説明

画像送信プログラム、サーバおよび画像送信方法

【課題】クライアントでの表示操作に対して、レスポンススピードを向上し、ユーザの操作ストレスを解消できる画像送信プログラム、サーバおよび画像送信方法を提供する。
【解決手段】サーバ100で管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアント900へ送信する画像送信プログラムであって、特定のクライアント900に対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、表示されるグラフ画像の関連情報に基づいて決定する重要度決定処理と、特定のクライアント900から受信した初期画像の表示要求に対して、決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を特定のクライアント900へ送信する送信処理と、をサーバ100のコンピュータに実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアントへ送信する画像送信プログラム、サーバおよび画像送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上部に多段階の時間軸(例えば、年単位・月単位・日単位)を表示し、(図13参照)下部に診療行為(オブジェクト)が表示される電子カルテシステムが知られている。図13は、従来の電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。図13において、表示画面の左側に医療行為の項目(病名・投薬・診断・検査等)が並んで表示されている。そして、各項目表示の右側に実際に行なわれた行為の記録が、一定の時間幅をもって表示されている。ユーザは上部の時間軸を選択することで、任意の尺度での情報俯瞰が可能となり、表示画面上で任意の時間にジャンプすることができる。
【0003】
また任意の項目をピックアップし、それぞれを最適な時間スケールで見ることにより、一見ランダムに見える時系列データである医療情報の因果関係の推定等をすることができる。このスケールの変換を指の操作(例えばピンチイン・アウト)によって行なうことで、より直感的にスケールを切り替えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−192002号公報
【特許文献2】特開2009−134713号公報
【特許文献3】特開2009−282557号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】電子情報通信学会 Vol.100、P50〜P60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような電子カルテシステムで取り扱う患者に対する医療行為のデータは極めて大量である。例えば、糖尿病患者の場合、1日あたり数十にもわたる投薬や検査を行なう。そのため全体の行為項目数は数百におよび、それらが経過観察期間である数十年単位にわたって続く。
【0007】
このような膨大なデータを処理して行なうグラフ描画は、クライアントに比べて計算能力の高いサーバにより行なう方が効率が高く、ユーザは高速な閲覧が可能となる。しかしながら、クライアントでの表示操作を頻繁に行なう場合には、上記のようにサーバで逐次グラフを描画して送ると、レスポンススピードが低下してしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、クライアントでの表示操作に対して、レスポンススピードを向上し、ユーザの操作ストレスを解消できる画像送信プログラム、サーバおよび画像送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の画像送信プログラムは、サーバで管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアントへ送信する画像送信プログラムであって、特定のクライアントに対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、前記表示されるグラフ画像の関連情報に基づいて決定する重要度決定処理と、前記特定のクライアントから受信した初期画像の表示要求に対して、前記決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を前記特定のクライアントへ送信する送信処理と、をサーバのコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0010】
このように、本発明の画像送信プログラムは、たとえば特定のクライアントから初期画像の表示要求をサーバが受けたときに、サーバはそのクライアントを使うユーザの患者データに基づき、そのユーザにとって重要なグラフ画像を予め伝送する。これにより、素早くグラフ画像を表示することができユーザの操作ストレスを軽減することができる。
