説明

画像通信装置

【課題】セキュリティを確保しつつ、通信費を削減することが可能な画像通信装置を提供すること。
【解決手段】MFP100によれば、サービス提供装置300に記憶された電子ファイルを受信するためのアクセス情報と、その電子ファイルに含まれる暗号化データを復号化するための復号キーとが、宛先に対応する外部装置250へ、公衆回線網を通じて送信されるので、宛先に対応する外部装置250へ送信すべき画像データのセキュリティを確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、公衆回線網を通じて画像を送受するファクシミリ通信と、ファクシミリ通信のデータ形式に変換した画像をインターネットを介して送受するインターネットFAX通信とを行うことが可能な画像通信装置が知られている。特許文献1には、通信相手に応じて、ファクシミリ送信及びインターネットFAX送信を選択して同報通信する画像通信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−344686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファクシミリ送信は、例えば、インターネットFAX送信のようにネットワークを経由するデータ通信に比べて、通信速度が遅いため、通信費が高くなる。特に、送信する画像のデータ量が多い場合、通信時間が非常に長くなり、通信費が非常に高くなる。一方、ネットワークを経由するデータ通信は、ファクシミリ送信に比べて通信速度が速く、通信費は安いが、画像データがネットワークを通じて送信されるため、データの漏洩が生じやすく、ファクシミリ送信に比べてセキュリティが低い。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、セキュリティを確保しつつ、通信費を削減することが可能な画像通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の画像通信装置は、ネットワーク上のサーバと通信可能であり、且つ、公衆回線網を通じて1以上の外部装置と通信可能な装置であって、宛先の指定を受け付ける宛先受付手段と、原稿を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた原稿に基づいて画像データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された画像データを暗号化した暗号化データを生成する暗号化データ生成手段と、前記暗号化データ生成手段により生成された前記暗号化データを前記サーバへ送信し、前記サーバに記憶させる第1送信手段と、前記サーバに記憶された前記暗号化データを前記サーバから受信するためのアクセス情報と、前記暗号化データを復号化するための復号キーとを、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置へ、前記公衆回線網を通じて送信する第2送信手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明は、画像通信装置を制御する制御装置、画像通信装置において実行されるプログラム、該プログラムを記録する記録媒体、画像通信方法、画像通信システム等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の画像通信装置によれば、サーバに記憶された暗号化データを受信するためのアクセス情報と、暗号化データを復号化するための復号キーとが、宛先に対応する外部装置へ、公衆回線網を通じて送信されるので、宛先に対応する外部装置へ送信すべき画像データのセキュリティを確保できるという効果がある。また、外部装置へ送信すべき画像データのデータサイズが大きい場合であっても、その画像データを暗号化した暗号化データはサービス提供装置を介して外部装置へ送信されるので、公衆回線網を通じた通信に要する通信費を削減できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の画像通信装置によれば、請求項1記載の画像通信装置の奏する効果に加え、暗号化データをサーバへ送信したことを条件として、公衆回線網を通じた通信が開始されるので、公衆回線網を通じた通信を開始してから暗号化データをサーバへ送信する場合に比較して、通信時間を短縮し、通信費を削減できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の画像通信装置によれば、請求項1または2に記載の画像通信装置の奏する効果に加え、外部装置がサーバから暗号化データを受信できない場合であっても、宛先に対応する外部装置に、画像データを受信させることができるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の画像通信装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像通信装置の奏する効果に加え、外部装置がサーバと通信可能である場合に、アクセス情報と復号キーとが公衆回線網を通じて外部装置へ送信されるので、不必要にアクセス情報と復号キーとが送信されることを抑制できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の画像通信装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の画像通信装置の奏する効果に加え、宛先に対応する外部装置から、暗号化データの受信完了を示す送達情報を受信したことを条件として、暗号化データをサーバに削除させるので、暗号化データが不必要にいつまでもサーバに記憶されていることを防止し、セキュリティをより高めることができるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の画像通信装置によれば、請求項5記載の画像通信装置の奏する効果に加え、公衆回線網を通じて通信を開始してから、その通信を終了するまでの間に、アクセス情報および復号キーが、宛先に対応する外部装置へ送信されるので、画像通信装置と外部装置との間で何度も通信を確立する場合に比較して、通信費を削減できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の画像通信装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の画像通信装置の奏する効果に加え、公衆回線網を通じて受信されるアクセス情報に基づいて、サーバから暗号化データが受信され、且つ、公衆回線網を通じて受信される復号キーによりその暗号化データが復号化されるので、高いセキュリティが得られるという効果がある。
【0015】
請求項8記載の画像通信装置によれば、請求項7記載の画像通信装置の奏する効果に加え、サーバと通信可能であることを示す通信情報を外部装置へ送信することにより、公衆回線網を通じて、アクセス情報と復号キーとを受信できるという効果がある。
【0016】
請求項9記載の画像通信装置によれば、請求項7または8に記載の画像通信装置の奏する効果に加え、暗号化データの受信が完了したことを、アクセス情報と復号キーとの送信元の外部装置へ知らせることができるという効果がある。
【0017】
