説明

画像読取装置

【課題】読み取った原稿の画像データをUSBメモリに格納するという利用形態で画像読取装置が利用される場合にも、該USBメモリの取り外し忘れをできるだけ防止し、ユーザがUSBメモリの取り外しを忘れた場合であっても、データが他人によって不正に使用されるのをできる限り防止する。
【解決手段】画像読取部16が読取動作で生成した画像データをUSBメモリMに格納してから所定時間が経過するまでの間にUSBメモリMが取り外されない場合は、USBメモリMが取り外す作業の実施を促す案内画面を表示し、且つ、該画像データをUSBメモリMから内部記憶部210に移転し、この移転した画像データは、入力されたユーザIDに対する認証処理部203の認証を受けた上でUSBメモリMに戻されるようにし、それ以降、USBメモリMが取り外されるまで案内画面G2の表示を継続するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBメモリ等の外部記憶装置が着脱可能に構成されたスキャナや複合機などの画像読取装置の技術分野に属し、特に、前記外部記憶装置の取り外し防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯性を有する記録メディアとして広く知られているUSB(Universal Serial Bus)メモリが装着可能に構成され、該USBメモリが装着されると、そのUSBメモリに対してデータの読み出しや書き込みを行う機能を有するスキャナや複合機などの画像読取装置が商品化されている。
【0003】
この種の画像読取装置においては、ユーザが、装置に装着したUSBメモリをジョブの終了後に装置から取り外して持ち帰るのを忘れることが多々あるという問題がある。USBメモリの取り外しを忘れた場合、データが消失するだけでなく、他人にそのUSBメモリが勝手に持ち出され、該USBメモリ内のデータが不正に使用されることも考えられる。
【0004】
下記特許文献1には、このようなUSBメモリの取り外し忘れを課題として、スタートキー(プリント開始キー)が押されると、USBメモリからジョブ対象のデータを装置内部にコピーした後、ジョブを開始する前に、USBメモリを取り外すようにユーザに促すとともに、USBメモリが装置に装着された状態ではジョブの実行を開始しないように構成した画像形成装置が提案されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、第三者へのデータの流出や漏洩を防止することを目的として、装着された外部記憶装置からデータを取得した場合に、取得したデータを用いた処理の実行中や該処理の終了後に、外部記憶装置のデータを削除する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−107376号公報
【特許文献2】特開2009−3658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
USBメモリが装着可能な画像読取装置は、読み取った原稿の画像データをUSBメモリに格納するという利用形態で利用されることがあり、この場合にも、USBメモリの取り外し忘れを防止すべきである。しかしながら、そのような技術は提案されていない。
【0008】
なお、前記特許文献1は、USBメモリが装置に装着された状態ではジョブの実行を開始しないものであり、スキャン動作を行うためには、USBメモリが装置から取り外されていることが前提であるため、読み取った原稿の画像データをUSBメモリに格納することができない。
【0009】
また、前記特許文献2は、取得したデータを用いた処理の実行中や該処理の終了後に、外部記憶装置のデータを削除するものであるから、読み取った原稿の画像データをUSBメモリに保存することができない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、読み取った原稿の画像データをUSBメモリに格納するという利用形態で画像読取装置が利用される場合にも、該USBメモリの取り外し忘れをできるだけ防止し、且つ、ユーザがUSBメモリの取り外しを忘れた場合であっても、データが他人によって不正に使用されるのをできる限り防止することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、ユーザを識別するためのユーザIDとユーザ名とを対応付けて予め記憶する識別情報記憶部と、前記識別情報記憶部に予め記憶されているユーザIDの入力を要求する第1ユーザID入力要求部と、前記第1ユーザID入力要求部により入力が要求されたユーザIDを入力するための第1ユーザID入力操作部と、前記第1ユーザID入力操作部により入力されたユーザIDと、前記識別情報記憶部により予め記憶されているユーザIDとが一致するか否かを判断し、前記両ユーザIDが一致するとき、その旨を示す認証信号を出力する第1認証処理部と、外部記憶装置が装着される外部記憶装置装着部と、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部の読取動作で得られた画像データを、前記外部記憶装置装着部に装着されている外部記憶装置に格納する格納部と、前記第1認証処理部から前記認証信号が出力されると、前記画像読取部に前記原稿の画像を読み取らせ、該読取動作で得られた画像データを、前記外部記憶装置装着部に装着されている外部記憶装置に格納する処理を前記格納部に行わせるスキャン処理の実行指示が入力可能となるスキャン指示入力操作部と、前記スキャン指示入力操作部により前記スキャン処理の実行指示が入力されると、該スキャン処理を、前記画像読取部及び前記格納部に実行させるスキャン実行指示部と、データを記憶する内部記憶部と、前記格納部により前記画像データが格納された時点から時間の計測動作を行う第1計時部と、前記第1計時部により予め定められた時間が計時されると、前記外部記憶装置装着部に前記外部記憶装置が装着されているか否かを検出する第1装着状態検出部と、前記第1装着状態検出部により前記外部記憶装置装着部に前記外部記憶装置が装着されていることが検出されると、前記格納部により前記外部記憶装置に格納されているデータを前記内部記憶部に移転する第1移転処理部と、前記第1移転処理部によりデータが移転された時点から時間の計測動作を行う第2計時部と、前記第1移転処理部によりデータが移転されると、前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力可能となる取り外し入力操作部と、前記第2計時部により予め定められた時間が計時されるまでの間に前記取り外し入力操作部により前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力されると、前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDの入力を要求する第2ユーザID入力要求部と、前記第2ユーザID入力要求部により入力が要求されたユーザIDを入力するための第2ユーザID入力操作部と、前記第2ユーザID入力操作部により入力されたユーザIDと、前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDとが一致するか否かを判断し、前記両ユーザIDが一致するとき、その旨を示す認証信号を出力する第2認証処理部と、前記第2認証処理部から前記認証信号を受信したとき、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータを前記外部記憶装置に戻す第2移転処理部とを備える画像読取装置である。
