説明

界面活性または表面活性を有する重合性ベンゾオキサジン化合物

本発明は、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド構造要素を含有する、界面活性または表面活性を有する重合性ベンゾオキサジン化合物、および前記化合物の製造方法に関する。本発明はまた、重合状態で前記ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種を含有する、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド構造要素を含有する、界面活性または表面活性を有する重合性ベンゾオキサジン化合物、および前記化合物の製造方法に関する。本発明はまた、重合状態の前記ベンゾオキサジン化合物を含有する、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
重合性ベンゾオキサジン化合物およびその重合生成物としてのベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、先行技術から知られている。
【0003】
ベンゾオキサジン(コ)ポリマーは一般に、高いガラス転移温度を示し、良好な電気特性および好適な難燃性を特徴とする。水性媒体への溶解性に乏しいので、一般に、既知のベンゾオキサジン(コ)ポリマーも定評のある重合性ベンゾオキサジン化合物も、水溶液、水性エマルションまたは水性分散体として利用することができない。
【0004】
しかしながら、環境への配慮から、重合性ベンゾオキサジン化合物および対応するベンゾオキサジン(コ)ポリマーの利用に際して、例えば揮発性有機物質(VOC)の使用を最少にしなければならないので、多くの応用分野にとって、重合性ベンゾオキサジン化合物および対応するベンゾオキサジン(コ)ポリマーが、水性状態で利用できることは非常に重要である。
【0005】
例えば、DE 102005046546 A1は、水で希釈できるので環境適合性が高まったとされるベンゾオキサジン系硬化性混合物を教示している。それにもかかわらず、水性媒体への溶解性を改善することにより、重合性ベンゾオキサジン化合物および対応するベンゾオキサジン(コ)ポリマーの環境適合性を改善したり潜在用途を増やしたりすることに対する要求がなお存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 102005046546 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、水溶液中で高溶解性および/または易分散性であり、その結果、有害な有機溶媒を用いずに利用できる、重合性ベンゾオキサジン化合物および対応するベンゾオキサジン(コ)ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、一般式(I):
【化1】

[式中、qは1〜4の整数であり、
nは2〜20,000の数であり、
各反復単位中のRは、互いに独立して、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜8アルキル基から選択され、
Zは、水素(q=1の場合)、アルキル(q=1の場合)、アルキレン(q=2〜4の場合)、カルボニル(q=2の場合)、酸素(q=2の場合)、硫黄(q=2の場合)、スルホキシド(q=2の場合)、スルホン(q=2の場合)および直接共有結合(q=2の場合)から選択され、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表し、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を形成する二価基であり、
Yは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基、1個以上のヘテロ原子を場合により含有してよい脂環式基、1個以上のヘテロ原子を場合により含有してよいアルキル基および−(C=O)R〔ここで、Rは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基およびX−R(ここで、Xは、S、OおよびNHから選択され、Rは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基から選択される)から選択される〕から選択される]
で示される重合性ベンゾオキサジン化合物である。
【0009】
本発明の別の態様は、一般式(IV):
【化2】

[式中、qは1〜4の整数であり、
Zは、アルキレン(q=2〜4の場合)、カルボニル(q=2の場合)、酸素(q=2の場合)、硫黄(q=2の場合)、スルホキシド(q=2の場合)、スルホン(q=2の場合)および直接共有結合(q=2の場合)から選択され、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、フェノール構造から対応するナフトール構造を形成する二価基である]
で示されるフェノール化合物の少なくとも1種を、一般式(V):
N-R-(CH(R)-CH-O)Y 式(V)
[式中、nは2〜20,000の数であり、
各反復単位中のRは、互いに独立して、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜8アルキル基から選択され、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表し、
Yは、非分岐C1〜15脂肪族アルキル基、分岐C1〜15脂肪族アルキル基、脂環式基、1個以上のヘテロ原子を含有する脂環式基、アリール基、1個以上のヘテロ原子を含有するアリール基および−(C=O)R〔ここで、Rは、非分岐C1〜15脂肪族アルキル基、分岐C1〜15脂肪族アルキル基およびX−R(ここで、Xは、S、OおよびNHから選択され、Rは、非分岐C1〜12脂肪族アルキル基および分岐C1〜12脂肪族アルキル基から選択される)から選択される〕から選択される]
で示される第一級アミンの少なくとも1種により、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド放出化合物の存在下で処理する工程
を含む、本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の製造方法である。
【0010】
同様に本発明の一態様は、重合状態で重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種を含有する、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーである。
【0011】
本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物およびベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、一般に、水性媒体中で良好な溶解性を示すので、有機溶媒を本質的に含有しない水性配合物において使用することができる。
【0012】
更に、本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物は界面活性を有する。従って、本発明の化合物は、多くの用途において、界面活性物質または表面活性物質として使用することができる。
【0013】
本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーは更に、あらゆる種類の表面と良好な相互作用能を示すので、表面を被覆または改質するために使用することができる。
【0014】
従って、本発明の別の態様は、重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種および/またはベンゾオキサジン(コ)ポリマーの少なくとも1種を含んでなる、水性組成物或いは洗剤および洗浄剤並びに布地処理剤、および前記ベンゾオキサジン化合物の界面活性剤(特に非イオン性界面活性剤)としての使用である。
【0015】
同様に本発明の一態様は、繊維用サイズ剤、被覆剤としての、例えば抗菌性被覆剤としての、防蝕剤としての、および/または布地もしくは硬質表面からの汚れ除去を改善するためおよび/または布地もしくは硬質表面への汚れ再沈着を少なくするための、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの使用である。
【0016】
本発明の最後の態様は、少なくとも1つの表面を、本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種および/または本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの少なくとも1種により処理する、表面の処理および/または被覆方法である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先に記載したように、本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物は、一般式(I):
【化3】

[式中、qは1〜4の整数であり、
nは2〜20,000の数であり、
各反復単位中のRは、互いに独立して、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜8アルキル基から選択され、
Zは、水素(q=1の場合)、アルキル(q=1の場合)、アルキレン(q=2〜4の場合)、カルボニル(q=2の場合)、酸素(q=2の場合)、硫黄(q=2の場合)、スルホキシド(q=2の場合)、スルホン(q=2の場合)および直接共有結合(q=2の場合)から選択され、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表し、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を形成する二価基であり、
Yは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基、1個以上のヘテロ原子を場合により含有してよい脂環式基、1個以上のヘテロ原子を場合により含有してよいアルキル基および−(C=O)R〔ここで、Rは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基およびX−R(ここで、Xは、S、OおよびNHから選択され、Rは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基から選択される)から選択される〕から選択される]
で示される化学構造を有する。
【0018】
式(I)における二価有機連結基Rは、好ましくは2〜50個、特に好ましくは2〜25個、とりわけ2〜20個の炭素原子を含有する。加えて、二価有機連結基Rはそれぞれ、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキレン基から選択することができ、アルキレン基は、酸素、硫黄または窒素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子によって場合により中断されていてよい。本発明において、用語「中断」とは、二価アルキレン基の少なくとも1個の非末端炭素原子がヘテロ原子によって置換されていることを意味すると理解される。ここで、ヘテロ原子は好ましくは--S--(硫黄)、--O--(酸素)および--NR--(窒素)から選択される。ここで、Rは特に、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基を表す。
【0019】
二価有機化合物基Rは好ましくは、2〜8個の炭素原子を含有するアルキレン基から選択される。好ましい態様では、Rは、2〜6個、特に2または3個の炭素原子を含有する直鎖アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基およびヘキシレン基)から選択される。
【0020】
本発明の1つの態様では、式(I)中のRは共有結合を表す。
【0021】
更に、二価有機化合物基Rは、好ましくはそれぞれ6〜12個の炭素原子を含有する、アリーレン基および/または少なくとも1個のビフェニレン基を包含することができる。アリーレン基およびビフェニレン基は、置換されていても置換されていなくてもよい。ここで、適当な置換基は、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン基、アミン基、チオール基、カルボキシル基およびヒドロキシル基から選択される。加えて、前記した基の芳香族環系の炭素原子の少なくとも1個は、ヘテロ原子によって置換されていてよい。ここで、ヘテロ原子は好ましくは、酸素、窒素および硫黄から選択される。
【0022】
本発明の別の態様では、式(I)における各反復単位中のRは、互いに独立して、水素またはメチルから選択される。
【0023】
本発明の好ましい態様では、一般式(I)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物は、一般式(II):
【化4】

