説明

画像送信装置及びそれを用いた画像伝送システム

【課題】画像送信装置において、背景自体が経時的に変化する場合においても、実用上問題となる画質の低下を抑制しつつ、十分な低ビットレート化を図る。
【解決手段】画像音声送信装置と画像音声受信装置の双方で予め入力された基準画像の画像情報を記憶する。所定のイベントの発生を検知する度に(#1においてYES)、画像音声送信装置と画像音声受信装置の双方で基準画像の画像情報を更新する(#2,#3,#4)。イベントの発生が検知されない状態で(#1においてNO)、画像音声送信装置に入力画像が入力されると(#5)、基準画像の画像情報との差分情報を算出し(#6)、画像音声受信装置に送信する(#7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像された画像から監視対象物の画像情報を低ビットレートで送信する画像送信装置等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像情報を圧縮して送信する場合に、画像の変化領域を抽出し、差分情報を送信する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、画像情報を圧縮して送信する技術は、家屋内外の要所に配設されたカメラで撮像された画像を家屋内のモニタで表示可能とするいわゆるホームセキュリティシステムへの応用が検討されている。ホームセキュリティシステムにおいては、カメラからモニタに画像情報を送信する際に、無線LANの他にもBluetooth、ZigBee、特定小電力無線など低消費電力の無線方式を適用する技術が検討されている。
【0004】
これらの低消費電力の無線通信方式は、無線LANと比較すると電力を抑えた分通信信頼性を確保するため、通信に使用できる周波数帯域は狭い。そのため、ホームセキュリティシステムにこれら低消費電力の無線通信を適用する場合には、画像情報を圧縮することにより、送信に必要なビットレートを少なくすることが要求される。
【0005】
画像情報を圧縮する技術としては、H.264やMPEG等の規格が知られている。ホームセキュリティシステムの用途において良好な動画性能を得るためには、QVGA相当の解像度(320×240ドット)では、15〜30fps程度以上のフレームレートが望ましい。また、VGA相当の解像度(640×480ドット)でも、7.5〜15fps程度以上のフレームレートが望ましい。ところが、上記解像度とフレームレートの組み合わせによる画像情報をH.264やMPEG等の規格を適用して圧縮した場合であっても、低消費電力の無線通信方式で伝送可能なビットレートを超えることがある。そこで、カメラとモニタ間の通信に低消費電力の無線通信方式を適用してホームセキュリティシステムを構築するためには、実用上問題となる画質の低下を抑制しつつ、さらなる低ビットレート化を実現する技術が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−320707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示された技術においては、背景自体が経時的に変化すると抽出される変化領域が大きくなり、ビットレートを十分に低減することができない虞が生ずる。このような背景の経時的な変化は、背景に存在する木々の成長や日照状態の変化等又は長時間駐車している車両の存在等によっても生ずるため、不可避的に無作為に発生する。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、背景自体が経時的に変化する場合においても、実用上問題となる画質の低下を抑制しつつ、十分な低ビットレート化を図ることができる画像送信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の画像送信装置は、予め入力された基準画像の画像情報を記憶して、前記基準画像の画像情報とその後に入力された入力画像との差分情報を算出し送信する画像送信装置において、所定のイベントの発生を検知する度に、前記基準画像の画像情報を更新し送信することを特徴とするものである。
【0010】
この発明において、撮像手段から予め入力された基準画像の画像情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記基準画像の画像情報と撮像手段からその後に入力された入力画像の画像情報との差分情報を算出する差分算出手段と、前記差分算出手段によって算出された差分情報を送信する送信手段と、前記イベントの発生を検知するイベント検知手段とを備え、前記送信手段は、前記記憶手段に記憶されている前記基準画像の画像情報が更新される度に該基準画像の画像情報を送信することが好ましい。
【0011】
この発明において、ユーザ又は訪問者による操作が入力される操作入力手段を備え、前記イベント検知手段は、前記操作入力手段を介した操作の入力を受け、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0012】
この発明において、時間を計数する時間計数手段をさらに備え、前記イベント検知手段は、前記時間計数手段が計数する所定の周期ごとに、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0013】