【0012】
この発明によれば、前記第1認証処理部によるユーザIDの認証を受けると、スキャン指示入力操作部によるスキャン処理の実行指示の入力が可能となる。すなわち、第1ユーザID入力要求部により、前記識別情報記憶部に予め記憶されているユーザIDの入力が要求され、前記第1ユーザID入力操作部によりユーザIDが入力されると、前記第1認証処理部により、そのユーザIDが前記識別情報記憶部に予め記憶されているユーザIDと一致するか否か、つまり、ユーザIDを入力したユーザが当該画像読取装置を利用する権利をもつユーザであるか否かが判断される。そして、そうであるとき、第1認証処理部により、その旨を示す認証信号が出力され、前記認証信号がスキャン実行指示部から出力されると、スキャン指示入力操作部によるスキャン処理の実行指示の入力が可能となる。
【0013】
この状態で前記外部記憶装置装着部に前記外部記憶装置が装着され、前記スキャン指示入力操作部が操作されると、前記スキャン実行指示部の指示に基づき、前記画像読取部により前記原稿の画像が読み取られ、該読取動作で得られた画像データが、前記格納部によって、前記外部記憶装置装着部に装着されている外部記憶装置に格納される。また、前記格納部により前記画像データが格納された時点から前記第1計時部による時間の計測動作が開始される。
【0014】
前記第1計時部により予め定められた時間が計時されると、第1装着状態検出部により、前記外部記憶装置装着部に前記外部記憶装置が装着されているか否かが検出され、前記第1装着状態検出部により前記外部記憶装置装着部に前記外部記憶装置が装着されていることが検出されると、前記格納部により前記外部記憶装置に格納されているデータが、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転される。そして、前記第1移転処理部によりデータが移転された時点から前記第2計時部による時間の計測動作が開始される。
【0015】
前記第1移転処理部によりデータが移転されると、前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨の取り外し入力操作部による入力が可能となり、前記第2計時部により予め定められた時間が計時されるまでの間に前記取り外し入力操作部により前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力されると、前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDの入力が第2ユーザID入力要求部により要求される。
【0016】
第2ユーザID入力操作部により、ユーザIDが入力されると、このユーザIDが、前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDと一致するか否かが第2認証処理部により判断され、前記両ユーザIDが一致するとき、その旨を示す認証信号が第2認証処理部により出力される。そして、前記第2認証処理部から前記認証信号が第2移転処理部により受信されたとき、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータが第2移転処理部により前記外部記憶装置に戻される。
【0017】
このように、読取動作で得られた画像データを内部記憶部に格納してから前記予め定められた時間が経過しても、まだ外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部に装着されている場合には、前記外部記憶装置に格納されているデータを前記内部記憶部に移転するようにしたので、仮に、ユーザが前記外部記憶装置の取り外しを忘れ、他人に勝手に前記外部記憶装置が取り外されたとしても、前記画像データが他人によって不正に使用されるのを防止することができる。
【0018】
また、前記第2ユーザID入力操作部で入力されたユーザIDの認証処理を行い、認証を受けた場合に、前記内部記憶部に移転したデータを前記外部記憶装置に戻すようにしたので、スキャン指示入力操作部を操作したユーザは、読み取った原稿の画像データが格納された外部記憶装置を得ることができる。
【0019】
また、内部記憶部に移転されたデータを前記外部記憶装置に戻すために、前記第2認証処理部による認証を受けることを条件としたので、内部記憶部に移転された前記画像データが他人によって勝手に前記外部記憶装置に戻されるのを防止することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記第1移転処理部によりデータが移転されると、前記外部記憶装置装着部から前記外部記憶装置を取り外す作業の実施を促す案内画面を表示する案内画面表示部を更に備え、前記案内画面は、予め定められた表示領域を前記取り外し入力操作部として備えるものである。
【0021】
この発明によれば、前記第1移転処理部によりデータが移転されると、前記外部記憶装置装着部から前記外部記憶装置を取り外す作業の実施を促す案内画面を、予め定められた表示領域に前記取り外し入力操作部を有する形態で表示するようにしたので、前記外部記憶装置の取り外し忘れを抑制することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像読取装置において、前記案内画面表示部は、今回実行されたスキャン処理を当該画像読取装置で実行させるにあたって前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDに対応するユーザ名を前記案内画面に表示するものである。
【0023】
この発明によれば、前記案内画面表示部は、今回実行されたスキャン処理を当該画像読取装置で実行させるにあたって前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDに対応するユーザ名を前記案内画面に表示するようにしたので、外部記憶装置の所有者が外部記憶装置装着部から取り外すのを忘れた場合に、次に当該画像処理装置を利用しようとするユーザは、その外部記憶装置を取り外すのを忘れたユーザがどのユーザであるのか知ることができる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の画像読取装置において、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータが前記第2移転処理部により前記外部記憶装置に戻されると、前記外部記憶装置装着部から前記外部記憶装置が取り外されたか否かを検出する第2装着状態検出部を更に備え、前記第1ユーザID入力要求部は、前記第2装着状態検出部により前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部から取り外されたことが検出されるまで、新たなユーザIDの入力を要求しないものである。
