画像読取装置及び紙葉類処理装置
【課題】紙葉類の読取位置での搬送ばたつきにより白色基準板と紙葉類の距離が変化することによる裏当て効果(変動特性)を、照明装置を移動することによる配光特性を変えることにより相殺する画像読取装置及び紙葉類処理装置を提供すること。
【解決手段】紙葉類の読取位置Aでの搬送ばたつきにより白色基準板Wと紙葉類の距離が変化することによる裏当て効果により紙葉類の浮き量hに応じて反射明るさが低下する裏当て効果(変動特性)が形成される。一方、照明装置2の読取位置Aでの高さ方向の配光特性は、照明装置2の配置位置を紙葉類の券種又は厚さ情報に基づいて照明移動距離テーブルから取得した移動量に基づいて照射角度移動機構、X方向移動機構及びY方向移動機構を移動することにより設定することができ、この照明装置の移動により反射明るさが低下する上記裏当て効果(変動特性)を相殺する。
【解決手段】紙葉類の読取位置Aでの搬送ばたつきにより白色基準板Wと紙葉類の距離が変化することによる裏当て効果により紙葉類の浮き量hに応じて反射明るさが低下する裏当て効果(変動特性)が形成される。一方、照明装置2の読取位置Aでの高さ方向の配光特性は、照明装置2の配置位置を紙葉類の券種又は厚さ情報に基づいて照明移動距離テーブルから取得した移動量に基づいて照射角度移動機構、X方向移動機構及びY方向移動機構を移動することにより設定することができ、この照明装置の移動により反射明るさが低下する上記裏当て効果(変動特性)を相殺する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像読取装置及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の画像読取装置150で、搬送路3、照明装置2及びカメラ1などで構成される。搬送路3によって搬送される紙葉類Pが読取位置Aに到達すると、照明装置2によって照射された紙葉類Pからの反射光がカメラ1のレンズ11によってラインセンサ12に集光される。ラインセンサ12は搬送方向Bと直行する方向にスキャンニングされており、スキャンニングに同期して当該紙葉類Pの反射光が読み取られる。読み取られたデータは、画像取得部4によって2次元の画像に変換される。
【0003】
しかしながら、このように構成された画像読取装置150において、紙葉類Pが搬送によって紙葉類の高さ方向にばらつき、画像読取の際、高さ方向の配光傾斜(分布)が、そのまま紙葉類Pの明るさとして取得されてしまう課題があった。この課題に対して、照明装置2の高さ方向の配光分布を均一化する方式の提案がある。
【0004】
例えば、照明と棒状導光体の組み合わせによる照射手段で、紙葉類を斜方から照射する第1の出射部と、搬送方向に水平に光を出射する第2の出射部を持ち、その第2の出射部からの光を反射し、紙葉類の画像読取の光軸に対して、第1の出射部からの光と対極に斜方から光を照射する配置にすることで、紙葉類のばたつき、傾きに強い読取装置を実現している(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、棒状照明の前面にシリンドリカル光学系を配置し、おおよそ平行な光を照射する照明を斜方から紙葉類の画像読取の光軸に対して、対極に2方向から紙葉類を照射することで、紙葉類のばたつき、傾きに強い読取装置を実現している(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008―219244号公報
【特許文献2】特開2010―183163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上述した従来の画像読取装置は、白色基準板Wと紙葉類Pの距離により紙葉類Pからの反射光量(反射明るさ)が変動するため、紙葉類Pが読取位置に配置された白色基準板W上面でばたつくと、上述した白色基準板Wと紙葉類Pの距離が変動するため、当該紙葉類Pからの反射光量が変動し、画像読取装置としては、人間の見た目に応じた画像が得られないこと、また紙葉類検査装置としては、安定的な反射画像の取得ができないことから、高精度な検査ができないという課題があった。特に、紙葉類Pの厚さが厚い場合と薄い場合では、白色基準板Wの影響の度合いが異なるため、当該紙葉類P表面からの反射光量が異なるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、紙葉類Pが読取位置で搬送のばたつきにより白色基準板Wと紙葉類Pの距離が変化することによる裏当て効果による反射光量(反射明るさ)特性を、照明装置2を照明移動機構部によって移動することによる配光特性を変えることにより相殺することが可能な画像読取装置及び紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の画像読取装置は、搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3記載の紙葉類処理装置は、処理する紙葉類の設定を操作員が操作する操作表示手段と、この操作表示手段から入力された情報に基づいて供給された紙葉類を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送された紙葉類の画像を読み取る画像読取装置と、この画像読取装置によって読み取った画像データを判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて集積または結束する区分処理手段を備えた紙葉類処理装置であって、前記操作表示手段は、処理する紙葉類の券種又は厚さ情報を入力する入力手段を備え、前記画像読取装置は、搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、を備え、前記制御手段によって設定された照明手段の配置位置で前記光学読取手段による読取を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る画像読取装置の構成図
【図2】裏当て効果を説明する図
【図3】紙葉類が白色基準板から浮いた場合の裏当て効果を説明する図
【図4】紙葉類が白色基準板から浮いた状態を説明する図
【図5】紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例である
【図6】照明装置の読取位置での高さ方向の配光特性を示すグラフの一例
【図7】図5に示す反射明るさが図6に示す配光特性で相殺された結果得られる紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例
【図8】実施例1に係る裏当ての影響を低減する方法を説明するグラフ(その1)
【図9】実施例1に係る裏当ての影響を低減する方法を説明するグラフ(その2)
【図10】実施例2に係る紙葉類処理装置の構成を示す図
【図11】実施例1に係る画像読取装置を図10の裏面反射検知装置に用いた一例
【図12】従来の画像読取装置
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例1の画像読取装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、この搬送装置によって搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明装置と、紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、読取位置を挟んで光学読取手段と対向して配置された白色基準板と、読取位置での紙葉類の搬送ばたつきによる反射光の反射特性を取得する反射特性取得手段と、紙葉類の読取位置での高さ方向の配光特性を取得する配光特性取得手段と、照明装置の配置位置を移動する移動手段と、を備え、事前に反射光の反射特性を取得し、処理する券種又は厚さが指定された際、上記照明装置の配置位置を上記移動手段によって相殺する。実施例2は、実施例1に係る画像読取装置を搭載した紙葉類処理装置の実施形態を示す。以下、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係る画像読取装置200の構成図である。図1(1)は全体構成図であり、図1(2)は照明移動機構部(移動手段)6の構成図である。
【0014】
画像読取装置200は、紙葉類Pを搬送する搬送路130、照明装置2、搬送路130によって搬送される紙葉類Pが図示矢印B方向に搬送されて読取位置Aに到達したとき、この読取位置Aを通過する紙葉類Pを照射する照明装置2の反射光を読み取るカメラ1及び読取位置Aを通過する紙葉類Pの搬送路130に対する対向位置に配置された白色基準板Wを有して構成される。
【0015】
搬送路130は、搬送ローラ131a、131b、131c及びこの搬送ローラ131a、131b、31cに掛け回された搬送ベルト130a、130bで構成され、紙葉類Pはこれら搬送ベルト130a、13bに挟持されて図示矢印B方向搬送される。
【0016】
カメラ1はレンズ11及びラインセンサ12を有して構成され、読取位置Aの画像をレンズ11を介してラインセンサ12に結像する。読取位置Aの読取範囲及び読取解像度に応じてラインセンサ12のビット数及びレンズ11の結像倍率等が事前に設定される。
【0017】
