説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】最初に読み取られる原稿のみを用いてゴミ等の付着と画像の裏写りを検知することができ、最初に読み取られる原稿に対しても画像の劣化を効果的に防止することのできる画像読取装置を得る。
【解決手段】 背景板と、搬送手段により背景板上に搬送された原稿の一面側および他面側とを、他面側から一面側への裏写りおよび一面側から他面側への裏写りも含めて読み取り画像データを得る読取手段と、読取手段により読み取られた画像の画像データからゴミ候補画素を検知する検知手段と、検知手段による検知結果に基づき画像データの補正が必要となるゴミの有無を判定する判定手段と、を備えた画像読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアイメージセンサにより原稿を副走査方向に走査して画像を読み取る画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ等の読み取り装置、コンピュータ入力用のスキャナ等として、原稿の画像情報を自動的に読み取る画像読取装置が用いられている。
【0003】
画像読取装置における画像読取方法としては、原稿をコンタクトガラス上に戴置して画像読取を行うキャリッジ読取方式と、ADF(オートドキュメントフィーダ)によって原稿を搬送して画像読取を行うシートスルー読取方式の2種類がある。
【0004】
シートスルー読取方式の場合、原稿やコンタクトガラス、背景板等にゴミやチリ等があると、原稿搬送時にゴミが読取りセンサに対して同じ位置に保持されるため、読取画像の原稿搬送方向(副走査方向)に縦スジが現れ、画質を低下させてしまう問題がある。
【0005】
従来、このゴミ等を検出するために、特許文献1に記載されているように、原稿が読取位置に搬送される前に行われる原稿搬送装置の原稿読取位置に設けられている背景板の読取画像データと、原稿搬送後に行われる、通常余白となっている原稿先端部の読取画像データとを比較する方法が知られている。なお、ゴミ等が検出された場合には、検出結果に基づいて、縦スジを軽減するように画像の補正が行われる。
【0006】
上述した検出方法の具体例を図11に示す。この検出方法では、2枚の原稿が用いられ、先の原稿搬送前の背景板の読取、先の原稿の原稿先端部の読取、次の原稿の原稿搬送前の背景板の読取、および次の原稿の原稿先端部の読取が行われる。そして、それぞれの読取により得られた画像データに基づいて、画像読取部用のガラス(コンタクトガラス)や背景板等に付着したゴミ等の有無が判定される。
【0007】
図11の判定結果1は、上記4つの読取により得られた4つの画像データのうち、先の原稿の原稿先端部の画像データにおいてのみ、ゴミ等の可能性のある部位が検知された場合を示す。この場合、先の原稿搬送前の背景板および次の原稿搬送前の背景板の画像データの何れにおいてもゴミ等の可能性のある部位が検知されていないことから、コンタクトガラスや背景板等へのゴミの付着は無く、検知されたのは原稿先端部に形成された画像であると判定される。
【0008】
図11の判定結果2は、上記4つの画像データのうち、先の原稿搬送前の背景板の画像データ以外の3つの画像データにおいて、ゴミ等の可能性のある部位が検知された場合を示す。この場合、先の原稿搬送前の背景板の画像データではゴミ等の可能性のある部位は検知されなかったものの、先の原稿の原稿先端部、後の原稿搬送前の背景板および次の原稿の原稿先端部の画像データにおいてゴミ等の可能性のある部位が検知されている。これは、先の原稿の搬送が開始されてから次の原稿の搬送が開始されるまでの間に、背景板および原稿先端部の何れの画像データにおいてもゴミ等の可能性のある部位が検知される位置、すなわちコンタクトガラス上にゴミ等が付着していると判定される。
【0009】
図11の判定結果3は、先の原稿の原稿先端部の画像データと、次の原稿の原稿搬送前の背景板の画像データにおいてゴミ等の可能性のある部位が検知された場合を示す。この場合、先の原稿の原稿先端部および後の原稿搬送前の背景板の画像データにおいてゴミ等の可能性のある部位が検知されている。これは、先の原稿の搬送が開始されてから次の原稿の搬送が開始されるまでの間に、背景板および原稿先端部の何れにおいてもゴミ等の可能性のある部位が検知される位置、すなわちコンタクトガラス上にゴミ等が付着していると判定される。なお、この場合、次の原稿の原稿先端部の画像データではゴミ等の可能性のある部位は検知されていないことから、次の原稿が画像読取部に至るまでの間に原稿の搬送等によりゴミ等が除去されたと考えられる。
【0010】
図11の判定結果4は、先の原稿の原稿先端部と、次の原稿の原稿先端部の画像データにおいてゴミ等の可能性のある部位が検知された場合を示す。この場合、先の原稿搬送前の背景板および次の原稿搬送前の背景板の画像データの何れにおいてもゴミ等の可能性のある部位が検知されていないことから、コンタクトガラスや背景板等へのゴミの付着は無く、検知されたのは2つの原稿先端部に形成された画像であると判定される。
