説明

画像読取装置

【課題】原稿台を覆うカバー部を開閉する開閉機構部の露出した露出部を、カバー部の開閉位置によらずに覆部材で覆う。
【解決手段】保護カバー300の凸部308がプラテンカバー50の端部50Aに当たり保護カバー300の自重による回転が止められる。そして、この凸部308がプラテンカバー50の端部50Aに当たって回転が止められた状態における保護カバー300の重心Gは回転軸232よりもプラテンカバー50から離れた位置となる。よって、保護カバー300の下端部は、プラテンカバー50の端部50A側に回転する力がかり、この力によって保護カバー300の凸部308が、端部50Aに付勢される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置本体上へヒンジを用いて上下回動可能に搭載する自動原稿送り装置において、前記ヒンジが前記上下回動時にできる隙間を塞ぐ遮蔽部材を備えることを特徴とする自動原稿送り装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−91794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、原稿台を覆うカバー部を開閉する開閉機構部の露出した露出部を、カバー部の開閉位置によらずに覆部材で覆うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上面部に原稿台が設けられ、前記原稿台上の原稿を読み取る読取部と、前記原稿台を覆うカバー部と、前記カバー部に取り付けられ横方向に突出する第一取付部と前記読取部に取り付けられ上方向に突出する第二取付部とを有し、前記第一取付部と前記第二取付部とが機構側回転軸を回転中心として回転することで、前記カバー部を前記原稿台が露出する開いた状態と前記原稿台を覆う閉じた状態とに開閉させる開閉機構部と、前記カバー部又は前記第一取付部に前記機構側回転軸に沿って配置された部材側回転軸を回転中心として回転自在に取り付けられ、前記第一取付部及び前記第二取付部における前記カバー部及び前記読取部から露出した露出部の少なくとも一部を覆う覆部材と、前記カバー部の開閉移動範囲内において、前記覆部材が前記露出部の少なくとも一部を覆うと共に、前記覆部材の自重による回転を前記覆部材の重心が前記部材側回転軸よりも前記カバー部から離れた位置にある状態で規制する回転規制手段と、を備える。
【0006】
請求項2の発明は、前記回転規制手段は前記覆部材の下端側に設けられ、前記カバー部が閉じた状態において前記カバー部に当たり前記覆部材の自重による回転を止める第一回転止部を有する。
【0007】
請求項3の発明は、前記回転規制手段は、前記覆部材の下端側に設けられ、前記カバー部が開いた状態において、前記第二取付部に当たり前記覆部材の自重による回転を止める第二回転止部を有する。
【0008】
請求項4の発明は、前記カバー部が閉じた状態において、前記覆部材の下端部が前記カバー部から離れる方向に回転すること防止する逆回転防止手段を備える。
【0009】
請求項5の発明は、前記覆部材に設けられた前記部材側回転軸の軸受部には、少なくとも開口側に向かって上側に傾斜した傾斜面が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、カバー部が閉じた状態でのみ覆部材が露出部を覆う構成と比較し、カバー部の開閉位置によらずに開閉機構の露出部の少なくとも一部を覆部材で覆うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、第一回転止部を有しない構成と比較し、カバー部が閉じた状態におけるカバー部と覆部材との隙間を容易に略一定とすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、カバー部が開いた状態における覆部材の自重による回転を、第二取付部以外の部位に当てて止める構成と比較し、機構を簡単にすることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、カバー部が閉じた状態における覆部材を回転させることによる露出部の露出を防止することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、軸受部に傾斜面が形成されてない構成と比較し、小さな力で覆部材が外れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である、
【図2】本実施形態に係る読取機構の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る開閉機構を示す回転軸方向に見た正面図である。
【図4】(A)はプラテンカバーが開いた状態における図3に示す開閉機構を示す斜視図であり、(B)は(A)の要部を拡大した拡大斜視図である。
【図5】図3に示す開閉機構を構成する保護カバーを示す斜視図である。
【図6】図5に示す保護カバーを示す(A)は正面図であり、(B)は(A)をB方向にした矢視図であり、(C)は(A)のC−C断面の断面図であり、(D)は(A)のD−D断面を示す軸受部の断面図である。
