画像読取装置及び情報入力方法
【課題】 読取画像の画質劣化を抑制する画像読取装置を提供する。
【解決手段】 画像読取装置1は、電源ボタンが押下されると、電力供給と初期化を開始し、初期化が完了すると、ICチップからの情報取得動作と、原稿からの画像読取動作とを許可する。次に、画像読取装置1は、情報の読み取りを指示する操作を受け付けると、移動ユニットをホームポジションに固定して、ICチップからの情報取得動作を開始し、ICチップからの情報取得動作が完了すると、自動的に、画像読取動作を開始する。
【解決手段】 画像読取装置1は、電源ボタンが押下されると、電力供給と初期化を開始し、初期化が完了すると、ICチップからの情報取得動作と、原稿からの画像読取動作とを許可する。次に、画像読取装置1は、情報の読み取りを指示する操作を受け付けると、移動ユニットをホームポジションに固定して、ICチップからの情報取得動作を開始し、ICチップからの情報取得動作が完了すると、自動的に、画像読取動作を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、非接触式ICカードの券面の画像を光学的に読み取る画像読取手段を備えたことを特徴とするICカードリーダライタが開示されている。
また、特許文献2には、原稿を載置するための原稿台と、前記原稿台に載置された原稿を副走査方向に移動し光学的に走査するための原稿走査手段と、走査された原稿画像を光学的に読み取り電子データに変換する画像読取手段とを有する画像読取装置において、メモリとアンテナを含む無線通信素子と通信するための少なくとも一つの通信アンテナを前記原稿走査手段上に具備し、前記通信アンテナを介して前記無線通信素子内のメモリからの情報の読み出し及びメモリへの情報の書き込みを行う手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−134054
【特許文献2】特開2006−203630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、読取画像の画質劣化を抑制する画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像読取装置は、原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取手段と、前記原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得手段と、前記画像読取手段による画像読取動作のタイミングを、前記情報取得手段による情報取得動作のタイミングに応じて制御する制御手段とを有する。
【0006】
好適には、前記制御手段は、前記画像読取手段により画像読取動作が行われている期間に、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止し、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている期間に、前記画像読取手段による画像読取動作を禁止する。
【0007】
好適には、前記画像読取手段は、原稿の副走査方向に移動しながら、原稿を読み取る移動ユニットを含み、前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを既定の位置に移動させる。
【0008】
好適には、前記原稿台は、透明なシート状の部材で構成されており、前記原稿台の周囲に配置されたアンテナをさらに有し、前記情報取得手段は、前記アンテナを介した無線通信により情報を取得し、前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを、前記アンテナに対して既定の相対位置に移動させる。
【0009】
好適には、前記画像読取手段及び前記情報取得手段に対して電力を供給する電力供給手段をさらに有し、前記制御手段は、前記電力供給手段により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間、前記画像読取手段による画像読取動作、及び、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止する。
【0010】
本発明に係る情報入力方法は、原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップの動作タイミングに応じて、前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップとを有する。
【0011】
好適には、原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップと、前記画像読取ステップの動作タイミングに応じて、原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読取画像の画質劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る画像読取装置1の斜視図である。
