説明

画像配信システムおよび画像配信方法

【課題】画像の不正入手を防止することができる、画像配信システムおよび画像配信方法を提供する。
【解決手段】画像配信サーバ4に保管されている画像ファイルは、所定のフォーマット形式の画像データを含み、そのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含まない。この画像ファイルは、画像配信サーバ4から画像配信アプリケーション26がインストールされているスマートフォン2に送信される。画像配信サーバ4から画像ファイルを受信したスマートフォン2では、画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダが生成されて、ヘッダが画像ファイルに含められるので、画像データおよびヘッダを含む画像ファイルに基づいて、ディスプレイに画像を表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に画像を配信するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、スマートフォン用のアプリケーションが種々開発されている。アプリケーションの中には、たとえば、プロバイダ(画像を配信する業者)が所有する画像配信サーバから配信される画像ファイルを受け取り、スマートフォンのディスプレイに画像を表示させる機能を実現するものがある。
【0003】
アプリケーションは、プロバイダによって作成され、米アップル社などが所有するアプリケーションサーバに保管されている。スマートフォンへの画像の配信を希望するユーザは、スマートフォンからアプリケーションサーバにアクセスし、アプリケーションサーバからスマートフォンにアプリケーションをダウンロードする。そして、そのアプリケーションを起動させる。
【0004】
アプリケーションが起動されると、たとえば、スマートフォンから画像配信サーバに画像配信要求が送信される。これに応答して、画像配信サーバからスマートフォンに画像ファイルが送信(ダウンロード)される。
【0005】
画像ファイルには、画像データと、画像データのフォーマット形式などの情報が書き込まれたヘッダとが含まれる。画像ファイルがスマートフォンにダウンロードされると、スマートフォンにおいて、画像ファイルがハードディスクに保存され、画像ファイルに含まれるヘッダからフォーマット形式が読み取られて、そのフォーマット形式および画像データに基づく画像がディスプレイに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−81590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スマートフォンへの画像の配信サービスは、有料のものもある。有料の画像配信サービスでは、たとえば、アプリケーションが有料で提供され、この有料アプリケーションがインストールされたスマートフォンのみに、画像配信サーバから画像ファイルをダウンロードすることができる。
【0008】
ところが、そのスマートフォンから他のスマートフォンなどに画像ファイルを転送することができ、この転送により、有料アプリケーションがインストールされてないスマートフォンのハードディスクに画像ファイルを保存することができ、その画像ファイルによる画像をスマートフォンのディスプレイに表示させることができる。
【0009】
また、無料の画像配信サービスで配信される画像であっても、その画像ファイルの転送は、著作権法上の問題を生じることがある。
【0010】
本発明の目的は、画像の不正入手を防止することができる、画像配信システムおよび画像配信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明に係る画像配信システムは、所定のフォーマット形式の画像データを含み、かつ当該フォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含まない画像ファイルを、端末機に向けて送信する画像配信サーバと、前記画像配信サーバから前記端末機に送信される前記画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを生成して、当該ヘッダを前記画像ファイルに含める機能を実現する画像配信アプリケーションを、前記端末機に向けて送信するアプリケーションサーバとを含む。
【0012】
