説明

画面配信装置及びプログラム

【課題】既存のデータ入力/参照画面の制御プログラムを変更せず、且つ予め類似画面を作成せずに、人事情報に合わせて画面レイアウトを変更する。
【解決手段】実施形態の画面配信装置内の人事情報検索手段は、アクセス要求を前記利用者端末から受けると、当該利用者の人事情報を検索する。前記有効範囲検索手段は、当該人事情報に該当する有効範囲情報を検索する。前記画面設定ファイル検索手段は、有効範囲情報に対応する設定ファイルIDに基づいて、画面設定ファイルを検索する。前記画面設定ファイル配信手段は、画面設定ファイルを利用者端末に配信する。前記画面設定ファイル取得手段は、前記画面IDを指定した表示要求を受けた利用者端末から前記画面設定ファイルを取得する。前記画面データ配信手段は、当該画面設定ファイル及び前記人事情報に基づいて、画面データを作成し、当該画面データを利用者端末に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画面配信装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業の多国籍化や雇用制度の見直しが進む中、例えば企業では、複数の人間が使用するデータ入力画面やデータ参照画面(以下、データ入力/参照画面という)を配信する画面配信装置に対し、人事情報に合わせて画面レイアウトを変更したいニーズがある。この種のニーズに対し、一般に、以下のいずれかの手法が用いられている。
【0003】
第1の手法は、画面配信装置におけるデータ入力/参照画面を制御するプログラムの中で人事情報を取得して条件判断を行い、画面レイアウトを変更する方式である。
【0004】
第2の手法は、画面配信装置におけるデータ入力/参照画面の類似画面を複数作成し、使用者の人事情報に合わせて起動するデータ入力/参照画面を変更する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−122669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上のような画面配信装置によれば、第1の手法の場合にはデータ入力/参照画面を制御するプログラムを変更しなければならない不都合があり、第2の手法の場合には予め類似画面を作成しなければならない不都合がある。
【0007】
すなわち、画面配信装置に対し、人事情報に合わせて画面レイアウトを変更する場合に、既存のデータ入力/参照画面を制御するプログラムを変更しないことと、予め類似画面を作成しないことが求められている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、既存のデータ入力/参照画面の制御プログラムを変更せず、且つ予め類似画面を作成せずに、人事情報に合わせて画面レイアウトを変更し得る画面配信装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の画面配信装置は、人事情報記憶手段、画面デフォルト設定情報記憶手段、画面設定ファイル記憶手段、有効範囲情報記憶手段、画面設定ファイル書込手段、有効範囲書込手段、人事情報検索手段、有効範囲検索手段、画面設定ファイル検索手段、画面設定ファイル配信手段、画面設定ファイル取得手段、画面データ配信手段を備えている。
【0010】
前記画面配信装置は、利用者端末及び管理者端末から通信可能となっている。
【0011】
前記人事情報記憶手段は、利用者毎に、当該利用者を識別する識別データを表す項目及び当該識別データと、人事管理用の各項目及び当該各項目に対応するデータとを含む人事情報を記憶している。
【0012】
前記画面デフォルト設定情報記憶手段は、前記各項目及び当該各項目に対応するデータを表示する画面毎に、当該画面を識別する画面IDと、前記各項目のうちの表示する項目のデフォルトデータとを設定した画面デフォルト設定情報を記憶する。
【0013】
前記画面設定ファイル書込手段は、前記管理者端末の操作に応じて、前記画面ID毎に、前記デフォルトデータとは異なる設定内容を示す画面設定ファイルを識別する設定ファイルIDと、前記各項目のうちの表示する項目とを設定した前記画面設定ファイルを前記画面設定ファイル記憶手段に書込む。
【0014】
前記有効範囲書込手段は、前記管理者端末の操作に応じて、前記設定ファイルID毎に、前記画面設定ファイルを有効とする利用者の範囲を前記人事情報に含まれるデータの範囲として示す有効範囲情報を前記有効範囲情報記憶手段に書込む。
【0015】