【0011】
なお、図11には示されていないが、上記4つの画像データの何れにおいてもゴミ等の可能性のある部位が検知されない場合は、ゴミ等の付着も、原稿先端部に形成された画像も存在しないことになる。
【0012】
また、シートスルー読取方式を採用した画像読取装置として、両面に画像が形成された原稿の両面を、原稿の表裏を反転させることなく1回の搬送で読み取るものがある。このような画像読取装置では、一面側の画像が読み取られる際に、他面側の画像が裏写りすることにより画像品質が劣化してしまう恐れがある。この問題に対処するため、特許文献2に記載されているように、読み取った両面の画像を比較し、裏写りの影響を補正することが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した特許文献1に記載されている、原稿搬送前の背景板の画像データと原稿先端部の画像データとを比較する方法では、これら2つの画像データが異なる場合には、次の原稿を用いて更なる画像データを得なければ、差異の原因がゴミ等であるか、または原稿上の画像であるかの判断を行うことができない。そのため、先の原稿の読取時にはゴミ等の検知を適切に行うことができない恐れがある。
【0014】
また、上述した特許文献2に記載されている画像読取装置においてもゴミ等に起因する縦スジが発生する場合があるため、特許文献1に記載されている方法を用いてゴミ等の検出を行い、画像の補正を行うことができる。しかし、この画像形成装置においても、原稿搬送前の背景板の画像データと原稿先端部の画像データとが異なる場合は、その差異が裏写りまたはゴミ等の何れに起因するものかを判断する必要があるが、この判断にも、次の原稿を用いた検出結果が必要となる。そのため、先の原稿の読取時には、ゴミ等の検出を適切に行うことができない恐れがある。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、原稿の両面を読み取る画像読取装置において、最初に読み取られる原稿のみを用いてゴミ等の付着と画像の裏写りを検知することができ、最初に読み取られる原稿に対しても画像の劣化を効果的に防止することのできる画像読取装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、背景板と、背景板上に原稿を搬送する搬送手段と、背景板と、搬送手段により背景板上に搬送された原稿の一面側および他面側とを、他面側から一面側への裏写りおよび一面側から他面側への裏写りも含めて読み取り画像データを得る読取手段と、読取手段により読み取られた画像の画像データからゴミ候補画素を検知する検知手段と、検知手段による検知結果に基づき画像データの補正が必要となるゴミの有無を判定する判定手段と、を備えた画像読取装置であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、画像読取装置により得られた画像データに補正が行われ、補正後の画像データをもとに画像形成が行われる画像形成装置であって、前記画像読取装置として上述した画像読取装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、最初に読み取られる原稿のみを用いてゴミ等の付着と画像の裏写りを検知することができ、最初に読み取られる原稿に対しても画像の劣化を効果的に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係る画像形成装置の実施例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、上記画像形成装置の自動原稿搬送装置を示す断面図である。
【図3】図3は、上記画像形成装置における画像データ処理を行う各構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、上記画像形成装置の画像読取部に付着したゴミについて示すモデル図である。
【図5】図5は、画像読取部に付着したゴミの読取画像データへの影響を示すモデル図である。
【図6】図6は、ゴミ検知処理およびゴミ補正処理を行う画像処理編集部とその周辺の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、上記画像処理編集部のゴミ検知部の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、原稿上の画像の裏写りを説明するモデル図である。
【図9】図9は、上記画像処理編集部のゴミ判定部による原稿の一面側の画像とゴミとの判定方法について説明するモデル図である。
【図10】図10は、上記ゴミ判定部による原稿の他面側の画像とゴミとの判定方法について説明するモデル図である。