請求項10記載の画像通信装置によれば、請求項9記載の画像通信装置の奏する効果に加え、公衆回線網を通じた通信の開始から、その通信が終了するまでの間に、アクセス情報及び復号キーが受信されるので、画像通信装置と外部装置との間で何度も通信を確立する場合に比較して、通信費を削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態であるMFPの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】MFPと、中継装置と、サービス提供装置との間における情報の流れを説明する図であって、MFPがサービス提供装置へ電子ファイルをアップロードする処理を説明するシーケンス図である。
【図3】MFPと、外部装置と、中継装置と、サービス提供装置との間における情報の流れを説明する図であって、MFPが被呼側の外部装置へアクセス情報と復号化キーとを送信し、外部装置が電子ファイルを受信する処理を説明するシーケンス図である。
【図4】MFPにおいて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図5】MFPにおいて実行されるサーバ経由FAX送信処理を示すフローチャートである。
【図6】MFPにおいて実行されるFAX受信処理を示すフローチャートである。
【図7】MFPにおいて実行されるサーバ経由受信処理を示すフローチャートである。
【図8】MFPにおいて実行されるサーバ経由受信処理の続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像通信装置の一実施形態である多機能装置(Multi Function Peripheral以下、MFPと称する)100の電気的構成を概略的に示すブロック図である。MFP100と、サービス提供装置300と、中継装置500とは、ネットワーク400を介して接続され、互いにデータの送受信を行う。ネットワーク400は、例えば、インターネット網で構成される。
【0020】
MFP100は、ネットワーク400上に設置されるサービス提供装置300や、中継装置500と通信可能であり、且つ、公衆回線網200を通じて1以上の外部装置250との間でFAX送受信を行うことができる。特に、本実施形態のMFP100は、高解像度の画像データを暗号化してサービス提供装置300に送信する一方、サービス提供装置300から暗号化データを受信するためのアクセス情報と、暗号化データを復号化するための復号キーとを、公衆回線網200を通じて外部装置250へ送信することにより、外部装置250に高解像度の画像データを受信させる。これにより、MFP100は、セキュリティを確保しつつ、通信費を削減できるように構成されている。以下、詳細を説明する。
【0021】
MFP100は、CPU101、ROM102、RAM103、フラッシュメモリ104、インターネットインターフェイス(インターネットI/F)105、プリンタ106、スキャナ107、入力部108、液晶表示装置(LCD)109、モデム110、NCU111を主に有し、これらはバスライン112を介して互いに接続されている。
【0022】
CPU101は、ROM102やフラッシュメモリ104に記憶されているプログラムに従って処理を実行する。ROM102は、MFP100の動作を制御するプログラムや固定値などを格納するメモリである。RAM103は、CPU101の処理に必要な情報を一時的に記憶するメモリであり、電子ファイル送信完了フラグ103aを備える。電子ファイル送信完了フラグ103aは、宛先の外部装置250が、暗号化データを含む電子ファイルを正常に受信できた場合に、オンに設定される。また、その電子ファイルの削除をMFP100からサービス提供装置300へ要求した後、オフに設定される。フラッシュメモリ104は、書換え可能な不揮発性のメモリであり、通信プログラム104aを格納する。CPU101は、通信プログラム104aに従って、図4を参照して後述するメイン処理を実行する。
【0023】
インターネットI/F105は、ネットワーク400を介して他の装置と通信を行うための装置であり、周知のネットワークカードを採用できる。プリンタ106は、外部装置250から受信した画像データやサービス提供装置300から受信した電子ファイルに基づいて、画像の印刷を行う装置である。スキャナ107は、原稿を読み取る装置である。入力部108は、FAX送信に係る宛先の指定を受け付けるためのテンキーや、MFP100に指示や情報を入力するためのタッチパネルで構成される。
【0024】
モデム110は、FAX送信すべき画像データを、公衆回線網200に伝送可能な信号に変調してNCU111を介して送信し、または、公衆回線網200からNCU111を介して受信した信号を画像データへ復調するものである。NCU111は、公衆回線網200とMFP100との間を接続するものであり、回線を閉結または切断することにより、外部装置250との間の接続状態を制御する。
【0025】
なお、図面を簡略化するために、図1には、外部装置250を1台のみ図示するが、公衆回線網200を介してMFP100とFAX送受信可能な外部装置250は多数台存在する。外部装置250は、MFP100と同一の構成を有していても良く、異なる構成を有していても良い。ここで、外部装置250がMFP100と同一の構成を有する場合とは、外部装置250が少なくとも後述するサーバ経由受信処理(図7)を実行可能な装置である場合である。
【0026】
サービス提供装置300は、電子ファイル格納サービスを提供するサービス事業者によって設置されるWebサーバである。MFP100は、中継装置500を介して、サービス提供装置300が提供する電子ファイル格納サービスを利用するが、詳細は図2を参照して後述する。
【0027】
中継装置500は、周知のサーバ機能を持った装置であり、MFP100とサービス提供装置300との間の通信を中継するためのサービス中継プログラム(図示せず)がインストールされている。中継装置500は、サービス中継プログラムに従って、サービス事業者が公開するAPIを利用したHTTPメッセージを作成し、サービス提供装置300へ送信することにより、サービス提供装置300からデータを受信する。また、中継装置500は、サービス提供装置300から受信したデータを、MFP100へ送信する。
【0028】
図2は、MFP100と、中継装置500と、サービス提供装置300との間における情報の流れを説明する図であって、暗号化データを含む電子ファイルをMFP100からサービス提供装置300へアップロードする処理を説明するシーケンス図である。
【0029】
まず、MFP100は、スキャナ107により原稿を読み取り、高解像度の画像データを生成する(D201)。次に、MFP100は、高解像度の画像データを暗号化した暗号化データを生成する(D202)。この暗号化は、例えば、DES(Data Encryption Standard)、AES(Advanced Encryption Standard)など、公知のアルゴリズムを利用することで、実現できる。
【0030】
次に、MFP100は、HTTPメッセージであるアップロード先URL取得要求を、中継装置500に送信する(D203)。アップロード先URL取得要求を受信した中継装置500は、サービス提供装置300のサービス事業者により公開されているAPIを利用したアップロード先URL取得要求を作成し、サービス提供装置300に送信する(D204)。一方、サービス提供装置300は、中継装置500からの要求を受けて、アップロード先URLを中継装置500に送信する(D205)。
【0031】
