説明

画像読取装置、記録装置

【課題】原稿読み取り領域に設けられる案内シートに取付位置ずれや、或いは取付部位から外れてしまうといった問題が生じることを確実に防止する
【解決手段】原稿読み取り領域において原稿を下流側へ案内する案内シート28は、窓穴28bの窓穴縁部28cが、第1爪部26eと係合した状態となり、原稿搬送方向に移動しない様拘束された状態となる。この状態から、案内シート28は更にシート保持部材30によって上流側フレーム26mとの間で挟まれ、保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置並びに当該画像読取装置を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を読み取る画像読取装置(以下「スキャナ」と言う)においては、原稿を自動搬送する原稿搬送装置(オートシートフィーダーなどと呼ばれる)が設けられる場合がある。そして例えば、フラットベッド型スキャナの場合、原稿台とは別に原稿搬送装置を利用した読み取りを行う為の読み取り領域が確保されており、この読み取り領域を原稿が通過することによって原稿読み取りが行われる様になっている。そして上記の原稿読み取り領域の上流側と下流側には、原稿を読み取り領域底面に案内するガイドが設けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−25264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿搬送装置を利用した読み取りを行う為の読み取り領域底面は、原稿台を構成する原稿台ガラスとは別のガラスによって構成される場合もあるが、この場合コストアップを招く為、原稿台を構成する原稿台ガラスの一部を利用して構成することが好ましい。しかしながらこの場合、読み取り領域の下流側に設けられた、読み取り領域の周囲を形成するフレーム部材と、原稿台ガラスとの間に原稿が入り込んでしまう虞がある。そこでこの様な問題を解消する為に、原稿が下流側フレームを乗り越える様に案内する透明なシート(案内シート)を設ける場合もある。
【0005】
そして原稿はこの案内シートに接しながら送られる為、案内シートには、原稿から搬送方向の力が付与されることとなる。この搬送方向の力によって、案内シートに取付位置ずれや、或いは取付部位から外れてしまうといった問題が生じる虞があるが、従来の画像読取装置における案内シートの取付構造は、必ずしもこの点が充分に考慮されているとは言えなかった。
【0006】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、案内シートに取付位置ずれや、或いは取付部位から外れてしまうといった問題が生じることを確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る画像読取装置は、原稿が搬送される原稿搬送経路の途中に設けられた、原稿を読み取る読み取り領域と、前記読み取り領域の周囲を形成する、前記読み取り領域の下流側に位置する下流側フレーム及び前記読み取り領域の上流側に位置る上流側フレームと、原稿が前記読み取り領域から前記下流側フレームを乗り越えて下流側へと進む様に原稿を案内する案内シートと、前記案内シートの原稿搬送方向への移動を規制した状態で当該案内シートを前記上流側フレームに対して固定するシート固定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記案内シートの原稿搬送方向への移動を規制した状態で当該案内シートを前記上流側フレームに対して固定するシート固定手段を備えているので、原稿搬送時に前記案内シートが搬送方向の力を受けても、これに対抗することができ、前記案内シートに取付位置ずれや、或いは取付部位から外れてしまうといった問題が生じることを確実に防止することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記シート固定手段は、前記上流側フレームに設けられた第1の爪部と、前記案内シートに形成された窓穴と、を有し、前記窓穴に前記第1の爪部が入り込んだ状態で前記案内シートを原稿搬送方向と交差する方向にスライドさせることにより、前記窓穴の縁部と前記第1の爪部とが係合して前記案内シートが前記上流側フレームに対して固定された状態となることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記上流側フレームに設けられた第1の爪部と、前記案内シートに形成された窓穴と、によって前記シート固定手段が構成されていることから