【0025】
この発明によれば、前記第2装着状態検出部により前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部から取り外されたことが検出されるまで、新たなユーザIDの入力を要求しないようにしたので、他のユーザによって、外部記憶装置が外部記憶装置装着部から取り外される状況を作り出すことができる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像読取装置において、前記第2計時部により予め定められた時間が計時されるまでの間に前記取り外し入力操作部により前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力されない場合、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータを前記外部記憶装置に戻すことなく前記内部記憶部から消去する消去処理部を更に備えるものである。
【0027】
この発明によれば、前記第2計時部により予め定められた時間が計時されるまでの間に前記取り外し入力操作部により前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力されない場合、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータを前記外部記憶装置に戻すことなく前記内部記憶部から消去するようにしたので、画像データが内部記憶部に残存することにより該画像データが当該画像読取装置等で不正に使用されるのを防止することができる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像読取装置において、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータが前記第2移転処理部により前記外部記憶装置に戻されると、前記外部記憶装置装着部から前記外部記憶装置が取り外されたか否かを検出する第2装着状態検出部と、他の通信装置との間で通信を行う通信部とを更に備え、前記通信部は、前記第2装着状態検出部により前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部から取り外されたことが検出されるまで、前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部に装着されている旨を前記他の通信装置に送信し、前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部に装着されている旨を報知するものである。
【0029】
この発明によれば、前記第2装着状態検出部により前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部から取り外されたことが検出されるまで、前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部に装着されている旨を前記他の通信装置に送信し、前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部に装着されている旨を報知するようにしたので、外部記憶装置の取り外しを忘れた場合であっても、外部記憶装置が外部記憶装置装着部に装着されたまま放置される状態が生じるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、読み取った原稿の画像データを外部記憶装置に格納するという利用形態で画像読取装置が利用される場合にも、外部記憶装置の取り外し忘れをできるだけ防止し、且つ、ユーザが外部記憶装置の取り外しを忘れた場合であっても、データが他人によって不正に使用されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る画像読取装置の一構成例の正面断面視の説明図である。
【図2】図1に示す画像読取装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】ログイン画面の一例を示す図である。
【図4】案内画面の一例を示す図である。
【図5】USBメモリの取り外し防止に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
【図6】USBメモリの取り外し防止に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る画像読取装置の実施形態につき図面を用いて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明に係る画像読取装置の一構成例の正面断面視の説明図である。なお、図1においてX−X方向を左右方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方という。
【0033】
図1に示す画像読取装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に、画像形成部12と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とが設けられている。排紙部15の一部(後述の胴内排紙トレイ151)は、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって形成され、これにより当該画像読取装置10が胴内排紙型と称されている。
【0034】
装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15の胴内排紙トレイ151を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物である。
【0035】
そして、下部本体111には、画像形成部12、定着部13及び用紙貯留部14が内装されているとともに、上部本体112には画像読取部16が装着されている。操作部17は、上部本体112の前縁部に設けられている。
【0036】
操作部17は、画像読取処理や画像形成処理に関する操作入力を受け付けるものであり、用紙Pの処理枚数等を入力するためのテンキーやその他の各種の操作キー171、さらにはタッチ入力を行うためのLCD(Liquid Crystal Display)を備えた表示部172、当該画像読取装置10の各部に要する電力供給のオンオフを行うための電源ボタン173等が設けられている。操作部17は、スキャン指示入力操作部、第1ユーザID入力操作部、第2ユーザID入力操作部及び取り外し入力操作部に相当するものである。