【0011】
(2)また、本発明の画像送信プログラムは、前記重要度に基づいて選択された複数のグラフ画像をパッキングして送信することを特徴としている。これにより、重要度の高い複数のグラフ画像をクライアントに初期表示として表示することができる。その結果、ユーザは重要性の高い画面をストレスなく見ることができる。
【0012】
(3)また、本発明の画像送信プログラムは、前記表示されるグラフ画像の時間幅と前記医療行為としてのSOAP情報の記録の記録時刻とから、1つのグラフ画像の時間幅に含まれるSOAP情報の数をカウントし、前記カウントされたSOAP情報の数に基づいて、前記重要度を決定することを特徴としている。これにより、SOAP情報の記録頻度の高い時間のグラフの重要度を高く評価し、クライアントに初期表示として表示することができる。なお、医療行為としてのSOAP情報の記録の記録時刻とは、サーバで管理されるSOAP情報の記録時刻であって、医療行為の項目に対して、実際に行なわれた行為の記録を一定の時間幅で表示するタイムラインシステム上の記録時刻である。
【0013】
(4)また、本発明の画像送信プログラムは、前記記録されたSOAP情報を形態素解析し、前記形態素解析により分解された単語のうち所定種類の単語数をカウントし、前記カウントされた単語数に基づいて前記重要度を決定することを特徴としている。これにより、たとえば重要な医学用語が頻繁に登場するSOAP情報を重視して、重要度を決定することができる。
【0014】
(5)また、本発明の画像送信プログラムは、前記記録されたSOAP情報を形態素解析し、前記形態素解析により分解された単語の情報量を算出し、前記情報量の和に基づいて前記重要度を決定することを特徴としている。これにより、多くの有効な情報が書き込まれたSOAP情報を重視して、重要度を決定することができる。
【0015】
(6)また、本発明の画像送信プログラムは、前記特定のクライアントで表示されるグラフ画像の直近の表示時刻および項目により重要度を決定することを特徴としている。これにより、ユーザが最近見た関心の高いグラフ画像を重要な画像として選択するため、ユーザは、関心の高い画面をストレスなく見ることができる。
【0016】
(7)また、本発明のサーバは、管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアントへ送信するサーバであって、特定のクライアントに対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、前記表示されるグラフ画像の関連情報に基づいて決定する重要度決定部と、前記特定のクライアントから受信した初期画像の表示要求に対して、前記決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を前記特定のクライアントへ送信する送信部と、を備えることを特徴としている。
【0017】
このように、サーバがそのクライアントを使うユーザの患者データに基づき、そのユーザにとって重要なグラフ画像を予め伝送するため、素早くグラフ画像を表示することができユーザの操作ストレスを軽減することができる。
【0018】
(8)また、本発明の画像送信方法は、サーバで管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアントへ送信する画像送信方法であって、特定のクライアントに対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、前記表示されるグラフ画像の関連情報に基づいて決定する重要度決定ステップと、前記特定のクライアントから受信した初期画像の表示要求に対して、前記決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を前記特定のクライアントへ送信する送信ステップと、をサーバにより行なうことを特徴としている。
【0019】
このように、サーバがそのクライアントを使うユーザの患者データに基づき、そのユーザにとって重要なグラフ画像を予め伝送するため、素早くグラフ画像を表示することができユーザの操作ストレスを軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、クライアント端末での表示操作に対して、レスポンススピードを向上し、ユーザの操作ストレスを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係る画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像表示システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】クライアント端末の画面表示例を示す図である。
【図4】各SOAP情報と記録された時刻とを対応付けたテーブルを示す図である。
【図5】各段階の1画像あたりのグラフプロットの時間スケールの秒数を示す図である。