[式中、xは0〜1000の数であり、yは0〜1000の数であり、x+y≧2であり、Z、R、Yおよびqはそれぞれ先に定義した通りである]
で示される化合物から選択される。好ましくはx+y≧3であり、特に好ましくはx+y≧4であり、とりわけ好ましくはx+y≧5である。当該化合物の親水性度および様々な溶媒中での溶解挙動を制御するために、一般式(I)および(II)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の応用プロフィルおよび関連した必要とされる溶解性に応じて、アルキレンオキシド鎖のアルキレンオキシド単位数を調節することが望ましい。一般に、本発明のベンゾオキサジン化合物におけるアルキレンオキシド単位数が増えると、水への溶解度も高くなる。
【0024】
従って、本発明の特定の態様では、nまたはx+yは、少なくとも3、4、6、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、80、100、150または200の値を下限値とする。一般式(I)または(II)で示される本発明のベンゾオキサジン化合物において、nおよび/またはx+yについての有利な上限値は好ましくは、最大値10000、2000、1800、1600、1400、1200、1000、800、600または400である。
【0025】
当該化合物の親水性度および様々な溶媒中での溶解挙動は、一般式(I)および一般式(II)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物中のアルキレンオキシド鎖の末端となるY基によって制御することができる。本発明の1つの態様では、式(I)および/または式(II)におけるYは、1〜8個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、好ましくはメチル基を表す。
【0026】
一般式(I)および(II)で示される本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物は、水混和性アルコール(例えばエタノールまたはプロパノール)、水自体、または前記溶媒の混合物の中で、良好な溶解性を示す。
【0027】
本発明の特定の態様では、本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の(20℃、pH=7での)水への溶解度は、水1000gあたり少なくとも10gである。
【0028】
本発明において、用語「溶解度」は、溶媒(水)が所定の温度および所定のpHで溶解できる物質の最大量、すなわち当該温度で飽和溶液に溶解している物質の量を意味すると理解される。溶液が、所定の温度において(例えば溶媒を蒸発させる場合)熱力学的平衡で含む量より多い溶解物質を含むならば、その溶液は過飽和状態であると言える。例えば、種結晶を添加すると、過剰分が析出して、単に飽和している溶液になる。
【0029】
本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の溶解度を測定する際、過飽和溶液を使用してはならない。過飽和溶液の調製を回避する方法は、当業者に知られている。同様に、物質の溶解度を測定するのに適した方法は、当業者に一般に使用されている。
【0030】
先に記載した適用要求に合わせるために、本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物は特に有利には、20℃、pH=7で、水1000gあたり少なくとも10g、好ましくは水1000gあたり少なくとも50g、特に好ましくは水1000gあたり少なくとも100gの溶解度を有する。
【0031】
先に記載したように、本発明の別の態様は、一般式(IV):
【化5】

[式中、qは1〜4の整数であり、
Zは、アルキレン(q=2〜4の場合)、カルボニル(q=2の場合)、酸素(q=2の場合)、硫黄(q=2の場合)、スルホキシド(q=2の場合)、スルホン(q=2の場合)および直接共有結合(q=2の場合)から選択され、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、フェノール構造から対応するナフトール構造を形成する二価基である]
で示されるフェノール化合物の少なくとも1種を、一般式(V):
N-R-(CH(R)-CH-O)Y 式(V)
[式中、nは2〜20,000の数であり、
各反復単位中のRは、互いに独立して、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜8アルキル基から選択され、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表し、
Yは、非分岐C1〜15脂肪族アルキル基、分岐C1〜15脂肪族アルキル基、脂環式基、1個以上のヘテロ原子を含有する脂環式基、アリール基、1個以上のヘテロ原子を含有するアリール基および−(C=O)R〔ここで、Rは、非分岐C1〜15脂肪族アルキル基、分岐C1〜15脂肪族アルキル基およびX−R(ここで、Xは、S、OおよびNHから選択され、Rは、非分岐C1〜12脂肪族アルキル基および分岐C1〜12脂肪族アルキル基から選択される)から選択される〕から選択される]
で示される第一級アミンの少なくとも1種により、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド放出化合物の存在下で処理する工程
を本質的に含む、本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の製造方法である。特に適当なフェノール化合物は、モノフェノール化合物またはビフェノール化合物、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオジフェノールから選択することができる。パラホルムアルデヒド、トリオキサンまたはポリオキシメチレン或いはそれらの混合物に加えてホルムアルデヒド自体も、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド放出化合物として使用することができる。
【0032】
一般式(V)で示される第一級アミンの好ましい態様では、二価有機連結基Rは、好ましくは2〜50個、特に好ましくは2〜25個、とりわけ2〜20個の炭素原子を含有する。また、それぞれの二価有機連結基Rは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキレン基から選択することができ、アルキレン基は、酸素、硫黄または窒素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子によって場合により中断されていてよい。本発明において、用語「中断」とは、二価アルキレン基の少なくとも1個の非末端炭素原子がヘテロ原子によって置換されていることを意味すると理解される。ここで、ヘテロ原子は好ましくは--S--(硫黄)、--O--(酸素)および--NR--(窒素)から選択される。ここで、Rは特に、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基を表す。
【0033】
二価有機連結基Rは好ましくは、2〜8個の炭素原子を含有するアルキレン基から選択される。好ましい態様では、Rは、2〜6個、特に2または3個の炭素原子を含有する直鎖アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基およびヘキシレン基)から選択される。
【0034】
本発明の1つの態様では、式(V)におけるRは、共有結合を表す。
【0035】
更に、二価有機化合物基Rは、好ましくは6〜12個の炭素原子をそれぞれ含有する、アリーレン基および/または少なくとも1種のビフェニレン基を包含することができる。アリーレン基およびビフェニレン基は、置換されていても置換されていなくてもよく、適当な置換基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン基、アミン基、チオール基、カルボキシル基およびヒドロキシル基から選択される。加えて、前記した基の芳香族環系の少なくとも1個の炭素原子は、ヘテロ原子によって置換されていてよく、ヘテロ原子は好ましくは酸素、窒素および硫黄から選択される。
【0036】
本発明の別の態様では、式(V)における各反復単位中のRは、互いに独立して、水素またはメチルから選択される。
【0037】
本発明の好ましい態様では、一般式(V)で示される第一級アミンは、一般式(VI):
【化6】