また、本発明に係る画像配信方法は、画像配信アプリケーションがインストールされた端末機に画像を配信する方法であって、所定のフォーマット形式の画像データを含み、かつ当該フォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含まない画像ファイルを画像配信サーバから前記端末機に送信するステップと、前記画像配信アプリケーションにより、前記画像配信サーバから送信される前記画像ファイルを前記端末機が受信し、当該画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを生成して、当該ヘッダを前記画像ファイルに含めるステップとを含む。
【0013】
画像配信サーバに保管されている画像ファイルは、所定のフォーマット形式の画像データを含み、そのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含まない。この画像ファイルは、画像配信サーバから画像配信アプリケーションがインストールされている端末機に送信される。画像配信アプリケーションは、アプリケーションサーバから端末機にダウンロードされる。画像配信サーバから画像ファイルを受信した端末機では、画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダが生成されて、ヘッダが画像ファイルに含められるので、画像データおよびヘッダを含む画像ファイルに基づいて、ディスプレイに画像を表示させることができる。
【0014】
画像配信サーバから端末機に送信された画像ファイルが他の端末機に転送されても、その転送先の端末機に画像配信アプリケーションがインストールされていなければ、転送先の端末機では、ヘッダが生成されないので、画像ファイルによる画像が表示されない。また、端末機からパーソナルコンピュータに画像ファイルが転送されても、画像ファイルにヘッダが含まれないので、パーソナルコンピュータのディスプレイに画像を表示させることはできない。したがって、端末機からの他の機器への画像ファイルの転送は、無意味である。よって、画像ファイルの転送による画像の不正入手を防止することができる。
【0015】
端末機が揮発性メモリからなる主記憶装置および不揮発性メモリからなる補助記憶装置を備える場合、端末機が受信する画像ファイルは、主記憶装置に書き込まれ、補助記憶装置に書き込まれないことが好ましい。これにより、端末機からの画像ファイルの転送を防止することができる。その結果、画像ファイルの転送による画像の不正入手を一層防止することができる。
【0016】
なお、画像配信システムは、プッシュ通知サーバへの登録に対して識別子が付与された携帯端末機に画像を配信するシステムであってもよい。
【0017】
この場合、画像配信サーバは、インターネット上に置かれて、端末機から当該端末機に付与された識別子を受け取ることが好ましい。また、画像配信サーバは、元画像ファイルおよび元画像ファイルによる画像を端末機に配信する通知のタイミングをクライアントから受け取り、元画像ファイルからフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを削除して、そのヘッダを含まない画像ファイルを作成することが好ましい。そして、画像配信システムは、画像配信サーバに接続され、画像ファイルおよびタイミングを記憶するリクエストデータベースと、画像配信サーバとの間で暗号化通信が可能であり、画像配信サーバに周期的にアクセスして、画像配信サーバが端末機から受け取った識別子およびリクエストデータベースに格納されているタイミングを取得するプッシュサーバと、プッシュサーバに接続され、プッシュサーバが取得した識別子を記憶する識別子データベースとを含み、プッシュサーバは、インターネットから隔離されたローカルエリアネットワーク上に置かれており、画像配信サーバを経由して取得したタイミングに基づいて、識別子データベースに格納されている識別子が付与された端末機に、プッシュ通知サーバを経由して通知を配信し、端末機への通知の結果、端末機から画像の配信を受ける旨の返答があったことに応答して、リクエストデータベースに格納されている画像ファイルを画像配信サーバを経由して受信し、その画像ファイルを端末機に送信することが好ましい。
【0018】
端末機がプッシュ通知サーバに登録されると、プッシュ通知サーバから端末機に識別子が付与される。この付与された識別子は、端末機からインターネット上に置かれた画像配信サーバに送信される。また、画像配信サーバには、元画像データおよびこの元画像データによる画像を端末機に配信する通知のタイミング(通知タイミング)が入力される。そして、画像および通知タイミングは、画像配信サーバに接続されたリクエストデータベースに格納される。
【0019】
インターネットから隔離されたローカルエリアネットワーク上に、プッシュサーバが置かれている。プッシュサーバは、画像配信サーバと暗号化通信が可能である。プッシュサーバは、画像配信サーバに周期的にアクセスして、画像配信サーバが端末機から受け取った識別子およびリクエストデータベースに格納されている通知タイミングを取得する。これに応答して、少なくとも識別子は、画像配信サーバから消去される。プッシュサーバに取得された識別子は、プッシュサーバに接続された識別子データベースに格納される。これにより、端末機の識別子は、インターネットから隔離された識別子データベースに安全に保管される。
