説明

画像読取装置

【課題】遮光壁のような高さのある部材を用いることなく、装置内に侵入する外光が読取手段へ到達するのを阻止可能な画像読取装置を提供すること。
【解決手段】イメージセンサ15を収容するスキャナ本体部5の筐体21の内側底面には、外光低減部23が設けられている。この外光低減部23は、筐体21の内側底面に一体的に形成されたもので、筐体21の内側底面に前後方向に延びる複数の溝を形成することで、前後方向に垂直な断面形状が鋸歯状となる外光低減部23が形成されている。このような外光低減部23を設けると、第二透明部13bから入射する外光がスキャナ本体部5の筐体21の内側底面に照射された際、その光が外光低減部23によってイメージセンサ15側とは異なる方向へと反射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像を読み取る読取手段として、一次元イメージセンサを備えた画像読取装置(例えば、イメージスキャナ装置、ファクシミリ装置、あるいは複合機など;以下、これらを総称して単に「画像読取装置」と称する。)が知られている。
【0003】
この種の画像読取装置では、一般に、イメージセンサで画像を読み取るのに先立ち、シェーディング補正と呼ばれる処理が行われる。このシェーディング補正では、一様な明るさと認識すべき基準画像(例えば、白色画像)がイメージセンサで実際に読み取られ、読み取った基準画像中の画素間にある明暗のばらつきを解消するための補正が行われる。
【0004】
ところで、このような画像読取装置に対し、装置外から比較的強い光(例えば、太陽光等;以下、外光という。)が当たる状況下では、装置内において各部を透過したり各部で反射したりした光が、イメージセンサの受光素子で検知される状態になることがある。このような状態になると、外光の影響により、適正なシェーディング補正を行うことができなくなることがある。
【0005】
このような外光の影響を排除するため、必要箇所に遮光壁を立設して、この遮光壁で外光を遮断する技術なども提案されている(例えば、特許文献1参照。)。下記特許文献1に記載の技術の場合、読取ガラスの原稿の無い部分から光学ユニット内に外光が入射するため、その対策として、光学ユニットのケース内の底面に遮光壁を立設してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−13636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、外光の侵入位置、ケース内の底面位置、及びイメージセンサの配設位置、これらの位置関係によっては、光を遮ることができるような位置に遮光壁を立設することが難しい場合がある。あるいは、装置内に可動部がある場合には、可動部との干渉を避ける都合上、光を遮ることができるような位置に遮光壁を立設することが困難なこともある。
【0008】
さらに、遮光壁を立設すること自体は可能でも、外光の侵入位置とイメージセンサの配設位置によっては、遮光壁の高さをかなり高くしないと光を遮ることが困難なことがある。この場合、高さのある遮光壁を設けたことが、画像読取装置の薄型化を妨げる要因になる、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、遮光壁のような高さのある部材を用いることなく、装置内に侵入する外光が読取手段へ到達するのを阻止可能な画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
本発明の画像読取装置は、透明な材料で形成され、画像の読取対象となる原稿が上面側に載置される第一透明部と、透明な材料で形成され、画像の読取対象となる原稿が原稿搬送手段によって搬送された際に、当該原稿が上面側に接触しつつ通過する状態になる第二透明部と、一軸方向を主走査方向、当該主走査方向に直行する方向を副走査方向として、前記主走査方向に沿って配列された複数の受光素子を有するとともに、前記副走査方向へ移動可能に構成されており、前記第一透明部の上面側に載置された原稿については、前記第一透明部の下方を前記第一透明部に沿って前記副走査方向へ移動しつつ画像を読み取り可能で、しかも、前記第二透明部の上面側に接触しつつ通過する原稿については、前記第二透明部の下方で静止して画像を読み取り可能な読取手段と、前記読取手段によって画像が読み取られる位置に配設され、前記読取手段によって読み取られる画像の色が基準となる白色として認識されることになる白基準部材と、前記読取手段を収容する筐体の内側底面に設けられており、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態で前記第二透明部を透過した外光が前記筐体の内側底面に照射された際に、当該内側底面に照射された光を前記読取手段には照射されない方向へと反射させるか、当該内側底面で吸収するか、当該内側底面を透過させることにより、前記筐体の内側底面で反射されて前記読取手段に照射されることとなる光を低減させる外光低減手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