【図7】(プラテンカバーの開閉動作に伴う保護カバーの動きを示し、(A)はプラテンカバーが閉じた状態の図であり、(B)はプラテンカバーが約30°開いた状態の図であり、(C)はプラテンカバーが75°開いた状態の図である。
【図8】(A)は開閉機構のリンク機構を示す正面図であり、(B)は本等の厚い原稿が原稿台に置かれプラテンカバーが上側に移動した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
<本実施形態に係る画像形成装置の構成>
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、用紙等の記録媒体Pに画像を記録する画像記録装置110と、原稿の画像を読み取る画像読取装置10と、を備えている。画像読取装置10は、画像形成装置100の上部に配置され、画像記録装置110は、画像形成装置100の下部に配置されている。
【0018】
画像読取装置10は、原稿の画像を読み取り、その読み取った画像を画像信号に変換するようになっている。画像記録装置110は、画像読取装置10が変換した画像信号に基づいて記録媒体Pへ画像を記録可能とされている。
【0019】
<画像記録装置110の構成>
つぎに、画像記録装置110の構成について説明する。
【0020】
画像記録装置110は、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部120と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部123と、記録媒体収容部120から画像形成部123へ記録媒体Pを搬送する搬送部160と、画像形成部123によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置136と、定着装置136によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部140と、を備えている。
【0021】
画像形成部123は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される画像形成ユニット133Y、133M、133C、133Kと、画像形成ユニット133Y、133M、133C、133Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写体の一例としての中間転写ベルト113と、画像形成ユニット133Y、133M、133C、133Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト113に転写する一次転写部材の一例としての一次転写ロール115と、中間転写ベルト113に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写部材の一例としての二次転写ロール132と、を備えている。
【0022】
画像形成ユニット133Y、133M、133C、133Kは、形成される画像を保持する像保持体として、一方向(図1においてK方向)へ回転する感光体ドラム112をそれぞれ有している。
【0023】
各感光体ドラム112の周囲には、感光体ドラム112の回転方向上流側から順に、感光体ドラム112を帯電させる帯電装置114と、帯電した感光体ドラム112を露光して感光体ドラム112に静電潜像を形成する露光装置116と、感光体ドラム112に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置118と、トナー画像が中間転写ベルト113に転写された後の感光体ドラム112の表面に残留しているトナーを除去する除去装置144と、が設けられている。
【0024】
中間転写ベルト113は、二次転写ロール132に対向する対向ロール134及び支持ロール146によって支持され、感光体ドラム112と接触しながら一方向(図1において時計回り方向)へ循環移動するようになっている。
【0025】
一次転写ロール115は、中間転写ベルト113を挟んで、感光体ドラム112に対向している。一次転写ロール115と感光体ドラム112との間には、感光体ドラム112に形成されたトナー画像が中間転写ベルト113に一次転写される一次転写位置が形成される。
【0026】
二次転写ロール132は、中間転写ベルト113を挟んで対向ロール134と対向している。二次転写ロール132と対向ロール134との間には、中間転写ベルト113に一次転写されたトナー画像が記録媒体Pに二次転写される二次転写位置が形成される。
【0027】
搬送部160は、記録媒体収容部120に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール126と、送出ロール126によって送り出された記録媒体Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール対164と、を備えている。
【0028】