【0037】
用紙貯留部14は、下部本体111内における画像形成部12の直下方位置に設けられた挿脱可能な用紙カセット141と、この用紙カセット141のさらに下方位置に設けられた挿脱可能な大量の用紙(シート体)Pを貯留することができる大容量デッキ142とを有している。本実施形態においては、用紙カセット141は2段で設けられ、大容量デッキ142は2列で設けられている。用紙カセット141は2段設置可能とされており、一方はオプションとして追加できるようになっている。
【0038】
そして、画像形成処理が行われるに際し、用紙カセット141又は大容量デッキ142に貯留されている用紙束P1から用紙Pが給紙ローラ145,146により1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれて当該用紙Pに対して画像形成処理(印刷処理)が実行される。
【0039】
排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成された胴内排紙トレイ(スイッチバックトレイ)151と、装置本体11の外部に形成された胴外排紙トレイ(外部トレイ)152と、胴内排紙トレイ151の直上位置に設けられた胴内フィニッシャー153とを有している。画像形成部12から送り込まれたトナー画像転写済みの用紙Pは、連結部113内に設けられた搬出方向切換部20を介し、予め排出先が設定された胴内排紙トレイ151、胴外排紙トレイ152及び胴内フィニッシャー153のいずれかに向けて排出される。胴内フィニッシャー153は、排出された用紙Pに対してパンチング処理やステイプル処理等の後処理を施すものである。胴内排紙トレイ151には、排紙ローラ147により用紙が排出される。
【0040】
胴内排紙トレイ151は、単純に用紙Pの排出用に使用される他、用紙Pに対して両面印刷処理を施すに際し、表面側の印刷処理が完了した用紙Pに対して裏面側に印刷処理を施すべく、当該用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックトレイとしても利用される。すなわち、表面側の印刷処理が完了した用紙Pは、この胴内排紙トレイ151に一旦排出された後、今までの最後尾が最先端になった状態でスイッチバックされ、画像形成部12へ戻される。そして、片面印刷が完了している用紙Pは、画像形成部12で裏面側に印刷処理が施され、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0041】
画像読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、この原稿押さえカバー162に装着された原稿自動読取部163と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構164とを備えている。
【0042】
コンタクトガラス161上に載置され、あるいは原稿自動読取部163によってコンタクトガラス161上へ供給された原稿の画像は、走査機構164によってアナログ情報として読み取られたのちデジタル信号に変換されて後述する露光ユニット123へ向けて出力され、画像形成処理に供される。
【0043】
また、下部本体111の右面における用紙貯留部14の直上位置には手差しトレイ18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支軸181回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。かかる手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。このような手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、用紙縦搬送路101を介して後述の感光体ドラム121と転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
【0044】
また、下部本体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドアー19が設けられている。胴外排紙トレイ152は、このメンテナンスドアー19の上部位置に設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152及び胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
【0045】
画像形成部12には、上下方向の略中央部であって左寄りの位置に感光体ドラム121が設けられている。この感光体ドラム121は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転しながらその直ぐ右方位置に設けられた帯電ユニット122により周面が一様に帯電処理される。
【0046】
感光体ドラム121の右側位置には、画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づくレーザービームを感光体ドラム121の周面に照射する露光ユニット123が設けられている。そして、この露光ユニット123からのレーザービームの照射によって感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて感光体ドラム121の下方に設けられた現像ユニット124からトナーが供給され、これによって感光体ドラム121の周面に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。
【0047】
トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙カセット141又は大容量デッキ142から搬送されてきた用紙Pが、上下方向に延びた用紙縦搬送路101を上昇し、タイミングを取るためのレジストローラ対143を介して送り込まれる。このレジストローラ対143は、レジストセンサ222により用紙の先端が検出されると、回転が一旦停止され、感光体ドラム121の回転に合わせて回転が再開される。
【0048】
そして、感光体ドラム121へ到達した用紙Pには、左方で当該感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
【0049】
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄され、つぎの画像形成処理のために帯電ユニット122へ向かうことになる。
【0050】