[式中、xは0〜1000の数であり、yは0〜1000の数であり、x+y≧2であり、Yは先に定義した通りである]
で示される化合物から選択される。好ましくはx+y≧3、特に好ましくはx+y≧4、とりわけ好ましくはx+y≧5である。
【0038】
適用プロフィルおよび関連した必要とされる溶解度に応じて、アルキレンオキシド鎖のアルキレンオキシド単位数を調節することが望ましい。従って、本発明の特定の態様では、第一級アミン中のnおよび/またはx+yは、少なくとも3、4、6、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、80、100、150または200の値を下限値としてとる。
【0039】
一般式(V)または(VI)で示される第一級アミンにおいて、nおよび/またはx+yの有利な上限値は、好ましくは、最大値10000、2000、1800、1600、1400、1200、1000、800、600または400である。
【0040】
本発明の1つの態様では、式(V)および/または式(VI)におけるYは、1〜8個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、Yは好ましくはメチル基を表す。
【0041】
一般式(V)または(VI)で示される特に好ましい第一級アミンは、商業的に入手可能であり、Huntsman Corp. TexasによってJeffamine(登録商標) M-600、Jeffamine(登録商標) M-1000、Jeffamine(登録商標) M-2005、Jeffamine(登録商標) M-2070、Jeffamine(登録商標) M-2095およびJeffamine(登録商標) M-3000の商品名で市販されている。
【0042】
本発明の別の態様は、重合状態で本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種を含有する、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーである。
【0043】
本発明では、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、ベンゾオキサジンホモポリマーおよびベンゾオキサジンコポリマーの両方を意味すると理解される。ベンゾオキサジンホモポリマーは、重合状態で本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の1種のみを含有する。一方、ベンゾオキサジンコポリマーは、少なくとも1種の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物に加えて、別の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物および/または他の重合性ベンゾオキサジン化合物を含有する。
【0044】
少なくとも1種の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーへの重合は、自己開始メカニズムに続いて高温で(熱重合)、またはカチオン開始剤の添加によって実施することができる。カチオン開始剤の適当な例は、ルイス酸または他のカチオン開始剤、例えば、金属ハロゲン化物、有機金属試薬、例として金属ポルフィリン、トシル酸メチル、メチルトリフラートまたはトリフルオロスルホン酸である。少なくとも1種の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の重合を開始するために、塩基性試薬を使用することもできる。塩基性試薬の適当な例は、イミダゾールまたはイミダゾール誘導体から選択することができる。
【0045】
少なくとも1種の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の熱重合は、好ましくは150℃〜300℃の温度で、特に160℃〜220℃の温度で実施する。先に記載した開始剤および/または他の試薬を使用すると、重合温度をより低くすることもできる。
【0046】
重合プロセスは本質的に、ベンゾオキサジン系のオキサジン環の熱誘導開環に基づく。
【0047】
本発明の好ましい態様では、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、重合状態の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物に加えて、一般式(III):
【化7】

[式中、cは1〜4の整数であり、
Bは、水素(c=1の場合)、アルキル(c=1の場合)、アルキレン(c=2〜4の場合)、カルボニル(c=2の場合)、酸素(c=2の場合)、硫黄(c=2の場合)、スルホキシド(c=2の場合)、スルホン(c=2の場合)および直接共有結合(c=2の場合)から選択され、
Aは、ヒドロキシル基または窒素含有複素環であり、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を形成する二価基であり、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表す]
で示される化合物から選択される更なるベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種を含有する。
【0048】
式(III)におけるA基は、ヒドロキシル基または窒素含有複素環を表す。本発明において、用語「窒素含有複素環」とは特に、3〜8個の環原子、好ましくは5〜6個の環原子を含有する窒素含有複素環系を意味すると理解され、環系は、少なくとも1個の窒素原子および少なくとも2個の炭素原子を含有する。窒素含有複素環は、飽和、不飽和または芳香族構造を有していてもよく、前記原子に加えて付加的なヘテロ原子(例えば硫黄原子および/または酸素原子)を有することもできる。
【0049】
式(III)によれば、窒素含有複素環は、ベンゾオキサジン構造のオキサジン環の窒素原子と、連結基Rを介して結合している。二価連結基Rは、窒素含有複素環の各々の窒素原子または環炭素原子と結合でき、Rは形式上、窒素原子または環炭素原子に共有結合している水素原子を置換している。
【0050】
特に好ましい窒素含有複素環の例は、窒素含有5員複素環、例えば、イミダゾール、イミダゾリドン、テトラゾール、オキサゾール、ピロール、ピロリジンおよびピラゾール、または窒素含有6員複素環、例えば、ピペリジン、ピペリドン、ピペラジン、ピリジン、ジアジンおよびモルホリンから選択される。
【0051】
一般式(III)で示される好ましいベンゾオキサジン化合物は特に、一般式(VII)で示される化合物および/または一般式(VIII)で示される化合物:
【化8】

[式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、場合により置換されていてよい直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選択され、c、B、RおよびRはそれぞれ先に定義した通りである]
から選択される。
【0052】
本発明の1つの態様では、式(VII)におけるRおよびRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびイソブチルから選択され、RおよびRは特に、水素またはメチルを表す。
【0053】
一般式(VII)で示される特に好ましいベンゾオキサジン化合物は、以下のベンゾオキサジン化合物:
【化9】

[式中、c、B、R、R、RおよびRは先に定義した通りである]
から選択される。
【0054】
一般式(VII)で示される特定のベンゾオキサジン化合物は、例えば以下の化合物:
【化10】

から選択することができる。
【0055】
窒素含有複素環としてイミダゾール環を有する前記ベンゾオキサジン化合物は、例えば、フェノール化合物をアルデヒド(例としてホルムアルデヒド)およびアミノアルキル−イミダゾール化合物で処理することによって得ることができる。
【0056】
適当なフェノール化合物の例は、モノフェノール化合物またはビスフェノール化合物、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオジフェノールから選択することができる。
【0057】
ホルムアルデヒドに加えて、パラホルムアルデヒド、トリオキサンまたはポリオキシメチレン或いはそれらの混合物をアルデヒドとして使用することもできる。
【0058】
好ましいアミノアルキル−イミダゾール化合物は特に、第一級アミノ基を含有し、例えば一般式(A−I):
【化11】

[式中、R、RおよびRは先に定義した通りである]
で示される化合物から選択することができる。
【0059】
とりわけ、一般式(A−II):
【化12】

で示される1−アミノアルキル−イミダゾール化合物、または一般式(A−III):
【化13】

[これらの式中、R、RおよびRは先に定義した通りである]
で示される2−アミノアルキル−イミダゾール化合物が、対応するベンゾオキサジン化合物の調製に適している。
【0060】
本発明における、一般式(A−II)で示される適当な1−アミノアルキル−イミダゾール化合物は、先行技術から知られており、市販されている。その例は、例えば、BASF SEから商品名Lupragen(登録商標) APIで市販されている1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−イミダゾール−1−イル−2−メチル−プロピルアミン(ChemPacific)、2−メチル−1H−イミダゾール−1−プロパンアミン(3B Scientific Corporation)、3−イミダゾール−1−イル−2−ヒドロキシ−プロピルアミン(Ambinter, Paris Collection)、1−(4−アミノブチル)イミダゾール(Ambinter, Paris Collection)、2−エチル−1H−イミダゾール−1−プロパンアミン(ChemBridge Corp.)である。
【0061】
一般式(A−II)で示される市販の1−アミノアルキル−イミダゾール化合物の使用に加えて、ベンゾオキサジン化合物は、確立した有機合成法を用いて、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第E 16d巻、Georg-Thieme-Verlag Stuttgart, 1992, 第755頁以下に記載されている方法によって調製することもできる。
【0062】
一般式(A−III)で示される2−アミノアルキル−イミダゾール化合物も同様に、先行技術から知られている。この化合物は、確立した有機合成法を用いて調製することができる。実施可能な合成方法は、例えば、Tetrahedron 2005, 第61巻、第11148〜11155頁に記載されている。
【0063】
一般式(VIII)で示される特定のベンゾオキサジン化合物は、例えば、以下の化合物:
【化14】