【0020】
なお、「周期的にアクセス」とは、ほぼ一定の間隔を置いてアクセスすることを意味し、定期的に(完全に一定の間隔を置いて)アクセスすることはもちろん、多少不定期にアクセスすることも含む。
【0021】
そして、プッシュサーバが画像配信サーバを経由して取得したタイミングが到来すると、プッシュサーバから識別子データベースに格納されている識別子で特定される端末機に、プッシュ通知サーバを経由して、画像を配信する通知が出される。
【0022】
よって、端末機に付与された識別子を安全に管理することができながら、その安全に管理された識別子で特定される端末機に画像を配信する通知を出すことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像の不正入手を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る画像配信システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、デバイスの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、画像配信サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、プッシュサーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、デバイスの登録に関するデータの流れ(アプリケーションのダウンロードから画像配信サーバへのデバイストークンの送信までのデータの流れ)を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、プッシュ通知に関するデータの流れ(画像配信サーバからのデバイストークンの取得から画像の送信までのデータの流れ)を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像配信システムの構成を示す図である。
【0027】
画像配信システム1では、プッシュ通知サービスを利用して、iphone(登録商標)などのスマートフォン2のフォアグラウンドで実行されていないアプリケーションに対して、画像などの画像を配信するというイベントが発生したことが通知される。そして、この通知に応答してアプリケーションからのリクエストがあると、スマートフォン2に画像が配信される。
【0028】
画像配信システム1は、プッシュ通知サーバ3、画像配信サーバ4およびプッシュサーバ5を含む。
【0029】
プッシュ通知サーバ3は、プッシュ通知サービスを提供する会社(たとえば、米アップル社)が所有している。プッシュ通知サーバ3は、インターネット6上に置かれている。また、プッシュ通知サーバ3は、スマートフォン2と携帯電話回線または無線LAN(Local Area Network)経由で通信することができる。
【0030】
画像配信サーバ4は、画像を配信する業者(以下「プロバイダ」という。)が所有している。画像配信サーバ4は、インターネット6上に置かれている。プロバイダに画像の配信を依頼する者(以下「クライアント」という。)は、たとえば、インターネット6に接続されたパーソナルコンピュータ7から画像配信サーバ4にアクセスすることができる。
【0031】
画像配信サーバ4には、リクエストデータベース8が接続されている。
【0032】
プッシュサーバ5は、プロバイダが所有している。プッシュサーバ5は、インターネット6からファイアウォール9によって隔離されたローカルエリアネットワーク10上に置かれている。
【0033】
プッシュサーバ5には、デバイスIDデータベース11が接続されている。
【0034】
また、プッシュ通知サービスを提供する会社は、スマートフォン2にダウンロード可能なアプリケーションを保管するアプリケーションサーバ12を所有している。アプリケーションサーバ12は、スマートフォン2と携帯電話回線または無線LAN経由で通信することができる。
【0035】
図2は、スマートフォンの構成を示すブロック図である。
【0036】
スマートフォン2は、制御部21およびタッチパネル式ディスプレイ22をハードウェア構成として備えている。
【0037】
制御部21は、CPU23およびメモリ24などを含む。メモリ24は、揮発性メモリからなる主記憶装置および不揮発性メモリからなる補助記憶装置を含み、補助記憶装置には、OS(Operating System)25およびアプリケーションサーバ12からダウンロードされたアプリケーションがインストールされている。アプリケーションには、画像配信システム1による画像の配信を受けるための画像配信アプリケーション26が含まれる。