前記人事情報検索手段は、前記利用者を識別する識別データを含むアクセス要求を前記利用者端末から受けると、当該識別データに基づいて、前記人事情報記憶手段から当該利用者の人事情報を検索する。
【0016】
前記有効範囲検索手段は、この検索により得られた人事情報に基づいて、前記有効範囲情報記憶手段から当該人事情報に含まれるデータの範囲に該当する有効範囲情報を検索する。
【0017】
前記画面設定ファイル検索手段は、この検索により得られた有効範囲情報に対応する設定ファイルIDに基づいて、前記画面設定ファイル記憶手段から画面設定ファイルを検索する。
【0018】
前記画面設定ファイル配信手段は、この検索により得られた画面設定ファイルを前記アクセス要求の送信元の利用者端末に配信する。
【0019】
前記画面設定ファイル取得手段は、前記画面IDを指定した表示要求を前記利用者端末から受けたとき、当該画面IDに基づいて、当該利用者端末から前記画面設定ファイルを取得する。
【0020】
前記画面データ配信手段は、当該取得した画面設定ファイル及び前記人事情報に基づいて、前記画面の画面データを作成すると共に、当該画面データを前記表示要求の送信元の利用者端末に配信する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態に係る画面配信装置を備えた画面制御システムの機能構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態における人事情報記憶部の構成を示す模式図である。
【図3】同実施形態における画面デフォルト設定情報を説明するための模式図である。
【図4】同実施形態における画面デフォルト設定情報に基づく画面を示す模式図である。
【図5】同実施形態における画面デフォルト設定情報に基づく画面における変更可能な項目及び設定内容を示す模式図である。
【図6】同実施形態における画面設定ファイルを説明するための模式図である。
【図7】同実施形態における画面設定ファイルを説明するための模式図である。
【図8】同実施形態における画面設定ファイルを説明するための模式図である。
【図9】同実施形態における画面設定ファイルに基づく画面を示す模式図である。
【図10】同実施形態における画面設定ファイルに基づく画面を示す模式図である。
【図11】同実施形態における画面設定ファイルに基づく画面を示す模式図である。
【図12】同実施形態における有効範囲情報を説明するための模式図である。
【図13】同実施形態における動作を説明するためのシーケンス図である。
【図14】同実施形態における動作を説明するためのシーケンス図である。
【図15】同実施形態における動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の画面配信装置は、ハードウェア構成、又はハードウェア資源とソフトウェアとの組合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワーク又は記憶媒体から画面配信装置となるコンピュータにインストールされ、画面配信装置の機能を実現させるためのプログラムが用いられる。
【0023】
図1は一実施形態に係る画面配信装置を備えた画面制御システムの機能構成を示す模式図である。この画面制御システムは、画面配信装置10と、この画面配信装置10に通信可能な管理者端末20及び利用者端末30とを備えている。なお、利用者端末30は、メモリ31を有するパーソナルコンピュータの代表例として図示したものであり、実際には利用者毎の利用者端末が画面配信装置10に通信可能となっている。
【0024】
ここで、画面配信装置10は、人事情報記憶部11、画面デフォルト設定情報記憶部12、画面設定ファイル記憶部13、有効範囲情報記憶部14、画面設定ファイル作成部15、画面設定ファイル配信部16及び画面制御部(画面A制御部17A、画面B制御部17B、画面C制御部17C,…)17を備えている。
【0025】
人事情報記憶部11は、各部15〜17から読出可能であり、管理者端末30から制御部(図示せず)を介して書込可能な記憶装置又は記憶装置の記憶領域であって、図2に示すように、人事情報11a及びログイン認証情報11bを記憶している。
【0026】
人事情報11aは、利用者毎に、当該利用者を識別する識別データを表す項目“社員コード”及び当該識別データ“19000001”と、人事管理用の各項目“組織コード”,…及び当該各項目に対応するデータ“12345678”,…とを含んでいる。また、利用者を識別する識別データとしては、“社員コード”のデータに限らず、“ユーザID”のデータがある。