このように構成された画像読取装置によれば、読取手段が白基準部材から画像を読み取る際、第二透明部を透過した外光が筐体の内側底面に照射されても、外光低減手段が、筐体の内側底面で反射されて読取手段に照射されることとなる光を低減させる。したがって、筐体の内側底面で反射された外光を受光素子で検知してしまうのを抑制でき、シェーディング補正などを行う際に外光による影響が出ることを軽減できる。
【0012】
また、この画像読取装置において、外光低減手段は、読取手段を収容する筐体の内側底面に設けられているので、例えば、遮光壁のような高さのある部材を用いる従来品とは異なり、外光低減手段の高さ方向寸法は格段に低くすることができる。したがって、このような外光低減手段であれば、画像読取装置の薄型化を妨げることがない。
【0013】
さらに、構造的にあるいはその他の事情で、遮光壁のような高さのある部材を設けることができない状況であっても、本発明でいう外光低減手段であれば設けることができる場合はあるので、その場合、本発明の構成は、遮光壁の代替手段として有益なものとなる。
【0014】
また、本発明の画像読取装置は、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動した際に前記読取手段が備える受光素子の直下となる第一位置から、前記第二透明部の直下となる第二位置に至る範囲のうちの一部又は全部を含む領域に、前記外光低減手段が設けられていると好ましい。
【0015】
このように構成された画像読取装置によれば、外光が第二透明部を透過した際、筐体の内側底面での反射光が読取手段へ到達しやすくなる領域に、外光低減手段が設けられているので、効果的に外光の反射を抑制できる。
【0016】
また、本発明の画像読取装置において、前記読取手段は、下面側が前記筐体の内側底面と対向する向きに配置される基板を有しており、当該基板の上面側に前記複数の受光素子が配列されるとともに、当該基板の下面側は、少なくとも一部が前記筐体内の空間に露出した状態にあり、前記外光低減手段は、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態で前記第二透明部を透過した外光が前記筐体の内側底面に照射された際に、前記筐体の内側底面で反射されて前記基板の前記露出した状態にある部分に照射されることとなる光を低減させるものであると好ましい。
【0017】
このように構成された画像読取装置によれば、外光低減手段によって、基板の露出した状態にある部分に照射されることとなる光を低減させるので、基板が光を透過する可能性のある材質で作られていても、そのような透過光を受光素子で検知してしまうのを抑制できる。
【0018】
また、本発明の画像読取装置において、前記読取手段は、前記基板を支持する支持体を有しており、前記基板の下面側は、少なくとも一部が前記支持体によって覆われる一方、残りの一部が前記筐体内の空間に露出した状態にあり、前記外光低減手段は、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態で前記第二透明部を透過した外光が前記筐体の内側底面に照射された際に、前記主走査方向について、前記筐体の内側底面で反射される光が前記基板の前記露出した状態にある部分に照射されることとなる範囲に設けられていると好ましい。
【0019】
このように構成された画像読取装置によれば、支持体によって基板が覆われていない箇所に対応付けて外光低減手段が設けてあるので、外光低減手段を無駄に主走査方向全体にわたって設けなくても済む。
【0020】
また、本発明の画像読取装置において、前記外光低減手段は、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態において、前記第二透明部の直下よりも前記読取手段から離間することとなる位置には設けられていないものであると好ましい。
【0021】
このように構成された画像読取装置によれば、第二透明部を透過した光が筐体の内側底面で反射したとしても、その反射光が読取手段に照射されない部分には、外光低減手段が設けられていないので、外光低減手段を無駄に広範囲にわたって設けなくても済む。