【0038】
そして、制御部21は、画像配信アプリケーション26によって実現される機能処理部として、登録要求部27、デバイストークン転送部28、プッシュ通知処理部29および画像ファイル処理部30を実質的に備えている。
【0039】
登録要求部27は、画像配信アプリケーション26の初回の起動に応答して、プッシュ通知サーバ3にOS25を介して登録要求を送信する。この登録要求に応答して、プッシュ通知サーバ3では、スマートフォン2の識別子を含むデバイストークンが生成され、そのデバイストークンがプッシュ通知サーバ3からスマートフォン2に送信される。
【0040】
デバイストークン転送部28は、プッシュ通知サーバ3から送信されてくるデバイストークンを画像配信サーバ4に転送する。
【0041】
プッシュ通知処理部29は、プッシュ通知サーバ3から通知を受信すると、その通知をタッチパネル式ディスプレイ22に表示する。
【0042】
画像ファイル処理部30は、通知に応答して、スマートフォン2のユーザによってタッチパネル式ディスプレイ22から画像の配信を希望する旨が入力されると、画像の配信の要求をプッシュ通知サーバ3に送信する。そして、画像配信サーバ4およびプッシュサーバ5を経由して送信される画像ファイルを受信し、画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを生成して、当該ヘッダを画像ファイルに含める。
【0043】
図3は、画像配信サーバの構成を示すブロック図である。
【0044】
画像配信サーバ4は、CPUおよびメモリなどをハードウェア構成として備え、CPUによるプログラム処理によってソフトウエア的に実現される機能処理部として、画像ファイル作成部31、画像・タイミング入出力部32、画像・タイミング送信部33およびデバイストークン受信部34を実質的に備えている。
【0045】
画像の配信に先立ち、プロバイダに画像の配信を依頼するクライアントは、たとえば、インターネット6に接続されたパーソナルコンピュータ7から画像配信サーバ4にアクセスし、予め定めるフォーマット形式(たとえば、JPEG形式)の画像データおよびそのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含む画像ファイル(以下「元画像ファイル」という。)と、画像の配信を通知(プッシュ通知)するタイミング(以下「通知タイミング」という。)を画像配信サーバ4に入力しておく。
【0046】
画像ファイル作成部31は、クライアントによって入力される元画像ファイルからフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを削除し、そのヘッダを含まない画像ファイルを作成する。
【0047】
画像・タイミング入出力部32は、画像ファイルおよび通知タイミングをリクエストデータベース8に格納し、また、リクエストデータベース8から画像ファイルおよび通知タイミングを読み出す。
【0048】
画像・タイミング送信部33は、画像・タイミング入出力部32によってリクエストデータベース8から読み出された画像ファイルおよび通知タイミングをプッシュサーバ5に送信する。
【0049】
デバイストークン受信部34は、スマートフォン2からデバイストークンを受信し、その受信したデバイストークンを一時的に保持する。
【0050】
図4は、プッシュサーバの構成を示すブロック図である。
【0051】
プッシュサーバ5は、CPUおよびメモリなどをハードウェア構成として備え、CPUによるプログラム処理によってソフトウエア的に実現される機能処理部として、デバイストークン取得部41、デバイストークン入出力部42、画像・タイミング取得部43、タイミング管理部44、通知パッケージ作成部45、通知送信部46および画像送信部47を実質的に備えている。
【0052】
デバイストークン取得部41は、画像配信サーバ4に周期的にアクセスして、画像配信サーバ4に一時的に保持されているデバイストークンを取得する。デバイストークンの取得後、そのデバイストークンは、画像配信サーバ4には残らない。
【0053】
デバイストークン入出力部42は、デバイストークン取得部41によって取得されたデバイストークンをデバイスIDデータベース11に格納し、また、デバイスIDデータベース11からデバイストークンを読み出す。
【0054】
画像・タイミング取得部43は、画像配信サーバ4に周期的にアクセスして、リクエストデータベース8に格納されている通知タイミングを画像配信サーバ4を介して取得する。また、画像・タイミング取得部43は、リクエストデータベース8に格納されている画像ファイルを画像配信サーバ4を介して取得する。