から選択することができる。
【0064】
遊離ヒドロキシル基を含有する前記ベンゾオキサジン化合物は、確立した合成法を用いて、例えばJP2002−302486第11頁第66〜100行に記載されている方法によって得ることができる。引用するこの方法は、フェノール化合物のアルデヒド(例えばホルムアルデヒド)およびアミノアルコールでの処理に基づく。その場合、反応時間は数分から数時間まで変化することができ、各反応体の相対反応性に強く依存する。
【0065】
遊離ヒドロキシル基を含有する前記ベンゾオキサジン化合物を調製するための別の方法は、KiskanおよびYagciによって、Polymer 46 (2005), 第11690〜11697頁に、Kiskan, YagciおよびIshidaによってthe Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry (2008), 第46巻、第414〜420頁に記載されている。
【0066】
適当なフェノール化合物の例は、モノフェノール化合物またはビスフェノール化合物、例として、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオジフェノールから選択することができる。
【0067】
ホルムアルデヒドに加えて、パラホルムアルデヒド、トリオキサンまたはポリオキシメチレン或いはそれらの混合物をアルデヒドとして使用することもできる。
【0068】
適当なアミノアルコール、例えば、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−2−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、7−アミノ−1−ヘプタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノールおよび2−アミノ−1,3−プロパンジオールは市販されており、例としてSigma-AldrichまたはTokyo Chemical Industryから入手することができる。
【0069】
一般式(III)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物は、一般式(I)で示される本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物に加えて、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの調製に使用することができる。このとき、重要な材料特性は、個々の重合性ベンゾオキサジン化合物の相対混合比に影響され得る。
【0070】
従って、本発明の1つの態様では、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、重合状態で、
・一般式(I)で示される本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種、好ましくは一般式(II)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種、および
・少なくとも1個のイミダゾール基を含有する一般式(VII)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種
を含有する。
【0071】
この場合、一般式(I)で示される本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種と、一般式(VII)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種の重量比は、好ましくは10:1〜1:10、特に好ましくは5:1〜1:5、とりわけ2:1〜1:2であり、特定の適用目的では、1:1の重量比が有利である。
【0072】
本発明の別の態様では、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、重合状態で、
・一般式(I)で示される本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種、好ましくは一般式(II)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種、および
・少なくとも1個のヒドロキシル基を含有する一般式(VIII)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種
を含有する。
【0073】
この場合、一般式(I)で示される本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種と、一般式(VIII)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種の重量比は、好ましくは10:1〜1:10、特に好ましくは5:1〜1:5、とりわけ2:1〜1:2であり、特定の適用目的では、1:1の重量比が有利である。
【0074】
特定の用途のためには、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの調製に、2種より多い異なったベンゾオキサジン化合物を使用すべき場合がある。従って、好ましい態様では、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、重合状態で、
・一般式(I)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種、好ましくは一般式(II)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種、
・一般式(VII)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種、および
・一般式(VIII)で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種
を含有する。ベンゾオキサジン(コ)ポリマー中の個々のベンゾオキサジン化合物の含量は、広範に変化することができる。ベンゾオキサジン(コ)ポリマーの総量に基づいて、一般式(I)で示される(重合状態の)ベンゾオキサジン化合物の含量は、好ましくは5〜90重量%、特に好ましくは10〜80重量%、とりわけ好ましくは25〜50重量%であり;一般式(VII)で示される(重合状態の)ベンゾオキサジン化合物の含量は、好ましくは5〜90重量%、特に好ましくは10〜80重量%、とりわけ好ましくは25〜50重量%であり;一般式(VIII)で示される(重合状態の)ベンゾオキサジン化合物の含量は、好ましくは5〜90重量%、特に好ましくは10〜80重量%、とりわけ好ましくは25〜50重量%である。
【0075】
更に、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーが、先に記載したベンゾオキサジン化合物に加えて、それとは異なる更なる重合性ベンゾオキサジン化合物を重合状態で含有することが有利な場合もある。
【0076】
適当なベンゾオキサジン化合物は好ましくは、式(B−XVIII):
【化15】

[式中、o’は1〜4の整数であり、
X’は、アルキル(o’=1の場合)、アルキレン(o’=2〜4の場合)、酸素(o’=2の場合)、チオール(o’=1の場合)、硫黄(o’=2の場合)、スルホキシド(o’=2の場合)、スルホン(o’=2の場合)および直接共有結合(o’=2の場合)からなる群から選択され、
は、水素、アルキル、アルケニルおよびアリールからなる群から選択され、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルからなる群から選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を形成する二価基である]
で示される。
【0077】
好ましいベンゾオキサジン化合物はまた、一般式(B−IXX):
【化16】

[式中、p’=2であり、
Yは、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルイソプロパン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホンおよびジフェニルケトンからなる群から選択され、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルからなる群から選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を形成する二価基である]
で示される化合物である。
【0078】
同様に好ましいベンゾオキサジン化合物は、一般式(B−XX)〜(B−XXII):
【化17】

[式中、RおよびRは先に定義した通りであり、RおよびR2’はRと定義される]
で示される化合物である。
【0079】
前記ベンゾオキサジン化合物は、市販されており、とりわけHuntsman Advanced Materials、Georgia-Pacific Resins, Inc.およびShikoku Chemicals Corporation(日本国千葉在)によって販売されている。
【0080】
それにもかかわらず、ベンゾオキサジン化合物は、第一級アミンの存在下、フェノール化合物(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオフェノール)をアルデヒド(例えばホルムアルデヒド)で処理することによって得ることもできる。
【0081】
適当な調製方法は、例えばUS 5 543 516に記載されており、特に第10〜14欄の実施例1〜19に開示されている。この場合の当該反応の反応時間は、濃度、反応性および反応温度に依存して、数分から数時間であり得る。別の可能な調製方法は、US 4 607 091、5 021 484、5 200 452および5 443 911から引用することができる。
【0082】
ベンゾオキサジン(コ)ポリマーの重量平均分子量「Mw」は、好ましくは500〜100,000g/mol、特に好ましくは1000〜100,000g/mol、とりわけ好ましくは3000〜50000g/molである。その場合、重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
【0083】
本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの構造は、ベンゾオキサジン化合物の選択に依存して、直鎖または分岐である。高い水溶性および多くの表面との良好な相互作用能の故に、直鎖構造が好ましい。
【0084】
本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの水溶性は、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーを適当な酸により処理することでプロトン化状態に転化することによって、目的に応じて更に高めることができる。所定の用途のために溶解挙動を最適化したプロトン化ベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、例えば添加する酸の濃度および強度により、プロトン化度を変えることによって得ることができる。
【0085】
本発明の別の態様は、少なくとも1種の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物および/または少なくとも1種の本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーを含んでなる水性組成物である。水性組成物における前記ベンゾオキサジン化合物または前記ベンゾオキサジン(コ)ポリマーの使用は有利である。なぜなら、前記物質はそれぞれ、界面活性または表面活性を示し、従って、乳化剤としてまたは界面活性剤として(特に非イオン性界面活性剤として)使用できるからである。
【0086】
従って、本発明の別の態様は、少なくとも1種の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物および/または少なくとも1種の本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーを含んでなる洗剤および洗浄剤、並びに前記化合物の界面活性剤としての、特に非イオン性界面活性剤としての使用である。
【0087】
水性組成物中或いは布地処理剤または表面処理剤中の、少なくとも1種の本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物および/または少なくとも1種の本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの含量は、前記した組成物または処理剤で処理される表面が十分に覆われるよう、決定されるべきである。最終組成物または最終処理剤の総量中の、本発明の少なくとも1種の重合性ベンゾオキサジン化合物および/または少なくとも1種のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの量は、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、とりわけ0.5〜5重量%である。
【0088】
本発明の布地処理剤または表面処理剤は特に、液体状またはゲル状である処理剤に関する。
【0089】
本発明の布地処理剤または表面処理剤は、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーまたはそれと別のベンゾオキサジン(コ)ポリマーとの混合物に加えて、界面活性剤も含んでなる。界面活性剤は特に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤並びにそれらの混合物から選択される。
【0090】
一般に、アニオン性界面活性剤は、水溶性アニオン性基、例えばカルボキシレート基、スルフェート基またはホスフェート基、および約8〜30個の炭素原子を含有する親油性アルキル基を有する。加えて、その分子は、ヒドロキシル基に加えて、グリコール基またはポリグリコールエーテル基、エステル基、エーテル基およびアミド基を有してもよい。適当なアニオン性界面活性剤の例は、それぞれナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、並びにアルカノール基中に2〜4個の炭素原子を含有するモノアルカノールアンモニウム塩、ジアルカノールアンモニウム塩およびトリアルカノールアンモニウム塩としての下記化合物である:
・直鎖および分岐C8〜30脂肪酸(石鹸)、
・式:R13-O-(CH-CH)-CH-COOH[式中、R13は直鎖C8〜30アルキル基であり、x=0または1〜16である]で示されるエーテルカルボン酸、
・アシル基中に8〜24個の炭素原子を含有するアシルサルコシド、
・アシル基中に8〜24個の炭素原子を含有するアシルタウリド、
・アシル基中に8〜24個の炭素原子を含有するアシルイセチオネート、
・アルキル基中に8〜24個の炭素原子を含有するスルホコハク酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、
・アルキル基中に8〜24個の炭素原子を含有し、1〜6個のオキシエチレン基を含有する、スルホコハク酸のモノアルキルポリオキシエチルエステル、
・8〜24個の炭素原子を含有する直鎖α−オレフィンスルホネート、
・8〜30個の炭素原子を含有する脂肪酸のα−スルホ脂肪酸メチルエステル、
・式:R14-O-(CH-CHO)-OSOH[式中、R14は好ましくは直鎖C8〜30アルキル基であり、x=0または1〜12である]で示される、アルキルスルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルスルフェート、
・界面活性ヒドロキシルスルホネートの混合物、
・スルフェート化ヒドロキシアルキルポリエチレングリコールエーテルおよび/またはヒドロキシアルキレンプロピレングリコールエーテル、
・8〜24個の炭素原子および1〜6個の二重結合を含有する不飽和脂肪酸のスルホネート、
・C8〜22脂肪アルコールへの約2〜15個のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド分子の付加生成物の典型である、酒石酸およびクエン酸とアルコールとのエステル、
・式(E1−I):
【化18】