定着装置136は、二次転写位置より搬送方向下流側に配置されており、二次転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0029】
定着装置136よりも搬送方向下流側には、記録媒体Pを記録媒体排出部140へ排出する排出ロール対142が配置されている。
【0030】
<画像形成動作>
つぎに、本実施形態に係る画像形成装置における、画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0031】
本実施形態に係る画像記録装置110において、記録媒体Pへ画像を形成する場合は、まず記録媒体収容部120から送り出された記録媒体Pが、搬送ロール対164によって二次転写位置へ送り込まれる。
【0032】
一方、中間転写ベルト113には、画像形成ユニット133Y、133M、133C、133Kで形成された各色のトナー画像が重ねられて、カラー画像が形成される。二次転写位置へ送り込まれた記録媒体Pは、中間転写ベルト113に形成されたカラー画像が転写される。
【0033】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置136へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置136により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール対142により記録媒体排出部140へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0034】
なお、画像記録装置の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有さない直接転写型の画像記録装置でもよく、インクジェット方式による画像記録装置でもよく、上記以外の構成により画像が記録可能な画像記録装置としてもよい。
【0035】
<画像読取装置の構成>
次に、本実施形態に係る画像読取装置の構成を説明する。
【0036】
本実施形態に係る画像読取装置10は、搬送される原稿及び静止された原稿の両方を読み取ることが可能とされている。
【0037】
画像読取装置10は、図1と図2とに示すように、上面部に原稿台(プラテン)72が設けられ、原稿台72の上の原稿を読み取る読取部70と、原稿台72を覆うカバー部の一例としてのプラテンカバー50と、を有している。そして、プラテンカバー50は、開閉機構部200によって原稿台72を覆う閉じた状態(図1)と、原稿台72が露出する全開の状態(図2)と、の間を開閉する(図7も参照)。なお、本実施形態では、プラテンカバー50は、水平(原稿台72)に対して最大で75°の角度まで開くことができる。つまり、図2(及び図7(C))に示す全開の状態が75°である。
【0038】
プラテンカバー50は、原稿置台11に置かれた原稿を原稿排出部34に搬送する折り返し形状の搬送部37と、搬送路31を搬送された原稿が排出される原稿排出部34とを備えている。
【0039】
原稿置台11には、原稿置台11を上昇及び下降させる昇降装置12が設けられている。この昇降装置12は、原稿置台11に原稿が置かれると、その原稿が後述の送出ロール13に接触する位置まで原稿置台11を上昇させる。
【0040】
読取部70は、静止させた状態で画像が読み取られるべき原稿が載せられる透過部材の一例としての第1プラテンガラス72Aと、搬送される原稿へ照射される光を透過させる透過部材の一例としての第2プラテンガラス72Bと、を有する原稿台72を備えている。
【0041】
搬送部37は、原稿置台11から原稿を送り出す送出ロール13、原稿置台11から送り出された原稿が搬送される搬送路31と、搬送路31に沿って配置され原稿を下流側へ搬送する複数の搬送ロール14、搬送路31に配置され原稿台72を構成する第2プラテンガラス72Bに対向して配置された対向ロール19と、原稿排出部34へ原稿を排出させる排出ロール21とを備えている。対向ロール19は、搬送される原稿を第2プラテンガラス72Bに押し当てるようになっている。
【0042】
また、読取部70は、第1プラテンガラス72Aに沿って移動可能な第1移動体73及び第2移動体75を備えている。
【0043】
第1移動体73には、原稿に光を照射する光照射部74と、原稿で反射した反射光を受光する第1ミラー76Aとが設けられている。第2移動体75には、第1ミラー76Aから得られた光を導く第2ミラー76B及び第3ミラー76Cが設けられている。
【0044】
更に、読取部70は、第3ミラー76Cから得られた光学像を光学的に縮小する結像用レンズ77、結像用レンズ77によって結像された光学像を光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ78を備えている。CCDイメージセンサ78によって得られた画像信号は、処理装置80によって露光装置116(図1)へ送られるようになっている。
【0045】