【0055】
なお、「周期的にアクセス」とは、ほぼ一定の間隔を置いてアクセスすることを意味し、定期的に(完全に一定の間隔を置いて)アクセスすることはもちろん、多少不定期にアクセスすることも含む。
【0056】
タイミング管理部44は、画像・タイミング取得部43によって取得された通知タイミングをメモリに格納して管理する。
【0057】
通知パッケージ作成部45は、画像の配信を通知するタイミングが到来すると、通知パッケージを作成する。通知パッケージには、デバイストークン入出力部42によってデバイスIDデータベース11から読み出されるデバイストークンと、スマートフォン2のタッチパネル式ディスプレイ22に表示されるメッセージのデータとが含まれる。
【0058】
通知送信部46は、通知パッケージ作成部45によって作成された通知パッケージをプッシュ通知サーバ3に送信する。通知パッケージがプッシュ通知サーバ3に受け取られると、通知パッケージに含まれるデバイストークンから特定されるスマートフォン2にプッシュ通知サーバ3から通知が配信(プッシュ)される。
【0059】
スマートフォン2のユーザが通知の応答として画像の配信を許可すると、画像・タイミング取得部43により、リクエストデータベース8に格納されている画像ファイルが取得される。画像送信部47は、画像・タイミング取得部43によって取得された画像ファイルをプッシュ通知サーバ3に送信する。画像がプッシュ通知サーバ3に受け取られると、その画像がプッシュ通知サーバ3からスマートフォン2に配信される。
【0060】
図5は、デバイスの登録に関するデータの流れを示すシーケンス図である。
【0061】
画像の受信を希望するスマートフォン2のユーザは、米アップル社などが所有するアプリケーションサーバにアクセスし、アプリケーションサーバからプロバイダが提供する画像配信アプリケーション26をダウンロードする(ステップS1)。
【0062】
画像配信アプリケーション26が起動されると、画像配信アプリケーション26からスマートフォン2のOS25を介してプッシュ通知サーバ3に登録要求が送信される(ステップS2)。
【0063】
プッシュ通知サーバ3に登録要求が受け取られると、プッシュ通知サーバ3でスマートフォン2の識別子を含むデバイストークンが生成される。そして、そのデバイストークンがプッシュ通知サーバ3からスマートフォン2に送信される(ステップS3)。
【0064】
スマートフォン2に受信されたデバイストークンは、スマートフォン2から画像配信サーバ4に送信される(ステップS4)。画像配信サーバ4に受信されたデバイストークンは、画像配信サーバ4に一時的に保持される。
【0065】
図6は、プッシュ通知および画像配信に関するデータの流れを示すシーケンス図である。
【0066】
画像配信サーバ4に一時的に保持されているデバイストークンをプッシュサーバ5が取得するために、プッシュサーバ5から画像配信サーバ4にデバイストークンの送信の要求が周期的に出される(ステップS11)。
【0067】
プッシュサーバ5から画像配信サーバ4に要求が送信されたときに、画像配信サーバ4にデバイストークンが保持されていれば、そのデバイストークンが画像配信サーバ4からプッシュサーバ5に送信される(ステップS12)。プッシュサーバ5に送信されたデバイストークンは、デバイスIDデータベース11に格納される。また、そのデバイストークンは、画像配信サーバ4から消去され、画像配信サーバ4には残らない。
【0068】
また、プッシュサーバ5から画像配信サーバ4に周期的にアクセスされて、リクエストデータベース8に格納されている通知タイミングの送信が画像配信サーバ4に要求される(ステップS13)。
【0069】
このとき、リクエストデータベース8に新着の通知タイミングが格納されていれば、その通知タイミングが画像配信サーバ4からプッシュサーバ5に送信される(ステップS14)。
【0070】
プッシュサーバ5において、画像配信サーバ4から受信した通知タイミングは、常に監視されている。そして、画像の配信を通知するタイミングが到来すると、プッシュサーバ5において、通知パッケージが作成される(ステップS15)。
【0071】
通知パッケージは、プッシュサーバ5からプッシュ通知サーバ3に送信される(ステップS16)。
【0072】
プッシュ通知サーバ3に通知パッケージが受け取られると、通知パッケージに含まれるデバイストークから特定されるスマートフォン2にプッシュ通知サーバ3から通知が配信される(ステップS17)。
【0073】
この通知をスマートフォン2が受信すると、スマートフォン2のタッチパネル式ディスプレイ22に、「新たな画像の配信を希望しますか?」などの問い合わせのメッセージとともに、その返答のための「YES」ボタンおよび「NO」ボタンが表示される。