[式中、R14は好ましくはC8〜30脂肪族炭化水素基を表し、R15は水素、(CHCHO)16基またはXを表し、hは1〜10の数であり、Xは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはNR17181920であり、R17〜R19は、互いに独立して、C〜C炭化水素基を表す]
で示されるアルキルおよび/またはアルケニルエーテルホスフェート、
・式(E1−II):
20CO(AlkO)SOM (E1−II)
[式中、R20CO−は、直鎖または分岐、脂肪族、飽和および/または不飽和C6〜22アシル基を表し、Alkは、CHCH、CHCHCHおよび/またはCHCHCHを表し、nは0.5〜5の数を表し、Mはカチオンを表す]
で示される硫酸化脂肪酸アルキレングリコールエステル、
・式(E1−III):
【化19】

[式中、R21COは直鎖または分岐C6〜22アシル基を表し、x、yおよびiの和は0であるか、または1〜30、好ましくは2〜10の数を表し、Xはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す]
で示されるモノグリセリドスルフェートおよびモノグリセリドエーテルスルフェート(本発明において、適当なモノグリセリド(エーテル)スルフェートの典型例は、ラウリン酸モノグリセリド、ココ脂肪酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリドおよび獣脂脂肪酸モノグリセリド並びにそれらのエチレンオキシド付加生成物とナトリウム塩としての三酸化硫黄またはクロロスルホン酸との反応生成物である。R21COが直鎖C8〜18アシル基を表す、式(E1−III)で示されるモノグリセリドスルフェートを使用することが好ましい。)、
・アミドエーテルカルボン酸、
・アルブミン脂肪酸縮合物として当業者に知られている、C〜C30脂肪アルコールとタンパク質水解物および/またはアミノ酸並びにそれらの誘導体との縮合生成物、例えば、Lamepon(登録商標)型、Gluadin(登録商標)型、Hostapon(登録商標) KCGまたはAmisoft(登録商標)型。
【0091】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル基中に10〜18個の炭素原子を含有し、分子中に12個までのグリコールエーテル基を含有するアルキルスルフェート、アルキルポリグリコールエーテルスルフェートおよびエーテルカルボン酸、アルキル基中に8〜18個の炭素原子を含有するスルホコハク酸モノアルキルエステルおよびスルホコハク酸ジアルキルエステル、アルキル基中に8〜18個の炭素原子を含有し、1〜6個のオキシエチレン基を含有するスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル、モノグリセリンジスルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルケニルエーテルホスフェート、並びにアルブミン脂肪酸縮合物である。
【0092】
本発明によれば、第四級アンモニウム化合物、エステルクォートおよびアミドアミンのタイプのカチオン性界面活性剤が好ましい。好適な第四級アンモニウム化合物は、ハロゲン化アンモウム、特に塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウム、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例として、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよびトリセチルメチルアンモニウムクロリド、並びにQuaternium-27およびQuaternium-83のINCI名で知られているイミダゾリニウム化合物である。前記界面活性剤の長いアルキル鎖は、好ましくは10〜18個の炭素原子を含有する。
【0093】
エステルクォートは、既知の化合物であり、構造要素として少なくとも1個のエステル官能基と第四級アンモニウム基の両方を含有する。好ましいエステルクォートは、トリエタノールアミンによる脂肪酸の四級化エステル塩、ジエタノールアルキルアミンによる脂肪酸の四級化エステル塩、および1,2−ジヒドロキシプロピルジアルキルアミンによる脂肪酸の四級化エステル塩である。そのような製品は、例えば、Stepantex(登録商標)、Dehyquart(登録商標)およびArmocare(登録商標)の商品名で市販されている。製品Armocare(登録商標) VGH-70、N,N−ビス(2−パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド、並びにDehyquart(登録商標) F-75、Dehyquart(登録商標) C-4046、Dehyquart(登録商標) L80およびDehyquart(登録商標) AU 35は、そのようなエステルクォートの例である。
【0094】
アルキルアミドアミンは通常、ジアルキルアミノアミンによる天然または合成脂肪酸および脂肪酸画分のアミド化によって調製される。本発明によれば、この物質群からの特に適当な化合物は、Tegamid(登録商標) S18の名称で商業的に入手可能なステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0095】
カチオン性界面活性剤に加えてまたは代えて、処理剤は、更なる界面活性剤または乳化剤を含むことができる。基本的に、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤のいずれも、そしてあらゆる種類の既知の乳化剤も適している。両性界面活性剤の群は、双性イオン性界面活性剤および両性界面活性剤を包含する。界面活性剤は、既に乳化作用を有することがある。
【0096】
双性イオン性界面活性剤は、分子内に少なくとも1個の第四級アンモニウム基および少なくとも1個の−COO(−)基または−SO(−)基を含有する界面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例として、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン(アルキル基またはアシル基の各々に8〜18個の炭素原子を含有するもの)、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られている脂肪酸アミド誘導体である。
【0097】
両性界面活性剤は、分子内に、C8〜24アルキル基またはアシル基の他に、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の−COOH基または−SOH基を含有し、内部塩を形成できる界面活性化合物を包含すると理解される。適当な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(それぞれ、アルキル基中に約8〜24個の炭素原子を含有するもの)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12−C18アシルサルコシンである。
【0098】
非イオン性界面活性剤は、親水性基として、例えば、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基、またはポリオールエーテル基とポリグリコールエーテル基との組み合わせを含有する。このタイプの化合物の例は、以下である:
・直鎖および分岐C8〜30脂肪アルコールへの、C8〜30脂肪酸への並びにアルキル基中に8〜15個の炭素原子を含有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜50molおよび/またはプロピレンオキシド1〜5mol付加生成物、
・直鎖および分岐C8〜30脂肪アルコールへの、C8〜30脂肪酸への並びにアルキル基中に8〜15個の炭素原子を含有するアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜50molおよび/またはプロピレンオキシド1〜5mol付加生成物であって、メチルまたはC2〜6アルキル基末端ブロックト付加生成物、例えば、市販品Dehydol(登録商標) LS、Dehydol(登録商標) LT(Cognis)、
・グリセリンへのエチレンオキシド1〜30mol付加生成物のC12〜C30脂肪酸モノエステルおよびジエステル、
・ひまし油および水素化ひまし油への、エチレンオキシド5〜60mol付加生成物、
・脂肪酸のポリオールエステル、例えば、市販品Hydagen(登録商標) HSP(Cognis)またはSovermolタイプ(Cognis)、
・アルコキシル化トリグリセリド、
・式(E4−I):
22CO-(OCHCHR23)OR24 (E4−I)
[式中、R22COは直鎖または分岐、飽和および/または不飽和C6〜22アシル基を表し、R23は水素またはメチルを表し、R24は直鎖または分岐C1〜4アルキル基を表し、wは1〜20の数を表す]
で示されるアルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、
・アミンオキシド、
・ヒドロキシ混合エーテル、
・脂肪酸ソルビトールエステル、および脂肪酸ソルビトールエステルへのエチレンオキシド付加生成物、例えばポリソルベート、
・脂肪酸糖エステル、および脂肪酸糖エステルへのエチレンオキシド付加生成物、
・脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪アミンへの、エチレンオキシド付加生成物、
【0099】
・式(E4−II):
25O[G] (E4−II)
[式中、R25はC4〜22アルキルまたはアルケニル基を表し、Gは5または6個の炭素原子を含有する糖基を表し、pは1〜10個の数を表す]
で示される、アルキルおよびアルケニルオリゴグリコシドの糖界面活性剤(糖界面活性剤は、従来の有機化学の適当な方法に従って得ることができる。アルキルおよびアルケニルオリゴグリコシドは、5または6個の炭素原子を含有するアルドースまたはケトースから、好ましくはグルコースから誘導することができる。従って、好適なアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドは、アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグルコシドである。
【0100】
一般式(E4−II)中の添え字pは、オリゴマー化度(DP)、すなわちモノおよびオリゴグリコシドの分布を示し、1〜10の数を表す。個々の分子において、pは常に整数でなければならず、特にP=1〜6の値をとり得るが、特定のアルキルオリゴグリコシドについての値pは、ほとんどの場合端数の、分析によって決定される計算値である。1.1〜3.0の平均オリゴマー化度pを有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドを使用することが好ましい。工業的観点から、1.7未満、とりわけ1.2〜1.4のオリゴマー化度を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドが好ましい。
【0101】
アルキルまたはアルケニル基R25は、4〜11個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含有する第一級アルコールから誘導することができる。典型的な例は、ブタノール、カプロンアルコール、カプリルアルコール、カプリンアルコールおよびウンデシルアルコール並びにそれらの工業用混合物、例えば、工業用脂肪酸メチルエステルの水素化によってまたはローレンのオキソ合成からのアルデヒドの水素化において得られる工業用混合物である。鎖長C〜C10のアルキルオリゴグルコシド(DP=1〜3)が好ましく、それらは、工業用C〜C18ココ脂肪アルコールの分留において低沸点留分として生じ、6重量%未満の留分のC12アルコールと、工業用C9/11オキソアルコールに基づくアルキルオリゴグルコシド(DP=1〜3)とで汚染されている場合がある。
【0102】
アルキルまたはアルケニル基R25は更に、12〜22個、好ましくは12〜14個の炭素原子を含有する第一級アルコールから誘導することもできる。典型的な例は、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコールおよび前記したように得られるそれらの工業用混合物である。1〜3のDPを有する水素化C12/14ココアルコールベースアルキルオリゴグルコシドが好ましい。)、
・脂肪酸N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミドの糖界面活性剤、式(E4−III):
【化20】