ここで、まず、第1プラテンガラス72Aに載せられた原稿の画像を読み取る場合には、第1移動体73と第2移動体75とが、例えば、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。このとき、第1移動体73の光照射部74の光が原稿の被読み取り面に照射されると共に、その原稿からの反射光が第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cの順に反射されて結像用レンズ77に導かれる。結像用レンズ77に導かれた光は、CCDイメージセンサ78の受光面に結像される。CCDイメージセンサ78は1次元のセンサであり、1ライン分を同時に処理している。このライン方向(スキャンの主走査方向)の1ラインの読み取りが終了すると、主走査方向とは直交する方向(副走査方向)に第1移動体73を移動させ、原稿の次のラインを読み取る。これを原稿サイズ全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りを完了させる。
【0046】
一方、搬送部37によって搬送される原稿が第2プラテンガラス72Bの上を通過する。このとき、第1移動体73と第2移動体75とは、図1に示す実線の位置に停止した状態にある。まず、対向ロール19を経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cを経て結像用レンズ77にて結像され、CCDイメージセンサ78によって画像が読み込まれる。即ち、1次元のセンサであるCCDイメージセンサ78によって主走査方向の1ライン分を同時に処理した後、搬送部37によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。原稿の先端が第2プラテンガラス72Bの読み取り位置に到達した後、原稿が第2プラテンガラス72Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの読み取りが完了する。
【0047】
なお、読取部70としては、上記の構成に限られるものでなく、上記以外の構成により原稿の画像を読み取る構成としてもよい。
<開閉機構>
【0048】
図4に示すように、開閉機構部200は、プラテンカバー50の幅方向の両端部に設けられている。そして、図1と図2とに示すように、開閉機構部200は、原稿台72を覆う閉じた状態(図1)と、原稿台72が露出する全開の状態(図2)と、の間で開閉するヒンジ機能を有している(図7も参照)。更に、開閉機構200は、プラテンカバー50が予め定められた角度以上(本実施形態では30°以上、図7(B)を参照)に開かれたときに、重力によってプラテンカバー50が閉じようとする力に対抗する力をバネ等で発生させ、開いた状態で静止させるカウンターバランス機構を有している。なお、カウンターバランス機構は既存の機構(構造)と同様ものを利用しているので、詳しい説明を省略する。また、前述したように、本実施形態では、プラテンカバー50は、水平(原稿台72)に対して最大で75°の角度まで開くことができる(図2、及び図7(C)を参照)。
【0049】
なお、プラテンカバー50が閉じた状態(図1参照)における幅方向をY方向、鉛直方向をZ方向、Y方向とZ方向とに直交する方向をX方向とする。
【0050】
図3と図4とに示すように、開閉機構部200は、第一取付部210と第二取付部220とを有している。第一取付部210は、プラテンカバー50に取り付けられ、プラテンカバー50の端部50AからX方向(横方向)に突出する。第二取付部220は、読取部70に取り付けられ上面部70Aから鉛直方向上側に突出する。第一取付部210と第二取付部220とのそれぞれ突出方向の端部同士が重ねられ、Y方向を軸方向として配置された回転軸230(機構側回転軸の一例、図3を参照)を回転中心として回転可能に連結されている。そして第一取付部210と第二取付部220とが、回転軸230を回転中心として回転することで、プラテンカバー50が、原稿台72を覆う閉じた状態(図1)と原稿台72が露出する開いた状態(図2)とに開閉する。
【0051】
なお、本実施形態では、第一取付部210及び第二取付部220は金属製とされ、第一取付部210及び第二取付部220におけるプラテンカバー50及び読取部70から突出して露出する部位を露出部215とする。
【0052】
露出部215(第一取付部210)の上端部分は、プラテンカバー50の端部50Aと一体的に構成された庇(ひさし)部55によって覆われている。庇部55の上面部は、U字形状の切欠部57(図4参照)が形成されている。そして、切欠部57(図4参照)から、ドライバー等の工具を差し込み、プラテンカバー50の幅方向(Y方向)の両端部の高さを揃えるための調整ビス219(図4(B)参照)を回すことができるように構成されている。
【0053】
