説明

画面への押圧で撮影が可能な撮影装置、撮影方法及びプログラム

【課題】タッチパネルに対する指での操作で、誤動作の抑制された撮影が可能な撮影装置を提供する。
【解決手段】本撮影装置は、タッチパネルに接触した指の押圧力を検出する押圧力検出部と、撮影アイコンをディスプレイに表示させる表示制御手段と、指の接触位置が撮影アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、接触位置判定手段が真の判定を行った際、押圧力が第1の閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、押圧力判定手段が真の判定を行った際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を発動させる動作制御手段とを有している。押圧力判定手段は、フォーカス動作の発動後、押圧力が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定し、押圧力が第2の閾値以上であるとの判定がなされた際、動作制御手段は、撮影動作を発動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ及びタッチパネルを備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被写体を撮影する撮影装置として、デジタルカメラや、撮影機能を有する携帯型情報機器等が広く普及している。これらの装置の多くは、被写体の画像を表示するディスプレイの画面上にタッチパネルを備えている。このタッチパネルに、指、スタイラス等で触れることによって所定の入力が可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1のデジタルカメラ装置では、タッチパネル付き液晶表示部に表示された被写体の画像に指で触れることによって、フォーカスが行われる。この装置では、指で触れた点を中心として、フォーカスを行う合焦エリアが設定される。また、同点を中心として測光エリアも設定可能であり、測光エリアでの情報を基にして露出調整が行われる。
【0004】
さらに、特許文献2の電子カメラでは、液晶モニタに表示された人物の顔画像に枠を設け、この枠内に指を接触させることによって、撮影の際の主要被写体が選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−48526号公報
【特許文献2】特開2008−85737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撮影装置の入力にタッチパネルを用いると、物理的なボタン又はキーと比較して、誤った入力操作が生じやすい傾向にある。具体的には、ユーザが意図せずにタッチパネルに触れた場合でも撮影に関する操作が生じたり、ユーザが入力操作を行っても所望の機能が発動せずやり直しの操作が必要となったりする。
【0007】
このため、例えば、撮影動作、いわゆるシャッタを切る動作は、特許文献1及び2においても、指によるタッチパネルへの操作によって発動する、とはされていない。撮影は、特に誤動作を避けたいものであり、通常、物理的なシャッタボタン(シャッタキー)を介して実行される。例えば特許文献2でも、物理的な操作部材を介して、撮影が実行されている。その結果、誤動作をできるだけ抑えて撮影を行うためには、物理的なボタン(キー)とタッチパネルとの両方が必要となる。
【0008】
一方で、誤動作を回避すべく、この物理的なシャッタボタンを用いる場合、タッチパネルに対する指の操作によってフォーカス動作がなされ、物理的なボタンに対する指の操作によって撮影動作がなされることになる。従って、本来一連の操作で発動させたいフォーカス及び撮影動作が、分離した操作によることになり、操作性が良いとはいえない。
【0009】
そこで、本発明は、タッチパネルに対する指での操作で、誤動作の抑制された撮影が可能な撮影装置、撮影方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えた撮影装置であって、
タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部と、
撮影動作を発動させるための撮影アイコンを、ディスプレイに表示させる表示制御手段と、
当該指の接触位置が撮影アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
接触位置判定手段が真の判定を行った際、押圧力が第1の閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
押圧力判定手段が真の判定を行った際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を発動させる動作制御手段と
を有しており、
押圧力判定手段は、フォーカス動作の発動後、押圧力が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定し、
押圧力が第2の閾値以上であるとの判定がなされた際、動作制御手段は、撮影動作を発動させる撮影装置が提供される。
【0011】
また、本発明の撮影装置における他の実施形態によれば、動作制御手段は、ユーザの操作から見て、
当該指が撮影アイコンを第1の閾値以上であって第2の閾値未満の押圧力で押す半押し動作を行った際、フォーカス動作を発動させ、
引き続いて、当該指が撮影アイコンを第2の閾値以上の押圧力で押し込む押し込み動作を行った際、撮影動作を発動させることも好ましい。
【0012】
さらに、本発明の撮影装置における他の実施形態によれば、撮影装置を保持した手の指が撮影アイコンを押し込むことができるように、該撮影アイコンの位置及びサイズのうち少なくとも1つが可変であることも好ましい。
【0013】
また、本発明の撮影装置における他の実施形態によれば、タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を与える触覚応答機構部と、
動作制御手段が撮影動作を発動させた際、当該指に対してタッチパネルを介して触覚応答を与えるべく触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と
を更に有することも好ましい。
【0014】
この場合、触覚応答制御手段は、当該指に物理的な押下ボタンを実際に押下したかのように感じさせる振動を与えるように触覚応答機構部を制御することも好ましい。