次に、中継装置500は、サービス提供装置300へのアップロード要求を行うためのアップロードメッセージのテンプレートを作成し(D206)、アップロード先URLと共に、MFP100へ送信する(D207)。アップロードメッセージは、具体的にはHTTPのリクエスト・メッセージである。アップロードメッセージのヘッダに入れる情報や、リクエストボディに入れる情報の種類や情報の数はサービス毎に異なるが、本実施形態によれば、中継装置500がアップロードメッセージのテンプレートを作成するので、MFP100は、そのテンプレートに従い、サービス提供装置300が要求する形式のアップロードメッセージを作成できる。なお、MFP100は、D201で読み取った原稿の枚数分だけ、アップロード先URL取得要求を送信することにより、原稿の枚数分のアップロード先URLを取得する。
【0032】
次に、MFP100は、原稿を読み取ることにより生成した暗号化データを含むJPEG形式の電子ファイルを作成し、アップロードメッセージに格納する。なお、MFP100は、1のアップロードメッセージに、1の電子ファイルを格納する。そして、アップロードメッセージをサービス提供装置300にアップロード(送信)する(D208)。
【0033】
一方、サービス提供装置300は、MFP100から受信したアップロードメッセージに従い、電子ファイルをアルバムIDに関連付けて記憶する。なお、1台のMFP100から複数のアップロードメッセージがアップロードされた場合、サービス提供装置300は、それら複数のアップロードメッセージに含まれる複数の電子ファイルを、1つのアルバムIDに関連付けて記憶する。次に、サービス提供装置300は、アップロードが完了したことを示すアップロード結果を、MFP100へ送信する(D209)。このアップロード結果には、アップロードされた電子ファイルに関連付けたアルバムIDが含まれる。
【0034】
MFP100は、アップロード結果を中継装置500へ送信し(D210)、中継装置500においてそのアップロード結果を解析させる(D211)。そして、中継装置500は、解読結果をMFP100に送信する(D212)。
【0035】
次に、MFP100は、アルバムIDを含むアルバムURL取得要求を、中継装置500へ送信し(D213)、先に送信した電子ファイルを受信するためのアルバムURLを、中継装置500を介して、サービス提供装置300に要求する(D214)。一方、サービス提供装置300は、アルバムURLを中継装置500を介して(D215)、MFP100へ送信する(D216)。MFP100は、受信したアルバムURLを、アクセス情報としてRAM103に記憶する。
【0036】
このように、MFP100は、中継装置500を介してサービス提供装置300を利用するので、MFP100は、サービス事業者が公開するAPIを利用するためのプログラムを持たなくて良い。また、サービス提供装置300が提供するサービスの種類やAPIは、サービス事業者の都合によって変更される場合があるが、このような変更には、中継装置500においてサービス中継プログラムを更新することで対応でき、MFP100には変更を加えなくても、サービス提供装置300を継続的に利用できる。
【0037】
図3は、MFP100と、外部装置250と、サービス提供装置300と、中継装置500との間における情報の流れを説明する図であって、MFP100が外部装置250へアクセス情報を送信する処理を説明するシーケンス図である。なお、MFP100と外部装置250との間の通信は公衆回線網200を通じて行われ、MFP100と中継装置500との間の通信、および外部装置250とサービス提供装置300または中継装置500との間の通信はネットワーク400を通じて行われる。
【0038】
まず、MFP100は、電話回線を閉結し、入力部108により受け付けた宛先のFAX番号に発呼する(D301)。次に、MFP100は、FAX送信を行うことを示す信号(CNG)を、宛先に対応する外部装置250へ送信する(D302)。一方、宛先の外部装置250は、非標準装置信号(NSF)と、デジタル識別信号(DIS)とを発呼側のMFP100へ送信する(D303)。なお、外部装置250がMFP100と同一の構成を有する場合、外部装置250は、後述するサーバ経由受信処理(図7)を実行可能であることを、NSFで宣言する。
【0039】
次に、MFP100は、独自機能での送信を宣言する信号(NSS)を、外部装置250へ送信し(D304)、また、トレーニングチェック信号(TCF)を送信する(D309)。MFP100は、サービス提供装置300から暗号化データを受信するためのアクセス情報(すなわち、アルバムURL)と、暗号化データを復号化するための復号キーとを、NSSに含めて外部装置250へ送信する。
【0040】
一方、NSSを受信した外部装置250は、NSSからアクセス情報を抽出し、そのアクセス情報を含むアルバムステータス取得要求を中継装置500へ送信する(D305)。アルバムステータス取得要求を受信した中継装置500は、サービス提供装置300のサービス事業者により公開されているAPIを利用したアルバムステータス取得要求を作成し、サービス提供装置300に送信する(D306)。一方、サービス提供装置300は、中継装置500からの要求を受けて、アルバムステータスを中継装置500に送信する(D307)。このアルバムステータスは、アクセス情報に基づいて取得可能なデータの有無を示す情報である。
【0041】
次に、中継装置500は、サービス提供装置300から受信したアルバムステータスを、外部装置250へ送信する(D308)。外部装置250は、アルバムステータスが、取得可能なデータがあることを示す場合、電子ファイルを受信可能であると判断する。一方、アルバムステータスが、取得可能なデータがないことを示す場合、電子ファイルを受信可能ではないと判断する。
【0042】
一方、外部装置250がアルバムステータスを取得するまでの間、MFP100は、定期的にNSSとTCFとを外部装置250へ送信する。MFP100がNSSとTCFとを外部装置250へ送信した場合において、外部装置250がアルバムステータスを取得していない場合、外部装置250は再トレーニングの要求を示すトレーニング失敗信号(FTT)をMFP100へ送信する(D310)。また、MFP100がNSSとTCFとを外部装置250へ送信した場合において(D311,D312)、外部装置250がアルバムステータスを取得済みであり、且つ、そのアルバムステータスに基づいて、電子ファイルを受信可能であることが確認されている場合、外部装置250は、受信の準備を完了したことを示す受信準備確認信号(CFR)をMFP100へ送信する(D313)。
【0043】
また、外部装置250は、NSSから取得したアクセス情報を含む電子ファイルダウンロード要求を作成し、サービス提供装置300に送信する(D314)。ここで、外部装置250が作成する電子ファイルダウンロード要求は、GETメソッドを使ったHTTPメッセージであるものとする。HTTPに基づいた通信を行うサーバは、通常GETメソッドをサポートするので、外部装置250は、サービス提供装置300に対応するためのプログラムがなくても、GETメソッドを使ってサービス提供装置300に電子ファイルを要求できる。
【0044】
そして、外部装置250は、送信した電子ファイルダウンロード要求に含まれるアクセス情報、すなわちアルバムURLで特定されるアルバムIDに関連付けた電子ファイルを、サービス提供装置300からダウンロード(受信)する(D319)。なお、1つのアルバムIDに複数の電子ファイルが関連付けられている場合、外部装置250は、それら電子ファイルの全てをダウンロードする。外部装置250は、電子ファイルに含まれる暗号化データを、NSSから抽出した復号キーにより復号化するが、詳細は図7を参照して後述する。