[式中、R26COはC6〜22脂肪族アシル基を表し、R27は水素、1〜4個の炭素原子を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基を表し、[Z]は3〜12個の炭素原子および3〜10個のヒドロキシル基を含有する直鎖または分岐ポリヒドロキシアルキル基を表す]
で示される非イオン性界面活性剤(脂肪酸N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミドは、既知の物質であり、アンモニア、アルキルアミンまたはアルカノールアミンによる還元糖の還元アミノ化および続く脂肪酸、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸塩化物によるアシル化によって通常得られる。脂肪酸N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミドは、有利には、5または6個の炭素原子を含有する還元糖から、特にグルコースから誘導される。従って、脂肪酸N−アルキルグルカミドは、式(E4−IV):
28CO-NR29-CH-(CHOH)CHOH (E4−IV)
で示される脂肪酸N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミドを表す。
【0103】
式(E4−IV)で示されるグルカミドを、脂肪酸N−アルキルポリヒドロキシアルキルアミドとして使用することが好ましい。式中、R29は水素またはアルキル基を表し、R28COはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルモレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸またはそれらの工業用混合物のアシル基を表す。メチルアミンによるグルコースの還元的アミノ化および続くラウリン酸またはC12/14ココ脂肪酸または対応する誘導体によるアシル化によって得られた、式(E4−IV)で示される脂肪酸N−アルキルグルカミドが特に好ましい。加えて、ポリヒドロキシアルキルアミドは、マルトースおよびパラチノースから誘導することもできる。)。
【0104】
脂肪アルコールまたは脂肪酸1molあたりエチレンオキシド2〜30molをそれぞれ有する、飽和直鎖脂肪アルコールおよび脂肪酸へのアルキレンオキシド付加生成物が、好ましい非イオン性界面活性剤であることが知られている。処理剤が、エトキシル化グリセリンの脂肪酸エステルを非イオン性界面活性剤として含んでなる場合も、優れた特性を有する処理剤が得られる。
【0105】
これらの化合物は、以下のパラメーターを特徴とする。アルキル基は、6〜22個の炭素原子を含有し、直鎖および分岐のいずれかであり得る。第一級直鎖脂肪族基、および2位がメチル分岐された脂肪族基が好ましい。そのようなアルキル基は、例えば、1−オクチル、1−デシル、1−ラウリル、1−ミリスチル、1−セチルおよび1−ステアリルである。1−オクチル、1−デシル、1−ラウリル、1−ミリスチルが特に好ましい。出発物質としていわゆる「オキソアルコール」を使用すると、アルキル鎖中に奇数個の炭素原子を含有する化合物が優勢になる。
【0106】
糖界面活性剤を、非イオン性界面活性剤として含むこともできる。界面活性剤として使用されるアルキル基含有化合物については、糖界面活性剤はそれぞれ純物質であり得る。しかしながら、糖界面活性剤を製造するために植物性または動物性天然原料から出発することが通常好ましい。その結果、各原料に依存した異なったアルキル鎖長を有する物質混合物が得られる。脂肪アルコールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加生成物或いはそれら付加生成物の誘導体で代表される界面活性剤については、「通常の」同族体分布を有する付加生成物および狭い同族体分布を有する付加生成物の両方を使用してよい。用語「通常の」同族体分布とは、触媒としてアルカリ金属、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを用いた脂肪アルコールおよびアルキレンオキシドの反応から得られた同族体混合物を意味すると理解される。一方、狭い同族体分布は、例えば、ハイドロタルサイト、エーテルカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属オキシド、ヒドロキシドまたはアルコキシドを触媒として用いた場合に得られる。狭い同族体分布を有する付加生成物を使用することが好ましいことがある。
【0107】
本発明の布地処理剤または表面処理剤における界面活性剤の量は、提案される用途に大きく依存し、処理剤の総重量にそれぞれ基づいて、好ましくは0.5〜50重量%の範囲、特に好ましくは0.5〜35重量%の範囲、とりわけ好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0108】
また、本発明の布地処理剤または表面処理剤は、好ましくは心地よいおよび/または爽やかな芳香印象を処理剤に付与する、少なくとも1種の香料を含むことができる。この少なくとも1種の香料は、制限されない。例えば、個々の芳香性化合物、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、炭化水素、酸、カルボン酸エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、飽和および/または不飽和炭化水素の合成品または天然品、およびそれらの混合物のいずれも、少なくとも1種の香料として使用することができる。
【0109】
香料アルデヒドまたは香料ケトンとして、好ましい香りを生ずるために典型的に使用される、通常の香料アルデヒドおよび香料ケトンの全てを使用することができる。適当な香料アルデヒドおよび香料ケトンは一般に、当業者に知られている。本発明の布地処理剤または表面処理剤における少なくとも1種の香料の総量は、処理剤の総量に基づいて、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%、とりわけ好ましくは0.5〜2重量%である。
【0110】
魅力的な芳香ノートを一緒に生じる(先に記載した種々の香料からの)種々の香料の混合物を使用することが好ましい。この場合、少なくとも1種の香料の総量は、組成物の総量に基づいた、混合物中の全香料の量である。
【0111】
本発明の好ましい発展形では、布地処理剤または表面処理剤は、例えば布地の前処理および布地の後処理および布地の洗濯に使用することができる布地処理剤に関する。布地処理剤は、個人分野および繊維産業界のいずれにおいても使用することができ、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、長期的な布地処理および一時的な布地処理のいずれにも使用することができる。
【0112】
本発明の最も好ましい態様では、前記布地処理剤は、洗剤、布地柔軟剤、柔軟洗剤または洗浄助剤であり、これらの処理剤は、既に記載した成分に加えて、更なる成分(例えば、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、酵素、電解質、非水溶媒、pH調整剤、香料キャリヤー、蛍光剤、着色剤、ヒドロトロープ、抑泡剤、シリコーン油、再沈着防止剤、蛍光増白剤、グレーイング阻害剤、抗菌剤、殺菌剤、殺真菌剤、酸化防止剤、防腐剤、腐蝕防止剤、耐電防止剤、苦味剤、アイロン助剤、撥水剤、含浸剤、膨潤剤、滑り止め剤、中性フィラー塩および紫外線吸収剤)を含んでなることもできる。
【0113】
本発明の一態様はまた、少なくとも1つの表面を本発明の少なくとも1種のベンゾオキサジン(コ)ポリマーで処理する、表面の処理および/または被覆方法である。
【0114】
本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、好ましくは、水溶液、水性分散体または水性エマルションとして当該表面に付着させる。特に、処理剤の総量に基づいて、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の含水量を有する、水溶液、水性分散体または水性エマルションが好適である。同様に、処理剤の総量に基づいて、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%のアルコール含量を有する、アルコール系の溶液、分散体またはエマルションも好ましい。好ましいアルコールは特に、エタノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物から選択される。また、上記した溶液、分散体またはエマルションは、水と水混和性アルコールの混合物、例えば、水/エタノール混合物および水/プロパノール混合物を含むこともできる。
【0115】
本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーでのまたは本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーを含有する処理剤での処理によって、様々な表面に、様々な特性を付与することができる。
【0116】
これに関して、好ましい表面は、炭素繊維、硬質表面および布地表面から選択される。
【0117】
炭素繊維は、とりわけ、繊維強化複合材の製造に使用される。繊維強化複合材は一般に、少なくとも2種の成分の混合材料からなる。繊維強化複合材は、樹脂成分に加えて、例えば一方向繊維およびウェブまたは短繊維からなり得る炭素繊維成分を含有する。添加樹脂成分と組み合わされた炭素繊維成分が、複合材に高強度を付与するので、繊維強化複合材は、構造材料特性の要求が高い応用分野(例えば航空機製造または自動車製造)において複合材として使用される。工業規模で高品質かつ安定な繊維強化複合材を製造するには、含浸工程において、数千のフィラメントからなる多くの炭素束を当該マトリックス樹脂で容易かつ完全に湿潤させなければならない。しかしながら、炭素繊維は低延性で脆いので、機械的摩擦の故にほつれやすくなり、使用したマトリックス樹脂に対して低い湿潤性をしばしば示す。このことを改善するために、繊維強化複合材用強化材として使用される炭素繊維は通常、サイズ剤で前処理される。
【0118】
例えば水溶液、水性エマルションまたは水性分散体としての、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーで処理された炭素繊維は、繊維強化複合材の製造工程における向上した取扱い性を特徴とする。更に、処理済み炭素繊維は、マトリックス樹脂による向上した湿潤性を示す。炭素繊維の湿潤性は特に、ベンゾオキサジンベース樹脂系について向上する。従って、本発明の別の態様は、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの、サイズ剤として、特に炭素繊維用サイズ剤としての使用である。本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーはまた、布地繊維または布地のためのサイズ剤として使用することもできる。
【0119】
本発明では、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーで処理される硬質表面は、特に好ましくは、磁器、ガラス、セラミック、プラスチックおよび/または金属から選択される。
【0120】
このように処理された表面は、向上した耐蝕性を有する。従って、本発明の別の態様は、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの、防蝕剤としての使用である。
【0121】
本発明では、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーで処理される布地表面または硬質表面は、布地からまたは前記硬質表面から選択することができる。
【0122】
特に好ましい布地表面は、ウール、シルク、麻、綿、リネン、サイザル、ラミー、レーヨン、セルロースエステル、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリアミド、ビスコースまたはポリエステル或いはそれらの混紡物で作られた布地である。本発明では、綿または混紡綿で作られた布地表面がとりわけ好ましい。
【0123】
このように処理された布地または硬質表面は、減少した汚れ再沈着性および向上した汚れ除去性を特徴とする。従って、本発明の別の態様は、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの、布地または硬質表面からの汚れ除去性をおよび/または布地または硬質表面への汚れ再沈着性を改善するための使用である。
【0124】
本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーで硬質表面を処理した後、この表面は、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの特定の化学構造の故に、未処理表面に比べ、有害微生物により汚染され難い。従って、本発明の別の態様は、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの、表面の被覆のための、特に表面の抗菌性被覆のための使用である。
【実施例】
【0125】
1. 本発明の重合性ベンゾオキサジン化合物の調製
式(B−Box−I):
【化21】

