる発明は、請求項9記載の画像読取装置において、前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0021】
また、請求項11にかかる発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0022】
また、請求項12にかかる発明は、請求項11記載の画像読取装置において、前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【0023】
また、請求項13にかかる発明の画像形成装置は、請求項1ないし12のいずれか一記載の画像読取装置と、前記画像読取装置が読み取った画像データに従って画像を形成して出力する画像印刷装置と、を備える。
【0024】
また、請求項14にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、前記照明工程により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出工程と、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータに基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、を含む。
【0025】
また、請求項15にかかる発明は、請求項14記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0026】
また、請求項16にかかる発明は、請求項15記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0027】
また、請求項17にかかる発明は、請求項15または16記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される。
【0028】
また、請求項18にかかる発明は、請求項14記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0029】
また、請求項19にかかる発明は、請求項18記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【0030】
また、請求項20にかかる発明は、請求項14記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程を制御するCPUに対して割込み信号を出力する。
【0031】
また、請求項21にかかる発明は、待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、前記照明工程により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、前記ゲイン調整工程によるゲイン調整に基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、を含み、前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程によるゲイン調整処理を終了する。
【0032】
また、請求項22にかかる発明は、請求項21記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0033】
また、請求項23にかかる発明は、請求項22記載のゲイン調整方法において、前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である。
【0034】
また、請求項24にかかる発明は、請求項21記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する。
【0035】
また、請求項25にかかる発明は、請求項24記載のゲイン調整方法において、前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である。
【発明の効果】
【0036】
請求項1,14にかかる発明によれば、省エネルギーモードからの復帰に際して、白基準板のピークデータに基づいて照明手段の照度の立ち上りを検出し、ゲイン調整処理へ移行する為の判定処理を行うようにしたことにより、従来のように時間管理にて照明手段の照度の安定を判定していた場合と比較して、ゲイン調整に移行するまでの時間を短縮することができるので、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0037】
また、請求項2,15にかかる発明によれば、検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することができるので、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0038】
また、請求項3,16にかかる発明によれば、照明手段の照度に応じて照度立ち上がりの基準レベルを任意に可変出来るようにすることで、経時の変動にもフレキシブルに対応することができる、という効果を奏する。
【0039】
また、請求項4,17にかかる発明によれば、基準レベルは、主電源投入時における白基準板の読取りレベル(電源投入時のイニシャライズ処理における照明手段の照度の検出レベル)に基づいて演算されて保存されることにより、省電力状態からの復帰でない場合の照度を基準レベルとすることになるので、より適切な基準レベルを設定し、経時の変動にもフレキシブルに対応することができる、という効果を奏する。
【0040】
また、請求項5,18にかかる発明によれば、検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、基準レベルの設定を必要とせず、ウェイト時間の短縮を行なうことができる、という効果を奏する。
【0041】
また、請求項6,19にかかる発明によれば、比較に用いる変化率の基準値は変更可能であることにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することが可能となり、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0042】
また、請求項7,20にかかる発明によれば、照度立ち上がりの基準レベルを超えた場合に割込み信号を発生させることでリアルタイムな処理の実行を可能とし、制御の負荷を軽減することができる、という効果を奏する。
【0043】
また、請求項8,21にかかる発明によれば、照度の立ち上がり途中におけるゲイン調整の実行結果から照度の立ち上がりを判断することで、初期調整にかかる時間を短縮し、復帰時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0044】
また、請求項9,22にかかる発明によれば、ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することができるので、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0045】
また、請求項10,23にかかる発明によれば、照明手段の照度に応じて照度立ち上がりの基準レベルを任意に可変出来るようにすることで、経時の変動にもフレキシブルに対応することができる、という効果を奏する。