【0045】
一方、MFP100は、外部装置250からCFRを受信すると、1ページのカバーページデータを外部装置250へ送信し(D315)、ポストメッセージを送信する(D316)。一方、カバーページデータとポストメッセージを受信した外部装置250は、電子ファイルのダウンロードが完了するまでの間、受信不可信号(RNR)をMFP100へ送信することにより、ダウンロードが未完了であることをMFP100に通知する(D317)。MFP100は、RNRを受信した場合には、受信可信号(RR)を送信することにより、受信側である外部装置250の状態を要求する(D318)。なお、D317,D318の通信を実行させるために、発呼側の装置および被呼側の装置(図3の例ではMFP100と外部装置250)とは、共に、誤り訂正方式(ECM)のFAX通信が可能な機器であることが好ましい。
【0046】
このようにして処理を繰り返すうちに、外部装置250において、電子ファイルのダウンロード(受信)を完了した場合、外部装置250は、次の送信データが続いても良いことを示すメッセージ確認信号(MCF)を送信する(D320)。一方、MFP100は、回線切断命令信号(DCN)を送信し(D321)、電話回線を切断する。次に、MFP100は、サービス提供装置300に記憶されている電子ファイルを、サービス提供装置300に削除させるためのアルバム削除要求を、中継装置500を介して(D322)、サービス提供装置300に送信する(D323)。一方、サービス提供装置300は、削除要求に従って、電子ファイルを削除し、その削除結果を中継装置500を介して(D324)、MFP100へ送信する(D325)。
【0047】
本実施形態のMFP100によれば、サービス提供装置300に記憶された電子ファイルを受信するためのアクセス情報と、その電子ファイルに含まれる暗号化データを復号化するための復号キーとが、宛先に対応する外部装置250へ、公衆回線網200を通じて送信されるので、宛先に対応する外部装置250へ送信すべき画像データのセキュリティを確保できる。また、外部装置250へ送信すべき画像データのデータサイズが大きい場合や、ページ数が多い場合であっても、公衆回線網200を通じた通信に要する通信費を削減できる。また、MFP100のユーザにとっては、通常のFAX送信と同様に、宛先のFAX番号を指定すれば良く、ユーザの作業負担を抑制できる。
【0048】
図4は、MFP100において実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、FAX送受信を実行するための処理であって、MFP100の起動後、繰返し実行される。
【0049】
まず、CPU101は、サーバ経由のFAX送信の実行指示が、ユーザによって入力されたか否かを判断する(S402)。S402の判断が肯定される場合(S402:Yes)、CPU101は、サーバ経由FAX送信処理(S404)を実行する。
【0050】
図5は、MFP100において実行されるサーバ経由FAX送信処理を示すフローチャートである。この処理は、読み取った原稿に基づいて生成した暗号化データを電子ファイルに含めてサービス提供装置300へアップロードし、その電子ファイルを受信するためのアクセス情報、および、暗号化データを復号化するための復号キーを宛先の外部装置250へ送信する処理である。なお、この処理の開始前には、ユーザが入力部108から宛先のFAX番号を入力しており、宛先を指定済みであるものとする。
【0051】
まず、CPU101は、スキャナ107に高解像度で原稿を読み取らせることにより、その原稿に基づいて高解像度の画像データ(例えば、600×600dpi)を生成し、RAM103に記憶させる(S502)。次に、CPU101は、高解像度の画像データに解像度変換処理を施すことにより、低解像度の画像データ(例えば、200×100dpi)を生成し、RAM103に記憶させる(S503)。すなわち、1度の原稿の読み取りで、高解像度の画像データと、低解像度の画像データとを作成する。ここで、S503で生成する画像データの解像度は、通常のFAX送信で送信する画像データと同程度の解像度とする。なお、S502およびS503が図2に示すD201に相当する。
【0052】
次に、CPU101は、復号キーを生成し(S504)、その復号キーを用いて高解像度の画像データを暗号化することにより、暗号化データを生成する(S505)。S504およびS505が図2に示すD202に相当する。そして、CPU101は、その暗号化データを含むJPEG形式の電子ファイルを、サービス提供装置300へアップロード(送信)して記憶させる(S506)。そして、CPU101は、その電子ファイルを受信するためのアクセス情報(アルバムURL)を、中継装置500を介してサービス提供装置300から受信し、RAM103に記憶する(S507)。なお、サービス提供装置300に電子ファイルを記憶させるための処理(S506)、アクセス情報を受信するための処理(S507)については、図2を参照して説明済み(D203〜D209、D213〜D216)であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0053】
そして、NCU111に電話回線を閉結させ、宛先のFAX番号を発呼させる(S508)。すなわち、暗号化データを含む電子ファイルをサービス提供装置300へ送信したことを条件として、宛先に対応する外部装置250との公衆回線網200を通じた通信の開始を要求するPB信号(通信開始要求)をNCU111から送信させる。S508が図3に示すD301に相当する。そして、NCU111からCNGを送信させた後(S509)、NSFとDISとを受信するまでの間(S510:No)、CPU101は、処理を待機する。S509〜S510が図3に示すD302〜D303に相当する。
【0054】
一方、NCU111を介してNSFとDISとを受信した場合(S510:Yes)、CPU101は、外部装置250が、サービス提供装置300と通信可能か否かを判断する(S512)。具体的には、外部装置250が後述するサーバ経由受信処理(図7)を実行可能であることを、NSF(通信情報)で宣言しているか否かを判断する。
【0055】
外部装置250がサービス提供装置300と通信可能であると判断された場合(S512:Yes)、CPU101は、サーバ経由受信処理(図7)の実行を外部装置250に指示するNSSとTCFとを、NCU111から送信させる(S514)。S514が図3に示すD304に相当する。なお、ここで送信するNSSには、S504で生成した復号キーおよびS507で受信したアクセス情報を含める。次に、DCNおよびCFRの何れも受信しない間、CPU101は処理を待機する(S516:No,S518:No)。
【0056】
この間に、外部装置250は、NSSに含まれるアクセス情報を用いて、アルバムステータスを受信し(図3に示すD305〜D308)、そのアルバムステータスに基づいて電子ファイルを受信可能であると判断できた場合に、CFRを返却する(図3に示すD313)。一方、外部装置250は、電子ファイルを受信できないと判断した場合、DCNを返却する。すなわち、発呼側のMFP100においては、被呼側の外部装置250からCFRを受信するか、DCNを受信するかに基づいて、外部装置250が、サービス提供装置300から暗号化データを受信できるか否かを判断できるのである。
【0057】