で示される種々の重合性ベンゾオキサジン化合物の調製を以下に記載する。
【0126】
1.1 Jeffamin M2070(PO/EO 10/31)を使用した重合性ベンゾオキサジン化合物の調製;表示(B−Box−I−1.1)
出発物質:9.38gのパラホルムアルデヒド(96%濃度) 0.30mol
50ml酢酸エチル中
309.9gのJeffamin M2070(Huntsman) 0.15mol
200ml酢酸エチル中
16.22gのp−クレゾール 0.15mol
50ml酢酸エチル中
【0127】
酢酸エチルに溶解されたp−クレゾールを、パラホルムアルデヒドの酢酸エチル中溶液に、10分間にわたって滴加した。次いで、Jeffamin M2070を30分間にわたって添加し、温度は10℃以下に維持した。10分間撹拌した後、反応混合物を還流しながら6時間加熱した。冷却後、反応混合物を濾過し、生成水と共に溶媒を真空下で除去した。対応する重合性ベンゾオキサジン化合物318.90gを得た。
【0128】
1.2 Jeffamin M1000(PO/EO 3/19)を使用した重合性ベンゾオキサジン化合物の調製;表示(B−Box−I−1.2)
出発物質:18.7gのパラホルムアルデヒド(96%濃度) 0.60mol
50ml酢酸エチル中
312.9gのJeffamin M1000(Huntsman) 0.30mol
250ml酢酸エチル中
32.44gのp−クレゾール 0.30mol
60ml酢酸エチル中
【0129】
酢酸エチルに溶解されたp−クレゾールを、パラホルムアルデヒドの酢酸エチル中溶液に、10分間にわたって滴加した。次いで、Jeffamin M1000を30分間にわたって添加し、温度は10℃以下に維持した。10分間撹拌した後、反応混合物を還流しながら6時間加熱した。冷却後、反応混合物を濾過し、生成水と共に溶媒を真空下で除去した。対応する重合性ベンゾオキサジン化合物352.57gを得た。
【0130】
1.2 N−(3−アミノプロピル)イミダゾールを使用した別の重合性ベンゾオキサジン化合物の調製
式(B−Box−II):
【化22】

で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の調製を以下に記載する。
出発物質:78.20gのパラホルムアルデヒド(96%濃度) 2.50mol
100ml酢酸エチル中
157.5gのN−(3−アミノプロピル)イミダゾール(Lupragen API,
BASF SE) 1.25mol
10ml酢酸エチル中
135.17gのp−クレゾール 1.25mol
100ml酢酸エチル中
【0131】
酢酸エチルに溶解されたp−クレゾールを、パラホルムアルデヒドの酢酸エチル中溶液に、10分間にわたって滴加した。次いで、Lupragen APIを30分間にわたって添加し、温度は10℃以下に維持した。10分間撹拌した後、反応混合物を還流しながら6時間加熱した。冷却後、反応混合物を濾過し、生成水と共に溶媒を真空下で除去した。対応する重合性ベンゾオキサジン化合物322.74gを得た。
【0132】
1.3 エタノールアミンを使用した別の重合性ベンゾオキサジン化合物の調製
式(B−Box−III):
【化23】