【図2】図1に示した本実施形態に係る画像読取装置1の平面図である。
【図3】図2のA−A線矢視断面図である
【図4】ガラス2を例示する斜視図である。
【図5】アンテナ20を例示する斜視図である。
【図6】トップカバー30を例示する斜視図である。
【図7】シールド板金40を例示する斜視図である。
【図8】ベースフレーム32を例示する斜視図である。
【図9】底面板金50を例示する斜視図である。
【図10】制御装置60の機能構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本実施形態の背景と概要を説明する。
本実施形態の画像読取装置1は、電磁誘導方式を利用して、原稿に付されたICチップから情報を取得する機能と、原稿から光学的に画像を読み取る機能とを有する。また、画像読取装置1は、縦30cm以下、横30cm以下、高さ30cm以下(好ましくは5cm以下)の大きさを有するハンディタイプの装置である。本実施形態の画像読取装置1は、小型化によって、どこにでも持ち運びでき、広い設置場所を必要としない手軽さを実現する。
しかし、小型化した画像読取装置1は、これらの機能を実現するための構成を狭いスペースに収容する必要があるため、互いに干渉する虞があった。例えば、非接触型IC読取動作では、アンテナとICチップとの間の磁界を利用する電磁誘導方式を利用し通信している。そのため、通信時には、強い磁場が発生し、画像読取動作を行う構成(特に、電子部品)に影響を及ぼすことがわかった。また、画像読取動作を行う構成には金属部品が含まれており、アンテナにより発生させる磁界強度に影響する可能性がある。
【0015】
一方で、本実施形態の画像読取装置1に設けられたアンテナは、A6サイズ以上の領域を包含するループ形状である。ループアンテナの読取領域の中心付近の磁界強度は、その周囲の領域より弱くなる傾向がある。そのため、読取面(原稿台)が比較的広い場合には、読取領域の中心付近の磁界強度を保つため、アンテナの出力強度を一定程度強くする必要がある。すなわち、画像読取動作に影響しない程度にアンテナ出力を抑えることは不可能である。また、徒に磁界強度を強くすると、ICチップを破壊する虞があるため、アンテナの出力強度の許容範囲が狭くなり、磁界強度の変動を極力排除する必要がある。
そこで、本実施形態の画像読取装置1は、画像読取動作のタイミングと、ICチップから情報を取得する情報取得動作のタイミングとを排他的に制御する。
【0016】
以下、本発明の実施形態の外装構成を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る画像読取装置1の斜視図である。
図2は、図1に示した本実施形態に係る画像読取装置1の平面図である。
【0017】
図1及び図2に例示するように、画像読取装置1は、原稿を載置できるガラス2と、機械部分を収納する筐体3とで構成されている。筐体3は、載置された原稿を固定することができる原稿台カバー(不図示)を設置できる。
【0018】
ガラス2は、四角形で透明なシート状部材である。本例のガラス2は、ガラス製であるが、透明であり、かつ、透磁性を有していれば、他の材質によって構成してもよく、例えば、透明なプラスチック板などであってもよい。
ガラス2の表面には、アンテナ20と、アンテナ貼付領域12と、読取面10とが構成される。アンテナ貼付領域12には、アンテナ20が貼り付けられる。読取面10は、アンテナ20に囲まれた領域であり、原稿台として機能する。
【0019】
アンテナ20は、ループ形状をしており、電流を通す素材で構成されている。アンテナ20は、原稿に付された非接触型ICチップの読み取りを行うために、非接触型ICチップに対応する磁界を発生し、非接触型ICチップ内に起電力を起こさせ、通信を行う。本例のアンテナ20は、ガラス2の筐体3に面する側に固定され、ガラス2の縁沿いにループ状に配置されている。
アンテナ20の出力は、後述する底面板金50の影響を加味して設定されている。すなわち、アンテナ20は、底面板金50の固定的な影響が存在しても、読取面10のいずれにICチップが配置されても、配置されたICチップからIC情報を読み取ることができる程度の出力強度に設定されている。
【0020】
アンテナ貼付領域12は、ループ状のアンテナ20を貼り付けたガラス2上の領域である。アンテナ貼付領域12は、載置された原稿を光学的に走査することができない領域でもある。
【0021】
読取面10は、アンテナ貼付領域12に囲われた領域である。読取面10は、載置された原稿を光学的に走査するため、筐体3の内部を見通すことができる。読取面10は、画像を読み取るべき原稿、又は、非接触型ICチップが付された媒体(以下、これも原稿という)を載置するところである。読取面10は、少なくとも、A6(105mm×148mm)サイズ又はパスポートの片面が入るサイズに設定されている。
【0022】
図3は、図2のA−A線矢視断面図である。
図4は、ガラス2を例示する斜視図である。
図5は、アンテナ20を例示する斜視図である。