【0015】
また、本発明の撮影装置における他の実施形態によれば、
撮影動作が発動する前に当該被写体の画像をズームする際のズーム速度を決定するズーム速度決定手段を更に有しており、
表示制御手段は、ズーム動作を発動させるためのズームアイコンを、ディスプレイに表示させ、
接触位置判定手段は、当該指の接触位置がズームアイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定し、
当該指の接触位置がズームアイコンの表示位置範囲と重畳したとの判定がなされた際、ズーム速度決定手段は、押圧力の大きさに応じてズーム速度を決定し、
動作制御手段は、撮影動作を発動させる前に、決定されたズーム速度で当該被写体の画像をズームさせることも好ましい。
【0016】
さらに、本発明の撮影装置における他の実施形態によれば、
表示制御手段は、撮影動作を発動させるモードと、撮影された画像を再生する再生動作を発動させるモードとを含むモード群の中から1つを選択するためのモード選択アイコンを、ディスプレイに表示させ、
接触位置判定手段は、当該指の接触位置がモード選択アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定し、
当該指の接触位置がモード選択アイコンの表示位置範囲と重畳したとの判定がなされた際、押圧力判定部は、押圧力が第3の閾値以上であるか否かを判定し、
押圧力が第3の閾値以上であるとの判定がなされた際、動作制御手段は、モード選択アイコンの表示位置範囲内における、当該指の接触位置が重畳した位置に応じて、モード群の中から1つを動作させることも好ましい。
【0017】
本発明によれば、さらに、ディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えた撮影装置に搭載されたプログラムであって、
撮影装置は、タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部をさらに備えており、このプログラムは、
撮影動作を発動させるための撮影アイコンを、ディスプレイに表示させる表示制御手段と、
当該指の接触位置が撮影アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
接触位置判定手段が真の判定を行った際、押圧力が第1の閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
押圧力判定手段が真の判定を行った際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を発動させる動作制御手段と
してコンピュータを機能させ、
押圧力判定手段は、フォーカス動作の発動後、押圧力が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定し、
押圧力が第2の閾値以上であるとの判定がなされた際、動作制御手段は、撮影動作を発動させる撮影装置用のプログラムが提供される。
【0018】
本発明によれば、さらにまた、ディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えた撮影装置における撮影方法であって、
タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する第1のステップと、
撮影動作を発動させるための撮影アイコンを、ディスプレイに表示させる第2のステップと、
当該指の接触位置が撮影アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定する第3のステップと、
第3のステップで真の判定がなされた際、押圧力が第1の閾値以上であるか否かを判定する第4のステップと、
第4のステップで真の判定がなされた際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を発動させる第5のステップと、
フォーカス動作の発動後、押圧力が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定する第6のステップと、
第6のステップで真の判定がなされた際、撮影動作を発動させる第7のステップと
を有する撮影方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の撮影装置、撮影方法及びプログラムによれば、タッチパネルに対する指での操作で、誤動作の抑制された撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による携帯型情報機器の前面図及び背面図である。
【図2】本発明による携帯型情報機器の他の使用態様を示す前面図及び背面図である。
【図3】本発明の撮影アイコンを説明するための、携帯型情報機器の前面部分図、及び指による操作の概略図である。
【図4】本発明のズームアイコン及びモード選択アイコンを説明するための、携帯型情報機器の前面部分図、及び指による操作の概略図である。
【図5】本発明による携帯型情報機器の一実施形態を示す機能構成図である。
【図6】本発明による撮影方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
本発明による撮影装置は、ディスプレイ及びタッチパネルを備えている。本発明は、このディスプレイの画面に撮影アイコンを表示させ、指でこの撮影アイコンを押圧して、フォーカス動作及び撮影動作を発動させる点に特徴を有する。ここで、フォーカス動作及び撮影動作を発動させるために、撮影アイコンに対する単なる指の接触ではなく、指による押し込みが必要となるので、意図しない又は不本意な接触による誤動作が回避される。
【0023】
また、フォーカス動作及び撮影動作が、撮影アイコン(タッチパネル)に対する指での一連の操作(同一位置範囲での押し込み操作)によって発動されるので、高い操作性が実現する。さらに、撮影アイコンは、物理的なボタン又はキーではなく、画面に表示されたイメージなので、その位置及びサイズを可変にすることができる。これにより、撮影時に装置を縦向きにしても又は横向きにしても、装置を保持した手の指で撮影アイコンを確実に押し込めるような設定が可能となる。
【0024】