このようにして、図示矢印B方向に搬送された紙葉類Pが読取位置Aに到達すると、カメラ1のラインセンサ12によって搬送方向と交差する方向の1次元画像が読み取られる。読み取られた1次元画像は、ラインセンサ12の色成分であるR(赤)、G(緑)、B(青)ごとに画像取得部4に設けられたメモリ(図示しない)に書き込まれる。紙葉類Pが所定の速度で図示矢印B方向に搬送されることにより、紙葉類P全体の1次元画像が取得され、2次元画像が生成される。
【0018】
図1(2)は、照明移動機構部6の構成図である。照明移動機構部(移動手段)6は、照射角度移動機構部(照射角度移動手段)61、X方向移動機構部(X方向移動手段)62、Y方向移動機構部(Y方向移動手段)63及び制御部(制御手段)64を有して構成される。制御部64は、上記各機構部61〜63と接続され、これら各機構部61〜63を、後述する検索条件に基づいて照明移動距離テーブル(記憶手段)7から取得した照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量に基づいて移動制御する。
【0019】
照明装置2を当該照明装置2の照明中心と読取位置Aを結ぶ照射光軸が搬送路130に対して作る照射角度をθとするとき、上記制御部64は、下記(1)〜(3)の移動制御を行うことができる。
【0020】
(1)上記照射角度θを維持しながら、搬送方向と並行に図示矢印X方向に移動することができる。
【0021】
(2)上記照射角度θを維持しながら、照射光軸の長さ(照射光路長)を図示矢印Y方向に移動することができる。
【0022】
(3)上記照射角度θを増減する方向に移動(回動)することができる。
【0023】
なお、上述した照明装置2の移動量は、処理する紙葉類Pの種類、品質、厚さなどにより、後述する紙葉類の浮き量に対する反射明るさ特性(図5)、及び照明装置2の読取位置Aでの高さ方向の配光特性(図6)を算出し、この算出結果に基づいて設定される。
【0024】
例えば、紙葉類の厚さは、透過センサS1によって検知することができる。この透過センサS1により検知された紙葉類の厚さに基づいて照明移動距離テーブル7が参照され、移動量(照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量の総称)が設定される。
【0025】
なお、紙葉類の厚さ検知方法は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、ローラ間に搬送される紙葉類が挿入されることにより、変異する当該ローラの変異量を検知する方法もある。これらは、それぞれ長所がことなるため、被検出媒体である紙葉類の材質等により決定される。上述した透過センサを用いる方法は、紙葉類の厚さを検知する方法が簡単であるため、印刷直後の有価証券などのように紙葉類の品質が均一である場合には、好適である。一方、正券と損券などのように同一券種であっても使用された結果、紙葉類の汚損が透過光量に変化を及ぼす場合には、測定結果の信頼性が低下する。そのような場合には上述したローラ間で紙葉類の変動を検知する方法が好適である。
【0026】
図2は、紙葉類の厚さによって裏当て効果が異なることを説明する図である。なお、裏当てとは被検出媒体である紙葉類の裏側にあてるものをいい、ここでは白色基準板Wが該当する。
【0027】
図2(1)は、白色基準板なし(裏当てなし)の場合の紙葉類Pの厚さが薄い場合の入射光Iと反射光Rt(反射明るさRt又は反射明るさ成分Rtと称する場合もある)との関係を示す図である。例えば、薄い紙が背面なし、あるいは背面が黒色(無反射材)の場合が該当する。この場合、入射光Iは、紙葉類Pの表面で反射する成分aと、紙葉類Pの内部に侵入し拡散し再び上方に戻る成分bと、そのまま内部で吸収される成分cと、透過する成分dに配分される。この時、紙葉類Pの反射明るさRtは、成分aと成分bの合算になり、紙が薄い場合には、内部拡散により上方に戻る成分bが小さく、透過する成分dが大きいので、白色の紙であっても暗く見える。
【0028】
図2(2)は、白色基準板なしの場合の紙葉類Pの厚さが厚い場合の入射光Iと反射光Rtとの関係を示す図である。例えば、厚い紙が背面なし、あるいは背面が黒色(無反射材)の場合が該当する。この場合、透過する成分dが小さくなり、内部拡散により上方に戻る成分bが大きくなるので、明るく(白色に)見える。このように同じ種類の紙であっても背面なし、あるいは黒色(無反射材)の場合には、反射明るさ(白色度)が異なって見える。
【0029】
図2(3)、図2(4)は、背面に白色基準板W(高反射材)を配置した図である。図2(1)又は図2(2)に示す背景なしの作用と同様に、入射光Iは、成分a、成分b、成分c、成分dと配分されるが、成分dは背面の白色基準板Wで反射し再び上方に透過する成分daが生じるため、反射明るさRtは成分aと成分bと成分daの合算になる。図2(3)のように、薄い紙の場合には、透過する成分dが大きく、背面の白色基準板Wで反射して再び上方に透過する成分daも大きくなるので、もともと成分aと成分bは反射明るさが小さいが、その加算により明るさ(白色度)を確保できる。また図2(4)のように、厚い紙の場合には、透過する成分dが小さく、背面の白色板で反射して再び上方に透過する成分daも小さくなるが、もともと成分aと成分bは反射明るさが大きいので、その加算による明るさは小さくてよい。このように、背面に白色基準板Wを配置することで、反射明るさ(白色度)の厚さに依存しない自動制御の作用が働くことになり、これを裏当て効果と称する。
【0030】
図3は、紙葉類Pが白色基準板Wから浮いた場合の入射光Iと反射明るさ成分Rtとの関係を示す図である。紙葉類Pが白色基準板Wに対して上方に距離hだけ変位したとき(浮き量h)、及びさらに上方に距離Δhだけ変異したとき(浮き量h+Δh)の読取背面の白色基準板Wの裏当て効果は、背面から紙葉類Pが離れることでその効果が減少するため、搬送ばたつきにより紙葉類Pの明るさは変化してしまう。図3(1)は、薄い紙が背面から離れている場合で、透過する成分dは、紙葉類Pから出る時に拡散して出射する成分eとなる。拡散した光は照射する面の距離が離れれば光が拡がっていくため、白色基準板Wに単位面積当たり照射される光は、距離に応じて減少する。同じく白色基準板Wで反射される光は拡散しているため、同様に紙葉類Pまでの距離に応じて減少する。紙葉類Pに再入射する光Iaは、さらに減衰して透過する光daとなるが、図2(3)の場合よりも減少しているため、合算される反射明るさRtも大きく減少する。同様に、図3(2)の紙が厚い場合においても、再透過する成分daは大きく減少するが、図2dのもともとの成分daが小さい為、距離による影響の度合いは異なっている。
【0031】
このようにして、紙葉類Pと白色基準板Wの距離により最終的な反射明るさは変動し、その影響度は紙葉類Pの厚さに依存することが判る。したがって、画像読取装置としては、人間の見た目に応じた画像が得られないこと、また紙葉類検査装置としては、安定的な反射明るさ画像の取得ができないことから、高精度な検査ができないという課題があった。
【0032】
図4は、紙葉類が白色基準板から浮いた状態を説明する図で、読取位置Aでの拡大図である。また、図5は、紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例である。以下、これらの図を参照して説明する。紙葉類Pは搬送路130により搬送され、読取位置Aに到達する。このとき紙葉類Pは、白色基準板Wに最も接近した状態から上方の浮いた状態に向かって、例えば、紙葉類Pa、Pb、Pcとなる場合がある。これらは、搬送のばらつきとして浮き量h、頻度ともランダムに発生する。このとき照明装置2からの照射光が高さ方向(浮き方向)に一定とした場合に(照明装置2と読取位置Aまでの距離(照射距離)Lが最大浮き量hmに対して十分長い場合には、照明装置2からの照射光は最大浮き量hmの範囲で一定と考えてよいため)、紙葉類Pの反射明るさは、図5に示すように、紙葉類Pの浮き量(高さ位置)hにより減少する特性となる(変動特性)。
【0033】
すなわち、紙葉類Pの浮き量hにより、紙葉類Pと背景の白色基準板Wの距離が拡がることで、前述した裏当て効果の影響を受けることになる。明るさの減少の傾斜は紙葉類Pの厚さに依存し、紙葉類Pの厚さが薄いほど傾斜が大きくなる。したがって高さ方向に配光特性が均一な照明であっても、紙葉類Pの反射明るさを精度よく取得することはできない。
【0034】
図6は、図4に示す構成例における読取位置Aでの高さ方向の配光特性を示すグラフの一例である。一般に高い側(照明に近い方向)に照度の最大点があり、低い側(照明から離れる方向)になだらかに減少をしていく配光特性を持っている。
【0035】
図7は、図5に示す反射明るさが図6に示す配光特性で相殺された結果得られる紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例である。破線で示す図5の反射明るさ特性aを持つ紙葉類Pに対して、一点鎖線で示す図6の配光特性bを持つ照明装置2で、搬送変動の浮きなし位置(h=0)から最大浮き位置(h=hmax)の範囲で、画像取得した場合の最終的に得られる反射明るさの特性cを実線で示したものである。紙葉類Pの反射特性の傾斜と、照明装置2の配光特性の傾斜が異なる場合に、高さ位置に依存した反射明るさとなり、紙葉類Pの反射明るさを精度よく取得することはできない。