【0027】
ログイン認証情報は、利用者毎に、当該利用者を識別する識別データを表す項目“ユーザID”及び当該ユーザID(のデータ)と、パスワードを表す項目及び当該パスワード(のデータ)とを含んでいる。
【0028】
画面デフォルト設定情報記憶部12は、各部15〜17から読出可能であり、管理者端末30から制御部(図示せず)を介して書込可能な記憶装置又は記憶装置の記憶領域であって、図3に一例を示すように、画面デフォルト設定情報FA0,…を記憶している。
【0029】
画面デフォルト設定情報FA0は、人事情報11aの各項目及び当該各項目に対応するデータを表示する画面毎に、当該画面を識別する画面ID“画面A”と、当該各項目のうちの表示する項目のデフォルトデータ“サイズ(Byte)”,“表示又は非表示のいずれか”とが設定されている。図3に示した画面デフォルト設定情報FA0に基づく画面GA0は、図4に示すように、表示項目として“社員コード”,“組織コード”を含み、入力項目として“姓”、“名”、“住所”を含んでいる。なお、この画面GA0は、図5に示す如き、データ入力項目、項目ラベル、データ表示項目及び項目サイズ変更が可能となっている。
【0030】
また、画面デフォルト設定情報に設定可能な項目及び設定内容としては、例えば、以下のものが使用可能となっている。
【0031】
・タイトル :タイトル文字列の変更、
・データ入力項目:表示/非表示の切り替え、項目サイズ変更、
・データ選択項目:表示/非表示の切り替え、
・データ表示項目:表示/非表示の切り替え、項目サイズ変更、
・項目ラベル :表示/非表示の切り替え、ラベル文字列の変更、
・画面表示文字列:表示/非表示の切り替え、文言の変更。
【0032】
画面設定ファイル記憶部13は、画面設定ファイル作成部15から書込可能であり、画面設定ファイル配信部16から読出可能な記憶装置又は記憶装置の記憶領域であって、図6〜図8に一例を示すように、画面設定ファイルFA1〜FA3,…を記憶している。
【0033】
各画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…は、画面ID毎に、画面デフォルト設定情報FA0に設定されたデフォルトデータとは異なる設定内容を示す画面設定ファイルを識別する設定ファイルIDと、人事情報11aの各項目のうちの表示する項目とが設定されている。図6〜図8に示した画面設定ファイルFA1〜FA3に基づく画面GA1〜GA3は、図9〜図11に示すように、表示項目とそのデータ、及び入力項目とそのデータ入力欄を含んでいる。
【0034】
有効範囲情報記憶部14は、画面設定ファイル作成部15から書込可能であり、画面設定ファイル配信部16から読出可能な記憶装置又は記憶装置の記憶領域であって、図12に一例を示すように、有効範囲情報VA1〜VA3,…を記憶している。
【0035】
有効範囲情報VA1,VA2,VA3,…は、画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…の設定ファイルID毎に、画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…を有効とする利用者の範囲を人事情報11aに含まれるデータの範囲として示している。
【0036】
例えば、有効範囲情報VA1は、画面設定ファイルFA1の設定ファイルID“No.001”で識別する画面設定ファイルFA1を有効とする利用者の範囲を、人事情報に含まれるデータの範囲“国籍が日本ではない範囲”として示している。
【0037】
同様に、有効範囲情報VA2は、画面設定ファイルFA2の設定ファイルID“No.002”で識別する画面設定ファイルFA2を有効とする利用者の範囲を、人事情報に含まれるデータの範囲“単身赴任フラグが単身赴任を表す範囲”として示している。
【0038】
また例えば、有効範囲情報VA3は、画面設定ファイルFA3の設定ファイルID“No.003”で識別する画面設定ファイルFA3を有効とする利用者の範囲を、人事情報に含まれるデータの範囲“給与区分がアルバイトを表す範囲”として示している。
【0039】
画面設定ファイル作成部15は、以下の各機能(f15-1)及び(f15-2)をもっている。
【0040】
