説明

画面共有方法、および、画面共有処理装置

【課題】通信量を低減可能かつ画面共有時の画質の低下を抑制可能な画面共有方法を提供すること。
【解決手段】拠点Aの発表者側PCは、発表者側表示装置に表示中の画像Pが更新され、当該更新された更新領域Prに含まれる色の数が16色以下と判定すると、当該更新領域Prを可逆圧縮した高速表示用データを参加者側PCへ送信し、拠点Bの参加者側表示装置に発表者側表示装置の更新領域Prと同じ画質の高速表示用更新領域Psを表示させ、可逆圧縮の高速表示用データを生成した更新領域Prが所定期間更新されていないと判定しても、高画質表示用データを参加者側PCへ送信しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面共有方法、および、画面共有処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ会議に用いられる画面共有処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1の構成では、まず、オリジナル画像を送信した後に、画面が更新されたか否かを判断する。そして、更新されたと判断した場合には、オリジナル画像よりも解像度を低下させることでデータサイズを小さくした高速表示用データを送信し、高速表示用画像を参加者側で表示させる。また、所定期間更新されていないと判断した場合には、オリジナル画像と同等の解像度を有し、高速表示用データよりもデータサイズが大きい高画質表示用データを送信し、高画質表示用画像を参加者側で表示させる。
このように、表示画面が更新された場合には、データサイズが小さい高速表示用データを送信することで、参加者側での更新に要する時間を短縮できる。また、所定期間更新が行われない場合には、高画質表示用データを送信することで、参加者側での画質の低下を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−205278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オリジナル画像の色の数によっては、高速表示用データと高画質表示用データとのデータサイズがほとんど変わらず、かつ、高速表示用画像と高画質表示用画像との画質もほとんど変わらない場合がある。
特許文献1の構成では、高速表示用データの送信後に、所定期間画像が更新されない場合には、高画質表示用データを送信する。このため、データサイズおよび画質がほとんど変わらないデータを2回送信することとなり、通信量が多くなってしまう。
【0005】
本発明は、通信量を低減可能かつ画面共有時の画質の低下を抑制可能な画面共有方法、および、画面共有処理装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画面共有方法は、第1表示部に画像を表示可能な端末にネットワークを介して接続され、第2表示部に画像を表示可能に構成された画面共有処理装置を用い、前記端末との間で画像を共有する画面共有方法であって、前記画面共有処理装置が、前記第2表示部に表示中の画像が更新されたと判定すると、当該画像に含まれる色の数が第1閾値以下か否かに基づいて、当該画像の画像データを処理する第1画像処理ステップと、当該画像が予め設定された所定期間連続して更新されていないと判定すると、当該画像の画像データを処理する第2画像処理ステップと、を行い、前記第1画像処理ステップは、前記第1閾値以下であると判定すると、前記画像データを可逆圧縮した第1圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第1圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させるステップと、前記第1閾値以下でないと判定すると、前記画像データを圧縮して、当該画像データに基づく画像よりも画質が低い画像を表示させるための第2圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第2圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させるステップと、を含み、前記第2画像処理ステップは、前記第1閾値以下でない画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記画像データを圧縮して、前記第2圧縮画像データに基づく画像よりも画質が高い画像を表示させるための第3圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第3圧縮画像データに基づく画像を前記第2圧縮画像データに基づく画像に変えて前記第1表示部に表示させるステップと、前記第1閾値以下である画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記端末へのデータの送信を行わないステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の画面共有処理装置は、第1表示部に画像を表示可能な端末にネットワークを介して接続されるとともに、第2表示部に画像を表示可能に構成され、前記端末との間で画像を共有する画面共有処理装置であって、前記第2表示部に表示中の画像が更新されたと判定すると、当該画像に含まれる色の数が第1閾値以下か否かに基づいて、当該画像の画像データを処理する第1画像処理部と、当該画像が予め設定された所定期間連続して更新されていないと判定すると、当該画像の画像データを処理する第2画像処理部と、を備え、前記第1画像処理部は、前記第1閾値以下であると判定すると、前記画像データを可逆圧縮した第1圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第1圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させ、前記第1閾値以下でないと判定すると、前記画像データを圧縮して、当該画像データに基づく画像よりも画質が低い画像を表示させるための第2圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第2圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させ、前記第2画像処理部は、前記第1閾値以下でない画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記画像データを圧縮して、前記第2圧縮画像データに基づく画像よりも画質が高い画像を表示させるための第3圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第3圧縮画像データに基づく画像を前記第2圧縮画像データに基づく画像に変えて前記第1表示部に表示させ、前記第1閾値以下である画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記端末へのデータの送信を行わないことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る画面共有システムのブロック図。
【図2】前記画面共有システムを構成する発表者側システムのブロック図。
【図3】前記画面共有システムを構成する参加者側システムのブロック図。
【図4】前記発表者側システムを構成する発表者側PCの画面共有処理のフローチャート。