【0046】
また、請求項11,24にかかる発明によれば、ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出することにより、基準レベルの設定を必要とせず、ウェイト時間の短縮を行なうことができる、という効果を奏する。
【0047】
また、請求項12,25にかかる発明によれば、変化率の基準値は変更可能であることにより、照明手段の照度の立ち上がりを容易に検出することが可能となり、初期調整にかかる時間の短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【0048】
また、請求項13にかかる発明によれば、従来のように時間管理にて照明手段の照度の安定を判定していた場合と比較して、ゲイン調整に移行するまでの時間を短縮することができるので、コストを抑えながら省エネルギーモードから読み取り可能となるまでのウェイト時間の更なる短縮を図ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0050】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図12に基づいて説明する。本実施の形態は画像形成装置として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿画像やプリンタあるいはFAX機能により入力された画像)を配信する機能等を複合したいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称されるデジタル複合機を適用した例である。
【0051】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるデジタル複合機1000を概略的に示す構成図である。本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、後処理装置であるフィニシャ100と画像読取装置であるスキャナ部200と画像印刷装置であるプリンタ部300とで構成されている。
【0052】
本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、操作部400(図2参照)のアプリケーション切り替えキーにより、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となっており、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。ここでは、複写モードにおける画像形成の流れを例に挙げ、図1を参照して説明する。
【0053】
まず、デジタル複合機1000のスキャナ部200について説明する。スキャナ部200は、概略的には、自動原稿送り装置(以後、ADF(Auto Document Feeder)という。)1と読み取りユニット50とで構成されている。
【0054】
ADF1の原稿台2に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部400上のプリントキー(図示せず)が押下されると、一番下の原稿から給送ローラ3、給送ベルト4によってコンタクトガラス6上の所定の位置に給送される。なお、デジタル複合機1000は、1枚の原稿をコンタクトガラス6上の所定の位置に給送完了する毎に原稿枚数をカウントアップするカウント機能を有している。
【0055】
コンタクトガラス6上の所定の位置に給送された原稿は、読み取りユニット50によって画像データを読み取られる。
【0056】
ここで、読み取りユニット50について詳述する。読み取りユニット50は、原稿を載置するコンタクトガラス6と光学走査系で構成されている。光学走査系は、照明手段である露光ランプ51、第1ミラー52、レンズ53、CCDイメージセンサ54等で構成されている。露光ランプ51および第1ミラー52は、図示しない第1キャリッジ上に固定され、第2ミラー55および第3ミラー56は、図示しない第1キャリッジ上に固定されている。この光学走査系は、図示しないスキャナ駆動モータにて駆動される。本実施の読み取りユニット50は、コンタクトガラス6上に原稿が搭載された場合に、露光ランプ51を点灯し、走行体である第1キャリッジおよび第2キャリッジをスキャナ駆動モータにより右方向に移動走査して原稿を読み取る読み取り方式と、露光ランプ51を点灯し、第1キャリッジおよび第2キャリッジは停止した状態のまま、ADF1によって搬送される原稿を読み取る読み取り方式が選択可能である。第1キャリッジおよび第2キャリッジをスキャナ駆動モータにより右方向に移動走査して原稿を読み取る読み取り方式の場合には、原稿像を読み取るときには、光路長が変わらないように、第1キャリッジと第2キャリッジとが2対1の相対速度で副走査方向に機械的に走査される。原稿画像は、CCDイメージセンサ54によって読み取られ、電気信号に変換されて出力される。CCDイメージセンサ54からの出力信号は、ADコンバータによりデジタルデータ(画像データ)に変換される。
【0057】
デジタルデータに変換された原稿画像情報は、例えばプリンタ部300に送られてプリント出力として画像情報の出力が行なわれる場合や、あるいは記憶装置に送られて入力画像情報の記憶が行なわれる場合等、種々あり、各々のスキャナ部200の情報として使用されている。
【0058】
読み取りユニット50によって画像データの読み取りが終了した原稿は、給送ベルト4および排送ローラ5によって排出される。
【0059】
さらに、原稿セット検知7にて原稿台2に次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様に、次の原稿がコンタクトガラス6上に給送される。
【0060】
上述した給送ローラ3、給送ベルト4、排送ローラ5は、それぞれ搬送モータ(図示せず)によって駆動される。
【0061】
次に、デジタル複合機1000のプリンタ部300について説明する。プリンタ部300は、概略的には、作像ステーション70と定着ユニット17と給紙部80と両面給紙ユニット111とで構成されている。
【0062】
作像ステーション70は、電子写真方式で作像するものであり、書き込みユニット57と感光体15と現像ユニット27と転写部としても機能する搬送ベルト16とを主体として構成されている。
【0063】
給紙部80は、第1トレイ8と第2トレイ9と第3トレイ10と第1給紙装置11と第2給紙装置12と第3給紙装置13と縦搬送ユニット14とにより構成されている。第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10に積載された転写紙Pは、各々第1給紙装置11、第2給紙装置12、第3給紙装置13によって給紙され、縦搬送ユニット14によって感光体15に当接する位置まで搬送される。
【0064】
読み取りユニット50にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット57から出力されるレーザビームによって感光体15に書き込まれ、現像ユニット27を通過することによってトナー像が形成される。書き込みユニット57は、レーザ出力ユニット58、結像レンズ59、ミラー60で構成され、レーザ出力ユニット58の内部には、レーザ光源であるレーザダイオードおよびモータによって高速で定速回転する多角形ミラー(ポリゴンミラー)が備わっている。なお、特に図示しないが、感光体15の一端近傍のレーザビームを照射される位置に、主走査同期信号を発生するビームセンサが配置されている。