(f15-1) 管理者端末20の操作に応じて、画面ID毎に、画面デフォルト設定情報FA0に設定されたデフォルトデータとは異なる設定内容を示す画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…を識別する設定ファイルIDと、人事情報11aの各項目のうちの表示する項目とを設定した画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…を画面設定ファイル記憶部13に書込む画面設定ファイル書込機能。画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…は、表形式やXML形式など任意の形式が使用可能となっている。
【0041】
(f15-2) 管理者端末20の操作に応じて、画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…の設定ファイルID毎に、画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…を有効とする利用者の範囲を人事情報11aに含まれるデータの範囲として示す有効範囲情報VA1,VA2,VA3,…を有効範囲情報記憶部14に書込む有効範囲書込機能。
【0042】
画面設定ファイル配信部16は、以下の各機能(f16-1)〜(f16-4)をもっている。
【0043】
(f16-1) 利用者を識別する識別データを含むアクセス要求を利用者端末30から受けると、当該識別データに基づいて、人事情報記憶部11から当該利用者の人事情報11aを検索する人事情報検索機能。
【0044】
(f16-2) この検索により得られた人事情報11aに基づいて、有効範囲情報記憶部14から当該人事情報11aに含まれるデータの範囲に該当する有効範囲情報VA1,…を検索する有効範囲検索機能。
【0045】
(f16-3) この検索により得られた有効範囲情報(例、VA1)に対応する設定ファイルIDに基づいて、画面設定ファイル記憶部13から画面設定ファイル(例、FA1)を検索する画面設定ファイル検索機能。
【0046】
(f16-4) この検索により得られた画面設定ファイル(例、FA1,FB1,FC1,…)をアクセス要求の送信元の利用者端末30に配信する画面設定ファイル配信機能。
【0047】
画面制御部17は、画面A,B,C,…毎の制御部として、画面A制御部17A、画面B制御部17B、画面C制御部17C,…を備えている。
【0048】
画面制御部17は、以下の各機能(f17-1)及び(f17-2)をもっている。
【0049】
(f17-1) 画面IDを指定した表示要求を利用者端末30から受けたとき、当該画面IDに基づいて、当該利用者端末30から画面設定ファイル(例、FA1)を取得する画面設定ファイル取得機能。
【0050】
(f17-2) 当該取得した画面設定ファイルFA1及び人事情報11aに基づいて、画面GA1の画面データを作成すると共に、当該画面データを表示要求の送信元の利用者端末30に配信する画面データ配信機能。
【0051】
なお、画面制御部17は、次の機能(f17-3)を更に有していてもよい。
【0052】
(f17-3) 画面設定ファイル取得機能(f17-1)により画面設定ファイルFA1を取得できない場合、表示要求に指定された画面ID、画面デフォルト設定情報FA0及び人事情報11aに基づいて、画面GA0の画面データを作成すると共に、当該画面データを当該表示要求の送信元の利用者端末30に配信するデフォルト画面データ配信機能。
【0053】
管理者端末20は、通常のパーソナルコンピュータの機能を有し、例えば、管理者の操作に応じて、画面配信装置10にアクセスし、画面デフォルト設定情報FA0、画面設定ファイルFA1,…及び有効範囲情報VA1,…をそれぞれ各記憶部12〜14に書込む機能をもっている。
【0054】
利用者端末30は、通常のパーソナルコンピュータの機能を有し、例えば、利用者の操作に応じて、画面配信装置10にアクセスし、画面配信装置10から受けた画面データを表示する機能をもっている。
【0055】
次に、以上のように構成された画面制御システムの動作を図13乃至図15のシーケンス図を用いて説明する。
【0056】
管理者端末20は、管理者の操作に応じて、画面配信装置10内の画面設定ファイル作成部15を起動する(ST1)。
【0057】
画面設定ファイル作成部15は、起動されると、画面レイアウトを修正可能な画面の一覧を含む画面設定ファイル作成画面データを管理者端末30に送信する(ST2)。
【0058】
管理者端末20は、画面設定ファイル作成画面データに基づき、画面レイアウトを修正可能な画面IDの一覧を表示し、管理者の操作に応じて、画面レイアウトを修正したい画面を選択する。しかる後、管理者端末20は、修正したい画面の画面IDを画面設定ファイル作成部15に送信する(ST3)。