、前記シート固定手段を構造簡単にして低コストに構成することができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記シート固定手段は、前記上流側フレームとの間で前記案内シートを挟み込むことにより前記案内シートを保持する保持部材を備えていることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記シート固定手段は、前記上流側フレームとの間で前記案内シートを挟み込むことにより前記案内シートを保持する保持部材を備えているので、前記案内シートをより確実に固定することができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記保持部材の原稿搬送方向への移動を規制した状態で当該保持部材を前記上流側フレームに対して固定する保持部材固定手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記保持部材の原稿搬送方向への移動を規制した状態で当該保持部材を前記上流側フレームに対して固定する保持部材固定手段を備えているので、前記保持部材が前記案内シートに対して原稿搬送方向への力を付与することがなく、前記案内シートの固定状態を適切に維持することが出来る。
【0015】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記保持部材固定手段は、前記上流側フレームに形成された第2の爪部と、前記保持部材を原稿搬送方向と交差する方向にスライドさせることにより前記第2の爪部と係合する、前記保持部材に形成された第3の爪部と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記保持部材固定手段は、前記上流側フレームに形成された第2の爪部と、前記保持部材に形成された第3の爪部と、を備えて構成されているので、前記保持部材固定手段を構造簡単にして低コストに構成することができる。
【0017】
本発明の第6の態様は、第5の態様求項5に記載の画像読取装置において、前記上流側フレームは、前記読み取り領域における読み取り面に向かって下がる傾斜面が形成されているとともに、前記第1係止爪が、前記傾斜面に形成されていることを特徴とする。
【0018】
案内シートは、原稿読み取り手段と原稿との間の距離を一定に保つべく、読み取り領域の読み取り面に密着した状態が維持されることが好ましい。このため、案内シートを固定する上流側フレームにおける下流側は、原稿読み取り面に向かって下がる傾斜面で形成されていることが好ましい。これにより、案内シートは読み取り面に対して押し付けられる。
【0019】
一方、上流側フレームは読み取り領域の周囲を形成する部材であることから、原稿搬送方向の寸法が長いと、装置全体の大型化を招くこととなる。しかしながら本態様によれば、上記第1係合爪が上記傾斜面に形成されていることから、上流側フレームの原稿搬送方向長さが長くなることを防止でき、ひいては装置の大型化を防止することができる。
【0020】
本発明の第7の態様は、第5のまたは第6の態様において、前記保持部材固定手段は、前記保持部材が入り込む凹部を備えて構成され、前記保持部材が弾性変形を経て前記凹部に入り込んだ状態において、当該保持部材が原稿搬送方向と交差する方向へ移動しない様拘束された状態となることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、前記保持部材が、弾性変形を経て凹部に入り込んだ状態において、当該保持部材が原稿搬送方向と交差する方向に移動しない様拘束された状態となるので、前記保持部材を一旦固定した後は、当該保持部材を容易にスライドさせること、即ち取り外すことができない状態となり、従ってユーザーにより前記保持部材が不用意に取り外されることを防止できる。
【0022】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記読み取り領域へと原稿を搬送する原稿搬送装置が、前記画像読取装置に対してヒンジを介して連結されることで開閉可能に設けられ、前記保持部材は、両端のうち一端側を弾性変形させながらスライドさせることにより前記凹部から取り外し可能であるとともに、前記一端側が、前記ヒンジが設けられた側に位置することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、前記保持部材は、両端のうち一端側を弾性変形させながらスライドさせることにより前記凹部から取り外し可能であるが、前記一端側が、前記ヒンジが設けられた側、即ちユーザーにとって作業の行い難い側に設けられていることから、ユーザーにより前記保持部材が不用意に取り外されることをより確実に防止できる。