図3と図4とに示すように、庇部55及び露出部215の外側は、覆部材の一例としての保護カバー300によって覆われている。図3〜図6に示すように、保護カバー300は、プラテンカバー50側が開口され、底面が形成されていない略箱形状とされている。別の言い方をすると、保護カバー200は、プラテンカバー50側を開口側とする略溝形状とされ、上端側に天井面が形成された構成となっている。また、保護カバー300の幅方向両側壁の上端部分は、下側に向かってプラテンカバー50側に傾斜する傾斜部302が形成されている。そして、前述したように、保護カバー300の下端には側面(底面)が形成されておらず、略U字形の凹部304が形成されている。
【0054】
保護カバー300は、庇部55におけるプラテンカバー50の端部50Aの近傍に設けられた回転軸232(部材側回転軸の一例)を回転中心として回転自在に設けられている。また、回転軸232は、Y方向を軸方向として配置されている。なお、第一取付部210及び第二取付部220の回転軸230よりも、保護カバー300の回転軸232の方が、プラテンカバー50側、且つ鉛直方向上側に配置されている。
【0055】
保護カバー300の下端部には、プラテンカバー50側に凸となった凸部308が形成されている。図3に示すように、プラテンカバー50が閉じた状態において(図1参照)、凸部308がプラテンカバー50の端部50Aに当たり、保護カバー300の自重による回転軸232回りの回転が止められる。そして、この凸部308がプラテンカバー50の端部50Aに当たって回転が止められた状態における保護カバー300は、露出部215を覆うと共に、重心Gが回転軸232よりもプラテンカバー50からX方向に離れた位置となるように構成されている。
【0056】
また、図7に示すように、プラテンカバー50が開かれ、プラテンカバー50が回転軸230回りに回転し、端部50Aが移動すると、それに伴い保護カバー300が自重で回転する。しかし、保護カバー300の凹部304の底辺部306が、第二取付部220の端部220Aに当たり、保護カバー300の自重による回転軸232回りの回転が止まる。そして、保護カバー300が第二取付部220に当たって回転が止まった状態における保護カバー300、露出部215を覆うと共に、重心Gが回転軸232よりもプラテンカバー50からX方向に離れた位置となるように構成されている。
【0057】
なお、プラテンカバー50が全開した状態であっても、保護カバー300の幅方向両側壁の上端部分には傾斜部302が形成されているので、プラテンカバー50の端部50Aと保護カバー300の上端部とが干渉しないように構成されている。
【0058】
また、図7(A)のプラテンカバー50が閉じた状態と図7(C)のプラテンカバー50が全開した状態とで、保護カバー300の回転軸232の高さが同じか、図7(C)の方が高くなるように構成されている。
【0059】
図3〜図6に示すように、保護カバー300の下端部には鉛直方向下側に突起する突起部312が形成されている。また、図3に示すように、プラテンカバー50が閉じた状態で、保護カバー300の凸部308が端部50Aに当たった閉じた状態において、原稿台72の上面部72Aにおける突起部312よりも端部50Aから離れた位置に、突起部212が形成されている。そして、保護カバー300が回転軸232回りに自重による回転と逆方向に回転すると、突起部312が突起部212に干渉するように構成されている。
【0060】
図6(B)と図6(D)とに示すように、保護カバー300の側壁316の内壁面には、回転軸232を受ける軸受部320が形成されている。軸受部320の中心部には凹部322が形成され、この凹部322に回転軸232が係合することで、保護カバー300が回転自在に取り付けられている。凹部322の内壁は傾斜面322Aが形成され、凹部322の底に行くほど径が小さくなり(すぼまり)、開口側(軸が外れる方向)に行くほど径が大きくなる。
【0061】
なお、保護カバー300は樹脂製である。よって、保護カバー300の側壁316をY方向外側に弾性変形させて、回転軸232を軸受部320の凹部322に係合させることができるように構成されている。
【0062】
図8に示すように、本実施形態では、開閉機構部200には、第三取付部500が備えられている。第三取付部500は、前述した回転軸230とプラテンカバー50の中に設けられた回転軸510とに対して、それぞれ回転自在に設けられたリンク機構となっている。また、側面視において(回転軸230の軸方向に見て)、第三取付部500は第一取付部210よりも小さい。
【0063】
<作用及び効果>
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0064】
図3及び図7(A)に示すように、プラテンカバー50が閉じた状態において(図1参照)、凸部308がプラテンカバー50の端部50Aに当たり保護カバー300の自重による回転が止められる。そして、この凸部308がプラテンカバー50の端部50Aに当たって回転が止められた状態における保護カバー300の重心Gは回転軸232よりもプラテンカバー50から離れた位置となる。よって、保護カバー300の下端部は、プラテンカバー50の端部50A側に回転しようとする回転力Fがかり、この回転力Fによって保護カバー300の凸部308が、端部50Aに付勢されると共に、位置決めされる。
【0065】
