説明

画像読取装置および画像読取制御プログラム

【課題】 印刷物から読み取って作成した画像ファイル名から、当該ファイルの送信者や受信者を容易に判別できるようにする。
【解決手段】 画像読取部9は印刷物の画像情報を読取る。記憶部13は、読取り画像情報の送信者および受信者の名前を特定情報として予め記憶する。選択部11はその特定情報を外部から選択する。ファイル作成部7は、画像読取部9で読み取った画像情報から、選択部11の選択に基づきその特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成し、記憶部13に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置および画像読取制御プログラムに係り、特に、印刷物から読み取った画像情報の送信元や送信先等の判別が容易な画像読取装置および画像読取制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像読取装置、例えばスキャナー装置では、ネットワーク接続可能な機器が提供されるようになっており、読み取った画像情報にファイル名(例:SCAN001.pdf)を付与してネットワーク上のコンピュータに電子メールで送信できるものがある。
【0003】
このような場合、送信先では送信元のネットワークスキャナー装置名やマックアドレスは分かるものの、誰が送信したのかが分かり難い。
【0004】
そこで従来、ネットワークスキャナー装置に配置された操作パネルに文字入力手段を設けることにより、ファイル名に送信元の名前を入力し、印刷物から読み取った画像情報をファイル化するとき送信元名を付与可能に構成し、受け取った画像ファイルの送信元が誰なのか、送信先側で判断できるものも提供されている。特開2005−73120号公報(特許文献1)はこの種のものである。
【特許文献1】特開2005−73120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したスキャナー装置では、送信元がファイル名を操作パネルから一々入力する必要があるため、ファイルを出力するまでに非常に手間がかかって煩雑であるうえ、時間もかかる難点がある。
【0006】
さらに、上記したスキャナー装置では、ファイルを受け取った送信先には本当に自己宛のファイルであるか誤送信であるか判別し難く、ファイルの内容を確認するのを遅らせたり、放置してしまう心配がある。
【0007】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、印刷物から読み取った画像ファイル名に送信元および又は送信先の特定情報を簡単に付与でき、ファイル名から送信元や送信先等の判別が容易な画像読取装置および画像読取制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような課題を解決するために本発明に係る画像読取装置は、印刷物に表示された画像情報を読取る画像読取部と、その読取り画像情報の送信元および又は送信先を特定する特定情報を記憶した記憶部と、その特定情報を外部から選択する選択部と、その画像読取部で読み取った画像情報から、選択部の選択に基づきその特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成するファイル作成部とを具備している。
【0009】
そして、本発明では、上記特定情報としてその送信元を特定する情報のみをファイル名に付与するよう上記ファイル作成部を形成する構成も可能である。
【0010】
また、本発明では、上記特定情報としてその送信先を特定する情報のみをファイル名に付与するよう上記ファイル作成部を形成する構成も可能である。
【0011】
さらに、本発明では、上記特定情報としてそれら送信元および送信先を特定する情報をファイル名に付与するよう上記ファイル作成部を形成する構成も可能である。
【0012】
さらにまた、本発明では、上記特定情報を名前情報とする構成も可能である。
【0013】
そして、本発明では、上記特定情報に加えてダミー情報を付与するよう上記ファイル作成部を形成する構成も可能である。
【0014】
また、本発明では、上記特定情報として当該送信元および送信先のメールアドレスのユーザ名とする構成も可能である。
【0015】
しかも、本発明では、外部とデータの通信を行う通信部を設け、作成した上記ファイルをその通信部を介して外部に送出するよう上記ファイル作成部を形成する構成も可能である。
【0016】