図6は、トップカバー30を例示する斜視図である。
図7は、シールド板金40を例示する斜視図である。
図8は、ベースフレーム32を例示する斜視図である。
図9は、底面板金50を例示する斜視図である。
図3〜図9に示すように、筐体3は、側面を構成するトップカバー30と、底面を構成するベースフレーム32とで構成されている。筐体3の内部には、シールド板金40が配置され、筐体3の底面には底面板金50が配置されている。
【0023】
トップカバー30は、図6に例示するように、画像読取装置1の筐体3の側面外装である。トップカバー30の材質は、非金属材料であり、例えば、合成樹脂で形成されている。トップカバー30は、直方体の形で、上面部及び下面部に大きな開口を有する。また、トップカバー30は、原稿台カバーを持ち上げるための窪みがあり、その付近には画像読取装置1を起動させる電源ボタンが設置されている。
【0024】
シールド板金40は、図7に例示するように、画像読取装置1の内部骨格である。シールド板金40の材質は、金属部材で、例えば、ステンレス、アルミ、銅、又は鉄で形成されている。シールド板金40は、トップカバー30に収まる略四角形の大きさであり、端は固定できるよう略垂直に立ち上がっている。
シールド板金40は、アンテナ20から10mm以上は離間して設置され、制御装置など(不図示)から発生する電磁波をシールドする。
【0025】
ベースフレーム32は、図8に例示するように、画像読取装置1の筐体3の底面外装である。ベースフレーム32の材質は、非金属部材で、例えば、合成樹脂で形成されている。ベースフレーム32は、四角形の形状でありトップカバー30に合致する大きさである。ベースフレーム32は、画像読取装置1を保持するためのくびれが設けられており、副走査方向の両端にあるため安易に持ち運びができる。
【0026】
底面板金50は、図9に例示するように、シート状の金属部材であり、例えば、ステンレス、アルミ、銅、鉄で形成される。底面板金50は、本発明に係る変動緩和部材の一例である。
底面板金50は、設置する環境により画像読取装置1が影響を受けないよう機能する。
本例の底面板金50は、アンテナ20の外周よりも大きな面積を有する略四角形状の板である。また、本例の底面板金50は、固定するための取付け穴と、ベースフレーム32とある程度の距離を保つことのできる突起をそれぞれ四隅に有する。底面板金50に設けられた取付け穴は、直径13mm以下である。また、底面板金50の取付け穴は、画像読取装置1を鉛直上方から見た場合、アンテナ20よりも外側に配置されている。底面板金50には、取付け穴の他に、穴を設けることができるが、穴の直径を13mm以下とし、かつ、アンテナ20よりも外側に配置されることが望ましい。また、底面板金50は、アンテナ20から10mm以上は離間して設置される。
【0027】
また、筐体3には、原稿から画像を読み取るための移動ユニット(不図示)が設けられている。移動ユニットの上部(すなわち、ガラス2に近い部分)に、非金属部材で構成された導光体が設けられており、移動ユニットの下部(すなわち、ガラス2から遠い部分)に、金属部分を含む受光素子が設けられている。受光素子は、移動ユニットの長手方向(主走査方向)に配列され、ライン状のイメージセンサを形成する。
移動ユニットは、画像読取動作の時に、ガラス2に近接する下方を副走査方向に移動し、導光体で導かれた原稿の反射光を、受光素子で読み取っていく。
また、筐体3内には、IC情報取得部(不図示)と、制御装置と、電力供給部(不図示)とが設けられている。IC情報取得部は、アンテナ20を介して、ICチップからIC情報を読み取る。制御装置は、IC情報取得部と、移動ユニットとを制御する。電力供給部は、アンテナ20、移動ユニット及びIC情報取得部などの他の構成で電力を供給する。
【0028】
図10は、制御装置60の機能構成を例示する図である。
図10に例示するように、制御装置60は、RFID制御部600と、スキャナ制御部610と、電源制御部620とを有する。
RFID制御部600は、IC情報取得部と協同して、アンテナ20を介した無線通信を制御する。すなわち、RFID制御部600は、ICチップからIC情報を読み取る情報取得動作を制御する。例えば、RFID制御部600は、移動ユニットにより画像読取動作が行われている期間に、アンテナ20により電磁界を生成させないように制御して、情報取得動作を禁止する。また、RFID制御部600は、電源制御部620により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間(例えば、初期化が完了するまでの期間)に、情報取得動作を禁止する。
【0029】
スキャナ制御部610は、移動ユニットを制御することにより、画像読取動作を制御する。例えば、スキャナ制御部610は、アンテナ20により電磁界が生成されている期間(すなわち、情報取得動作が行われている期間)に、移動ユニットをホームポジション(アンテナ20よりも外側の位置)に移動させて、画像読取動作を禁止する。また、スキャナ制御部610は、電源制御部620により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間に、画像読取動作を禁止する。