尚、本発明が対象とする撮影装置では、ユーザの指がタッチパネルに接触することによって撮影動作が発動する。タッチパネルは、装置が持つ撮影機能以外の多様な機能の発動を可能にする。このため、タッチパネルを備えた撮影装置の多くは、手で保持して操作が可能な、スマートフォン等の携帯型情報機器である。従って、以下、本発明の実施形態として、撮影機能付きの携帯型情報機器(以下、携帯型情報機器と称する)を説明する。
【0025】
図1は、本発明による携帯型情報機器の前面図及び背面図である。
【0026】
図1(A)は、携帯型情報機器1の前面図である。この前面図によれば、ディスプレイ101の画面に、画像表示領域104と、撮影アイコン105と、ズームアイコン106と、モード選択アイコン107と、十字アイコン108とを含む画像が表示されている。また、この画面上に、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネル100が配置されている。
【0027】
画像表示領域104は、被写体の画像を表示させる領域である。例えば、従来のデジタルカメラが有する物理的な液晶画面を模してデザインされていてもよい。画像表示領域104には、撮影時での被写体の画像(動画)が表示される。また、撮影された画像が再生画像として表示されることも好ましい。
【0028】
撮影アイコン105は、撮影動作を発動させるための表示である。例えば、従来のデジタルカメラが有する物理的なシャッタボタンを模してデザインされていてもよい。ユーザの指が、この撮影アイコン105を所定範囲内の押圧力で押す半押し動作を行った際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作が発動する。さらに引き続いて、ユーザの指が、撮影アイコン105を所定の閾値以上の押圧力で押し込む押し込み動作を行った際、被写体の画像を取り込む撮影動作が発動する。
【0029】
ズームアイコン106は、ズーム動作を発動させるための表示である。例えば、従来のデジタルカメラが有する物理的なズームボタンを模してデザインされていてもよい。ユーザの指が、このズームアイコン106を押圧すると、その押圧力の大きさに応じたズーム速度で、画像表示領域104に表示された画像が望遠表示(ズームイン)又は広角表示(ズームアウト)される。
【0030】
モード選択アイコン107は、携帯型情報機器1の取り得る種々のモードからなるモード群の中から1つを選択するための表示である。例えば、従来のデジタルカメラが有する物理的なモード切り替えスイッチを模してデザインされていてもよい。ユーザの指が、このモード選択アイコン107を所定の閾値以上の押圧力で押し込みながら移動(スライド)した場合、移動した先の指の接触位置に応じて、設定されたモード群の中から1つが動作する。
【0031】
モード選択アイコン107によって選択可能なモードとして、
(a)撮影動作を発動させるための撮影モードと、
(b)撮影された画像を再生する再生動作を発動させるための再生モードと
が設けられていることが好ましい。また、撮影モードを更に分けて、
(c)オートフォーカス機能を発動させるためのオートフォーカス撮影モードと、
(d)フォーカス及び露光調整を手動で行うマニュアル撮影モードと
が設けられていることも好ましい。この場合、上述した撮影アイコン105を押圧する操作は、(c)オートフォーカス撮影モードの動作下で行われる。
【0032】
十字アイコン108は、被写体の画像においてフォーカスしたい部分を、カーソルで指定するための表示である。例えば、従来のデジタルカメラが有する物理的な十字キーを模してデザインされていてもよく、上下左右の4つの移動キーイメージと中央に位置する入力キーイメージとを有していてもよい。例えば、4つの移動キーイメージを指で適宜押し込んで、画像表示領域104に表示されたカーソルをフォーカスしたい位置に移動させ、入力キーイメージを指で押し込んで、画像表示領域104内におけるフォーカスする領域を決定する。
【0033】
これら撮影アイコン105と、ズームアイコン106と、モード選択アイコン107と、十字アイコン108とはいずれも、機器1を保持した手の指が容易に届く範囲内に表示されることが好ましい。この指は、実際、保持に関係しない親指となる。ここで、図1(A)によれば、携帯型情報機器1は、保持した右手の指で操作されている。この場合、親指が容易に届く範囲を考慮して、上記4つのアイコンはいずれも、ディスプレイ101の画面内の「対前面右側」(機器1の前面に正対した場合の右側)に表示される。
【0034】
尚、携帯型情報機器1が保持した左手の指で操作される場合に応じて、上記4つのアイコンのいずれをも、ディスプレイ101の画面内の「対前面左側」(機器1の前面に正対した場合の左側)に表示可能とすることも好ましい。
【0035】
通常、携帯型情報機器1の情報処理及び通信機能は、機器1を保持した手の指(親指)によるタッチパネル100への操作によって発動可能である。従って、撮影装置としての機能もこの指による操作で発動させ得ることは、機器1の持ち替えの必要もなく非常に便利である。
【0036】
図1(B)は、携帯型情報機器1の背面図である。この背面図によれば、被写体からの光を機器1内に取り入れる受光部として、レンズモジュール109が設けられている。レンズモジュール109は、機器1の背面内で「対前面左側」(図1(B)では右側)に位置している。ここで、機器1の上下を逆にしてレンズモジュール109を「対前面右側」に位置させ、左手の指(親指)で操作を行う場合、撮影アイコン105と、ズームアイコン106と、モード選択アイコン107と、十字アイコン108とは、この左手の指が容易に届くように、ディスプレイ101の画面内で「対前面左側」に表示される。
【0037】
尚、画像表示領域104も、撮影アイコン105等と同じく、タッチパネル100内の所望の位置に表示可能である。例えば、ユーザから見て、画像表示領域104を、レンズモジュール109の真裏に位置するように表示することも好ましい。この場合、ユーザは、被写体からの光を、レンズモジュール109を介して、画像表示領域104で直接受け止めたような感覚をもって、機器1を使用できる。
【0038】
図2は、本発明による携帯型情報機器の他の使用態様を示す前面図及び背面図である。
【0039】
図2(A)は、携帯型情報機器1の前面図である。この前面図によれば、ディスプレイ101の画面に、画像表示領域104と、撮影アイコン105と、ズームアイコン106と、モード選択アイコン107と、十字アイコン108とを含む画像が表示されている。
【0040】