【0059】
画面設定ファイル作成部15は、この画面IDに基づいて画面デフォルト設定情報記憶部12を検索し(ST4)、検索結果の画面デフォルト設定情報を管理者端末20に送信する(ST5〜ST6)。
【0060】
管理者端末20は、修正したい画面の画面デフォルト設定情報を表示し、管理者の操作に応じて、画面デフォルト設定情報のデフォルトデータを変更し、当該変更内容と変更の書込指示とを画面設定ファイル作成部15に送信すると共に、管理者の操作に応じて、この変更を有効とする範囲(例、年齢>60歳、住所=北海道、国籍=アメリカ)を人事情報11aに基づいて画面設定ファイル作成部15に指定する(ST7)。
【0061】
画面設定ファイル作成部15は、このような管理者端末20の操作に応じて、画面ID毎に、画面デフォルト設定情報FA0に設定されたデフォルトデータとは異なる設定内容を示す画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…を識別する設定ファイルIDと、人事情報11aの各項目のうちの表示する項目とを設定した画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…を画面設定ファイル記憶部13に書込む(ST8〜ST9)。
【0062】
また、画面設定ファイル作成部15は、管理者端末20の操作に応じて、画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…の設定ファイルID毎に、画面設定ファイルFA1,FA2,FA3,…を有効とする利用者の範囲を人事情報11aに含まれるデータの範囲として示す有効範囲情報VA1,VA2,VA3,…を有効範囲情報記憶部14に書込む(ST10〜ST11)。
【0063】
ここで、管理者による設定の例について説明する。
【0064】
この設定例では、図5に示す如き、データ入出力項目を持つ画面、「氏名/住所申請画面」を変更する場合について述べる。
【0065】
図12は、画面設定ファイルFA1〜FA3の作成イメージを示している。
【0066】
管理者は「氏名/住所申請画面」に対して、図4に示したデフォルト状態の画面GA0を除き、以下の3種類(1)〜(3)に当てはまる利用者に対しては、図9〜図11に示す如き、それぞれ個別のデータ入力/表示項目を持つ画面GA1〜GA3を用意したいと考えた。
【0067】
(1)日本国籍以外の使用者:表示項目を英語にし、英語入力を意識して氏名文字数を拡張、及び、Middle Nameの入力を有効としたい。また、日本での住所と、自国籍での住所(Sub-Address)の入力を有効としたい。
【0068】
(2)単身赴任者:住所の他に、居所の情報の入力を有効にしたい。
【0069】
(3)アルバイト:アルバイト契約者については、住所の管理は行わない為、入力不要としたい。
【0070】
3種類(1)〜(3)の要望に対し、画面設定ファイル作成部15により、画面設定ファイルFA1〜FA3を作成した。
【0071】
この状態で、アメリカ国籍の利用者が「氏名/住所申請画面」を使用した場合、表示画面GA1は図9に示す通りとなる。同様に、単身赴任者の利用者が「氏名/住所申請画面」を使用した場合、表示画面GA2は図10に示す通りとなる。また同様に、アルバイト契約者の利用者が「氏名/住所申請画面」を使用した場合、表示画面GA3は図11に示す通りとなる。
【0072】
以上により、管理者端末20による設定が終了する。
【0073】
続いて、利用者端末30は、利用者の操作に応じて、ユーザID及びパスワードを含むログイン情報を画面設定ファイル配信部16に送信する。
【0074】
画面設定ファイル配信部16は、このログイン情報を、人事情報記憶部11内のログイン認証情報11bに照合することにより、ログイン認証を実行する。ここでは、ログイン認証が成功し、ログイン完了が利用者端末30に通知されるものとする。なお、ログイン認証は、画面のレイアウトを変更する動作とは直接関係ないので、省略してもよい。
【0075】
利用者端末30は、ログイン完了を表示すると(ST12)、利用者を識別する識別データを含むアクセス要求を画面設定ファイル配信部16に送信する(ST13)。アクセス要求内の識別データとしては、ユーザID又は社員コードのいずれでもよい。
【0076】
