説明

画像送信装置及び画像送信方法

【課題】 原稿の画像を送信する場合において、地紋パターンを利用した書類の漏洩防止を効果的に行うことができるようにする。
【解決手段】 画像読み取りユニット304が読み取った原稿の画像をCCU117及びモデム118により送信する場合、読み取りの際に、読み取った画像中の地紋パターンを地紋認識ユニット311により認識し、特定の地紋を認識した場合には、少なくともその地紋のある部分を、画像加工ユニット312により原稿の内容が認識できないように加工して送信に供する。また、画像の読み取り中にその画像の送信を開始するモードでは、送信のための画像の読み取りの前に、同じ原稿について別途地紋確認のための画像の読み取りを行い、その読み取りで読み取った画像について地紋パターンの認識を行うようにするとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取手段によって読み取った原稿の画像を送信する画像送信装置及び、画像送信装置に、画像読取手段によって読み取った原稿の画像を送信させる画像送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コピー機のような画像複写装置や、ファクシミリ通信装置(FAX装置)のような画像送信装置が知られており、広く使用されている。これらの装置によれば、書類を複製したり、複製を離れた相手に届けたりすることが容易であり、大変便利である。
しかしながら、これらの装置には、むやみに複製されるべきでない書類でも容易に複製/送信できてしまうという問題もあった。
【0003】
そして、この問題を解決するため、画像複写装置において、画像の読取時に、紙幣や有価証券等に含まれる特定のパターンを検出した場合に、複写を行えないようにしたり、警告を行ったりする機能を設けることが行われている(特許文献1,特許文献2等参照)。このような画像複写装置によれば、装置を紙幣や有価証券等の偽造に悪用されることを防止できる。
【0004】
また、画像の読取時に特定のドット配列等による地紋パターンを検出した場合に、その画像の紙への出力を中断したり、画素値を全て「白」を意味する0にして出力したりできるようにすることも行われている(特許文献3)。
画像複写装置にこのような機能を設けておけば、複写を禁止したい書類の背景を上記の特定の地紋パターンとしておくことにより、その書類の複写を防止し、複写して持ち出されるような事態を防止できる。
【特許文献1】特開平10−222033号公報
【特許文献2】特開2000−175031号公報
【特許文献3】特開2004−200897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、FAX装置を始めとする画像送信装置の場合、読み取った画像のデータを送信先に送信してしまうため、その場で複写を行うだけの画像複写装置の場合と同じ対応では、地紋パターンを利用した書類の漏洩防止を十分に行えないという問題があった。
この発明は、このような問題を解決し、原稿の画像を送信する場合において、地紋パターンを利用した書類の漏洩防止を効果的に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明の画像送信装置は、画像読取手段が読み取った原稿の画像中の地紋パターンを認識する地紋認識手段と、上記画像読取手段が読み取った画像を送信する送信手段と、その送信手段による画像の送信を行う際に、上記画像読取手段が読み取った画像中に上記地紋認識手段が特定の地紋を認識した場合には、その画像のうち少なくとも上記特定の地紋のある部分を、原稿の内容が認識できないように加工して上記送信手段による送信に供する画像加工手段とを設けたものである。
【0007】
このような画像送信装置において、上記画像読取手段が読み取った画像を記憶する記憶手段を設け、上記送信手段に、上記画像読取手段が読み取った画像を一旦上記記憶手段に記憶させ、その後上記記憶手段から読み出して送信するメモリ送信モードの送信を行う手段を設け、上記メモリ送信モードにおいて上記画像読取手段が読み取った画像中に上記地紋認識手段が特定の地紋を認識した場合に、上記記憶手段に記憶させた画像の送信を禁止する手段を設けるとよい。
あるいは、上記画像加工手段を、上記地紋認識手段が上記特定の地紋を認識した画像読取方向の範囲について、上記加工を行う手段とするとよい。
【0008】
あるいは、上記送信手段に、上記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を設け、上記同時送信モードの送信を行う場合は、その送信のための画像の読み取りの前に、同じ原稿について別途地紋確認のための画像の読み取りを行い、上記地紋認識手段がその読み取りで読み取った画像について地紋パターンの認識を行うようにするとよい。
さらに、上記地紋確認のための画像の読み取りの際に、読み取った画像中に上記地紋認識手段が上記特定の地紋を認識した場合は、上記同時送信モードの送信を禁止する手段を設けてもよい。
【0009】
また、上記送信手段に、上記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を設け、上記地紋認識手段による地紋認識の有効/無効を設定する手段と、その手段により地紋認識の有効が設定された場合に上記同時送信モードの送信を禁止する手段とを設けてもよい。
【0010】
また、この発明の画像送信方法は、画像送信装置に、画像読取手段により読み取った原稿の画像を送信させる画像送信方法において、上記画像送信装置に、送信すべき画像中の地紋パターンを認識する地紋認識手順と、画像の送信を行う際に、上記地紋認識手順で特定の地紋を認識した場合には、その画像のうち少なくとも上記特定の地紋のある部分を、原稿の内容が認識できないように加工して送信に供する画像加工手順とを実行させるようにしたものである。
【0011】
このような画像送信方法において、上記画像送信装置を、上記画像読取手段が読み取った画像を記憶する記憶手段と、上記画像読取手段が読み取った画像を一旦上記記憶手段に記憶させ、その後上記記憶手段から読み出して送信するメモリ送信モードの送信を行う手段とを有する画像送信装置とし、その画像送信装置に、上記メモリ送信モードにおいて上記画像読取手段が読み取った画像中に上記地紋認識手順で特定の地紋を認識した場合に、上記記憶手段に記憶させた画像の送信を禁止する手順を実行させるようにするとよい。
