説明

画面表示システムを有する装置

【課題】 複合機など画像形成装置のような処理装置には、処理条件の選択・設定のためのキー押下操作が誤りなく容易にできることを目的として、当該キーを標準サイズで表示する画面(標準画面)から、より大きいサイズで表示する画面(拡大画面)へ、ユーザー自身において切り替えできる表示装置を備えたものがあるが、このユーザーによる切り替え操作の煩雑性を解消する。
【解決手段】 押下可能なキーなどの画面構成要素を所定サイズで表示する標準画面と、より大きいサイズで表示する拡大画面との切り替えにおいて、ユーザーが過去の一定期間に行った上記画面構成要素の押下操作のエラー履歴情報に基づき、押下操作エラー頻度がある基準値より大きい時は拡大画面を、反対に、押下操作エラー頻度がその基準値より小さい時は標準画面を、表示装置に表示させる手段を備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に画像形成装置のような、ユーザーが画像形成処理などを行うための特定の処理条件を選択または設定する操作を行えるように設計された表示パネルを搭載した処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年特に業務の場では、画像形成装置は単に複写機能だけではなく、画像読み取り機能(スキャナ機能)、ファクシミリ送受信、プリンタ等の機能を併せ持つデジタル複合機(Multi Function Peripheral:MFP)と呼ばれる装置が一般的に広く普及している。このような複合機に代表される最近の画像形成装置は、画像形成処理に関するユーザーからの様々な要求に応えるため、複写や画像読み取りなどそれぞれの機能ごとに、多種多様な異なる画像形成処理が実行できるようになって来ている。
【0003】
画像形成装置では、上記のように目的に応じて多種類にわたる画像形成処理を行うことが可能となり、ユーザーにとっての利便性が向上している。しかしながらその反面、簡単な処理を実行する場合であっても、例えば画像形成装置の操作パネルの画面上に配列された多くの処理条件項目(処理機能)の中から目的とする条件項目を見つけ出して選択し設定しなければならなくなるなど、操作が複雑化する傾向があり、その結果必然的にユーザーによる操作ミスも多くなる傾向がある。
【0004】
特許文献1には、画像形成処理に係る機能リスト画面上に表示する、例えば複写ジョブにおける「用紙選択」、「拡大/縮小」などのような機能選択キーのレイアウトや機能リスト画面の画面数を、ユーザーの好みやキー操作の熟練度に応じて切り替えることを可能にする技術が開示されている。
【0005】
特許文献1によれば、画面表示される1つの機能リスト画面について、「通常表示モード」と「シンプル表示モード」の2種類が用意され、ユーザーによって必要に応じて切り替えることができるように構成されている。通常表示モードは、1画面に比較的小さい機能選択キーが多数配置される表示モードである。これに対して「シンプル表示モード」は、一般的によく使われる機能に対応する機能選択キーから先に配置され、さらに機能選択キーおよびその上に記載される文字のサイズが通常表示モードと比較して大きいものが採用される表示モードである。そして1画面上に表示される機能選択キー数も通常表示モードよりは少なくなっている。
【0006】
このような構成にすることによってユーザーが「シンプル表示モード」を選択した場合、目的とする機能を探しやすくし、誤操作もなくなるようにしている。また「通常表示モード」も選択できるので、様々な複雑な機能を使いこなす熟練したユーザーにとっても都合良いものにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−74714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1が開示する「シンプル表示モード」は、上記の通り操作パネルの画面上に表示される機能選択キーなどを用いた複雑な操作であってもその操作性を向上させるという利点を持っている。しかしながらこれは複合機などの画像形成装置がシンプル表示モード機能を搭載しており、その機能を使用することによる利点をユーザーそれぞれが理解していることを前提としている。
【0009】
従ってもしユーザーがシンプル表示モードの存在を認識していなかったり、その使用方法を十分に理解していなかったりした場合、当該表示モードが効率的に使用されず、それを設けた効果が半減することになる。また、ユーザー自身において画像形成処理条件設定操作などにシンプル表示モードが必要かどうかを判断し、切り替える必要があるので、高齢者や低視力者などには使い勝手があまりよくないという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特にユーザーが画像形成処理条件項目などを容易に選択し、また画像形成装置に設定するために、表示パネルの画面上に設けられるキーのような種々の画面構成要素を拡大表示するモードに、ユーザーの能力に応じて自動的に切り替える機能を持った画面表示システムを有する(画像形成装置に代表される)処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明に係る、画面表示システムを有する装置は、画面内に、押下操作可能な画面構成要素を表示する画面表示手段と、1つの画面について、前記画面構成要素を所定のサイズで表示する第1の画面と、前記画面構成要素を前記第1の画面における前記所定のサイズより大きいサイズで表示する第2の画面とを、前記画面構成要素に対する押下操作のエラー履歴情報に基づき切り替えて、前記画面表示手段に表示させる制御手段とを備えたものとする。
【0012】
本発明に係る上記装置のさらに具体的な好ましい一形態においては、前記制御手段が、前記押下操作のエラー履歴情報から得られる、一定期間における押下操作のエラー頻度が基準値より大きい時に、前記画面表示手段に前記第2の画面を表示させる機能を有する。
【0013】
あるいはまた、前記制御手段が、前記押下操作のエラー履歴情報から得られる、一定期間における押下操作のエラー頻度が基準値より小さい時に、前記画面表示手段に前記第1の画面を表示させる機能を有する。
【0014】