【0065】
感光体15上のトナー像は、感光体15の回転と等速で搬送ベルト16によって搬送される転写紙Pに転写される。その後、定着ユニット17に搬送されて画像を定着された転写紙Pは、排紙ユニット18によって後処理装置であるフィニシャ100に排出される。
【0066】
後処理装置のフィニシャ100は、排紙ユニット18の排紙ローラ19によって搬送された転写紙Pを、通常排紙ローラ102方向とステープル処理部方向へと切り替えて導くことができる。より詳細には、後処理装置であるフィニシャ100は、切り替え板101を上に切り替えることにより、搬送ローラ103を経由して通常の排紙トレイ104側に転写紙Pを排紙することができ、切り替え板101を下方向に切り替えることで、搬送ローラ105、107を経由して、ステープル台108に転写紙Pを搬送することができる。
【0067】
ステープル台108に積載された転写紙Pは、一枚排紙されるごとに紙揃え用のジョガー109によって、紙端面が揃えられ、一部のコピー完了と共にステープラ106によって綴じられる。ステープラ106で綴じられた転写紙P群は、自重によってステープル完了排紙トレイ110に収納される。
【0068】
一方、フィニシャ100の通常の排紙トレイ104は、前後に移動可能な排紙トレイである。前後に移動可能な排紙トレイ104は、原稿毎、あるいは、画像メモリによってソーティングされたコピー部毎に、前後に移動し、簡易的に排出されてくるコピー紙を仕分けるものである。
【0069】
本実施の形態にかかるデジタル複合機1000は、転写紙Pの両面に画像を作像可能である。転写紙Pの両面に画像を作像する場合は、各給紙トレイ8〜10から給紙され作像された転写紙Pを排紙トレイ104側に導かないで、排紙ユニット18の経路切り替えの為の分岐爪112を上側にセットすることで、一旦両面給紙ユニット111にストックする。その後、両面給紙ユニット111にストックされた転写紙Pは、再び感光体15に作像されたトナー画像を転写するために、反転された状態で両面給紙ユニット111から再給紙され、下側にセットされた分岐爪112を介して排紙トレイ104に導かれる。このように、転写紙Pの両面に画像を作成する場合に両面給紙ユニット111は使用される。また、画像の載った転写紙Pの裏面に印字を行なう際にも両面給紙ユニット111を用いて転写紙Pの裏表を変えることができる。
【0070】
なお、上述した感光体15、搬送ベルト16、定着ユニット17、排紙ユニット18、現像ユニット27、フィニシャ100は、メインモータ(図示せず)によって駆動され、各給紙装置11〜13はメインモータの駆動を各々給紙クラッチ(図示せず)によって伝達駆動される。縦搬送ユニット14は、メインモータの駆動を中間クラッチ(図示せず)によって伝達駆動される。
【0071】
図2は、デジタル複合機1000のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、このデジタル複合機1000は、コントローラ1101とプリンタ部300及びスキャナ部200とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ1101は、デジタル複合機1000全体の制御と描画、通信、操作部400からの入力を制御するコントローラである。なお、プリンタ部300又はスキャナ部200には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0072】
コントローラ1101は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)1111と、システムメモリ(MEM−P)1112と、ノースブリッジ(NB)1113と、サウスブリッジ(SB)1114と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)1116と、ローカルメモリ(MEM−C)1117と、ハードディスクドライブ(HDD)1118とを有し、NB1113とASIC1116との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス1115で接続した構成となる。また、MEM−P1112は、ROM(Read Only Memory)1112aと、RAM(Random Access Memory)1112bとをさらに有する。
【0073】
CPU1111は、デジタル複合機1000の全体制御を行うものであり、NB1113、MEM−P1112およびSB1114からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0074】
NB1113は、CPU1111とMEM−P1112、SB1114、AGPバス1115とを接続するためのブリッジであり、MEM−P1112に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0075】
MEM−P1112は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM1112aとRAM1112bとからなる。ROM1112aは、CPU1111の動作を制御するプログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM1112bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0076】
SB1114は、NB1113とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB1114は、PCIバスを介してNB1113と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部1104なども接続される。
【0077】
ASIC1116は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス1115、PCIバス、HDD1118およびMEM−C1117をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC1116は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC1116の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C1117を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プリンタ部300やスキャナ部200との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。このASIC1116には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)1121、USB(Universal Serial Bus)1122、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース1123が接続される。