【0030】
電源制御部620は、電力供給部を制御して、画像読取装置1の各構成に対する電力供給を制御する。例えば、電源制御部620は、トップカバー30に設けられた電源ボタンの押下を検知すると、電力供給部に対して、電力の供給開始を指示すると共に、電力供給の開始を、RFID制御部600及びスキャナ制御部610に通知する。その後、電源制御部620は、画像読取装置1の各構成が初期化を完了すると、その旨をRFID制御部600及びスキャナ制御部610に通知する。
【0031】
次に、上記構成による情報入力方法を説明する。
画像読取装置1は、電源ボタンが押下されると、電力供給と初期化を開始し、初期化が完了すると、ICチップからの情報取得動作と、原稿からの画像読取動作とを許可する(ステップ10)。
次に、画像読取装置1は、情報の読み取りを指示する操作を受け付けると、移動ユニットをホームポジションに固定して、ICチップからの情報取得動作を開始する。その間、画像読取動作は禁止される(ステップ20)。
画像読取装置1は、ICチップからの情報取得動作が完了すると、自動的に、画像読取動作を開始する。その間、情報取得動作(アンテナ20による電磁界の生成)が禁止される(ステップ30)。
画像読取装置1は、画像読取動作が完了すると、読み取られた画像と、ICチップから取得したIC情報とを、同一の原稿から読み取られた情報として外部に出力する(ステップ40)。
なお、本例では、情報取得処理(ステップ20)の後で、画像読取処理(ステップ30)を行っているが、この順番を入れ替えてもよい。
【0032】
以上説明したように、画像読取装置1は、ICチップからの情報取得動作と、画像読取動作とを排他制御することにより、互いの干渉を防止する。これにより、読み取られる画像の画質劣化が抑制される。また、ICチップとの通信障害も抑制される。
【符号の説明】
【0033】
1…画像読取装置
2…ガラス
3…筐体
10…読取面
12…アンテナ貼付領域
20…アンテナ
30…トップカバー
32…ベースフレーム
40…シールド板金
50…底面板金
60…制御装置
600…RFID制御部
610…スキャナ制御部
620…電源制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、非接触式ICカードの券面の画像を光学的に読み取る画像読取手段を備えたことを特徴とするICカードリーダライタが開示されている。
また、特許文献2には、原稿を載置するための原稿台と、前記原稿台に載置された原稿を副走査方向に移動し光学的に走査するための原稿走査手段と、走査された原稿画像を光学的に読み取り電子データに変換する画像読取手段とを有する画像読取装置において、メモリとアンテナを含む無線通信素子と通信するための少なくとも一つの通信アンテナを前記原稿走査手段上に具備し、前記通信アンテナを介して前記無線通信素子内のメモリからの情報の読み出し及びメモリへの情報の書き込みを行う手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−134054
【特許文献2】特開2006−203630
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、読取画像の画質劣化を抑制する画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像読取装置は、原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取手段と、前記原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得手段と、前記画像読取手段による画像読取動作のタイミングを、前記情報取得手段による情報取得動作のタイミングに応じて制御する制御手段とを有する。
【0006】
好適には、前記制御手段は、前記画像読取手段により画像読取動作が行われている期間に、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止し、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている期間に、前記画像読取手段による画像読取動作を禁止する。
【0007】
好適には、前記画像読取手段は、原稿の副走査方向に移動しながら、原稿を読み取る移動ユニットを含み、前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを既定の位置に移動させる。
【0008】
好適には、前記原稿台は、透明なシート状の部材で構成されており、前記原稿台の周囲に配置されたアンテナをさらに有し、前記情報取得手段は、前記アンテナを介した無線通信により情報を取得し、前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを、前記アンテナに対して既定の相対位置に移動させる。