この発明において、時刻を計数する時刻計数手段をさらに備え、前記イベント検知手段は、前記時刻計数手段が計数する所定の時刻ごとに、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0014】
この発明において、前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して、その結果に基づいて前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0015】
この発明において、前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して所定期間内に変化する被写体の存在が検出されなかったとき、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0016】
この発明において、前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して照度を算出し、所定期間内における照度の変化量が所定の閾値以上であるとき、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0017】
この発明において、前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して移動体の存在が検出されたとき、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0018】
この発明において、前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して顔画像又は人体画像が検出されたとき、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0019】
この発明において、前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して特定の画像が検出されたとき、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0020】
この発明において、前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して連続する入力画像間での差分量が所定の閾値以上であるとき、前記イベントが発生したことを検知することが好ましい。
【0021】
また、本発明の画像受信装置は、前記画像送信装置から送信された基準画像の画像情報及び差分情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した基準画像の画像情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された基準画像の画像情報と前記受信手段によって受信した差分情報から前記入力画像の画像情報を再生する画像再生手段と、前記画像再生手段によって再生された画像情報を表示するモニタを備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の画像伝送システムは、前記画像送信装置と前記画像受信装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像送信装置によれば、所定のイベントが発生する度に、基準画像の画像情報が更新されるので、最新の基準画像との差分情報を算出して送信することができる。これにより、背景自体が経時的に変化する場合においても、実用上問題となる画質の低下を抑制しつつ、十分な低ビットレート化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による画像送信装置及びホームセキュリティ向け無線画像音声伝送システムのブロック図。
【図2】カメラによって撮像された基準画像と入力画像を示す図。
【図3】基準画像の画像情報及び入力画像の画像情報から算出された差分情報を示す図。
【図4】画像音声送信装置の動作を示すフローチャート。
【図5】所定期間内に変化する被写体が存在しなかった入力画像を示す図。
【図6】所定期間内に照度が変化した入力画像を示す図。
【図7】移動体の存在が検出された入力画像を示す図。
【図8】顔画像が検出された入力画像を示す図。
【図9】特定の被写体の画像が検出された入力画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態による画像送信装置を備えたホームセキュリティ向けの無線画像音声伝送システム(画像伝送システム)について図面を参照して説明する。図1は、無線画像音声伝送システム1を示す。無線画像音声伝送システム1は、屋外又は屋内に設置される画像音声送信装置10と、屋内に設置される画像音声受信装置20等によって構成される。監視対象場所が複数存在する場合は、それぞれの場所に1又は複数の画像音声送信装置10が設けられる。
【0026】