上記4つのアイコンはいずれも、携帯型情報機器1を保持した手の指(親指)が容易に届く範囲内であって、画面内の下側に表示されている。尚、機器1が左手で保持される場合でも、これら4つのアイコンは、ディスプレイ101の画面内の下側に表示される。
【0041】
図2(B)は、携帯型情報機器1の背面図である。この背面図によれば、レンズモジュール109は、機器1の背面内で上側に位置している。これにより、携帯型情報機器1が同図のように右手で保持されても、又は左手で保持されても、この手の指がレンズモジュール109の対物レンズを遮る事態を回避できる。その結果、不要な障害のない良好な撮影が可能となる。
【0042】
以上、図1及び図2を用いて説明したように、本発明では、操作対象である、撮影アイコン105と、ズームアイコン106と、モード選択アイコン107と、十字アイコン108とはいずれも、ディスプレイ101の画面に表示される仮想的なボタン(スイッチ、キー)である。その結果、これらのアイコンは、携帯型情報機器1を保持する手の指が容易に届く範囲内に配置可能となっている。これにより、機器1を保持した手の指による操作で、撮影に関する種々の動作が発動可能となる。
【0043】
さらに、これらのアイコンの位置が可変であることによって、例えば、撮影時に携帯型情報機器1を横向き(図1(A)及び(B))にしても縦向き(図2(A)及び(B))にしても、装置を保持した手の指でこれらのアイコンを確実に押し込めるような配置が可能となる。
【0044】
図3は、本発明の撮影アイコンを説明するための、携帯型情報機器の前面部分図、及び指による操作の概略図である。
【0045】
図3(A1)は、携帯型情報機器1における、撮影アイコン105が表示された部分を示している。図3(A1)によれば、撮影アイコン105は、ディスプレイ101の画面において、保持した手の指(親指)が撮影アイコン105を押し込むことができる位置に表示されている。
【0046】
撮影を行う際、最初に、ユーザが、指を撮影アイコン105に接触させる。すなわち、指の接触位置が撮影アイコン105の表示位置範囲と重畳する。次いで、ユーザは、画像表示領域104に表示された画像を確認しながら、被写体に焦点を合わせるため、指で撮影アイコン105を押圧する。この際、この指による押圧力pは、図3(A2)に示すように、第1の閾値をpTH1とし、第2の閾値をpTH2として、
(1) pTH2>p≧pTH1
の条件を満たす値となっている。
【0047】
ここで、第1の閾値pTH1を、例えば0.5N(ニュートン)乃至1.0Nの範囲内の値とし、第2の閾値pTH2を、例えば1.0N乃至2.0Nの範囲内の値とすることができる。尚、指の押圧力pは、後述する押圧力検出部103(図5)で検出される。
【0048】
ユーザの操作から見た場合、式(1)を満たす押圧力pでの押圧は、撮影アイコン105が仮想する物理的なシャッタボタンを半押ししたことに対応する。これにより、フォーカス動作が発動する。フォーカス動作は、被写体の画像の中で所望の位置に焦点を合わせる動作である。例えば、画像表示領域104にカーソルを表示し、カーソルの指定した位置を中心とした所定のフォーカスエリア内の画像において、焦点を合わせる動作となる。カーソル(フォーカスエリア)は、前もって所定の位置、例えば画像表示領域104の中央に設定されていてもよい。
【0049】
次いで、ユーザは、被写体に焦点が合ったことを確認しつつ、撮影を行うため、指で撮影アイコン105を更に押し込む。この際、この指による押圧力pは、同じく図3(A2)に示すように、
(2) p≧pTH2
の条件を満たす値となっている。
【0050】
ユーザの操作から見た場合、式(2)を満たす押圧力pでの押し込みは、撮影アイコン105が仮想する物理的なシャッタボタンを押し込んだことに対応する。これにより、撮影動作が発動する。撮影動作は、被写体の画像を取り込む動作である。例えば、レンズモジュール109からの光情報を、設定されたシャッタ時間だけ、後述する撮像部111(図5)に取り込ませて(結像させて)撮像する動作となる。
【0051】
以上説明したように、本発明の携帯型情報機器1では、ユーザの指が、撮影アイコン105を、式(1)の条件(pTH2>p≧pTH1)を満たす押圧力pで押す半押し動作を行うと、フォーカス動作が発動する。さらに引き続いて、式(2)の条件(p≧pTH2)を満たす押圧力pで押し込む押し込み動作を行うと、撮影動作が発動する。このように、ユーザは、従来のデジタルカメラでの物理的なシャッタボタンを実際に押下したかのようなリアルな操作感を得ることができる。
【0052】
また、本発明の携帯型情報機器1では、指による押圧力pの大きさを操作条件に加えている。すなわち、フォーカス動作及び撮影動作を発動させるために、撮影アイコン105に対する単なる指の接触ではなく、指による押し込みが必要となる。その結果、意図しない又は不本意な接触による誤動作が回避され、誤動作が抑制された撮影を行うことができる。さらに、単なる接触ではない手応えのある操作が可能となる。
【0053】
さらに、フォーカス動作及び撮影動作が、撮影アイコン105(タッチパネル100)に対する指での一連の操作(同一位置範囲での押し込み操作)によって発動されるので、高い操作性が実現する。
【0054】
尚、フォーカス動作を発動させるか否かの判断において、実際には、式(1)の条件を用いず、後述するステップS605(図6)で示すように、
(3) p≧pTH1
との条件を用いている。これは、本実施形態が、(c)オートフォーカス撮影モードの動作下であることを前提としていることによる。すなわち、ユーザがいきなり強い押圧力p(p≧pTH2)で押し込んだ場合でも、フォーカス動作が前もって確実に発動するようにしたものである。
【0055】
ここで、第1の閾値pTH1は、有限値(pTH1>0)であることが好ましい。これにより、ユーザは、ある程度の押圧を必要とする半押し動作でフォーカス動作を発動させる、というリアルな操作感を得ることができる。しかしながら、この閾値pTH1をゼロに設定することも可能である。この場合、実質的に、指が撮影アイコン105に接触した段階で、フォーカス動作が発動する。
【0056】
また、フォーカス動作が発動する時点を前後して、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、物理的なシャッタボタンの存在を感じさせる振動を与えることができる。これにより、ユーザは、半押し操作が受け入れられたことを体感し、確実な操作感を得ることができる。
【0057】