定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた加熱ローラ131と、左方でこの加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、この定着ローラ132及び加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、左側でこの定着ベルト133の表面と対向配置された加圧ローラ134とを有している。そして、画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ベルト133と加圧ローラ134との間のニップ部を通過しながら加熱ローラ131の熱を定着ベルト133を介して受熱し、これによってトナー像の用紙Pに対する定着処理が実行される。
【0051】
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方に配置された搬出方向切換部20を介し、排紙搬送路102を通って胴外排紙トレイ152へ排出されたり、往復搬送路103を通って胴内排紙トレイ151へ排出されたり、さらには両面印刷のために往復搬送路103を通ってスイッチバックトレイとして兼用される胴内排紙トレイ151へ一時的に排出されたりする。
【0052】
そして、両面印刷の場合、往復搬送路103を介して前半部分が胴内排紙トレイ151に排紙された片面印刷処理済みの用紙Pは、メンテナンスドアー19内に設けられた上下方向に延びる逆送搬送路104を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0053】
メンテナンスドアー19には、逆送搬送路104の直ぐ右側に、右面が画像形成部12の左面に対向されるカバー部材191が設けられている。このカバー部材191は、メンテナンスドアー19の右面側に包持されている。そして、メンテナンスドアー19が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、カバー部材191の右面と画像形成部12の左面との間に用紙カセット141や大容量デッキ142、さらには手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための用紙縦搬送路101の一部が形成されている。
【0054】
図2は、図1に示す画像読取装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。画像読取装置10は、前記各部に加えて、内部記憶部210と、USB装着部23と、制御部200とを備えている。なお、図2では、用紙を搬送する各種ローラ等をまとめて搬送機構120として記載している。
【0055】
内部記憶部210は、例えばHDD(Hard Disc Drive)等からなり、画像読取部16により読み取られた画像データを記憶するものである。内部記憶部210は、当該画像読取装置10の使用者を識別するためのユーザIDをユーザ名と対応付けた形で予め記憶したユーザID記憶部211を有している。ユーザID記憶部211は、識別情報記憶部に相当する。
【0056】
USB装着部23は、USBメモリM(図1参照;外部記憶装置の一例)が差し込まれる部位であり、USBメモリMの端子と機械的・電気的に接続されるUSB端子231(外部記憶装置装着部の一例)を備える。
【0057】
制御部200は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ回路と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。制御部200には、画像読取部16、画像形成部12、定着部13、搬送機構120、操作部17、内部記憶部210及びUSB装着部23が接続されている。
【0058】
画像読取装置10は、ユーザIDによる認証処理を行った上で、ユーザによるジョブの入力を受け付ける。受け付けた入力が原稿読取動作を指示するものであり、且つ、該読取動作で得られた画像データの格納先がUSBメモリMに指定された場合、画像読取装置10は、画像読取部16による読取動作を実行し、該読取動作で得られた画像データをUSBメモリMに格納する。
【0059】
ここで、本実施形態では、画像データをUSBメモリMに格納すると、該USBメモリMが取り外し可能になるが、前記画像データをUSBメモリMに格納してから所定時間経過してもUSBメモリMが取り外されないときには、USBメモリMを取り外す作業の実施を促す案内画面を表示するとともに、データの安全性を考慮して、USBメモリM内の全てのデータを内部記憶部210に移転する。
【0060】
その後、画像読取装置10は、ユーザによりUSBメモリMを取り外す旨の意思が当該画像読取装置10に入力されると、前記認証を再度行った後、内部記憶部210に移転した画像データをUSBメモリMに戻す一方、USBメモリMを取り外す旨が当該画像読取装置10に入力されない場合には、内部記憶部210に移転した画像データをUSBメモリMに戻すことなく該内部記憶部210から消去する。
【0061】
このような処理を行うために、制御部200は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、USBメモリ装着検出部201と、表示制御部202と、認証処理部203と、ジョブ実行指示部204と、計時部205と、データ処理部206として機能するようになっている。
【0062】
USBメモリ装着検出部201は、USB装着部23にUSBメモリMが差し込まれているか否かを検出するものである。例えば、USBメモリMが前記USB装着部23に差し込まれると、USB端子231の電位が変化するように構成されており、USBメモリ装着検出部201は、USB端子231の電位変化の有無に基づいて、USB装着部23にUSBメモリMが差し込まれたか否かを検出する。USB装着部23及びUSBメモリ装着検出部201は、第1装着状態検出部及び第2装着状態検出部を構成する。
【0063】
表示制御部202は、後述する認証処理部203からの要求を受けて、当該画像読取装置10を利用する権利を有するユーザであることを示すユーザIDを入力するためのログイン画面や、前述のようにUSBメモリMの取り外しを促す前記案内画面などの各種画面を表示部172に表示させるものである。図3に前記ログイン画面の一例を示し、図4に前記案内画面の一例を示す。
【0064】
図3に示すように、ログイン画面G1は、ユーザIDの入力を促すメッセージM1と、操作部17により入力された文字や数字を表示するボックスB1とを有する。図4に示すように、案内画面G2は、USBメモリMが装着されたままであり、該USBメモリMを取り外す指示を示す旨のメッセージM2と、ログイン画面G1で入力したユーザIDに対応するユーザ名(図4では「AAA」というユーザ名)を表示する表示領域B2と、前記メッセージM2の内容や前記表示領域B2で表示されたユーザ名を当該ユーザ又は他のユーザが認識し、USB装着部23に装着されているUSBメモリMを取り外す旨を画像読取装置10に入力するための入力ボタンB3とを有する。
【0065】