【図11】図11は、従来のゴミ判定方法について説明するモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る画像読取装置および画像形成装置の実施例について説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施例として、複写機1を示す概略構成図である。複写機1は、自動原稿搬送装置(以下、単にADFという)2と、給紙部3と、画像読取部4と、画像形成部5とから構成されている。
【0022】
ADF2は、原稿トレイ11と、各種ローラ等からなる搬送部13とを備えている。ADF2は、原稿トレイ11に載置された原稿を、搬送部13によりスリットガラス7上に搬送するとともに、スリットガラス7を介して画像読取部4により読取が終了した原稿を、スリットガラス7上を経て、排紙トレイ12に排紙するようになっている。また、ADF2は、画像読取部4に対して図示しない開閉機構を介して開閉自在に取り付けられている。
【0023】
給紙部3は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット21、22と、給紙カセット21、22に収納された記録紙を画像形成部5の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段23とを有している。
【0024】
画像読取部4は、光源およびミラー部材を搭載した第1キャリッジ25と、ミラー部材を搭載した第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、撮像部28とを備えている。画像読取部4は、第1キャリッジ25に搭載された光源によりスリットガラス7上を通過する原稿に光を照射する。そして、原稿からの反射光は第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された各ミラー部材により折り返され、その反射光は結像レンズ27により結像されて撮像部28で読み取られる。
【0025】
画像形成部5は、露光装置31と、感光体ドラム32と、現像装置33、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。画像形成部5は、撮像部28に読み取られた読取画像に基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成し、現像装置33により感光体ドラム32に異なる色のトナーを供給して現像する。転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像は、給紙部3から供給された記録紙に転写され、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーが溶融されて、記録紙にカラー画像が定着される。
【0026】
原稿トレイ11は、図2に示すように、可動原稿テーブル41と、一対のサイドガイド板42とを有している。可動原稿テーブル41は、原稿トレイ11の給紙方向の略前半部を構成しており、基端部を支点として上下方向に回動するようになっている。このように、原稿トレイ11は、可動原稿テーブル41を回動することで、原稿トレイ11に載置された原稿の給送方向前端部を適切な高さに合わせることができる。
【0027】
可動原稿テーブル41の先端部の上方には、テーブル上昇センサ87が設けられている。テーブル上昇センサ87は、原稿載置面に載置された原稿の給送方向前端部が適切な高さ(給紙適正位置)に保持されているか否かを検知する。なお、本発明の実施の形態に係る給紙適正位置とは、原稿束の最上位の原稿と後述するピックアップローラ61とが接触する位置をいう。
【0028】
可動原稿テーブル41の先端部の下方には、ホームポジションセンサ88が設けられている。ホームポジションセンサ88は、可動原稿テーブル41がホームポジションにあることを検知する。
【0029】
原稿トレイ11の給紙方向の略後半部には、原稿の向きが縦と横のいずれになっているかを検知する原稿長さ検知センサ89、90が、給送方向に離隔して設けられている。なお、原稿長さ検知センサ89、90としては、光学的手段により未接触で検知する反射型センサや接触式のアクチュエータタイプのセンサを用いることができる。
【0030】
一対のサイドガイド板42は、原稿トレイ11に載置された原稿の給紙方向に対する左右方向を位置決めするように立設されている。一対のサイドガイド板42の一方は、給紙方向に対する左右方向にスライドすることができるため、原稿トレイ11に異なるサイズの原稿を載置することができる。一対のサイドガイド板42の対向面には、後述する可動部材としての一対の回動リブ45が設けられている。
【0031】