【0024】
本発明の第9の態様は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部の上部に設けられた、第1から第8の態様のいずれかに係る画像読取装置と、を備えたことを特徴とする。本態様によれば、記録装置において、上述した第1から第8の態様と同様な作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る記録装置上部の側断面図。
【図2】本発明に係るスキャナ部の平面図。
【図3】本発明に係るスキャナ部から案内シート及びシート保持部材を取り外した状態の部分拡大図。
【図4】案内シート、及び枠部材において案内シートを取り付ける部位の部分拡大図。
【図5】シート保持部材、及び枠部材においてシート保持部材を取り付ける部位の部分拡大図。
【図6】(A)は枠部材にシート保持部材を取り付ける途中の状態を示す図、(B)は(A)のB−B断面図。
【図7】(A)は枠部材にシート保持部材を取り付けた状態を示す図、(B)は(A)のB−B断面図。
【図8】シート保持部材に形成された第3爪部を下側から見た斜視図。
【図9】図7のA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、以下説明する実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることを前提として、以下本発明の一実施形態を説明するものとする。
【0027】
図1は本発明に係る記録装置の一実施形態であるインクジェットプリンター50の上部の一部分を切断した側断面図であり、主として自動原稿搬送装置1とスキャナ部2との位置関係を示すものである。また、図2は本発明に係る画像読取装置の一実施形態であるスキャナ部20の平面図、図3はスキャナ部20から案内シート28及びシート保持部材30を取り外した状態の部分拡大図(平面図)、図4は案内シート28、及び枠部材26において案内シート28を取り付ける部位の部分拡大図(平面図)、図5はシート保持部材30、及び枠部材26においてシート保持部材30を取り付ける部位の部分拡大図(平面図)である。
【0028】
更に、図6(A)は枠部材26にシート保持部材30を取り付ける途中の状態を示す図、図6(B)は図6(A)のB−B断面図、図7(A)は枠部材26にシート保持部材30を取り付けた状態を示す図、図7(B)は図7(A)のB−B断面図、図8はシート保持部材30に形成された第3爪部30bを下側から見た斜視図、図9は図7のA−A断面図である。
【0029】
以下、図1を参照しながらインクジェットプリンター50上部の構成について概説する。図1において符号40は用紙に記録を行う記録部を、符号20は記録部40の上部に設けられるスキャナ部を示しており、符号1はスキャナ部20の上部に設けられる自動原稿搬送装置(オートシートフィーダー)を示している。インクジェットプリンター50は、これら記録部40、スキャナ部20、自動原稿搬送装置1、のこれらにより構成される。
【0030】
自動原稿搬送装置1において、符号2は原稿支持トレイを示しており、この原稿支持トレイ2上に媒体としての原稿が支持される様になっている。尚、図1において符号Pは、自動原稿搬送装置1内を搬送される原稿の通過軌跡(即ち、原稿搬送経路)を示している。
【0031】
原稿支持トレイ2の先端側には原稿を送り出す給送ローラー3が設けられ、給送ローラー3の下流側には原稿を分離する分離ローラー5と分離パッド4とが対向配置されている。送り出された原稿は、中間送りローラー6と従動ローラー7とによって更に下流側に送られ、反転ローラー10、従動ローラー11、を経由して、スキャナ部20を構成する原稿台ガラス21の上面に到達する。
【0032】
符号Y1はスキャナ部20による原稿読み取り位置を示しており、この読み取り位置Y1に、読み取り手段としての読み取りセンサーを備えたセンサーキャリッジ23が停止した状態に置かれる。
【0033】
即ち、このセンサーキャリッジ23は、自動原稿搬送装置1を利用しない読み取り時には主走査方向(図1の左右方向)に移動することで原稿台ガラス21に載置された原稿をスキャニングするが、自動原稿搬送装置1を利用した読み取り時には、読み取り位置Y1に停止し、原稿側が動くことでスキャニングが行われる。そして、スキャニングの行われた原稿は、排出駆動ローラー13と従動ローラー14とによって図示を省略する排紙受けトレイに向けて排出される。
【0034】
