説明

界面活性剤及びこれを含有してなる水性コーティング液

【課題】コーティング液用の界面活性剤の提供。
【解決手段】式1のオルガノポリシロキサンを含有する界面活性剤を用いる


Rは炭化水素基、jは0、1〜20、kは1〜10、Xは式2〜3の有機基


Qは非還元性の二又は三糖類の残基、OAはオキシアルキレン基、Gは3−ヒドロキシ−1−オキサブチレン基{-O-CHCH(OH)CH-}又は3−ヒドロキシメチル−1−オキサプロピレン基{-O-CHCH(CHOH)-}、Yは有機基、nは1〜40、mは2〜4。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤及びこれを含有してなる水性コーティング液(水性塗料、紙塗工用塗料及び水性インキ等)に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング液(塗料等)の塗膜欠損{クレーター、ハジキ及びピンホール等}を改善するため、静的表面張力を下げて濡れ性を改善する目的で、大量の界面活性剤が添加されていたが、耐水性が低下するという問題が生じる。そして、この問題を解決するため、少量の添加で静的表面張力を下げる界面活性剤{ハイドロジェンポリシロキサンのトリグリセリン変性体}が提案されている(特許文献1)。
また、コーティング液(塗料等)の塗工を高速化するために、動的表面張力を低下させる目的で、動的表面張力低下能{動的表面張力を十分に低下させる能力}を持つ界面活性剤が添加されている。そして、このような界面活性剤として、アセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(特許文献2)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−033005号公報
【特許文献2】特開2003−113397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の界面活性剤では、静的表面張力を下げることは可能であるが、動的表面張力低下能は不十分である。また、特許文献2に記載の界面活性剤では、動的表面張力は下げ得るが、静的表面張力低下能{静的表面張力を十分に低下させる能力}は不十分である。一方、これらの界面活性剤を併用すると、耐水性が低下するという問題が生じる。
本発明の目的は、コーティング液の高速塗工化及び塗膜欠損の改善の両方を満足し、かつ耐水性を低下させない界面活性剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に達した。
すなわち、本発明の界面活性剤の特徴は、一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを含有してなる点を要旨とする。
【0006】
【化1】


【0007】
一般式(1)において、Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基、Siはケイ素原子、Oは酸素原子、Xは一般式(2)又は(3)で表される有機基、jは0又は1〜20の整数、kは1〜10の整数を表す。
【0008】
【化2】