【図5】前記画面共有処理に含まれる高速表示用データ生成処理のフローチャート。
【図6】前記高速表示用データ生成処理における更新領域を分割した状態の説明図。
【図7】前記高速表示用データ生成処理に含まれる色数判定詳細ロジック処理のフローチャート。
【図8】前記色数判定詳細ロジック処理における全体連続同色率算出方法の説明図。
【図9】前記全体連続同色率の算出に利用する横軸連続同色率算出方法の説明図。
【図10】前記色数判定詳細ロジック処理のフローチャート。
【図11】前記高速表示用データ生成処理に含まれるフラグ設定処理のフローチャート。
【図12】前記画面共有処理に含まれる高画質表示スレッドのフローチャート。
【図13】前記画面共有システムにおける画像の更新状態を示す模式図。
【図14】前記画面共有システムにおける画像の更新状態を示す模式図。
【図15】本発明の変形例に係る横軸連続同色率算出方法の説明図。
【図16】本発明の他の変形例に係る横軸連続同色率算出方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[画面共有システムの構成]
図1に示すように、画面共有システム1は、相互に離れた会議室たる拠点Aおよび拠点Bを繋ぐネットワーク2に収容された、発表者側システム3および参加者側システム4を含んで構成される。そして、画面共有システム1は、発表者側システム3を管轄下に置く、拠点Aの発表者10A(単数であっても複数であっても構わない)と、参加者側システム4を管轄下に置く、拠点Bの参加者10B(単数であっても複数であっても構わない)との間で、表示画面を相互に且つ視覚的に共有しつつデータ会議を行うことが可能に構成される。
【0010】
発表者側システム3は、図2に示すように、画面共有処理装置としての発表者側PC(パーソナルコンピュータ)31と、第2表示部としての発表者側表示装置32とを備える。
発表者側PC31は、発表者側システム3の動作を制御する。この発表者側PC31は、入力部33と、通信部34と、記憶部35と、制御部36とを備える。
入力部33は、キーボード、マウスあるいはタッチペンなどを含み、発表者10Aによる適宜の操作が可能に構成された入力デバイスである。
通信部34は、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルや、所定の無線通信帯域を有する無線通信ユニットを介して、ネットワーク2と接続される。
記憶部35は、発表者側PC31が利用する各種データや、発表者側表示装置32に表示させる画像の画像データを記憶する。
制御部36は、記憶部35に記憶されたプログラムおよびデータをCPUが処理することにより構成され、表示制御部361と、第1画像処理部362と、第2画像処理部363とを備える。
【0011】
表示制御部361は、入力部33の入力操作に基づいて、あるいは、所定時間経過ごとに、記憶部35に記憶された画像データに基づく画像を発表者側表示装置32の表示面321に表示させる。
第1画像処理部362は、発表者側表示装置32に表示中の画像が更新されたと判定すると、当該画像に含まれる色の数に基づいて、当該画像の画像データを処理する。そして、この画像データを、通信部34を介して参加者側システム4へ送信する。
第2画像処理部363は、第1画像処理部362で色が判定された画像が、予め設定された所定期間連続して更新されていないと判定すると、当該画像の画像データを処理して、通信部34を介して参加者側システム4へ送信する。
【0012】
参加者側システム4は、図3に示すように、端末としての参加者側PC(パーソナルコンピュータ)参加者側PC41と、第1表示部としての参加者側表示装置42とを備える。
参加者側PC41は、参加者側システム4の動作を制御する。この参加者側PC41は、入力部43と、通信部44と、記憶部45と、制御部46とを備える。なお、入力部43、通信部44、記憶部45は、発表者側システム3の入力部33、通信部34、記憶部35と同様の構成を有しているため、説明を省略する。
制御部46は、記憶部45に記憶されたプログラムおよびデータをCPUが処理することにより構成されている。そして、制御部46は、通信部44を介して発表者側PC31から画像データを取得して、当該画像データに基づく画像を参加者側表示装置42の表示面421に表示させる。
【0013】
[画面共有システムの作用]
次に、画面共有システム1の作用について説明する。
なお、ここでは、表示面321および表示面421に同じ内容の画像が表示されている状態において、発表者側表示装置32の画像が更新された場合について説明する。
【0014】
図4に示すように、発表者側PC31の第1画像処理部362は、表示面321の画像が更新されたか否かを判定する(ステップS1)。このステップS1において、第1画像処理部362は、更新されたと判断すると、高速表示用データの送信中か否かを判断する(ステップS2)。
そして、ステップS2において、第1画像処理部362は、高速表示用データの送信中であると判断した場合、ステップS1の処理に戻る。一方で、ステップS2において、第1画像処理部362が高速表示用データの送信中でないと判断した場合、第2画像処理部363は、高画質表示用データの送信中か否かを判断する(ステップS3)。
【0015】
第2画像処理部363は、ステップS3において、高画質表示用データの送信中であると判定した場合、後述する高画質表示スレッドを終了する(ステップS4)。
そして、第1画像処理部362は、第2画像処理部363でステップS4の処理がされた後、または、ステップS3において高画質表示用データの送信中でないと判定された場合、後述する高速表示用データの生成処理を行う(ステップS5)。この後、第1画像処理部362は、通信部34およびネットワーク2を介して、ステップS5で生成された高速表示用データを参加者側PC41へ送信し(ステップS6)、ステップS1の処理に戻る。
【0016】
また、第2画像処理部363は、ステップS1において、表示面321が更新されていないと第1画像処理部362が判定すると、画面更新が生じていない旨が連続して判定された回数(以下、適宜「連続更新無し回数」と称す)が、基準値である「N回」であるか否かを判定する(ステップS7)。
このステップS7において、第2画像処理部363は、連続更新無し回数がN回でないと判定すると、ステップS1の処理を行う。一方で、ステップS7において、連続更新無し回数がN回であると判定すると、第2画像処理部363は、高画質表示スレッドを開始する(ステップS8)。その後、第1画像処理部362は、ステップS1の処理を行う。
【0017】
一方、図4に示すステップS5における高速表示用データの生成処理において、第1画像処理部362は、図5に示すように、高速表示用データの生成対象の画像が、色数に差異がある複数の更新領域Pr(図6参照)を有するか否かを判定する(ステップS11)。
具体的に、第1画像処理部362は、画像が、2色以下の画像を表す更新領域Prと、3色以上16色以下の画像を表す更新領域Prと、17色以上256色以下の画像を表す更新領域Prと、257色以上の画像を表す更新領域Prとを、それぞれ何個ずつ有するか否かを判定する。
【0018】
例えば、図6に示すように、高速表示用データの生成対象である画像Pが、3色以上16色以下の文字およびカーソルを表す画像で構成される長方形の第1更新領域Pr1と、この第1更新領域Pr1の下側に位置し、17色以上256色以下の風景や模様を表す画像で構成される長方形の第2更新領域Pr2とを有する場合、第1画像処理部362は、以下のような処理を行う。