一対のサイドガイド板42の他方は固定されていて、原稿の載置により回動するセットフィラー46が設けられている。セットフィラー46の先端部の移動軌跡上の最下部には、原稿トレイ11に原稿が載置されたことを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。原稿セットセンサ82は、原稿トレイ11に原稿が載置されると、セットフィラー46を回動させる信号を発する。そして、セットフィラー46の先端部が原稿セットセンサ82から外れて、原稿が載置されたことが検知される。
【0032】
ADF2の搬送部13は、分離給送部51と、プルアウト部52と、ターン部53と、第1読取搬送部54と、第2読取搬送部55と、排紙部56とにより構成されている。
【0033】
分離給送部51は、給紙口近傍に配置されたピックアップローラ61と、搬送経路を挟んで対向するように配置され互いに当接する給紙ベルト62およびリバースローラ63とを有している。
【0034】
ピックアップローラ61は、給紙ベルト62に取り付けられた支持アーム部材64により支持されており、図示しないカム機構を介して原稿束に接触する接触位置と、原稿束から離れた離隔位置との間を上下動するようになっている。給紙ベルト62は、給送方向に回転する。リバースローラ63は、原稿が重送された場合に、給紙ベルト62と同じ方向に回転する。これにより、重送された原稿が分離され、給紙ベルト62に当接する原稿のみが給送方向に送られる。また、リバースローラ63は、給紙ベルト62に接している場合、または原稿が1枚のみ搬送されている場合には、図示しないトルクリミッタの働きにより、給紙ベルト62に従動する、すなわち、給紙ベルト62と逆方向に回転するようになっている。
【0035】
分離給送部51は、ピックアップローラ61が原稿トレイ11に載置された原稿束の最上位の原稿に転接することにより給紙口内に原稿を送り出し、原稿が重送された場合に給紙ベルト62とリバースローラ63とにより分離して送り出すようになっている。
【0036】
プルアウト部52は、搬送経路を挟むように配置された一対のローラからなるプルアウトローラ65を有している。プルアウト部52は、プルアウトローラ65とピックアップローラ61の駆動タイミングが調整されることで、送り出された原稿を一次突当整合し、整合後の原稿を引き出し搬送するようになっている。また、プルアウトローラ65には、紙厚を測定するための紙厚測定センサ91が設けられている。
【0037】
ターン部53は、搬送経路の上から下に向けてカーブしたカーブ部を挟むように配置された一対のローラからなる中間ローラ66および読取入口ローラ67を有している。ターン部53は、中間ローラ66により引き出し搬送された原稿を、カーブ部を搬送することによりターンさせて、読取入口ローラ67により原稿の表面を下方に向けてスリットガラス7近傍まで搬送するようになっている。
【0038】
第1読取搬送部54は、スリットガラス7に搬送経路を挟んで対向する位置に配置されたローラ状の第1背景板68と、読取終了後の搬送経路を挟むように配置された一対のローラからなる第1読取出口ローラ69とを有している。第1読取搬送部54は、スリットガラス7の近傍まで搬送された原稿の表面をスリットガラス7に接触させながら搬送し、読み取り終了後の原稿を第1読取出口ローラ69によりさらに搬送するようになっている。
【0039】
第2読取搬送部55は、原稿の裏面を読み取る第2読取部101に搬送経路を挟んで対向する位置に配置された第2背景板としての第2読取ローラ70と、原稿の裏面の読取終了後の搬送経路を挟むように配置された一対の第2読取出口ローラ71とを有している。第2読取搬送部55は、表面が読み取られた原稿を第2読取ローラ70により第2読取部101の読取面の前を通過させ、第2読取出口ローラ71により排紙口に向けて搬送するようになっている。なお、両面読み取を行わない場合には、原稿は第2読取部101を素通りするようになっている。
【0040】
排紙部56は、排紙口の近傍に一対の排紙ローラ72が設けられ、第2読取出口ローラ71により搬送された原稿を排紙トレイ12に排紙するようになっている。
【0041】
また、ADF2には、搬送経路に沿って、突き当てセンサ84、読取入口センサ86、レジストセンサ81、排紙センサ83が設けられており、原稿の搬送距離や搬送速度等の搬送制御に用いられるようなっている。さらに、プルアウトローラ65と中間ローラ66との間には、原稿幅センサ85が設けられている。原稿幅センサ85は、原稿の幅方向に複数並べられた受光素子から構成されており、搬送経路を挟んで対向位置に設けられた照射光からの受光結果に基づき原稿幅を検知する。
【0042】
図3は、本実施形態にかかる複合機1の画像データを処理する制御機構の概要を示すブロック図である。複合機1は、画像データを処理する制御機構として、第1読取手段としての画像読取部4と、第2読取手段としての第2読取部101と、画像データ受取部102と、メモリ制御部103と、メモリ104と、画像処理編集部105と、書込画像処理部106と、VDC107と、VDB108と、CPU109と、ROM110と、RAM111と、画像メモリコントロール部114と、ADF制御部115とを備える。
【0043】