【0078】
MEM−C1117は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD1118は、画像データの蓄積、CPU1111の動作を制御するプログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0079】
AGPバス1115は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P1112に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0080】
次に、本実施の形態のデジタル複合機1000のコントローラ1101がプログラムに従って実現する待機時に省電力化を図る省エネルギーモード(以下、省エネモードという)機能について簡単に説明する。デジタル複合機1000で実施される待機時における省エネモードは、消費電力の大きい定着ユニット17の定着ヒータや操作部400等の電源はオフあるいは低電力運転に切り替え、スキャナ部200においては電源を一括してオフする。より詳細には、デジタル複合機1000は、下記に示す3種類の省エネモードを備えている。
低電力モード:最後に機器を使用してから一定時間経過した場合に、エンジン系負荷の一部を除いて電源供給停止+定着温度を下げる。
スリープモード:低電力モードに移行後、引き続き操作が行われなかった場合、エンジン系負荷への電源供給を停止する。
オフモード:設定時間以上機器を使用しない場合に、エンジン系負荷は全て、コントローラ系負荷は一部を除いて電源供給停止する。
【0081】
なお、スリープモードは、オプション追加によりプリンタ機能やスキャナ機能を有した場合に有効となる。オフモードは、コピー機能しか有しない場合に有効となる。よって、スリープとオフモードは、デジタル複合機1000がどのような機能を有しているかにより、一方の機能のみ有効になる。すなわち、スリープモードとオフモードは、排他の関係にある。
【0082】
ところで、上述したような省エネモードによる待機状態からの復帰時においては、スキャナ部200は、得られたアナログ画像信号が精度良くデジタル画像信号に変換されるように、電源がオンされた時に以下の調整を行っている。
・ アナログ画像信号を程よい大きさに増幅するための増幅率の調整。
・ 黒レベルが最適な値になるように基準レベルの調整。
【0083】
従って、待機状態においてスキャナ部200への電源供給を停止する場合における待機状態からの復帰時に、上記した調整を行うための時間が含まれるため、電源投入後のスキャナ部200の原稿読み取り可能となるまでのウェイト時間の短縮が望まれている。
【0084】
次に、本実施の形態のデジタル複合機1000が備える特徴的な機能について説明する。
【0085】
図3は、スキャナ部200の読み取りユニット50を示す概略構成図である。前述した構成に加えて、読み取りユニット50の上部であってコンタクトガラス6の副走査方向上流側には、白基準板90が配置されている。この白基準板90は、電源オン時には画像信号を増幅するゲインアンプのゲイン調整する際の読み取り対象であり、原稿読み取り時にはシェーディング補正データを得るための読み取り対象である、主走査方向に設けられた均一濃度のほぼ白色の部材である。
【0086】
本実施の形態のデジタル複合機1000においては、原稿の読み取りに先立って白基準板90の読み取りデータを走査して、シェーディング補正用データを生成しメモリに記憶しておき、そのシェーディング補正用データで原稿画像を読み取りながら正規化することで、該装置における光量分布ムラ、CCDの感度ムラ、そして出力変動等を補正し、原稿の画像情報を精度よく読み取っている。
【0087】
CCDイメージセンサ54は、CCD基板92に搭載されている。このCCD基板92は、信号処理IC91(図4参照)などを備えている。CCD基板92は、入射光量に対応した電圧を出力し、画像処理部93に画像データとして渡す。
【0088】
上述したように、スキャナ部200はコントローラ1101に制御されるものであり、CCD基板92と画像処理部93とについてもコントローラ1101により制御されることになる。
【0089】
ここで、図4はスキャナ部200の制御系を示すブロック図である。図4に示すように、コントローラ1101は、信号処理IC91を制御する。また、コントローラ1101は、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能および露光ランプ51の照度の立ち上りの検出機能を備える検出手段1200を有している。検出手段1200は、白基準板90の読取レベルに対してノイズを除去する為の平均化処理を行なう平均化回路1201と、白基準板90の読取レベルについてピークデータを検出するピーク検出回路1202と、基準レベルを保持する基準レベル保持回路1203と、ピーク検出回路1202で検出したピークデータと基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルとを比較する比較回路1204とで構成されている。
【0090】
図4に示すように、CCDイメージセンサ54からの読み取り画像信号を処理する信号処理IC91は、RGB毎のアナログ処理回路により信号処理し、その後A/D変換し、読み取りデータとして画像処理部93に出力するまでの読み取り画像の信号処理を行う。信号処理IC91内の信号処理のフローを説明すると、ここでは、CCDイメージセンサ54の出力を交流結合した信号をクランプ(CLMP)回路91aによりラインクランプした後、サンプルホールド(SH)回路91bにより保持し、保持した信号をゲインが制御できる可変ゲインアンプ(VGA)91cを通して増幅してA/Dコンバータ(ADC)91dに入力する。変換後のデジタル画像データは、読み取り画像データとして画像処理部93に入力される。信号処理IC91は、上記した信号処理フローを実行する制御信号を生成するために、CCDイメージセンサ54の駆動や信号処理IC91のタイミング信号を発生するタイミングジェネレータ91e、CPU1111と直接やり取りを行うCPU IF91f等を構成要素として有する。
【0091】
このようなデジタル複合機1000の主電源投入時又は省エネモードからの復帰時には、A/Dコンバータ(ADC)91dのダイナミックレンジを有効に使用するため、上記白基準板90の読取レベルが規定のレベルとなるようにCCD出力のゲイン調整を行う処理が実行される。CCD出力のゲイン調整は、CCD出力をサンプリングした後、可変ゲインアンプ(VGA)91cにてアナログ信号として増幅する。なお、CCD出力のゲイン調整は、コンバータの分解能が十分な場合には、A/D変換を行った後にデジタル的に増幅する場合もある。また、CCD出力のゲイン調整は、両者の組合せで行う場合もある。
【0092】
主電源投入時又は省エネモードからの復帰時からゲイン調整にいたるステップとしては、一般的に次のような手順となる。まず、第1キャリッジおよび第2キャリッジのイニシャライズ処理(ホームポジション検出)を行った後、露光ランプ51の起動及び白基準板90領域へ第1キャリッジおよび第2キャリッジの移動が行われた後、ゲイン調整が実行される。ゲイン調整終了後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動が行われ、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行する。