画像音声送信装置10は、カメラ(撮像手段)11によって撮像した画像情報及びマイク12によって集音した音声情報を送信する。画像音声受信装置20は、画像音声送信装置10から送信された画像情報及び音声情報を受信して、モニタ24及びスピーカ25によって再生する。これにより、訪問者や不審者の画像や音声を確認でき、これらの情報は、必要に応じて、画像音声受信装置20等に保存される。画像音声送信装置10と画像音声受信装置20とは、例えば低消費電力の無線通信方式の一つである特定小電力無線を用いて通信される。また、画像音声送信装置10と画像音声受信装置20は、必要に応じて双方向に通信可能に構成され、画像情報及び音声情報の他、各種の制御信号が送受信される。
【0027】
画像音声送信装置10は、カメラ11と、マイク12と、メモリ(記憶手段)13と、CPU(差分算出手段、イベント検知手段)14と、送信部(送信手段)15と、タイマ(時間計数手段、時刻計数手段)16と、操作スイッチ(操作入力手段)17と、電池(図示せず)等を備える。カメラ11は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子(Image Sensor)を有し、画像音声送信装置10の周辺の被写体を撮像して電子的な画像情報に変換して出力する。マイク12は、画像音声送信装置10の周辺の音声を集音して電子的な音声情報に変換して出力する。メモリ13は、カメラ11から入力された画像情報の他、CPU14の動作に必要な情報を記憶する。CPU14は、画像音声送信装置10の各部を制御する。送信部15は、カメラ11から入力された画像情報及びマイク12から入力された音声情報の他、各種の信号を特定小電力無線にて送信する。特定小電力無線のような低消費電力の無線通信方式は、送信に要する電力を抑制できるので、電池の消耗を抑制し、その交換サイクルを長くすることができる。
【0028】
タイマ16は、時間を計数する。タイマ16は、基準となる時刻を設定することにより、時刻を計数する時計としても機能する。操作スイッチ17は、ユーザ又は訪問者によって操作される。操作スイッチ17は、例えば、屋外のユーザ又は訪問者と屋内のユーザとが無線画像音声伝送システム1を介して会話をする際に操作される。操作スイッチ17が操作されると、その旨の信号がCPU14に入力され、送信部(送信手段)15から画像音声受信装置20に各種の信号が送信される。
【0029】
画像音声受信装置20は、受信部(受信手段)21と、メモリ(記憶手段)22と、CPU(画像再生手段)23と、モニタ24と、スピーカ25等を備える。受信部21は、送信部15から送信された画像情報及び音声情報の他、各種の信号を受信する。メモリ22は、受信部21によって受信された画像情報の他、CPU23の動作に必要な情報を記憶する。CPU23は、画像音声受信装置20の各部を制御する。モニタ24は、受信部21によって受信された画像情報を表示する。スピーカ25は、受信部21によって受信された音声情報を再生する。
【0030】
図2は、画像音声送信装置10のカメラ11によって撮像された基準画像及び入力画像を示す。図2(a)に示す基準画像は、訪問者等の人物や車両等の監視対象が存在しない状況で、予め撮像された木々などの背景画像である。
【0031】
カメラ11によって撮像された基準画像の画像情報は、メモリ13に記憶されるとともに、送信部15を介して画像音声受信装置20に送信される。画像音声受信装置20は、画像音声送信装置10の送信部15から送信された基準画像の画像情報を受信部21によって受信し、メモリ22に記憶する。これにより、画像音声送信装置10と画像音声受信装置20との間で、同一の基準画像が共有される。
【0032】
基準画像は、無線画像音声伝送システム1が設置された初期状態でカメラ11によって撮像される他、無線画像音声伝送システム1の通常動作時においても、CPU14が後述する所定のイベントが発生したことを検知すると、カメラ11によって撮像される。この場合も、カメラ11によって撮像された基準画像の画像情報は、メモリ13に記憶されるとともに、送信部15を介して画像音声受信装置20に送信され、メモリ22に記憶される。これにより、画像音声送信装置10と画像音声受信装置20との間で、イベント発生後の最新の基準画像が共有される。
【0033】
CPU14が検知するイベントの一例としては、ユーザ又は訪問者によって操作スイッチ17が操作され、その旨の信号がCPU14に入力されたことが挙げられる。すなわち、ユーザ又は訪問者が画像音声送信装置10の付近に現れて、操作スイッチ17が操作されたとき、メモリ13及びメモリ22に記憶されている基準画像の画像情報が更新される。また、無線画像音声伝送システム1を設置した初期状態においては、ユーザや管理者が操作スイッチ17を操作することにより、カメラ11によって最初の基準画像を撮像することもできる。
【0034】
図2(b)に示す入力画像は、無線画像音声伝送システム1の通常動作時において、カメラ11によって随時撮像され、CPU14に入力される。CPU14は、メモリ13に記憶された基準画像の画像情報とカメラ11から入力された入力画像の画像情報との差分を計算し、差分情報を算出する。
【0035】
図3は、図2(a)に示した基準画像の画像情報及び図2(b)に示した入力画像の画像情報からCPU14によって算出された差分情報を示す。この例においては、木々や地面などの画像が背景として除去され、人物の画像が差分情報として抽出される。このとき、差分情報の算出に用いられる基準画像の画像情報が最新の情報に更新されているため、抽出される差分情報の情報量は抑制される。