画像読取部4で読み取った画像データは、画像データ受取部102に入力される。画像データ受取部102は、画像読取部4で読み取った画像データに対してシェーディング補正を施し、また、光源の光量分布による画像データの領域によるレベル差および画像読取部4で用いた光電変換デバイスで読み取る際に発生する各画素間のレベル差を補正する。
【0044】
メモリ制御部103では送られてきた画像データをメモリ104にフレーム単位にデータを蓄積し、蓄積した画像データをCPU109の指示によりフレーム毎に取り出し、次段の画像処理編集部105に送出する。
【0045】
画像処理編集部105では各種、画像データに対して画像処理を施す。なお、複合機1において実施される、後述するゴミ検知処理およびゴミ補正処理は、画像処理編集部105により行われる。
【0046】
画像処理編集部105で処理された画像データは、画像メモリコントロール部114に送られる。画像メモリコントロール部114は、読み取り処理と書き込み処理間の処理速度の調整やページ単位の各種処理を行なう。そのためここでは図示していないが、大量の画像データを記憶するための画像メモリとストレージを持ち、各種処理に対応できるようにしている。
【0047】
画像メモリコントロール部114により画像データの処理が行われると、その後、画像データをコピー出力するための処理が行われる。具体的には、画像データが再度、画像処理編集部105に送られ、画像処理編集部105が受け取った画像データを書込画像処理部106に送る。書込画像処理部106は、コピー出力するための画像処理を実施する。
【0048】
書込画像処理部106で画像処理が施された画像データはVDC107に送られ、このVDC107において画像データを転写するための画像データに形体を整える処理が施された上で、露光装置31にあるVDB108に送られる。
【0049】
VDB108は、レーザダイオードを発光して感光体ドラム32に露光処理を行い、感光体ドラム32に画像データに対応した潜像を形成する。
【0050】
一方、第2読取部101で読み取った画像データも同様の流れとなる。すなわち、第2読取部101で読み取った画像データは、画像データ受取部102に入力されてシェーディング補正等の処理が施された後、メモリ制御部103に送られる。
【0051】
画像読取部4で読み取った画像データと第2読取部101で読み取った画像データはメモリ104まではそれぞれ並行に処理される。そして、メモリ104にて画像データを蓄積した後は、フレーム単位にメモリ104から画像データを取り出して処理を行なう構成となる。
【0052】
CPU109は、複合機1における画像処理を統括的に制御するものであり、そのためのプログラムはROM110に格納されている。また、CPU109が動作するために必要なワークエリアとして、RAM111が利用される。
【0053】
ADF2の動作を制御するADF制御部115は、CPU109との間で情報通信を行って、原稿搬送タイミングを調整する。
【0054】
上述したADF2による原稿読取は、画像読取部4による読取位置を固定したまま、スリットガラス7と背景板68との間を通過する原稿を読み取ることで行われる。この画像読取部4の読取位置にゴミが付着した場合について説明する。
【0055】
図4(a)は、読取位置にゴミが付着していない場合を示している。この場合、画像読取部4はゴミの影響の無い状態で原稿を読み取ることができる。
【0056】
図4(b)は、読取位置のスリットガラス7上にゴミDが付着している場合である。この場合、画像読取部4と原稿の間にゴミDが存在するため、原稿の読取画像データにゴミDの影響が発生する。画像読取部4は常にこのゴミDを読み取ることになるため、原稿の読取画像データ上に副走査方向の異常画像、いわゆる縦スジが発生する。
【0057】
図4(c)は、読取位置の背景板68上にゴミDが付着している場合である。この場合、画像読取部4から見て原稿より奥側にゴミDが存在する。このため、原稿読取中はこのゴミDは原稿に隠れ、原稿の読取画像データ上に異常画像は発生しない。なお原稿読取時以外は、画像読取部4によりこのゴミDが読み取られる。
【0058】
図4(d)は、読取位置にゴミが付着してなく、かつ原稿に情報(例えば縦線)Iが記載されている場合である。この場合、画像読取部4はゴミの影響なく原稿をそのまま読み取る。
【0059】
ところで読取位置に付着したゴミは、固着して容易に移動しないゴミ(以降「固着ゴミ」という。)と、固着しておらず容易に移動するゴミ(以降「浮遊ゴミ」という。)に分けられるが、後述説明するゴミ判定方法では、固着ゴミと浮遊ゴミの区別はせず、ゴミであるか原稿画像であるかの判定が行われる。
【0060】
図4にて説明したように、読取位置に付着したゴミにより、読取画像データに副走査方向の異常画像が発生する。ゴミの読取画像データへの影響について、以下に説明する。
【0061】