あるいは、上記画像加工手順を、上記地紋認識手順で上記特定の地紋を認識した画像読取方向の範囲について、上記加工を行う手順とするとよい。
【0012】
あるいは、上記画像送信装置を、上記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を有する画像送信装置とし、その画像送信装置に、上記同時送信モードの送信を行う場合は、その送信のための画像の読み取りの前に、同じ原稿について別途地紋確認のための画像の読み取りを行わせ、その読み取りの際に、上記地紋認識手順による地紋パターンの認識を行わせるようにしてもよい。
さらに、上記画像送信装置に、上記地紋確認のための画像の読み取りの際に、読み取った画像中に上記地紋認識手順で上記特定の地紋を認識した場合は、上記同時送信モードの送信を禁止させるようにしてもよい。
【0013】
また、上記画像送信装置を、上記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を有する画像送信装置とし、上記画像送信装置に、上記地紋認識手順による地紋認識の有効/無効を設定する手順と、上記地紋認識の有効が設定されている場合に上記同時送信モードの送信を禁止する手順とを実行させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上のようなこの発明の画像送信装置又は画像送信方法によれば、原稿の画像を送信する場合において、地紋パターンを利用した書類の漏洩防止を効果的に行えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施形態:図1乃至図13〕
まず、この発明の画像送信装置及び画像送信方法の第1の実施形態について説明する。
図1に、この発明の画像送信装置の第1の実施形態であり、またこの発明の画像送信方法に用いる装置の一例であるデジタル複合機の構成を示す。
このデジタル複合機10は、ファクシミリ(FAX)通信,コピー,プリント,スキャン等の種々の機能を持つ装置である。そして、この図に示すように、システム制御部(システムコントローラ)100,操作パネル部200,画像入出力部300を有し、これらが画像データバス/制御コマンドバス400により接続されている。
【0016】
そしてこのうち、システム制御部100は、FAXアプリケーション、コピーアプリケーション、プリントアプリケーション、スキャナアプリケーション等の種々のアプリケーションの機能を有し、デジタル複合機10全体の動作を制御する機能を有する。なお、この実施形態の特徴は、主にFAXアプリケーションの機能であり、こでは、デジタル複合機10を画像送信装置であるFAX装置として機能させるためのものである。
【0017】
また、システム制御部100は、ワークメモリ101,フレームメモリ102,不揮発RAM(NVRAM)103,RAM104,ROM105,CPU106,ネットワークインタフェース(I/F)コントローラ107,システムI/F108,ファーストイン・ファーストアウト(FIFO)バッファ109,110,メモリコントローラ111,バス制御部112〜114,ハードディスクコントローラ(HDDC)115,網制御ユニット(NCU)116,通信制御ユニット(CCU)117,モデム118を備えている。
【0018】
そしてCPU106は、ROM105等に格納されている所要の制御プログラムを実行することにより、システム制御部100の機能に関する制御処理を行う。ROM105には、CPU106が実行する制御プログラムが格納されている。これを書き換え可能な不揮発メモリで構成し、プログラムをアップデートできるようにしてもよい。RAM104は、CPU106が使用する作業用メモリである。NVRAM103は、不揮発性記憶手段であり、デジタル複合機10全体で使用する設定やパラメータ等の情報を記憶する記憶手段である。ネットワークI/Fコントローラ107は、デジタル複合機10とローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークとの接続を制御する。
【0019】
システムI/F108は、CPU106の命令によりシステム制御部100内で処理される、FAXデータ、プリントデータ等のデータの転送を制御する。ワークメモリ101は、プリントアプリケーションの機能で使用する画像展開の作業用メモリとして用いる記憶手段である。フレームメモリ102は、後述する画像読み取りユニット304で読み取ったり画像書き込みユニット303による書き込みに使用したりする画像のイメージデータ(画像データ)を蓄える作業用メモリとして用いる記憶手段である。画像データは、符号化されたドットイメージ等である。
【0020】
FIFOバッファ109は、画像入出力部300からシステム制御部100に入力する画像データをフレームメモリ102に書き込む際の転送速度を変換する。FIFOバッファ110は、フレームメモリ102の画像データを画像入出力部300に出力する際の転送速度を変換する。
メモリコントローラ111は、CPU106の制御によらずフレームメモリ102及びHDDC115への画像データバス/制御コマンドバス400からの画像データ等の入出力を制御する。
【0021】
バス制御部112,113,114は、画像データバス/制御コマンドバス400を介したデータの転送を制御する。なお、画像データバス/制御コマンドバス400は、画像データを制御コマンドとを時分割で転送するバスである。
HDDC115は、内部に周知のHDD(ハードディスクドライブ)を持ち、HDDへの画像データの入出力を制御する。HDDには、画像読み取りユニット304で読み取ったり、ネットワーク経由で取得したり、FAX受信したりした画像データ等を記録する。
【0022】
NCU116は、デジタル複合機10をISDN(Integrated Services Digital Network),PSTN(Public Switched Telephone Networks)等の公衆回線網に接続するためのユニットである。
CCU117は、公衆回線網を介したファクシミリ送受信時の通信制御を司るユニットである。