【図6】各LevelとSOAP情報の属する区分との対応関係を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
【図8】SOAP情報からの単語数抜き出し例を示す図である。
【図9】各SOAP情報が記録された時刻に対する単語数を示す図である。
【図10】第3の実施形態に係る画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
【図11】第4の実施形態に係る画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
【図12】重要度の順位付けの例を示す図である。
【図13】従来の電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
(画像表示システムの構成)
図1は、画像表示システム1の構成例を示すブロック図である。画像表示システム1は、サーバ100とクライアント900から構成されている。サーバ100は、管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアント900へ送信する。クライアント900は、ユーザの要求により、グラフ画像を受信し、医療行為の項目(病名・投薬・診断・検査等)に対して、実際に行なわれた行為の記録を一定の時間幅で表示する。
【0024】
図1に示すように、サーバ100は、SOAP情報取得部101、データベース103、SOAP情報カウント部105、重要度決定部107、初期伝送画像パッキング部109、送信部111およびプロジェクト構築部113とを備えている。
【0025】
データベース103は、これまでに作成されたSOAP情報(医師の自由記載情報)を蓄積している。SOAP情報取得部101は、データベース103からSOAP情報を取得する。SOAP情報カウント部105は、各時間幅に対して取得されたSOAP情報の数をカウントする。
【0026】
重要度決定部107は、SOAP情報の数に基づき、グラフ画像の重要度を計算する。すなわち、特定のクライアント900に対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、表示されるグラフ画像の関連情報(SOAP情報の数)に基づいて決定している。
【0027】
初期伝送画像パッキング部109は、算出された重要度に基づいて選択されたグラフ画像をパッキングする。たとえば、重要度の高い順に所定数のグラフ画像を選択する。プロジェクト構築部113は、データベース103に蓄積された情報をもとにプロジェクトを構築する。プロジェクトとは、医療行為の項目とともに複数のグラフを同時に表示する画面である。
【0028】
送信部111は、特定のクライアント900の要求に応じて、構築されたプロジェクトとともにパッキングされた画像をクライアント900に送信する。クライアント900から受信した初期画像の表示要求に対して、決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を特定のクライアント900へ送信する。
【0029】
このようにして、画像表示システム1は、表示されるグラフ画像の時間幅と医療行為としてのSOAP情報の記録の記録時刻とから、1つのグラフ画像の時間幅に含まれるSOAP情報の数をカウントし、カウントされたSOAP情報の数に基づいて、重要度を決定する。
【0030】
クライアント900は、プロジェクト要求部901を備えている。プロジェクト要求部901は、ユーザによる電子カルテアプリケーションの起動に対して、サーバ100に構築されたプロジェクトとパッキングされたグラフ画像のデータを要求する。なお、クライアント900は、特定のユーザのIDと対応付けられているため、サーバ100は、特定のユーザの医療情報等をクライアント900に送信できる。
【0031】
(画像表示システムの動作)
図2は、画像表示システム1の動作を示すフローチャートである。画像表示システム1は、SOAP情報の入力を受けつけて、SOAP情報をデータベース103に蓄積する(ステップS1)。サーバ100は、入力されたSOAP情報からグラフプロットにおける重要度算出を行なう(ステップS2)。次に、サーバ100は、重要度の高い順番にソートする(ステップS3)。次に、グラフ画像の内、各々の倍率における画像の中で上位に位置しているグラフ画像を作成する(ステップS4)。続いて、ステップS4にて作成されたグラフ画像を1ファイルにまとめる(ステップS5)。最後に、サーバ100は、ユーザがプロジェクトを開いた段階で、ステップS5にてまとめられたグラフ画像ファイルをクライアントへ伝送する(ステップS6)。
【0032】
このように、時系列で発生する医療データと並行して生じるSOAP情報を利用し、時系列上の重要と思われるデータプロットを特定する。特定されたデータプロットを中心にして、各々のグラフ画像の重要度を算出し、特定の患者のプロジェクトを開いたときに上記重み付けに基づき重要と思われるグラフ画像のみをクライアントに初期に伝送する。これにより、クライアント900において操作中のデータ伝送量を減らし、ユーザレンスポンスを向上させる。