【0022】
また、本発明の画像読取装置において、前記外光低減手段は、前記筐体の内側底面に一体的に形成されていると好ましい。
このように構成された画像読取装置によれば、筐体の内側底面に別部材を配置しなくても、外光低減手段を構成できるので、画像読取装置の製造工程を簡略化することができる。
【0023】
また、本発明の画像読取装置において、前記外光低減手段は、前記筐体の内側底面に照射された光を、前記読取手段には照射されない方向へと反射させるか、当該内側底面で吸収する部材を、前記筐体の内側底面に付加することによって形成されていると好ましい。
【0024】
このように構成された画像読取装置によれば、筐体を形成する材料とは別材料の中から、光の反射又は吸収に適した材料を選択できるので、外光の低減効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】画像読取装置を備えた複合機を示す図であり、(a)は画像読取装置のサブトレイが閉じられた状態を示す斜視図、(b)は画像読取装置のサブトレイが開かれた状態を示す斜視図。
【図2】画像読取装置の縦断面図。
【図3】(a)は筐体内底面に縦断面鋸歯状の外光低減部が設けられた場合の光路を示す説明図、(b)は筐体内底面に外光低減部が設けられていない場合の光路を示す説明図。
【図4】(a)は筐体内底面に光を透過させる外光低減部が設けられた場合の光路を示す説明図、(b)は筐体内底面に光を吸収する外光低減部が設けられた場合の光路を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
[複合機の構造]
図1(a)及び同図(b)に示す複合機1は、画像読取装置としての機能(スキャン機能)に加え、その他の機能(例えば、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能など)を兼ね備えたものである。なお、以下の説明においては、複合機1が備える各部の相対的な位置関係をわかりやすく説明するため、図中に併記した上下左右前後の各方向を利用する。
【0027】
複合機1は、プリンタユニット2と、プリンタユニット2の上部に搭載されたスキャナユニット3を備えている。スキャナユニット3は、フラットベッド型イメージスキャナのカバー部分に自動原稿送り装置(Automatic Document Feeder;以下、ADFと略称する。)を備えた構造になっており、下側部分がスキャナ本体部5、上側部分がADF部6とされている。
【0028】
また、プリンタユニット2の前部上側には、利用者によって操作される操作パネル7が設けられている。また、操作パネル7の下方には、印刷後の被記録媒体を排出する排出口8が形成され、さらにその下方には、印刷前の被記録媒体が収納される給紙カセット9などが装着されている。
【0029】
これらのうち、スキャナユニット3は、スキャナユニット3の後端付近において左右方向へと延びる軸線を回動中心として、プリンタユニット2に対し回動可能な構造とされている。この回動に伴って、スキャナユニット3は、プリンタユニット2の上部開口を閉鎖する位置又は同上部開口を開放する位置へ変位可能となっている。
【0030】
ADF部6は、ADF部6の後端付近において左右方向へと延びる軸線を回動中心として、スキャナ本体部5に対し回動可能な構造とされている。この回動に伴って、ADF部6は、スキャナ本体部5の上面にある原稿載置面を覆う位置又は同原稿載置面を露出させる位置へ変位可能となっている。
【0031】
ADF部6には、図2中に破線で示す搬送経路に沿って、読取対象となる原稿を搬送する原稿搬送機構11が設けられている。この原稿搬送機構11は、動力源からの動力で駆動される複数の駆動ローラ、及び駆動ローラとの間に原稿を挟み込みつつ従動するピンチローラなどによって構成される。
【0032】
ADF部6の上面には、開閉式トレイ12が設けられている。この開閉式トレイ12は、図2中に二点鎖線の両端矢印で示したように、閉じられたときに開閉式トレイ12の右端となる部分付近において前後方向へと延びる軸線を回動中心として回動可能に構成されている。
【0033】
この開閉式トレイ12は、閉じられたとき(図1(a)参照。)には、ADF部6の上面側開口部を覆うカバーとして機能する。また、開閉式トレイ12が開かれたとき(図1(b)参照。)には、開閉式トレイ12は、原稿搬送機構11による搬送対象となる原稿が積載されるトレイとして機能し、また、原稿搬送機構11による搬送を終えた原稿が排出されるトレイとしても機能する。