【0093】
ここで、図5はスキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1キャリッジおよび第2キャリッジは、省エネモードへの移行時に白基準板90の領域へ移動して停止した状態となっている。なお、通常動作に戻る場合、原稿のセットなどをトリガとして、復帰の処理が実行される。
【0094】
復帰処理が開始されると、信号処理IC91等に必要な初期設定が行われ(ステップS1)、露光ランプ51の点灯処理が行われる(ステップS2:点灯手段)。
【0095】
従来は、この後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへと移動するホーミング動作を行うため、露光ランプ51の照度の安定期間を確保することが可能となっていた。しかしながら、第1キャリッジおよび第2キャリッジがすでに白基準板90の領域にいる場合においては、露光ランプ51の照度の安定期間のウェイトが必要となる。前述したように、本実施の形態では、更なる調整時間の短縮を行うため、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上がりを検出し、調整処理へ移行する為の判定処理を行っている。本実施の形態においては、露光ランプ51を点灯した後、一定間隔で白基準板90の読取レベルを検出し、予め設定してある基準レベルに対する判定を行う。
【0096】
具体的には、白基準板90を読取り(ステップS3)、ピークデータを検出する(ステップS4:ピーク検出手段)。ピークデータの検出は、検出手段1200により実行される。すなわち、検出手段1200の平均化回路1201で白基準板90の読取レベルに対してノイズを除去する為の平均化処理が行われ、平均化処理が行われた白基準板90の読取レベルについてピーク検出回路1202でピークデータが検出される。
【0097】
その後、ピークデータが基準レベル以上か否かが判定される(ステップS5)。ピークデータが基準レベル以上か否かの判定も、検出手段1200により実行される。すなわち、ピーク検出回路1202で検出したピークデータと、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルとの比較が比較回路1204で行われる。
【0098】
ピークデータが基準レベルを超えた場合には、露光ランプ51の照度が立ち上がったと判定し(ステップS5のYes:立ち上り検出手段)、ゲイン調整処理へ移行する(ステップS6:ゲイン調整手段)。
【0099】
ゲイン調整が終了すると、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動であるホーミング処理を行い、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行し(ステップS7)、露光ランプ51の消灯処理を行って(ステップS8)、処理を終了する。
【0100】
このように本実施の形態によれば、省エネモードへの移行時に第1キャリッジおよび第2キャリッジが白基準板90の領域へ移動して停止した状態である場合において、省エネモードからの復帰時のスキャナ部200の原稿読み取り可能となるまでのウェイト時間の短縮を図るため、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上りを検出し、ゲイン調整処理へ移行する為の判定処理を行うようにしたことにより、従来のように時間管理にて露光ランプ51の照度の安定を判定していた場合と比較して、更なる調整時間の短縮を図ることができる。
【0101】
なお、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルは、以下の方法で取得可能である。例えば、従来と同様、主電源ON時に初期設定処理、ランプ点灯処理、走行体のホーミング処理を経て、白基準板90の領域への移動が行われる。このとき、ゲイン調整を開始する前に、白基準板90の読み取りが実行される。このときの読取レベルに基づいて、ランプ立ち上りを判断するための基準レベルの演算及び基準レベルの保存が行われる。このときの基準レベルは、露光ランプ51の照度変動の特性を考慮して、読取ったレベルの70〜80%程度を基準レベルとして設定する。また、基準レベルを超えてからのウエイトを入れる場合などは、より低い基準レベルとすることもできる。
【0102】
また、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルは変更することができるものであっても良い。このように基準レベルを可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた基準レベルの設定が可能となっている。
【0103】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を図6および図7に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0104】
ここで、図6はスキャナ部200の制御系を示すブロック図である。図6に示すように、本実施の形態においては、ピーク検出回路1202で検出したピークデータと、基準レベル保持回路1203が保持する基準レベルとの比較が比較回路1204で行われた結果、ピークデータが予め設定された基準レベルを超えた場合に、比較回路1204はCPU1111に対して割込み信号を出力する。CPU1111は、比較回路1204からの割込み信号を受け取ると、ゲイン調整処理を開始する。
【0105】
図7は、スキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1キャリッジおよび第2キャリッジは、省エネモードへの移行時に白基準板90の領域へ移動して停止した状態となっている。なお、通常動作に戻る場合、原稿のセットなどをトリガとして、復帰の処理が実行される。
【0106】
復帰処理が開始されると、信号処理IC91等に必要な初期設定が行われ(ステップS11)、露光ランプ51の点灯処理が行われる(ステップS12)。
【0107】
従来は、この後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへと移動するホーミング動作を行うため、露光ランプ51の照度の安定期間を確保することが可能となっていた。しかしながら、第1キャリッジおよび第2キャリッジがすでに白基準板90の領域にいる場合においては、露光ランプ51の照度の安定期間のウェイトが必要となる。前述したように、本実施の形態では、更なる調整時間の短縮を行うため、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上がりを検出し、調整処理へ移行する為の判定処理を行っている。本実施の形態においては、露光ランプ51を点灯した後、一定間隔で白基準板90の読取レベルを検出し、予め設定してある基準レベルに対する判定を行う。
【0108】