本発明に係る上記装置においては、前記制御手段が、1つの画面が前記第1の画面と前記第2の画面のどちらかを選択できる選択対象画面として予め規定されているか否かを判断し、前記1つの画面が前記選択対象画面でない場合は、前記第1の画面を前記画面表示手段に表示させ、前記1つの画面が前記選択対象画面である場合は、前記第1の画面と前記第2の画面とを前記画面構成要素に対する押下操作のエラー履歴情報に基づいて切り替えて、前記画面表示手段に表示させるようにしてもよい。
【0015】
さらに上記装置は、前記押下操作エラー履歴情報を記憶する記憶手段と、前記画面表示手段に表示された前記画面構成要素の押下操作の検知情報に基づいて、前記検知された押下操作がエラー操作であるか否かを判定し、その判定結果を前記記憶手段に記憶する判定手段とを備えるようにすることができる。
【0016】
上記本発明に係る装置において、前記画面構成要素の代表的なものは、少なくとも所定の処理条件を選択するためのキーである。また本発明に係る画面表示システムを有する装置は、画像形成処理、例えば原稿のコピー、画像読み取り、印刷、ファクシミリによる画像送受信などを行う画像形成装置として適用することが有益である。
【発明の効果】
【0017】
以上に示したように本発明に係る画面表示システムを備えた、画像形成装置に代表される装置では、画面表示手段によって表示される1つの画面について、ソフトキーなどのような画面構成要素を所定のサイズで表示する第1の画面と、画面構成要素を、第1の画面における所定のサイズより大きいサイズで表示する第2の画面とが、画面構成要素に対する押下操作のエラー履歴情報に基づいて切り替えられ、画面表示手段が表示するようになっている。
【0018】
より具体的には、ユーザーが過去の一定期間になした押下操作のエラー頻度が一定の基準値より大きい時、画面表示手段は第2の画面を表示し、反対に過去の一定期間になした押下操作のエラー頻度が前記基準値より小さい時は、第1の画面を表示するものである。
【0019】
本発明に係るこうした構成によれば、ユーザーが画面構成要素の押下操作に未熟であれば画面構成要素のサイズが自動的に大きく表示されて押下操作が容易になり、またユーザーが押下操作に熟練していれば、画面構成要素のサイズが自動的に小さくされると共にその数が多く表示され、1つの画面であっても多様な処理条件選択・設定操作を効率的に行うことができる。
【0020】
従って従来のように目的とする処理を実行しようとするたびにユーザーが自己の操作能力に応じて画面を切り替える必要がなくなり、ユーザビリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部全体構成を示す概念図。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置が有する操作パネルのレイアウトを示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック構成例を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置が実行するタッチパネル上の画面表示動作を説明するフローチャート。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、タッチパネルが表示する各画面が、拡大表示モード適用対象画面か否かを規定するテーブル。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、タッチパネルが表示する初期画面例を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、タッチパネルが表示する画像形成処理条件項目選択画面例を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、タッチパネルが表示する拡大表示モードの画面例を示す図。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、タッチパネルが表示する拡大表示モードの画面例を示す図。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、タッチパネルが表示する標準表示モードの画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。ここに説明する実施形態は本発明を具体化した一例であって、これによって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の代表例を示し、特に画像形成装置の内部の全体構成を示す概念図である。図1においては本発明に直接には関係しない部位の詳細は省略している。画像形成装置には種々の機能を有するものがあるが、図1に示す装置はプリンタ、複写、スキャナ、ファックス等の機能を兼ね備えたデジタル複合機10であるとし、以降複合機10、場合によっては画像形成装置10と呼ぶことにする。
【0024】
図1のようなデジタル複合機は複写機として動作するので、文書、写真、図形などが含まれる原稿画像の画像読み取り部を有している。まず、ユーザーが複合機10を利用して例えば原稿Pの印刷を行う場合、原稿Pを図1に示す光透過性の原稿台13、或いは載置台15に配置し、原稿台13近傍に設置された操作パネル21からコピー条件を入力し、印刷の指示を行う。この操作パネル21は、複合機10を操作するときのユーザー側から見て原稿台13の手前に、例えばユーザー側に若干傾斜するように設置されている。
【0025】
操作パネル21はユーザーが画像読取や画像形成、すなわち印刷についての設定条件、処理に関する指示等を入力したり、入力された設定条件や指示あるいはそれらに応答して表示されるメッセージを確認したりするために用いられる。この操作パネル21は、後にさらに詳細に説明するが、上記のような設定条件や指示などの入力あるいは入力後のメッセージの表示などを可能とするために、タッチパネルおよびその近傍に設置されたハードキー(例えば、テンキー、スタートキー、クリアキー、ストップキー、リセットキー、電源キーなど)を具備している。
【0026】