図1に戻り、認証処理部203は、前記ログイン画面G1で入力されたユーザIDが、前記ユーザID記憶部211に予め登録されているユーザIDであるか否かを照合するものである。認証処理部203は、第1認証処理部及び第2認証処理部に相当する。また、第1ユーザID入力要求部及び第2ユーザID入力要求部は、認証処理部203、表示制御部202及び表示部172により構成されるものである。
【0066】
ジョブ実行指示部204は、操作部17により入力されたジョブ、例えば原稿の画像を読み取る読取動作や記録紙に画像を形成する画像形成動作等を当該画像読取装置10内の各部に実行させるものである。ジョブ実行指示部204は、スキャン実行指示部としての機能を有する。
【0067】
計時部205は、時間の計測動作を行うものであり、例えば、前記画像データをUSBメモリMに格納してから所定時間経過してもUSBメモリMが取り外されない場合に、USBメモリM内の全てのデータを内部記憶部210に移転するタイミングを図るための時間の計測動作や、内部記憶部210に移転したデータをUSBメモリMに戻すことなく該内部記憶部210から消去するタイミングを図るための時間の計測動作を行う。計時部205は、第1計時部及び第2計時部に相当する。
【0068】
データ処理部206は、USBメモリMと内部記憶部210との間でデータの移転処理を行ったり、内部記憶部210に移転されたデータの消去を行ったりするものである。データ処理部206は、格納部、第1移転処理部、第2移転処理部及び消去処理部に相当する。
【0069】
図5,図6は、USBメモリMの取り外し忘れ防止に係る制御部200の処理を示すフローチャートである。
【0070】
図5に示すように、画像読取装置10に対して何らかの操作があると(ステップ♯1でYES)、表示制御部202は、前記認証処理部203からの要求を受けて、図3に示すようなログイン画面G1を表示部172に表示させる(ステップ♯2)。
【0071】
認証処理部203は、このログイン画面G1においてユーザIDが入力されるまで待機し(ステップ♯3でNO)、入力されたユーザIDを受け付けると(ステップ♯3でYES)、そのユーザIDが前記ユーザID記憶部211に登録されているものであるか否かの照合を行う(ステップ♯4)。
【0072】
認証処理部203は、入力されたユーザIDが前記ユーザID記憶部211に登録されているものではないと判断した場合には(ステップ♯5でNO)、認証処理部203及び表示制御部202は、表示部172を用いてその旨を報知する処理を行い(ステップ♯6)、再度、適切なユーザIDを入力する機会を与えるべくステップ♯2の処理に戻る。
【0073】
一方、認証処理部203は、入力されたユーザIDが前記ユーザID記憶部211に登録されているものと一致したと判断した場合には(ステップ♯5でYES)、ジョブ実行指示部204は、ジョブの実行指示を待機する(ステップ♯7でNO)。
【0074】
ジョブ実行指示部204は、ジョブの実行指示を受け付けると(ステップ♯7でYES)、そのジョブがスキャン(画像読取)動作であるか否かを判断する(ステップ♯8)。
【0075】
ジョブ実行指示部204は、そのジョブがスキャン(画像読取)動作以外のジョブであると判断すると(ステップ♯8でNO)、そのジョブの種類に応じた動作を画像形成装置10内の各部に実行させる一方(ステップ♯9)、前記ジョブがスキャン(画像読取)動作であると判断すると(ステップ♯8でYES)、そのスキャン動作により読み取った画像データの格納先としてUSBメモリMが指定されたか否かを判断する(ステップ♯10)。
【0076】
ジョブ実行指示部204は、スキャン動作により読み取った画像データの格納先としてUSBメモリM以外の格納先(内部記憶部210)が指定されたと判断すると(ステップ♯10でNO)、スキャン動作を画像読取部16に行わせ、該読取動作で得られた画像データをその格納先に格納する処理を前記画像読取部16に行わせる(ステップ♯9)。
【0077】
一方、ジョブ実行指示部204は、スキャン動作により読み取った画像データの格納先としてUSBメモリMが指定されたと判断すると(ステップ♯10でYES)、USBメモリ装着検出部201は、USBメモリMがUSB装着部23に装着されているか否かを判断する(ステップ♯11)。表示制御部202は、USBメモリMがUSB装着部23に装着されていない場合には(ステップ♯11でNO)、その旨を報知する一方(ステップ♯12)、USBメモリMがUSB装着部23に装着されている場合には(ステップ♯11でYES)、スキャン動作を画像読取部16に行わせ、該読取動作で得られた画像データをUSBメモリMに格納する処理を前記画像読取部16に行わせる(ステップ♯13)。そして、計時部205は、時間の計測動作を開始する。
【0078】
ステップ♯13の処理後、図6に示すように、USBメモリ装着検出部201は、前記計時部205により、画像データをUSBメモリMに格納してから所定時間が計時されたか否かを判断し(ステップ♯14)、画像データをUSBメモリMに格納してから所定時間が計時されたと判断すると(ステップ♯14でYES)、計時部205は計時動作を止めてリセットし、USBメモリ装着検出部201は、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されているか否かを判断する(ステップ♯15)。
【0079】
USBメモリ装着検出部201は、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されていると判断した場合には(ステップ♯15でYES)、制御部200は一連の処理を終了する一方、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されていないと判断した場合には(ステップ♯15でNO)、表示制御部202は、USBメモリMの取り外しを促す図4に示すような案内画面G2を表示部172に表示し、認証処理部203は、ログアウト処理を行い、データ処理部206は、USBメモリM内の全てのデータを該USBメモリMから内部記憶部210に移転する(ステップ♯16)。ここで、計時部205は、再び、時間の計測動作を開始する。ログアウト処理は、ステップ♯4でユーザIDの認証を受けたユーザ以外のユーザによる操作の他、前記認証を受けたユーザが再度ユーザIDの認証を受けないと画像形成装置10に対する操作も該装置10に受け付けられないようにする処理である。
【0080】
次に、データ処理部206は、USBメモリMがUSB装着部23から取り外す旨の入力が前記案内画面G2の前記入力ボタンB3が操作されたか否かを一定周期で検出し(ステップ♯17)、前記入力ボタンB3が操作されていないと判断した場合には(ステップ♯17でNO)、前記計時部205により、データを内部記憶部210に移転してから所定時間が計時されたか否かを判断する(ステップ♯18)。
【0081】