具体的には、白基準板90を読取るとともに、ピークデータの検出を開始する(ステップS13)。ピークデータの検出は、検出手段1200により実行される。すなわち、検出手段1200の平均化回路1201で白基準板90の読取レベルに対してノイズを除去する為の平均化処理が行われ、平均化処理が行われた白基準板90の読取レベルについてピーク検出回路1202でピークデータが検出される。
【0109】
その後、ピークデータが予め設定された基準レベルを超えた場合に、比較回路1204からの割込み信号を受け取ると(ステップS14のYes)、露光ランプ51の照度が立ち上がったと判定し、ゲイン調整処理へ移行する(ステップS15)。
【0110】
ゲイン調整が終了すると、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動であるホーミング処理を行い、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行し(ステップS16)、露光ランプ51の消灯処理を行って(ステップS17)、処理を終了する。
【0111】
このように本実施の形態によれば、割込み信号によりゲイン調整が開始されるようにすることで、ソフト的な処理の負荷が低減される。
【0112】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を図8に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0113】
図8は、スキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。本実施の形態は、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様に、ゲイン調整に用いる白基準板90のピーク検出機能を用いて露光ランプ51の照度の立ち上がりを検出し、ゲイン調整処理へ移行する為の判定処理を行うものである。
【0114】
ただし、露光ランプ51を点灯してから、一定間隔でA/D変換後の白基準板90の読取レベルの検出を行うが、本実施の形態においては、一定間隔で白基準板90を読取り、ピークデータの変化率の演算を行い(ステップS21)、変化率が基準値以下となった場合(ステップS22のYes)、ランプ照度が安定したと判断し、ゲイン調整に移行する(ステップS6)。
【0115】
なお、変化率の基準値は変更することができるものであっても良い。このように変化率の基準値を可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた変化率の基準値の設定が可能となる。
【0116】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態を図9ないし図11に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0117】
ここで、図9はスキャナ部200の制御系を示すブロック図である。図9に示すように、本実施の形態においては、ゲイン調整を行う機能を発揮するAGC回路94を信号処理IC91内に備えており、ハード的なゲイン調整が可能となっている。
【0118】
図10は、AGC回路94の構成を示すブロック図である。AGC回路94におけるAGCの起動は、SHGT信号のアサートにより実行される。SHGTアサート期間の画像データは、AGC回路94の平均化回路94aにて平均化される。平均化(例えば、4画素のデータの移動平均)によりノイズの影響を低減した画像データは、ピーク検出回路94bにて1ライン毎のピークを検出される。ピーク検出データのラッチはLGT信号のネゲートタイミングで行われ、ピークデータが確定する。確定したピーク検出結果は、ゲイン演算回路94dに入力され、予め設定された白レベル目標値94cとの比較演算が行われる。目標値に対する公差外の場合にはゲイン演算が行われ、その値がゲインレジスタ94eに設定される。
【0119】
ここで、図11は画像読取時の主走査方向の同期信号と読取データの有効領域のタイミングチャートである。主走査の同期信号LSYNCに同期して、CCDイメージセンサ54から1ライン毎のデータの読み取りが行われるが、1ラインの読取データのうち、図11中のLGT信号のタイミングがCCD出力として有効な画像データの期間である。また、図12は、副走査方向のタイミングチャートであり、SHGT信号はAGCの実行期間を示している。
【0120】
図13は、スキャナ部200の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、第1キャリッジおよび第2キャリッジは、省エネモードへの移行時に白基準板90の領域へ移動して停止した状態となっている。なお、通常動作に戻る場合、原稿のセットなどをトリガとして、復帰の処理が実行される。
【0121】
復帰処理が開始されると、信号処理IC91等に必要な初期設定が行われ(ステップS31)、露光ランプ51の点灯処理が行われる(ステップS32:点灯手段)。
【0122】
従来は、この後、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへと移動するホーミング動作を行うため、露光ランプ51の照度の安定期間を確保することが可能となっていた。しかしながら、第1キャリッジおよび第2キャリッジがすでに白基準板90の領域にいる場合においては、露光ランプ51の照度の安定期間のウェイトが必要となる。前述したように、本実施の形態では、更なる調整時間の短縮を行うため、ゲイン調整の実行を行うと共に、露光ランプ51の立ち上がりの検出を行なう。
【0123】
具体的には、ゲイン調整値が白レベル目標値(基準レベル)以下となるまで(ステップS34のYes:立ち上り検出手段)、ゲイン調整処理を実行する(ステップS33:ゲイン調整手段)。すなわち、検出したゲイン調整値と基準レベルの比較を行い基準レベル以下となった場合に、ランプ照度が立ち上がったと判定しゲイン調整処理を終了する。
【0124】
ゲイン調整が終了すると、第1キャリッジおよび第2キャリッジのホームポジションへの移動であるホーミング処理を行い、原稿画像読取が可能な待機状態へ移行し(ステップS35)、露光ランプ51の消灯処理を行って(ステップS36)、処理を終了する。
【0125】
なお、白レベル目標値(基準レベル)は、以下の方法で取得可能である。例えば、主電源ON時に初期設定処理、ランプ点灯処理、走行体のホーミング処理を経て、白基準板90の領域への移動が行われ、ゲイン調整が行なわれる。このときの調整値に基づいて、ランプ立ち上りを判断するための白レベル目標値(基準レベル)の演算及び白レベル目標値(基準レベル)の保存が行われる。
【0126】
また、白レベル目標値(基準レベル)は変更することができるものであっても良い。このように白レベル目標値(基準レベル)を可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた白レベル目標値(基準レベル)の設定が可能となっている。
【0127】
このように本実施の形態においては、ゲイン調整の実行を行うと共にランプ立ち上がりの検出を兼ねることが可能となっている。
【0128】
なお、検出したゲイン調整値と基準レベルの比較を行い基準レベル以下となった場合に、ランプ照度が立ち上がったと判定しゲイン調整処理を終了するようにしたが、これに限るものではない。例えば、図14に示すように、一定間隔で検出したゲイン調整値の変化率の演算を行い、変化率が基準値以下となった場合、ランプ照度が立ち上がったと判定しゲイン調整処理を終了するようにしても良い。