前記操作パネル21から印刷の指示があると、各部(機械的駆動部)が動作することで印刷が行われる。図1に示すように複合機10は、画像形成部本体11と、本体11の上方に取り付けられたプラテンカバー12を備える。本体11の上面には上記の原稿台13が設けられており、原稿台13は、プラテンカバー12によって開閉されるようになっている。プラテンカバー12には自動原稿給紙装置14と載置台15と排紙台16が設けられている。
【0027】
原稿の複写を行うために、原稿が原稿台13上ではなく載置台15に載置されたとき、自動原稿給紙装置14は、1枚ずつ原稿を搬送路内に引き出して原稿読取位置Xを通過させ、排紙台16に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は、原稿台13の下方に設けられた画像読取部17にて読み取られる。
【0028】
画像読取部17は、原稿台13を下方から照射するいわゆる主走査方向に長尺の形状を有する光源18、原稿台13から入射する原稿画像に対応する光を導く各種ミラー19、各種ミラー19で導かれた光を受光した後に電気信号に変換し、必要に応じて画像処理などを行う画像データ生成部20で主に構成されている。
【0029】
複合機本体11の画像読取部17の下方には、画像データを印刷する画像形成部22を備えている。画像形成部22が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部20にて生成されたものに限らない。最近の複合機10は、LAN等を通じてネットワーク構成されており、そのネットワークに含まれるパーソナルコンピューター(PC)等のユーザー端末装置から、複合機10が受信した画像データが通常含まれている。
【0030】
画像形成部22が行う印刷の方式には電子写真方式が用いられている。すなわち感光ドラム24を帯電器25で一様に帯電させ、その後レーザ23で感光ドラム24を照射して感光ドラム24に潜像を形成し、現像器(ロータリー現像器)26で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
【0031】
フルカラー画像に対応した複合機では、現像器26が回転し、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム24の対向位置に配置される。この状態で感光ドラム24上の潜像が、現像器26が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト27上に転写される。この画像形成装置では、現像器26はイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。中間転写ベルト27への転写を各色毎に繰り返すことにより、中間転写ベルト27上にフルカラー画像が形成される。
【0032】
以上のようにして形成されるフルカラー画像が印刷されるシート状転写媒体、例えば印刷用の用紙は、給紙カセット29a、29b、29cに載置されている。画像形成部22が印刷を行う際には、何れか1つの給紙カセットから転写媒体1枚をピックアップローラ30を用いて引き出し、搬送ローラ31等で中間転写ベルト27へ送る。画像形成部22は、転写媒体に中間転写ベルト27上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために搬送ベルトで定着部28(定着装置)に転写媒体を送る。そして定着部28が転写媒体に加熱と加圧を施すことにより、可視像が転写媒体に定着する。
【0033】
定着が終了し完成した転写媒体(印刷物)は本体11の画像形成部22より外部へ排出されるが、画像形成装置の本体11および給紙カセット部の左側には、そのような印刷物の排出部として複数の排出トレイが設けられている。この画像形成装置10の場合、排紙トレイは、ユーザーが特に印刷物の排出先を指定しない場合の排出先となる、標準トレイ33、印刷物の排出先が指定された場合の排出先である、5つの排出トレイ34a、34b、34c、34d、34eが設けられている。ただし標準トレイ33を排出先として指定することも可能となっている。
【0034】
また仕分け装置32が、標準トレイ33、排紙トレイ34a〜34eからなる部分と、本体11および給紙カセット部からなる部分との間に設置され、両者を接続している。仕分け装置32は、詳細な動作機構の説明は省略するが、例えば異なる複数のユーザーによって作成され、画像形成部22から排出された各印刷物を仕分けし、標準トレイ33あるいは各ユーザーにより指定された排出トレイ34a〜34eに送り込む役目を果たす。
【0035】
画像形成装置の本体11には制御回路部35が含まれている。制御回路部35は、CPU(中央演算装置)、各種の記憶装置、本画像形成装置とネットワークで接続されたパーソナルコンピュータ(PC)等のようなユーザー端末装置との間の通信を行うためのインターフェース等からなる。そして制御回路部35は、画像形成装置を動作させるための各種制御プログラム、情報、データを記憶し、また操作パネル21、画像読取部17、画像形成部22、仕分け装置32等の全体を駆動制御する。図1に示すように画像データ生成部20も制御回路部35に接続されている。
【0036】
図2は上に述べた操作パネル21上に配置された各種キーなどのレイアウトを示す図である。図2において、操作パネル21の左端部にはコピー機能選択キー41a、プリンタ機能選択キー41b、スキャナ機能選択キー41c、ファクシミリ機能選択キー41dからなる画像形成処理機能選択キーが設けられている。これらキーのうち例えばコピー機能選択キー41aを押下すると、中央部のタッチパネル44にコピーを実行するための条件設定や確認ができる初期画面が表示され、さらにこのコピー実行モードの状態で操作パネル21の右端部に設置されたスタートキー46を押下すると原稿のコピーを実行することができるようになっている。
【0037】
スキャナ機能選択キー41c、ファクシミリ機能選択キー41dもコピー機能選択キー41aと同様にそれらの押下およびスタートキー46の押下により、それぞれの機能に対応するジョブを実行することができる。これに対してプリンタ機能選択キー41bは、複合機10をネットワークプリンタとして使用する場合の処理条件設定や印刷状況の確認などを行う時に使用される。
【0038】
画像形成処理機能選択キー41a〜41dの右側には3個のカラーモード選択キー42(自動カラー、フルカラー、白黒)が設けられている。これらのハードキーは、例えばコピージョブにおいて印刷出力のカラーモードを選択するために使用される。さらに画像形成処理機能選択キー41a〜41dの上方にはシステムメニュー/カウンタキー43がある。このキー43は複合機10における各種画像形成処理機能の初期設定、タッチパネル44の画面表示モードの初期設定、その他の基本設定など、主として複合機10の稼動準備段階での設定などに使用するものである。
【0039】
また、タッチパネル44の右側には一群のテンキー45、さらにその右横部には画像形成処理を中断したり、テンキー45などにより入力された処理条件値などをクリアするストップ/クリアキー47、入力設定した処理条件値などを初期値に戻すリセットキー48が配列されている。以上に述べたハードキー以外にも図2に示すように「文書管理」、「部門管理」など所定の目的を実行する様々なハードキーが用意されている。
【0040】
タッチパネル44は液晶表示装置(LCD)の層と、その上の押下位置検出層から構成されている。ユーザーによりタッチパネル44の所定の領域が押下されると、押下位置検出層により押下された位置が領域として検出される。そしてその押下検出領域が例えばその下のLCD層上に表示されたソフトキーパターンの領域に含まれている場合、そのソフトキーの押下がなされたものとして電気的に処理されることになる。本実施形態に係る複合機10の操作パネル21は大型のタッチパネル44を装備しており、画像形成に関する処理条件入力および設定操作や設定後の内容確認などはこのタッチパネル44を通じてそのほとんどを行えるようになっている。
【0041】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の、操作パネル21における画面表示動作に重点を置いた機能から見た構成を示す機能ブロック構成図であり、この構成は図1に示した複合機10に対応するものである。図3を参照し各機能ブロックの概要を説明する。まず、ハードキー51は画像形成処理機能選択キー41a〜41b、カラーモード選択キー42、スタートキー46などのような、図2に示したメカニカルキーの全てに対する共通の名称であり、それぞれのキー全てを代表するものである。従って図3においてハードキーの押下と言う場合は、図2に示すハードキーのいずれかの押下を意味する。
【0042】
押下検知部52は特定のハードキー51の押下を検知し、その押下検知信号を押下されたハードキー51の識別情報と共に他の機能ブロックへ送信する。複合機10はユーザー認証部53を備えており、例えばテンキー45(図2を参照)のようなハードキー51を通じて特定のユーザーの認証コードが入力された時、ユーザー認証部53は、当該入力された認証コードと複合機10内に登録され記憶部58に記憶されている認証コードとを照合して両者が一致するか否かを判断し、その結果を他の機能ブロックに送信する。なお一致した場合はその旨と共にユーザー認証コード情報も送信する。
【0043】
入力/表示部54は上に説明したタッチパネル44(図2を参照)に概ね対応し、コピーなどの画像形成処理に関する設定条件、処理に関する指示などを入力するために必要なソフトキーなどの図形要素(画面構成要素)、入力された前記設定条件や指示、情報あるいはそれらに対する応答メッセージなどを表示する。押下・位置検知部55は入力/表示部54の画面上に表示されたソフトキーなどの押下操作自体およびその押下位置を広がりのある領域として検知し、その検知信号を他の機能ブロックに送信する。
【0044】
表示制御部56は、基本的にハードキー51あるいは入力/表示部54から入力された設定条件や指示等に基づいて、それらに対応する表示画面データを生成し、入力/表示部54に生成した表示画面を表示するように命令する。押下操作解析部57は、押下・位置検知部55から取得した、入力/表示部54の画面上に表示されたソフトキーなどの1回以上の押下検知情報に基づいて押下操作パターンを解析し、ユーザーが押下操作を正常に行ったか、誤操作を行ったかを判定し、その結果を記憶部58に保存する。
【0045】
記憶部58は表示プログラム/データ格納部59、押下操作履歴格納部60および処理条件格納部61を含む。表示プログラム/データ格納部59は、表示制御部56が入力/表示部54に画面表示させるための表示駆動プログラムや、コピーなどの画像形成処理を実行するために入力/表示部54に表示する操作画面、複合機10の機能初期設定用画面などの基本画面データ、当該基本画面と組み合わせるソフトキー、アイコン、文字などの画面構成要素データなどを保存する。また後に詳細を説明するが、タッチパネル44表示画面が、標準表示モード、拡大表示モード切り替え可能画面かを規定するテーブルも保存している。
【0046】
押下操作履歴格納部60は、入力/表示部54の画面上にて過去になされたソフトキーなどの押下操作の履歴(押下されたキーの種類、年月日、時間)の情報および押下操作解析部57により解析された、前記押下操作が正常かエラーかの判定データ情報をユーザー毎に保存する。
【0047】
処理条件格納部61は、複合機10の電源投入時、リセット時などに自動で設定される画像形成処理条件に関する基本設定値(デフォルト値)、およびユーザーにより目的に応じて複合機10に設定される、画像形成処理条件設定値を記憶する。また処理条件設定部62は、入力表示部54から押下・位置検知部55を介して受信された特定の画像形成処理条件値の確定信号(後に説明する「OKキー」押下などによる)に基づいて、既に処理条件格納部61に設定されていた対応する条件値を当該新たな画像形成処理条件値に書き換える。
【0048】
なお記憶部58は、例えば大容量のフラッシュメモリ、EPROMやROMなどの不揮発性半導体メモリ、HDD、各種データを一時的に記憶するRAMで構成されており、例えば表示プログラム/データ格納部59や処理条件格納部61は不揮発性半導体メモリに割り当てられ、押下操作履歴格納部60はHDDに割り当てられる。不揮発性半導体メモリ部にはこのほか複合機10の画像読取部17、画像形成部22、仕分け装置32などを含む全体を駆動制御するプログラムなどが記憶されている。さらにHDDにはコピー機能、スキャナ機能あるいはFAX機能などのモードの駆動を通じて取り込まれた大容量の画像データ、各種画像形成処理のジョブ実行履歴データなども記憶されている。
【0049】
本実施形態に係る画像形成装置(複合機10)は、以上図1〜図3を参照して説明した構成を有するものである。次にユーザーが本実施形態に係る画像形成装置を用いて目標とする画像形成処理ジョブを行うために、操作パネル21の入力/表示部54(または図2のタッチパネル44)の表示画面を操作した際、この画像形成装置が行う画面表示動作について説明する。画像形成処理にはコピー、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータなどによるリモート印刷、画像読み取り、ファクシミリ送受信など種々あるが、本実施形態ではコピーを行う場合を例示する。
【0050】
図4は、ユーザーが画像形成処理(コピー)を実行するために操作パネル21のタッチパネル44(または図3の入力/表示部54)の画面を用いて画像形成処理条件を選択(または入力)、設定する時、本実施形態に係る画像形成装置が行う画面表示動作を説明するためのフローチャートである。
【0051】
図4では本発明にあまり重要でない画面表示動作に関するフローについては省略し、注目する画面表示動作のフロー部分についてのみ示している。複合機10の入力表示部54は最初ユーザー認証コード入力画面を表示しており、特定のユーザーが例えばテンキー45(図2)を押下し自己に割り当てられたユーザー認証コードを入力すると、押下検知部52はハードキー51が押下されたものとしてユーザー認証コード情報を伴う押下検知信号をユーザー認証部53に送信する。ユーザー認証部53は受信したユーザー認証コードと、記憶部58に登録されているユーザー認証コードとを照合し、両者が一致したことを検出した場合、その旨とユーザー認証コードとを表示制御部56に送信し、表示制御部56は当該認証コードを内部に保持する。
【0052】
表示制御部56は次にユーザー要求を受付け、入力/表示部54に画像形成処理の実行可能な初期画面を表示するよう指令を送信する。また、上記ユーザー認証コード情報は表示制御部56を介して押下操作解析部57にも送信され、押下操作解析部57はその情報を内部に保持する。
【0053】
この段階でハードキー51の押下検知部52は図2に示した画像形成処理機能選択キー41a〜41dのいずれかの押下を監視している。もし入力/表示部54にコピーモードの画面が最初から表示されていればユーザーは上記画像形成処理機能選択キーを押下する必要がないので押下検知部52は待機状態のままである。しかしコピーモードと異なる初期画面が表示されている場合は、コピー機能選択キー41aが押下され、押下検知部52はこれを検知し、その検知信号を表示制御部56に送信する。表示制御部56は押下検知部52から受信したコピー機能選択キー41aの押下検知情報に基づいて、コピーモードに関する表示駆動プログラム、操作画面データなどを表示プログラム/データ格納部59から取得する。そしてそれらを用いて入力/表示部54にコピーモードに関する処理条件設定用の初期画面を表示させる。
【0054】
図6は入力/表示部54に表示されるコピーモードの初期画面例を示す図である。図6に示すように、「簡単設定」、「原稿/用紙/仕上げ」、「カラー/画質」、「レイアウト/編集」、「応用/その他」という種々の第1階層に属する処理条件設定項目選択タブ72が用意され、図6では「簡単設定」タブ72が選択された状態で表示される。本実施形態ではこのような各タブ72もキー(画面構成要素)の一種とする。画面の左端部にはコピーイメージ表示領域71が配置され、原稿とコピーする用紙のサイズ、向き、読み取った原稿のイメージを表示できるようになっている。コピーイメージ表示領域71は本画面から他の画面に切り替わっても常に表示される。
【0055】
画面中央部には6個の処理条件設定項目選択キー73が、「用紙選択」などの処理条件設定項目名、「自動」など現在の処理条件項目設定値の表示文字と共に配置されている。また一連の処理条件設定項目選択キー73の上方に画像形成装置10のアイコン74が表示され、現在の画像形成装置の主要な動作状態をユーザーが容易に確認できるようになっている。
【0056】
この初期画面は、ユーザーによって十分認知されると共に、非常によく使用されるコピー処理条件設定項目(すなわち「用紙選択」、「拡大/縮小」など)に関する選択キーを同一画面に集めて表示し、代表的な処理条件設定作業を短時間に容易に行えるようにしたものである。従ってさらに詳細なコピー処理条件を設定するためには、ユーザーは、他の処理条件設定項目選択タブを開くことになる。
【0057】
そこで例えば初期画面(図6)の「原稿/用紙/仕上げ」タブが押下されると、押下・位置検知部55がそれを検知し、表示制御部56が入力/表示部54に「原稿/用紙/仕上げ」のカテゴリーに属する第1階層の処理条件設定項目選択画面(以下「原稿/用紙/仕上げ」画面という)を表示する(ステップS1)。これ以降は図4のフローチャートを参照して説明する。図7は「原稿/用紙/仕上げ」タブ75が選択された時の表示画面例を示す図である。
【0058】
既に述べたようにコピーイメージ表示領域71は常時表示され、その右側に「原稿/用紙/仕上げ」のカテゴリーに属する、「原稿サイズ」、「用紙選択」、・・・などの機能を表す文字を付した6個の処理条件設定項目選択キー76が配置されている。なお、残り2個のキーは機能が設定されていないブランクキーである。さらに処理条件設定項目選択キー76それぞれの上方には、具体的な図形は省略しているが、それぞれのキー76に対応したアイコン77が配置され、各キー76の機能の理解を容易なものとしている。そしてこの画面におけるキー76、キー上に表示される文字、およびアイコン77からなる画面構成要素のサイズは、4個のキー76が横方向に配列でき、また縦方向にはアイコン77を表示しなければキー76を4行に配列できる程度の大きさに設定されている。本実施形態においてこの比較的小さいサイズの画面構成要素を含む画面を、以下標準画面と呼ぶ。
【0059】