【0036】
CPU14によって算出された差分情報は、送信部15を介して画像音声受信装置20に送信される。このとき、送信する差分情報の情報量は抑制されているので、特定小電力無線などのように、通信に必要な周波数帯域が狭い通信形態を用いる場合であっても、低いビットレートに対応できる。画像音声受信装置20は、画像音声送信装置10の送信部15から送信された差分情報を受信部21によって受信し、CPU23がメモリ22に記憶されている基準画像の画像と合成する。これにより、図2(b)に示す入力画像と同等の高画質な画像が再生される。そして、CPU23によって再生された入力画像は、モニタ24に表示される。
【0037】
以下、図4を参照して、画像音声送信装置10の動作を説明する。メモリ13には、予めカメラ11によって撮像された基準画像の画像情報が記憶されているものとする。CPU14は、イベントの発生を監視して、イベントの発生を検知すると(#1においてYES)、カメラ11によって基準画像を撮像させ(#2)、その画像情報をメモリ13に記憶させる(#3)。そして、基準画像の画像情報を、送信部15を介して画像音声受信装置20に送信する(#4)。画像音声受信装置20によって受信された基準画像の画像情報は、メモリ22に記憶される。これにより、画像音声送信装置10のメモリ13及び画像音声受信装置20のメモリ22に記憶されている基準画像の画像情報が更新される。
【0038】
イベントの発生を検知しない場合(#1においてNO)、カメラ11によって入力画像が撮像され、CPU14に入力される(#5)。この入力画像は、フレームレートに応じた頻度で随時撮像される。そして、CPU14は、メモリ13に記憶された基準画像の画像情報とカメラ11から入力された入力画像の画像情報との差分を計算することにより、差分情報を算出する(#6)。算出された差分情報は、送信部15を介して画像音声受信装置20に送信される(#7)。この後、画像音声受信装置20によって受信された差分情報は、CPU23によってメモリ22に記憶されている基準画像の画像情報と合成される。
【0039】
(変形例)
以下、イベントの発生を検知する手法について説明する。各手法を適宜組み合わせてイベントの発生を検知してもよい。イベントの発生は、タイマ16を用いて検知してもよい。例えば、タイマ16が所定の周期を計数したとき、基準画像の画像情報を更新する。また、タイマ16が所定の時刻を計数したとき、基準画像の画像情報を更新する。これらの場合は、所定の周期が経過したこと、又は所定の時刻になったことがイベントの発生となる。所定の周期及び所定の時刻は、適宜設定することができる。この形態では、所定の周期及び所定の時刻ごとに、基準画像の画像情報を最新の情報に更新することができる。
【0040】
以下、図5乃至図8を参照して、CPU14が所定のイベントの発生を検知する他の形態について説明する。上記各図においては、CPU14が入力画像の画像情報を解析してイベントの発生を検知する点で共通するが、発生するイベントの形態を異にしている。
【0041】
図5は、CPU14が入力画像の画像情報を解析して所定期間内に変化する被写体の検出を行い、その結果に基づいて、イベントの発生を検知する例を示す。より具体的には、所定期間内に変化する被写体の存在が検出されなかったとき、入力画像が背景のみで構成されているものとみなして、基準画像の画像情報を更新する。同図においては、閾値以上に照度が低下したことを検知して、基準画像の画像情報を更新する場合が示される。所定期間は、任意に設定することができる。また、解析した入力画像の画像情報を、基準画像の画像情報として用いてもよい(以下の形態も同様とする)。この形態では、人物や車両等の変化する被写体が存在しない状況で、基準画像の画像情報を最新の情報に更新することができる。
【0042】
図6は、CPU14が入力画像の画像情報を解析して入力画像の照度(明るさ)を算出し、その結果に基づいて、イベントの発生を検知する例を示す。より具体的には、所定期間内における入力画像の照度の変化量が所定の閾値以上であるとき、背景自体が経時的に変化したとみなして、基準画像の画像情報を更新する。所定期間は、任意に設定することができる。この形態では、例えば、日照状態等の経時的な変化に対応させて、基準画像の画像情報を最新の情報に更新することができる。
【0043】
図7は、CPU14が入力画像の画像情報を解析して移動体の検出を行い、その結果に基づいて、イベントの発生を検知する例を示す。より具体的には、移動体の存在が検出されたとき、背景自体が経時的に変化したとみなして、基準画像の画像情報を更新する。同図においては、移動体として人物が検出される。移動体は人物に限られることなく、車両や動物が検出されることも有り得る。
【0044】
移動体は、カメラ11から逐次入力される入力画像を比較し、その差異を抽出することにより検出される。入力画像の比較においては、例えば、各画素の輝度情報を空間微分することにより輝度勾配を算出し、それを小領域ごとに比較することにより、木々の揺れ等の動きを無視しつつ、監視対象としての重要な物体の動きを検出することができる。輝度勾配の比較は、小領域ごとにヒストグラムを作成し、連続する入力画像の間でその類似度を算出することによりなされる。類似度が所定の閾値以上であれば、移動体があると判断でき、類似度が閾値以下であれば、移動体がないと判断できる。