画面設定ファイル配信部16は、このアクセス要求を受けると、当該アクセス要求内の識別データに基づいて、人事情報記憶部11から当該利用者の人事情報11aを検索し、人事情報11aを得る(ST14〜ST15)。
【0077】
また、画面設定ファイル配信部16は、検索により得られた人事情報11aに基づいて、有効範囲情報記憶部14から当該人事情報11aに含まれるデータの範囲に該当する有効範囲情報VA1,…を検索し、例えば有効範囲情報VA1を得る(ST16〜ST17)。
【0078】
さらに、画面設定ファイル配信部16は、検索により得られた有効範囲情報VA1に対応する設定ファイルIDに基づいて、画面設定ファイル記憶部13から画面設定ファイルFA1,…を検索し、画面設定ファイルFA1,FB1,FC1,…を得る(ST18〜ST19)。
【0079】
しかる後、画面設定ファイル配信部16は、検索により得られた画面設定ファイルFA1,FB1,FC1,…をアクセス要求の送信元の利用者端末30に配信する(ST20)。利用者端末30は、この画面設定ファイルFA1,FB1,FC1,…をメモリ31に保存する。
【0080】
次に、利用者端末30は、利用者の操作により、例えば画面ID“画面A”を指定した表示要求を画面A制御部17Aに送信する(ST21)
画面A制御部17Aは、この表示要求を受けると、表示要求内の画面IDを含む画面設定ファイル送信要求を利用者端末30に送信することにより(ST22)、利用者端末30から画面設定ファイルFA1を取得する(ST23)。
【0081】
画面A制御部17Aは、ステップST14で取得した例えばユーザIDに基づいて人事情報記憶部11から人事情報11aを取得し、ステップST23で取得した画面設定ファイルFA1及び当該人事情報11aに基づいて、画面GA1の画面データを作成すると共に(ST24)、当該画面データを表示要求の送信元の利用者端末30に配信する(ST25)。
【0082】
これにより、利用者端末30は、レイアウト変更した画面GA1の画面データを表示する(ST26)。
【0083】
続いて、利用者端末30は、利用者の操作により、例えば画面ID“画面B”を指定した表示要求を画面B制御部17Bに送信する(ST27)
画面B制御部17Bは、この表示要求を受けると、表示要求内の画面IDを含む画面設定ファイル送信要求を利用者端末30に送信することにより(ST28)、利用者端末30から画面設定ファイルなしの応答を得る(ST29)。
【0084】
画面B制御部17Bは、このように画面設定ファイルを取得できない場合には、表示要求に指定された画面IDに基づいて画面デフォルト設定情報記憶部12から、画面デフォルト設定情報を取得すると共に、ステップST14で取得した例えばユーザIDに基づいて人事情報記憶部11から人事情報11aを取得する。
【0085】
しかる後、画面B制御部17Bは、表示要求に指定された画面ID、画面デフォルト設定情報FA0及び当該人事情報11aに基づいて、画面GA0の画面データを作成すると共に(ST30)、当該画面データを当該表示要求の送信元の利用者端末30に配信する(ST31)。
【0086】
これにより、利用者端末30は、デフォルト状態の画面GA0の画面データを表示する(ST32)。
【0087】
上述したように本実施形態によれば、デフォルトデータとは異なる設定内容を示す画面設定ファイルFA1,FB1,FC1,…をアクセス要求の送信元の利用者端末30に配信し、利用者端末30から受けた表示要求に指定された画面IDに基づいて当該利用者端末30から画面設定ファイルFA1を取得し、当該画面設定ファイルFA1及び人事情報11aに基づいて作成した画面データを表示要求の送信元の利用者端末30に配信する構成により、既存のデータ入力/参照画面の制御プログラムを変更せず、且つ予め類似画面を作成せずに、人事情報に合わせて画面レイアウトを変更することができる。
【0088】
言い換えると、本実施形態では、データ入力/参照画面を制御する為の画面設定ファイルFA1,…を事前に作成し、その画面設定ファイルFA1,FB1,FC1,…を配布する仕組みをとる構成により、データ入力/参照画面を制御するプログラムは画面起動の度に人事情報11aを参照する必要がなく、画面設定ファイルFA1の内容に合わせて画面レイアウトを変更することができる。
【0089】
また、本実施形態では、利用者端末30から画面設定ファイルFA1,…を取得できない場合、デフォルト画面設定情報FA0に基づく画面データを利用者端末30に配信する構成により、画面レイアウトを変更しない画面についても正常に動作させることができる。
【0090】