【0034】
スキャナ本体部5の上面側には、図2に示すように、ガラス板13が配設されている。このガラス板13は、一部が、フラットベッド型イメージスキャナの原稿載置面を形成する第一透明部13aとして利用される。また、第一透明部13aとして利用される部分とは別の一部は、原稿搬送機構11によって原稿が搬送された際に、原稿が上面側に接触しつつ通過する状態になる第二透明部13bとして利用されている。
【0035】
ガラス板13の下方には、イメージセンサ15が設けられている。本実施形態において、イメージセンサ15としては、密着イメージセンサ(Contact Image Sensor)が利用されている。このイメージセンサ15は、前後方向を主走査方向、左右方向を副走査方向として、主走査方向に沿って配列された複数の受光素子を有するとともに、副走査方向へ移動可能に構成されている。
【0036】
第一透明部13aの上面側に載置された原稿の画像を読み取る場合、イメージセンサ15は、第一透明部13aの下方を第一透明部13aに沿って副走査方向へ移動しつつ、原稿の画像を読み取る。
【0037】
また、原稿搬送機構11によって搬送される原稿の画像を読み取る場合、イメージセンサ15は、第二透明部13bの下方で静止して、原稿が第二透明部13bの上面側に接触しつつ通過するときに、その原稿の画像を読み取る。なお、第二透明部13bの上方には原稿ホルダ17が配設され、上述の搬送経路を搬送される原稿は、原稿ホルダ17によってガラス板13側(第二透明部13b側)に押し当てられる。
【0038】
[外光低減部]
ガラス板13の上面側で、第一透明部13aと第二透明部13bの間となる位置には、シェーディング補正の際にイメージセンサ15によって読み取られる白基準部材19が設けられている。そして、イメージセンサ15を収容するスキャナ本体部5の筐体21の内側底面には、外光低減部23(本発明でいう外光低減手段の一例に相当。)が設けられている。
【0039】
本実施形態において、外光低減部23は、図3(a)に示すように、筐体21の内側底面に一体的に形成されたものである。より詳しくは、筐体21の内側底面に前後方向に延びる複数の溝を形成することで、前後方向に垂直な断面形状が鋸歯状となる外光低減部23が形成されている。
【0040】
また、本実施形態では、イメージセンサ15が白基準部材19から画像を読み取り可能な位置(図3(a)に示す位置。)へと移動した際に、イメージセンサ15が備える受光素子15aの直下となる第一位置31から、第二透明部13bの直下となる第二位置32に至る範囲33のうちの一部を含む領域に、外光低減部23が設けられている。なお、第二透明部13bの直下よりもイメージセンサ15から離間することとなる位置には、外光低減部23が設けられていない。
【0041】
このような外光低減部23を設けると、第二透明部13bから入射する外光がスキャナ本体部5の筐体21の内側底面に照射された際、その光が外光低減部23によってイメージセンサ15側とは異なる方向へと反射される(図3(a)中に破線で示す光路参照。)。
【0042】
第二透明部13bから外光が入射する状況としては、書籍などの原稿を第1透明部13a上に載せて、ADF部6を開いたままの状態で画像のスキャンやコピーを行う場合などが想定される。このような状況で、太陽光などの強い光が第二透明部13bから入射しても、外光低減部23が設けてあれば、外光低減部23に照射される光は、イメージセンサ15側とは異なる方向へと反射される。
【0043】
ちなみに、このような外光低減部23が設けられていない場合は、図3(b)に示すように、第二透明部13bから入射する外光がスキャナ本体部5の筐体21の内側底面に照射されると、その光がイメージセンサ15側へと反射されることがある(図3(b)中に破線で示す光路参照。)。このような反射光は、イメージセンサ15側の上方や下方から受光素子15aへと入射するおそれがある。
【0044】
より詳しくは、イメージセンサ15が備える受光素子15aは、プリント配線板15bの上側に実装されているため、上述のような反射光がプリント配線板15bの上方から到来すると、その光が受光素子15aに検知されることがある。
【0045】
また、イメージセンサ15が備えるプリント配線板15bの材質や厚さによっては、プリント配線板15bの下方から到来する光がプリント配線板15bを透過することもあり、この場合も、プリント配線板15bの上側に実装された受光素子15aに検知されることがある。
【0046】
特に、本実施形態で採用しているイメージセンサ15は、薄型化を図るため、プリント配線板15bが周縁部分で支持体15cに支持され、プリント配線板15bの下方に設けられる構造物が極力減らされている。