【0036】
図8は、実施例1に係る裏当ての影響を低減する方法を説明するグラフ(その1)である。図8(1)は、紙葉類の浮き量(高さ位置)hに対する反射明るさ特性a、照明装置2の読取位置Aでの高さ方向の配光特性b1、及びこの配光特性b1を照明装置での取り付け位置で回動させることにより、配光特性b2を形成し、当該配光特性b2により紙葉類の読取位置での反射明るさ特性cを最大浮き量hmaxの範囲内でほぼ均一にできることを示すグラフの一例である。また、図8(2)は、図8(1)の丸で囲んだ部分の要部拡大図である。
【0037】
図9は、実施例1に係る裏当て効果の影響を低減する方法を説明するグラフ(その2)である。図9(1)は、紙葉類の浮き量hに対する反射明るさ特性a、照明装置2の読取位置での高さ方向の配光特性b1、及びこの配光特性b1を照明装置2の取り付け位置で搬送方向に水平移動することにより、配光特性b2を形成し、当該配光特性b2により紙葉類Pの読取位置Aでの反射明るさ特性cを最大浮き量hmaxの範囲内でほぼ均一にできることを示すグラフの一例である。また、図9(2)は、図9(1)の丸で囲んだ部分の要部拡大図である。
【0038】
上述した図8及び図9に示した一例は、照明装置2の構成により、搬送変動の浮き位置(h=0)から最大浮き量(h=hmax)の範囲で、紙葉類Pの反射特性の傾斜と、照明装置2の配光特性の傾斜が、逆極性で等しくなるようにして、画像取得した場合の最終的に得られる反射明るさを示したものである。破線で示す紙葉類Pの反射特性の傾斜と、一点鎖線で示す照明装置2の配光特性の傾斜が相殺される為に、高さ位置に依存しない反射明るさとなり、紙葉類Pの最終的な反射明るさを精度よく取得することができる。
【0039】
上記の照明装置2の配光特性を、紙葉類Pの反射明るさ特性に合わせる工程は、例えば、その画像読取装置200で使用が想定される紙葉類Pの反射明るさ特性を予め取得しておき、それに応じた照明装置2の設計において実施する。
【0040】
例えば、処理する紙葉類は、事前に設定される。また、最大浮き量は、当該読取位置Aを通過する部分の構造によって制限される。したがって、当該処理する紙葉類を複数用意し、最大浮き量を制限(設定)するガイド(図示しない)位置を変えながら当該紙葉類の反射明るさのデータ収集を行うことにより、図8又は図9に示す浮き量に対する反射明るさ特性(変動特性)aが求められる。
【0041】
また、白色基準板W、搬送される紙葉類及び照明装置2の配置位置が設定されると図8又は図9に示す読取位置での高さ方向の配光特性bが設定される。上述したように、白色基準板Wの表面(高さ位置=0)に対する高さ位置hが高くなるに従い照度が上昇し、最大点があり、高さhが低くなるに従い照度も低くなる。したがって、高さ位置=0から高さ位置=最大浮き量に相当するまでの距離を変えながら当該紙葉類を用いてデータ収集を行うことにより、高さ方向の配光特性b1が求められる。
【0042】
以上の結果から、反射明るさ特性cが「高さ位置h=0」から「高さ位置h=最大浮き量hmax」に達するまでの間、ほぼ均一になる照明装置2の読取位置Aでの配光特性b2が算出される。この算出された照明装置2の配光特性を得ることができる照明装置2の配置位置が照明移動距離テ−ブル7に記憶される。
【0043】
以上の結果、画像読取装置200で、当該画像読取装置200で処理する紙葉類(又はその種類)が設定されると、照明移動機構6は、当該設定された紙葉類に対する照明移動距離テーブル7を参照して当該照明装置2の配置位置を移動する。
【0044】
例えば、当該画像読取装置200をオンライ処理の中で使用する場合であっても、当該紙葉類の種類が変わらない場合、例えば、同一金種の紙幣等同一紙葉類を大量に印刷し、当該印刷後の紙葉類の品質確認をするために当該画像読取装置200を使用する場合は、装置を駆動する最初に上述した照明装置2の配置を設定すれば、その後に連続的に搬送される紙葉類では、照明装置の配置位置を変更等する必要はない。
【0045】
以上説明したように実施例1によれば、紙葉類が読取位置で搬送のばたつきにより白色基準板と紙葉類の距離が変化することによる裏当て効果により反射明るさが変動する変動特性を、照明装置の配置位置を変更することによる配光特性を変えることにより相殺することが可能な画像読取装置を提供することができる。
【実施例2】
【0046】
図10は、実施例2に係る紙葉類処理装置100の構成を示す図で、実施例1に係る画像処理装置を搭載している。
【0047】
紙葉類処理装置100は、操作表示PC110からの操作指示に基づいて装置全体を制御する主制御部116及びこの主制御部116の指示に従い紙葉類を区分搬送する搬制御部117などを有し、操作員の操作指示に基づいて供給された紙葉類が処理される。以下詳細に説明する。
【0048】
操作PC110は、タッチパネル(入力手段)をディスプレー(表示手段)に組み込んだ操作表示部(操作表示手段)112を有する。さらに、入力手段としてはキーボード及びマウスなど(何れを図示しない)も接続可能である。
【0049】
操作表示部112は、紙葉類処理装置100を操作する操作員によって操作される。この操作によって処理する紙葉類の処理の内容が指示される。例えば、処理する紙葉類の券種指定、正損判別レベル指定、集積・施封装置の指定、又は鑑査処理なのか計数処理なのかの選択が当該操作員によって行われる。
【0050】
紙葉類処理装置100は、処理単位に応じて供給部120に投入された紙葉類束(例えば、1000枚)の最上面の紙葉類Pから順番に1枚ずつロータ(取出装置)121によって取出し、搬送路130によって搬送し、紙葉類判別装置(紙葉類判別手段)140によって当該紙葉類Pの真偽(本物(真券)か偽物(偽券)か)及び正損(真券で再利用可能な紙葉類(正券)か、真券で再利用不可能な紙葉類(損券)か)を判別する。
【0051】
紙葉類処理装置100は、紙葉類毎の判別結果を主制御部116に送信すると共に搬送制御部117に送信する。
【0052】
搬送制御部117は、受信した判別結果に基づいて、当該紙葉類Pの最終集積箇所を指定する。このようにして集積箇所が指定された紙葉類Pは、例えば羽根車集積装置150によって集積される。集積された紙葉類Pが所定枚数(例えば、100枚)に達すると、羽根車集積装置150の下部に配置された100枚束結束装置(施封装置)151によって100枚ごとに熱接着性紙帯によって結束され、100枚束Hが形成される。この処理結果は、搬送制御部117から主制御部116に送信される。
【0053】
このようにして形成された100枚束Hは、下部に配置されたコンベア170上に排出され、図示矢印A方向に搬送される。
【0054】
図示した実施例では、羽根車集積装置及び施封装置からなる区分処理を行う集積・施封装置(区分処理手段)が4セット配置されており、各集積・施封装置からそれぞれ100枚束Hが排出される。
【0055】
このようにして排出された100枚束Hは、100枚束集積部180に集積された後、100枚束が10個に達するごとにさらに結束されて1000枚束が形成される。
【0056】
また、搬送路130の終端に排除券集積部160が配置されている。この排除券集積部160には、紙葉類判別装置140で排除券と判別された紙葉類、又は搬送検知部122によって取出不良と判別された紙葉類が搬送路130から分岐した搬送路131によって搬送されて集積される。この排除券集積装置160に集積された排除券には正券又は損券、搬送異常権、偽券が混在して集積されるため、排除券集積装置160に集積された排除券を取り出して供給部120に再供給して再度判別処理を行うことが可能である。
【0057】
さらに、紙葉類判別装置140の搬送方向下流には、裁断装置190が配置されており、紙葉類判別装置140により損券と判別された紙葉類がこの裁断装置190に搬送されて裁断される。損券は再流通不可能な紙葉類であり、裁断する紙葉類の計数一致(損券と判別された紙葉類と裁断装置に送られた紙葉類の一致)を確保した上で裁断される。裁断した紙葉類の計数は搬送制御部117から主制御部116に送信される。
【0058】
以上説明したように、紙葉類処理装置100は、供給部120に供給された紙葉類を正券、損券、排除券に区分し、当該区分に応じた区分処理を行う。また、このようにして区分した紙葉類の区分に係る計数データは紙葉類判別装置140又は搬送制御部117から主制御部116に送信される。
【0059】
主制御部116は、紙葉類判別装置140又は搬送制御部117から受信した紙葉類の処理結果を処理単位ごと(例えば、1000枚)に操作PC110に送信する。
【0060】
紙葉類判別装置140は、表面反射検知装置141、裏面反射検知装置142、磁気検知装置、形状検知装置、透過検知装置、蛍光検知装置、及び厚さ検知装置などが搬送路130にそって配置されて構成される。
【0061】
図11は、実施例1に係る画像読取装置を図10の表面反射検知装置141に用いた一例である。なお、裏面反射検知装置142は、表面反射検知装置141と同様に構成されているためその説明を省略する。なお、この表面反射検知装置141には、白色基準板Wが含まれるものとする。
【0062】
図10に示す紙葉類処理装置100の供給部120には上述したように同一券種の紙葉類束が1000枚供給される。操作員は、券種、正損判別レベル及び供給枚数を操作表示部112から入力する。