なお、フローチャートには図示しないが、NSSおよびTCFの送信後(S514)、DCNまたはCFRを受信するまでの間(すなわち、S516,S518の判断のいずれかが肯定されるまでの間)、発呼側のMFP100のNCU111からは定期的にNSSとTCFとが出力される(図3に示すD311〜D312)。また、外部装置250は、アルバムステータスを取得するまでの間、FTTをMFP100へ送信する(図3に示すD310)。
【0058】
CFRを受信した場合(S518:Yes)、CPU101は、ROM102に予め格納されたカバーページデータと、ポストメッセージとを公衆回線網200を通じて外部装置250へ送信させる(S520)。ここで、カバーページデータは、サービス提供装置300を経由してデータを送信したことを、外部装置250の受信者に報知するためのメッセージを含む。また、このカバーページデータには、送信元のFAX番号や送信日時を示す送信元情報が付加される。また、カバーページデータは、1ページ分の画像データであるため、スキャナ107により多数の原稿を読み取った場合であっても、通信費を抑制できる。S520が図3に示すD315〜D316に相当する。
【0059】
次に、外部装置250からMCFを受信するまで処理を待機し(S522:No)、MCFを受信した場合(S522:Yes)、CPU101は、電子ファイル送信完了フラグ103aをオンに設定する(S523)。詳細は後述するが、被呼側の外部装置250は、電子ファイルの受信を完了した場合に、MCF(送達情報)を送信するためである(図3に示すD319〜D320)。次に、CPU101は、フラッシュメモリ104に格納された通信管理レポート(図示せず)に送信OKをセットする(S524)。通信管理レポートは、FAX送信が正常に行われたか否かユーザ等に知らせるために、印刷出力され、または、表示出力される。次に、CPU101は、NCU111からDCNを送信させ(S526)、電話回線を切断させる(S528)。すなわち、発呼側のMFP100は、被呼側の外部装置250が暗号化データを含む電子ファイルを正常に受信できたことを示すMCFを、外部装置250から受信したことを条件として、外部装置250との公衆回線網200を通じた通信の終了を示すDCN(終了通知)を、該外部装置250へ送信するのである(図3に示すD320〜D321)。
【0060】
一方、外部装置250がサービス提供装置300と通信可能であると判断されない場合(S512:No)、具体的には、外部装置250が後述するサーバ経由受信処理(図7)を実行可能であることを、NSFで宣言しない場合、CPU101は、デジタル命令信号(DCS)または非標準機能設定信号(NSS)をNCU111から送信させることにより、TTC標準のFAX受信(通常のFAX受信)の実行を外部装置250に命令する(S536)。より詳細には、外部装置250がMFP100とは異なるメーカの製品である場合、MFP100は、DISで示された標準機能の中から選択した機能を指定するDCSを外部装置250へ送信し、外部装置250がMFP100と同一のメーカの製品である場合、MFP100は、サーバ経由受信処理を命令しないNSSを外部装置250へ送信する。また、CPU101は、NCU111からTCFを送信させる(S536)。
【0061】
次に、CFRを受信しない間(S538:No)、CPU101は、処理を待機し、CFRを受信した場合(S538:Yes)、CPU101は、1ページの低解像度の画像データとポストメッセージとを、宛先の外部装置250へ送信し(S540)、MCFを受信するまで処理を待機する(S542:No)。そして、MCFを受信した場合(S542:Yes)、CPU101は、未送信の低解像度の画像データがあるか否かを判断する(S544)。そして、未送信の低解像度の画像データがある間(S544:Yes)、CPU101は、S540から処理を繰り返す。そして、未送信の低解像度の画像データがないと判断される場合(S544:No)、CPU101は、S524の処理に移行する。なお、S522で判断されるMCFは、外部装置250が暗号化データを受信できたことを示すものであったが、S542で判断されるMCFは、外部装置250が画像データを受信したことを示すものである。
【0062】
次に、外部装置250が暗号化データを含む電子ファイルを、サービス提供装置300から受信できない場合について説明する。NSSに含まれるアクセス情報に基づいて、外部装置250がアルバムステータスを受信し、そのアルバムステータスに基づいて電子ファイルを受信できないと判断した場合、被呼側の外部装置250は、発呼側のMFP100に対してDCNを送信し、電話回線を切断する。
【0063】
その場合(S516:Yes)、発呼側のMFP100においても、DCNを受信したことに基づき、NCU111に電話回線を切断させる(S530)。なお、S530では、電話回線切断後、後述するS406と同様にして、サービス提供装置300に記憶されている電子ファイルを、サービス提供装置300に削除させるためのアルバム削除要求を、インターネットI/F105から中継装置500へ送信させる。このようにすることにより、暗号化データが不必要にいつまでもサービス提供装置300に記憶されていることを防止できる。次に、CPU101は、宛先の外部装置250のFAX番号をリダイヤルする(S532)。すなわち、外部装置250との通信の再開を要求するPB信号(通信開始要求)をNCU111から送信させる。そして、NCU111からCNGを送信させた後(S533)、NSFとDISとを受信しない間(S534:No)、CPU101は、処理を待機する。
【0064】
一方、NSFとDISとを受信した場合(S534:Yes)、CPU101は、S536からS544を実行する。すなわち、外部装置250との通信が再開されたことを条件として、S503で生成された低解像度の画像データを、外部装置250へ送信させる。このようにすれば、外部装置250がサービス提供装置300から暗号化データを受信できない場合であっても、宛先に対応する外部装置250に、必要な画像データを受信させることができる。
【0065】
サーバ経由FAX送信処理(S404)によれば、セキュリティを確保しつつ、通信費を削減できる。また、暗号化データを含む電子ファイルをサービス提供装置300へ送信したことを条件として、公衆回線網200を通じた通信が開始されるので、公衆回線網200を通じた通信の通信時間をできるかぎり短縮し、通信費を削減できる。
【0066】
また、外部装置250がサービス提供装置300と通信可能であるかを、NSFに基づいて判断し、外部装置250がサービス提供装置300と通信可能であると判断された場合に、アクセス情報と復号キーとが公衆回線網200を通じて外部装置250へ送信されるので、不必要にアクセス情報と復号キーとが送信されることを抑制できる。
【0067】
また、公衆回線網200を通じて通信を開始してから、その通信を終了するまでの間に、アクセス情報および復号キーが、宛先に対応する外部装置250へ送信される。換言すれば、1回の通信で必要な情報を外部装置250へ送信できる。よって、MFP100と外部装置250との間で何度も通信を確立する場合に比較して、通信費を削減できる。
【0068】