【0047】
そのため、プリント配線板15bの下面側は、一部が筐体21内の空間に露出した状態にあり、この露出部分に強い光が当たると、上述の通り、プリント配線板15bの下方から到来する光がプリント配線板15bを透過しやすい状況にある。
【0048】
このような外光の影響を受けた状態で、上述の白基準部材19を利用してシェーディング補正を行っても、適正な補正を行うことができない場合があり、その後の画像読み取りの際に、悪影響を及ぼすことになる。
【0049】
この点、図3(a)に例示したような外光低減部23が設けてあれば、第二透明部13bから入射する外光がスキャナ本体部5の筐体21の内側底面に照射されても、その反射光がイメージセンサ15に対して照射されるのを防止ないし抑制することができる。
【0050】
したがって、外光低減部23での反射光がイメージセンサ15の受光素子15aに検知されない状態で、上述の白基準部材19を利用したシェーディング補正を行うことができ、これにより、適正な補正を行うことができる。
【0051】
[効果]
以上説明したように、この複合機1は、上述のような外光低減部23が設けてあるので、第二透明部13bを透過した外光が筐体21の内側底面に照射されても、外光低減部23が、筐体21の内側底面で反射されてイメージセンサ15に照射されることとなる光を低減させる。
【0052】
したがって、筐体21の内側底面で反射された外光を受光素子15aで検知してしまうのを抑制でき、シェーディング補正などを行う際に外光による影響が出ることを軽減できる。
【0053】
また、この複合機1において、外光低減部23は、イメージセンサ15を収容する筐体21の内側底面に設けられているので、遮光壁のような高さのある部材を用いる従来品とは異なり、外光低減部23の高さ方向寸法は格段に低くすることができる。
【0054】
したがって、このような外光低減部23であれば、スキャナユニット3の薄型化を妨げることがなく、ひいては複合機1の薄型化を妨げることもない。
また、この複合機1の場合、イメージセンサ15が第二透明部13bの直下へ移動するという構造的な都合上、第二透明部13bの直下には、遮光壁のような高さのある部材を設けることが困難であるが、上記のような外光低減部23であれば、問題なく設けることができる。
【0055】
さらに、上記外光低減部23は、筐体21の成形時に金型で一体成形することができるので、筐体21の内側底面に別部材を配置しなくても、所期の外光低減部23を構成でき、別部材を設ける場合よりも製造工程を簡略化することができる。
【0056】
[変形例等]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、筐体21の内側底面に一体的に形成された外光低減部23を例示したが、筐体21の内側底面で反射する光を抑制できれば、外光低減部の具体的構造は、上記一例に限られるものではない。
【0058】
例えば、図4(a)に示すように、筐体21の内側底面に透明部材41を配設し、外光が筐体21の内側底面を透過することで、光がイメージセンサ15側へ反射しない構造とされていてもよい。あるいは、図4(b)に示すように、筐体21の内側底面に光を吸収する黒色部材43を配設し、外光が筐体21の内側底面で吸収されることで、光がイメージセンサ15側へ反射しない構造とされていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、特に言及しなかったが、上述のような外光低減部23は、イメージセンサ15の主走査方向について、全体にわたって設けられていてもよいし、部分的に設けられていてもよい。特に、イメージセンサ15の下側において、プリント配線板15bの一部が支持体15cに覆われ、残りの一部だけが露出している場合には、その露出した状態にある部分に対応する位置にだけ、外光低減部23が設けられていてもよい。このように構成すれば、外光低減部23を無駄に主走査方向全体にわたって設けなくても済む。
【0060】
また、上記実施形態においては、スキャナユニット3が、複合機1に組み込まれる事例を示したが、単機能のイメージスキャナ装置として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1・・・複合機、2・・・プリンタユニット、3・・・スキャナユニット、5・・・スキャナ本体部、6・・・ADF部、7・・・操作パネル、8・・・排出口、9・・・給紙カセット、11・・・原稿搬送機構、12・・・開閉式トレイ、13・・・ガラス板、13a・・・第一透明部、13b・・・第二透明部、15・・・イメージセンサ、15a・・・受光素子、15b・・・プリント配線板、15c・・・支持体、17・・・原稿ホルダ、19・・・白基準部材、21・・・筐体、23・・・外光低減部、41・・・透明部材、43・・・黒色部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な材料で形成され、画像の読取対象となる原稿が上面側に載置される第一透明部と、