図5は画像読取部4による読取画像データを示しており、左右方向は主走査方向、上下方向は副走査方向(時間軸)を示す。またゴミ(b)、ゴミ(c)、原稿情報(d)は図4にて説明したゴミに対応しており、それぞれスリットガラス7上のゴミ、背景板68上のゴミ、原稿に記載されている情報を示している。
【0062】
ゴミ(b)の場合、原稿の有無にかかわらず、画像読取部4は常にこのゴミを読み取る。このため、原稿領域内、領域外ともに異常画像が発生する。
【0063】
ゴミ(c)の場合、画像読取部4は、原稿読取中にこのゴミを読み取らず、原稿読取中ではないときにはこのゴミを読み取る。
【0064】
原稿情報(d)の場合、画像読取部4は、原稿読取中にこの情報を読み取り、原稿読取中ではないときにはこの情報を読み取らない。
【0065】
このように、原稿の読取画像データに異常画像として現れるのは、ゴミ(b)すなわちスリットガラス7上のゴミのみであり、ゴミ(c)すなわち背景板68上のゴミは異常画像としては現れない。また情報(d)は原稿自体の情報である。従って、ゴミ(b)のみをゴミと判断する必要がある。
【0066】
上述したように、ゴミ検知処理およびゴミ補正処理は、画像処理編集部105により行われる。以下、画像処理編集部105の構成について説明する。
【0067】
図6に示すように、画像処理編集部は、ゴミ検知部201、ゴミ判定部202、ラインメモリ203およびゴミ補正部204を有している。
【0068】
ゴミ検知部201は、メモリ制御部103から入力した画像データに基づいて、ゴミ画素の位置の検知処理を行う。なお、検知に使用する画像データは次の2つである。1つは原稿読取前に取得する、背景板68の読取画像データであり、この画像データに対するゴミ検知動作を第1ゴミ検知と呼ぶ。もう1つは原稿読取中に取得する、原稿先端部の読取画像データであり、この画像データに対するゴミ検知動作を第2ゴミ検知と呼ぶ。第1ゴミ検知の結果と、第2ゴミ検知の結果は、それぞれゴミ判定部202経由でラインメモリ203に保存される。
【0069】
ゴミ判定部202は、ラインメモリ203に保存された第1ゴミ検知の結果と第2ゴミ検知の結果から、検知すべきゴミかどうかを判定する。具体的には、第1ゴミ検知の結果と第2ゴミ検知の結果を比較し、両方に共通するゴミが検知された画素について、前述のゴミ(b)、すなわちスリットガラス7上のゴミと判定する。このゴミ判定結果はラインメモリ203に保存される。
【0070】
またゴミ判定部202は、第1ゴミ検知の結果と第2ゴミ検知の結果から、それらの検知結果が一致するかどうかを判定し、その判定結果はCPU109に転送される。
【0071】
ゴミ補正部204は、ラインメモリ203に保存されたゴミ判定結果に応じて、メモリ制御部103から入力した画像データに対する補正処理を行う。具体的には、ゴミ補正部204は、ゴミがあると判定された画素を、周囲の画素の画像データから算出される補間データで置き換える。ゴミ補正部204にて補正処理された画像データは、画像処理編集部105の後段の画像処理に出力され、その他の各種画像処理が実施される。
【0072】
CPU109は、ゴミ判定部202による一致判定結果に応じて、ADF制御部115により制御されるADF2の原稿搬送、画像読取部4による原稿読取、およびゴミ検知201によるゴミ検知動作の中から、実行する動作を選択する。具体的には、一致判定結果がYes(一致する)である場合は、次の原稿読取前に第1ゴミ検知を実行しないよう、ADF制御部115、画像読取部4およびゴミ検知部201を制御する。
【0073】
図7に示すように、ゴミ検知部201は、第1検出部301、第2検出部302、裏写り情報検出部303およびDDR−SDRAM(以下「DDR」という。)304を有している。
【0074】
第1検出部301は、原稿が画像読取部4に搬送される前に取得される背景板68の読取画像データと、画像読取部4に搬送された原稿先端部の表面側の読取画像データについてゴミ検知を行う。
【0075】
第2検出部302は、原稿が第2読取部101に搬送される前に取得される第2読取ローラ70の読取画像データと、第2読取部101に搬送された原稿先端部の裏面側の読取画像データについてゴミ検知を行う。
【0076】
裏写り情報検出部303では、後述する原稿画像の裏写りの検知を行う。
【0077】
DDR304は、使用されるシステムの状況に応じて裏写り情報検出部303への画像データの送信タイミングの調整を行う。
【0078】
上述した裏写り情報検出部303による原稿画像の裏写りの検出について説明する。
【0079】
まず、図8を用いて原稿の表面または裏面の画像が、原稿の裏面または表面に裏写りする様子について説明する。図8(A)は、原稿の表面を画像読取装置で読み取ったときに、裏面の画像が表面に透けて(裏写りして)、画像読取装置に読み取られる様子を示す。図8(B)は、原稿の裏面を画像読取装置で読み取ったときに、表面の画像が裏面に透けて(裏写りして)、画像読取装置に読み取られる様子を示す。このような裏写りは、原稿の地肌レベル、紙の厚さ等の影響により発生しない場合がある。その場合には、原稿の読み取りが行われる面(表面)の反対側の面(裏面)から光を当てることで、裏面の画像の表面への裏写りを生じさせることができる。