【0009】
好適には、前記画像読取手段及び前記情報取得手段に対して電力を供給する電力供給手段をさらに有し、前記制御手段は、前記電力供給手段により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間、前記画像読取手段による画像読取動作、及び、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止する。
【0010】
本発明に係る情報入力方法は、原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップの動作タイミングに応じて、前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップとを有する。
【0011】
好適には、原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップと、前記画像読取ステップの動作タイミングに応じて、原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読取画像の画質劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る画像読取装置1の斜視図である。
【図2】図1に示した本実施形態に係る画像読取装置1の平面図である。
【図3】図2のA−A線矢視断面図である
【図4】ガラス2を例示する斜視図である。
【図5】アンテナ20を例示する斜視図である。
【図6】トップカバー30を例示する斜視図である。
【図7】シールド板金40を例示する斜視図である。
【図8】ベースフレーム32を例示する斜視図である。
【図9】底面板金50を例示する斜視図である。
【図10】制御装置60の機能構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本実施形態の背景と概要を説明する。
本実施形態の画像読取装置1は、電磁誘導方式を利用して、原稿に付されたICチップから情報を取得する機能と、原稿から光学的に画像を読み取る機能とを有する。また、画像読取装置1は、縦30cm以下、横30cm以下、高さ30cm以下(好ましくは5cm以下)の大きさを有するハンディタイプの装置である。本実施形態の画像読取装置1は、小型化によって、どこにでも持ち運びでき、広い設置場所を必要としない手軽さを実現する。
しかし、小型化した画像読取装置1は、これらの機能を実現するための構成を狭いスペースに収容する必要があるため、互いに干渉する虞があった。例えば、非接触型IC読取動作では、アンテナとICチップとの間の磁界を利用する電磁誘導方式を利用し通信している。そのため、通信時には、強い磁場が発生し、画像読取動作を行う構成(特に、電子部品)に影響を及ぼすことがわかった。また、画像読取動作を行う構成には金属部品が含まれており、アンテナにより発生させる磁界強度に影響する可能性がある。
【0015】
一方で、本実施形態の画像読取装置1に設けられたアンテナは、A6サイズ以上の領域を包含するループ形状である。ループアンテナの読取領域の中心付近の磁界強度は、その周囲の領域より弱くなる傾向がある。そのため、読取面(原稿台)が比較的広い場合には、読取領域の中心付近の磁界強度を保つため、アンテナの出力強度を一定程度強くする必要がある。すなわち、画像読取動作に影響しない程度にアンテナ出力を抑えることは不可能である。また、徒に磁界強度を強くすると、ICチップを破壊する虞があるため、アンテナの出力強度の許容範囲が狭くなり、磁界強度の変動を極力排除する必要がある。
そこで、本実施形態の画像読取装置1は、画像読取動作のタイミングと、ICチップから情報を取得する情報取得動作のタイミングとを排他的に制御する。
【0016】
以下、本発明の実施形態の外装構成を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る画像読取装置1の斜視図である。
図2は、図1に示した本実施形態に係る画像読取装置1の平面図である。
【0017】
図1及び図2に例示するように、画像読取装置1は、原稿を載置できるガラス2と、機械部分を収納する筐体3とで構成されている。筐体3は、載置された原稿を固定することができる原稿台カバー(不図示)を設置できる。
【0018】
ガラス2は、四角形で透明なシート状部材である。本例のガラス2は、ガラス製であるが、透明であり、かつ、透磁性を有していれば、他の材質によって構成してもよく、例えば、透明なプラスチック板などであってもよい。
ガラス2の表面には、アンテナ20と、アンテナ貼付領域12と、読取面10とが構成される。アンテナ貼付領域12には、アンテナ20が貼り付けられる。読取面10は、アンテナ20に囲まれた領域であり、原稿台として機能する。
【0019】
アンテナ20は、ループ形状をしており、電流を通す素材で構成されている。アンテナ20は、原稿に付された非接触型ICチップの読み取りを行うために、非接触型ICチップに対応する磁界を発生し、非接触型ICチップ内に起電力を起こさせ、通信を行う。本例のアンテナ20は、ガラス2の筐体3に面する側に固定され、ガラス2の縁沿いにループ状に配置されている。