モデム118は、ファクシミリ送受信時の画像データ等の変調と復調を行う変調/復調装置と各種トーンの出力及び検出を行う。
【0023】
また、操作パネル部200は、デジタル複合機10の動作の設定操作を受け付けたり、動作の状態を表示したりする操作パネル及びその制御部であり、入力装置201,表示装置202,ROM203,CPU204,RAM205,バス制御部206を備えている。
そして、CPU204は、ROM203に格納されている所要の制御プログラムを実行することにより、操作パネル部200の機能に関する制御処理を行う。ROM203には、CPU204が実行する制御プログラムが格納されている。RAM205は、CPU204が使用する作業用メモリである。入力装置201は、ユーザが種々の設定操作や動作指示を行うための操作子やタッチパネル等である。表示装置202は、ユーザにデジタル複合機10における設定内容や動作の状態を報知するためこれらの情報を表示する、液晶ディスプレイや発光ダイオード等の表示手段である。バス制御部206は、画像データバス/制御コマンドバス400を介したデータの転送を制御する。
【0024】
画像入出力部300は、原稿の画像の読み取りや転写用紙への画像書き込みを行う機能を有する。また、画像入出力部300は、バス制御部301,302,画像書き込みユニット303,画像読み取りユニット304,CPU305,電子写真プロセスユニット306,転写紙搬送制御ユニット307,RAM308,ROM309,原稿搬送制御ユニット310,地紋認識ユニット311,画像加工ユニット312を備えている。
【0025】
そして、バス制御部301,302は、画像データバス/制御コマンドバス400を介したデータの転送を制御する。
CPU305は、ROM309に格納されている所要の制御プログラムを実行することにより、画像入出力部300の動作を制御する制御処理を行う。ROM309には、CPU305が実行する制御プログラムが格納されている。RAM308は、CPU305が使用する作業用メモリである。
【0026】
画像書き込みユニット303は、レーザ光を画素周波数で点灯し、感光体をポリゴンスキャナでスキャンする公知の光学書き込みユニットである。
画像読み取りユニット304は、画像読取手段であり、原稿で反射したランプの光をCCD(電荷結合素子)で読み取る公知の光学式スキャナである。また画像読み取りユニット304は画像処理を行い可視及び不可視の識別子を画像データから分離する。画像データから分離された識別子は、CPU305でコード化されてシステム制御部100に送られ、ネットワーク上に存在する画像機器やコンピュータの特定に使用される。
【0027】
原稿搬送制御ユニット310は、原稿台等に載置された複数の原稿から画像読み取りユニット304が読み取る原稿を1枚ずつ画像読み取りユニット304に搬送する。また、原稿搬送制御ユニット310は、原稿のサイズ検出も行う。
電子写真プロセスユニット306は、感光体上にレーザ光で書き込まれた静電潜像をトナーで可視化し転写紙に転写、定着する、周知の電子写真技術による画像形成を行う。
転写紙搬送制御ユニット307は、電子写真プロセスユニット306で画像を転写する転写紙を電子写真プロセスユニット306へ搬送する。
【0028】
地紋認識ユニット311は、地紋認識手段であり、画像読み取りユニット304で読み取られた画像中の地紋パターンを認識する。画像読み取りユニット304で読み取られ、二値化された画像データは、地紋認識ユニット311に送られ、地紋認識ユニット311は、その画像データに対して、その画像データが特定の地紋パターンを含むか否かを検出する地紋認識処理を行う。そして、その結果を画像読み取りユニット304に送信する。
【0029】
画像加工ユニット312は、画像読み取りユニット304が読み取った画像を、原稿の内容が認識できないように加工するユニットである。画像読み取りユニット304は、読み取った画像中に地紋認識ユニット311が特定の地紋パターンを検出した場合に、この画像加工ユニット312により、その画像のうち少なくとも特定の地紋のある部分を、原稿の内容が認識できないように加工するようにしている。この加工の内容は、例えば、地紋パターンを検出した部分を特定のパターンで塗りつぶす、白ベタにする、等が考えられる。
なお、具体的に画像のどの部分をどのように加工するか等について設定項目を設け、ユーザがこれらの設定を行うことができるようにするとよい。また、地紋認識自体を行うか否かについても、ユーザが設定できるようにするとよい。
【0030】
以上のようなデジタル複合機10は、FAX装置として機能する場合、画像読み取りユニット304により送信すべき原稿の画像を読み取り、設定に応じて、地紋認識ユニット311によりその画像中の地紋パターンを認識し、特定の地紋を認識した場合には、その画像のうち少なくとも上記特定の地紋のある部分を、原稿の内容が認識できないように加工してシステム制御部100に渡し、CCU117によりその加工後の画像のデータをFAX送信することができる。
【0031】
次に、この点に関連する構成や動作についてより詳細に説明する。
まず、図2を用いて地紋認識ユニット311における地紋パターンの認識処理について説明する。
ここで使用する地紋パターンは、ドットの配置に特徴があり、ドットパターンが連続して形成されるパターンである。例えば、散点状、格子状、模様状等のドット群の繰り返しであり、文書の背景、すなわち、文字や図等の部分を除き、原稿が白紙である場合には白で残される領域に一様に形成されたものである。
このようなドットは、予め用紙に印刷されていてもよいし、プリンタ等により用紙に画像を形成する際に、本来形成すべき画像に加えて形成することもできる。
【0032】
そしてここでは、このような地紋パターンを検出する地紋認識ユニット311には、孤立ドット検出部501,位相情報記憶部502,パターンマッチング部503,及び地紋検出部504を備えている。
そして、地紋パターンの検出を行う際には、画像読み取りユニット304で読み取られ、二値化された画像データは、孤立ドット検出部501に転送される。
【0033】
孤立ドット検出部501では、入力された画像データのうち主走査d画素×副走査lラインの領域505に含まれる孤立画素を検出する。孤立画素の検出結果は、画像データと共に位相情報記憶部502に転送される。
位相情報記憶部502では、孤立ドット検出部501における孤立画素の検出結果から、主走査方向にd画素×所定値B=Bd画素,副走査方向にlライン×所定値L=Llライン分のブロック506内での孤立画素の位置関係を記憶する。
【0034】
そして、パターンマッチング部503では、位相情報記憶部502が記憶したBd×Llのブロック506中における孤立画素の位置情報と、所定の地紋パターン507とのマッチングを行い、マッチング結果を地紋検出部504に転送する。
地紋検出部504では、副走査ライン中で所定のn個のパターンとマッチングした場合に、その部分に所定の地紋パターンがあったと認識し、その旨の検出信号を画像読み取りユニット304に送信する。
【0035】
以上のような地紋認識ユニット311によれば、画像読み取りユニット304で読み取られた画像データが、所定の地紋パターンを含むか否か、また含む場合にその位置を認識してその内容を画像読み取りユニット304に出力することができる。
なお、孤立ドット検出部501及びパターンマッチング部503において孤立画素の検出及びマッチングを行うためには、原稿読み取り時の解像度が所定以上であることが必要であり、データの解像度がそれ以下の場合には、画素の干渉のため、地紋パターンが検出できなくなってしまう。これを防止するためには、パターンを構成するドット(あるいは線)のサイズを、FAX送信やコピーを行う際に原稿をスキャンして得た画像データを解析して検出可能な程度のサイズとすればよい。また、あまり目立たない小さいサイズのドットでも検出できるよう、地紋認識を行う際にはスキャンの解像度を高くすることも考えられる。
【0036】
次に、図3乃至図5を用い、特定の地紋パターンが形成されている原稿と地紋パターンを有しない原稿とを、デジタル複合機10の画像読み取りユニット304により読み取った場合の読み取り画像の違いについて説明する。
まず、図3に示すような、全面に地紋パターンが形成されている原稿511を画像読み取りユニット304で読み取った場合、地紋認識が有効であれば、地紋認識ユニット311により全面に地紋パターンが形成されていることが認識され、画像加工ユニット312により、読み取り画像データが、画像全面の内容が認識できないように加工され、加工後の画像512(の画像データ)が以降のFAX送信等の処理に供される。なお、図では濃い色のベタパターンに加工した例を示しているが、白ベタでよいことは、もちろんである。また、地紋認識が無効であれば、原稿画像を読み取ったままの、原稿画像と同様な地紋パターンを含んだ画像513が以降の処理に供される。
【0037】
また、図4に示すような、地紋パターンが形成されていない原稿514を画像読み取りユニット304で読み取った場合、地紋は認識されないため、地紋認識が有効であっても無効であっても、画像は特に加工されず、原稿画像を読み取ったままの、画像515,516が以降の処理に供される。
【0038】
また、図5に示すような、一部に地紋パターンが形成されている原稿517を画像読み取りユニット304で読み取った場合、地紋認識が有効であれば、地紋認識ユニット311により一部に地紋パターンが形成されていることが認識される。この場合、画像加工ユニット312による画像の加工は、地紋パターンが検出された画像読取方向(副走査方向)の範囲についてのみ行うようにしても良いし(画像518)、全面について行うようにしても良い(画像519)。その他にも、領域の形は問わず、地紋パターンが検出された部分のみについて行うようにしてもよい。
いずれにせよ、加工後の画像が以降の処理に供される。これらの中間の対応も可能であり、種々の加工モードからユーザが選択できるようにするとよい。地紋認識が無効の場合には、原稿画像を読み取ったままの、原稿画像と同様な地紋パターンを含んだ画像520が以降の処理に供される。
【0039】
次に、図6乃至図11を用いて、デジタル複合機10において地紋パターン検出有無を設定する処理について説明する。
まず、図6に、CPU106が実行する地紋パターン検出有無の設定に係る一連の処理のフローチャートを示す。各ステップの間の矢印は、ユーザが行う操作を示す。また、操作の検出や表示器の駆動の処理は、CPU204が行うが、この点の説明は省略する。
【0040】
そして、この処理においてはまず、ユーザが図7に示すような操作パネル600で、入力装置201を構成する初期設定ボタン601を押下すると、表示装置202を構成する液晶表示部602に、初期設定画面を表示させる(S11)。
この初期設定画面は、概ね図8に示すような画面であり、タブ611により、設定を行うカテゴリを選択できる。そして、このうち管理者用設定についてだけは、認証コードによりユーザを認証した場合のみ、図8に示すようなタブの下側の設定画面を表示するようにしている。
【0041】
そこで、ユーザが初期設定画面において管理者用設定タブ612を選択すると、図9に示すような認証コード入力画面620を表示し、管理者ID及び認証コードの入力を受け付ける(S12)。そして、ユーザがこれらを入力してOKボタン621を押下すると、正しい認証コードが入力されたか否か判断し(S13)、入力されていれば、図8に示すような管理者用設定画面610を表示させる(S14)。入力されていなければ、ステップS12に戻って処理を繰り返す。
なお、認証コードの判断は、例えば、図10に示すような、管理者IDと認証コードの対応関係を示すテーブルをNVRAM103に予め記憶させておき、これを参照して行うようにすることができる。
【0042】
そして、管理者用設定画面610においてユーザが地紋パターン検出ボタン613を押下して地紋パターンの検出についての設定を選択すると、図11に示すような地紋パターン検出設定画面630を表示する(S15)。そして、ここでユーザが検出する/しないをボタン631,632により選択して設定ボタン633を押下した場合、地紋パターン検出有無を、その選択に従って設定し、その内容をNVRAM103に記憶させる(S16)。
【0043】
以上で地紋パターン検出有無の設定に係る一連の処理は終了するが、その後他の項目の設定も同様に可能であり、これらの設定に係る処理を続けてよいことはもちろんである。例えば、デジタル複合機10においては、後述するプレスキャンの有無や、地紋を検出した場合に画像の送信自体を禁止するか否かの設定を行うこともできるようにしている。これらの設定内容も、NVRAM103に記憶させる。
【0044】
ところで、デジタル複合機10においては、FAX機能につき、画像読み取りユニット304により読み取った画像を一旦HDDC115に格納してから指定された送信先に送信するメモリ送信と、画像読み取りユニット304による画像の読み取り中に、画像データをバッファしながら画像の送信を開始する同時送信との、2つのモードで送信を行うことができるようにしている。同時送信モードでは、原稿の読み取り完了を待たずに送信を開始できるため、送信時間を短縮でき、この点で利便性が高い。
【0045】
次に、デジタル複合機10において、CPU106が、上記のメモリ送信モード及び同時送信モードから選択されたモードにより、画像読み取りユニット304で読み取った画像のデータを送信する際に実行する処理について説明する。
図12及び図13が、その処理のフローチャートである。なお、画像読み取りユニット304,地紋認識ユニット311及び画像加工ユニット312の駆動の処理は、CPU305が行うが、この点の説明は省略する。
【0046】
CPU106は、ユーザが送信すべき原稿を原稿搬送制御ユニット310あるいはコンタクトガラス等、画像読み取りユニット304による読み取りに供する位置にセットし、送信先を指定して原稿の送信を指示すると、図12のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、まずステップS21で、同時送信モードか否か判断する。そして、ここで同時送信モードでなければ、メモリ送信モードであるので、このモードでの送信処理を行うべく、ステップS22以下に進む。
【0047】
この部分の処理においては、まずステップS22で画像読み取りユニット304により原稿1枚分の画像を読み取り、ステップS23で地紋認識を行う設定であれば、ステップS24で地紋認識ユニット311により地紋認識処理を行う。そして、ここで特定の地紋パターンが検出された場合は、ステップS25からS26に進み、画像加工ユニット312により、地紋部分の内容を認識できないように読み取った画像を加工して、ステップS27でその画像のデータを蓄積用のメモリであるHDDC115に蓄積する。なお、図5の説明で述べたように、ここでの加工は、少なくとも特定の地紋パターンが検出された部分について行えば、具体的にどの部分について行うかについては、種々の選択肢があり得る。
【0048】
ステップS23で地紋認識を行わない設定であったり、ステップS25で特定の地紋パターンが検出されなかった場合には、読み取った画像のデータをそのままHDDC115に蓄積する。
そして、ステップS28で次の原稿があればステップS22に戻って全ての原稿についての読み取りとデータ蓄積が完了するまで処理を繰り返し、その後ステップS29に進む。
【0049】
そして、ステップS29では、HDDC115に蓄積した画像中に加工された画像があったか否か判断する。なお、この判断は、例えば画像データをHDDC115に蓄積する際に、画像の加工を行ったか否かを示す情報も画像データと共に記録しておくようにし、この情報を参照して行うことが考えられる。
そして、ここで加工された画像がなければ、読み取った原稿中に複製を禁止されている原稿はなかったと判断でき、蓄積した画像データの送信を開始して問題ないため、ステップS30に進んで、HDDC115に蓄積した画像データを、指定された送信先に送信し、これが完了すると処理を終了する。
【0050】
また、ステップS29で加工された画像があった場合には、読み取った原稿中に、特定の地紋パターンを含む原稿、すなわち複製を禁止されている原稿が含まれていたと判断できるので、ステップS31で、このような場合でも送信を行う設定になっているか否か判断する。そして、送信を行う設定であれば、ステップS30に進んで上記の場合と同様送信を行う。そうでなければ、送信は行わずに処理を終了する。このとき、その旨のメッセージを表示したり、今回読み取った画像データをHDDC115から消去したりしてもよい。
【0051】
特定の地紋パターンが検出された画像を加工して送信することにより、複製を禁止したい機密情報が漏洩してしまうことを防止できるが、このような機能を設け、特定の地紋パターンが検出された画像の送信自体を禁止できるようにすることにより、より強固に機密情報の漏洩防止を図ることができる。なお、読み取った画像を単に蓄積したり、あるいは画像形成出力したりする場合にも、同様な対応を行うことが考えられる。
【0052】
図12の説明に戻ると、ステップS21で同時送信であった場合には、ステップS32で、プレスキャンを行う設定になっているか否か判断する。ここで、プレスキャンとは、原稿送信のための画像の読み取りの前に、同じ原稿について別途地紋確認のために行う画像の読み取りである。このようなプレスキャンは、原稿搬送制御ユニット310に、プレスキャンのために画像読み取りユニット304に給紙した原稿を、続けてもう一度原稿送信のための読み取りのために画像読み取りユニット304に給紙する機能を設けることにより、実現できる。あるいは、コンタクトガラスの圧板に、開閉を検知する機能を設け、圧板が閉じられ、原稿が入れ替えられていないことが確認できる状態で、プレスキャンと原稿送信のための読み取りとを続けて行うようにすることによっても実現できる。
【0053】
そして、ステップS32でプレスキャンを行う設定になっていれば、ステップS33で原稿のプレスキャン及びそのスキャンで得られた画像に対する地紋認識処理を行う。プレスキャンは、地紋確認のために行う画像の読み取りであるから、プレスキャンを行う場合には、地紋認識有無の設定内容に関わらず、地紋認識も行うようにしている。
そして、ここで特定の地紋パターンが検出されなければ、読み取った原稿は特に送信を禁止する必要があるものではなく、通常通り送信を行ってしまってよいため、ステップS34からステップS35以下に進み、同時送信の処理を行う。
【0054】
すなわち、ステップS35で画像読み取りユニット304により所定ライン数の原稿読み取りを行い、ステップS36でその読み取った画像のデータを送信バッファに蓄積する。そして、ステップS37でその蓄積したデータを指定された送信先に送信する。そして、ステップS38で1枚分の画像の読み取りが完了していなければステップS35に戻って1枚分の原稿について読み取りと送信が完了するまで処理を繰り返し、その後ステップS40に進む。また、ステップS40では次の原稿があればステップS32に戻って処理を繰り返し、なければ処理を終了する。
【0055】
一方、ステップS34で特定の地紋パターンが検出された場合には、ステップS39に進み、特定の地紋パターンが含まれている場合でも送信を行う設定か否か判断する。この判断は、ステップS31と同じ項目の設定内容に基づいて行うことができる。
そして、送信を行う場合には、図13のステップS41以下に進み、ステップS48までの処理を繰り返すことにより、地紋部分の内容を認識できないように読み取った画像を加工した画像を、指定された送信先に送信する。
【0056】
すなわち、ステップS41で画像読み取りユニット304により所定ライン数の原稿読み取りを行い、ステップS42乃至S45で地紋部分の内容を認識できないように読み取った画像を加工し、ステップS46でその加工後の画像データを送信バッファに蓄積し、ステップS47でその蓄積したデータを指定された送信先に送信する。そして、ステップS48で1枚分の画像の読み取りが完了していなければステップS41に戻って1枚分の原稿について読み取りと送信が完了するまで処理を繰り返す。
【0057】
なお、ここでは図12のステップS32でNOの場合と処理を共通化するためにステップS42乃至S44の処理を設けているが、ステップS39でYESの場合には、地紋認識を行うし、既に原稿のうち所定の地紋パターンが形成されている領域がどこであるかわかっているはずであるから、ステップS45の処理にこの情報を利用するようにすれば、ステップS42乃至S44の処理は省略して構わない。ステップS45で行う加工の内容については、ステップS26の場合と同様である。
【0058】
また、ステップS32でプレスキャンを行わない設定であった場合には、そのまま図13のステップS41以下の処理に進み、地紋認識を行うのであれば地紋部分の内容を認識できないように読み取った画像を加工し、その加工後の画像データを指定された送信先に送信する処理を行う。ただしこの場合には、最初に地紋を認識した時点でまだ送信していない箇所についてしか、送信する画像の加工を行うことができない。
なお、以上の処理において、ステップS24,S33,S43が地紋認識手順の処理、ステップS25,S26,S44,S45が画像加工手順の処理である。
【0059】
以上説明してきたデジタル複合機10においては、以上のような処理を行うことにより、画像の送信を行う際に、送信すべき画像中に特定の地紋を認識した場合には、その画像のうち少なくともその特定の地紋のある部分を、原稿の内容が認識できないように加工して送信に供することができる。従って、外部への送信を禁止したい機密情報を記載する場合に、上記の特定の地紋を付しておくことにより、その内容がわかる状態で外部に送信されてしまうことを防止し、機密情報の漏洩防止を図ることができる。
【0060】
また、特定の地紋を認識した画像読取方向の範囲について、原稿の内容が認識できないようにする加工を行うようにすれば、送信を禁止しなくてよい部分については、内容がわかる状態で送信することができ、状況に合わせた細やかな対応が可能になる。また、画像読取方向の範囲で加工を行う部分と行わない部分を区別するようにすれば、同時送信の場合にも対応が容易である。
【0061】
なお、画像を送信する場合、送信状等に送信枚数を表示したり、各頁にページ番号を付したりすることがよく行われる。従って、機密漏洩防止のためとはいえ、地紋を検出した原稿を間引いてしまうと、送信枚数やページ番号が合わず、画像の受信者が困惑する恐れがある。そこで、一連の原稿を送信するのであれば、特定の地紋を検出した頁についても、枚数が変わらないよう、加工した原稿の送信を行うことが好ましい。
【0062】
しかし、一方で、メモリ送信モードにおいて、読み取った画像中に特定の地紋を認識した場合には、メモリに蓄積した画像の送信を禁止することができるようにしているため、一層強固に機密情報の漏洩防止を図ることができる。
また、同時送信モードにおいて、送信のための画像の読み取りの前に、同じ原稿について別途地紋確認のための画像の読み取りを行い、その結果に応じて画像の加工や送信の禁止を行うことができるようにしているため、読み取った原稿をすぐに送信してしまう場合でも、上記のメモリ送信の場合と同様に機密情報の漏洩防止を図ることができる。
【0063】
同時送信の場合には、画像の読み取りを完了する前に送信を開始してしまうため、原稿送信のための画像の読み取りの際に地紋の認識を行うとすると、まだ読み取りを完了していない部分に特定の地紋パターンがあるか否かがわからない状態で送信を行うことになってしまう。従って、送信する原稿のうち読取方向で後ろの方に地紋がある場合、例えば特定の地紋パターンのある画像の全面を加工して送信したり、特定の地紋パターンのある画像の送信を禁止したりといった対応に不都合が生じる場合があるため、このような対応をしたものである。
【0064】
なお、上述した処理においては、同時送信の場合、ステップS39でNOの場合でも次の原稿があれば送信する例について説明したが、ステップS39でNOの場合にただちに処理を終了するようにしてもよい。また、メモリ送信の場合でも、特定の地紋を検出した場合に送信を行わないのであれば、地紋を認識した時点で直ちに処理を終了するようにしてもよい。
また、同時送信には、読み取った画像のデータを、送信のタイミング管理に必要な程度だけバッファに蓄積してほぼ読み取りと同時に送信を行う即時送信と、最終的には読み取った画像のデータを蓄積するが、読み取りが完了する前に送信を開始するクイックメモリ送信とを含む。ここでは前者の即時送信の例を示しているが、後者のクイックメモリ送信についても、画像データの送信タイミングを変更すれば、同様な処理を適用可能である。
【0065】
〔第2の実施形態:図14〕
次に、この発明の画像送信装置及び画像送信方法の第2の実施形態について説明する。
この実施形態の画像送信装置は、第1の実施形態で説明したデジタル複合機10と、主として図12及び図13に示した処理に該当する部分が異なるのみであるので、相違点以外についての説明は省略する。また、符号についても、第1の実施形態と対応する部分には同じ符号を用いる。