【0080】
画像処理編集部105のゴミ判定部202によるゴミの判定方法について、図9および図10を用いて説明する。なお、ゴミはかなり小さく、画像読取装置で取り込まれるデジタル値が低いため、裏うつりしないものとする。また、原稿両面の読み取りを行うタイミング、および、裏写りの読み取りタイミングは同じであるとする。
【0081】
図9は、ゴミ判定部202による原稿表面の画像とゴミとの判定方法を、判定結果1〜4を例に示している。判定結果1〜4では、何れの結果においても、原稿が画像読取部4に搬送される前に背景板68を読み取った画像データには、ゴミの可能性のある部分は存在しない。原稿読取部4に搬送された原稿の先端部表面にゴミの可能性のある部分が現れた時点(2段目の状態)では、ゴミなのか原稿の画像なのか判定できない。
【0082】
[判定結果1]
第2読取部101による原稿先端部の裏面の読取画像データにおいて画像は検知されていない(3段目の状態)。そのため、裏面画像の表面への裏写りは生じないことが分かる。また、上記裏面の読取画像データからは、表面の画像の裏面への裏写りは検知されていない(4段目の状態)。そのため、表面に画像が無いことが分かる。すなわち、原稿先端部の表面に画像は存在せず、かつ、裏面にも画像は存在しないため、原稿の先端部表面の画像データにおいて現れているのはゴミであると判定される。
【0083】
[判定結果2]
第2読取部101による原稿先端部の裏面の読取画像データにおいて画像が検知されている(3段目の状態)。また、表面の画像の裏面への裏写りも検知されている(4段目の状態)。そのため、原稿先端部の表面に画像が存在するとともに、裏面の画像が表面に裏写りしていると判定される。
【0084】
[判定結果3]
第2読取部101による原稿先端部の裏面の読取画像データにおいて画像が検知されている(3段目の状態)。また、上記裏面の読取画像データからは、表面の画像の裏面への裏写りは検知されていない(4段目の状態)。そのため、表面に画像は無く、裏面の画像が表面に裏写りしていると判定される。
【0085】
[判定結果4]
第2読取部101による原稿先端部の裏面の読取画像データにおいて画像は検知されていない(3段目の状態)。そのため、裏面画像の表面への裏写りは生じないことが分かる。また、表面の画像の裏面への裏写りが検知されている(4段目の状態)。そのため、原稿先端部の表面に画像が存在すると判定される。
【0086】
図10は、ゴミ判定部202による原稿裏面の画像とゴミとの判定方法を、判定結果5〜8を例に示している。判定結果5〜8では、何れの結果においても、原稿が第2読取部101に搬送される前に第2読取ローラ70を読み取った画像データには、ゴミの可能性のある部分は存在しない。第2読取部101に搬送された原稿の先端部裏面にゴミの可能性のある部分が現れた時点(2段目の状態)では、ゴミなのか原稿の画像なのか判定できない。
【0087】
[判定結果5]
画像読取部4による原稿先端部の表面の読取画像データにおいて画像は検知されていない(3段目の状態)。そのため、表面画像の裏面への裏写りは生じないことが分かる。また、上記表面の読取画像データからは、裏面の画像の表面への裏写りは検知されていない(4段目の状態)。そのため、裏面に画像が無いことが分かる。すなわち、原稿先端部の裏面に画像は存在せず、かつ、表面にも画像は存在しないため、原稿の先端部裏面の画像データにおいて現れているのはゴミであると判定される。
【0088】
[判定結果6]
画像読取部4による原稿先端部の表面の読取画像データにおいて画像が検知されている(3段目の状態)。また、裏面の画像の表面への裏写りも検知されている(4段目の状態)。そのため、原稿先端部の裏面に画像が存在するとともに、表面の画像が裏面に裏写りしていると判定される。
【0089】
[判定結果7]
画像読取部4による原稿先端部の表面の読取画像データにおいて画像が検知されている(3段目の状態)。また、上記表面の読取画像データからは、裏面の画像の表面への裏写りは検知されていない(4段目の状態)。そのため、裏面に画像は無く、表面の画像が裏面に裏写りしていると判定される。
【0090】
[判定結果8]
画像読取部4による原稿先端部の表面の読取画像データにおいて画像は検知されていない(3段目の状態)。そのため、表面画像の裏面への裏写りは生じないことが分かる。また、裏面の画像の表面への裏写りが検知されている(4段目の状態)。そのため、原稿先端部の裏面に画像が存在すると判定される。
【0091】
上述した従来の方法(図11参照)では、次の原稿が搬送される前に背景板68の画像を読み取るとともに、搬送された次の原稿の先端部の画像を用いて判定を行う必要があった。しかし、本実施形態に係る画像読取装置および画像形成装置において実行される判定方法では、次の原稿を用いる必要がなく、最初の原稿に対しても、裏写り画像の影響も含めた画像補正を行うことができる。