図4に戻り説明する。サーバ経由FAX送信処理(S404)の終了後、電子ファイル送信完了フラグ103aがオンである場合(S405:Yes)、すなわち、外部装置250が暗号化データを含む電子ファイルを受信できた場合、CPU101は、サービス提供装置300に記憶されている電子ファイルを、サービス提供装置300に削除させるためのアルバム削除要求を、インターネットI/F105から中継装置500へ送信させる(S406)。より詳細には、S507で受信したアクセス情報を含むアルバム削除要求を送信させる。S406が図3に示すD322に相当する。そして、CPU101は、電子ファイル送信完了フラグ13aをオフに設定し(S407)、S408に移行する。このようにすれば、暗号化データが不必要にいつまでもサービス提供装置300に記憶されていることを防止し、セキュリティをより高めることができる。なお、電子ファイル送信完了フラグ103aがオフである場合(S405:No)、CPU101は、S406,S407をスキップする。
【0069】
次に、サーバ経由のFAX送信の実行指示が、ユーザによって入力されたと判断されない場合(S402:No)、CPU101は、通常のFAX送信の実行指示がユーザによって入力されたか否かを判断する(S410)。S410の判断が肯定される場合(S410:Yes)、CPU101は、通常のFAX送信処理を実行する(S412)。この処理は、スキャナ107により読み取った画像データを予め指定された宛先に対応する外部装置250へ送信する処理であるが、公知の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0070】
通常のFAX送信の実行指示がユーザによって入力されたと判断されない場合(S410:No)、CPU101は、FAXの受信を開始するか否かを判断する(S414)。具体的には、外部装置250との公衆回線網200を通じた通信の開始を要求する呼出信号(通信開始要求)を、図示しない交換機から受信した場合(S414:Yes)、CPU101は、FAX受信処理を実行する(S416)。
【0071】
図6は、MFP100において実行されるFAX受信処理を示すフローチャートであるこの処理では、電話回線を閉結して通信を開始した後(S602)、CPU101は、発呼側の外部装置250に対して、NCU111からNSFおよびDISを送信させる。これにより、MFP100が、サービス提供装置300と通信可能であり、後述するサーバ経由受信処理(図7)を実行可能であることを宣言する(S604)。S604が図3に示すD303に相当する。具体的に、S604では、MFP100が、サービス提供装置300と通信可能であり、後述するサーバ経由受信処理(図7)を実行可能であることを示す情報を含むNSFが送信される。
【0072】
次に、CPU101は、NSSまたはDCSを受信するまで処理を待機し(S606:No)、NSSまたはDCSを受信した場合(S606:Yes)、サーバ経由受信処理(図7)の実行が指示されているか否かを判断する(S608)。発呼側の外部装置250が、MFP100と同一の構成を有する場合、その外部装置250は、NSSにより、サーバ経由受信処理の実行を、被呼側のMFP100へ指示するからである。なお、S606が図3に示すD304に相当する。
【0073】
NSSにより、サーバ経由受信処理の実行が指示されている場合(S608:Yes)、そのNSSには、アクセス情報および復号キーが含まれる。したがって、CPU101は、そのアクセス情報および復号キーをRAM103に記憶させる(S610)。そして、CPU101は、サーバ経由受信処理を実行し(S612)、FAX受信処理を終了する。サーバ経由受信処理については、図7を参照して後述する。一方、サーバ経由受信処理の実行が指示されていない場合(S608:No)、CPU101は、通常受信処理を実行し(S614)、処理を終了する。なお、通常受信処理は、外部装置250から画像データを受信し、その画像データを印刷出力する処理であるが、公知の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0074】
図7は、MFP100において実行されるサーバ経由受信処理を示すフローチャートである。まず、CPU101は、アクセス情報をRAM103から読み込み(S702)、そのアクセス情報を含むアルバムステータス取得要求を、インターネットI/F105から中継装置500へ送信させる(S704)。なお、S704が図3に示すD305に相当する。次に、CPU101は、TCFを受信するまで処理を待機する(S706:No)。TCFを受信したが(S706:Yes)、アルバムステータスを未受信である場合(S708:No)、トレーニング失敗信号(FTT)をNCU111から送信させることにより、再トレーニングを発呼側の外部装置250へ要求して(S710)、S706の処理に戻る(図3に示すD309〜D310)。なお、発呼側の外部装置250は、FTTを受信すると、伝送速度を低くして、TCFを再送信するが、公知の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0075】
一方、TCFを受信し、且つ、アルバムステータスを受信した場合(S708:Yes)、アクセス情報に基づき電子ファイルを受信可能か否かを、アルバムステータスから判断する(S712)。アクセス情報に基づいて電子ファイルを受信できないと判断される場合(S712:No)、NCU111からDCNを送信させた後(S714)、電話回線を切断させ(S716)、処理を終了する。この場合において、発呼側の外部装置250がMFP100と同一の構成を有する場合には、被呼側のMFP100から送信したDCNに基づいて、電話回線を切断し、リダイヤルを実行する(図5のS532)。したがって、MFP100は、通常受信処理(S614)により、全ページ分の低解像度の画像データを受信し、印刷出力できる。
【0076】
一方、アクセス情報に基づいて電子ファイルを受信可能であることが、アルバムステータスから判断される場合(S712:Yes)、NCU111からCFRを送信させる(S718)。S718が図3に示すD313に相当する。これにより、被呼側のMFP100が電子ファイルを受信可能であることを、発呼側の外部装置250へ知らせることができる。
【0077】
次に、CPU101は、アクセス情報を含む電子ファイルダウンロード要求を作成し、インターネットI/F105からネットワーク400へ送信させる(S720)。なお、S720が図3に示すD314に相当する。次に、カバーページデータとポストメッセージとを受信しない間(S722:No)、CPU101は処理を待機する。
【0078】
カバーページデータとポストメッセージとを受信し(S722:Yes)、且つ、電子ファイルのダウンロードが終了しない間(S724:No)、CPU101は、NCU111からRNRを送信させる(S726)。そして、RRを受信しない間(S728:No)、処理を待機する。一方、RRを受信した場合(S728:Yes)、CPU101は、S724から処理を繰り返す。S722が図3に示すD315〜D316に相当する。S726〜S728が図3に示すD317〜D318に相当する。なお、送信したアクセス情報に対応するアルバムIDに、複数の電子ファイルが関連付けられている場合、その複数の電子ファイルの全てのダウンロードが終了するまで、S724の判断が否定される。
【0079】
このようにして処理を繰り返すうちに、電子ファイルのダウンロードが終了する場合(S724:Yes)、CPU101は、MCFを送信させる(S730)。すなわち、暗号化データを含む電子ファイルの受信が完了したことを条件として、暗号化データの受信完了を示すMCFを、アクセス情報と復号キーとの送信元の外部装置250へ送信するのである。次に、CPU101は、通信管理レポートに受信OKをセットし(S732)、図8に示すS734に移行する。なお、S730が図3に示すD320に相当する。