ここで、物理的なシャッタボタンの存在を感じさせる振動の例として、以下のものが挙げられる。最初に、指による撮影アイコン105への押圧力pが増加すると、この押圧力pの大きさと共に強くなる振動vが指に与えられる。次いで、押圧力pが第1の閾値pTH1に近づき、さらに第1の閾値pTH1以上になると、振動vの強度が急激に大きくなる。これにより、指は、シャッタボタンを軽く当たるところまで押したような感触を受ける。
【0058】
さらに、撮影動作が発動する時点を前後して、触覚応答機構部102(図5)が、指に、物理的なシャッタボタンを実際に押下したかのような感覚を付与する振動を与えることができる。これにより、ユーザは、押し込み操作が受け入れられたことを体感し、確実な操作感を得ることができる。
【0059】
ここで、物理的なシャッタボタンを実際に押下したかのような感覚を付与する振動の例として、以下のものが挙げられる。フォーカス動作時に振動vを受けている指が、さらに強い押圧力pで撮影アイコン105を押し込む。これにより、押圧力pが第2の閾値pTH2に近づくと、この押圧力pの大きさと共に強くなる振動vが指に与えられる。振動vの強度は、振動vの強度よりも大きく設定される。
【0060】
次いで、押圧力pが第2の閾値pTH2以上になると、振動vの強度を急激に小さくする。これにより、指は、軽く当たるところまで押されたシャッタボタンを、さらに押し込み、最後に押し抜いたような感触を受ける。
【0061】
図3(B)及び(C)は、携帯型情報機器1のディスプレイ101に表示された撮影アイコン105の種々の態様を示している。図3(B)に示すように、撮影アイコン105のディスプレイ101の画面内での位置は、機器1を保持した手の指(親指)が撮影アイコン105を容易に押し込むことができるように、可変であることが好ましい。
【0062】
一般に、撮影は、特に誤動作を避けたいものであり、従来、物理的なシャッタボタンを介して実行されてきた。そのため、本発明の如く、撮影アイコン105を介して撮影を実行する場合、撮影アイコン105の位置を可変とし、撮影アイコン105を適切な位置に表示することが好ましい。これは、操作を行う指が機器1を保持する手の指の場合、なおさらである。これにより、誤動作の抑制された確実な操作が担保される。
【0063】
また、撮影アイコン105のディスプレイ101の画面上でのサイズ(表示位置範囲の面積)も、機器1を保持した手の指(親指)が撮影アイコン105を押し込むことができるように、可変であることが好ましい。さらに、撮影アイコン105の形状も、適宜設定可能であることも好ましい。
【0064】
例えば、図3(C)の撮影アイコン105は、図1(A)の撮影アイコン105と比較して、より大きな面積を有しており、形状も円形ではなく、親指の指先の届く範囲をカバーした扇状又はL字状である。これにより、誤動作の抑制された確実な操作が可能となる。
【0065】
図4は、本発明のズームアイコン及びモード選択アイコンを説明するための、携帯型情報機器の前面部分図、及び指による操作の概略図である。
【0066】
図4(A1)は、携帯型情報機器1における、ズームアイコン106が表示された部分を示している。図4(A1)によれば、ズームアイコン106は、ディスプレイ101の画面において、保持した手の指(親指)がズームアイコン106を容易に押し込むことができる位置に表示されている。
【0067】
ズームを行う際、最初に、ユーザが、指をズームアイコン106に接触させる。すなわち、指の接触位置がズームアイコン106の表示位置範囲と重畳する。具体的には、ズームアイコン106の広角(ワイド)指示部分W及び望遠(テレ)指示部分Tのいずれかの表示位置範囲と重畳する。次いで、ユーザは、画像表示領域104に表示された画像を確認しながら、所望の表示倍率の画像を得るため、指でズームアイコン106を押圧する。具体的には、図4(A2)に示すように、広角指示部分W及び望遠指示部分Tのいずれかを押圧力pで押圧する。
【0068】
ここで、広角指示部分Wが押圧される場合、後述するズーム速度決定部123(図5)が、押圧力pの大きさに基づいて、広角側にズームする(表示倍率を小さくする)際のズーム速度を決定する。例えば、押圧力pが閾値pTHW以上である場合に、(p−pTHW)の値に比例させて、ズーム速度を増加させることも可能である。この場合、指を押し込めば押し込むほど、その分に比例して、より速く被写体の画像が広角側にズームされる。
【0069】
また、望遠指示部分Tが押圧される場合、同じくズーム速度決定部123(図5)が、押圧力pの大きさに基づいて、望遠側にズームする(表示倍率を大きくする)際のズーム速度を決定する。例えば、押圧力pが閾値pTHT以上である場合に、(p−pTHT)の値に比例させて、ズーム速度を増加させることも可能である。この場合、指を押し込めば押し込むほど、その分に比例して、より速く被写体の画像が望遠側にズームされる。
【0070】
尚、撮影アイコン105の広角指示部分W及び望遠指示部分Tのそれぞれが、指で押された際、機器1内に入り込んだように(窪んだように)表示されることも好ましい。
【0071】
図4(B1)は、携帯型情報機器1における、モード選択アイコン107が表示された部分を示している。図4(B1)によれば、モード選択アイコン107は、ディスプレイ101の画面において、保持した手の指(親指)がモード選択アイコン107を容易に押し込むことができる位置に表示されている。尚、モード選択アイコン107によって選択可能なモードとしては、例えば、上述したように、オートフォーカス撮影モードと、マニュアル撮影モードと、再生モードとが挙げられる。
【0072】
モードを選択する際、最初に、ユーザが、指をモード選択アイコン107に接触させる。すなわち、指の接触位置がモード選択アイコン107の表示位置範囲と重畳する。具体的には、例えば、モード選択アイコン107のスライダ部分の表示位置範囲と重畳する。次いで、ユーザは、所望のモードを動作させるため、指でこのスライダ部分を押圧しながら、指を移動(スライド)させる。
【0073】
この際、この指による押圧力pは、図4(B2)に示すように、第3の閾値をpTH3として、
(4) p≧pTH3
の条件を満たす値となっている。ここで、第3の閾値pTH1を、例えば0.5N乃至2.0Nの範囲内の値とすることができる。
【0074】
ユーザは、式(4)を満たす押圧力pでモード選択アイコン107のスライダ部分を押し込みながら、所望のモードを指定する位置まで指をスライドさせる。図4(B1)では、三角印がこの位置を指し示している。これにより、スライダ部分も指と共にスライドする。このように、指の接触位置が移動して、各モードに対応した複数の位置の中の1つに重畳する。その結果、この重畳した位置に対応するモードが動作する。