【0129】
また、変化率の基準値は変更することができるものであっても良い。このように変化率の基準値を可変とすることにより、スキャナ部200の状態に応じた変化率の基準値の設定が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるデジタル複合機を概略的に示す構成図である。
【図2】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】スキャナ部の読み取りユニットを示す概略構成図である。
【図4】スキャナ部の制御系を示すブロック図である。
【図5】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかるスキャナ部の制御系を示すブロック図である。
【図7】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかるスキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態にかかるスキャナ部の制御系を示すブロック図である。
【図10】AGC回路の構成を示すブロック図である。
【図11】画像読取時の主走査方向の同期信号と読取データの有効領域のタイミングチャートである。
【図12】副走査方向のタイミングチャートである。
【図13】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】スキャナ部の省エネモードからの復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0131】
51 照明手段
90 白基準板
91c ゲインアンプ
200 画像読取装置
300 画像印刷装置
1000 画像形成装置
1111 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、
前記照明手段により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段で検出されたピークデータに基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、
前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される、
ことを特徴とする請求項2または3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項5記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記立ち上り検出手段は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段を制御するCPUに対して割込み信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項8】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、
前記照明手段により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、
前記ゲイン調整手段によるゲイン調整に基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、
を備え、
前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段によるゲイン調整処理を終了する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項9記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項11記載の画像読取装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置が読み取った画像データに従って画像を形成して出力する画像印刷装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、
前記照明工程により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出工程と、
前記ピーク検出工程で検出されたピークデータに基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、
前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、
を含むことを特徴とするゲイン調整方法。
【請求項15】
前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のゲイン調整方法。
【請求項16】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項15記載のゲイン調整方法。
【請求項17】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される、
ことを特徴とする請求項15または16記載のゲイン調整方法。
【請求項18】
前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のゲイン調整方法。
【請求項19】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項18記載のゲイン調整方法。
【請求項20】
前記立ち上り検出工程は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程を制御するCPUに対して割込み信号を出力する、
ことを特徴とする請求項14記載のゲイン調整方法。
【請求項21】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、
前記照明工程により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、
前記ゲイン調整工程によるゲイン調整に基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、
を含み、
前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程によるゲイン調整処理を終了する、
ことを特徴とするゲイン調整方法。
【請求項22】
前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項21記載のゲイン調整方法。
【請求項23】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項22記載のゲイン調整方法。
【請求項24】
前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項21記載のゲイン調整方法。
【請求項25】
前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項24記載のゲイン調整方法。