【0063】
照明移動機構部6は、照射角度移動機構部61、X方向移動機構部62、Y方向移動機機構部63及び制御部64を有して構成される。制御部64は、操作員によって指定された券種に基づいて照明移動距離テーブル7から照明装置2の移動量を取得して、これらを各機構部に順次出力する。各機構部は、ステッピングモータを備え、当該移動量に基づく回転動作を行うことにより照明装置を移動する。
【0064】
照射角度移動機構部(照射角度移動手段)61は、照明装置2の照明中心と読取位置Aを結ぶ線が搬送路130に対して作る照射角度θを増減する方向に移動する。
【0065】
X方向移動機構部(X方向移動手段)62は、上記照射角度を維持しながら搬送方向と平行であるX方向に移動する。
【0066】
Y方向移動機構部(Y方向移動手段)63は、上記照射角度を維持しながら照射光軸の長さ方向であるY方向に移動する。
【0067】
操作員による上記入力走操作が終了すると、その直後に上記照明移動機構部6による照明装置2の移動が開始する。この移動距離はミリメートルオーダーであり、移動距離が少ないことから、上述した操作員の入力終了直後に移動が完了する。
【0068】
このようにして、照明装置2の位置設定が完了すると、取出装置121は、供給部120に供給された紙葉類束の最上面の紙葉類から1枚ずつ搬送路130に取り出して搬送する。この搬送によって読取位置Aに達した紙葉類Pの反射データは紙葉類Pの搬送に伴ってカメラ1によって読み取られる。実施例1で説明した通りである。
【0069】
センサS1は、ここでは、搬送される紙葉類Pを検知するセンサである。このセンサS1によって紙葉類Pの先端が検知されると、当該紙葉類Pが読取位置に到達するタイミングが設定され、当該設定に基づいて紙葉類Pの読み取りが開始される。読み取られた紙葉類Pの反射データは、画像取得部4及び反射明るさ検出部8によって処理可能なデータに変換される。
【0070】
こ処理可能なデータとは、表面反射データから券種判別、真偽判別、及び正損判別ごとに設定された検知範囲のデータを取得し、必要に応じて後述する色データの演算を行い判別するために形成されたデータである。
【0071】
判定部9は、判別テーブル10に保存されている判定基準と当該反射明るさ検出部8で算出された演算結果を比較判定する。以下判別方法を具体的に説明する。
【0072】
券種判別は、上記処理可能なデータとして紙葉類の表面全面データを取得してそのパターンが券種ごとに異なることを、判別テーブル10に保存されている標準パターンと比較することによって行う。この判別結果により被検出紙葉類の券種及び搬送方向が設定される。当該券種が操作員が設定した券種と異なる場合は、排除券集積部160に集積される。
【0073】
真偽判別は、上記処理可能なデータとして、上記券種判別により設定された券種及び搬送方向ごとに設定された所定の検知位置に真偽判別を行うための特殊な情報が含まれているかを判別する。判別方法は、検出された特殊な情報が判別テーブル10に保存されているの真偽判別レベルの上限及び下限値内にあるかどうかによって行う。真偽判別の結果指定券種と異なる紙葉類は、排除券集積部160に集積される。
【0074】
正損判別は、上記処理可能なデータとして、カメラから得られた紙葉類の表面反射光から得られるR(赤)、G(緑)、B(青)の各色データを所定の比率で組み合わせて生成した色データが用いられる。紙葉類の汚れの程度は人の目による認識とずれていない方がよいため、例えば比視感度曲線(人の目の感度を光の波長に対して表した曲線)を考慮した正損判別になるように上記色演算が行われる。
【0075】
判別テーブル10には判別レベルが保存されているが、この判別レベルは、当該表面反射検知装置141で事前にデータ収集を行った結果に基づいて設定される。
【0076】
判定部9は、判別テーブル10に保存されている判定基準と当該反射明るさ検出部8で算出された演算結果を比較判定する。
【0077】
この判別結果は、例えば、搬送制御部(図示しない)に出力される。搬送制御部は、当該判別結果に基づいて、区分搬送する。例えば、正券は正券集積部(図示しない)に集積され、損券は損券集積部(図示しない)に集積される。また、必要に応じて区分集積された紙葉類の枚数が100枚に到達するごと結束部に送られて結束され、100枚紙葉類を形成する場合もある。
【0078】
実施例1で説明した画像読取装置を印刷品質検査装置の一部として組み込んだ紙葉類処理装置として使用することができる。この場合、紙葉類は同一紙葉類の印刷後の紙葉類であって、画像読取手段は、当該印刷後の紙葉類の券種又は厚さ情報に基づき、上述した方法に基づいて事前に設定された照明装置の配置位置に基づいて当該紙葉類の画像を読み取る。読み取られた画像データは上記紙葉類判別装置によって紙葉類の印刷品質が判別される。上記区分処理装置は、当該紙葉類の判別結果に基づいて集積又は施封など指定された区分処理に基づく区分処理が行われる。
【0079】
以上説明したように、本実施例によれば、搬送される紙葉類がばたつくことによって発生する白色基準板からの浮きに対して、その浮き量によって紙葉類の反射明るさが変動する裏当ての影響について、紙葉類と背景となる白色基準板との距離に応じた反射明るさ特性(変動特性)を元に、その変動特性を相殺する配光特性に構成された照明装置を配置することで、反射明るさについて高精度な画像取得が可能な画像読取装置を実現する。またその画像読取装置を備えている紙葉類処理装置では、高精度な検査と再現性の高い検査を実現できる。
【符号の説明】
【0080】
200:画像読取装置(実施例1)
100:紙葉類処理装置(実施例2)
140:紙葉類判別装置
141:表面反射検知装置
142:裏面反射検知装置
S1:透過センサ
A:読取位置
P:紙葉類
W:白色基準板
1:カメラ
11:レンズ
12:ラインセンサ
2:照明装置
130:搬送路
130a、130b:搬送ベルト
131a、131b、131c:搬送ローラ
4:画像読取部
6:照明移動機構
7:照明移動距離テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像読取装置及び紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の画像読取装置150で、搬送路3、照明装置2及びカメラ1などで構成される。搬送路3によって搬送される紙葉類Pが読取位置Aに到達すると、照明装置2によって照射された紙葉類Pからの反射光がカメラ1のレンズ11によってラインセンサ12に集光される。ラインセンサ12は搬送方向Bと直行する方向にスキャンニングされており、スキャンニングに同期して当該紙葉類Pの反射光が読み取られる。読み取られたデータは、画像取得部4によって2次元の画像に変換される。
【0003】
しかしながら、このように構成された画像読取装置150において、紙葉類Pが搬送によって紙葉類の高さ方向にばらつき、画像読取の際、高さ方向の配光傾斜(分布)が、そのまま紙葉類Pの明るさとして取得されてしまう課題があった。この課題に対して、照明装置2の高さ方向の配光分布を均一化する方式の提案がある。
【0004】
例えば、照明と棒状導光体の組み合わせによる照射手段で、紙葉類を斜方から照射する第1の出射部と、搬送方向に水平に光を出射する第2の出射部を持ち、その第2の出射部からの光を反射し、紙葉類の画像読取の光軸に対して、第1の出射部からの光と対極に斜方から光を照射する配置にすることで、紙葉類のばたつき、傾きに強い読取装置を実現している(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、棒状照明の前面にシリンドリカル光学系を配置し、おおよそ平行な光を照射する照明を斜方から紙葉類の画像読取の光軸に対して、対極に2方向から紙葉類を照射することで、紙葉類のばたつき、傾きに強い読取装置を実現している(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008―219244号公報
【特許文献2】特開2010―183163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上述した従来の画像読取装置は、白色基準板Wと紙葉類Pの距離により紙葉類Pからの反射光量(反射明るさ)が変動するため、紙葉類Pが読取位置に配置された白色基準板W上面でばたつくと、上述した白色基準板Wと紙葉類Pの距離が変動するため、当該紙葉類Pからの反射光量が変動し、画像読取装置としては、人間の見た目に応じた画像が得られないこと、また紙葉類検査装置としては、安定的な反射画像の取得ができないことから、高精度な検査ができないという課題があった。特に、紙葉類Pの厚さが厚い場合と薄い場合では、白色基準板Wの影響の度合いが異なるため、当該紙葉類P表面からの反射光量が異なるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、紙葉類Pが読取位置で搬送のばたつきにより白色基準板Wと紙葉類Pの距離が変化することによる裏当て効果による反射光量(反射明るさ)特性を、照明装置2を照明移動機構部によって移動することによる配光特性を変えることにより相殺することが可能な画像読取装置及び紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の画像読取装置は、搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3記載の紙葉類処理装置は、処理する紙葉類の設定を操作員が操作する操作表示手段と、この操作表示手段から入力された情報に基づいて供給された紙葉類を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送された紙葉類の画像を読み取る画像読取装置と、この画像読取装置によって読み取った画像データを判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて集積または結束する区分処理手段を備えた紙葉類処理装置であって、前記操作表示手段は、処理する紙葉類の券種又は厚さ情報を入力する入力手段を備え、前記画像読取装置は、搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、を備え、前記制御手段によって設定された照明手段の配置位置で前記光学読取手段による読取を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る画像読取装置の構成図