で示される重合性ベンゾオキサジン化合物の調製を以下に記載する。
出発物質:106.35gのパラホルムアルデヒド(96%濃度) 3.40mol
100ml酢酸エチル中
103.87gのエタノールアミン 1.70mol
30ml酢酸エチル中
183.84gのp−クレゾール 1.70mol
80ml酢酸エチル中
【0133】
酢酸エチルに溶解されたp−クレゾールを、パラホルムアルデヒドの酢酸エチル中溶液に、10分間にわたって滴加した。次いで、エタノールアミンを30分間にわたって添加し、温度は10℃以下に維持した。10分間撹拌した後、反応混合物を還流しながら6時間加熱した。冷却後、反応混合物を濾過し、生成水と共に溶媒を真空下で除去した。対応する重合性ベンゾオキサジン化合物328.6gを得た。
【0134】
2. ベンゾオキサジン(コ)ポリマーの調製のための重合
先に記載した重合性ベンゾオキサジン化合物を、空気循環乾燥炉内で、型にいれて、混合物としてまたは単独で、180℃で2時間熱硬化させた。次いで、試料を型から取り出し、室温まで冷却した。このようにして、ベンゾオキサジン(コ)ポリマーを、表1に示した組成で調製した。
【0135】
【表1】

【0136】
3. ベンゾオキサジン(コ)ポリマーの溶解挙動
真空下で乾燥したベンゾオキサジン(コ)ポリマーの少なくとも0.1gを、水(pH=7)の最大9.9gと一緒に、25ml容のねじ口バイアルに量り取った。次いで、混合物を70℃で少なくとも5分間撹拌し(マグネットスターラー)、その後、22℃で更に45分間撹拌した。これらの条件下、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマーは、水に濁りを生じずに、水1000gあたり少なくとも10g溶解した。
【0137】
個々のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの溶解性を表2に示す。
【表2】

【0138】
表2に示されているように、上記条件下、本発明ではないベンゾオキサジン(コ)ポリマー3および4は、本発明のベンゾオキサジン(コ)ポリマー1、2、8、12および16より少ない水への溶解挙動を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、qは1〜4の整数であり、
nは2〜20,000の数であり、
各反復単位中のRは、互いに独立して、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜8アルキル基から選択され、
Zは、水素(q=1の場合)、アルキル(q=1の場合)、アルキレン(q=2〜4の場合)、カルボニル(q=2の場合)、酸素(q=2の場合)、硫黄(q=2の場合)、スルホキシド(q=2の場合)、スルホン(q=2の場合)および直接共有結合(q=2の場合)から選択され、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表し、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を形成する二価基であり、
Yは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基、1個以上のヘテロ原子を場合により含有してよい脂環式基、1個以上のヘテロ原子を場合により含有してよいアルキル基および−(C=O)R〔ここで、Rは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基およびX−R(ここで、Xは、S、OおよびNHから選択され、Rは、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキル基から選択される)から選択される〕から選択される]
で示される重合性ベンゾオキサジン化合物。
【請求項2】
式(I)におけるRが、場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜15アルキレン基から選択され、アルキレン基が、酸素、硫黄または窒素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子によって場合により中断されていてよい、請求項1に記載の重合性ベンゾオキサジン化合物。
【請求項3】
式(I)におけるRが共有結合である、請求項1に記載の重合性ベンゾオキサジン化合物。
【請求項4】
式(I)における各反復単位中のRが、互いに独立して、水素またはメチルから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の重合性ベンゾオキサジン化合物。
【請求項5】
重合性ベンゾオキサジン化合物が、一般式(II):
【化2】

[式中、xは0〜1000の数であり、yは0〜1000の数であり、x+y≧2であり、Z、R、Yおよびqはそれぞれ請求項1に定義した通りである]
で示される化合物から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の重合性ベンゾオキサジン化合物。
【請求項6】
式(I)および/または式(II)におけるYがメチル基である、請求項1〜5のいずれかに記載の重合性ベンゾオキサジン化合物。
【請求項7】
重合性ベンゾオキサジン化合物が、20℃、pH=7で、水1000gあたり少なくとも10gの水への溶解度を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の重合性ベンゾオキサジン化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種を含有する、重合状態のベンゾオキサジン(コ)ポリマー。
【請求項9】
一般式(III):
【化3】

[式中、cは1〜4の整数であり、
Bは、水素(c=1の場合)、アルキル(c=1の場合)、アルキレン(c=2〜4の場合)、カルボニル(c=2の場合)、酸素(c=2の場合)、硫黄(c=2の場合)、スルホキシド(c=2の場合)、スルホン(c=2の場合)および直接共有結合(c=2の場合)から選択され、
Aは、ヒドロキシル基または窒素含有複素環であり、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、ベンゾオキサジン構造から対応するナフトオキサジン構造を形成する二価基であり、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表す]
で示される化合物から選択される更なるベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種を含有する、請求項8に記載の重合状態のベンゾオキサジン(コ)ポリマー。
【請求項10】
500〜100,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項8または9に記載のベンゾオキサジン(コ)ポリマー。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種および/または請求項8〜10のいずれかに記載のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの少なくとも1種を含んでなる、水性組成物。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれかに記載の重合性ベンゾオキサジン化合物の少なくとも1種および/または請求項8〜10のいずれかに記載のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの少なくとも1種を含んでなる、洗剤および洗浄剤。
【請求項13】
一般式(IV):
【化4】

[式中、qは1〜4の整数であり、
Zは、アルキレン(q=2〜4の場合)、カルボニル(q=2の場合)、酸素(q=2の場合)、硫黄(q=2の場合)、スルホキシド(q=2の場合)、スルホン(q=2の場合)および直接共有結合(q=2の場合)から選択され、
は、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択されるか、またはRは、フェノール構造から対応するナフトール構造を形成する二価基である]
で示されるフェノール化合物の少なくとも1種を、一般式(V):
N-R-(CH(R)-CH-O)Y 式(V)
[式中、nは2〜20,000の数であり、
各反復単位中のRは、互いに独立して、水素、或いは場合により置換されていてよい直鎖または分岐C1〜8アルキル基から選択され、
は、共有結合またはC1〜100二価連結基を表し、
Yは、非分岐C1〜15脂肪族基、分岐C1〜15脂肪族基、脂環式基、1個以上のヘテロ原子を含有する脂環式基、アリール基、1個以上のヘテロ原子を含有するアリール基および−(C=O)R〔ここで、Rは、非分岐C1〜15脂肪族基、分岐C1〜15脂肪族基およびX−R(ここで、Xは、S、OおよびNHから選択され、Rは、非分岐C1〜12脂肪族基および分岐C1〜12脂肪族基から選択される)から選択される〕から選択される]
で示される第一級アミンの少なくとも1種により、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒド放出化合物の存在下で処理する工程
を含む、ベンゾオキサジン化合物の製造方法。
【請求項14】
少なくとも1つの表面を、請求項8〜10のいずれかに記載のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの少なくとも1種により処理する、表面の処理および/または被覆方法。
【請求項15】
界面活性剤としての、特に非イオン性界面活性剤としての、請求項1〜7のいずれかに記載のベンゾオキサジン化合物の使用。
【請求項16】
繊維用サイズ剤、被覆剤としての、例えば抗菌性被覆剤としての、防蝕剤としての、および/または布地もしくは硬質表面からの汚れ除去を改善するためおよび/または布地もしくは硬質表面への汚れ再沈着を少なくするための、請求項8〜10のいずれかに記載のベンゾオキサジン(コ)ポリマーの使用。

【公表番号】特表2012−526874(P2012−526874A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510217(P2012−510217)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056180
【国際公開番号】WO2010/130627
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】