【請求項1】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、
前記照明手段により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段で検出されたピークデータに基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、
前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される、
ことを特徴とする請求項2または3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記立ち上り検出手段は、前記ピーク検出手段で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項5記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記立ち上り検出手段は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段を制御するCPUに対して割込み信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項8】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置において、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明手段を点灯する点灯手段と、
前記照明手段により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整手段と、
前記ゲイン調整手段によるゲイン調整に基づいて前記照明手段の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出手段と、
を備え、
前記立ち上り検出手段で前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整手段によるゲイン調整処理を終了する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項9記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記立ち上り検出手段は、前記ゲイン調整手段による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記立ち上り検出手段で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項11記載の画像読取装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置が読み取った画像データに従って画像を形成して出力する画像印刷装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、
前記照明工程により照射された前記白基準板のピークデータを検出するピーク検出工程と、
前記ピーク検出工程で検出されたピークデータに基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、
前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、
を含むことを特徴とするゲイン調整方法。
【請求項15】
前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータと予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のゲイン調整方法。
【請求項16】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項15記載のゲイン調整方法。
【請求項17】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは、主電源投入時における前記白基準板の読取りレベルに基づいて演算されて保存される、
ことを特徴とする請求項15または16記載のゲイン調整方法。
【請求項18】
前記立ち上り検出工程は、前記ピーク検出工程で検出されたピークデータの変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項14記載のゲイン調整方法。
【請求項19】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項18記載のゲイン調整方法。
【請求項20】
前記立ち上り検出工程は、前記照明手段の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程を制御するCPUに対して割込み信号を出力する、
ことを特徴とする請求項14記載のゲイン調整方法。
【請求項21】
待機時に省電力化を図る省エネルギーモードへの移行の際に、ゲインアンプのゲイン調整に際しての読取り対象である白基準板の領域へ走行体が移動して停止するようにした画像読取装置におけるゲイン調整方法であって、
省エネルギーモードからの復帰に際して、照明工程を点灯する点灯工程と、
前記照明工程により照射された前記白基準板の読取りレベルに基づいて前記ゲインアンプのゲイン調整処理を実行するゲイン調整工程と、
前記ゲイン調整工程によるゲイン調整に基づいて前記照明工程の照度の立ち上りを検出する立ち上り検出工程と、
を含み、
前記立ち上り検出工程で前記照明工程の照度の立ち上がりを検出した場合、前記ゲイン調整工程によるゲイン調整処理を終了する、
ことを特徴とするゲイン調整方法。
【請求項22】
前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値と予め設定された基準レベルとの比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項21記載のゲイン調整方法。
【請求項23】
前記前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記基準レベルは変更可能である、
ことを特徴とする請求項22記載のゲイン調整方法。
【請求項24】
前記立ち上り検出工程は、前記ゲイン調整工程による前記ゲイン調整値の変化率と予め設定された変化率の基準値との比較を行うことで照度の立ち上がりを検出する、
ことを特徴とする請求項21記載のゲイン調整方法。
【請求項25】
前記立ち上り検出工程で比較に用いる前記変化率の基準値は変更可能である、
ことを特徴とする請求項24記載のゲイン調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−72375(P2008−72375A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248565(P2006−248565)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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