プラテンカバー50が開かれ(図2参照)、図4、図7(B)、図7(C)に示すように、プラテンカバー50の端部50Aが移動すると、それに伴い保護カバー300が自重により回転する。しかし、保護カバー300の凹部304の底辺部306が、第二取付部220の端部220Aに当たり保護カバー300の自重による回転が止まる。そして、保護カバー300が第二取付部220に当たって回転が止まった状態における保護カバー300の重心Gは回転軸232よりもプラテンカバー50から離れた位置となる。よって、保護カバー300の下端部は、プラテンカバー50の端部50A側に回転しようとする回転力Fがかり、この回転力Fによって保護カバー300が第二取付部220に付勢されると共に、位置決めされる。
【0066】
このように、例えば、ばね等の付勢手段を設けることなく、保護カバー300の自重(回転力F)によって回転を止める部材に付勢される。そして、(プラテンカバー50の開閉移動範囲内において)プラテンカバー50の開閉位置によることなく、第一取付部210及び第二取付部220におけるプラテンカバー50及び読取部70から突出して露出する露出部215を保護カバー300で覆う位置に位置決めされる。よって、例えば、プラテンカバー50が閉じた状態でのみ露出部を覆うような構成と比較し、見栄えが良い。
【0067】
なお、プラテンカバー50が全開した状態であっても、保護カバー300の幅方向両側壁の上端部分には傾斜部302が形成されているので、プラテンカバー50の端部50Aと保護カバー300の上端部とが干渉しない。
【0068】
図3に示すように、保護カバー300の回転軸232はプラテンカバー50の端部50Aの近傍に設けられている。よって、回転軸232がプラテンカバー50の端部50から離れている構成と比較し、保護カバー300とプラテンカバー50の端部50Aとの隙間Lが小さくなる。また、プラテンカバー50の端部50Aには、保護カバー300のプラテンカバー50側に突起した凸部308が当たるので、隙間LがY方向に略一定となる。つまり、保護カバー300の凸部308が無い場合(下端が直接当たる構成)は、間隔Lは下側に行くほど狭くなる。そして、このように隙間Lが小さく略一定である構成は、隙間Lが大きく一定でない構成と比較し、見栄えが良い。
【0069】
また、プラテンカバー50が開いた状態における保護カバー300の自重による回転を、第二取付部220に当てて回転を止めているので、別に回転を止める部材を設ける構成と比較し、構造が簡単である。
【0070】
また、プラテンカバー50が閉じた状態で、保護カバー300の凸部308が端部50Aに当たった閉じた状態において、原稿台72の上面部72Aにおける突起部312よりも端部50Aから離れた位置に、突起部212が形成されている。したがって、保護カバー300が、自重に回転方向と逆方向に回転させようとすると、保護カバー300の突起部312が原稿台72側の突起部212に当たり、これ以上回転しない。よって、保護カバー300が逆方向に回転することによる開閉機構部200の露出部215の露出が防止又は抑制される。
【0071】
図6に示すように、保護カバー300の側壁316の軸受部320の凹部322には傾斜面322Aが形成されており、凹部322の開口側に行くほど径が大きくなる。よって、凹部332に傾斜面322Aが形成されていない場合よりも、小さな力で保護カバー300が外れる。そして、傾斜面232A形成されていない比較例においては保護カバーが破損するような大きな力(予め定められた閾値よりも大きな力が)加わると、保護カバー300が外れるように傾斜面332Aを設定することで、保護カバー300の破損が防止される。
【0072】
なお、図7に示すように、本実施形態では、プラテンカバー50の開閉動作に伴い保護カバー300の回転軸232は上下動する。よって、図7(B)に示すように、回転軸232の移動に伴って保護カバー300が上昇し、読取部70の上面部70Aとの隙間が大きくなる。そして、仮にこのように隙間が大きくなった状態で、この隙間に物が挟まり、開閉動作を続けると、保護カバー300に上方に大きな力が加わる。しかし、上述したように、保護カバー300が容易に外れる。したがって、保護カバー300の破損が防止される。なお、このように隙間に物が挟まった場合は、保護カバー300には上側に大きな力がかかるので、凹部322の上面側のみに傾斜面を形成してもよい。
【0073】
ここで、本実施形態では、図8に示すように、開閉機構部200は、第三取付部500によるリンク機構を備えている。よって、図8(B)に示すように、原稿台72に厚みのある原稿(本など)GKを置いて読み取ろうとするときに、プラテンカバー50全体を上方へ平行移動させることができる。そして、このようにプラテンカバー50が上方へ移動しても、保護カバー300も上方に移動するが、保護カバー300が開閉機構部200の露出部215を覆い見栄えがよい。なお、この場合も、保護カバー300が上昇し、読取部70の上面部70Aとの隙間が大きくなり、仮にこの隙間に物が挟まっても、上述したように、保護カバー300が容易に外れるので、保護カバー300の破損が防止される。