アンテナ20の出力は、後述する底面板金50の影響を加味して設定されている。すなわち、アンテナ20は、底面板金50の固定的な影響が存在しても、読取面10のいずれにICチップが配置されても、配置されたICチップからIC情報を読み取ることができる程度の出力強度に設定されている。
【0020】
アンテナ貼付領域12は、ループ状のアンテナ20を貼り付けたガラス2上の領域である。アンテナ貼付領域12は、載置された原稿を光学的に走査することができない領域でもある。
【0021】
読取面10は、アンテナ貼付領域12に囲われた領域である。読取面10は、載置された原稿を光学的に走査するため、筐体3の内部を見通すことができる。読取面10は、画像を読み取るべき原稿、又は、非接触型ICチップが付された媒体(以下、これも原稿という)を載置するところである。読取面10は、少なくとも、A6(105mm×148mm)サイズ又はパスポートの片面が入るサイズに設定されている。
【0022】
図3は、図2のA−A線矢視断面図である。
図4は、ガラス2を例示する斜視図である。
図5は、アンテナ20を例示する斜視図である。
図6は、トップカバー30を例示する斜視図である。
図7は、シールド板金40を例示する斜視図である。
図8は、ベースフレーム32を例示する斜視図である。
図9は、底面板金50を例示する斜視図である。
図3〜図9に示すように、筐体3は、側面を構成するトップカバー30と、底面を構成するベースフレーム32とで構成されている。筐体3の内部には、シールド板金40が配置され、筐体3の底面には底面板金50が配置されている。
【0023】
トップカバー30は、図6に例示するように、画像読取装置1の筐体3の側面外装である。トップカバー30の材質は、非金属材料であり、例えば、合成樹脂で形成されている。トップカバー30は、直方体の形で、上面部及び下面部に大きな開口を有する。また、トップカバー30は、原稿台カバーを持ち上げるための窪みがあり、その付近には画像読取装置1を起動させる電源ボタンが設置されている。
【0024】
シールド板金40は、図7に例示するように、画像読取装置1の内部骨格である。シールド板金40の材質は、金属部材で、例えば、ステンレス、アルミ、銅、又は鉄で形成されている。シールド板金40は、トップカバー30に収まる略四角形の大きさであり、端は固定できるよう略垂直に立ち上がっている。
シールド板金40は、アンテナ20から10mm以上は離間して設置され、制御装置など(不図示)から発生する電磁波をシールドする。
【0025】
ベースフレーム32は、図8に例示するように、画像読取装置1の筐体3の底面外装である。ベースフレーム32の材質は、非金属部材で、例えば、合成樹脂で形成されている。ベースフレーム32は、四角形の形状でありトップカバー30に合致する大きさである。ベースフレーム32は、画像読取装置1を保持するためのくびれが設けられており、副走査方向の両端にあるため安易に持ち運びができる。
【0026】
底面板金50は、図9に例示するように、シート状の金属部材であり、例えば、ステンレス、アルミ、銅、鉄で形成される。底面板金50は、本発明に係る変動緩和部材の一例である。
底面板金50は、設置する環境により画像読取装置1が影響を受けないよう機能する。
本例の底面板金50は、アンテナ20の外周よりも大きな面積を有する略四角形状の板である。また、本例の底面板金50は、固定するための取付け穴と、ベースフレーム32とある程度の距離を保つことのできる突起をそれぞれ四隅に有する。底面板金50に設けられた取付け穴は、直径13mm以下である。また、底面板金50の取付け穴は、画像読取装置1を鉛直上方から見た場合、アンテナ20よりも外側に配置されている。底面板金50には、取付け穴の他に、穴を設けることができるが、穴の直径を13mm以下とし、かつ、アンテナ20よりも外側に配置されることが望ましい。また、底面板金50は、アンテナ20から10mm以上は離間して設置される。
【0027】
また、筐体3には、原稿から画像を読み取るための移動ユニット(不図示)が設けられている。移動ユニットの上部(すなわち、ガラス2に近い部分)に、非金属部材で構成された導光体が設けられており、移動ユニットの下部(すなわち、ガラス2から遠い部分)に、金属部分を含む受光素子が設けられている。受光素子は、移動ユニットの長手方向(主走査方向)に配列され、ライン状のイメージセンサを形成する。
移動ユニットは、画像読取動作の時に、ガラス2に近接する下方を副走査方向に移動し、導光体で導かれた原稿の反射光を、受光素子で読み取っていく。
また、筐体3内には、IC情報取得部(不図示)と、制御装置と、電力供給部(不図示)とが設けられている。IC情報取得部は、アンテナ20を介して、ICチップからIC情報を読み取る。制御装置は、IC情報取得部と、移動ユニットとを制御する。電力供給部は、アンテナ20、移動ユニット及びIC情報取得部などの他の構成で電力を供給する。