【0033】
(SOAP情報の入力回数による重要度の算出)
SOAP情報を含め重要度の算出について、以下に詳述する。図3は、クライアント900の画面表示例を示す図である。SOAP情報は、自然言語により記述され、当該情報を入力した時刻とともに記録される。図3に示す例では、SOAP情報として「熱あり」「血圧検査実施」の情報が記載されている。
【0034】
重要度を算出する際には、まず、入力されたSOAP情報から重要時刻を算出する。そして、算出された重要時刻が多い順にグラフ画像をソートする。たとえば、以下のようにSOAP情報からの重要時刻を算出する。算出方法は、それぞれの組み合わせであってもよいし、単独で用いてもよい。
【0035】
入力されたSOAP情報について、タイムスケール単位でSOAP情報が記録された時刻をカウントする。図4は、各SOAP情報と記録された時刻とを対応付けたテーブルを示す図である。図5は、各段階の1画像あたりのグラフプロットの時間スケールを秒数を示す図である。図4に示すように、例えば、秒数間のグラフプロットがなされたグラフ画像に対して3つのSOAP情報S〜Sがあるとする。図5に示すように、各々の20段階をLevel1〜20と定義する。つまりLevel1では、1画像=25秒分のグラフ、Level2では、1画像=125秒分のグラフ・・・というように多段階でグラフを送信できる。
【0036】
図6は、各LevelとSOAP情報S〜Sの属する区分との対応関係を示す図である。図6には、1画像あたりのグラフプロットの時間スケールを秒数で20段階に区分したときにSOAP情報S〜Sの属する区分が示されている。
【0037】
Level1のグラフ画像では、1275528620/25=51021144.8のため、SOAP情報Sは原点から、51021144枚目の画像に存在していることになる。同様にSOAP情報Sは51024600枚目の画像に、SOAP情報Sは52282584枚目の画像に含まれている。同様の計算を順次実行すると、Level9において、SOAP情報SおよびSOAP情報Sは原点から2799枚目の画像、Sは原点から2868枚目の画像にプロットされる。また、Level18において、SOAP情報S〜Sは原点から5枚目の同一画像内にプロットされることになる。
【0038】
このように、同一画像内にプロットされるSOAP情報数を数え上げることで、重要度を決定する。つまり、Level1における51021144枚目・51024600枚目・52282584枚目の画像の重要度は1、Level9の2799枚目の画像は重要度2、Level18の5枚目の画像の重要度は3となる。
【0039】
[第2の実施形態]
(SOAP情報入力単語数による重要度の算出)
上記の実施形態では、SOAP情報の記載回数で重要度を決定するが、含まれる単語数をカウントすることで重要度を決定してもよい。その場合には、単語数のみで重要度を決定してもよいし、SOAP情報の数とこれに含まれる単語数との両方で重要度を決定してもよい。
【0040】
図7は、画像表示システム2の構成例を示すブロック図である。画像表示システム2では、画像表示システム1と異なり、サーバ200においてSOAP情報カウント部105に代えて形態素解析部215と単語数カウント部217を設けている。また、重要度決定部207は、重要度決定部107とは機能が異なる。形態素解析部215は、入力されたSOAP情報について、形態素解析を行ない、単語数カウント部217に解析結果を入力する。単語数カウント部217は、解析後の単語の数をカウントし、重要度決定部207は、単語の数に基づき、グラフ画像の重要度を計算する。
【0041】
図8は、SOAP情報からの単語数抜き出し例を示す図である。画像表示システム2の形態素解析部215は、SOAP情報として「熱あり」、「血圧検査実施」の入力を受け、医療用辞書のデータベースに基づき、形態素解析を行ない、「熱」、「血圧」、「検査」を抽出する。そして、単語数カウント部217は、これらの単語数を「3」とカウントする。
【0042】
図9は、各SOAP情報が記録された時刻に対する単語数を示す図である。図9の表から、Level9において原点から2799枚目の画像は重要度3+4=7、Level18において原点から5枚目の画像においては重要度3+4+5=12といった結果になる。
【0043】
このようにして、画像表示システム2は、医師により自由記載されたSOAP情報を形態素解析し、形態素解析により分解された単語のうち所定種類の単語数をカウントし、カウントされた単語数に基づいて重要度を決定することができる。
【0044】
[第3の実施形態]
(SOAP情報の単語発生確率を参照した重要度の算出)
さらに上記のように抽出された単語の発生確率から重要度を算出してもよい。すなわち、特定患者に紐づけられた全SOAP情報から、抜き出した全単語をカウントし、発生確率を計算する。