そして、本発明に係る画像読取制御プログラムでは、印刷物に表示された画像情報を読取って所定形式のファイルを作成制御する画像読取制御用コンピュータにおいて、その印刷物に表示された画像情報を読取る読取処理と、その読取り画像情報を送る送信元および又は送信先を特定する特定情報であって予め記憶されたそれら特定情報を外部からの指示に基づき選択する選択処理と、読み取った画像情報から、選択されたその特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成するファイル作成処理とを実行するものである。
【発明の効果】
【0017】
このような本発明に係る画像読取装置および画像読取制御プログラムでは、印刷物に表示された画像情報を画像読取部で読取り、その読取り画像情報の送信元および又は送信先を特定する特定情報を記憶部に予め記憶し、その特定情報を外部から選択部で選択し、その画像読取部で読み取った画像情報から、ファイル作成部にてその選択部の選択に基づき特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成するから、その画像ファイル名への送信元および又は送信先の特定情報の付与が簡単となり、読み取った画像ファイル名から宛先や送信元の判別も容易となる。
【0018】
そして、上記特定情報としてその送信元を特定する情報のみをファイル名に付与するよう上記ファイル作成部を形成すれば、ファイル名から特に送信元を特定することが容易である。
【0019】
また、上記特定情報としてその送信先を特定する情報のみをファイル名に付与するよう上記ファイル作成部を形成すれば、ファイル名から特に送信先を特定することが容易である。
【0020】
さらに、上記特定情報としてそれら送信元および送信先を特定する情報をファイル名に付与するよう上記ファイル作成部を形成れば、ファイル名から送信元および送信先双方を特定することが容易である。
【0021】
さらにまた、上記特定情報を名前情報とする構成では、送信元および送信先双方を名前からより一層特定することが容易である。
【0022】
そして、上記特定情報に加えてダミー情報を付与する構成では、送信元又は送信先に加えてダミー情報を汎用特定情報としたファイル名の作成が可能である。
【0023】
また、上記特定情報として当該送信元および送信先のメールアドレスのユーザ名とする構成では、予めメールアドレスが記憶されていればそのまま流用してファイル名を作成することが可能である。
【0024】
しかも、外部と通信を行う通信部を介して上記ファイルを外部に送出するよう上記ファイル作成部を形成すれば、画像ファイルを送信先へ送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明に係る画像読取装置を示すブロック図であり、例えばスキャナー装置として機能する。
【0027】
図1において、通信部1は、ネットワーク3を介して接続された例えば外部のホストコンピュータ5との間で後述する画像ファイルその他を送信したりデータを受信するものであり、画像制御部7の制御の下、信号のパラレル/シリアル変換機能等のインターフェース機能を有している。
【0028】
図1では、便宜上、1台のホストコンピュータ5を図示するとともに、単にコンピュータと称する。
【0029】
通信部1が接続されている画像制御部7は、画像読取部9、操作パネル11、記憶部13に接続されそれらを制御するとともに、以下の機能を有している。それらの詳細は後述する。
【0030】
画像読取部9は、画像制御部7の制御の下、例えばラインランプ等の光源から読取り原稿(印刷物)に光を照射し、その反射光をラインセンサで電気信号に変換してデジタク画像を読み取る従来公知のスキャナーユニットであり、読み取った画像データを画像制御部7に出力するものである。
【0031】
操作パネル11は、機器の本体上部に配置された例えば表示部を兼ねたタッチ式スイッチであり、画像制御部7の制御の下、外部からユーザが画像読取部9の読取りスタート指示、後述する画像ファイル形式の選択指示、画像ファイルのファイル名に付与する送信元および送信先の特定情報その他を入力し、画像制御部7に出力可能になっている。すなわち、操作パネル11は、特定情報の選択部としても機能している。
【0032】
画像ファイル形式の選択は、例えば「pdf」や「tiff」その他従来公知のファイル形式の選択であり、操作パネル11上に表示されたファイル形式をタッチすることで選択される。
【0033】
画像ファイルのファイル名に付与する送信元および送信先の特定情報は、後述するように、作成した画像ファイルのファイル名に付与するもので、画像ファイルの送信元(送信者)と作成した画像ファイルの送信先(受信者)を特定する特定情報であり、具体的には送信元や送信先の「名前」、「社員番号(ID)」、「メールアドレス中のユーザ名」等である。
【0034】