【0074】
そして、スマートフォン2のユーザにより、「YES」ボタンが押されると(指で触れられると)、画像の配信を希望する旨の信号(YES信号)が問い合わせに対する返答として、スマートフォン2からプッシュ通知サーバ3を経由してプッシュサーバ5に送信される(ステップS18)。
【0075】
プッシュサーバ5にYES信号が受け取られると、リクエストデータベース8に格納されている画像ファイルが画像配信サーバ4を経由してプッシュサーバ5に読み出され、その読み出された画像ファイルがプッシュサーバ5からプッシュ通知サーバ3を経由してスマートフォン2に配信される(ステップS19)。
【0076】
画像ファイルは、スマートフォン2のメモリ24の主記憶装置に書き込まれる。そして、スマートフォン2にインストールされている画像配信アプリケーション26(画像ファイル処理部30)の機能により、画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダが生成されて、当該ヘッダが画像ファイルに含められる。これにより、画像ファイルには、画像データおよびその画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダが含まれることになる。その後、画像配信アプリケーション26の機能により、画像ファイルによる画像がタッチパネル式ディスプレイ22に表示される。
【0077】
一方、スマートフォン2のタッチパネル式ディスプレイ22に表示された問い合わせに対して、スマートフォン2のユーザにより、「NO」ボタンが押されると(指で触れられると)、画像の配信を希望しない旨の信号(NO信号)が問い合わせに対する返答として、スマートフォン2からプッシュ通知サーバ3を経由してプッシュサーバ5に送信される(ステップS18)。この場合、画像配信サーバ4からスマートフォン2への画像ファイルの配信は行われない。
【0078】
以上のように、画像配信サーバ4に保管されている画像ファイルは、所定のフォーマット形式の画像データを含み、そのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含まない。この画像ファイルは、画像配信サーバ4から画像配信アプリケーション26がインストールされているスマートフォン2に送信される。画像配信サーバ4から画像ファイルを受信したスマートフォン2では、画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダが生成されて、ヘッダが画像ファイルに含められるので、画像データおよびヘッダを含む画像ファイルに基づいて、ディスプレイに画像を表示させることができる。
【0079】
画像配信サーバ4からスマートフォン2に送信された画像ファイルが他のスマートフォン2に転送されても、その転送先のスマートフォン2に画像配信アプリケーション26がインストールされていなければ、転送先のスマートフォン2では、ヘッダが生成されないので、画像ファイルによる画像が表示されない。また、スマートフォン2からパーソナルコンピュータに画像ファイルが転送されても、画像ファイルにヘッダが含まれないので、パーソナルコンピュータのディスプレイに画像を表示させることはできない。したがって、スマートフォン2からの他の機器への画像ファイルの転送は、無意味である。よって、画像ファイルの転送による画像の不正入手を防止することができる。
【0080】
また、スマートフォン2が受信する画像ファイルは、メモリ24の主記憶装置に書き込まれ、補助記憶装置に書き込まれない。これにより、スマートフォン2からの画像ファイルの転送を防止することができる。その結果、画像ファイルの転送による画像の不正入手を一層防止することができる。
【0081】
また、スマートフォン2がプッシュ通知サーバ3に登録されると、プッシュ通知サーバ3からスマートフォン2に識別子を含むデバイストークンが送信される。デバイストークンは、スマートフォン2からインターネット6上に置かれた画像配信サーバ4に送信される。また、画像配信サーバ4には、元画像ファイルおよび通知タイミングが入力される。そして、元画像ファイルからフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダが削除され、そのヘッダを含まない画像ファイルが作成される。画像ファイルおよび通知タイミングは、画像配信サーバ4に接続されたリクエストデータベース8に格納される。
【0082】