【0075】
以上説明したように、本発明の携帯型情報機器1では、ユーザの指が、ズームアイコン106及びモード選択アイコン107のそれぞれを、押圧しながら操作する。これにより、ユーザは、従来のデジタルカメラでの物理的なズームボタン又はモード切り替えスイッチを実際に操作したかのようなリアルな操作感を得ることができる。また、単なる接触ではない手応えのある操作が可能となり、誤動作が抑制される。
【0076】
さらに、ズーム動作時に、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、ズーム速度に応じた強度の振動を与えることができる。例えば、ズーム速度が高くなるにつれてより強くなる振動を指に与える。これにより、ユーザは、ズーム操作が受け入れられたことを体感し、確実な操作感を得ることができる。
【0077】
また、モード選択時に、後述する触覚応答機構部102(図5)が、指に、モード選択アイコン107のスライダ部分の位置に応じて、振動を与えることができる。例えば、スライダ部分が、所定のモードを指定する位置までスライドしてきた際、(例えばカチッという音を連想させるような)短時間の振動を指に与える。これにより、ユーザは、スライダ部分が所定位置にはまったような感覚を得て、モード選択操作が受け入れられたことを体感し、確実な操作感を得ることができる。
【0078】
尚、ズームアイコン106及びモード選択アイコン107は、上述した実施態様に限定されるものではない。例えば、モード選択アイコン107は、複数のボタン群、ダイヤル等を模してデザインされていてもよい。いずれにしても、モード選択アイコン107の表示位置範囲内における、指の接触位置が重畳した位置に応じて、モード群の中から1つを動作させる。
【0079】
図5は、本発明による携帯型情報機器の一実施形態を示す機能構成図である。
【0080】
図5によれば、携帯型情報機器1は、タッチパネル100と、ディスプレイ101と、触覚応答機構部102と、押圧力検出部103と、レンズモジュール109と、撮像部111と、A/D変換部112と、画像処理部113と、メモリ114と、プロセッサ・メモリとを有する。
【0081】
また、プロセッサ・メモリは、接触位置判定部121と、押圧力判定部122と、ズーム速度決定部123と、動作制御部124と、触覚応答制御部125と、表示制御部126とを有する。ここで、プロセッサ・メモリは、プログラムを実行することによってその機能を実現させる。
【0082】
ディスプレイ101は、画像表示領域104と、撮影アイコン105と、ズームアイコン106と、モード選択アイコン107と、十字アイコン108とを含む画像を表示する。また、タッチパネル100は、ディスプレイ101の画面上に配置されており、ユーザの指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力する。このタッチパネル100として、投影型静電容量方式タッチパネル、表面型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜方式タッチパネル、超音波表面弾性波方式タッチパネル、又は赤外線走査方式タッチパネル等を採用することができる。
【0083】
触覚応答機構部102は、上述した操作対象であるアイコン105乃至108の各々に接触した指に対して、タッチパネル100を振動させることにより、触覚応答を与える。触覚応答機構部102は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料を用いて形成された圧電アクチュエータとすることができる。
【0084】
押圧力検出部103は、上述したアイコン105乃至108の各々(タッチパネル100)に指によって与えられる押圧力pを検出する。押圧力検出部103は、例えば、タッチパネル100の四隅下に設置されており、指を押し付けられ僅かに撓んだタッチパネル100が自身に及ぼす押圧の合計を、押圧力pとして検出する。
【0085】
押圧力検出部103は、例えば、PZT等の圧電材料を用いて形成された圧電センサとすることができる。また、圧電アクチュエータで構成された触覚応答機構部102を設ける代わりに又は設けると共に、この押圧力検出部103を触覚応答機構部として利用することも可能である。
【0086】
レンズモジュール109は、例えば、ズームレンズ、フォーカスレンズ、これらのレンズを変位させるレンズ駆動部、及び絞りを含む受光部である。被写体からの光は、このレンズモジュール109に入射して、倍率、焦点の度合い、光量等を調整され、その後、撮像部111に至る。
【0087】
撮像部111は、レンズモジュール109からの光を受光して光電変換を行う電荷結合素子(CCD)と、CCDからの画像信号に対してゲイン調整等の処理を行う信号処理部とを含む。この撮像部111から出力される、処理された画像信号は、A/D変換部112でデジタル信号に変換された後、画像処理部113に至る。
【0088】
画像処理部113は、A/D変換部112からのデジタル画像信号を適宜処理し、撮影画像データを生成する。また、動作制御部124からの撮影動作の発動指示に応じて、この撮影画像データを、メモリ114に記録する。
【0089】
また画像処理部113は、表示制御部126に映像信号を出力して、撮影時の被写体の画像(動画)を画像表示領域104(ディスプレイ101)に表示させる。さらに、メモリ114に記録された撮影画像データを表示制御部126に出力し、再生画像として画像表示領域104(ディスプレイ101)に表示させることも好ましい。メモリ114は、例えば、内蔵の半導体メモリであってもよく、脱着可能なメモリカードであってもよい。
【0090】
接触位置判定部121は、タッチパネル100から出力される指の接触位置信号を入力し、指の接触位置が、撮影アイコン105、ズームアイコン106、モード選択アイコン107、及び十字アイコン108の各々の表示位置範囲と重畳したか否かを判定し、この判定結果を動作制御部124に出力する。
【0091】
押圧力判定部122は、押圧力検出部103から出力される押圧力信号を入力し、指による押圧力pと、所定の閾値pTH1(図3)、閾値pTH2(図3)、及び閾値pTH3(図4)との大小関係を判定し、この判定結果を動作制御部124に出力する。
【0092】