【0092】
上述した判定方法によりゴミ等が検出された場合には、縦スジを軽減するように画像データの補正が行われる。
【0093】
なお、上述した画像データの何れにおいてもゴミ等の可能性のある部位が検出されない場合は、ゴミ等の付着も、原稿先端部に形成された画像も存在しないことになる。また、何れの画像においてもゴミ等の可能性のある部位が検出される場合は、スリットガラス7上や第2読取部101の図示せぬスリットガラス上にゴミ等が存在することが分かる。この場合は上述した判定方法は行わずに、縦スジを軽減するための画像データの補正が行われることが好ましい。
【0094】
上述した実施例においては、画像読取部4および第2読取部101の2つの読取機構を用いて原稿の両面を読み取り判定を行った。しかし、本発明においてはこれに限らず、原稿の両面を読み取ることができれば判定を行うことができる。そのため、1つの読取機構のみを用い、原稿を反転させることで原稿の両面を読み取る構成としても良い。
【符号の説明】
【0095】
1 複写機
2 自動原稿搬送装置(ADF)
3 給紙部
4 画像読取部
5 画像形成部
7 スリットガラス
13 搬送部
21、22 給紙カセット
23 給紙手段
25 第1キャリッジ
26 第2キャリッジ
27 結像レンズ
28 撮像部
31 露光装置
32 感光体ドラム
33 現像装置
34 転写ベルト
35 定着装置
41 可動原稿テーブル
42 サイドガイド板
46 セットフィラー
51 分離給送部
52 プルアウト部
53 ターン部
54 第1読取搬送部
55 第2読取搬送部
56 排紙部
61 ピックアップローラ
62 給紙ベルト
63 リバースローラ
64 支持アーム部材
65 プルアウトローラ
66 中間ローラ
67 読取入口ローラ
68 第1背景板
69 第1読取出口ローラ
70 第2読取ローラ
87 テーブル上昇センサ
88 ホームポジションセンサ
89、90 原稿長さ検知センサ
91 紙厚測定センサ
101 第2読取部
201 ゴミ検知部
202 ゴミ判定部
203 ラインメモリ
204 ゴミ補正部
301 第1検出部
302 第2検出部
303 裏写り情報検出部
304 DDR−SDRAM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2009−033291号公報
【特許文献2】特開2005−142669号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景板と、
前記背景板上に原稿を搬送する搬送手段と、
前記背景板と、前記搬送手段により前記背景板上に搬送された原稿の一面側および他面側とを、前記他面側から前記一面側への裏写りおよび前記一面側から前記他面側への裏写りも含めて読み取り画像データを得る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた画像の画像データからゴミ候補画素を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づき画像データの補正が必要となるゴミの有無を判定する判定手段と、
を備えた画像読取装置。
【請求項2】
前記背景板は第1背景板および第2背景板を有し、
前記読取手段は前記第1背景板上に位置する画像を読み取る第1読取手段と、前記第2背景板上に位置する画像を読み取る第2読取手段と、を有し、
前記第1読取手段で前記第1背景板および前記原稿の前記一面側を読み取り、前記第2読取手段で前記第2背景板および前記原稿の前記他面側を読み取る請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像データ、前記検知結果および前記判定結果を記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段に記憶されている前記画像データ、前記検知結果および前記判定結果が必要に応じて取り出される請求項1または2記載の画像読取装置。
【請求項4】
画像読取装置により得られた画像データに補正が行われ、補正後の画像データをもとに画像形成が行われる画像形成装置であって、前記画像読取装置として請求項1乃至3の何れかに記載の画像読取装置を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−66066(P2013−66066A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203601(P2011−203601)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000115751)リコーユニテクノ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】