続いてスキャナ部20の構成について更に説明する。スキャナ部20は、センサーキャリッジ23を支持するとともにスキャナ部20の基体を構成するハウジング部材である薄箱状のベースフレーム25に、各部材が組み付けられて構成されている。尚、ベースフレーム25は本実施形態において樹脂成形により形成されており、図2において符号25aで示す、センサーキャリッジ23を走査方向に案内するガイドレールも、ベースフレーム25に一体的に形成されている。
【0035】
原稿が載置される原稿載置面20aは、上述した様に原稿台ガラス21の上面で構成されており、原稿載置面20aの周囲(四辺)が、樹脂成形により形成された枠部材26の大開口部26aによって構成されている。枠部材26には、3つのヒンジ挿入穴26kが形成されており、このヒンジ挿入穴26kに、自動原稿搬送装置1に設けられたヒンジ(不図示)が挿入される様になっている。
【0036】
スキャナ部20においてセンサーキャリッジ23の読み取り基準位置は、装置後方左側(図2において符号Qで示す位置)にあり、従って原稿読み取り時には原稿角部を読み取り基準位置に合わせることで、適切な読み取り結果が得られる様になっている。自動原稿搬送装置1を介して原稿を読み取る際の読み取り領域S(読み取り位置Y1)は、枠部材26に形成された小開口部26b内側に設定されており、この小開口部26bには透明な案内シート28が配置されている。
【0037】
小開口部26bは、図1にも示す様にその上流側が上流側フレーム26mで形成され、下流側が下流側フレーム26nで形成されており、上流側フレーム26mに対して案内シート28が取り付けられている。尚、上流側フレーム26m、下流側フレーム26nは、本実施形態では枠部材26の一部を構成している。
【0038】
下流側フレーム26nには、原稿を下流側へ案内する案内斜面26cが形成されており、案内シート28は、上流側フレーム26mに取り付けられた状態において、その下流側が案内斜面26cの途中まで延びている。これにより、読み取り位置Y1から下流側に進む原稿の先端が、原稿台ガラス21と枠部材26(下流側フレーム26n)との間に入り込むことが防止されている。尚、案内シート28は本実施形態では透明な樹脂製シートにより形成されている。
【0039】
案内シート28は取り外し可能に構成されており、シート面に傷が付いた場合に交換できる様になっている。以下、案内シート28の取付構造について更に詳説する。
大略的には、案内シート28は、シート固定手段27(図5)により上流側フレーム26mに対して原稿搬送方向への移動を規制された状態で固定されるとともに、更にシート保持部材30によって上流側フレーム26mとの間で挟まれ、保持される様になっている。
【0040】
また、このシート保持部材30が、保持部材固定手段29(図7(A)、図9)によって上流側フレーム26mに対して固定されている。尚、本実施形態ではシート保持部材30は樹脂成形により形成され、弾性変形が可能となっている。
【0041】
図3、図4に示す様に、上流側フレーム26mには、シート固定手段27を構成する凹部26dと第1爪部26eとが、原稿幅方向(図3、図4の上下方向)に適宜の間隔を置いて複数(本実施形態では、3箇所)形成されている。また、保持部材固定手段29を構成する凹部26fと第2爪部26gが、原稿幅方向(図3、図4の上下方向)に適宜の間隔を置いて複数(本実施形態では、3箇所)形成されている。
【0042】
案内シート28には、図4に示す様に原稿幅方向に沿って窓穴28a、28bが適宜の間隔を置いて交互に形成されている。尚、窓穴28aは、上流側フレーム26mに形成された第2爪部26gに対応する位置に形成され、窓穴28bは、上流側フレーム26mに形成された第1爪部26eに対応する位置に形成されている。
【0043】
以下、案内シート28の取付手順に沿って更に具体的に説明する。案内シート28を上流側フレーム26mに固定する際には、先ず案内シート28に形成された窓穴28aに、上流側フレーム26mに形成された第2爪部26gが入り込む様に、また窓穴28bに、上流側フレーム26mに形成された第1爪部26eが入り込む様に、案内シート28を取り付ける。そして案内シート28を装置手前側(図4において下側)にスライドさせる。
【0044】
これにより、図5に示す様に案内シート28において窓穴28bの窓穴縁部28cが、第1爪部26eと係合した状態となり、案内シート28が原稿搬送方向(図4において右方向)に移動しない様拘束された状態となる。尚、窓穴28aは、原稿幅方向に長い形状を成しており、第2爪部26gとの係わり合いはない。
【0045】