この実施形態においては、デジタル複合機10のCPU106は、原稿の送信が指示された場合、第1の実施形態で図12及び図13を用いて説明した処理に代えて、図14に示す処理を行う。
【0066】
この処理は、ステップS21乃至S31のメモリ送信に関する処理については図12に示した処理と同様なものであるが、同時送信の場合の処理が図12の場合と異なる。
そして、同時送信の場合、ステップS51で、地紋認識を行う設定がなされているか否か判断し、地紋認識を行わない場合には、そのまま送信してしまってよいので、ステップS52乃至S56で、図12のステップS35乃至S38及びS40の場合と同様に、送信すべき原稿を全て同時送信モードで送信する。
【0067】
一方、ステップS51で地紋認識を行う設定がなされている場合には、ステップS57に進み、同時送信モードでは地紋認識による機密文書漏洩防止が不十分になる可能性がある旨の警告を操作パネル600の液晶表示部602に表示し、メモリ送信モードに切り替えるよう促す。そして、ステップS58で、液晶表示部602に表示したボタン等によりメモリ送信モードへの切り替え指示を受け付ける。この受け付けは、一例としては、切り替えと送信中止の2択でよい。
そして、ステップS59で切り替え指示がなされたか否か判断し、指示がなされていればステップS22に進み、以下のメモリ送信モードの送信処理を行う。また、切り替えない指示(例えば送信中止)がなされていれば、原稿の送信を行わずに処理を終了する。
【0068】
この実施形態のデジタル複合機10においては、以上のような処理を行うことにより、地紋認識の有効が設定された場合に同時送信モードによる原稿の送信を禁止することができる。
上述の通り、同時送信の場合には、画像の読み取りを完了する前に送信を開始してしまうため、地紋認識有無に応じた漏洩防止の処理を行うのに不都合がある場合がある。従って、地紋認識を行う設定の場合に同時送信モードによる送信を禁止してしまうことも、このような不都合を生じさせず、機密原稿の漏洩を確実に防止するためには、有効である。
【0069】
〔実施形態の変形例〕
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明が上述した各実施形態に限られないことはもちろんである。
例えば、上述した各実施形態では、画像送信装置がデジタル複合機である例について説明したが、これに限られる.ものではない。FAX専用の装置であってもよいし、スキャナにFAX通信機能を設けたような、画像形成手段のない装置であってもよい。
【0070】
また、画像読取機能と、画像送信機能とを、別々の装置に設け、全体として画像送信装置として機能させるような構成にも適用可能である。この場合において、地紋認識手段や画像加工手段は、画像送信機能を有する装置の側に設けてもよい。
あるいは、画像の送信に使用する通信手段も、FAX通信に限られない。例えば、画像データを電子メールに添付して送信したり、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等のネットワーク通信プロトコルを利用して転送したり、画像に係るプリントを実行させるためのプリントデータの形で転送したりといった構成を採る場合でも、この発明は適用可能である。
【0071】
すなわち、画像送信装置は、図15に示すような、ネットワーク20によって接続されるデジタル複合機11,12やスキャナ13,14等の機器として構成することも可能であるし、これらの画像読取手段を備えた装置を制御し、ここで読み取った画像を送信する機能を設けたパーソナルコンピュータ(PC)のような情報処理端末15〜17として構成することも可能である。この場合において、公衆回線21〜24に接続されている装置であれば、ここを介して画像を送信することができるし、ネットワーク20を介して送信してもよい。
また、具体的な装置の構成や、実行する処理の内容が上述したものに限られないのも、もちろんである。各実施形態や変形例で説明した内容が、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用可能であるのも、もちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明してきたように、この発明の画像送信装置又は画像送信方法によれば、原稿の画像を送信する場合において、地紋パターンを利用した書類の漏洩防止を効果的に行うことができる。
従って、この発明を適用すれば、安全性の高い画像送信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明の画像送信装置の第1の実施形態であるデジタル複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した地紋認識ユニットにおける地紋パターンの認識処理について説明するための図である。
【図3】地紋パターンに応じた読取画像の処理について説明するための図である。
【図4】その別の図である。
【図5】その更に別の図である。
【0074】
【図6】図1に示したデジタル複合機のCPUが実行する地紋パターン検出有無の設定に係る一連の処理のフローチャートである。
【図7】そのデジタル複合機の操作パネルの外観を示す図である。
【図8】その操作パネルに表示させる管理者用設定画面の例を示す図である。
【図9】認証コード入力画面の例を示す図である。
【図10】図1に示したデジタル複合機に記憶させる、管理者IDと認証コードの対応関係を示すテーブルの例を示す図である。
【0075】
【図11】地紋パターン検出設定画面の表示例を示す図である。
【図12】図1に示したデジタル複合機のCPUが実行する、画像の読み取り及び送信に係る処理のフローチャートである。
【図13】その続きのフローチャートである。
【図14】第2の実施形態における、図12及び図13と対応する処理のフローチャートである。
【図15】この発明の変形例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
10:デジタル複合機 100:システム制御部 102:フレームメモリ
106,204,305:CPU 111:メモリコントローラ
112〜114,206,301,302:バス制御、 115:HDD