【図2】裏当て効果を説明する図
【図3】紙葉類が白色基準板から浮いた場合の裏当て効果を説明する図
【図4】紙葉類が白色基準板から浮いた状態を説明する図
【図5】紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例である
【図6】照明装置の読取位置での高さ方向の配光特性を示すグラフの一例
【図7】図5に示す反射明るさが図6に示す配光特性で相殺された結果得られる紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例
【図8】実施例1に係る裏当ての影響を低減する方法を説明するグラフ(その1)
【図9】実施例1に係る裏当ての影響を低減する方法を説明するグラフ(その2)
【図10】実施例2に係る紙葉類処理装置の構成を示す図
【図11】実施例1に係る画像読取装置を図10の裏面反射検知装置に用いた一例
【図12】従来の画像読取装置
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例1の画像読取装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、この搬送装置によって搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明装置と、紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、読取位置を挟んで光学読取手段と対向して配置された白色基準板と、読取位置での紙葉類の搬送ばたつきによる反射光の反射特性を取得する反射特性取得手段と、紙葉類の読取位置での高さ方向の配光特性を取得する配光特性取得手段と、照明装置の配置位置を移動する移動手段と、を備え、事前に反射光の反射特性を取得し、処理する券種又は厚さが指定された際、上記照明装置の配置位置を上記移動手段によって相殺する。実施例2は、実施例1に係る画像読取装置を搭載した紙葉類処理装置の実施形態を示す。以下、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係る画像読取装置200の構成図である。図1(1)は全体構成図であり、図1(2)は照明移動機構部(移動手段)6の構成図である。
【0014】
画像読取装置200は、紙葉類Pを搬送する搬送路130、照明装置2、搬送路130によって搬送される紙葉類Pが図示矢印B方向に搬送されて読取位置Aに到達したとき、この読取位置Aを通過する紙葉類Pを照射する照明装置2の反射光を読み取るカメラ1及び読取位置Aを通過する紙葉類Pの搬送路130に対する対向位置に配置された白色基準板Wを有して構成される。
【0015】
搬送路130は、搬送ローラ131a、131b、131c及びこの搬送ローラ131a、131b、31cに掛け回された搬送ベルト130a、130bで構成され、紙葉類Pはこれら搬送ベルト130a、13bに挟持されて図示矢印B方向搬送される。
【0016】
カメラ1はレンズ11及びラインセンサ12を有して構成され、読取位置Aの画像をレンズ11を介してラインセンサ12に結像する。読取位置Aの読取範囲及び読取解像度に応じてラインセンサ12のビット数及びレンズ11の結像倍率等が事前に設定される。
【0017】
このようにして、図示矢印B方向に搬送された紙葉類Pが読取位置Aに到達すると、カメラ1のラインセンサ12によって搬送方向と交差する方向の1次元画像が読み取られる。読み取られた1次元画像は、ラインセンサ12の色成分であるR(赤)、G(緑)、B(青)ごとに画像取得部4に設けられたメモリ(図示しない)に書き込まれる。紙葉類Pが所定の速度で図示矢印B方向に搬送されることにより、紙葉類P全体の1次元画像が取得され、2次元画像が生成される。
【0018】
図1(2)は、照明移動機構部6の構成図である。照明移動機構部(移動手段)6は、照射角度移動機構部(照射角度移動手段)61、X方向移動機構部(X方向移動手段)62、Y方向移動機構部(Y方向移動手段)63及び制御部(制御手段)64を有して構成される。制御部64は、上記各機構部61〜63と接続され、これら各機構部61〜63を、後述する検索条件に基づいて照明移動距離テーブル(記憶手段)7から取得した照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量に基づいて移動制御する。
【0019】
照明装置2を当該照明装置2の照明中心と読取位置Aを結ぶ照射光軸が搬送路130に対して作る照射角度をθとするとき、上記制御部64は、下記(1)〜(3)の移動制御を行うことができる。
【0020】
(1)上記照射角度θを維持しながら、搬送方向と並行に図示矢印X方向に移動することができる。
【0021】
(2)上記照射角度θを維持しながら、照射光軸の長さ(照射光路長)を図示矢印Y方向に移動することができる。
【0022】
(3)上記照射角度θを増減する方向に移動(回動)することができる。
【0023】
なお、上述した照明装置2の移動量は、処理する紙葉類Pの種類、品質、厚さなどにより、後述する紙葉類の浮き量に対する反射明るさ特性(図5)、及び照明装置2の読取位置Aでの高さ方向の配光特性(図6)を算出し、この算出結果に基づいて設定される。
【0024】
例えば、紙葉類の厚さは、透過センサS1によって検知することができる。この透過センサS1により検知された紙葉類の厚さに基づいて照明移動距離テーブル7が参照され、移動量(照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量の総称)が設定される。
【0025】
なお、紙葉類の厚さ検知方法は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、ローラ間に搬送される紙葉類が挿入されることにより、変異する当該ローラの変異量を検知する方法もある。これらは、それぞれ長所がことなるため、被検出媒体である紙葉類の材質等により決定される。上述した透過センサを用いる方法は、紙葉類の厚さを検知する方法が簡単であるため、印刷直後の有価証券などのように紙葉類の品質が均一である場合には、好適である。一方、正券と損券などのように同一券種であっても使用された結果、紙葉類の汚損が透過光量に変化を及ぼす場合には、測定結果の信頼性が低下する。そのような場合には上述したローラ間で紙葉類の変動を検知する方法が好適である。
【0026】
図2は、紙葉類の厚さによって裏当て効果が異なることを説明する図である。なお、裏当てとは被検出媒体である紙葉類の裏側にあてるものをいい、ここでは白色基準板Wが該当する。
【0027】
図2(1)は、白色基準板なし(裏当てなし)の場合の紙葉類Pの厚さが薄い場合の入射光Iと反射光Rt(反射明るさRt又は反射明るさ成分Rtと称する場合もある)との関係を示す図である。例えば、薄い紙が背面なし、あるいは背面が黒色(無反射材)の場合が該当する。この場合、入射光Iは、紙葉類Pの表面で反射する成分aと、紙葉類Pの内部に侵入し拡散し再び上方に戻る成分bと、そのまま内部で吸収される成分cと、透過する成分dに配分される。この時、紙葉類Pの反射明るさRtは、成分aと成分bの合算になり、紙が薄い場合には、内部拡散により上方に戻る成分bが小さく、透過する成分dが大きいので、白色の紙であっても暗く見える。
【0028】
図2(2)は、白色基準板なしの場合の紙葉類Pの厚さが厚い場合の入射光Iと反射光Rtとの関係を示す図である。例えば、厚い紙が背面なし、あるいは背面が黒色(無反射材)の場合が該当する。この場合、透過する成分dが小さくなり、内部拡散により上方に戻る成分bが大きくなるので、明るく(白色に)見える。このように同じ種類の紙であっても背面なし、あるいは黒色(無反射材)の場合には、反射明るさ(白色度)が異なって見える。
【0029】