【0080】
図8を参照して、サーバ経由受信処理(S612)の続きを説明する。外部装置250との公衆回線網200を通じた通信の終了を示すDCN(終了通知)を受信しない間(S734:No)、CPU101は処理を待機する。一方、DCNを受信した場合(S734:Yes)、CPU101は、NCU111に電話回線を切断させる(S736)。なお、S734〜S736が図3に示すD321に相当する。
【0081】
次に、CPU101は、カバーページデータをプリンタ106により印刷出力させる(S738)。上述したように、カバーページには、サービス提供装置300を経由してデータを送信したことを、受信者に報知するためのメッセージ、および、送信元のFAX番号や送信日時を示す送信元情報が含まれる。よって、ユーザは、印刷結果を見ることにより、データを受信したこと、およびそのデータの送信元を把握することができる。
【0082】
次に、CPU101は、電子ファイルに含まれる暗号化データを、MFP100から受信した復号キーにより復号化して画像データを生成し、フラッシュメモリ104に記憶する(S740)。そして、その復号化した画像データを印刷出力するか否かをユーザに問い合わせるメッセージをLCD109に表示させ(S742)、画像データの印刷指示を、ユーザが入力したか否かを判断する(S744)。S744の判断が否定される場合(S744:No)、CPU101は、サーバ経由受信処理を終了する。一方、画像データの印刷指示を、ユーザが入力した場合(S744:Yes)、CPU101は、画像データをプリンタ106により印刷出力させる(S746)。これにより、ユーザは、高解像度の印刷結果を取得できる。なお、印刷出力した画像データは、フラッシュメモリ104から消去しても良い。
【0083】
サーバ経由受信処理によれば、公衆回線網200を通じて受信されるアクセス情報に基づいて、サービス提供装置300から暗号化データが受信され、且つ、公衆回線網200を通じて受信される復号キーによりその暗号化データが復号化されるので、高いセキュリティが得られる。
【0084】
また、サーバと通信可能であることを示すNSFを外部装置250へ送信した場合に、公衆回線網200を通じて、アクセス情報と復号キーとを受信できる。また、暗号化データの受信が完了したことを、MCFを送信するという簡単な処理で、発呼側の外部装置250へ知らせることができる。
【0085】
図4に戻り説明する。FAXの受信を開始すると判断されない場合(S414:No)、CPU101は、その他の処理を実行する(S418)。例えば、復号化により生成されて、フラッシュメモリ104に記憶された画像データについて、その印刷指示が入力された場合には、その画像データを印刷出力する。これにより、ユーザは、所望のタイミングで高解像度の印刷結果を取得できる。次に、CPU101は、電源がオフされたか否かを判断する(S408)、そして、S408の判断が否定される間(S408:No)、CPU101はS402から処理を繰返し、電源がオフされると(S408:Yes)、処理を終了する。
【0086】
上記実施形態において、インターネットI/F105が第1送信手段、削除指示手段、第1受信手段の一例である。プリンタ106が第1出力手段の一例である。スキャナ107が読取手段の一例である。入力部108が宛先受付手段の一例である。NCU111が第2送信手段、通信開始送信手段、再開要求手段、通信情報受信手段、送達情報受信手段、終了通知送信手段、第2受信手段、通信開始受信手段、通信情報送信手段、送達情報送信手段、終了通知受信手段の一例である。サービス提供装置300がサーバの一例である。
【0087】
S502を実行するCPU101が生成手段の一例である。S505を実行するCPU101が暗号化データ生成手段の一例である。S512を実行するCPU101が判断手段の一例である。S518を実行するCPU101が通信判断手段の一例である。S740を実行するCPU101が復号化手段の一例である。
【0088】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0089】
例えば、MFP100が、中継装置500を介さずに、サービス提供装置300を直接利用する場合にも本発明を適用可能である。
【0090】
また、宛先の外部装置250がサービス提供装置300と通信可能であるか否かに関わらず、スキャナ107に読みとらせた原稿の全てのページについて低解像度の画像データを、MFP100から外部装置250へ送信するように構成しても良い。
【0091】
また、上記実施形態において、アクセス情報は、サービス提供装置300から受信したURLであったが、アクセス情報は、例えば、ユーザID、パスワードなど、サービス提供装置300からデータを受信するために用いられるその他の情報であっても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、カバーページデータをMFP100から外部装置250に送信するものとして説明したが、カバーページに代えて、例えば、送信レポート、1ページ目の原稿に基づいて生成した高解像度の画像データまたは低解像度の画像データなどを送信しても良い。
【0093】
また、上記実施形態では、被呼側のMFP100は、発呼側のMFP100から受信したカバーページ、およびサービス提供装置300から受信した暗号化データを復号化して生成した画像データを印刷出力するものとして説明したが、これに代えて、例えば、LCD109に表示出力し、あるいは、他の装置やメモリカード(図示せず)に出力するように構成しても良い。
【0094】
また、上記実施形態では、発呼側のMFP100が電子ファイルの削除要求を送信していたが、これに代えて、暗号化データの受信を完了した被呼側のMFP100が電子ファイルの削除要求を送信するように構成しても良い。
【0095】
また、上記実施形態では、アクセス情報と復号キーとは、共にNSSに含めて、発呼側のMFP100から被呼側の外部装置250へ送信されていたが、これらは別々に送信されても良い。
【0096】
また、上記実施形態において、宛先の外部装置250がサービス提供装置300と通信できない場合、または、アルバムステータスに基づいて、サービス提供装置300から暗号化データを受信できないと判断された場合、発呼側のMFP100から外部装置250へ、暗号化データと復号キーとを、公衆回線網200を通じて送信しても良い。
【0097】
また上記実施形態では、サーバ経由FAX送信処理(S404)を実行する毎に、復号キーを生成するように構成されていたが、過去に生成した復号キーをフラッシュメモリ104などに記憶しておき、それを再利用しても良い。
【0098】
また、上記実施形態では、暗号化と復号化とに同一のキー(復号キー)を用いるものとして説明したが、両者は互いに異なっていても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、被呼側のMFP100が、アルバムステータスに基づいて、暗号化データを受信できないと判断した場合、被呼側のMFP100から発呼側の装置へDCNを送信していた。これに代えて、被呼側の装置が暗号化データを受信できないことを発呼側のMFP100へ通知した場合に、発呼側のMFP100から被呼側の装置へDCNを送信するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0100】