【0019】
まず、第1画像処理部362は、画像Pを構成する画素数が指定値以上のサイズ(例えば、横軸方向に320個、縦軸方向に240個)以上である場合、画像Pを4個の同じ大きさの領域である、第1分割領域Pd1、第2分割領域Pd2、第3分割領域Pd3、第4分割領域Pd4に分割する。そして、第1分割領域Pd1〜第4分割領域Pd4のそれぞれについて、色の数および色の分布を算出し、当該算出結果に基づいて、第1更新領域Pr1あるいは第2更新領域Pr2を構成していると考えられる領域を判定する。
【0020】
第1画像処理部362は、第1分割領域Pd1および第2分割領域Pd2については、第1更新領域Pr1を構成する3色以上16色以下の領域のみを有すると判定する。また、第3分割領域Pd3および第4分割領域Pd4については、上側に位置し第1更新領域Pr1を構成する3色以上16色以下の領域と、当該領域の下側に位置し第2更新領域Pr2を構成する17色以上256色以下の領域とを有すると判定する。
そして、第1画像処理部362は、画像Pが、第1分割領域Pd1および第2分割領域Pd2の全体と、第3分割領域Pd3および第4分割領域Pd4の上側の領域とから構成される第1更新領域Pr1と、第3分割領域Pd3および第4分割領域Pd4の下側の領域から構成される第2更新領域Pr2との2個の更新領域Prを有すると判定する。
【0021】
なお、本実施形態では、画像Pを4個の同じ大きさの領域に分割して色数に差異がある更新領域Prがあるか否かを判定したが、画像Pを分割せずに当該判定を行ってもよいし、2個や3個あるいは5個以上の領域に分割して当該判定を行ってもよい。
【0022】
第1画像処理部362は、図5に示すように、ステップS11において、色数に差異がある複数の更新領域Prを有していない、すなわち画像Pが1個の更新領域Prのみから構成されていると判定した場合、当該更新領域Prに対して、後述する色数判定詳細ロジック処理を行う(ステップS12)。この色数判定詳細ロジック処理によって、高速表示用データが生成される。
そして、第1画像処理部362は、後述するフラグ設定処理を行い(ステップS13)、ステップS5における処理を終了する。
【0023】
また、第1画像処理部362は、ステップS11において、色数に差異がある複数の更新領域Prを有していると判定した場合、画像Pを複数の更新領域Prに分割し(ステップS14)、いずれか1つの更新領域Prに対して、ステップS12と同様の色数判定詳細ロジック処理を行う(ステップS15)。この後、第1画像処理部362は、ステップS13と同様のフラグ設定処理を行い(ステップS16)、全ての更新領域Prに対して、色数判定詳細ロジック処理(ステップS15)とフラグ設定処理(ステップS16)とを行ったか否かを判定する(ステップS17)。
このステップS17において、全ての更新領域Prに対して処理を行ったと判定すると、ステップS5における処理を終了し、行っていないと判定すると、ステップS15に戻り、上記処理を行っていない更新領域Prに対する処理を行う。
例えば図6に示すように、画像Pが第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr2を有している場合、ステップS14において、画像Pを第1更新領域Pr1と第2更新領域Pr2とに分割し、第1更新領域Pr1と第2更新領域Pr2とのそれぞれに対してステップS15およびステップS16の処理を行う。
【0024】
また、図5に示すステップS12(あるいはステップS15)の色数判定詳細ロジック処理において、第1画像処理部362は、図7に示すように、ステップS11で判別した更新領域Prに使用されている色数を確認し(ステップS21)、使用色数が2色以下か否かを判定する(ステップS22)。
このステップS22において、第1画像処理部362は、2色以下であると判定すると、当該更新領域Prを表示するための更新領域データに対して、解像度が2のPNG(Portable Network Graphic)(2色PNG)の形式に準じた可逆圧縮を行うことで(ステップS23)、高速表示用データを生成し、ステップS12における処理を終了する。
なお、PNG形式で圧縮する処理については、可逆圧縮であれば、いずれの形式を用いた処理でもよく、例えば、GIF(Graphics Interchange Format)の形式に準じたものであってもよい。この可逆圧縮により、参加者側表示装置42において表示される後述する高速表示用更新領域Ps(図14参照)の画像品質が低下させられることがなくなる。
【0025】
一方、第1画像処理部362は、ステップS22において、2色以下でなく3色以上であると判定すると、16色以下か否かを判定する(ステップS24)。ここで、16色は、本発明の第1閾値に該当する。そして、第1画像処理部362は、16色以下であると判定すると、更新領域データを、解像度が16のPNG(16色PNG)にて可逆圧縮することで(ステップS25)、高速表示用データを生成し、ステップS12における処理を終了する。
また、第1画像処理部362は、ステップS24において、16色以下でなく17色以上であると判定すると、256色以下か否かを判定する(ステップS26)。ここで、256色は、本発明の第2閾値に該当する。このステップS26において、第1画像処理部362は、256色以下ではなく257色以上であると判定すると、更新領域データで表示される更新領域Prの輝度を半分(1/2)に落とす(ステップS27)。
なお、ステップS27にて落とす輝度の割合は、更新領域Prの半分に限らず、更新領域Prよりも輝度が低くなれば、いくつであってもよい。さらには、更新領域Prの輝度を落とさずに、更新領域データの色情報を下げる手法でもよい。例えば、YUV(輝度信号(Y)と、輝度信号と青色成分の差(U)、輝度信号と赤色成分の差(V)の3つの情報で色を表す形式。)のY成分の最下位ビットを「0」とする。または、各色(赤、青、緑)の色情報の最下位ビットを「0」とする。輝度を半分以上とする場合は、最下位ビットから数ビットを「0」とすることでも対応できる。
【0026】
この後、第1画像処理部362は、輝度を落とした更新領域Prを表示させるための輝度低減領域データを、圧縮画像品質がJ1(J1は整数)のJPEG(Joint Photographic Experts Group)の規格に準じた非可逆圧縮(JPEG−J1)を行うことで(ステップS28)、高速表示用データを生成し、ステップS12における処理を終了する。また、この高速表示用データの生成と同時に、輝度低減領域データに基づく更新領域Prを参加者側表示装置42にて表示させる際に、当該更新領域Prの輝度を2倍にする旨を指示する輝度指示を生成する。すなわち、この輝度指示は、輝度低減領域データに基づく更新領域Prの輝度を、当該輝度を落とす前の値に戻すための指示である。この輝度指示に基づいて、参加者側PC41は、更新領域Prの輝度を当該輝度を落とす前の値に戻した高速表示用更新領域Ps(図13参照)を参加者側表示装置42に表示させる。
【0027】
なお、JPEG規格に準じた圧縮する処理については、非可逆圧縮であれば、いずれの規格に準じた処理あるいはいずれの形式を用いた処理でもよく、例えば、MPEG(Motion Picture Experts Group)などの規格に準じたものに類する(即ち、必ずしも何らかの規格に準じる必要はない)各種のデータ圧縮手法を採用してもよい。この非可逆圧縮により、参加者側表示装置42において表示される高速表示用更新領域Psの解像度が所望の値まで低下させられる。この際、データ圧縮の度合いは、予め単一の固定値であってもよいし、複数の選択肢の中から選択的に決定された値であってもよいし、発表者10Aの意思を反映した可変な値であってもよい。