記憶部13は、画像制御部7の制御の下で、画像読取部9からの読取り画像データ、作成された画像ファイル、送信元や送信先の特定情報、その他を記憶する読み書き可能な内部メモリである。例えば、送信元がaaa氏、送信先がbbb氏であれば、予め操作パネル11から送信元および送信先に関連付けて「bbb」および「bbb」が記憶されている。
【0035】
画像制御部7は、画像読取部9からの読取り画像データ、作成された画像ファイル、操作パネル11からの送信元や送信先の特定情報その他を記憶部13に格納や読出し制御する他、以下の機能を有する。
【0036】
すなわち、画像制御部7は、操作パネル11からの読取り指示に基づき、画像読取部9からの読取り画像データを、操作パネル11から選択されたファイル形式例えば「pdf」形式で画像ファイルを形成し、記憶部13に格納するファイル作成部としての機能を有している。
【0037】
しかも、画像制御部7は、画像ファイルのファイル名として、拡張子「pdf」の前に、操作パネル11から選択されその画像ファイルを送る送信元および送信先の特定情報であって記憶部13から読み出された特定情報を付与し、記憶部13へ格納する機能を有している。
【0038】
例えば、上述したように送信元がaaa氏で送信先がbbb氏であれば、図2中の(1)に示するように、ファイル名が「aaa−bbb−001.pdf」等とすることになる。
【0039】
画像制御部7は、操作パネル11からの指示の下、記憶部13へ格納されたファイル名「aaa−bbb−001.pdf」の画像ファイルに送信先情報を付すとともに所定のファーマットにして、通信部1からネットワーク3に送出する機能も有している。
【0040】
そして、それら通信部1、画像制御部7、画像読取部9、操作パネル11および記憶部13によってスキャナー装置15が形成されている。もっとも、当該スキャナー装置15にはそれら通信部1、画像制御部7、画像読取部9、操作パネル11および記憶部13以外の構成も搭載されているが、本発明の要部ではないので説明および図示を省略する。
【0041】
また、画像制御部7を中心とする記憶部13等は、例えば図示しない種々の演算判断機能を有するCPU、このCPUの動作プログラムを格納したROMおよび入出力インターフェースを有するスキャナー装置用のマイクロコンピュータで構成されており、スキャナー装置15に搭載した従来機能を担うマイクロコンピュータにて兼用構成可能である。
【0042】
このように本発明の画像読取装置は、印刷物の画像情報を読取る画像読取部9と、その読取り画像情報の送信元および送信先の名前を特定情報として記憶した記憶部13と、その特定情報を外部から選択する操作パネル(選択部)11と、その画像読取部9で読み取った画像情報について、その操作パネル(選択部)11の選択に基づきその特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成するファイル作成部7とを有するから、画像ファイルへ送信者および受信者の特定情報を自動的に付与できる。
【0043】
そして、読み取った画像ファイル名から送信元および送信先の双方の判別が可能となり、ファイルの送信先である受信者には本当に自己宛のファイルであるか誤送信である否か判別し易いし、ファイルの内容の見当が付き易く、ファイルの確認が遅れたり放置してしまう心配がない。
【0044】
しかも、画像ファイル名には送信元および送信先の双方の名前が付与されているから、画像ファイルの送信元および送信先を極めて容易に判別できる利点がある。
【0045】
さらに、画像ファイルを通信部1からネットワーク3を介して外部のホストコンピュータ5へ送出するよう構成されているから、画像ファイルを任意の送信先に送信することができる。
【0046】
もっとも、本発明においては、画像ファイル名に送信元および送信先の双方の名前を付す必要はなく、画像ファイル名に送信元の名前のみ付されていれば少なくとも送信元が分かるし、送信先のみ付されていれば少なくとも自己宛の画像ファイルであることが分かるので、少なくとも送信元又は送信先の名前が付されていれば本発明の目的達成が可能である。
【0047】
そして、画像ファイル名に送信元又は送信先の一方の名前を付す場合、これに加えて図2中の(2)、(3)に示するように、他方の特定情報としてダミー情報(汎用情報)「+++」とすることも可能であり、これに対応するようファイル作成部7を形成する。
【0048】
このように、ダミー情報(汎用情報)「+++」を付せば、送信者又は受信者において送信元又は送信先をある個人に特定しない特定情報であって、例えば社内一斉情報の送信に使用可能である。
【0049】
さらに、送信元および送信先を特定する特定情報はそれらの名前に限定されず、例えば社員番号等のIDであっても良く、当事者間で判別可能な特定情報であればよい。
【0050】