図2(3)、図2(4)は、背面に白色基準板W(高反射材)を配置した図である。図2(1)又は図2(2)に示す背景なしの作用と同様に、入射光Iは、成分a、成分b、成分c、成分dと配分されるが、成分dは背面の白色基準板Wで反射し再び上方に透過する成分daが生じるため、反射明るさRtは成分aと成分bと成分daの合算になる。図2(3)のように、薄い紙の場合には、透過する成分dが大きく、背面の白色基準板Wで反射して再び上方に透過する成分daも大きくなるので、もともと成分aと成分bは反射明るさが小さいが、その加算により明るさ(白色度)を確保できる。また図2(4)のように、厚い紙の場合には、透過する成分dが小さく、背面の白色板で反射して再び上方に透過する成分daも小さくなるが、もともと成分aと成分bは反射明るさが大きいので、その加算による明るさは小さくてよい。このように、背面に白色基準板Wを配置することで、反射明るさ(白色度)の厚さに依存しない自動制御の作用が働くことになり、これを裏当て効果と称する。
【0030】
図3は、紙葉類Pが白色基準板Wから浮いた場合の入射光Iと反射明るさ成分Rtとの関係を示す図である。紙葉類Pが白色基準板Wに対して上方に距離hだけ変位したとき(浮き量h)、及びさらに上方に距離Δhだけ変異したとき(浮き量h+Δh)の読取背面の白色基準板Wの裏当て効果は、背面から紙葉類Pが離れることでその効果が減少するため、搬送ばたつきにより紙葉類Pの明るさは変化してしまう。図3(1)は、薄い紙が背面から離れている場合で、透過する成分dは、紙葉類Pから出る時に拡散して出射する成分eとなる。拡散した光は照射する面の距離が離れれば光が拡がっていくため、白色基準板Wに単位面積当たり照射される光は、距離に応じて減少する。同じく白色基準板Wで反射される光は拡散しているため、同様に紙葉類Pまでの距離に応じて減少する。紙葉類Pに再入射する光Iaは、さらに減衰して透過する光daとなるが、図2(3)の場合よりも減少しているため、合算される反射明るさRtも大きく減少する。同様に、図3(2)の紙が厚い場合においても、再透過する成分daは大きく減少するが、図2dのもともとの成分daが小さい為、距離による影響の度合いは異なっている。
【0031】
このようにして、紙葉類Pと白色基準板Wの距離により最終的な反射明るさは変動し、その影響度は紙葉類Pの厚さに依存することが判る。したがって、画像読取装置としては、人間の見た目に応じた画像が得られないこと、また紙葉類検査装置としては、安定的な反射明るさ画像の取得ができないことから、高精度な検査ができないという課題があった。
【0032】
図4は、紙葉類が白色基準板から浮いた状態を説明する図で、読取位置Aでの拡大図である。また、図5は、紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例である。以下、これらの図を参照して説明する。紙葉類Pは搬送路130により搬送され、読取位置Aに到達する。このとき紙葉類Pは、白色基準板Wに最も接近した状態から上方の浮いた状態に向かって、例えば、紙葉類Pa、Pb、Pcとなる場合がある。これらは、搬送のばらつきとして浮き量h、頻度ともランダムに発生する。このとき照明装置2からの照射光が高さ方向(浮き方向)に一定とした場合に(照明装置2と読取位置Aまでの距離(照射距離)Lが最大浮き量hmに対して十分長い場合には、照明装置2からの照射光は最大浮き量hmの範囲で一定と考えてよいため)、紙葉類Pの反射明るさは、図5に示すように、紙葉類Pの浮き量(高さ位置)hにより減少する特性となる(変動特性)。
【0033】
すなわち、紙葉類Pの浮き量hにより、紙葉類Pと背景の白色基準板Wの距離が拡がることで、前述した裏当て効果の影響を受けることになる。明るさの減少の傾斜は紙葉類Pの厚さに依存し、紙葉類Pの厚さが薄いほど傾斜が大きくなる。したがって高さ方向に配光特性が均一な照明であっても、紙葉類Pの反射明るさを精度よく取得することはできない。
【0034】
図6は、図4に示す構成例における読取位置Aでの高さ方向の配光特性を示すグラフの一例である。一般に高い側(照明に近い方向)に照度の最大点があり、低い側(照明から離れる方向)になだらかに減少をしていく配光特性を持っている。
【0035】
図7は、図5に示す反射明るさが図6に示す配光特性で相殺された結果得られる紙葉類の浮き量と反射明るさの関係を示すグラフの一例である。破線で示す図5の反射明るさ特性aを持つ紙葉類Pに対して、一点鎖線で示す図6の配光特性bを持つ照明装置2で、搬送変動の浮きなし位置(h=0)から最大浮き位置(h=hmax)の範囲で、画像取得した場合の最終的に得られる反射明るさの特性cを実線で示したものである。紙葉類Pの反射特性の傾斜と、照明装置2の配光特性の傾斜が異なる場合に、高さ位置に依存した反射明るさとなり、紙葉類Pの反射明るさを精度よく取得することはできない。
【0036】
図8は、実施例1に係る裏当ての影響を低減する方法を説明するグラフ(その1)である。図8(1)は、紙葉類の浮き量(高さ位置)hに対する反射明るさ特性a、照明装置2の読取位置Aでの高さ方向の配光特性b1、及びこの配光特性b1を照明装置での取り付け位置で回動させることにより、配光特性b2を形成し、当該配光特性b2により紙葉類の読取位置での反射明るさ特性cを最大浮き量hmaxの範囲内でほぼ均一にできることを示すグラフの一例である。また、図8(2)は、図8(1)の丸で囲んだ部分の要部拡大図である。
【0037】
図9は、実施例1に係る裏当て効果の影響を低減する方法を説明するグラフ(その2)である。図9(1)は、紙葉類の浮き量hに対する反射明るさ特性a、照明装置2の読取位置での高さ方向の配光特性b1、及びこの配光特性b1を照明装置2の取り付け位置で搬送方向に水平移動することにより、配光特性b2を形成し、当該配光特性b2により紙葉類Pの読取位置Aでの反射明るさ特性cを最大浮き量hmaxの範囲内でほぼ均一にできることを示すグラフの一例である。また、図9(2)は、図9(1)の丸で囲んだ部分の要部拡大図である。
【0038】
上述した図8及び図9に示した一例は、照明装置2の構成により、搬送変動の浮き位置(h=0)から最大浮き量(h=hmax)の範囲で、紙葉類Pの反射特性の傾斜と、照明装置2の配光特性の傾斜が、逆極性で等しくなるようにして、画像取得した場合の最終的に得られる反射明るさを示したものである。破線で示す紙葉類Pの反射特性の傾斜と、一点鎖線で示す照明装置2の配光特性の傾斜が相殺される為に、高さ位置に依存しない反射明るさとなり、紙葉類Pの最終的な反射明るさを精度よく取得することができる。
【0039】
上記の照明装置2の配光特性を、紙葉類Pの反射明るさ特性に合わせる工程は、例えば、その画像読取装置200で使用が想定される紙葉類Pの反射明るさ特性を予め取得しておき、それに応じた照明装置2の設計において実施する。
【0040】
例えば、処理する紙葉類は、事前に設定される。また、最大浮き量は、当該読取位置Aを通過する部分の構造によって制限される。したがって、当該処理する紙葉類を複数用意し、最大浮き量を制限(設定)するガイド(図示しない)位置を変えながら当該紙葉類の反射明るさのデータ収集を行うことにより、図8又は図9に示す浮き量に対する反射明るさ特性(変動特性)aが求められる。
【0041】
また、白色基準板W、搬送される紙葉類及び照明装置2の配置位置が設定されると図8又は図9に示す読取位置での高さ方向の配光特性bが設定される。上述したように、白色基準板Wの表面(高さ位置=0)に対する高さ位置hが高くなるに従い照度が上昇し、最大点があり、高さhが低くなるに従い照度も低くなる。したがって、高さ位置=0から高さ位置=最大浮き量に相当するまでの距離を変えながら当該紙葉類を用いてデータ収集を行うことにより、高さ方向の配光特性b1が求められる。
【0042】
以上の結果から、反射明るさ特性cが「高さ位置h=0」から「高さ位置h=最大浮き量hmax」に達するまでの間、ほぼ均一になる照明装置2の読取位置Aでの配光特性b2が算出される。この算出された照明装置2の配光特性を得ることができる照明装置2の配置位置が照明移動距離テ−ブル7に記憶される。
【0043】
以上の結果、画像読取装置200で、当該画像読取装置200で処理する紙葉類(又はその種類)が設定されると、照明移動機構6は、当該設定された紙葉類に対する照明移動距離テーブル7を参照して当該照明装置2の配置位置を移動する。
【0044】
例えば、当該画像読取装置200をオンライ処理の中で使用する場合であっても、当該紙葉類の種類が変わらない場合、例えば、同一金種の紙幣等同一紙葉類を大量に印刷し、当該印刷後の紙葉類の品質確認をするために当該画像読取装置200を使用する場合は、装置を駆動する最初に上述した照明装置2の配置を設定すれば、その後に連続的に搬送される紙葉類では、照明装置の配置位置を変更等する必要はない。
【0045】
以上説明したように実施例1によれば、紙葉類が読取位置で搬送のばたつきにより白色基準板と紙葉類の距離が変化することによる裏当て効果により反射明るさが変動する変動特性を、照明装置の配置位置を変更することによる配光特性を変えることにより相殺することが可能な画像読取装置を提供することができる。
【実施例2】
【0046】
図10は、実施例2に係る紙葉類処理装置100の構成を示す図で、実施例1に係る画像処理装置を搭載している。
【0047】
紙葉類処理装置100は、操作表示PC110からの操作指示に基づいて装置全体を制御する主制御部116及びこの主制御部116の指示に従い紙葉類を区分搬送する搬制御部117などを有し、操作員の操作指示に基づいて供給された紙葉類が処理される。以下詳細に説明する。
【0048】