次いで、シート保持部材30を取り付ける際には、シート保持部材30の下側に形成された第3爪部30b(図8も参照:第2爪部26gに対応して形成されている)を、凹部26fに位置決めする(図6(A))。尚、符号30cは第3爪部30bが形成されている部分を示す目印であり、シート保持部材30の取付作業者は、この目印30cの部分を上方から押すことで第3爪部30bを凹部26fに入り込ませることができる。
【0046】
ここで、枠部材26には、シート保持部材30の両端のうち、装置後方側の一端30aが入り込む凹部26hが形成されている。しかしながら第3爪部30bを凹部26fに位置決めした状態では、一端30aは凹部26hに入り込んでいない。従ってシート保持部材30は、一端側30aの付近が弾性変形して図6(B)に示す様に枠部材26の上面に乗り上げた状態となっている。
【0047】
この状態から、シート保持部材30を装置手前側(図6において下側)にスライドさせる。これにより、図7(A)、(B)に示す様にシート保持部材30の一端30aが凹部26hに入り込むとともに、図9にも示す様に第2爪部26gの下側に第3爪部30bが入り込み、シート保持部材30が固定される。即ち、凹部26h、第2爪部26g、第3爪部30b、のこれらが、シート保持部材30を上流側フレーム26mに対して固定する保持部材固定手段29を構成する。
【0048】
以上説明した様に、案内シート28は、シート固定手段27によって原稿搬送方向への移動を規制した状態で上流側フレーム26mに対して固定されるので、原稿搬送時に案内シート28が搬送方向の力を受けても、これに対抗することができ、案内シート28に取付位置ずれや、或いは取付部位から外れてしまうといった問題が生じることを確実に防止することができる。
【0049】
そしてシート固定手段27は、上流側フレーム26mに設けられた第1爪部26eと、案内シート28に形成された窓穴28bと、で構成されていることから、シート固定手段27を構造簡単にして低コストに構成することができる。
【0050】
またシート固定手段27は、上流側フレーム26mとの間で案内シート28を挟み込むことにより案内シート28を保持するシート保持部材30を備えているので、案内シート28をより確実に固定することができる。
【0051】
更に、シート保持部材30の原稿搬送方向への移動を規制した状態で当該シート保持部材30を上流側フレーム26mに対して固定する保持部材固定手段29を備えているので、シート保持部材30が案内シート28に対して原稿搬送方向への力を付与することがなく、案内シート28の固定状態を適切に維持することが出来る。加えて保持部材固定手段29は、上流側フレーム26mに形成された第2爪部26gと、シート保持部材30に形成された第3爪部30bと、を備えて構成されているので、保持部材固定手段29を構造簡単にして低コストに構成することができる。
【0052】
ところで案内シート28は、センサーキャリッジ23と原稿(原稿台ガラス21の上面)との間の距離を一定に保つべく、読み取り領域Sの読み取り面(原稿台ガラス21の上面)に密着した状態が維持されることが好ましい。このため、案内シート28を固定する上流側フレーム26mにおける下流側は、原稿読み取り面(原稿台ガラス21の上面)に向かって下がる傾斜面26jが形成されている(図4、図9等)。
【0053】
一方、上流側フレーム26mは読み取り領域Sの周囲を形成する部材であることから、原稿搬送方向の寸法が長いと、装置全体の大型化を招くこととなる。しかしながら、本実施形態においては第1係合爪26eが傾斜面26jに形成されていることから、上流側フレーム26mの原稿搬送方向長さが長くなることを防止でき、ひいては装置の大型化を防止することができる。
【0054】
更に、シート保持部材30が、弾性変形を経て凹部26hに入り込んだ状態において、シート保持部材30が原稿搬送方向と交差する方向に移動しない様拘束された状態となるので、シート保持部材30を一旦固定した後は、シート保持部材30を容易にスライドさせること、即ち取り外すことができない状態となり、従ってユーザーによりシート保持部材30が不用意に取り外されることを防止できる。
【0055】
更に、シート保持部材30は、両端のうち一端30aを弾性変形させながらスライドさせることにより凹部26hから取り外し可能であるが、一端30aが、自動原稿搬送装置1をスキャナ部20に対して連結するヒンジ(不図示)が設けられた側(図2、図7(A)において上側)、つまり即ちユーザーにとって作業の行い難い側に設けられていることから、ユーザーによりシート保持部材30が不用意に取り外されることをより確実に防止できる様になっている。
【符号の説明】