データ処理部206は、データを内部記憶部210に移転してから所定時間が計時されていないと判断した場合には(ステップ♯18でNO)、ステップ♯17の処理に戻る一方、データを内部記憶部210に移転してから所定時間が計時されたと判断した場合には(ステップ♯18でYES)、USBメモリMから内部記憶部210に移転されたデータを、前記USBメモリMに戻すことなく全て消去し(ステップ♯19)、表示制御部202は、前記案内画面G2の表示を終了させる(ステップ♯20)。
【0082】
ステップ♯17において、表示制御部202は、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されたと判断した場合には(ステップ♯17でYES)、前記認証処理部203からの要求を受けて、図3に示すようなログイン画面G1を表示部172に表示させる(ステップ♯21)。認証処理部203は、このログイン画面G1においてユーザIDが入力されるまで待機し(ステップ♯22でNO)、ユーザIDが入力されると(ステップ♯22でYES)、今回実行されたスキャン処理を当該画像読取装置で実行させるにあたって認証の対象となったユーザID(ステップ♯4で照合されたユーザID)であるか否かの照合を行う(ステップ♯23)。
【0083】
認証処理部203は、入力されたユーザIDが先に行われた認証の対象となったユーザIDではないと判断した場合には(ステップ♯24でNO)、認証処理部203及び表示制御部202は、表示部172を用いてその旨を報知する処理を行い(ステップ♯25)、再度、適切なユーザIDを入力する機会を与えるべくステップ♯21の処理に戻る。
【0084】
一方、認証処理部203は、入力されたユーザIDが、先に行われた認証の対象となったユーザIDであると判断した場合には(ステップ♯24でYES)、データ処理部206は、USBメモリMから内部記憶部210に移転されたデータを前記USBメモリMに戻し(ステップ♯26)、表示制御部202は、USBメモリMの取り外しを許可する旨のメッセージを表示部172に表示させる(ステップ♯27)。
【0085】
そして、USBメモリ装着検出部201は、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されたか否かを判断し(ステップ♯28)、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されていないと判断した場合には(ステップ♯28でNO)、認証処理部203は、ログイン禁止処理を行った後(ステップ♯29)、ステップ♯27の処理に戻る。ログインの禁止処理は、例えば、ログイン画面G1を表示するが、認証処理部203がユーザIDの入力を受け付けない処理や、認証処理部203が受け付けたユーザIDの照合を行わない処理が考えられる。このログインの禁止処理を行うことにより、他のユーザは、前記USBメモリMを前記USB装着部23から取り外すまでユーザIDの入力を行えなくなるから、他のユーザによって、USBメモリMがUSB装着部23から取り外される状況を作り出すことができる。
【0086】
一方、USBメモリ装着検出部201が、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されたと判断した場合には(ステップ♯28でYES)、表示制御部202は、前記メッセージの表示を終了させる(ステップ♯30)。
【0087】
このように、前記画像読取部16が読取動作で生成した画像データをUSBメモリMに格納してから所定時間が経過するまでの間にUSBメモリMが取り外されない場合は、USBメモリMを取り外す作業の実施を促す案内画面G2を表示するようにしたので、USBメモリMの取り外し忘れを抑制することができる。
【0088】
また、前記画像読取部16が前記画像データをUSBメモリMに格納してから所定時間が経過するまでの間にUSBメモリMが取り外されない場合は、該画像データをUSBメモリMから前記内部記憶部210に移転するようにしたので、仮に、ユーザが前記USBメモリMの取り外しを忘れたとしても、前記画像データが他人によって不正に使用されるのを防止することができる。
【0089】
また、前記データ処理部206によりUSBメモリMから内部記憶部210に移転された画像データは、操作部17で入力されたユーザ情報に対する前記認証処理部203の認証を受けるとUSBメモリMに戻されるようにしたので、ユーザは、読み取った原稿の画像データが保存されたUSBメモリMを得ることができる。
【0090】
また、前記画像データを前記データ処理部206によりUSBメモリMに戻すために、前記認証処理部203による認証を受けることを条件としたので、該画像データが他人によって勝手にUSBメモリMに戻されるのを防止することができる。
【0091】
また、データ処理部206が、USBメモリM内の全てのデータを該USBメモリMから内部記憶部210に移転してから所定時間内にUSBメモリMがUSB装着部23から取り外されなかった場合には、USBメモリMから内部記憶部210の移転されたデータを、前記USBメモリMに戻すことなく全て消去するようにしたので、前記画像データが内部記憶部210に残存することにより該画像データが当該画像読取装置10等で不正に使用されるのを防止することができる。
【0092】
また、USBメモリMの取り外しを許可する旨のメッセージを表示した後は、そのUSBメモリMが取り外されるまでログインができないようにしたので、他のユーザがUSBメモリMをUSB装着部23から取り外すように誘導することができ、USBメモリMの取り外しを忘れた場合であっても、USBメモリMがUSB装着部23に装着されたまま放置される状態が生じるのを回避することができる。
【0093】
以上により、画像読取部16の読取動作で得られた画像データをUSBメモリMに格納するという利用形態で画像読取装置10が利用される場合にも、該USBメモリMの取り外し忘れをできるだけ防止し、且つ、ユーザがUSBメモリMの取り外しを忘れた場合であっても、データが他人によって不正に使用されるのを防止することができる。
【0094】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて、次のような変形形態も採用可能である。
【0095】
(1)USBメモリMの取り外しを、前記案内画面G2の表示とともに音で報知するようにしてもよい。
【0096】
(2)本件における外部記憶装置は、USBメモリMに限定されず、SDカード等の記録媒体も含む。
【0097】
(3)画像読取装置10が他の通信装置との間で通信を行う通信部300(図2参照)を備えており、例えば、画像読取装置10が、当該画像読取装置10のユーザが使用しているパーソナルコンピュータと通信可能に接続されている場合において、図6に示すフローチャートのステップ♯28で、USBメモリ装着検出部201が、USBメモリMがUSB装着部23から取り外されていないと判断したときには(ステップ♯28でNO)、その旨を前記パーソナルコンピュータに送信し、該パーソナルコンピュータで、前記USBメモリMが前記USB装着部23に装着されている旨を報知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 画像読取装置