透明な材料で形成され、画像の読取対象となる原稿が原稿搬送手段によって搬送された際に、当該原稿が上面側に接触しつつ通過する状態になる第二透明部と、
一軸方向を主走査方向、当該主走査方向に直行する方向を副走査方向として、前記主走査方向に沿って配列された複数の受光素子を有するとともに、前記副走査方向へ移動可能に構成されており、前記第一透明部の上面側に載置された原稿については、前記第一透明部の下方を前記第一透明部に沿って前記副走査方向へ移動しつつ画像を読み取り可能で、しかも、前記第二透明部の上面側に接触しつつ通過する原稿については、前記第二透明部の下方で静止して画像を読み取り可能な読取手段と、
前記読取手段によって画像が読み取られる位置に配設され、前記読取手段によって読み取られる画像の色が基準となる白色として認識されることになる白基準部材と、
前記読取手段を収容する筐体の内側底面に設けられており、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態で前記第二透明部を透過した外光が前記筐体の内側底面に照射された際に、当該内側底面に照射された光を前記読取手段には照射されない方向へと反射させるか、当該内側底面で吸収するか、当該内側底面を透過させることにより、前記筐体の内側底面で反射されて前記読取手段に照射されることとなる光を低減させる外光低減手段と
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動した際に前記読取手段が備える受光素子の直下となる第一位置から、前記第二透明部の直下となる第二位置に至る範囲のうちの一部又は全部を含む領域に、前記外光低減手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取手段は、下面側が前記筐体の内側底面と対向する向きに配置される基板を有しており、当該基板の上面側に前記複数の受光素子が配列されるとともに、当該基板の下面側は、少なくとも一部が前記筐体内の空間に露出した状態にあり、
前記外光低減手段は、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態で前記第二透明部を透過した外光が前記筐体の内側底面に照射された際に、前記筐体の内側底面で反射されて前記基板の前記露出した状態にある部分に照射されることとなる光を低減させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取手段は、前記基板を支持する支持体を有しており、
前記基板の下面側は、少なくとも一部が前記支持体によって覆われる一方、残りの一部が前記筐体内の空間に露出した状態にあり、
前記外光低減手段は、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態で前記第二透明部を透過した外光が前記筐体の内側底面に照射された際に、前記主走査方向について、前記筐体の内側底面で反射される光が前記基板の前記露出した状態にある部分に照射されることとなる範囲に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記外光低減手段は、前記読取手段が前記白基準部材から画像を読み取り可能な位置へと移動している状態において、前記第二透明部の直下よりも前記読取手段から離間することとなる位置には設けられていない
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記外光低減手段は、前記筐体の内側底面に一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記外光低減手段は、前記筐体の内側底面に照射された光を、前記読取手段には照射されない方向へと反射させるか、当該内側底面で吸収する部材を、前記筐体の内側底面に付加することによって形成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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