また、本実施形態では、画面設定ファイルFA1,FB1,FC1…を利用者端末30に送信するので、画面配信装置10側の負荷を低減させることができる。例えば、画面配信装置10が数万人規模の企業で使用される場合、アクセス要求した利用者の画面設定ファイルを保持することは多大な負荷となる。しかしながら、本実施形態では、前述したように、このような負荷を低減できる。
【0091】
さらに、本実施形態では、利用者端末30側では画面設定ファイルFA1,FB1,FC1…を保存しておき、適宜、画面設定ファイルを画面配信装置10に送信すればよいので、画面レイアウトを変更するためのプログラムを用意する必要が無い。
【0092】
また、利用者端末30が現在表示中の画面のレイアウトを変更する場合であっても、画面配信装置10には影響が無いので、ローカルな変更が全体に影響を及ぼすことを避けることができる。
【0093】
また、本実施形態では、図9に示した画面GA1において、日本語表記と英語表記とを混在させたが、これに限らず、画面全体を英語表記とするように画面設定ファイルFA1を設定することにより、画面全体を英語表記としてもよい。あるいは、日本語表記と英語表記とを併記するように画面設定ファイルFA1を設定してもよい。また、図6に示した如き、ファミリーネーム(Family name:姓)、ネーム(Name:名)、ミドルネーム(Middle name)に限らず、任意の個人名称を表示可能としてもよい。
【0094】
なお、上記の各実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0095】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
【0096】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が上記実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0097】
さらに、各実施形態における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0098】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から上記の各実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
【0099】
なお、各実施形態におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上記の各実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
【0100】
また、各実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0101】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
10…画面配信装置、11…人事情報記憶部、11a…人事情報、11b…ログイン認証情報、12…画面デフォルト設定情報記憶部、13…画面設定ファイル記憶部、14…有効範囲情報記憶部、15…画面設定ファイル作成部、16…画面設定ファイル配信部、17…画面制御部、17A…画面A制御部、17B…画面B制御部、17C…画面C制御部、20…管理者端末、30…利用者端末、FA0…画面デフォルト設定情報、FA1〜FA3…画面設定ファイル、GA0〜GA3…画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者毎に、当該利用者を識別する識別データを表す項目及び当該識別データと、人事管理用の各項目及び当該各項目に対応するデータとを含む人事情報を記憶した人事情報記憶手段と、前記各項目及び当該各項目に対応するデータを表示する画面毎に、当該画面を識別する画面IDと、前記各項目のうちの表示する項目のデフォルトデータとを設定した画面デフォルト設定情報を記憶する画面デフォルト設定情報記憶手段と、画面設定ファイル記憶手段と、有効範囲情報記憶手段とを備えており、利用者端末及び管理者端末から通信可能な画面配信装置であって、
前記管理者端末の操作に応じて、前記画面ID毎に、前記デフォルトデータとは異なる設定内容を示す画面設定ファイルを識別する設定ファイルIDと、前記各項目のうちの表示する項目とを設定した前記画面設定ファイルを前記画面設定ファイル記憶手段に書込む画面設定ファイル書込手段と、