【0074】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0075】
例えば、上記実施形態では、プラテンカバー50が閉じた状態において(図1参照)、凸部308がプラテンカバー50の端部50Aに当たり保護カバー300の自重による回転が止められていたが、これに限定されない。例えば、プラテンカバー50が開かれた状態と同じように、保護カバー300の凹部304の底辺部306が、第二取付部220の端部220Aに当たり保護カバー300の自重による回転が止まるように構成されていてもよい。つまり、ラテンカバー50が閉じた状態でも開いた状態でも保護カバー300の凹部304の底辺部306が、第二取付部220の端部220Aに当たり保護カバー300の自重による回転が止まるように構成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、開閉機構200の露出部215(第一取付部210)の上端部分は、プラテンカバー50の端部50Aと一体的に構成された庇(ひさし)部55によって覆われていたが、これに限定されない。庇部55が無い構成であってもよい。なお、庇部55が無い場合、保護カバー300の回転軸232は、開閉機構200を構成する第一取付部210に設けられる。
【0077】
また、上記実施形態では、保護部カバー300(覆部材の一例)は、露出部215の略全部を覆うと共に、プラテンカバー50(カバー部の一例)の開閉移動範囲内において露出部215の略全部を覆うように構成されていたが、これに限定されない。保護部カバー300(覆部材の一例)は、露出部215の少なくとも一部を覆うと共に、プラテンカバー50(カバー部の一例)の開閉移動範囲内において露出部215の少なくとも一部を覆うように構成されていていればよい。
【0078】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10 画像読取装置
50 プラテンカバー(カバー部の一例)
70 読取部
70A 上面部
72 原稿台
200 開閉機構部
210 第一取付部
215 露出部
220 第二取付部
222 突起部(逆回転防止手段の一例)
230 回転軸(機構側回転軸の一例)
232 回転軸(部材側回転軸の一例)
300 保護カバー(覆部材の一例)
306 底辺部(第二回転止部の一例、回転規制手段の一例)
308 凸部(第一回転止部の一例、回転規制手段の一例)
312 突起部(逆回転防止手段の一例)
322A 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面部に原稿台が設けられ、前記原稿台上の原稿を読み取る読取部と、
前記原稿台を覆うカバー部と、
前記カバー部に取り付けられ横方向に突出する第一取付部と前記読取部に取り付けられ上方向に突出する第二取付部とを有し、前記第一取付部と前記第二取付部とが機構側回転軸を回転中心として回転することで、前記カバー部を前記原稿台が露出する開いた状態と前記原稿台を覆う閉じた状態とに開閉させる開閉機構部と、
前記カバー部又は前記第一取付部に前記機構側回転軸に沿って配置された部材側回転軸を回転中心として回転自在に取り付けられ、前記第一取付部及び前記第二取付部における前記カバー部及び前記読取部から露出した露出部の少なくとも一部を覆う覆部材と、
前記カバー部の開閉移動範囲内において、前記覆部材が前記露出部の少なくとも一部を覆うと共に、前記覆部材の自重による回転を前記覆部材の重心が前記部材側回転軸よりも前記カバー部から離れた位置にある状態で規制する回転規制手段と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記回転規制手段は前記覆部材の下端側に設けられ、前記カバー部が閉じた状態において前記カバー部に当たり前記覆部材の自重による回転を止める第一回転止部を有する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記回転規制手段は、前記覆部材の下端側に設けられ、前記カバー部が開いた状態において、前記第二取付部に当たり前記覆部材の自重による回転を止める第二回転止部を有する請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記カバー部が閉じた状態において、前記覆部材の下端部が前記カバー部から離れる方向に回転すること防止する逆回転防止手段を備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記覆部材に設けられた前記部材側回転軸の軸受部には、少なくとも開口側に向かって上側に傾斜した傾斜面が形成されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−80060(P2013−80060A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219468(P2011−219468)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】