操作PC110は、タッチパネル(入力手段)をディスプレー(表示手段)に組み込んだ操作表示部(操作表示手段)112を有する。さらに、入力手段としてはキーボード及びマウスなど(何れを図示しない)も接続可能である。
【0049】
操作表示部112は、紙葉類処理装置100を操作する操作員によって操作される。この操作によって処理する紙葉類の処理の内容が指示される。例えば、処理する紙葉類の券種指定、正損判別レベル指定、集積・施封装置の指定、又は鑑査処理なのか計数処理なのかの選択が当該操作員によって行われる。
【0050】
紙葉類処理装置100は、処理単位に応じて供給部120に投入された紙葉類束(例えば、1000枚)の最上面の紙葉類Pから順番に1枚ずつロータ(取出装置)121によって取出し、搬送路130によって搬送し、紙葉類判別装置(紙葉類判別手段)140によって当該紙葉類Pの真偽(本物(真券)か偽物(偽券)か)及び正損(真券で再利用可能な紙葉類(正券)か、真券で再利用不可能な紙葉類(損券)か)を判別する。
【0051】
紙葉類処理装置100は、紙葉類毎の判別結果を主制御部116に送信すると共に搬送制御部117に送信する。
【0052】
搬送制御部117は、受信した判別結果に基づいて、当該紙葉類Pの最終集積箇所を指定する。このようにして集積箇所が指定された紙葉類Pは、例えば羽根車集積装置150によって集積される。集積された紙葉類Pが所定枚数(例えば、100枚)に達すると、羽根車集積装置150の下部に配置された100枚束結束装置(施封装置)151によって100枚ごとに熱接着性紙帯によって結束され、100枚束Hが形成される。この処理結果は、搬送制御部117から主制御部116に送信される。
【0053】
このようにして形成された100枚束Hは、下部に配置されたコンベア170上に排出され、図示矢印A方向に搬送される。
【0054】
図示した実施例では、羽根車集積装置及び施封装置からなる区分処理を行う集積・施封装置(区分処理手段)が4セット配置されており、各集積・施封装置からそれぞれ100枚束Hが排出される。
【0055】
このようにして排出された100枚束Hは、100枚束集積部180に集積された後、100枚束が10個に達するごとにさらに結束されて1000枚束が形成される。
【0056】
また、搬送路130の終端に排除券集積部160が配置されている。この排除券集積部160には、紙葉類判別装置140で排除券と判別された紙葉類、又は搬送検知部122によって取出不良と判別された紙葉類が搬送路130から分岐した搬送路131によって搬送されて集積される。この排除券集積装置160に集積された排除券には正券又は損券、搬送異常権、偽券が混在して集積されるため、排除券集積装置160に集積された排除券を取り出して供給部120に再供給して再度判別処理を行うことが可能である。
【0057】
さらに、紙葉類判別装置140の搬送方向下流には、裁断装置190が配置されており、紙葉類判別装置140により損券と判別された紙葉類がこの裁断装置190に搬送されて裁断される。損券は再流通不可能な紙葉類であり、裁断する紙葉類の計数一致(損券と判別された紙葉類と裁断装置に送られた紙葉類の一致)を確保した上で裁断される。裁断した紙葉類の計数は搬送制御部117から主制御部116に送信される。
【0058】
以上説明したように、紙葉類処理装置100は、供給部120に供給された紙葉類を正券、損券、排除券に区分し、当該区分に応じた区分処理を行う。また、このようにして区分した紙葉類の区分に係る計数データは紙葉類判別装置140又は搬送制御部117から主制御部116に送信される。
【0059】
主制御部116は、紙葉類判別装置140又は搬送制御部117から受信した紙葉類の処理結果を処理単位ごと(例えば、1000枚)に操作PC110に送信する。
【0060】
紙葉類判別装置140は、表面反射検知装置141、裏面反射検知装置142、磁気検知装置、形状検知装置、透過検知装置、蛍光検知装置、及び厚さ検知装置などが搬送路130にそって配置されて構成される。
【0061】
図11は、実施例1に係る画像読取装置を図10の表面反射検知装置141に用いた一例である。なお、裏面反射検知装置142は、表面反射検知装置141と同様に構成されているためその説明を省略する。なお、この表面反射検知装置141には、白色基準板Wが含まれるものとする。
【0062】
図10に示す紙葉類処理装置100の供給部120には上述したように同一券種の紙葉類束が1000枚供給される。操作員は、券種、正損判別レベル及び供給枚数を操作表示部112から入力する。
【0063】
照明移動機構部6は、照射角度移動機構部61、X方向移動機構部62、Y方向移動機機構部63及び制御部64を有して構成される。制御部64は、操作員によって指定された券種に基づいて照明移動距離テーブル7から照明装置2の移動量を取得して、これらを各機構部に順次出力する。各機構部は、ステッピングモータを備え、当該移動量に基づく回転動作を行うことにより照明装置を移動する。
【0064】
照射角度移動機構部(照射角度移動手段)61は、照明装置2の照明中心と読取位置Aを結ぶ線が搬送路130に対して作る照射角度θを増減する方向に移動する。
【0065】
X方向移動機構部(X方向移動手段)62は、上記照射角度を維持しながら搬送方向と平行であるX方向に移動する。
【0066】
Y方向移動機構部(Y方向移動手段)63は、上記照射角度を維持しながら照射光軸の長さ方向であるY方向に移動する。
【0067】
操作員による上記入力走操作が終了すると、その直後に上記照明移動機構部6による照明装置2の移動が開始する。この移動距離はミリメートルオーダーであり、移動距離が少ないことから、上述した操作員の入力終了直後に移動が完了する。
【0068】
このようにして、照明装置2の位置設定が完了すると、取出装置121は、供給部120に供給された紙葉類束の最上面の紙葉類から1枚ずつ搬送路130に取り出して搬送する。この搬送によって読取位置Aに達した紙葉類Pの反射データは紙葉類Pの搬送に伴ってカメラ1によって読み取られる。実施例1で説明した通りである。
【0069】
センサS1は、ここでは、搬送される紙葉類Pを検知するセンサである。このセンサS1によって紙葉類Pの先端が検知されると、当該紙葉類Pが読取位置に到達するタイミングが設定され、当該設定に基づいて紙葉類Pの読み取りが開始される。読み取られた紙葉類Pの反射データは、画像取得部4及び反射明るさ検出部8によって処理可能なデータに変換される。
【0070】
こ処理可能なデータとは、表面反射データから券種判別、真偽判別、及び正損判別ごとに設定された検知範囲のデータを取得し、必要に応じて後述する色データの演算を行い判別するために形成されたデータである。
【0071】
判定部9は、判別テーブル10に保存されている判定基準と当該反射明るさ検出部8で算出された演算結果を比較判定する。以下判別方法を具体的に説明する。
【0072】
券種判別は、上記処理可能なデータとして紙葉類の表面全面データを取得してそのパターンが券種ごとに異なることを、判別テーブル10に保存されている標準パターンと比較することによって行う。この判別結果により被検出紙葉類の券種及び搬送方向が設定される。当該券種が操作員が設定した券種と異なる場合は、排除券集積部160に集積される。
【0073】
真偽判別は、上記処理可能なデータとして、上記券種判別により設定された券種及び搬送方向ごとに設定された所定の検知位置に真偽判別を行うための特殊な情報が含まれているかを判別する。判別方法は、検出された特殊な情報が判別テーブル10に保存されているの真偽判別レベルの上限及び下限値内にあるかどうかによって行う。真偽判別の結果指定券種と異なる紙葉類は、排除券集積部160に集積される。
【0074】
正損判別は、上記処理可能なデータとして、カメラから得られた紙葉類の表面反射光から得られるR(赤)、G(緑)、B(青)の各色データを所定の比率で組み合わせて生成した色データが用いられる。紙葉類の汚れの程度は人の目による認識とずれていない方がよいため、例えば比視感度曲線(人の目の感度を光の波長に対して表した曲線)を考慮した正損判別になるように上記色演算が行われる。
【0075】
判別テーブル10には判別レベルが保存されているが、この判別レベルは、当該表面反射検知装置141で事前にデータ収集を行った結果に基づいて設定される。
【0076】
判定部9は、判別テーブル10に保存されている判定基準と当該反射明るさ検出部8で算出された演算結果を比較判定する。
【0077】
この判別結果は、例えば、搬送制御部(図示しない)に出力される。搬送制御部は、当該判別結果に基づいて、区分搬送する。例えば、正券は正券集積部(図示しない)に集積され、損券は損券集積部(図示しない)に集積される。また、必要に応じて区分集積された紙葉類の枚数が100枚に到達するごと結束部に送られて結束され、100枚紙葉類を形成する場合もある。
【0078】
実施例1で説明した画像読取装置を印刷品質検査装置の一部として組み込んだ紙葉類処理装置として使用することができる。この場合、紙葉類は同一紙葉類の印刷後の紙葉類であって、画像読取手段は、当該印刷後の紙葉類の券種又は厚さ情報に基づき、上述した方法に基づいて事前に設定された照明装置の配置位置に基づいて当該紙葉類の画像を読み取る。読み取られた画像データは上記紙葉類判別装置によって紙葉類の印刷品質が判別される。上記区分処理装置は、当該紙葉類の判別結果に基づいて集積又は施封など指定された区分処理に基づく区分処理が行われる。