前記管理者端末の操作に応じて、前記設定ファイルID毎に、前記画面設定ファイルを有効とする利用者の範囲を前記人事情報に含まれるデータの範囲として示す有効範囲情報を前記有効範囲情報記憶手段に書込む有効範囲書込手段と、
前記利用者を識別する識別データを含むアクセス要求を前記利用者端末から受けると、当該識別データに基づいて、前記人事情報記憶手段から当該利用者の人事情報を検索する人事情報検索手段と、
この検索により得られた人事情報に基づいて、前記有効範囲情報記憶手段から当該人事情報に含まれるデータの範囲に該当する有効範囲情報を検索する有効範囲検索手段と、
この検索により得られた有効範囲情報に対応する設定ファイルIDに基づいて、前記画面設定ファイル記憶手段から画面設定ファイルを検索する画面設定ファイル検索手段と、
この検索により得られた画面設定ファイルを前記アクセス要求の送信元の利用者端末に配信する画面設定ファイル配信手段と、
前記画面IDを指定した表示要求を前記利用者端末から受けたとき、当該画面IDに基づいて、当該利用者端末から前記画面設定ファイルを取得する画面設定ファイル取得手段と、
当該取得した画面設定ファイル及び前記人事情報に基づいて、前記画面の画面データを作成すると共に、当該画面データを前記表示要求の送信元の利用者端末に配信する画面データ配信手段と、
を備えたことを特徴とする画面配信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画面配信装置において、
前記画面設定ファイル取得手段により画面設定ファイルを取得できない場合、前記表示要求に指定された画面ID、前記画面デフォルト設定情報及び前記人事情報に基づいて、前記画面の画面データを作成すると共に、当該画面データを当該表示要求の送信元の利用者端末に配信するデフォルト画面データ配信手段と、
を更に備えたことを特徴とする画面配信装置。
【請求項3】
利用者毎に、当該利用者を識別する識別データを表す項目及び当該識別データと、人事管理用の各項目及び当該各項目に対応するデータとを含む人事情報を記憶した人事情報記憶手段と、前記各項目及び当該各項目に対応するデータを表示する画面毎に、当該画面を識別する画面IDと、前記各項目のうちの表示する項目のデフォルトデータとを設定した画面デフォルト設定情報を記憶する画面デフォルト設定情報記憶手段と、画面設定ファイル記憶手段と、有効範囲情報記憶手段とを備えており、利用者端末及び管理者端末から通信可能な画面配信装置に用いられるプログラムであって、
前記画面配信装置を、
前記管理者端末の操作に応じて、前記画面ID毎に、前記デフォルトデータとは異なる設定内容を示す画面設定ファイルを識別する設定ファイルIDと、前記各項目のうちの表示する項目とを設定した前記画面設定ファイルを前記画面設定ファイル記憶手段に書込む画面設定ファイル書込手段、
前記管理者端末の操作に応じて、前記設定ファイルID毎に、前記画面設定ファイルを有効とする利用者の範囲を前記人事情報に含まれるデータの範囲として示す有効範囲情報を前記有効範囲情報記憶手段に書込む有効範囲書込手段、
前記利用者を識別する識別データを含むアクセス要求を前記利用者端末から受けると、当該識別データに基づいて、前記人事情報記憶手段から当該利用者の人事情報を検索する人事情報検索手段、
この検索により得られた人事情報に基づいて、前記有効範囲情報記憶手段から当該人事情報に含まれるデータの範囲に該当する有効範囲情報を検索する有効範囲検索手段、
この検索により得られた有効範囲情報に対応する設定ファイルIDに基づいて、前記画面設定ファイル記憶手段から画面設定ファイルを検索する画面設定ファイル検索手段、
この検索により得られた画面設定ファイルを前記アクセス要求の送信元の利用者端末に配信する画面設定ファイル配信手段、
前記画面IDを指定した表示要求を前記利用者端末から受けたとき、当該画面IDに基づいて、当該利用者端末から前記画面設定ファイルを取得する画面設定ファイル取得手段、
当該取得した画面設定ファイル及び前記人事情報に基づいて、前記画面の画面データを作成すると共に、当該画面データを前記表示要求の送信元の利用者端末に配信する画面データ配信手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−69147(P2013−69147A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207679(P2011−207679)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】