さらにまた、特定情報として当該送信元および送信先のメールアドレスのユーザ名とすることも可能であり、図2中の(4)に示すように、予めメールアドレス「BbB@abcdefg.com」が入力されていれば,そのまま流用してファイル名「aaa−BbB−001.pdf」を作成して電子メールを送信することが容易であり、これに合わせて画像制御部(ファイル作成部)7、操作パネル11および記憶部13等を形成すれば良い。
【0051】
また、本発明では、画像ファイルを通信部1からネットワーク3を介して外部に送出して任意の格納先(フォルダ)に格納したり、FD、MO、USBメモリ等の外部記憶媒体に出力することも可能であり、それに合わせて通信部1を形成すれば良い。
【0052】
ところで、本発明に係る画像読取制御用プログラムにつき言及すれば、上述したファイル作成部7、画像読取部9、記憶部13等の機能を有する画像読取制御用コンピュータにおいて、その印刷物に表示された画像情報を読取る読取処理と、その読取り画像情報を送る送信元および又は送信先を特定する特定情報であって予め記憶された特定情報を外部からの指示に基づき選択する選択処理と、読み取った画像情報から、選択されたその特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成するファイル作成処理とを実行するものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る画像読取装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】送信元および送信先の特定情報とファイル名の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 通信部
3 ネットワーク
5 ホストコンピュータ(コンピュータ)
7 画像制御部(ファイル作成部)
9 画像読取部
11 操作パネル(選択部)
13 記憶部
15 スキャナー装置(画像読取装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物に表示された画像情報を読取る画像読取部と、
この画像読取部で読み取った読取り情報の送信元および又は送信先を特定する特定情報を記憶した記憶部と、
前記特定情報を外部から選択する選択部と、
前記画像読取部で読み取った画像情報から、前記選択部の選択に基づく前記特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成するファイル作成部と、
を具備することを特徴とするおよび画像読取装置。
【請求項2】
前記ファイル作成部は、前記特定情報として前記送信元を特定する情報のみを前記ファイル名に付与するものである請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ファイル作成部は、前記特定情報として前記送信先を特定する情報のみを前記ファイル名に付与するものである請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記ファイル作成部は、前記特定情報として前記送信元および送信先を特定する情報を前記ファイル名に付与するものである請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記特定情報は名前情報である請求項1〜4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ファイル作成部は、前記特定情報に加えてダミー情報を付与するものである請求項2又は3記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記特定情報は当該送信元および送信先のメールアドレスのユーザ名である請求項1〜4、6のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
外部とデータの通信を行う通信部を有し、前記ファイル作成部は、作成した前記ファイルを前記通信部を介して外部に送出するよう形成された請求項1〜7のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項9】
印刷物に表示された画像情報を読取って所定形式のファイルを作成制御する画像読取制御用コンピュータにおいて、
前記印刷物に表示された画像情報を読取る読取処理と、
前記読取り画像情報を送る送信元および又は送信先を特定する特定情報であって予め記憶された前記特定情報を外部からの指示に基づき選択する選択処理と、
読み取った画像情報から、選択された前記特定情報をファイル名に付与して所定形式のファイルを作成するファイル作成処理と、
を実行するための画像読取制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate