画像読取装置及び画像読取プログラム
【課題】ユーザによる設定を要することなく、設定サイズの画像データを生成することが可能な技術を開示する。
【解決手段】スキャナ10は、原稿Mの画像を読み取る読取デバイス13と、当該読取デバイス13により読み取られた読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知部と、前記一組の対辺のうち画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える。
【解決手段】スキャナ10は、原稿Mの画像を読み取る読取デバイス13と、当該読取デバイス13により読み取られた読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知部と、前記一組の対辺のうち画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置において、読取画像に余白や画像を付加して設定サイズとする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置では、例えばA4サイズなど、設定サイズの読取画像データを生成したくても、画像読取部により実際に読み取った画像のサイズが、上記設定サイズよりも小さい場合がある。このような場合に対処する画像読取装置の一例として次のものがある(下記特許文献1参照)。
【0003】
この画像読取装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部を備え、当該画像読取部により読み取られた画像に余白を付加して、例えばA4サイズなど、予め設定された定型サイズの画像のデータとして送出する画像読取装置がある。この画像読取装置では、余白を付加する位置は、ユーザのニーズに応じて任意に設定される。具体的には、この画像読取装置では、予めユーザに設定キーにて右詰めのレイアウトか左詰めのレイアウトかを設定させ、例えば右詰めのレイアウトに設定されていれば、読み取られた画像の左側に余白が付加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−354220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の画像読取装置では、ユーザが余白を付加する位置を設定しなければ、設定サイズの画像データを生成することができないという問題があった。
【0006】
本明細書では、ユーザによる設定を要することなく、設定サイズの画像データを生成することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像読取装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知部と、前記一組の対辺のうち、前記変化検知部が検知した前記画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える。
【0008】
上記画像読取装置では、前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像に応じた画像を付加し、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準未満である場合には、前記画像濃度が均一な画像を付加してもよい。
【0009】
上記画像読取装置では、前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像と同じ画像を付加してもよい。
【0010】
上記画像読取装置では、前記変化検知部は、前記各対辺について当該対辺側の画像のエッジ数をカウントし、当該エッジ数を前記変化の度合いとして検知してもよい。
【0011】
上記画像読取装置では、前記変化検知部は、2組の対辺それぞれについて前記変化の度合いを検知し、前記画像処理部は、前記読取画像のうち、各組で前記変化検知部が検知した画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、当該小さい方の辺の画像に応じた画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成してもよい。
【0012】
また、画像読取装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて画像濃度を検知する濃度検知部と、前記一組の対辺のうち、前記濃度検知部が検知した前記画像濃度が低い方の辺側に、白色画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える。
【0013】
なお、この発明は、画像読取方法、当該画像読取方法または上記画像読取装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザによる設定を要することなく、設定サイズの画像データを生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1のスキャナの側面図
【図2】載置部及び読取部の上面図
【図3】スキャナの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】スキャン処理を示すフローチャート
【図5】スキャン処理中に実行される画像付加処理を示すフローチャート
【図6】初期読取画像及びエッジ画像の一例を示す模式図
【図7】初期読取画像及び第1画像の一例を示す模式図
【図8】初期読取画像及び第2画像の一例を示す模式図
【図9】第1画像及び第3画像の一例を示す模式図
【図10】実施形態2におけるスキャン処理を示すフローチャート
【図11】はがきサイズの原稿を示す模式図
【図12】読取画像を示す模式図
【図13】画像付加前後の読取画像の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。
【0017】
1.スキャナの外観構成
図1は、スキャナ10の概略構成を示す側面図である。スキャナ10は画像読取装置の一例である。なお、以下の説明では、図1の紙面左側をスキャナ10の前側とし、紙面上側をスキャナ10の上側とし、紙面手前側をスキャナ10の右側とする。
【0018】
スキャナ10は、装置本体11を備えており、その装置本体11の上部に、原稿Mが載置される載置部12と、載置部12に載せられた原稿Mの画像を読み取る読取デバイス13が設けられている。読取デバイス13は画像読取部の一例である。
【0019】
(載置部の構成)
図2は、載置部12及び読取デバイス13の上面図である。載置部12は、枠体14、光透過部材15、原稿カバー16、白基準板17、及び、黒基準板18を有する。枠体14は、矩形状の開口部14Aが形成されており、この開口部14Aに光透過部材15が嵌められている。即ち、枠体14と光透過部材15とは隣接している。光透過部材15は、例えば透明なガラス板からなるプラテンガラスである。この光透過部材15の表面領域内に、画像読取範囲Hが設定されている。
【0020】
なお、後述するスキャン処理において、読取デバイス13が読み取った読取画像に、開口部14Aの周辺部分の画像が含まれることを抑制するために、画像読取範囲Hは、枠体14の開口部14Aよりも内側に設定されている(図2参照)。以下、画像読取範囲Hと開口部14Aとの間の領域を、マージン領域Zという。そして、原稿Mは、光透過部材15の角15Aと、原稿Mとの1つの角とが一致するように光透過部材15に載置される。
【0021】
原稿カバー16は、その一端が、装置本体11に回動可能に設けられており、光透過部材15の表面を覆う閉じ位置と、当該表面から退避した開き位置(図1参照)とに変位させることができる。白基準板17及び黒基準板18は、光透過部材15の左側に配置されている。そして、読取デバイス13が白基準板17を読み取ることによって、シェーディング補正に必要な白補正データが、読取デバイス13が黒基準板18を読み取ることによって、シェーディング補正に必要な黒補正データが取得される。
【0022】
(読取デバイスの構成)
読取デバイス13は、CIS(Contact Image Sensor)を有する構成であり、複数の読取素子が前後方向に沿って並んで配置されているとともに、その近傍に複数の光源が前後方向に沿って並んで配置されている。読取デバイス13は、左右方向に延びるガイド軸19(図1参照)上に移動可能に設けられている。読取デバイス13は、図示しないモータから伝達される動力により、白基準板17、黒基準板18及び光透過部材15の下側を、左右方向、換言すれば副走査方向に沿って往復移動することができる。なお、読取デバイス13は、CISに限らず、例えばCCD(Charge Coupled Drive Image Sensor)を有する構成でもよい。
【0023】
載置部12の前方には、操作ユニット20及び表示ユニット21が設けられている。操作ユニット20は、複数のボタンを備え、ユーザにより各種の指示や設定の入力操作が可能である。表示ユニット21は、ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。
【0024】
2.スキャナの電気的構成
図3は、スキャナ10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。スキャナ10は、スキャナ10の各部を制御する制御ユニット25を備える。制御ユニット25は、CPU26、ROM27、RAM28を有しており、これらがバス29を介して接続されているとともに、このバス29に読取デバイス13、操作ユニット20、表示ユニット21、読取デバイス13を駆動する駆動機構30などが接続されている。
【0025】
ROM27には、後述するスキャン処理など、スキャナ10の各種動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPU26は、ROM27から読み出したプログラムに従って変化検知部、画像処理部等として機能し、各部の制御を行う。RAM28は、読取デバイス13から出力された読取データを記憶するバッファや、読取データからエッジ画像データを生成する際の作業領域などとして使用される。
【0026】
3.スキャン処理
図4はスキャン処理を示すフローチャートであり、図5はスキャン処理中に実行される画像付加処理を示すフローチャートである。ユーザが、載置部12上に原稿Mを載置し、原稿カバー16を開き位置から閉じ位置にし、操作ユニット20にてスキャン指示の入力操作をすると、CPU26は、上記プログラムを読み出して、図4に示すスキャン処理を実行する。当該スキャン処理を実行するためのプログラムは、画像読取プログラムの一例である。
【0027】
また、ユーザは、スキャン指示をする際、読取画像の設定サイズを指定したり、次述する初期読取画像G1に対し、主走査方向の端部に画像付加をするかどうか、副走査方向の端部に画像付加をするかどうかを設定したりすることができる。なお、設定サイズは、A4、B5などの定形サイズだけでなく、例えばユーザが操作ユニット20にて任意に指定した非定形サイズでもよい。CPU26は、画像付加の有無、設定サイズに関する設定情報を、例えばRAM28に記憶する。
【0028】
CPU26は、まず読取デバイス13に原稿Mの画像を読み取らせ、その読取データを取得する(S1)。以下、このときの読取画像を、初期読取画像G1という。
【0029】
また、CPU26は、白基準板17と黒基準板18との境界を基準として、駆動機構30を用いて読取デバイス13を右方向に移動させながら、読取デバイス13に、上記画像読取範囲H内における原稿Mの画像を、上記初期読取画像G1として読み取らせ、その読取データをRAM28に記憶する。
【0030】
図6は、初期読取画像G1、及び、エッジ画像G2の一例を示す模式図である。同図中の一点鎖線で示した枠Xは、設定サイズを示す。このように初期読取画像G1のサイズが設定サイズに比べて小さいことがある。初期読取画像G1は、原稿Mの画像のうち画像読取範囲Hにて読み取られた画像をいい、原稿Mの画像のうち画像読取範囲H外の部分は読み取られずに読取画像上、白色部分、換言すれば余白部分となる。
【0031】
このような余白部分は、原稿Mのサイズと設定サイズとが略一致するが、画像読取範囲Hと枠体14の開口部14Aとの間に前述のマージン領域Zが設けられた構成で生じる。具体的には、図2に示すように、設定サイズと略一致するサイズの原稿Mを配置した場合、当該原稿Mのうち、マージン領域Z上に配置された部分の画像は、初期読取画像G1に含まれないため、上記余白部分が生じる。なお、このような余白部分は、原稿Mのサイズと設定サイズとが不一致である場合にも生じる。
【0032】
CPU26は、初期読取画像G1の画像データをRAM28に記憶した後(S1)、RAM28に記憶された上記設定情報を参照して、主走査方向の端部に画像を付加する設定がされているかどうかを判断する(S2)。CPU26は、画像を付加する設定がされていれば(S2:YES)、初期読取画像G1の主走査方向の端部について図5に示す画像付加処理を実行する(S3)。以下、初期読取画像G1の主走査方向の1組の端部を、左辺EL、右辺ERといい、初期読取画像G1の副走査方向の1組の端部を、上辺ET、下辺EBという(図6参照)。なお、左辺EL及び右辺ERと、上辺ET及び下辺EBとは、1組の対辺の一例である。
【0033】
画像付加処理では、CPU26は、左辺EL及び右辺ERの一方の辺に接する端画像について、当該辺に沿った方向におけるエッジ画素の数を算出する変化検知処理を実行する(S11)。このとき、制御ユニット25は、変化検知部として機能する。
【0034】
図6の右図は、RAM28に記憶された初期読取画像G1の画像データについて、CPU26がエッジ画素を取得する処理を行ったエッジ画素の画像を示したものである。CPU26は、まず、RAM28に記憶された初期読取画像G1の画像データについて、エッジ強調処理、及び2値化処理を行う。そして、CPU26は、処理された画像データ、例えば階調値、濃度が予め決められた閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上である画素をエッジ画素として図6の右図のように2値化されたエッジ画像G2として表れる。なお、本実施形態では、画像データを処理してエッジを検出する方法は上記方法に限定されず、各種の公知技術を利用することができる。
【0035】
そして、CPU26は、このエッジ画像G2の一方の辺側のエッジ画素Bの数である一方の辺側のエッジ数を算出する(S11)。なお、エッジ数は、画像濃度の変化の度合いの一例である。また、図6の右図のエッジ画像G2においては、左辺EL側のエッジ画素Bの数は3個、右辺ERには4個以上、上辺ETには0個、下辺EBには複数のエッジ画素Bが存在することを示している。
【0036】
次に、CPU26は、他方の辺についてもS11と同様に、エッジ数を算出する(S12)。そして、CPU26は、一方の辺のエッジ数と他方の辺のエッジ数とを大小比較し(S13)、一方の辺のエッジ数の方が他方の辺のエッジ数よりも少ないと判断すると(S13:YES)、当該一方の辺のエッジ数と第1基準値とを大小比較する(S14)。CPU26は、一方の辺のエッジ数が第1基準値よりも小さいと判断すると(S14:YES)、一方の辺側に画像濃度が均一なベタ画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに略一致させる画像処理を実行し(S15)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。このとき、制御ユニット25は、画像処理部として機能する。なお、ベタ画像は、端画像のうち、辺に沿った方向において最も幅の広い領域と同一の色及び濃度であることが好ましい。ベタ画像は均一な画像の一例である。
【0037】
一方、CPU26は、一方の辺のエッジ数が第1基準値以上であると判断すると(S14:NO)、一方の辺側に、当該辺側に接する画像と同一のデッドコピー画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致または略一致させ(S16)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。
【0038】
他方の辺のエッジ数の方が、一方の辺のエッジ数以下であると判断すると(S13:YES)、当該他方の辺のエッジ数と第2基準値とを大小比較する(S17)。なお、S17の第2基準値は、上記S14の第1基準値と同じ値でも異なる値でもよい。CPU26は、他方の辺のエッジ数が第2基準値よりも小さいと判断すると(S17:YES)、他方の辺側に画像濃度が均一なベタ画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致させ(S18)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。
【0039】
一方、CPU26は、他方の辺のエッジ数が第2基準値以上であると判断すると(S17:NO)、一方の辺側に、当該辺側に接する画像と同一のデッドコピー画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致させ(S19)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。
【0040】
CPU26は、S3の画像付加処理が終了した場合、或いは、主走査方向の端部に画像を付加する設定がされていない場合(S2:NO)、RAM28に記憶された上記設定情報を参照して、副走査方向の端部に画像を付加する設定がされているかどうかを判断する(S4)。CPU26は、画像を付加する設定がされていれば(S4:YES)、初期読取画像G1の副走査方向の端部について図5に示す画像付加処理を実行する(S5)。なお、S5の画像付加処理では、図5中、「一方の辺」「他方の辺」は、上辺ET及び下辺EBに該当するものとし、詳細な説明は省略する。そして、CPU26は、S5の画像付加処理が終了した場合、或いは、副走査方向の端部に画像を付加する設定がされていない場合(S4:NO)、本スキャン処理を終了する。
【0041】
図7は、初期読取画像G1と、当該初期読取画像G1にデットコピー画像G3が付加された第1画像G4との一例を示す模式図である。図6から明らかなように、初期読取画像G1では、左辺ELのエッジ数の方が、右辺ERのエッジ数よりも少ない(S13:YES)。このため、図7に示すように、CPU26は、初期読取画像G1の左辺EL側に画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致させる。
【0042】
ここで、初期読取画像G1の左端部分には、草、雲及び空等の画像が含まれているため、画像濃度がある程度、変化している。このため、初期読取画像G1の左端に、例えば所定画像濃度のベタ画像を付加すると、画像付加後の画像と、原稿Mの画像との相違が大きくなってしまうおそれがある。そこで、CPU26は、初期読取画像G1の左辺ELのエッジ数が第1基準値以上であれば(S14:NO)、換言すれば初期読取画像G1の左側部分の画像濃度変化が比較的に大きい場合には、図7に示すように、初期読取画像G1の左端に、当該左側部分のデットコピー画像G3を付加し、第1画像G4の画像データを生成する。これにより、例えば初期読取画像G1の左側部分の画像を引き延ばした画像を付加する構成に比べて、デッドコピーにより比較的簡単に画像を付加することができる。
【0043】
図8は、初期読取画像G1とは異なる初期読取画像G5と、当該初期読取画像G5にベタ画像G6が付加された第2画像G7との一例を示す模式図である。初期読取画像G5の左端画像には、画像がなく、画像濃度の変化が無い。この場合、初期読取画像G5の左端に、左端画像と同一画像濃度のベタ画像G6を付加しても、画像付加後の画像と、原稿Mの画像との相違は比較的に小さい。
【0044】
そこで、CPU26は、初期読取画像G5の左辺ELのエッジ数が第1基準値より少ない場合には(S14:YES)、初期読取画像G5の左端に、左端画像と同一画像濃度のベタ画像G6を付加し、第2画像G7の画像データを生成する。これにより、画像付加対象とされた対辺について画像濃度の変化の度合いが比較的に小さい場合には、ベタ画像を付加するという比較的簡単な処理にて画像を付加することができる。しかも、ベタ画像という単純な画像を付加することによりCPU26の画像処理負担や、RAM28の容量負担を軽減することができる。
【0045】
図9は、第1画像G4と、当該初期読取画像G4にベタ画像G8が付加された第3画像G9との一例を示す模式図である。第1画像G4の上端部分には、空の画像のみが含まれているため、画像濃度の変化が小さい。そこで、第1画像G4の上端に、空の画像と同一の画像濃度のベタ画像G8を付加し、第3画像G9の画像データを生成する。これにより、第3画像G9は、左右方向及び上下方向において設定サイズに一致させることができる。
【0046】
4.本実施形態の効果
本実施形態によれば、読取デバイス13に読み取られた初期読取画像のうち、画像濃度の変化が小さい方の対辺側に画像が付加され、予め定められた設定サイズに一致する読取画像の画像データが生成される。これにより、ユーザによる設定を要することなく、設定サイズの画像データを生成することができる。
【0047】
しかも、画像濃度の変化の度合いが小さい方の対辺側に画像が付加される。従って、変化の度合いが大きい方の対辺側に画像が付加される構成に比べて、変化の度合いの小さい画像を付加しつつ読取画像と付加画像との境界が目立ちにくい画像データを生成することができる。更に、CPU26は、画像濃度の変化の度合いを、エッジ処理でカウントされたエッジ数で把握する。これにより、画像を詳細に解析することなく、エッジ処理という比較的に簡単な処理により、画像濃度の変化の度合いを把握することができる。
【0048】
また、読取画像の2組の対辺それぞれについて変化の度合いが小さい方の対辺側に画像を付加して、読取画像に比べて、設定サイズの画像データを生成することができる。
【0049】
<実施形態2>
実施形態2について、図10から図14を参照しつつ説明する。上記実施形態1では、ユーザが、スキャン指示をする際、読取画像の設定サイズ(A4、B5等)を指定したり、初期読取画像G1に対し、主走査方向の端部に画像付加をするかどうか、副走査方向の端部に画像付加をするかどうかを設定したりする構成であった。これに対し、本実施形態では、スキャン指示をする際、原稿の実際のサイズを、ユーザが操作ユニット20を用いて指定し、原稿の実際のサイズに合わせて、読取デバイス13が読み取った読取画像に適切な画像を付加する構成である。
【0050】
図10は実施形態2におけるスキャン処理を示すフローチャートであり、図4のフローチャートと符号が同じステップは同じ処理を行うものとする。以下、実施形態1の図4のフローチャートと異なるポイントについて説明を行う。
【0051】
光透過部材15に原稿Mを載置する方法は、2種類ある。1種類目の方法は、原稿Mが光透過部材15の角15Aと、原稿Mとの1つの角とが一致するように、開口部14Aを縁として光透過部材15に載置される方法である。以下、この載置方法を、角置きと称する。2種類目の方法は、原稿Mが光透過部材15の主走査方向のセンター軸と原稿Mの主走査方向のセンター軸とが一致するように、原稿Mが載置される方法である。以下、この載置方法を、センター置きと称する。
【0052】
ユーザは、スキャン指示をする際、原稿の実際のサイズを、操作ユニット20を用いて指定し、初期読取画像G1に対し、原稿Mの端部に画像を付加するか否かを設定することができる。また、ユーザは、角置きかセンター置きかを選択することができる。すると、CPU26は、画像付加の有無、原稿の設定サイズに関する設定情報を、角置きかセンター置きかの情報をRAM28に記憶する(S0)。
【0053】
次に、S1の処理の後に、CPU26は、RAM28にアクセスすることで、画像付加の有無が設定されているか否かを判断する(S6)。図11は、はがきサイズの原稿Mを示しており、例えば、当該原稿Mが、光透過部材15の角15Aと、原稿Mとの1つの角とが一致するように、光透過部材15に載置されているものとする。すると、図11の非読取領域Z2は、マージン領域Zに起因して読取デバイス13が読取不可の領域となり、読取領域H2が画像読取範囲Hに起因して読取デバイス13によって読み取られる。
【0054】
CPU26は、画像付加の設定がされていない場合(S6:NO)、初期読取画像G1の周りに、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、余白として白の画像濃度を一律付加することで、生成された原稿Mの実際のサイズの読取画像が図12(A)である。
【0055】
画像付加の設定がされていない場合(S6:NO)、図12(A)のような読取画像が出力されるが、図11に示した原稿Mと図12(A)で示した原稿Mの読取画像とでは、見た目が異なり、ユーザにとっては、白の画像濃度を一律付加された余白の部分が邪魔となる(図11の原稿の場合、原稿Mの角に三角の黒模様があるため、縁に余白の画像がつくと見た目が異なってしまう)。
【0056】
図12(B)は、初期読取画像G1に対して、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、辺ELと辺ET側にそれぞれ、余白として白の画像濃度を一律付加された読取画像を示している。また、図12(C)は、初期読取画像G1に対して、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、辺ERと辺ET側にそれぞれ、余白として白の画像濃度を一律付加された読取画像を示している。
【0057】
図11の原稿Mと、図12(B)及び(C)の読取画像とを比較すると、図12(B)の方が、原稿Mと同じ画像となっている。CPU26が初期読取画像G1に対して、どの辺(辺EL、辺ER、辺ET、辺EB)に付加するかを適切に判断することができれば、ユーザは原稿Mとほぼ同じ読取画像を得ることができる。
【0058】
以下、画像付加の設定がされている場合(S6:YES)、CPU26は、原稿が角置きかセンター置きかについて判断を行う(S7)。角置きが設定されていた場合(S7:YES)、S3にて画像付加処理を行う。S3の画像付加処理によって、辺ELと辺ERとのエッジ画素Bの数を比較すると、辺ELはエッジ画素Bがゼロで有るのに対し、辺ERにはエッジ画素Bが1ある。すなわち、辺ELの方が画像濃度の変化の度合いが低いため、CPU26は、辺ELの方に余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいと判断する。
【0059】
次に、S5において、CPU26が、辺ETと辺EBのどちらに余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいかを判断する。S5の画像付加処理によって、辺ETと辺EBとのエッジ画素Bの数を比較すると、辺ETはエッジ画素Bがゼロで有るのに対し、辺EBには、エッジ画素Bが1ある。すなわち、辺ETの方が画像濃度の変化の度合いが低いため、CPU26は、辺ETの方に余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいと判断する。
【0060】
すると、CPU26は、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、辺ELと辺ET側にそれぞれ、余白として白の画像濃度を一律付加することで、原稿Mと同じ画像を生成することができる。
【0061】
角置きが設定されていた場合(S7:YES)、即ち、センター置きが設定されていた場合、図13の左図のような原稿Mとなり、読取不可領域Z2の部分が読み取られない。そこで、センター置きの場合は、S5において、CPU26が、辺ETと辺EBのどちらに余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいかを判断する。
【0062】
本実施形態のような構成にすることで、CPU26が初期読取画像G1に対して、どの辺(辺EL、辺ER、辺ET、辺EB)に付加するかを適切に判断することができ、ユーザは原稿Mとほぼ同じ読取画像を得ることができるという効果がある。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像読取装置の一例として、画像読取機能のみを有するスキャナ10を挙げた。しかし、画像読取装置は、これに限らず、例えば、画像読取機能以外に、印刷機能やファクシミリ機能等を有するコピー機、ファクシミリ装置、複合機でもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、画像読取プログラムの一例として、RAM28に記憶されたものを例に挙げた。しかし、画像読取プログラムは、これに限らず、ハードディスク装置、フラッシュメモリ(登録商標)などの不揮発性メモリや、CD−Rなどの記憶媒体などに記憶されたものでもよい。
【0065】
(3)上記実施形態1では、主走査方向や副走査方向の端部への画像付加の有無を、ユーザが設定する構成を例に挙げた。しかし、例えば、CPU26が、設定サイズと初期読取画像G1のサイズとを大小比較し、主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方向において、初期読取画像G1のサイズが、設定サイズよりも小さい場合に画像付加有りに設定し、設定サイズ以上である場合に画像付加無しに設定する構成でもよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、CPU26は、初期読取画像G1の主走査方向の端部について画像付加処理等(S2、S3)を実行した後に、副走査方向の端部について画像付加処理等(S4、S5)を実行した。しかし、これに限らず、CPU26が、副走査方向の端部について画像付加処理等(S4、S5)を実行した後に、初期読取画像G1の主走査方向の端部について画像付加処理等(S2、S3)を実行する構成でもよい。また、副走査方向の端部について画像付加処理等(S4、S5)、及び、主走査方向の端部について画像付加処理等(S2、S3)の一方だけを実行する構成でもよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、画像濃度の変化の度合いの一例として、画像のエッジ数を挙げた。しかし、画像濃度の変化の度合いは、同一の画像濃度を有する領域、換言すれば、エッジで区切られる領域のうち、辺に沿った方向における幅が最も大きい領域の幅寸法や、色が付着されている領域の辺方向における幅の累計値でもよい。また、画像濃度の変化の度合いは、画像濃度が所定値以上である画素数でもよい。なお、画像濃度とは、例えば、読取データの色分解により生成されるRGBの階調値である。
【0068】
(6)上記実施形態では、読取画像に付加する画像の一例として、ベタ画像、デッドコピー画像等を挙げた。しかし、読取画像に付加する画像は、これに限らず、付加対象の対辺側部分と同等以下の変化の度合いの画像が好ましい。これにより、付加対象の対辺側部分よりも変化の度合いが大きい画像が付加される構成に比べて、画像付加後の画像と、原稿の画像との相違を抑制することができる。
【0069】
(7)上記実施形態では、他方の辺のエッジ数と一方の辺のエッジ数とが同じ場合には(S13:YES)、CPU26は、他方の辺側に画像を付加した。しかし、これに限らず、他方の辺のエッジ数と一方の辺のエッジ数とが同じ場合、CPU26は、一方及び他方の両辺に画像を付加して読取画像のサイズを設定サイズに一致させる構成でもよい。
【0070】
(8)上記実施形態では、CPU26は、画像濃度の変化の度合いの大小により画像を付加する辺を決定した。しかし、これに限らず、CPU26が対辺側部分の画像濃度、例えば平均値を検知し、画像濃度が低い方の対辺側に白色画像を付加する構成でもよい。
【0071】
(9)上記実施形態では、制御ユニット25は、1つのCPU26等を備える構成とした。しかし、制御ユニット25は、複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及びCPUの両方を備える構成でもよい。例えば上記変化検知処理と画像処理とを別々のCPUやハード回路で実行する構成でもよい。
【符号の説明】
【0072】
10:スキャナ 13:読取デバイス 25:制御ユニット G1:初期読取画像 M:原稿
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置において、読取画像に余白や画像を付加して設定サイズとする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置では、例えばA4サイズなど、設定サイズの読取画像データを生成したくても、画像読取部により実際に読み取った画像のサイズが、上記設定サイズよりも小さい場合がある。このような場合に対処する画像読取装置の一例として次のものがある(下記特許文献1参照)。
【0003】
この画像読取装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部を備え、当該画像読取部により読み取られた画像に余白を付加して、例えばA4サイズなど、予め設定された定型サイズの画像のデータとして送出する画像読取装置がある。この画像読取装置では、余白を付加する位置は、ユーザのニーズに応じて任意に設定される。具体的には、この画像読取装置では、予めユーザに設定キーにて右詰めのレイアウトか左詰めのレイアウトかを設定させ、例えば右詰めのレイアウトに設定されていれば、読み取られた画像の左側に余白が付加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−354220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の画像読取装置では、ユーザが余白を付加する位置を設定しなければ、設定サイズの画像データを生成することができないという問題があった。
【0006】
本明細書では、ユーザによる設定を要することなく、設定サイズの画像データを生成することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される画像読取装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知部と、前記一組の対辺のうち、前記変化検知部が検知した前記画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える。
【0008】
上記画像読取装置では、前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像に応じた画像を付加し、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準未満である場合には、前記画像濃度が均一な画像を付加してもよい。
【0009】
上記画像読取装置では、前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像と同じ画像を付加してもよい。
【0010】
上記画像読取装置では、前記変化検知部は、前記各対辺について当該対辺側の画像のエッジ数をカウントし、当該エッジ数を前記変化の度合いとして検知してもよい。
【0011】
上記画像読取装置では、前記変化検知部は、2組の対辺それぞれについて前記変化の度合いを検知し、前記画像処理部は、前記読取画像のうち、各組で前記変化検知部が検知した画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、当該小さい方の辺の画像に応じた画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成してもよい。
【0012】
また、画像読取装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて画像濃度を検知する濃度検知部と、前記一組の対辺のうち、前記濃度検知部が検知した前記画像濃度が低い方の辺側に、白色画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える。
【0013】
なお、この発明は、画像読取方法、当該画像読取方法または上記画像読取装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザによる設定を要することなく、設定サイズの画像データを生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1のスキャナの側面図
【図2】載置部及び読取部の上面図
【図3】スキャナの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図4】スキャン処理を示すフローチャート
【図5】スキャン処理中に実行される画像付加処理を示すフローチャート
【図6】初期読取画像及びエッジ画像の一例を示す模式図
【図7】初期読取画像及び第1画像の一例を示す模式図
【図8】初期読取画像及び第2画像の一例を示す模式図
【図9】第1画像及び第3画像の一例を示す模式図
【図10】実施形態2におけるスキャン処理を示すフローチャート
【図11】はがきサイズの原稿を示す模式図
【図12】読取画像を示す模式図
【図13】画像付加前後の読取画像の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。
【0017】
1.スキャナの外観構成
図1は、スキャナ10の概略構成を示す側面図である。スキャナ10は画像読取装置の一例である。なお、以下の説明では、図1の紙面左側をスキャナ10の前側とし、紙面上側をスキャナ10の上側とし、紙面手前側をスキャナ10の右側とする。
【0018】
スキャナ10は、装置本体11を備えており、その装置本体11の上部に、原稿Mが載置される載置部12と、載置部12に載せられた原稿Mの画像を読み取る読取デバイス13が設けられている。読取デバイス13は画像読取部の一例である。
【0019】
(載置部の構成)
図2は、載置部12及び読取デバイス13の上面図である。載置部12は、枠体14、光透過部材15、原稿カバー16、白基準板17、及び、黒基準板18を有する。枠体14は、矩形状の開口部14Aが形成されており、この開口部14Aに光透過部材15が嵌められている。即ち、枠体14と光透過部材15とは隣接している。光透過部材15は、例えば透明なガラス板からなるプラテンガラスである。この光透過部材15の表面領域内に、画像読取範囲Hが設定されている。
【0020】
なお、後述するスキャン処理において、読取デバイス13が読み取った読取画像に、開口部14Aの周辺部分の画像が含まれることを抑制するために、画像読取範囲Hは、枠体14の開口部14Aよりも内側に設定されている(図2参照)。以下、画像読取範囲Hと開口部14Aとの間の領域を、マージン領域Zという。そして、原稿Mは、光透過部材15の角15Aと、原稿Mとの1つの角とが一致するように光透過部材15に載置される。
【0021】
原稿カバー16は、その一端が、装置本体11に回動可能に設けられており、光透過部材15の表面を覆う閉じ位置と、当該表面から退避した開き位置(図1参照)とに変位させることができる。白基準板17及び黒基準板18は、光透過部材15の左側に配置されている。そして、読取デバイス13が白基準板17を読み取ることによって、シェーディング補正に必要な白補正データが、読取デバイス13が黒基準板18を読み取ることによって、シェーディング補正に必要な黒補正データが取得される。
【0022】
(読取デバイスの構成)
読取デバイス13は、CIS(Contact Image Sensor)を有する構成であり、複数の読取素子が前後方向に沿って並んで配置されているとともに、その近傍に複数の光源が前後方向に沿って並んで配置されている。読取デバイス13は、左右方向に延びるガイド軸19(図1参照)上に移動可能に設けられている。読取デバイス13は、図示しないモータから伝達される動力により、白基準板17、黒基準板18及び光透過部材15の下側を、左右方向、換言すれば副走査方向に沿って往復移動することができる。なお、読取デバイス13は、CISに限らず、例えばCCD(Charge Coupled Drive Image Sensor)を有する構成でもよい。
【0023】
載置部12の前方には、操作ユニット20及び表示ユニット21が設けられている。操作ユニット20は、複数のボタンを備え、ユーザにより各種の指示や設定の入力操作が可能である。表示ユニット21は、ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。
【0024】
2.スキャナの電気的構成
図3は、スキャナ10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。スキャナ10は、スキャナ10の各部を制御する制御ユニット25を備える。制御ユニット25は、CPU26、ROM27、RAM28を有しており、これらがバス29を介して接続されているとともに、このバス29に読取デバイス13、操作ユニット20、表示ユニット21、読取デバイス13を駆動する駆動機構30などが接続されている。
【0025】
ROM27には、後述するスキャン処理など、スキャナ10の各種動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPU26は、ROM27から読み出したプログラムに従って変化検知部、画像処理部等として機能し、各部の制御を行う。RAM28は、読取デバイス13から出力された読取データを記憶するバッファや、読取データからエッジ画像データを生成する際の作業領域などとして使用される。
【0026】
3.スキャン処理
図4はスキャン処理を示すフローチャートであり、図5はスキャン処理中に実行される画像付加処理を示すフローチャートである。ユーザが、載置部12上に原稿Mを載置し、原稿カバー16を開き位置から閉じ位置にし、操作ユニット20にてスキャン指示の入力操作をすると、CPU26は、上記プログラムを読み出して、図4に示すスキャン処理を実行する。当該スキャン処理を実行するためのプログラムは、画像読取プログラムの一例である。
【0027】
また、ユーザは、スキャン指示をする際、読取画像の設定サイズを指定したり、次述する初期読取画像G1に対し、主走査方向の端部に画像付加をするかどうか、副走査方向の端部に画像付加をするかどうかを設定したりすることができる。なお、設定サイズは、A4、B5などの定形サイズだけでなく、例えばユーザが操作ユニット20にて任意に指定した非定形サイズでもよい。CPU26は、画像付加の有無、設定サイズに関する設定情報を、例えばRAM28に記憶する。
【0028】
CPU26は、まず読取デバイス13に原稿Mの画像を読み取らせ、その読取データを取得する(S1)。以下、このときの読取画像を、初期読取画像G1という。
【0029】
また、CPU26は、白基準板17と黒基準板18との境界を基準として、駆動機構30を用いて読取デバイス13を右方向に移動させながら、読取デバイス13に、上記画像読取範囲H内における原稿Mの画像を、上記初期読取画像G1として読み取らせ、その読取データをRAM28に記憶する。
【0030】
図6は、初期読取画像G1、及び、エッジ画像G2の一例を示す模式図である。同図中の一点鎖線で示した枠Xは、設定サイズを示す。このように初期読取画像G1のサイズが設定サイズに比べて小さいことがある。初期読取画像G1は、原稿Mの画像のうち画像読取範囲Hにて読み取られた画像をいい、原稿Mの画像のうち画像読取範囲H外の部分は読み取られずに読取画像上、白色部分、換言すれば余白部分となる。
【0031】
このような余白部分は、原稿Mのサイズと設定サイズとが略一致するが、画像読取範囲Hと枠体14の開口部14Aとの間に前述のマージン領域Zが設けられた構成で生じる。具体的には、図2に示すように、設定サイズと略一致するサイズの原稿Mを配置した場合、当該原稿Mのうち、マージン領域Z上に配置された部分の画像は、初期読取画像G1に含まれないため、上記余白部分が生じる。なお、このような余白部分は、原稿Mのサイズと設定サイズとが不一致である場合にも生じる。
【0032】
CPU26は、初期読取画像G1の画像データをRAM28に記憶した後(S1)、RAM28に記憶された上記設定情報を参照して、主走査方向の端部に画像を付加する設定がされているかどうかを判断する(S2)。CPU26は、画像を付加する設定がされていれば(S2:YES)、初期読取画像G1の主走査方向の端部について図5に示す画像付加処理を実行する(S3)。以下、初期読取画像G1の主走査方向の1組の端部を、左辺EL、右辺ERといい、初期読取画像G1の副走査方向の1組の端部を、上辺ET、下辺EBという(図6参照)。なお、左辺EL及び右辺ERと、上辺ET及び下辺EBとは、1組の対辺の一例である。
【0033】
画像付加処理では、CPU26は、左辺EL及び右辺ERの一方の辺に接する端画像について、当該辺に沿った方向におけるエッジ画素の数を算出する変化検知処理を実行する(S11)。このとき、制御ユニット25は、変化検知部として機能する。
【0034】
図6の右図は、RAM28に記憶された初期読取画像G1の画像データについて、CPU26がエッジ画素を取得する処理を行ったエッジ画素の画像を示したものである。CPU26は、まず、RAM28に記憶された初期読取画像G1の画像データについて、エッジ強調処理、及び2値化処理を行う。そして、CPU26は、処理された画像データ、例えば階調値、濃度が予め決められた閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上である画素をエッジ画素として図6の右図のように2値化されたエッジ画像G2として表れる。なお、本実施形態では、画像データを処理してエッジを検出する方法は上記方法に限定されず、各種の公知技術を利用することができる。
【0035】
そして、CPU26は、このエッジ画像G2の一方の辺側のエッジ画素Bの数である一方の辺側のエッジ数を算出する(S11)。なお、エッジ数は、画像濃度の変化の度合いの一例である。また、図6の右図のエッジ画像G2においては、左辺EL側のエッジ画素Bの数は3個、右辺ERには4個以上、上辺ETには0個、下辺EBには複数のエッジ画素Bが存在することを示している。
【0036】
次に、CPU26は、他方の辺についてもS11と同様に、エッジ数を算出する(S12)。そして、CPU26は、一方の辺のエッジ数と他方の辺のエッジ数とを大小比較し(S13)、一方の辺のエッジ数の方が他方の辺のエッジ数よりも少ないと判断すると(S13:YES)、当該一方の辺のエッジ数と第1基準値とを大小比較する(S14)。CPU26は、一方の辺のエッジ数が第1基準値よりも小さいと判断すると(S14:YES)、一方の辺側に画像濃度が均一なベタ画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに略一致させる画像処理を実行し(S15)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。このとき、制御ユニット25は、画像処理部として機能する。なお、ベタ画像は、端画像のうち、辺に沿った方向において最も幅の広い領域と同一の色及び濃度であることが好ましい。ベタ画像は均一な画像の一例である。
【0037】
一方、CPU26は、一方の辺のエッジ数が第1基準値以上であると判断すると(S14:NO)、一方の辺側に、当該辺側に接する画像と同一のデッドコピー画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致または略一致させ(S16)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。
【0038】
他方の辺のエッジ数の方が、一方の辺のエッジ数以下であると判断すると(S13:YES)、当該他方の辺のエッジ数と第2基準値とを大小比較する(S17)。なお、S17の第2基準値は、上記S14の第1基準値と同じ値でも異なる値でもよい。CPU26は、他方の辺のエッジ数が第2基準値よりも小さいと判断すると(S17:YES)、他方の辺側に画像濃度が均一なベタ画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致させ(S18)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。
【0039】
一方、CPU26は、他方の辺のエッジ数が第2基準値以上であると判断すると(S17:NO)、一方の辺側に、当該辺側に接する画像と同一のデッドコピー画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致させ(S19)、本画像付加処理を終了し、図4のS4に進む。
【0040】
CPU26は、S3の画像付加処理が終了した場合、或いは、主走査方向の端部に画像を付加する設定がされていない場合(S2:NO)、RAM28に記憶された上記設定情報を参照して、副走査方向の端部に画像を付加する設定がされているかどうかを判断する(S4)。CPU26は、画像を付加する設定がされていれば(S4:YES)、初期読取画像G1の副走査方向の端部について図5に示す画像付加処理を実行する(S5)。なお、S5の画像付加処理では、図5中、「一方の辺」「他方の辺」は、上辺ET及び下辺EBに該当するものとし、詳細な説明は省略する。そして、CPU26は、S5の画像付加処理が終了した場合、或いは、副走査方向の端部に画像を付加する設定がされていない場合(S4:NO)、本スキャン処理を終了する。
【0041】
図7は、初期読取画像G1と、当該初期読取画像G1にデットコピー画像G3が付加された第1画像G4との一例を示す模式図である。図6から明らかなように、初期読取画像G1では、左辺ELのエッジ数の方が、右辺ERのエッジ数よりも少ない(S13:YES)。このため、図7に示すように、CPU26は、初期読取画像G1の左辺EL側に画像を付加し、左右方向のサイズを設定サイズに一致させる。
【0042】
ここで、初期読取画像G1の左端部分には、草、雲及び空等の画像が含まれているため、画像濃度がある程度、変化している。このため、初期読取画像G1の左端に、例えば所定画像濃度のベタ画像を付加すると、画像付加後の画像と、原稿Mの画像との相違が大きくなってしまうおそれがある。そこで、CPU26は、初期読取画像G1の左辺ELのエッジ数が第1基準値以上であれば(S14:NO)、換言すれば初期読取画像G1の左側部分の画像濃度変化が比較的に大きい場合には、図7に示すように、初期読取画像G1の左端に、当該左側部分のデットコピー画像G3を付加し、第1画像G4の画像データを生成する。これにより、例えば初期読取画像G1の左側部分の画像を引き延ばした画像を付加する構成に比べて、デッドコピーにより比較的簡単に画像を付加することができる。
【0043】
図8は、初期読取画像G1とは異なる初期読取画像G5と、当該初期読取画像G5にベタ画像G6が付加された第2画像G7との一例を示す模式図である。初期読取画像G5の左端画像には、画像がなく、画像濃度の変化が無い。この場合、初期読取画像G5の左端に、左端画像と同一画像濃度のベタ画像G6を付加しても、画像付加後の画像と、原稿Mの画像との相違は比較的に小さい。
【0044】
そこで、CPU26は、初期読取画像G5の左辺ELのエッジ数が第1基準値より少ない場合には(S14:YES)、初期読取画像G5の左端に、左端画像と同一画像濃度のベタ画像G6を付加し、第2画像G7の画像データを生成する。これにより、画像付加対象とされた対辺について画像濃度の変化の度合いが比較的に小さい場合には、ベタ画像を付加するという比較的簡単な処理にて画像を付加することができる。しかも、ベタ画像という単純な画像を付加することによりCPU26の画像処理負担や、RAM28の容量負担を軽減することができる。
【0045】
図9は、第1画像G4と、当該初期読取画像G4にベタ画像G8が付加された第3画像G9との一例を示す模式図である。第1画像G4の上端部分には、空の画像のみが含まれているため、画像濃度の変化が小さい。そこで、第1画像G4の上端に、空の画像と同一の画像濃度のベタ画像G8を付加し、第3画像G9の画像データを生成する。これにより、第3画像G9は、左右方向及び上下方向において設定サイズに一致させることができる。
【0046】
4.本実施形態の効果
本実施形態によれば、読取デバイス13に読み取られた初期読取画像のうち、画像濃度の変化が小さい方の対辺側に画像が付加され、予め定められた設定サイズに一致する読取画像の画像データが生成される。これにより、ユーザによる設定を要することなく、設定サイズの画像データを生成することができる。
【0047】
しかも、画像濃度の変化の度合いが小さい方の対辺側に画像が付加される。従って、変化の度合いが大きい方の対辺側に画像が付加される構成に比べて、変化の度合いの小さい画像を付加しつつ読取画像と付加画像との境界が目立ちにくい画像データを生成することができる。更に、CPU26は、画像濃度の変化の度合いを、エッジ処理でカウントされたエッジ数で把握する。これにより、画像を詳細に解析することなく、エッジ処理という比較的に簡単な処理により、画像濃度の変化の度合いを把握することができる。
【0048】
また、読取画像の2組の対辺それぞれについて変化の度合いが小さい方の対辺側に画像を付加して、読取画像に比べて、設定サイズの画像データを生成することができる。
【0049】
<実施形態2>
実施形態2について、図10から図14を参照しつつ説明する。上記実施形態1では、ユーザが、スキャン指示をする際、読取画像の設定サイズ(A4、B5等)を指定したり、初期読取画像G1に対し、主走査方向の端部に画像付加をするかどうか、副走査方向の端部に画像付加をするかどうかを設定したりする構成であった。これに対し、本実施形態では、スキャン指示をする際、原稿の実際のサイズを、ユーザが操作ユニット20を用いて指定し、原稿の実際のサイズに合わせて、読取デバイス13が読み取った読取画像に適切な画像を付加する構成である。
【0050】
図10は実施形態2におけるスキャン処理を示すフローチャートであり、図4のフローチャートと符号が同じステップは同じ処理を行うものとする。以下、実施形態1の図4のフローチャートと異なるポイントについて説明を行う。
【0051】
光透過部材15に原稿Mを載置する方法は、2種類ある。1種類目の方法は、原稿Mが光透過部材15の角15Aと、原稿Mとの1つの角とが一致するように、開口部14Aを縁として光透過部材15に載置される方法である。以下、この載置方法を、角置きと称する。2種類目の方法は、原稿Mが光透過部材15の主走査方向のセンター軸と原稿Mの主走査方向のセンター軸とが一致するように、原稿Mが載置される方法である。以下、この載置方法を、センター置きと称する。
【0052】
ユーザは、スキャン指示をする際、原稿の実際のサイズを、操作ユニット20を用いて指定し、初期読取画像G1に対し、原稿Mの端部に画像を付加するか否かを設定することができる。また、ユーザは、角置きかセンター置きかを選択することができる。すると、CPU26は、画像付加の有無、原稿の設定サイズに関する設定情報を、角置きかセンター置きかの情報をRAM28に記憶する(S0)。
【0053】
次に、S1の処理の後に、CPU26は、RAM28にアクセスすることで、画像付加の有無が設定されているか否かを判断する(S6)。図11は、はがきサイズの原稿Mを示しており、例えば、当該原稿Mが、光透過部材15の角15Aと、原稿Mとの1つの角とが一致するように、光透過部材15に載置されているものとする。すると、図11の非読取領域Z2は、マージン領域Zに起因して読取デバイス13が読取不可の領域となり、読取領域H2が画像読取範囲Hに起因して読取デバイス13によって読み取られる。
【0054】
CPU26は、画像付加の設定がされていない場合(S6:NO)、初期読取画像G1の周りに、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、余白として白の画像濃度を一律付加することで、生成された原稿Mの実際のサイズの読取画像が図12(A)である。
【0055】
画像付加の設定がされていない場合(S6:NO)、図12(A)のような読取画像が出力されるが、図11に示した原稿Mと図12(A)で示した原稿Mの読取画像とでは、見た目が異なり、ユーザにとっては、白の画像濃度を一律付加された余白の部分が邪魔となる(図11の原稿の場合、原稿Mの角に三角の黒模様があるため、縁に余白の画像がつくと見た目が異なってしまう)。
【0056】
図12(B)は、初期読取画像G1に対して、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、辺ELと辺ET側にそれぞれ、余白として白の画像濃度を一律付加された読取画像を示している。また、図12(C)は、初期読取画像G1に対して、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、辺ERと辺ET側にそれぞれ、余白として白の画像濃度を一律付加された読取画像を示している。
【0057】
図11の原稿Mと、図12(B)及び(C)の読取画像とを比較すると、図12(B)の方が、原稿Mと同じ画像となっている。CPU26が初期読取画像G1に対して、どの辺(辺EL、辺ER、辺ET、辺EB)に付加するかを適切に判断することができれば、ユーザは原稿Mとほぼ同じ読取画像を得ることができる。
【0058】
以下、画像付加の設定がされている場合(S6:YES)、CPU26は、原稿が角置きかセンター置きかについて判断を行う(S7)。角置きが設定されていた場合(S7:YES)、S3にて画像付加処理を行う。S3の画像付加処理によって、辺ELと辺ERとのエッジ画素Bの数を比較すると、辺ELはエッジ画素Bがゼロで有るのに対し、辺ERにはエッジ画素Bが1ある。すなわち、辺ELの方が画像濃度の変化の度合いが低いため、CPU26は、辺ELの方に余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいと判断する。
【0059】
次に、S5において、CPU26が、辺ETと辺EBのどちらに余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいかを判断する。S5の画像付加処理によって、辺ETと辺EBとのエッジ画素Bの数を比較すると、辺ETはエッジ画素Bがゼロで有るのに対し、辺EBには、エッジ画素Bが1ある。すなわち、辺ETの方が画像濃度の変化の度合いが低いため、CPU26は、辺ETの方に余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいと判断する。
【0060】
すると、CPU26は、原稿Mの実際のサイズの読取画像となるように、辺ELと辺ET側にそれぞれ、余白として白の画像濃度を一律付加することで、原稿Mと同じ画像を生成することができる。
【0061】
角置きが設定されていた場合(S7:YES)、即ち、センター置きが設定されていた場合、図13の左図のような原稿Mとなり、読取不可領域Z2の部分が読み取られない。そこで、センター置きの場合は、S5において、CPU26が、辺ETと辺EBのどちらに余白として白の画像濃度を一律付加した方がよいかを判断する。
【0062】
本実施形態のような構成にすることで、CPU26が初期読取画像G1に対して、どの辺(辺EL、辺ER、辺ET、辺EB)に付加するかを適切に判断することができ、ユーザは原稿Mとほぼ同じ読取画像を得ることができるという効果がある。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像読取装置の一例として、画像読取機能のみを有するスキャナ10を挙げた。しかし、画像読取装置は、これに限らず、例えば、画像読取機能以外に、印刷機能やファクシミリ機能等を有するコピー機、ファクシミリ装置、複合機でもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、画像読取プログラムの一例として、RAM28に記憶されたものを例に挙げた。しかし、画像読取プログラムは、これに限らず、ハードディスク装置、フラッシュメモリ(登録商標)などの不揮発性メモリや、CD−Rなどの記憶媒体などに記憶されたものでもよい。
【0065】