【0045】
図8は、CPU14が入力画像の画像情報を解析して目、鼻、口等の画像によって特徴づけられる人間の顔画像の検出を行い(パターンマッチング)、その結果に基づいて、イベントの発生を検知する例を示す。より具体的には、顔画像が検出されたとき、カメラ11の視野内に人物が現れたとみなして、基準画像の画像情報を更新する。この形態では、人物の訪問等に対応させて、基準画像の画像情報を最新の情報に更新することができる。
【0046】
顔画像の検出は、CPU14が入力画像の画像情報を検索し、その中に多数の顔画像から予め標準化された特徴と類似する情報が含まれているか否か、について判断することによりなされる。この例においては、顔画像の検出の検出に替えて、頭、胴体、手、脚等の画像によって特徴づけられる人体画像の検出を行ってもよい。
【0047】
図9は、CPU14が入力画像の画像情報を解析して特定の被写体の画像検出を行い(パターンマッチング)、その結果に基づいて、イベントの発生を検知する例を示す。より具体的には、特定の被写体が検出されたとき、カメラ11の視野内に上記特定の被写体が現れたとみなして、基準画像の画像情報を更新する。この形態では、車両等の特定の被写体の存否に対応させて、基準画像の画像情報を最新の情報に更新することができる。
【0048】
同図においては、特定の被写体の例として、宅配業者のトラック等の車両が検出されている。車両の検出は、例えば、入力画像の画像情報中に、車両の特徴である円筒形の車輪の画像と類似する情報が含まれているか否か、について判断することによりなされる。その際、車輪の軸間距離も考慮して判断してもよい。
【0049】
CPU14が画像として検出する車両は、トラックに限られることなく、乗用車や二輪車であってよく、また工場内に画像音声送信装置10を設置する場合には、その工場で用いられている台車等であってもよい。さらには、CPU14が画像として検出する被写体は、特定の特徴を有する対象物であれば、特に限定されない。例えば、車両のナンバープレート又は動物等の顔や身体であってもよい。
【0050】
また、上述した形態の他に、CPU14が入力画像の画像情報を解析して連続する入力画像間での差分量を算出し、その結果に基づいて、イベントの発生を検知する形態であってもよい。より具体的には、連続する入力画像間での差分量(例えば変化した画素の数など)が所定の閾値以上であるとき、背景自体が経時的に変化したとみなして、基準画像の画像情報を更新する。この形態においては、CPU14の負荷を軽減するために、離散的に連続する入力画像間(例えば、数秒ごとに抽出した2つの入力画像間)での差分量を算出する構成であってもよい。
【0051】
なお、図5乃至図9に示した形態においては、CPU14の負担を軽減するために、入力画像のうち予め定められた特定の小領域についてのみ、画像情報を解析してイベントの発生を検知するように構成されていてもよい。この場合、訪問者や不審者が現れる可能性が高い領域を、特定の小領域として予め設定すればよい。
【0052】
また、CPU14は、H.264やMPEG4などのコーデックを用いて差分情報を圧縮して、送信部15から送信する構成としてもよい。この圧縮された差分情報は、画像音声受信装置20の受信部21によって受信され、CPU23によって伸張される。
【0053】
以上のように、本実施形態の画像音声送信装置10、画像音声受信装置20及び無線画像音声伝送システム1によれば、所定のイベントが発生する度に、基準画像の画像情報が更新されるので、最新の基準画像との差分情報を算出して送信することができる。これにより、背景自体が経時的に変化する場合においても、実用上問題となる画質の低下を抑制しつつ、十分な低ビットレート化を図ることができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも以下の構成を有していればよい。すなわち、画像音声送信装置と画像音声受信装置の双方で予め入力された基準画像の画像情報を記憶する。その後画像音声送信装置に入力画像が入力されると、基準画像の画像情報との差分情報を算出し画像音声受信装置に送信する。その際、所定のイベントの発生を検知する度に、画像音声送信装置と画像音声受信装置の双方で基準画像の画像情報を更新するように構成されていればよい。また、画像音声送信装置10等の施工の容易さを考慮すると、画像音声送信装置10と画像音声受信装置20とは、無線にて通信できる形態が最も望ましいが、両者が通信線を介して有線にて通信するように構成されていてもよい。この場合においても、画像信号の送信に必要とされるビットレートを低減できるので、狭い周波数帯域での通信が可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 無線画像音声伝送システム(画像伝送システム)
10 画像音声送信装置
11 カメラ(撮像手段)
12 メモリ(記憶手段)
14 CPU(差分算出手段、イベント検知手段)
15 送信部(送信手段)
20 画像音声受信装置
21 受信部(受信手段)
22 メモリ(記憶手段)
23 CPU(画像再生手段)