【0028】
図10は、制御装置60の機能構成を例示する図である。
図10に例示するように、制御装置60は、RFID制御部600と、スキャナ制御部610と、電源制御部620とを有する。
RFID制御部600は、IC情報取得部と協同して、アンテナ20を介した無線通信を制御する。すなわち、RFID制御部600は、ICチップからIC情報を読み取る情報取得動作を制御する。例えば、RFID制御部600は、移動ユニットにより画像読取動作が行われている期間に、アンテナ20により電磁界を生成させないように制御して、情報取得動作を禁止する。また、RFID制御部600は、電源制御部620により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間(例えば、初期化が完了するまでの期間)に、情報取得動作を禁止する。
【0029】
スキャナ制御部610は、移動ユニットを制御することにより、画像読取動作を制御する。例えば、スキャナ制御部610は、アンテナ20により電磁界が生成されている期間(すなわち、情報取得動作が行われている期間)に、移動ユニットをホームポジション(アンテナ20よりも外側の位置)に移動させて、画像読取動作を禁止する。また、スキャナ制御部610は、電源制御部620により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間に、画像読取動作を禁止する。
【0030】
電源制御部620は、電力供給部を制御して、画像読取装置1の各構成に対する電力供給を制御する。例えば、電源制御部620は、トップカバー30に設けられた電源ボタンの押下を検知すると、電力供給部に対して、電力の供給開始を指示すると共に、電力供給の開始を、RFID制御部600及びスキャナ制御部610に通知する。その後、電源制御部620は、画像読取装置1の各構成が初期化を完了すると、その旨をRFID制御部600及びスキャナ制御部610に通知する。
【0031】
次に、上記構成による情報入力方法を説明する。
画像読取装置1は、電源ボタンが押下されると、電力供給と初期化を開始し、初期化が完了すると、ICチップからの情報取得動作と、原稿からの画像読取動作とを許可する(ステップ10)。
次に、画像読取装置1は、情報の読み取りを指示する操作を受け付けると、移動ユニットをホームポジションに固定して、ICチップからの情報取得動作を開始する。その間、画像読取動作は禁止される(ステップ20)。
画像読取装置1は、ICチップからの情報取得動作が完了すると、自動的に、画像読取動作を開始する。その間、情報取得動作(アンテナ20による電磁界の生成)が禁止される(ステップ30)。
画像読取装置1は、画像読取動作が完了すると、読み取られた画像と、ICチップから取得したIC情報とを、同一の原稿から読み取られた情報として外部に出力する(ステップ40)。
なお、本例では、情報取得処理(ステップ20)の後で、画像読取処理(ステップ30)を行っているが、この順番を入れ替えてもよい。
【0032】
以上説明したように、画像読取装置1は、ICチップからの情報取得動作と、画像読取動作とを排他制御することにより、互いの干渉を防止する。これにより、読み取られる画像の画質劣化が抑制される。また、ICチップとの通信障害も抑制される。
【符号の説明】
【0033】
1…画像読取装置
2…ガラス
3…筐体
10…読取面
12…アンテナ貼付領域
20…アンテナ
30…トップカバー
32…ベースフレーム
40…シールド板金
50…底面板金
60…制御装置
600…RFID制御部
610…スキャナ制御部
620…電源制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置する原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取手段と、
前記原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得手段と、
前記画像読取手段による画像読取動作のタイミングを、前記情報取得手段による情報取得動作のタイミングに応じて制御する制御手段と
を有する画像読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像読取手段により画像読取動作が行われている期間に、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止し、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている期間に、前記画像読取手段による画像読取動作を禁止する
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取手段は、原稿の副走査方向に移動しながら、原稿を読み取る移動ユニットを含み、
前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを既定の位置に移動させる