インターネット6から隔離されたローカルエリアネットワーク10上に、プッシュサーバ5が置かれている。プッシュサーバ5は、画像配信サーバ4と暗号化通信が可能である。プッシュサーバ5は、画像配信サーバ4に周期的にアクセスして、画像配信サーバ4がスマートフォン2から受け取ったデバイストークンを取得する。これに応答して、デバイストークンは、画像配信サーバ4から消去される。プッシュサーバ5に取得されたデバイストークンは、プッシュサーバ5に接続されたデバイスIDデータベース11に格納される。これにより、スマートフォン2の識別子は、インターネット6から隔離されたデバイスIDデータベース11に安全に保管される。
【0083】
すなわち、プッシュサーバ5は、スマートフォン2が直接にアクセスできないローカルエリアネットワーク10上に置かれている。そのため、プッシュ通知サーバ3からスマートフォン2に送信されるデバイストークンは、スマートフォン2がアクセス可能な画像配信サーバ4に送信され、画像配信サーバ4とプッシュサーバ5との間での安全な暗号化通信により、プッシュサーバ5を経由してデバイスIDデータベース11に格納される。
【0084】
また、プッシュサーバ5は、画像配信サーバ4に周期的にアクセスして、リクエストデータベース8に格納されている通知タイミングを取得する。そして、その通知タイミングが到来すると、プッシュサーバ5からデバイスIDデータベース11に格納されているデバイストークンで特定されるスマートフォン2に、プッシュ通知サーバ3を経由して、画像を配信する通知が出される。
【0085】
よって、スマートフォン2に付与された識別子を安全に管理することができながら、その安全に管理された識別子で特定されるスマートフォン2に画像を配信する通知を出すことができる。
【0086】
また、スマートフォン2への通知の結果、スマートフォン2から画像の配信を受ける旨の返答があったことに応答して、リクエストデータベース8に格納されている画像ファイルが画像配信サーバ4を経由して読み出され、その読み出された画像ファイルがスマートフォン2に配信される。そのため、スマートフォン2のユーザが望まない画像がスマートフォン2に配信されることを防止できる。
【0087】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することも可能である。
【0088】
たとえば、端末機の一例として、スマートフォン2を取り上げたが、端末機は、携帯電話機などであってもよい。
【0089】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 画像配信システム
2 スマートフォン(端末機)
4 画像配信サーバ
24 メモリ(主記憶装置、補助記憶装置)
26 画像配信アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のフォーマット形式の画像データを含み、かつ当該フォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含まない画像ファイルを、端末機に向けて送信する画像配信サーバと、
前記画像配信サーバから前記端末機に送信される前記画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを生成して、当該ヘッダを前記画像ファイルに含める機能を実現する画像配信アプリケーションを、前記端末機に向けて送信するアプリケーションサーバとを含む、画像配信システム。
【請求項2】
前記端末機は、揮発性メモリからなる主記憶装置および不揮発性メモリからなる補助記憶装置を備え、
前記端末機が受信する画像ファイルは、前記主記憶装置に書き込まれ、前記補助記憶装置に書き込まれない、請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項3】
画像配信アプリケーションがインストールされた端末機に画像を配信する方法であって、
所定のフォーマット形式の画像データを含み、かつ当該フォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを含まない画像ファイルを画像配信サーバから前記端末機に送信するステップと、
前記画像配信アプリケーションにより、前記画像配信サーバから送信される前記画像ファイルを前記端末機が受信し、当該画像ファイルに含まれる画像データのフォーマット形式についての情報が書き込まれたヘッダを生成して、当該ヘッダを前記画像ファイルに含めるステップとを含む、画像配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−90071(P2013−90071A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227518(P2011−227518)
【出願日】平成23年10月16日(2011.10.16)
【出願人】(507399070)株式会社ゼウス・エンタープライズ (5)
【Fターム(参考)】