図7の画面が表示された状態において、コピー条件を設定するために処理条件設定項目選択キー76として、例えばユーザーにより「原稿サイズ」キー76が選択され押下されると、押下・位置検知部55がそれを検知し(ステップS2)、その検知信号を押下操作解析部57に送信すると共に、「原稿サイズ」キー76とそれに隣接する他の複数のキーが同時に押下されたか否かを判断する(ステップS3)。そして当該押下が同時押下である場合は、押下・位置検知部55は押下前の状態に戻る。またこの場合、上記押下検知信号は表示制御部56に送信されないので入力/表示部54の表示画面には変化がない。
【0060】
しかし上記押下操作が同時押下ではない場合、押下・位置検知部55は「原稿サイズ」キー76の押下検知信号を表示制御部56に送信する。上記押下検知信号を受けた表示制御部56は、その押下検知信号に基づいて、次に図7の画面から、「原稿サイズ」に属する「A4」などの具体的な画像形成処理条件設定値項目を選択するための第2階層に属する画面へ切り替え表示することになる。しかしその前に、切り替え先の画面が、画面上に表示される画像形成処理条件設定項目などの選択キー、それら選択キーを説明表示する文字列、アイコンなどからなる画面構成要素を比較的小さいサイズで表示する標準画面と、前記標準画面におけるよりも画面構成要素を大きいサイズで表示する拡大画面とのどちらかを選択できる対象画面として予め規定されているか否かを判断する(ステップS4)。
【0061】
表示制御部56はこの判断を、記憶部58の表示プログラム/データ格納部59から、予め作成され保存されたテーブルを取得すると共にそれを参照して実行する。図5は入力/表示部54に表示される画面(特に処理条件設定項目、設定条件値などの選択キーが表示される画面)を、一般的な標準画面だけでなく拡大画面も選択できる対象とするか否かを規定したテーブル例である。このテーブルによれば、第1階層に属する「原稿/用紙/仕上げ」画面(図7)内の「原稿サイズ」キー76の押下により遷移する画面(第2階層に属する「原稿サイズ」の具体的選択画面)は拡大表示対象画面と規定されているので、表示制御部56は、拡大画面の選択対象画面であると判断する。
【0062】
図5のテーブルにおいて、表示画面を拡大画面選択対象とするか否かは、その画面に表示するべき選択キーなどの画面構成要素数および、画面構成要素の配置の複雑性の両方を考慮して決定されている。選択キー数が多く(すなわち選択できる処理条件設定項目などの種類が多く)、画面上に配置すべきキー数が多くなる場合は、ユーザーが目的とするキーを正確に選択しにくくなり、またキーの配置密度が高くなるので押下操作エラーが多くなる。そのため、これを防止するために、同一階層に属する表示画面のページ数は増加するが、画面1ページに表示する画面構成要素数を低減させて、そのサイズを拡大した画面にした方が操作の点で有利となる。画面構成要素の複雑な配置の場合も同様である。
【0063】
このようにして表示制御部56が、次に遷移する「原稿サイズ」選択画面が拡大画面の選択対象であると判断した後、初期の段階で自身に保持している認証コードに対応するユーザーの、過去におけるソフトキー押下操作履歴データを記憶部58の押下操作履歴格納部60から取得する。そしてそのユーザーについて、現時点から過去へ向けての一定期間、例えば過去1ヶ月間に行われたキー押下など、操作パネル21の入力/表示部54上での操作エラー回数(または頻度)が、予め定められた基準値(例えば5〜10回)より大きいか否かを判定する(ステップS5)。
【0064】
ユーザーの操作エラー回数が上記基準値より大きいと判定した時、表示制御部56は、その判定結果と、「原稿サイズ」選択画面が図5のテーブルにより拡大画面選択対象であるという判断結果に基づいて、「原稿サイズ」選択画面を拡大画面で入力/表示部54に表示させる(ステップS6、図4では一般化し、「処理条件項目選択/設定画面」と表示)。
【0065】
図8は、拡大画面で表示された「原稿サイズ」選択画面例を示す図である。図8のように、「Auto」、「A4」・・・などの説明文字列を伴った原稿サイズ選択キー78が3行×3列で、しかもコピーイメージ表示領域71にまでオーバーラップして配置されている。従って選択キー78は、標準画面で表示された例えば「原稿/用紙/仕上げ」画面(図7)内の処理条件設定項目選択キー76およびキーの説明文字のサイズと比較して大きく表示される。このため、ユーザーによる選択キーの選択ミス、互いに隣接する複数の選択キーの同時押下などの操作エラーが発生しにくく、使い易いものになっている。
【0066】
また、一つ前の「原稿/用紙/仕上げ」画面で選択したキー76上の説明文字「原稿サイズ」もコピーイメージ表示領域71上に引き継がれ、第1階層の処理条件設定項目表示部80として表示され、現在画面で参照している選択キー78がどのカテゴリーに属する処理条件設定項目のものかが容易に理解できるようになっている。さらに各選択キー78の左上部には数字(一般的には記号)79が記載され、この数字と同じテンキー45(図2参照)を押下しても対応するキーを選択できるようになっている。図8の「OK」キーおよび「キャンセル」キー上の記号#、*もテンキー45に含まれる記号キー#、*と同一の役割を有する。
【0067】
また、図8の選択キー78のうち「その他」キーを押下すると、入力/表示部54の画面は図8には表示することができなかった残りの原稿サイズ選択キー78の群を表示する画面に遷移する。図9はその画面例を示す。図9も図8と同じ第2階層に属する「原稿サイズ」選択画面であるから拡大画面であり、且つ図8と同一のキー配置(画面構成要素配置)で表示される。また表示された選択キー78が「その他」のキーに属するものであることを示す「その他」キー表示部81が現れている。なお、この画面は図8の延長上にある等価な画面であり、性格的に異なるものではないので煩雑さを避けるため、この画面に対する画像形成装置の表示動作の説明は省略し、またフローチャート(図4)からも省略している。
【0068】
以上が、ユーザーの操作エラー回数が基準値より大きい場合であったが、ステップS5において表示制御部56が、ユーザーの操作エラー回数が基準値より同じか小さいと判定した場合は、その判定結果と、次に遷移する「原稿サイズ」選択画面が標準画面・拡大画面選択対象であるという判断結果に基づいて、「原稿サイズ」選択画面を標準画面で入力/表示部54に表示させる(ステップS7)。
【0069】
「原稿サイズ」選択画面を標準画面で表示した場合、図示はしていないが、画面上の原稿サイズ選択キーやその説明文字は小さく、サイズは図7の画面の処理条件設定項目選択キー76と同等であり、例えば1つの画面にキーを4行×4列で多数配列表示される。なお、この標準画面も拡大画面(図8など)と同様に「OK」キー、「キャンセル」キーを有する。
【0070】
「原稿サイズ」選択画面が拡大画面または標準画面で表示された後(ステップS6またはステップS7)、ユーザーはこの画面から原稿サイズを複合機10に設定することになるが、以後のユーザーによる操作はどちらの画面でも同じであるので、ここでは拡大画面(図8参照)が表示されたとして説明する。入力/表示部54に拡大画面が表示された状態において、原稿サイズ選択キー78のいずれか、例えば「A4」キーが押下されると、押下・位置検出部55はそれを検知して(ステップS8)その押下検知信号を表示制御部56に送信し、表示制御部56は、「A4」キーが選択されたことを示すために例えば当該キーの表示色または濃淡を変更するように入力/表示部54に指令する。
【0071】
なお、原稿サイズ選択キー78が押下されなくても、図8に示すように初期画面は「Auto」キーが選択された状態を表示し、押下・位置検出部55は当該キーが押下されたものと認識している。
【0072】
次に押下・位置検知部55は、選択された原稿サイズを確定するための「OK」キーの押下を監視し、その押下がなければ「キャンセル」キーの押下を監視し、その押下がなければ最初に戻って待機状態となる。「OK」キーが押下されると、押下・位置検知部55はそれを検知し(ステップS9)、検知信号を処理条件設定部62に送信する。処理条件設定部62は前記検知信号を受けて選択された原稿サイズ(A4)を確定し、記憶部58の処理条件格納部61に既に記憶されている原稿サイズ設定値を新たに確定した原稿サイズ値に書き換えることにより、複合機10への設定が終了する(ステップS11)。
【0073】
また、「キャンセル」キーの押下を押下・位置検知部55が検知した場合は(ステップS10)、その検知信号が表示制御部56に送信され、表示制御部56は受信した検知信号に基づいて、現在表示されている「原稿サイズ」選択画面(図8)を遷移する前の画面である「原稿/用紙/仕上げ」画面(図7)に戻して入力/表示部54に表示させる。
【0074】
以上に述べた画面表示動作のフローは、第1階層の「原稿/用紙/仕上げ」画面における画像形成処理条件設定項目として「原稿サイズ」が選択され、「原稿サイズ」選択キー76の押下によって遷移する画面(「原稿サイズ」選択画面:図8)が、ステップS4において標準画面/拡大画面選択対象画面であると判断された場合であった。しかし「原稿/用紙/仕上げ」画面上で押下する画像形成処理条件設定項目の選択キー76によっては、表示制御部56が図5の拡大画面選択対象規定テーブルを参照し、次に遷移する画面が標準画面/拡大画面選択対象画面でないと判断する場合があり(ステップS4)、この時表示制御部56は入力/表示部54に標準画面で表示させる(ステップS7)。
【0075】
このような例は、図7の第1階層の画面上で「原稿セット向き」選択キー76が押下された場合である。図10は「原稿セット向き」選択キー76の押下によって表示される第2階層に属する原稿セット向き選択の標準画面である。「原稿セット向き」とは複合機10の原稿台13(図1参照)上での原稿セット向きを意味し、選択肢は図10に示すように2種類しかない。この画面ではコピーイメージ表示領域71の右側スペースに、2個の原稿セット向き選択キー82と、具体的なパターンは省略しているがそれぞれの選択キー82に対応するアイコン83と、メッセージが表示されるだけであり、選択キー82およびその上のキー説明文字は図7の画面と同様に比較的小さい。
【0076】
このように原稿セット向き選択画面は、表示されるキーなどの画面構成要素数が少なく、その配置も簡単であるため、ユーザーによる誤操作も本来から少ないと考えられるという理由で拡大表示選択対象画面とされない(図5のテーブルを参照)。
【0077】
なお、図4に示したような本実施形態による入力/表示部54上での画面表示動作において、押下操作解析部57は直接的に関与するものではないが、具体的には画像形成装置10の画面表示動作中に押下・位置検知部55から受信した1つ以上のキー押下検知情報に基づいて、ユーザーによる操作エラーを判定する。押下操作解析部57は、操作エラーとなる基本操作パターンデータを内蔵しており、例えばそのデータと実際にキー押下検知情報から得たユーザーの操作パターンを比較して操作エラーかどうかを判定する。操作エラーの基本パターンとして具体的には(1)複数キーの同時押下、(2)同一画面での複数回の同一キー押下、(3)同一画面での異なる複数のキー押下などが考えられる。
【0078】
以上に述べたように本発明の実施形態に係る画像形成装置の画面表示動作においては、現在から過去へ遡った一定期間における、ユーザー毎の操作エラー回数(または頻度)が、予め定められた基準値より大きいか否かを判定し、過去の操作エラー実績が基準値より大きければ、ソフトキーなど画面構成要素のサイズを大きくした拡大画面で操作画面を表示する。一方、過去のエラー実績が基準値と同じか小さければ、画面構成要素のサイズを比較的小さいものとすると共に、より多くの画面構成要素を1画面に含む標準画面で操作画面を表示する。
【0079】
このようにして本発明の実施形態によれば、ユーザーが初心者などであることにより画像形成装置のタッチパネルなどの入力/表示部上での操作エラーが多い場合には操作画面が自動的に拡大画面に切り替わるため、操作が容易となりエラーを防止することができる。一方、画像形成装置の操作に熟練し、操作エラーをほとんどしないユーザーに対しては自動的に標準画面を表示するので、ソフトキーなどの画面構成要素数の多い画面を用いて高度な操作を実行することができる。さらにユーザーが拡大画面、標準画面の使い分けを十分理解していない場合や、一人のユーザーの操作熟練度が時間が経つにつれて向上するような場合であっても自動的にその熟練度に応じて拡大画面と標準画面とが切り替わる。
【0080】
従って拡大画面、標準画面がユーザーにより効率的に使用されるようになり、また画像形成装置の操作のたびにユーザーが自己に適した画面に切り替える手間がなくなり、ユーザーに対する利便性が向上する。
【0081】
以上本発明に係る実施形態について説明したが、ユーザーが自ら標準画面と拡大画面とを切り替える手間を省略する目的だけならば次のようにすることもできる。すなわち、画像形成装置10にユーザー認証コードを入力してログインした後、図2に示す操作パネル21に設けられているシステムメニュー/カウンタキー43を押下して、例えば初期設定画面をタッチパネル44に表示し、この画面から拡大表示したい画面、例えば図8に示した「原稿サイズ」選択画面を指定してユーザー認証コードと共に設定登録する。
【0082】
このようにしておくと、そのユーザーに対してのみ常に登録した画面が拡大表示されるので、コピーなどの画像形成ジョブを行うごとに画面切り替えする手間を省くことが可能となる。
【0083】
本発明の実施形態に係る画像形成装置は、自動的に拡大画面と標準画面とを切り替えて表示するものである。しかし操作パネルを用いた場合の操作エラーの多少に関わらず、常に標準画面または拡大画面を表示して画像形成装置を使用したいユーザーも存在する。そのような場合に応えるため次のようにしてもよい。すなわち、図2には示していないが、操作パネル21に例えば拡大画面表示モードのハードキーとして、「ON」、「自動」、「OFF」キーを追加設置する。
【0084】
そして「ON」キーを押下すると常に所定の画面が拡大画面モードで表示され、「自動」キーを押下すると上記実施形態のように、標準画面と拡大画面とがユーザーの操作能力に応じて切り替え表示され、「OFF」キーを押下すると、常に標準画面モードで表示されるように画像形成装置のシステムを構成する。このようにすれば、ほぼどのようなユーザーにも対応できる画像形成装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、画像形成装置に適用した場合に特に有効であるが、これに限らず処理条件、データなどの複雑な入力・設定操作を行うことができる、タッチパネルなどからなる大型の画面表示装置や、その表示装置を備えた機器に適用しても有益である。
【符号の説明】
【0086】
21 操作パネル
41a コピー機能選択キー
41b プリンタ機能選択キー
41c スキャナ機能選択キー
41d ファクシミリ機能選択キー
42 カラーモード選択キー
43 システムメニュー/カウンタキー
44 タッチパネル
45 テンキー
46 スタートキー
47 ストップ/クリアキー
48 リセットキー
51 ハードキー
52 押下検知部
53 ユーザー認証部
54 入力/表示部
55 押下・位置検知部
56 表示制御部
57 押下操作解析部
58 記憶部
59 表示プログラム/データ格納部
60 押下操作履歴格納部
61 処理条件格納部
62 処理条件設定部
71 コピーイメージ表示領域
72 処理条件設定項目選択タブ
73、76 処理条件設定項目選択キー
74、77、83 アイコン
75 「原稿/用紙/仕上げ」タブ
78 原稿サイズ選択キー
79 記号
80 処理条件設定項目表示部
81 「その他」キー表示部
82 原稿セット向き選択キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面内に、押下操作可能な画面構成要素を表示する画面表示手段と、
1つの画面について、前記画面構成要素を所定のサイズで表示する第1の画面と、前記画面構成要素を前記第1の画面における前記所定のサイズより大きいサイズで表示する第2の画面とを、前記画面構成要素に対する押下操作のエラー履歴情報に基づいて切り替えて、前記画面表示手段に表示させる制御手段と
を備えたことを特徴とする画面表示システムを有する装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記押下操作のエラー履歴情報から得られる、一定期間における押下操作のエラー頻度が基準値より大きい時は、前記画面表示手段に前記第2の画面を表示させることを特徴とする請求項1に記載の画面表示システムを有する装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記押下操作のエラー履歴情報から得られる、一定期間における押下操作のエラー頻度が基準値より小さい時は、前記画面表示手段に前記第1の画面を表示させることを特徴とする請求項1に記載の画面表示システムを有する装置。
【請求項4】
前記制御手段は、1つの画面が前記第1の画面と前記第2の画面のどちらかを選択できる選択対象画面として予め規定されているか否かを判断し、前記1つの画面が前記選択対象画面でない場合は、前記第1の画面を前記画面表示手段に表示させ、前記1つの画面が前記選択対象画面である場合は、前記第1の画面と前記第2の画面とを前記画面構成要素に対する押下操作のエラー履歴情報に基づいて切り替えて、前記画面表示手段に表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画面表示システムを有する装置。
【請求項5】
前記押下操作エラー履歴情報を記憶する記憶手段と、前記画面表示手段に表示された前記画面構成要素の押下操作の検知情報に基づいて、前記検知された押下操作がエラー操作であるか否かを判定し、その判定結果を前記記憶手段に記憶する判定手段とを、さらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画面表示システムを有する装置。
【請求項6】
前記画面構成要素は、少なくとも所定の処理条件を選択するためのキーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画面表示システムを有する装置。
【請求項7】
前記画面表示システムを有する装置は、画像形成処理を行う画像形成装置であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画面表示システムを有する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114554(P2013−114554A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261808(P2011−261808)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】