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿台は、透明なシート状の部材で構成されており、
前記原稿台の周囲に配置されたアンテナ
をさらに有し、
前記情報取得手段は、前記アンテナを介した無線通信により情報を取得し、
前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを、前記アンテナに対して既定の相対位置に移動させる
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取手段及び前記情報取得手段に対して電力を供給する電力供給手段
をさらに有し、
前記制御手段は、前記電力供給手段により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間、前記画像読取手段による画像読取動作、及び、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止する
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップの動作タイミングに応じて、前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップと
を有する情報入力方法。
【請求項7】
原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップと、
前記画像読取ステップの動作タイミングに応じて、原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップと
を有する情報入力方法。
【請求項1】
原稿を載置する原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取手段と、
前記原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得手段と、
前記画像読取手段による画像読取動作のタイミングを、前記情報取得手段による情報取得動作のタイミングに応じて制御する制御手段と
を有する画像読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像読取手段により画像読取動作が行われている期間に、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止し、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている期間に、前記画像読取手段による画像読取動作を禁止する
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取手段は、原稿の副走査方向に移動しながら、原稿を読み取る移動ユニットを含み、
前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを既定の位置に移動させる
請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿台は、透明なシート状の部材で構成されており、
前記原稿台の周囲に配置されたアンテナ
をさらに有し、
前記情報取得手段は、前記アンテナを介した無線通信により情報を取得し、
前記制御手段は、前記情報取得手段により情報取得動作が行われている場合に、前記移動ユニットを、前記アンテナに対して既定の相対位置に移動させる
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取手段及び前記情報取得手段に対して電力を供給する電力供給手段
をさらに有し、
前記制御手段は、前記電力供給手段により電力供給が開始されたタイミングから既定の期間、前記画像読取手段による画像読取動作、及び、前記情報取得手段による情報取得動作を禁止する
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップの動作タイミングに応じて、前記原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップと
を有する情報入力方法。
【請求項7】
原稿台に載置された原稿から、光学的に画像を読み取る画像読取ステップと、
前記画像読取ステップの動作タイミングに応じて、原稿台に載置された原稿に付されたICチップから、無線通信により情報を取得する情報取得ステップと
を有する情報入力方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−85090(P2013−85090A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223142(P2011−223142)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
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