【0079】
以上説明したように、本実施例によれば、搬送される紙葉類がばたつくことによって発生する白色基準板からの浮きに対して、その浮き量によって紙葉類の反射明るさが変動する裏当ての影響について、紙葉類と背景となる白色基準板との距離に応じた反射明るさ特性(変動特性)を元に、その変動特性を相殺する配光特性に構成された照明装置を配置することで、反射明るさについて高精度な画像取得が可能な画像読取装置を実現する。またその画像読取装置を備えている紙葉類処理装置では、高精度な検査と再現性の高い検査を実現できる。
【符号の説明】
【0080】
200:画像読取装置(実施例1)
100:紙葉類処理装置(実施例2)
140:紙葉類判別装置
141:表面反射検知装置
142:裏面反射検知装置
S1:透過センサ
A:読取位置
P:紙葉類
W:白色基準板
1:カメラ
11:レンズ
12:ラインセンサ
2:照明装置
130:搬送路
130a、130b:搬送ベルト
131a、131b、131c:搬送ローラ
4:画像読取部
6:照明移動機構
7:照明移動距離テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、
紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、
前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、
前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、
この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、
紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記移動機構手段は、
前記照明手段の照明中心と前記読取位置を結ぶ線が搬送路に対して作る照射角度を増減する方向に移動する照射角度移動手段と、
この照射角度を維持しながら搬送方向と平行であるX方向に移動するX方向移動手段と、
この照射角度を維持しながら照射光軸の長さ方向であるY方向に移動するY方向移動手段と、
前記変動特性を相殺する配光特性を得るために紙葉類の券種又は厚さ情報に基づいて前記記憶手段から読みこんだ照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を、それぞれ前記照射角度移動手段、X方向移動手段及びY方向移動手段に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
処理する紙葉類の設定を操作員が操作する操作表示手段と、この操作表示手段から入力された情報に基づいて供給された紙葉類を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送された紙葉類の画像を読み取る画像読取装置と、この画像読取装置によって読み取った画像データを判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて集積または結束する区分処理手段を備えた紙葉類処理装置であって、
前記操作表示手段は、
処理する紙葉類の券種又は厚さ情報を入力する入力手段を備え、
前記画像読取装置は、
搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、
紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、
前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、
前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、
この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、
紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、
を備え、
前記制御手段によって設定された照明手段の配置位置で前記光学読取手段による読取を行うことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記紙葉類は、
同一紙葉類を印刷した印刷後の紙葉類であって、
前記画像読取手段は、
当該印刷後の紙葉類の券種又は厚さ情報に基づき、事前に設定された前記照明手段の配置位置に基づいて当該紙葉類の画像を読み取り、
前記紙葉類判別手段は、
前記画像読取手段によって読み取られた画像に基づいて紙葉類の印刷品質を判別し、
前記区分処理手段は、
前記紙葉類判別手段の判別結果に基づいて紙葉類を区分処理することを特徴とする請求項3記載の紙葉類処理装置。
【請求項1】
搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、
紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、
前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、
前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、
この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、
紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記移動機構手段は、
前記照明手段の照明中心と前記読取位置を結ぶ線が搬送路に対して作る照射角度を増減する方向に移動する照射角度移動手段と、
この照射角度を維持しながら搬送方向と平行であるX方向に移動するX方向移動手段と、
この照射角度を維持しながら照射光軸の長さ方向であるY方向に移動するY方向移動手段と、
前記変動特性を相殺する配光特性を得るために紙葉類の券種又は厚さ情報に基づいて前記記憶手段から読みこんだ照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を、それぞれ前記照射角度移動手段、X方向移動手段及びY方向移動手段に設定する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
処理する紙葉類の設定を操作員が操作する操作表示手段と、この操作表示手段から入力された情報に基づいて供給された紙葉類を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送された紙葉類の画像を読み取る画像読取装置と、この画像読取装置によって読み取った画像データを判別する紙葉類判別手段と、この紙葉類判別手段の判別結果に基づいて集積または結束する区分処理手段を備えた紙葉類処理装置であって、
前記操作表示手段は、
処理する紙葉類の券種又は厚さ情報を入力する入力手段を備え、
前記画像読取装置は、
搬送される紙葉類が通過する読取位置を照明する照明手段と、
紙葉類が前記読取位置を通過する際、前記照明手段によって照射された紙葉類の反射光を読み取る光学読取手段と、
前記読取位置を挟んで前記光学読取手段と対向して配置される白色基準板と、
前記照明手段の配置位置を前記白色基準板の配置位置を基準に移動する移動機構手段と、
この移動機構手段によって移動する照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を検索可能に記憶する記憶手段と、
紙葉類が読取位置を通過する際、紙葉類の読取面が前記搬送手段によって前記白色基準板を基準に前記照明手段側に接近する高さ方向に所定の許容変動範囲で上下変動することによる反射光の変動特性及び前記照明手段によって照射された紙葉類の前記読取位置での高さ方向の配光特性を事前に取得し、当該取得された変動特性を相殺する配光特性を得るために、前記記憶手段に記憶された照射角度移動量、X方向移動量及びY方向移動量を前記移動機構手段に設定する制御手段と、
を備え、
前記制御手段によって設定された照明手段の配置位置で前記光学読取手段による読取を行うことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記紙葉類は、
同一紙葉類を印刷した印刷後の紙葉類であって、
前記画像読取手段は、
当該印刷後の紙葉類の券種又は厚さ情報に基づき、事前に設定された前記照明手段の配置位置に基づいて当該紙葉類の画像を読み取り、
前記紙葉類判別手段は、
前記画像読取手段によって読み取られた画像に基づいて紙葉類の印刷品質を判別し、
前記区分処理手段は、
前記紙葉類判別手段の判別結果に基づいて紙葉類を区分処理することを特徴とする請求項3記載の紙葉類処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−85187(P2013−85187A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225078(P2011−225078)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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