100 MFP
107 スキャナ
108 入力部
200 公衆回線網
250 外部装置
300 サービス提供装置
400 ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上のサーバと通信可能であり、且つ、公衆回線網を通じて1以上の外部装置と通信可能な画像通信装置であって、
宛先の指定を受け付ける宛先受付手段と、
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた原稿に基づいて画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された画像データを暗号化した暗号化データを生成する暗号化データ生成手段と、
前記暗号化データ生成手段により生成された前記暗号化データを前記サーバへ送信し、前記サーバに記憶させる第1送信手段と、
前記サーバに記憶された前記暗号化データを前記サーバから受信するためのアクセス情報と、前記暗号化データを復号化するための復号キーとを、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置へ、前記公衆回線網を通じて送信する第2送信手段とを備えることを特徴とする画像通信装置。
【請求項2】
前記第1送信手段により前記暗号化データを前記サーバへ送信したことを条件として、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置との前記公衆回線網を通じた通信の開始を要求する通信開始要求を送信する通信開始送信手段を備え、
前記第2送信手段は、前記通信開始送信手段により送信された通信開始要求に基づいて前記外部装置との通信が開始されたことを条件として、前記アクセス情報及び前記復号キーを該外部装置へ送信することを特徴とする請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項3】
前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置が、前記サーバから前記暗号化データを受信できるかを判断する通信判断手段と、
前記通信判断手段により前記外部装置が前記サーバから前記暗号化データを受信できないと判断される場合において、前記外部装置との間における前記公衆回線網を通じた通信が終了した場合、該通信の再開を要求する通信開始要求を送信する再開要求手段と、
前記再開要求手段により送信された通信開始要求に基づいて前記外部装置との通信が再開されたことを条件として、前記生成手段により生成された前記画像データ、またはその画像データに基づいて生成される該画像データよりも低品位の画像データを、前記外部装置へ送信する画像データ送信手段とを備える請求項1または2に記載の画像通信装置。
【請求項4】
前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置から、当該外部装置が前記サーバと通信可能であるか否かを示す通信情報を受信する通信情報受信手段と、
前記通信情報受信手段により受信した通信情報に基づいて、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置が前記サーバと通信可能であるかを判断する判断手段とを備え、
前記第2送信手段は、前記判断手段により前記外部装置が前記サーバと通信可能であると判断された場合、前記アクセス情報と前記復号キーとを、前記公衆回線網を通じて前記外部装置へ送信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像通信装置。
【請求項5】
前記暗号化データの受信完了を示す送達情報を、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置から前記公衆回線網を通じて受信する送達情報受信手段と、
前記送達情報受信手段により前記送達情報を受信したことを条件として、前記第1送信手段により前記サーバに記憶されている暗号化データを前記サーバに削除させる削除指示を前記サーバに送信する削除指示手段とを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像通信装置。
【請求項6】
前記第2送信手段は、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置との前記公衆回線網を通じた通信の開始に応じて、前記アクセス情報及び前記復号キーを、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置に前記公衆回線網を通じて送信し、
前記送達情報受信手段により送達情報を受信したことを条件として、前記宛先受付手段により受け付けた宛先に対応する外部装置との前記公衆回線網を通じた通信の終了を示す終了通知を、該外部装置へ送信する終了通知送信手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像通信装置。
【請求項7】
前記アクセス情報と前記復号キーとを、前記公衆回線網を通じて前記外部装置から受信する第2受信手段と、
前記第2受信手段により受信されるアクセス情報に基づいて、前記サーバから前記暗号化データを受信する第1受信手段と、
前記第1受信手段により受信された暗号化データを、前記第2受信手段により受信される復号キーにより復号化した画像データを生成する復号化手段と、
前記復号化手段により復号化された画像データを出力する第1出力手段とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像通信装置。
【請求項8】
前記外部装置との前記公衆回線網を通じた通信の開始を要求する通信開始要求を受信する通信開始受信手段と、
前記通信開始受信手段により前記通信開始要求を受信した場合、前記サーバと通信可能であるか否かを示す通信情報を、前記通信開始要求の要求元の外部装置へ送信する通信情報送信手段とを備え、
前記第2受信手段は、前記通信情報送信手段により前記サーバと通信可能であることを示す通信情報を送信した場合、前記公衆回線網を通じて前記アクセス情報と前記復号キーとを前記外部装置から受信することを特徴とする請求項7記載の画像通信装置。
【請求項9】
前記第1受信手段による前記暗号化データの受信が完了したことを条件として、前記暗号化データの受信完了を示す送達情報を、前記アクセス情報と前記復号キーとの送信元の外部装置へ送信する送達情報送信手段を備えることを特徴とする請求項7または8に記載の画像通信装置。
【請求項10】
前記第2受信手段は、前記外部装置との前記公衆回線網を通じた通信の開始に応じて、前記アクセス情報及び前記復号キーを、該外部装置から前記公衆回線網を通じて受信し、
前記送達情報送信手段により送達情報を送信したことを条件として、前記外部装置との前記公衆回線網を通じた通信の終了を示す終了通知を、該外部装置から受信する終了通知受信手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の画像通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209809(P2012−209809A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74669(P2011−74669)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】