24 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め入力された基準画像の画像情報を記憶して、前記基準画像の画像情報とその後に入力された入力画像との差分情報を算出し送信する画像送信装置において、所定のイベントの発生を検知する度に、前記基準画像の画像情報を更新し送信することを特徴とする画像送信装置。
【請求項2】
撮像手段から予め入力された基準画像の画像情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記基準画像の画像情報と撮像手段からその後に入力された入力画像の画像情報との差分情報を算出する差分算出手段と、
前記差分算出手段によって算出された差分情報を送信する送信手段と、
前記イベントの発生を検知するイベント検知手段とを備え、
前記送信手段は、前記記憶手段に記憶されている前記基準画像の画像情報が更新される度に該基準画像の画像情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
ユーザ又は訪問者による操作が入力される操作入力手段を備え、
前記イベント検知手段は、前記操作入力手段を介した操作の入力を受け、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2に記載の画像送信装置。
【請求項4】
時間を計数する時間計数手段をさらに備え、
前記イベント検知手段は、前記時間計数手段が計数する所定の周期ごとに、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像送信装置。
【請求項5】
時刻を計数する時刻計数手段をさらに備え、
前記イベント検知手段は、前記時刻計数手段が計数する所定の時刻ごとに、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記
載の画像送信装置。
【請求項6】
前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して、その結果に基づいて前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項7】
前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して所定期間内に変化する被写体の存在が検出されなかったとき、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項6に記載の画像送信装置。
【請求項8】
前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して照度を算出し、所定期間内における照度の変化量が所定の閾値以上であるとき、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項9】
前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して移動体の存在が検出されたとき、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項10】
前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して顔画像又は人体画像が検出されたとき、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項9のいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項11】
前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して特定の画像が検出されたとき、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項12】
前記イベント検知手段は、前記入力画像を解析して連続する入力画像間での差分量が所定の閾値以上であるとき、前記イベントが発生したことを検知することを特徴とする請求項2乃至請求項11のいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の画像送信装置から送信された基準画像の画像情報及び差分情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した基準画像の画像情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された基準画像の画像情報と前記受信手段によって受信した差分情報から前記入力画像の画像情報を再生する画像再生手段と、
前記画像再生手段によって再生された画像情報を表示するモニタを備えたことを特徴とする画像受信装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の画像送信装置と、請求項13に記載の画像受信装置とを備えたことを特徴とする画像伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70186(P2013−70186A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206495(P2011−206495)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】