16 画像読取部
172 表示部
23 USB装着部
231 USB端子
200 制御部
201 USBメモリ装着検出部
202 表示制御部
203 認証処理部
204 ジョブ実行指示部
205 計時部
206 データ処理部
210 内部記憶部
211 ユーザID記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別するためのユーザIDとユーザ名とを対応付けて予め記憶する識別情報記憶部と、
前記識別情報記憶部に予め記憶されているユーザIDの入力を要求する第1ユーザID入力要求部と、
前記第1ユーザID入力要求部により入力が要求されたユーザIDを入力するための第1ユーザID入力操作部と、
前記第1ユーザID入力操作部により入力されたユーザIDと、前記識別情報記憶部により予め記憶されているユーザIDとが一致するか否かを判断し、前記両ユーザIDが一致するとき、その旨を示す認証信号を出力する第1認証処理部と、
外部記憶装置が装着される外部記憶装置装着部と、
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部の読取動作で得られた画像データを、前記外部記憶装置装着部に装着されている外部記憶装置に格納する格納部と、
前記第1認証処理部から前記認証信号が出力されると、前記画像読取部に前記原稿の画像を読み取らせ、該読取動作で得られた画像データを、前記外部記憶装置装着部に装着されている外部記憶装置に格納する処理を前記格納部に行わせるスキャン処理の実行指示が入力可能となるスキャン指示入力操作部と、
前記スキャン指示入力操作部により前記スキャン処理の実行指示が入力されると、該スキャン処理を、前記画像読取部及び前記格納部に実行させるスキャン実行指示部と、
データを記憶する内部記憶部と、
前記格納部により前記画像データが格納された時点から時間の計測動作を行う第1計時部と、
前記第1計時部により予め定められた時間が計時されると、前記外部記憶装置装着部に前記外部記憶装置が装着されているか否かを検出する第1装着状態検出部と、
前記第1装着状態検出部により前記外部記憶装置装着部に前記外部記憶装置が装着されていることが検出されると、前記格納部により前記外部記憶装置に格納されているデータを前記内部記憶部に移転する第1移転処理部と、
前記第1移転処理部によりデータが移転された時点から時間の計測動作を行う第2計時部と、
前記第1移転処理部によりデータが移転されると、前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力可能となる取り外し入力操作部と、
前記第2計時部により予め定められた時間が計時されるまでの間に前記取り外し入力操作部により前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力されると、前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDの入力を要求する第2ユーザID入力要求部と、
前記第2ユーザID入力要求部により入力が要求されたユーザIDを入力するための第2ユーザID入力操作部と、
前記第2ユーザID入力操作部により入力されたユーザIDと、前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDとが一致するか否かを判断し、前記両ユーザIDが一致するとき、その旨を示す認証信号を出力する第2認証処理部と、
前記第2認証処理部から前記認証信号を受信したとき、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータを前記外部記憶装置に戻す第2移転処理部と
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記第1移転処理部によりデータが移転されると、前記外部記憶装置装着部から前記外部記憶装置を取り外す作業の実施を促す案内画面を表示する案内画面表示部を更に備え、
前記案内画面は、予め定められた表示領域を前記取り外し入力操作部として備えるものである請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記案内画面表示部は、今回実行されたスキャン処理を当該画像読取装置で実行させるにあたって前記第1認証処理部により認証の対象となったユーザIDに対応するユーザ名を前記案内画面に表示する請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータが前記第2移転処理部により前記外部記憶装置に戻されると、前記外部記憶装置装着部から前記外部記憶装置が取り外されたか否かを検出する第2装着状態検出部を更に備え、
前記第1ユーザID入力要求部は、前記第2装着状態検出部により前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部から取り外されたことが検出されるまで、新たなユーザIDの入力を要求しない請求項2又は3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第2計時部により予め定められた時間が計時されるまでの間に前記取り外し入力操作部により前記外部記憶装置を前記外部記憶装置装着部から取り外す旨が入力されない場合、前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータを前記外部記憶装置に戻すことなく前記内部記憶部から消去する消去処理部を更に備える請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1移転処理部により前記内部記憶部に移転されたデータが前記第2移転処理部により前記外部記憶装置に戻されると、前記外部記憶装置装着部から前記外部記憶装置が取り外されたか否かを検出する第2装着状態検出部と、
他の通信装置との間で通信を行う通信部と
を更に備え、
前記通信部は、前記第2装着状態検出部により前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部から取り外されたことが検出されるまで、前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部に装着されている旨を前記他の通信装置に送信し、前記外部記憶装置が前記外部記憶装置装着部に装着されている旨を報知する請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−71651(P2011−71651A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219644(P2009−219644)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】