【0028】
また、第1画像処理部362は、ステップS26において、256色以下(17色以上)であると判定すると、更新領域データに基づく更新領域Prの全体連続同色率を算出する(ステップS29)。
具体的に、第1画像処理部362は、複数の画素Gから構成される更新領域Prを、横方向に沿ったラインに分割する。例えば、図8に示すように、更新領域Prを構成する画素Gが横軸方向(図8における左右方向)に10個、縦軸方向(図8における上下方向)に10個、それぞれ並ぶ場合には、横軸方向に並ぶ10個の画素Gから構成される10個のライン(ラインL1〜ラインL10)に分割する。
【0029】
そして、第1画像処理部362は、各ラインL1〜ラインL10のそれぞれについて、横軸連続同色率を算出する。この横軸連続同色率の算出手順としては、まず、第1画像処理部362は、各ラインにおいて、横軸方向に沿って隣接する画素Gが同じ色である回数を、隣接同色画素回数としてカウントする。
例えば、図9に示すように、ラインL1において、左から1番目から4番目の画素Gがピンク色、左から5番目から6番目の画素Gが黄色、左から7番目から9番目の画素Gがピンク色、左から10番目の画素Gが青色の場合、第1画像処理部362は、1番目から4番目の画素G、5番目から6番目の画素G、7番目から9番目の画素G、10番目の画素Gのそれぞれについての隣接同色画素回数を、3回、1回、2回、0回とカウントする。
この後、第1画像処理部362は、各ラインにおいて、隣接同色画素回数の総和を横軸画素数(各ラインを構成する画素数)で除して、100を乗じた値を横軸連続同色率(%)として算出する。
例えば、第1画像処理部362は、図9に示すようなラインL1の横軸連続同色率を60%と算出する。
【0030】
そして、第1画像処理部362は、ラインL1〜ラインL10についての横軸連続同色率を算出した後、横軸連続同色率がZ%以上のライン数を、縦軸ライン数(縦軸方向の全ライン数)で除して、100を乗じた値を全体連続同色率(%)として算出する。すなわち、この全体連続同色率は、更新領域Prにおける同じ色の画素Gが連続している割合を表すものであり、画像の色分布を表す。
例えば、第1画像処理部362は、上記Z%が61%の場合、図8に示すような更新領域Prについて、全体連続同色率を60%と算出する。
【0031】
第1画像処理部362は、図7に示すように、ステップS29において全体連続同色率を算出すると、この全体連続同色率が第3閾値としてのX%以上か否かを判定する(ステップS30)。このステップS30において、第1画像処理部362は、X%以上と判定すると、更新領域データを、解像度が256のPNG(256色PNG)にて可逆圧縮する(ステップS31)。一方、ステップS30において、第1画像処理部362は、X%未満であると判定すると、ステップS27およびステップS28の処理を行い、輝度低減領域データをJPEG−J1にて非可逆圧縮した高速表示用データと、輝度指示とを生成する。
このように、全体連続同色率が高い場合に、PNGによる可逆圧縮を行う理由は、PNGの圧縮アルゴリズム上、JPEGによる非可逆圧縮よりもPNGによる可逆圧縮の方がデータサイズが小さくなる可能性があるからである。なお、上記X%は、経験上、PNGの方がデータサイズが小さくなるような値に設定される。
【0032】
そして、第1画像処理部362は、ステップS31の処理の後、図10に示すように、256色PNGで可逆圧縮された更新領域データのデータサイズが、圧縮前のY%以下か否かを判定する(ステップS32)。第1画像処理部362は、ステップS32において、Y%以下であると判定すると、ステップS31で生成した256色PNGで可逆圧縮した更新領域データを、高速表示用データとして設定し(ステップS33)、ステップS12における処理を終了する。
【0033】
また、第1画像処理部362は、ステップS32において、Y%を超えると判定すると、更新領域データをJPEG−J1にて非可逆圧縮し(ステップS34)、ステップS31にて256色PNGで可逆圧縮された更新領域データのデータサイズ、ステップS34にてJPEG−J1で非可逆圧縮された更新領域データのデータサイズ以下か否かを判定する(ステップS35)。
そして、第1画像処理部362は、ステップS35において、256色PNGのデータサイズがJPEG−J1のデータサイズ以下であると判定すると、ステップS33の処理を行い、256色PNGの更新領域データを高速表示用データとして設定する。一方で、256色PNGのデータサイズがJPEG−J1のデータサイズを超えると判定すると、JPEG−J1の更新領域データを高速表示用データとして設定し(ステップS36)、ステップS12における処理を終了する。
なお、ステップS34における処理対象のデータは、輝度低減領域データであってもよい。この場合、第1画像処理部362は、ステップS36において輝度指示を生成する。
【0034】
また、図5に示すステップS13(あるいはステップS16)のフラグ設定処理において、第1画像処理部362は、図11に示すように、ステップS12(あるいはステップS15)に示す色数判定詳細ロジック処理で生成された高速表示用データが可逆圧縮か否かを判定する(ステップS41)。
そして、第1画像処理部362は、ステップS41において、可逆圧縮であると判定すると、高速表示用データに対応する更新領域Prの更新領域フラグを「0」に設定し(ステップS42)、ステップS13における処理を終了する。
一方で、第1画像処理部362は、ステップS41において、可逆圧縮ではなく非可逆圧縮であると判定すると、更新領域フラグを「1」に設定し(ステップS43)、ステップS13における処理を終了する。
この更新領域フラグが「0」の更新領域Prについては、高画質表示用データが参加者側PC41に送信されず、「1」の更新領域Prについては、高画質表示用データが参加者側PC41に送信される。
【0035】
また、図4に示すステップS8の高画質表示スレッドにおいて、第2画像処理部363は、図12に示すように、更新領域フラグが「1」に設定された更新領域Prがあるか否かを判断する(ステップS51)。このステップS51において、第2画像処理部363は、ないと判定すると、ステップS8における処理を終了し、あると判定すると、更新領域フラグが「1」の更新領域Prを高画質更新領域として識別する(ステップS52)。この後、第2画像処理部363は、高画質更新領域として識別された更新領域Prの更新領域データに基づいて、高画質表示用データを生成し(ステップS53)、参加者側PC41へ送信する(ステップS54)。そして、第2画像処理部363は、高画質更新領域に対応する更新領域Prの更新領域フラグを「0」に変更し(ステップS55)、ステップS8における処理を終了する。
【0036】
ここで、第2画像処理部363は、更新領域データに対して、圧縮画像品質がJ1よりも高いJ2(J2は整数)のJPEGによる非可逆圧縮(JPEG−J2)を行うことで、JPEG−J1により圧縮された画像よりも解像度が高い(画質が高い)画像を表示するための高画質表示用データを生成する。
高画質表示用データ生成時における非可逆圧縮の圧縮画像品質J2は、例えば画質の低下が予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて人間の視覚上有意な差異が生じない旨が確定している、あるいは、そのような判断を下し得る範囲内に収まるような範囲に設定されている。