【0056】
1 自動原稿搬送装置、20 スキャナ部、21 原稿台ガラス、23 センサーキャリッジ、25 ベースフレーム、26 枠部材、26a 大開口部、26b 小開口部、26c 案内斜面、26d 凹部、26e 第1爪部、26f 凹部、26g 第2爪部、26h 凹部、26j 傾斜面、26k ヒンジ挿入穴、26m 上流側フレーム、26n 下流側フレーム、27 シート固定手段、28 案内シート、28a 窓穴、28b 窓穴、28c 窓穴縁部、29 保持部材固定手段、30 シート保持部材、30a 一端、30b 第3爪部、30c 目印、40 記録部、50 インクジェットプリンター、
P 原稿、S 読み取り領域、Y1 読み取り位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が搬送される原稿搬送経路の途中に設けられた、原稿を読み取る読み取り領域と、
前記読み取り領域の周囲を形成する、前記読み取り領域の下流側に位置する下流側フレーム及び前記読み取り領域の上流側に位置る上流側フレームと、
原稿が前記下流側フレームを乗り越えて下流側へと進む様に原稿を案内する案内シートと、
前記案内シートの原稿搬送方向への移動を規制した状態で当該案内シートを前記上流側フレームに対して固定するシート固定手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、前記シート固定手段は、前記上流側フレームに設けられた第1の爪部と、
前記案内シートに形成された窓穴と、を有し、
前記窓穴に前記第1の爪部が入り込んだ状態で前記案内シートを原稿搬送方向と交差する方向にスライドさせることにより、前記窓穴の縁部と前記第1の爪部とが係合して前記案内シートが前記上流側フレームに対して固定された状態となる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像読取装置において、前記シート固定手段は、前記上流側フレームとの間で前記案内シートを挟み込むことにより前記案内シートを保持する保持部材を備えている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置において、前記保持部材の原稿搬送方向への移動を規制した状態で当該保持部材を前記上流側フレームに対して固定する保持部材固定手段を備えている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読取装置において、前記保持部材固定手段は、前記上流側フレームに形成された第2の爪部と、
前記保持部材を原稿搬送方向と交差する方向にスライドさせることにより前記第2の爪部と係合する、前記保持部材に形成された第3の爪部と、を備えて構成されている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像読取装置において、前記上流側フレームは、前記読み取り領域における読み取り面に向かって下がる傾斜面が形成されているとともに、前記第2の爪部が、前記傾斜面に形成されている、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像読取装置において、前記保持部材固定手段は、前記保持部材が入り込む凹部を備えて構成され、
前記保持部材が弾性変形を経て前記凹部に入り込んだ状態において、当該保持部材が原稿搬送方向と交差する方向へ移動しない様拘束された状態となる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像読取装置において、前記読み取り領域へと原稿を搬送する原稿搬送装置が、前記画像読取装置に対してヒンジを介して連結されることで開閉可能に設けられ、
前記保持部材は、両端のうち一端側を弾性変形させながらスライドさせることにより前記凹部から取り外し可能であるとともに、前記一端側が、前記ヒンジが設けられた側に位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部の上部に設けられた、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
を備えた記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−209642(P2012−209642A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71850(P2011−71850)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】