ズーム速度決定部123は、押圧力検出部103から出力された押圧力信号を入力し、指による押圧力pの大きさに応じて、ズーム速度を決定し、決定したズーム速度の情報を動作制御部124に逐次出力する。
【0093】
動作制御部124は、接触位置判定部121、押圧力判定部122、及びズーム速度決定部123からの情報を入力する。さらに、これらの情報に基づいて、モードの選択及び起動、フォーカス動作の発動、撮影動作の発動等を指示し、それぞれの動作の制御を行う。例えば、レンズモジュール109に対してズームレンズ、フォーカスレンズ等の位置を指示し、画像処理部113に撮影動作の発動、再生動作の発動等を指示し、表示制御部126に各動作に対応した画像、アイコン等の表示を指示する。
【0094】
触覚応答制御部125は、動作制御部124からの各動作の発動情報に基づき、対応する触覚応答を指に対して与えるべく触覚応答機構部102を制御する。
【0095】
表示制御部126は、動作制御部124からの各動作の発動情報を入力し、指示された動作に応じた画像をディスプレイ101に表示させる。また、表示制御部126は、画像処理部113からの映像信号を入力して、撮影時の被写体の画像(動画)を画像表示領域104(ディスプレイ101)に表示させる。さらに、メモリ114に記録された撮影画像データを入力し、再生画像として画像表示領域104(ディスプレイ101)に表示させる。
【0096】
図6は、本発明による撮影方法の一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて、プロセッサ・メモリで実施される撮影方法の一実施形態を説明する。尚、図6の撮影方法は、ユーザが、モード選択アイコン107を操作して(C)オートフォーカス撮影モードを選択した場合の撮影方法に対応する。
【0097】
図6によれば、最初に、表示制御部126が、被写体の画像をディスプレイ101に表示させる(ステップS601)。さらに、撮影アイコン105及びズームアイコン106を、ディスプレイ101に表示させる(ステップS602)。次いで、接触位置判定部121が、指の接触位置が撮影アイコン105の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する(ステップS603)。
【0098】
接触位置判定部121が偽の判定、すなわち指の接触位置が撮影アイコン105の表示位置範囲と重畳していないとの判定を行った場合、接触位置判定部121は、さらに、指の接触位置がズームアイコン106の表示位置範囲と重畳したか否かを判定する(ステップS621)。
【0099】
接触位置判定部121が真の判定、すなわち指の接触位置がズームアイコン106の表示位置範囲と重畳したとの判定を行った場合、押圧力検出部103が、指による押圧力pを測定する(ステップS622)。その後、ズーム速度決定部123が、測定された押圧力pの大きさに応じてズーム速度を決定する(ステップS623)。次いで、動作制御部124は、決定されたズーム速度で被写体の画像をズームさせる(ステップS624)。その後、ステップS603に戻る。
【0100】
一方、ステップS603で、接触位置判定部121が真の判定、すなわち指の接触位置が撮影アイコン105の表示位置範囲と重畳したとの判定を行った場合、押圧力検出部103が、指による押圧力pを測定する(ステップS604)。次いで、押圧力判定部122が、この押圧力pが第1の閾値pTH1以上(p≧pTH1)であるか否かを判定する(ステップS605)。
【0101】
押圧力判定部122が真の判定、すなわちp≧pTH1との判定を行った場合、動作制御部124は、フォーカス動作を発動させる(ステップS606)。ここで、表示制御部126が、被写体のフォーカスされた画像をディスプレイ101に表示させることになる。一方、押圧力判定部122が偽の判定、すなわちp≧pTH1ではないとの判定を行った場合、ステップS603に戻る。
【0102】
ステップS606の後、押圧力検出部103が、指による押圧力pを測定する(ステップS607)。次いで、押圧力判定部122が、この押圧力pが第2の閾値pTH2以上(p≧pTH2)であるか否かを判定する(ステップS608)。
【0103】
押圧力判定部122が真の判定、すなわちp≧pTH2との判定を行った際、動作制御部124は、撮影動作を発動させる(ステップS609)。その際、触覚応答機構部102が、指に対して触覚応答を与えることも好ましい(ステップS610)。一方、押圧力判定部122が偽の判定、すなわちp≧pTH2ではないとの判定を行った場合、ステップS603に戻る。
【0104】
以上、詳細に説明したように、本発明の撮影装置、撮影方法及びプログラムによれば、フォーカス動作及び撮影動作を発動させるために、撮影アイコン105に対する単なる指の接触ではなく、指による押し込みが必要となる。その結果、タッチパネルに対する指での操作で、誤動作の抑制された撮影が可能となる。
【0105】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0106】
1 携帯型情報機器(撮影装置)
100 タッチパネル
101 ディスプレイ
102 触覚応答機構部
103 押圧力検出部
104 画像表示領域
105 撮影アイコン
106 ズームアイコン
107 モード選択アイコン
108 十字アイコン
109 レンズモジュール
111 撮像部
112 A/D変換部
113 画像処理部
114 メモリ
121 接触位置判定部
122 押圧力判定部
123 ズーム速度決定部
124 動作制御部
125 触覚応答制御部
126 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えた撮影装置であって、
前記タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部と、
撮影動作を発動させるための撮影アイコンを、前記ディスプレイに表示させる表示制御手段と、
当該指の接触位置が前記撮影アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
前記接触位置判定手段が真の判定を行った際、前記押圧力が第1の閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を発動させる動作制御手段と
を有しており、
前記押圧力判定手段は、前記フォーカス動作の発動後、前記押圧力が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定し、