【0037】
さらに、色数が少ない文字の画像は、可逆圧縮の場合、データサイズが大きくならず読みにくくもならないが、非可逆圧縮の場合、読みにくくなる。一方で、色数が多い模様や風景は、可逆圧縮の場合、データサイズが大きくなるが、非可逆圧縮の場合、データサイズが大きくならず見やすさの低減についても文字ほど影響が大きくない。
ここで、高画質表示用データが生成されるということは、更新領域Prが257色以上の模様や風景、あるいは、16色以上256色以下であるが全体連続同色率が低い模様や風景であるため、高速表示用データが生成されたということである。
このようなことから、高速表示用データが生成された更新領域Prについては、非可逆圧縮を行うことにより、データサイズの増加の抑制と、見やすさの低減の抑制とを両立することができる。
【0038】
なお、2色PNG、16色PNGで可逆圧縮した高速表示用データは、本発明の第1圧縮画像データに該当する。また、17色以上かつ256色以下の更新領域Prの更新領域データを256色PNGで可逆圧縮した高速表示用データと、JPEG−J1で非可逆圧縮した高速表示用データとは、本発明の第2圧縮画像データに該当する。さらに、高画質表示用データは、本発明の第3圧縮画像データに該当する。
【0039】
ここで、参加者側PC41の動作を説明すると、制御部46は、画面共有処理の実行時には基本的に、通信部44を制御し、ネットワーク2を介して発表者側PC31から送信されてくる画像データや更新領域データを取得する。そして、制御部46は、取得した画像データに基づく画像、更新領域データや輝度低減領域データに基づく更新領域Prを参加者側表示装置42の表示面421に表示させる処理を繰り返し実行している。
この際、送信されてくる更新領域データが非可逆圧縮の高速表示用データであれば、表示面421に表示される画像は、表示面321で表示中の更新領域Prに対し解像度が低下した低画質の高速表示用更新領域Psである。
また、更新領域データが可逆圧縮の高速表示用データであれば、表示面421に表示される画像は、更新領域Prと同等の解像度を有する高速表示用更新領域Psである。
さらに、更新領域データが非可逆圧縮の高画質表示用データであれば、表示面421に表示される画像は、更新領域Prと同等の解像度を有する高画質の高画質表示用更新領域Pcである。
【0040】
次に、図13および図14を参照して、画面共有システム1における画像の更新状態について詳細に説明する。
図13に示すように、時刻T0において、発表者側PC31は、図4に示すステップS1で、拠点Aの画像Pを第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr2に更新すると、データ生成に要する時間を便宜的に無視すれば、時刻T0において、高速表示用データの送信を開始する。
ここで、第1更新領域Pr1の色数が16色の場合には、発表者側PC31は、図7に示すステップS25において更新領域データを16色PNGで可逆圧縮した高速表示用データを生成して、参加者側PC41へ送信する。この16色PNGで可逆圧縮された高速表示用データは、第1更新領域Pr1の色数が少ないため、非可逆圧縮した場合と比べてデータサイズの増加量が大きくない。このため、ネットワーク2におけるデータ伝送用の帯域(即ち、一義的にデータ伝送速度)が一定であるものとして、データ伝送に要する伝送時間は、ΔThs1である。したがって、データサイズの増加を抑制できるメリットがあり、さらには、帯域におけるデータ伝送に要する時間が長くならないメリットもある。
したがって、拠点Bの参加者側PC41は、時刻T0から伝送時間ΔThs1が経過した時刻T1において、第1高速表示用更新領域Ps1の表示を開始する。
ここで、第1高速表示用更新領域Ps1は、16色の第1更新領域Pr1を16色PNGで可逆圧縮した高速表示用データに基づくものであるため、1段階の送信処理で画質がきれいとなるメリットがある。
【0041】
また、第2更新領域Pr2の色数が1024色の場合には、発表者側PC31は、図7に示すステップS27およびステップS28において、第2更新領域Pr2の輝度を落とし、当該輝度を落とした第2更新領域Pr2の輝度低減領域データをJPEG−J1で非可逆圧縮した高速表示用データと、輝度指示とを送信する。
このJPEG−J1で非可逆圧縮した高速表示用データは、輝度低減領域データを圧縮したものであり、相対的にみればデータサイズが小さい。また、輝度低減領域データは、輝度を落とした第2更新領域Pr2を表示させるためのデータであるため、第2更新領域Pr2の更新領域データをそのままJPEG−J1で非可逆圧縮した場合と比べて、データサイズが小さくなる。
したがって、拠点Bの参加者側PC41は、時刻T1から伝送時間ΔThs2が経過した時刻T2において、第2高速表示用更新領域Ps2の表示を開始する。
ここで、参加者側PC41の制御部46は、輝度指示に基づいて、輝度低減領域データに基づく画像の輝度を2倍にした第2高速表示用更新領域Ps2を表示する。このため、第2高速表示用更新領域Ps2の輝度は、第2更新領域Pr2の輝度と同じになる。
また、第2高速表示用更新領域Ps2は、1024色の第2更新領域Pr2をJPEG−J1で非可逆圧縮した高速表示用データに基づくものであるため、解像度が第2更新領域Pr2に対して低下した非可逆圧縮の画像となり、画質が粗くなる。
【0042】
さらに、発表者側PC31は、図4に示すステップS7で、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr2の連続更新無し回数がN回であると判定した場合には、ステップS8の高画質表示スレッドを行う。
ここで、第1更新領域Pr1に対応する高速表示用データとして、16色PNGで可逆圧縮したものを送信し、第2更新領域Pr2に対応する高速表示用データとして、JPEG−J1で非可逆圧縮したものを送信している。
【0043】
このため、発表者側PC31は、図11に示すフラグ設定処理のステップS42において、第1更新領域Pr1の更新領域フラグを「0」に設定し、ステップS43において、第2更新領域Pr2の更新領域フラグを「1」に設定する。そして、発表者側PC31は、図12に示すステップS52において、第2更新領域Pr2のみを高画質更新領域として識別し、ステップS53およびステップS54において、第2更新領域Pr2の高画質表示用データを生成して送信するが、第1更新領域Pr1の高画質表示用データを生成しない。
この高画質表示用データは、高速表示用データと比べて解像度が高く、相対的にデータサイズが大きい画像データである。このため、データ伝送用の帯域が一定であるものとして、データの伝送時間は、ΔThc2(ΔThc2>ΔThs1)である。なお、伝送時間ΔThc2は、連続更新無し回数がN回と判定する時間を含むものである。
【0044】
したがって、拠点Bの参加者側PC41は、時刻T2から伝送時間ΔThc2が経過した時刻T3において、第2高画質表示用更新領域Pc2の表示を開始し、第2高速表示用更新領域Ps2がこの第2高画質表示用更新領域Pc2に切り替わる。この際、第2高画質表示用更新領域Pc2は、解像度が第2更新領域Pr2と同等な、非圧縮画像であり、画質の点では第2更新領域Pr2と遜色ない画像である。
また、参加者側PC41は、発表者側PC31から第1更新領域Pr1に対応する高画質表示用データを受信しないため、第1高速表示用更新領域Ps1の更新を行わない。このため、従来のように第1高速表示用更新領域Ps1を高画質表示用更新領域Pcに更新する場合と比べて、第1更新領域Pr1に対応する画質がきれいな画像を参加者側PC41で表示させるまでの時間を短縮できる。
なお、図4に示すステップS7で、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr2の連続更新無し回数がN回と判定する前に、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr2が更新された場合には、発表者側PC31において第2更新領域Pr2の高画質表示用データが生成されず、図13に示すような、参加者側PC41における第2高画質表示用更新領域Pc2への更新処理が行われない。この場合、新たな第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr2に対応する、第1高速表示用更新領域Ps1、第2高速表示用更新領域Ps2への更新処理が行われる。
【0045】
一方、図14に示すように、時刻T0において、発表者側PC31は、拠点Aの画像Pを第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr12に更新すると、時刻T0において、高速表示用データの送信を開始する。
ここで、発表者側PC31は、図13に示す場合と同様の16色の第1更新領域Pr1の更新領域データを、16色PNGで可逆圧縮した高速表示用データを送信する。この高速表示用データのデータ伝送に要する伝送時間は、ΔThs1である。
したがって、拠点Bの参加者側PC41は、時刻T0から伝送時間ΔThs1が経過した時刻T1において、解像度が第1更新領域Pr1と同じ画像である第1高速表示用更新領域Ps1の表示を開始する。
【0046】
また、第2更新領域Pr12の色数が256色であり、全体連続同色率がX%以上、かつ、更新領域データを256色PNGで可逆圧縮したときのデータサイズがJPEG−J1で非可逆圧縮したときよりも小さい場合には、発表者側PC31は、更新領域データを256色PNGで可逆圧縮した高速表示用データを送信する。この256色PNGで可逆圧縮された高速表示用データも、第1更新領域Pr1と同様に色数が少ないため、非可逆圧縮した場合と比べてデータサイズの増加量が大きくない。
したがって、拠点Bの参加者側PC41は、時刻T1から伝送時間ΔThs12が経過した時刻T12において、第2高速表示用更新領域Ps12の表示を開始する。
ここで、第2高速表示用更新領域Ps12は、256色の第2更新領域Pr12を256色PNGで可逆圧縮した高速表示用データに基づくものであるため、解像度が第2更新領域Pr12と同じ画像となる。
【0047】
さらに、発表者側PC31は、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr12に対応する高速表示用データとして、PNGで可逆圧縮したものを送信している。このため、発表者側PC31は、図11に示すステップS42において、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr12の更新領域フラグを「0」に設定する。そして、発表者側PC31は、図12に示すステップS51において、更新領域フラグが「1」に設定された更新領域Prがないと判定するため、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr12の高画質表示用データを生成しない。
したがって、発表者側PC31は、図4に示すステップS7において、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr12の連続更新無し回数がN回であると判定し、ステップS8の処理に進んだとしても、参加者側PC41に高画質表示用データを送信しない。
そして、参加者側PC41は、第1高速表示用更新領域Ps1および第2高速表示用更新領域Ps12の更新を行わない。
【0048】
このように、上述の画面共有処理によれば、高速表示用データの送信を高画質表示用データの送信前に行うことによって、拠点Aにおいて画面更新がなされてから、拠点Bの表示面421がそれに追従する形で更新されるまでに要する時間を、可及的に短縮化することが可能である。
【0049】
ここで特に、発表者側PC31が高画質表示用データの送信を高速表示用データの送信前に行えば、拠点Bの表示画面が更新されない遅延時間は、高画質表示用データの伝送時間ΔThcに相当する時間となり、本実施形態と比べて明らかに長くなる。このため、画面共有処理をデータ会議に使用したり、他の用途に適用したりする場合、画面共有に際しての即時性の低下が悪影響を及ぼすことを回避し難い。
【0050】
加えて、発表者側PC31は、高速表示用データの送信が完了すれば、必要に応じて即座に高画質表示用データの送信を開始するため、相応の時間経過の後には、拠点Bの表示面421が、更新領域Prと同等の高画質表示用更新領域Pcに更新される。すなわち、単に即時性のみを追及して画像データのデータサイズを縮減するのみと比べれば、表示面421に表示される画像が、定常的には高画質表示用更新領域Pcに収束する点において、画質の面で明らかに有利に構成される。
【0051】
[画面共有システムの効果]
上述したような実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)画面共有システム1の発表者側PC31は、発表者側表示装置32に表示中の画像Pが更新されたと判定すると、当該更新された更新領域Prに含まれる色の数を判定する。
そして、発表者側PC31は、17色以上と判定すると、当該更新領域Prを圧縮した高速表示用データを参加者側PC41へ送信し、参加者側表示装置42に発表者側表示装置32に表示中の更新領域Prよりも画質が低い高速表示用更新領域Psを表示させる。さらに、発表者側PC31は、高速表示用データを生成した更新領域Prの連続更新無し回数がN回である、すなわち所定期間更新されていないと判定すると、高速表示用更新領域Psよりも画質が高くなる状態に更新領域データを非可逆圧縮した高画質表示用データを参加者側PC41へ送信し、参加者側表示装置42に発表者側表示装置32の更新領域Prと同じ画質の高画質表示用更新領域Pcを表示させる。
一方、発表者側PC31は、16色以下と判定すると、当該更新領域Prを可逆圧縮した高速表示用データを参加者側PC41へ送信し、参加者側表示装置42に発表者側表示装置32の更新領域Prと同じ画質の高速表示用更新領域Psを表示させる。さらに、発表者側PC31は、可逆圧縮の高速表示用データを生成した更新領域Prの連続更新無し回数がN回であると判定しても、高画質表示用データを参加者側PC41へ送信しない。
【0052】
このため、発表者側での画像が色数の多い更新領域Prに更新された場合には、圧縮によりデータサイズが小さい高速表示用データを送信することで、参加者側における高速表示用更新領域Psへの更新に要する時間を短縮でき、通信量も低減できる。また、所定期間更新が行われない場合には、高画質表示用データを送信して、高速表示用更新領域Psよりも画質が高い高画質表示用更新領域Pcを表示させることで、参加者側での画質の低下を抑制できる。
一方、更新領域Prの色数が少ない場合には、データサイズの増加が抑制された可逆圧縮の高速表示用データを送信するので、通信量が増えることがない。また、可逆圧縮なので、参加者側における高速表示用更新領域Psの画質を、発表者側の更新領域Prの画質と同じにすることができる。よって、発表者側で所定期間更新が行われない場合に、改めて高画質表示用データを参加者側に送信する必要がなく、従来と比べて、通信量を低減できる。
【0053】
(2)発表者側PC31は、更新領域Prの色数が17色以上256色以下であると判定すると、更新領域Prの全体連続同色率がX%以上か否かを判定する。そして、第1画像処理部362は、X%以上の場合には、更新領域データを256色PNGで可逆圧縮した高速表示用データを生成し、X%未満の場合には、更新領域データをJPEG−J1で非可逆圧縮した高速表示用データを生成する。
このため、色の連続性が高い場合に、JPEG−J1での非可逆圧縮よりもデータサイズを小さくするために、PNGでの可逆圧縮で高速表示用データを生成し、色の連続性が低い場合に、データサイズを小さくするためにJPEG−J1での非可逆圧縮で高速表示用データを生成することで、色の連続性によらず通信量の増加を抑制できる。
【0054】
(3)発表者側PC31は、更新された画像Pを色数に応じて複数の更新領域Prに分割し、それぞれの更新領域Prについて高速表示用データおよび高画質表示用データの生成処理を行う。
ここで、図13に示すような場合に、画像Pを分割せずに、第1更新領域Pr1および第2更新領域Pr2を1つの更新領域Prと見なして色数の判定を行うと、1024色と判定され、画像P全体について、それぞれ非可逆圧縮された高速表示用データおよび高画質表示用データが生成される。この場合、第1更新領域Pr1が文字で構成されていると、非可逆圧縮によって文字が読みにくくなってしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態では、第1更新領域Pr1については、可逆圧縮された高速表示用データを生成するため、第1更新領域Pr1の文字が読みにくくなることがない。また、第1更新領域Pr1の高画質表示用データを生成しないので、CPUの処理負荷が著しく軽減される。
【0055】
(4)発表者側PC31は、輝度を落とした更新領域Prの輝度低減領域データをJPEG−J1で非可逆圧縮した高速表示用データと、輝度指示とを参加者側PC41へ送信する。そして、参加者側PC41は、輝度指示に基づいて、輝度低減領域データに基づく画像の輝度を2倍にした高速表示用更新領域Psを表示する。
このため、輝度低減領域データと輝度指示の送受信により、画像の輝度を落とすことなく通信量を低減できる。
【0056】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
すなわち、全体連続同色率を算出するための横軸連続同色率を、図15あるいは図16に示すように算出してもよい。
【0057】
図15に示す算出例においては、まず、第1画像処理部362は、各ラインにおいて、横軸方向に沿って同じ色の画素Gが並んでいる個数を、隣接同色画素数としてカウントする。例えば、図9に示すもの同じ図15に示すラインL1において、隣接同色画素数を、4画素、2画素、3画素、0画素とカウントする。
一方、図16に示す算出例においては、まず、第1画像処理部362は、各ラインにおいて、一番多い色の画素Gの個数を、隣接同色画素数としてカウントする。例えば、図9に示すもの同じ図16に示すラインL1において、隣接同色画素数を、ピンク色の画素Gの個数である4画素、3画素とカウントする。
なお、図16に示す算出例において、縦軸方向の画素も含めて(全ラインにおいて)一番色が多い色の画素数をカウントしてもよい。
【0058】
この後、図15および図16に示すいずれの算出例においても、第1画像処理部362は、各ラインにおいて、隣接同色画素数の総和を横軸画素数で除して、100を乗じた値を横軸連続同色率(%)として算出する。
以上の処理により、図15に示す場合の横軸連続同色率は90%と算出され、図16に示す場合の横軸連続同色率は70%と算出される。
そして、図15および図16に示す算出例において、第1画像処理部362は、上述のように算出した横軸連続同色率を図8に示す式に代入して、全体連続同色率を算出する。
【0059】
また、横軸連続同色率の算出処理として、同じ色の画素が連続するたびに重み付けをして指数を出すという方法を採用してもよい。
例えば、重み付けとしては、連続した回数分の数値を加算していくことが考えられる。具体的に、図9に示すラインL1においては、隣接同色画素回数が3回、1回、2回なので、以下のように、横軸連続同色率は100%となる。
横軸連続同色率(%)={(1+2+3)+(1)+(1+2)}/10画素×100
=100(%)
また、全体連続同色率に基づく圧縮方法の選択処理を行わずに、17色256色以下の場合に、256色PNGまたはJPEG−J1による圧縮で高速表示用データを生成してもよい。
さらに、更新領域Prの輝度を落とさないで高画質表示用データを生成してもよい。
【0060】
また、上述した各機能をプログラムとして構築したが、例えば回路基板などのハードウェアあるいは1つのIC(Integrated Circuit)などの素子にて構成するなどしてもよく、いずれの形態としても利用できる。なお、プログラムや別途記録媒体から読み取らせる構成とすることにより、上述したように取扱が容易で、利用の拡大が容易に図れる。
【0061】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0062】
31…画面共有処理装置としての発表者側PC
32…第2表示部としての発表者側表示装置
41…端末としての参加者側PC
42…第1表示部としての参加者側表示装置
362…第1画像処理部
363…第2画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示部に画像を表示可能な端末にネットワークを介して接続され、第2表示部に画像を表示可能に構成された画面共有処理装置を用い、前記端末との間で画像を共有する画面共有方法であって、
前記画面共有処理装置が、
前記第2表示部に表示中の画像が更新されたと判定すると、当該画像に含まれる色の数が第1閾値以下か否かに基づいて、当該画像の画像データを処理する第1画像処理ステップと、
当該画像が予め設定された所定期間連続して更新されていないと判定すると、当該画像の画像データを処理する第2画像処理ステップと、を行い、
前記第1画像処理ステップは、
前記第1閾値以下であると判定すると、前記画像データを可逆圧縮した第1圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第1圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させるステップと、
前記第1閾値以下でないと判定すると、前記画像データを圧縮して、当該画像データに基づく画像よりも画質が低い画像を表示させるための第2圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第2圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させるステップと、を含み、
前記第2画像処理ステップは、
前記第1閾値以下でない画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記画像データを圧縮して、前記第2圧縮画像データに基づく画像よりも画質が高い画像を表示させるための第3圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第3圧縮画像データに基づく画像を前記第2圧縮画像データに基づく画像に変えて前記第1表示部に表示させるステップと、
前記第1閾値以下である画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記端末へのデータの送信を行わないステップと、を含む
ことを特徴とする画面共有方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画面共有方法において、
前記第1画像処理ステップは、
前記画像に含まれる色の数が前記第1閾値以下でなく、かつ、当該第1閾値よりも大きい第2閾値以下であると判定すると、当該画像における同じ色の画素が連続している割合を算出するステップと、
当該算出した割合が第3閾値以上であると判定すると、前記画像データを可逆圧縮して前記第2圧縮画像データを生成し、前記第3閾値以上でないと判定すると、前記画像データを非可逆圧縮して前記第2圧縮画像データを生成するステップと、を含み、
前記第2画像処理ステップは、
前記非可逆圧縮による前記第2圧縮画像データの生成対象の画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記第3圧縮画像データを生成して前記端末へ送信し、前記可逆圧縮による前記第2圧縮画像データの生成対象の画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記第3圧縮画像データを生成せずに前記端末へのデータの送信を行わないステップを含む
ことを特徴とする画面共有方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画面共有方法において、
前記画面共有処理装置が、
前記第2表示部に表示中の画像に含まれる色の数に基づいて、当該画像を複数の更新領域に分割する分割ステップを行い、
前記更新領域のそれぞれに対して、前記第1画像処理ステップと前記第2画像処理ステップとを行う
ことを特徴とする画面共有方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画面共有方法において、
前記第1画像処理ステップは、
前記第2圧縮画像データを生成する際に、前記更新された画像よりも輝度が低い画像を表示させるための画像データを圧縮し、当該第2圧縮画像データに基づく画像を表示させる際に輝度を高くすることを指示する輝度指示を前記端末へ送信し、前記第2圧縮画像データに基づく画像を前記輝度指示に基づき輝度を高めた状態で前記第1表示部に表示させるステップを含む
ことを特徴とする画面共有方法。
【請求項5】
第1表示部に画像を表示可能な端末にネットワークを介して接続されるとともに、第2表示部に画像を表示可能に構成され、前記端末との間で画像を共有する画面共有処理装置であって、
前記第2表示部に表示中の画像が更新されたと判定すると、当該画像に含まれる色の数が第1閾値以下か否かに基づいて、当該画像の画像データを処理する第1画像処理部と、
当該画像が予め設定された所定期間連続して更新されていないと判定すると、当該画像の画像データを処理する第2画像処理部と、を備え、
前記第1画像処理部は、
前記第1閾値以下であると判定すると、前記画像データを可逆圧縮した第1圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第1圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させ、
前記第1閾値以下でないと判定すると、前記画像データを圧縮して、当該画像データに基づく画像よりも画質が低い画像を表示させるための第2圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第2圧縮画像データに基づく画像を前記第1表示部に表示させ、
前記第2画像処理部は、
前記第1閾値以下でない画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記画像データを圧縮して、前記第2圧縮画像データに基づく画像よりも画質が高い画像を表示させるための第3圧縮画像データを生成し、前記端末へ送信して前記第3圧縮画像データに基づく画像を前記第2圧縮画像データに基づく画像に変えて前記第1表示部に表示させ、
前記第1閾値以下である画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記端末へのデータの送信を行わない
ことを特徴とする画面共有処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画面共有処理装置において、
前記第1画像処理部は、
前記画像に含まれる色の数が前記第1閾値以下でなく、かつ、当該第1閾値よりも大きい第2閾値以下であると判定すると、当該画像における同じ色の画素が連続している割合を算出し、
当該算出した割合が第3閾値以上であると判定すると、前記画像データを可逆圧縮して前記第2圧縮画像データを生成し、前記第3閾値以上でないと判定すると、前記画像データを非可逆圧縮して前記第2圧縮画像データを生成し、
前記第2画像処理部は、
前記非可逆圧縮による前記第2圧縮画像データの生成対象の画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記第3圧縮画像データを生成して前記端末へ送信し、前記可逆圧縮による前記第2圧縮画像データの生成対象の画像が前記所定期間連続して更新されていないと判定すると、前記第3圧縮画像データを生成せずに前記端末へのデータの送信を行わない
ことを特徴とする画面共有処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の画面共有処理装置において、
前記第1画像処理部は、前記第2表示部に表示中の画像に含まれる色の数に基づいて、当該画像を複数の更新領域に分割し、前記更新領域のそれぞれに対して前記第1閾値を超えるか否かに基づく処理を行い、
前記第2画像処理部は、前記更新領域のそれぞれに対して前記画像が前記所定期間連続して更新されたか否かに基づく処理を行う
ことを特徴とする画面共有処理装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれかに記載の画面共有処理装置において、
前記第1画像処理部は、
前記第2圧縮画像データを生成する際に、前記更新された画像よりも輝度が低い画像を表示させるための画像データを圧縮し、当該第2圧縮画像データに基づく画像を表示させる際に輝度を高くすることを指示する輝度指示を前記端末へ送信し、前記第2圧縮画像データに基づく画像を前記輝度指示に基づき輝度を高めた状態で前記第1表示部に表示させる
ことを特徴とする画面共有処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−80442(P2013−80442A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221311(P2011−221311)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(505440789)パイオニアソリューションズ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】