116:NCU 117:CCU 118:モデム 200:操作パネル部
201:入力装置 202:表示装置 300:画像入出力、
304:画像読み取りユニット 311:地紋認識ユニット
312:画像加工ユニット 400:画像データバス/制御コマンドバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取手段が読み取った原稿の画像中の地紋パターンを認識する地紋認識手段と、
前記画像読取手段が読み取った画像を送信する送信手段と、
該送信手段による画像の送信を行う際に、前記画像読取手段が読み取った画像中に前記地紋認識手段が特定の地紋を認識した場合には、その画像のうち少なくとも前記特定の地紋のある部分を、原稿の内容が認識できないように加工して前記送信手段による送信に供する画像加工手段とを設けたことを特徴とする画像送信装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像送信装置であって、
前記画像読取手段が読み取った画像を記憶する記憶手段を設け、
前記送信手段が、前記画像読取手段が読み取った画像を一旦前記記憶手段に記憶させ、その後前記記憶手段から読み出して送信するメモリ送信モードの送信を行う手段を有し、
前記メモリ送信モードにおいて前記画像読取手段が読み取った画像中に前記地紋認識手段が特定の地紋を認識した場合に、前記記憶手段に記憶させた画像の送信を禁止する手段を設けたことを特徴とする画像送信装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像送信装置であって、
前記画像加工手段が、前記地紋認識手段が前記特定の地紋を認識した画像読取方向の範囲について、前記加工を行う手段であることを特徴とする画像送信装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像送信装置であって、
前記送信手段が、前記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を有し、
前記同時送信モードの送信を行う場合は、該送信のための画像の読み取りの前に、同じ原稿について別途地紋確認のための画像の読み取りを行い、前記地紋認識手段がその読み取りで読み取った画像について地紋パターンの認識を行うようにしたことを特徴とする画像送信装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像送信装置であって、
前記地紋確認のための画像の読み取りの際に、読み取った画像中に前記地紋認識手段が前記特定の地紋を認識した場合は、前記同時送信モードの送信を禁止する手段を設けたことを特徴とする画像送信装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像送信装置であって、
前記送信手段が、前記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を有し、
前記地紋認識手段による地紋認識の有効/無効を設定する手段と、
該手段により地紋認識の有効が設定された場合に前記同時送信モードの送信を禁止する手段とを設けたことを特徴とする画像送信装置。
【請求項7】
画像送信装置に、画像読取手段により読み取った原稿の画像を送信させる画像送信方法であって、
前記画像送信装置に、
送信すべき画像中の地紋パターンを認識する地紋認識手順と、
画像の送信を行う際に、前記地紋認識手順で特定の地紋を認識した場合には、その画像のうち少なくとも前記特定の地紋のある部分を、原稿の内容が認識できないように加工して送信に供する画像加工手順とを実行させることを特徴とする画像送信方法。
【請求項8】
請求項7記載の画像送信方法であって、
前記画像送信装置が、
前記画像読取手段が読み取った画像を記憶する記憶手段と、
前記画像読取手段が読み取った画像を一旦前記記憶手段に記憶させ、その後前記記憶手段から読み出して送信するメモリ送信モードの送信を行う手段とを有する画像送信装置であり、
該画像送信装置に、
前記メモリ送信モードにおいて前記画像読取手段が読み取った画像中に前記地紋認識手順で特定の地紋を認識した場合に、前記記憶手段に記憶させた画像の送信を禁止する手順を実行させるようにしたことを特徴とする画像送信方法。
【請求項9】
請求項7記載の画像送信方法であって、
前記画像加工手順が、前記地紋認識手順で前記特定の地紋を認識した画像読取方向の範囲について、前記加工を行う手順であることを特徴とする画像送信方法。
【請求項10】
請求項7記載の画像送信方法であって、
前記画像送信装置が、
前記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を有する画像送信装置であり、
該画像送信装置に、
前記同時送信モードの送信を行う場合は、該送信のための画像の読み取りの前に、同じ原稿について別途地紋確認のための画像の読み取りを行わせ、該読み取りの際に、前記地紋認識手順による地紋パターンの認識を行わせるようにしたことを特徴とする画像送信方法。
【請求項11】
請求項10記載の画像送信方法であって、
前記画像送信装置に、前記地紋確認のための画像の読み取りの際に、読み取った画像中に前記地紋認識手順で前記特定の地紋を認識した場合は、前記同時送信モードの送信を禁止させるようにしたことを特徴とする画像送信方法。
【請求項12】
請求項7記載の画像送信方法であって、
前記画像送信装置が、
前記画像読取手段による画像の読み取り中にその画像の送信を開始する同時送信モードの送信を行う手段を有する画像送信装置であり、
前記画像送信装置に、
前記地紋認識手順による地紋認識の有効/無効を設定する手順と、
前記地紋認識の有効が設定されている場合に前記同時送信モードの送信を禁止する手順とを実行させることを特徴とする画像送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−53706(P2007−53706A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239201(P2005−239201)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】