【0045】
図10は、画像表示システム3の構成例を示すブロック図である。画像表示システム3は、画像表示システム2と同様に構成されているが、サーバ300において単語数カウント部217に代えて情報量計算部321を有し、重要度決定部207とは異なる機能の重要度決定部307を有する。形態素解析部215は、入力されたSOAP情報について、形態素解析を行なう。情報量計算部321は、解析結果に基づき情報量を計算し、重要度決定部307は、計算された情報量に基づき、グラフ画像の重要度を計算する。
【0046】
例えば図8の例では、「熱」、「血圧」、「検査」といった単語が、この患者のために入力された自由記載情報の全単語の中でそれぞれ、3/200、4/200、5/200といった割合で発生していたとする。この発生確率から、式(1)によりシャノンの平均情報量を計算する。
【数1】

【0047】
図8の例では、シャノンの平均情報量は、−((3/200)・log(3/200)+(4/200)・log(4/200)+(5/200)・log(5/200))≒0.34と計算できる。すなわちSOAP情報Sの中に含まれる単語をタグとして考えた場合の、情報量は0.34となる。同様にSOAP情報S、Sの情報量が0.25、0.31と計算されていたとすると、Level9において原点から2799枚目の画像は重要度0.34+0.25=0.59、Level18において原点から5枚目の画像においては重要度0.34+0.25+0.31=0.9といった結果になる。
【0048】
上記のような重要度の計算方法あるいはそれらの組み合わせによって、重要度を判定されたグラフ画像の上位何枚かをtar(Tape Archival and Retrieval format)形式のファイル等でまとめておき、クライアント側で患者のプロジェクトを開いたときに、伝送することができる。これにより、少なくとも重要な箇所に関しては、ユーザによる操作が行なわれている最中にデータを伝送することはなくなるので、高速に閲覧することが可能となる。このようにして、医師により自由記載を記録されたSOAP情報を形態素解析し、形態素解析により分解された単語の情報量を算出し、情報量の和に基づいて重要度を決定することができる。
【0049】
[第4の実施形態]
(グラフ画像の直近の表示時刻による重要度の算出)
ユーザが最後に閲覧したLevelあるいは表示倍率および表示していた時刻、項目を記録しておき、それらに応じて最初に表示されるグラフ画像をまとめておき、伝送することもできる。すなわち、重要度の算出時において、ユーザが最後に閲覧したグラフ画像を最も重要とし、その画像を中心に、近接する画像に対して、順位付けを行なってもよい。
【0050】
図11は、画像表示システム4の構成例を示すブロック図である。画像表示システム4は、画像表示システム1と異なり、サーバ4においてSOAP情報取得部101、SOAP情報カウント部105に代えて、Level記憶部425と表示項目記憶部427と表示時刻記憶部429を有している。また、重要度決定部307とは機能の異なる重要度決定部407を備えている。
【0051】
Level記憶部425は、ユーザが前回閲覧した際の最後に閲覧したグラフ画像の時間幅を記憶する。表示項目記憶部427は、ユーザが前回閲覧した際の最後に表示していた項目を記憶する。表示時刻記憶部429は、ユーザが前回閲覧した際の最後に表示していた時系列データの時刻を記憶する。重要度決定部407は、これらの、時間幅(Level)、表示項目、表示時刻に基づいて重要度を計算する。
【0052】
図12は、重要度の順位付けの例を示す図である。例えば、図12のように、ユーザがLevel18の画像を最後に閲覧しており、表示していた時刻が2011/3/3 00:00:00のデータであって、項目#3〜#5を表示(上から順に項目を#1、#2、#3、#4、#5・・・とする)していた場合について説明する。
【0053】
2011/3/3 00:00:00のunix timeは1299078000秒であり、1299078000/233280000=5.56であることから、基準原点から数えて5枚目の画像を表示していたことになる。このとき注視していたのが、図12に示すように項目#4だったとすると、項目#4の基準原点から数えて5枚目の画像が最も重要な画像ということになる。その画像を中心に、近接する画像に対して、順位付けを行なう。図12に示す、項目番号以外の1〜9の数字は、重要度の順位を示す。順位付けされた画像を予めtar形式のファイル等でまとめておき、次回当該プロジェクトを開いたときに初期に伝送を行なう。
【0054】
以上のように、クライアント900で直近に表示されたグラフ画像を最も重要とし、その画像を中心に、時刻または項目が近接する画像に対して、順位付けを行なう。これにより、少なくとも、前回ユーザが最後に閲覧したグラフ画像に関しては、ユーザによる操作が行なわれている最中にデータを伝送することはなくなるので、高速に閲覧することが可能となる。
【0055】
このように、特定のクライアントで表示されるグラフ画像の直近の表示時刻および項目により重要度を決定することができる。なお、上記のいずれの画像表示システムにおいても、サーバの動作は、プログラムの実行により行なうことができる。
【符号の説明】
【0056】
1〜4 画像表示システム
100、200、300、400 サーバ
101 SOAP情報取得部
103 データベース
105 SOAP情報カウント部
107、207B、307、407 重要度決定部
109 初期伝送画像パッキング部
111 送信部
113 プロジェクト構築部
215 形態素解析部
217 単語数カウント部
321 情報量計算部
425 Level記憶部
427 表示項目記憶部
429 表示時刻記憶部
900 クライアント
901 プロジェクト要求部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバで管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアントへ送信する画像送信プログラムであって、
特定のクライアントに対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、前記表示されるグラフ画像の関連情報に基づいて決定する重要度決定処理と、
前記特定のクライアントから受信した初期画像の表示要求に対して、前記決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を前記特定のクライアントへ送信する送信処理と、をサーバのコンピュータに実行させることを特徴とする画像送信プログラム。
【請求項2】
前記重要度に基づいて選択された複数のグラフ画像をパッキングして送信することを特徴とする請求項1記載の画像送信プログラム。
【請求項3】
前記表示されるグラフ画像の時間幅と前記医療行為としてのSOAP情報の記録の記録時刻とから、1つのグラフ画像の時間幅に含まれるSOAP情報の数をカウントし、前記カウントされたSOAP情報の数に基づいて、前記重要度を決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像送信プログラム。
【請求項4】
前記記録されたSOAP情報を形態素解析し、前記形態素解析により分解された単語のうち所定種類の単語数をカウントし、前記カウントされた単語数に基づいて前記重要度を決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像送信プログラム。
【請求項5】
前記記録されたSOAP情報を形態素解析し、前記形態素解析により分解された単語の情報量を算出し、前記情報量の和に基づいて前記重要度を決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像送信プログラム。
【請求項6】
前記特定のクライアントで表示されるグラフ画像の直近の表示時刻および項目により重要度を決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像送信プログラム。
【請求項7】
管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアントへ送信するサーバであって、
特定のクライアントに対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、前記表示されるグラフ画像の関連情報に基づいて決定する重要度決定部と、
前記特定のクライアントから受信した初期画像の表示要求に対して、前記決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を前記特定のクライアントへ送信する送信部と、を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項8】
サーバで管理される医療行為の時系列データを各時間スケールの表示モードにおいて一定の時間幅で区分して表示したグラフ画像をクライアントへ送信する画像送信方法であって、
特定のクライアントに対応付けられた医療行為の時系列データを一定の時間間隔で区分して表示するグラフ画像について、ユーザにとっての重要度を、前記表示されるグラフ画像の関連情報に基づいて決定する重要度決定ステップと、
前記特定のクライアントから受信した初期画像の表示要求に対して、前記決定された重要度に基づいて選択されたグラフ画像を前記特定のクライアントへ送信する送信ステップと、をサーバにより行なうことを特徴とする画像送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−114275(P2013−114275A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256809(P2011−256809)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)