前記押圧力が前記第2の閾値以上であるとの判定がなされた際、前記動作制御手段は、撮影動作を発動させる
ことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記動作制御手段は、ユーザの操作から見て、
当該指が前記撮影アイコンを前記第1の閾値以上であって前記第2の閾値未満の押圧力で押す半押し動作を行った際、前記フォーカス動作を発動させ、
引き続いて、当該指が前記撮影アイコンを前記第2の閾値以上の押圧力で押し込む押し込み動作を行った際、前記撮影動作を発動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記撮影装置を保持した手の指が前記撮影アイコンを押し込むことができるように、該撮影アイコンの位置及びサイズのうち少なくとも1つが可変であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記タッチパネルに接触した当該指に対して触覚応答を与える触覚応答機構部と、
前記動作制御手段が撮影動作を発動させた際、当該指に対して前記タッチパネルを介して触覚応答を与えるべく前記触覚応答機構部を制御する触覚応答制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記触覚応答制御手段は、当該指に物理的な押下ボタンを実際に押下したかのように感じさせる振動を与えるように前記触覚応答機構部を制御することを特徴とする請求項4に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記撮影動作が発動する前に当該被写体の画像をズームする際のズーム速度を決定するズーム速度決定手段を更に有しており、
前記表示制御手段は、ズーム動作を発動させるためのズームアイコンを、前記ディスプレイに表示させ、
前記接触位置判定手段は、当該指の接触位置が前記ズームアイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定し、
当該指の接触位置が前記ズームアイコンの表示位置範囲と重畳したとの判定がなされた際、前記ズーム速度決定手段は、前記押圧力の大きさに応じてズーム速度を決定し、
前記動作制御手段は、前記撮影動作を発動させる前に、決定された前記ズーム速度で当該被写体の画像をズームさせる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、撮影動作を発動させるモードと、撮影された画像を再生する再生動作を発動させるモードとを含むモード群の中から1つを選択するためのモード選択アイコンを、前記ディスプレイに表示させ、
前記接触位置判定手段は、当該指の接触位置が前記モード選択アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定し、
当該指の接触位置が前記モード選択アイコンの表示位置範囲と重畳したとの判定がなされた際、前記押圧力判定部は、前記押圧力が第3の閾値以上であるか否かを判定し、
前記押圧力が前記第3の閾値以上であるとの判定がなされた際、前記動作制御手段は、前記モード選択アイコンの表示位置範囲内における、当該指の接触位置が重畳した位置に応じて、前記モード群の中から1つを動作させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項8】
ディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えた撮影装置に搭載されたプログラムであって、
前記撮影装置は、前記タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部をさらに備えており、前記プログラムは、
撮影動作を発動させるための撮影アイコンを、前記ディスプレイに表示させる表示制御手段と、
当該指の接触位置が前記撮影アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定する接触位置判定手段と、
前記接触位置判定手段が真の判定を行った際、前記押圧力が第1の閾値以上であるか否かを判定する押圧力判定手段と、
前記押圧力判定手段が真の判定を行った際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を発動させる動作制御手段と
してコンピュータを機能させ、
前記押圧力判定手段は、前記フォーカス動作の発動後、前記押圧力が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定し、
前記押圧力が前記第2の閾値以上であるとの判定がなされた際、前記動作制御手段は、撮影動作を発動させる
ことを特徴とする撮影装置用のプログラム。
【請求項9】
ディスプレイと、該ディスプレイの画面上に配置され、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルとを備えた撮影装置における撮影方法であって、
前記タッチパネルに接触した当該指によって与えられる押圧力を検出する第1のステップと、
撮影動作を発動させるための撮影アイコンを、前記ディスプレイに表示させる第2のステップと、
当該指の接触位置が前記撮影アイコンの表示位置範囲と重畳したか否かを判定する第3のステップと、
第3のステップで真の判定がなされた際、前記押圧力が第1の閾値以上であるか否かを判定する第4のステップと、
第4のステップで真の判定がなされた際、被写体に焦点を合わせるフォーカス動作を発動させる第5のステップと、
フォーカス動作の発動後、前記押圧力が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であるか否かを判定する第6のステップと、
第6のステップで真の判定がなされた際、撮影動作を発動させる第7のステップと
を有することを特徴とする撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70303(P2013−70303A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208506(P2011−208506)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【復代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
【Fターム(参考)】