(3)上記実施形態1では、主走査方向や副走査方向の端部への画像付加の有無を、ユーザが設定する構成を例に挙げた。しかし、例えば、CPU26が、設定サイズと初期読取画像G1のサイズとを大小比較し、主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方向において、初期読取画像G1のサイズが、設定サイズよりも小さい場合に画像付加有りに設定し、設定サイズ以上である場合に画像付加無しに設定する構成でもよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、CPU26は、初期読取画像G1の主走査方向の端部について画像付加処理等(S2、S3)を実行した後に、副走査方向の端部について画像付加処理等(S4、S5)を実行した。しかし、これに限らず、CPU26が、副走査方向の端部について画像付加処理等(S4、S5)を実行した後に、初期読取画像G1の主走査方向の端部について画像付加処理等(S2、S3)を実行する構成でもよい。また、副走査方向の端部について画像付加処理等(S4、S5)、及び、主走査方向の端部について画像付加処理等(S2、S3)の一方だけを実行する構成でもよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、画像濃度の変化の度合いの一例として、画像のエッジ数を挙げた。しかし、画像濃度の変化の度合いは、同一の画像濃度を有する領域、換言すれば、エッジで区切られる領域のうち、辺に沿った方向における幅が最も大きい領域の幅寸法や、色が付着されている領域の辺方向における幅の累計値でもよい。また、画像濃度の変化の度合いは、画像濃度が所定値以上である画素数でもよい。なお、画像濃度とは、例えば、読取データの色分解により生成されるRGBの階調値である。
【0068】
(6)上記実施形態では、読取画像に付加する画像の一例として、ベタ画像、デッドコピー画像等を挙げた。しかし、読取画像に付加する画像は、これに限らず、付加対象の対辺側部分と同等以下の変化の度合いの画像が好ましい。これにより、付加対象の対辺側部分よりも変化の度合いが大きい画像が付加される構成に比べて、画像付加後の画像と、原稿の画像との相違を抑制することができる。
【0069】
(7)上記実施形態では、他方の辺のエッジ数と一方の辺のエッジ数とが同じ場合には(S13:YES)、CPU26は、他方の辺側に画像を付加した。しかし、これに限らず、他方の辺のエッジ数と一方の辺のエッジ数とが同じ場合、CPU26は、一方及び他方の両辺に画像を付加して読取画像のサイズを設定サイズに一致させる構成でもよい。
【0070】
(8)上記実施形態では、CPU26は、画像濃度の変化の度合いの大小により画像を付加する辺を決定した。しかし、これに限らず、CPU26が対辺側部分の画像濃度、例えば平均値を検知し、画像濃度が低い方の対辺側に白色画像を付加する構成でもよい。
【0071】
(9)上記実施形態では、制御ユニット25は、1つのCPU26等を備える構成とした。しかし、制御ユニット25は、複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及びCPUの両方を備える構成でもよい。例えば上記変化検知処理と画像処理とを別々のCPUやハード回路で実行する構成でもよい。
【符号の説明】
【0072】
10:スキャナ 13:読取デバイス 25:制御ユニット G1:初期読取画像 M:原稿
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知部と、
前記一組の対辺のうち、前記変化検知部が検知した前記画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像に応じた画像を付加し、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準未満である場合には、前記画像濃度が均一な画像を付加する、画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像と同じ画像を付加する、画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記変化検知部は、前記各対辺について当該対辺側の画像のエッジ数をカウントし、当該エッジ数を前記変化の度合いとして検知する、画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記変化検知部は、2組の対辺それぞれについて前記変化の度合いを検知し、
前記画像処理部は、前記読取画像のうち、各組で前記変化検知部が検知した画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、当該小さい方の辺の画像に応じた画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する、画像読取装置。
【請求項6】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて画像濃度を検知する濃度検知部と、
前記一組の対辺のうち、前記濃度検知部が検知した前記画像濃度が低い方の辺側に、白色画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える画像読取装置。
【請求項7】
原稿の画像を読み取る画像読取部を備える画像読取装置が有するコンピュータに、
前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知処理と、
前記一組の対辺のうち、前記変化検知処理で検知された前記画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理と、を実行させる画像読取プログラム。
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知部と、
前記一組の対辺のうち、前記変化検知部が検知した前記画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像に応じた画像を付加し、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準未満である場合には、前記画像濃度が均一な画像を付加する、画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記画像処理部は、前記小さい方の辺における前記変化の度合いが基準以上である場合には、前記小さい方の辺側の画像と同じ画像を付加する、画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記変化検知部は、前記各対辺について当該対辺側の画像のエッジ数をカウントし、当該エッジ数を前記変化の度合いとして検知する、画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像読取装置であって、
前記変化検知部は、2組の対辺それぞれについて前記変化の度合いを検知し、
前記画像処理部は、前記読取画像のうち、各組で前記変化検知部が検知した画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、当該小さい方の辺の画像に応じた画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する、画像読取装置。
【請求項6】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて画像濃度を検知する濃度検知部と、
前記一組の対辺のうち、前記濃度検知部が検知した前記画像濃度が低い方の辺側に、白色画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理部と、を備える画像読取装置。
【請求項7】
原稿の画像を読み取る画像読取部を備える画像読取装置が有するコンピュータに、
前記画像読取部が読み取った読取画像のうち少なくとも一組の対辺それぞれについて当該対辺側の画像濃度の変化の度合いを検知する変化検知処理と、
前記一組の対辺のうち、前記変化検知処理で検知された前記画像濃度の変化の度合いが小さい方の辺側に、画像を付加し、予め定められた設定サイズの画像データを生成する画像処理と、を実行させる画像読取プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−16912(P2013−16912A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146467(P2011−146467)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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