【0009】
一般式(2)、(3)において、Qは非還元性の二又は三糖類のm個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Gは3−ヒドロキシ−1−オキサブチレン基{-O-CHCH(OH)CH-}又は3−ヒドロキシメチル−1−オキサプロピレン基{-O-CHCH(CHOH)-}、Yは炭素数4〜40の有機基、nは1〜40の整数、mは2〜4の整数を表し、一般式(2)で表される有機基のOAの総数は10〜70の整数、一般式(3)で表される有機基のOAの総数は20〜120の整数である。
【0010】
また、本発明の界面活性剤の特徴は、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜70モル部と、アリルグリシジルエーテル(a3)0.8〜1.2モル部との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物で変性したオルガノポリシロキサン;及び/又は
(a1)2モル部と、(a2)20〜120モル部と、(a3)0.8〜1.2モル部と、炭素数10〜46のジグリシジルエーテル(a4)0.8〜1.2モル部との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物で変性したオルガノポリシロキサンを含有してなる点を要旨とする。
【0011】
また、本発明の界面活性剤の製造方法は、アミドの存在下、非還元性の二又は三糖類(a1)と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)とを反応させて化合物(a12)を得る工程(1)、
アミドの存在下、化合物(a12)と、アリルグリシジルエーテル(a3)及び/又はジグリシジルエーテル(a4)とを反応させてポリオキシアルキレン化合物を得る工程(2)、並びに
ポリオキシアルキレン化合物と、ハイドロジェンポリシロキサンとを反応させてオルガノポリシロキサンを得る工程(3)
を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の界面活性剤は、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能に著しく優れている。したがって、本発明の界面活性剤を用いると、コーティング液の高速塗工化及び塗膜欠損(クレータ、ハジキ及びピンホール等)の改善の両方を満足し、かつ、耐水性を低下させない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
炭素数1〜6の一価炭化水素基(R)としては、アルキル基、アルケニル基及びアリール基が含まれる。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル及びヘキシル等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル及びヘキセニル等が挙げられる。アリール基としては、フェニル及び4−クロロフェニル等が挙げられる。
【0014】
これらのうち、アルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル、エチル及びプロピル、特に好ましくはメチルである。複数個のRはすべて同じでもよく、また一部が異なってもよい。
【0015】
jは、0又は1〜20の整数を表すが、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜18である。これらの範囲であると、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0016】
kは、1〜10の整数を表し、2〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜6である。この範囲であると、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0017】
一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンのケイ素原子の総数は、4〜30の整数が好ましく、さらに好ましくは6〜30の整数、特に好ましくは7〜26の整数である。これらの範囲であると、静的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0018】
非還元性の二又は三糖類のm個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基(Q)を構成することができる二又は三糖類としては、蔗糖(サッカロース)、トレハロース、イソトレハロース、イソサッカロース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース及びプランテオース等が挙げられる。これらのうち、耐水性等の観点から、蔗糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース及びプランテオースが好ましく、さらに好ましくは蔗糖及びラフィノースであり、供給性及びコスト等の観点から、特に好ましくは蔗糖である。複数個のQはすべて同じでもよく、また一部が異なってもよい。
【0019】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合等が挙げられる。これらのうち、耐水性等の観点から、オキシプロピレン及びオキシブチレンが好ましい。また、n個のOAは、同じでも異なってもよく、また複数個の(OA)nは同じでも異なってもよい。なお、一般式(2)及び(3)において、(OA)の方向を一律にして記載してある{(OA)及び(AO)のように区別していない。}が、オキシアルキレン基(OA)の全ての酸素原子は炭素原子と共にエーテル結合を形成しているか、水素原子と共に水酸基を形成している。
【0020】
(OA)n内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合には制限ないが、ブロック状、又はブロック状とランダム状との組合せを含むことが好ましい。オキシエチレンを含む場合はその含有割合(モル%)は、形成される塗膜の耐水性の観点からオキシアルキレン基の全モル数に基づいて、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜18、特に好ましくは3〜16、最も好ましくは4〜15である。
【0021】
また、(OA)nにオキシエチレン基と、オキシプロピレン基又は/及びオキシブチレン基とを含む場合、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能の観点から、反応残基(Q)から離れた端部にオキシプロピレン又は/及びオキシブチレンが位置することが好ましい。すなわち、(OA)nにオキシエチレン基を含む場合、反応残基(Q)にオキシエチレン基が直接的に結合していることが好ましい。
【0022】
炭素数4〜40の有機基(Y)としては、ポリオキシアルキレン基、アルキレン基及び水酸基を有するアルキレン基が含まれる。
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン及びポリオキシプロピレン等が挙げられる。
アルキレン基としては、1,4−ブチレン及び1,6−ヘキシレン等が挙げられる。
水酸基を有するアルキレン基としては、ヒドロキシプロピレン及び2−エチル−2−ヒドロキシメチルプロピレン等が挙げられる。
【0023】
これらのうち、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能の観点等から、ポリオキシアルキレン基が好ましく、さらに好ましくはポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンである。
【0024】
nは、1〜40の整数、好ましくは3〜37の整数、さらに好ましくは7〜33の整数、特に好ましくは10〜30の整数である。この範囲であると、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能がさらに良好となる。複数個のnは異なっていても又は同じでも構わない。
【0025】
mは、2〜4の整数であり、たとえば、蔗糖の場合は3、トレハロースの場合は2、メレチトースの場合は4である。
【0026】
一般式(2)で表される有機基のOAの総数は、10〜70の整数が好ましく、さらに好ましくは20〜70の整数、特に好ましくは20〜60の整数、最も好ましくは20〜50の整数である。この範囲であると、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0027】
一般式(3)で表される有機基のOAの総数は、20〜120の整数が好ましく、さらに好ましくは20〜100の整数、特に好ましくは40〜100の整数、最も好ましくは40〜80の整数である。この範囲であると、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能がさらに良好となる。なお、炭素数4〜40の有機基(Y)がポリオキシアルキレン基である場合、このポリオキシアルキレン基に含まれるオキシアルキレン基は上記のOAの総数に加算されない。
【0028】
一般式(2)又は(3)で表される有機基としては、次の化学式で示される化合物等が挙げられる。なお、「P」はオキシプロピレン基、「E」はオキシエチレン基、「B」はオキシブチレン基、「Q」は蔗糖から3個の1級水酸基の水素原子を除いた反応残基、「Q」はトレハロースから2個の1級水酸基の水素原子を除いた反応残基、「Q」はメレチトースから4個の1級水酸基の水素原子を除いた反応残基、「G」は3−ヒドロキシ−1−オキサブチレン基{-O-CHCH(OH)CH-}又は3−ヒドロキシメチル−1−オキサプロピレン基{-O-CHCH(CHOH)-}、「/」はこの/の前後のオキシアルキレン同士がランダム状に結合していること{たとえば、P/Bはオキシプロピレン基4個とオキシブチレン基1個がランダム状に結合していること}を表す。
【0029】
【化3】


【0030】
【化4】


【0031】
【化5】


【0032】
【化6】


【0033】
【化7】


【0034】
【化8】


【0035】
【化9】


【0036】
これらのうち、化学式<5>、<6>、<7>、<8>、<9>、<10>、<18>、<19>、<20>、<21>又は<22>で表される有機基が好ましく、さらに好ましくは化学式<6>、<7>、<8>、<19>又は<20>で表される有機基である。
【0037】
有機基(X)が一般式(2)で表される有機基である場合、一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、非還元性の二又は三糖類(a1)と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)と、アリルグリシジルエーテル(a3)との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物(2)で変性したオルガノポリシロキサンが含まれる。
【0038】
有機基(X)が一般式(3)で表される有機基である場合、一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンは、非還元性の二又は三糖類(a1)と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)と、アリルグリシジルエーテル(a3)と、炭素数10〜46のジグリシジルエーテル(a4)との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物(3)で変性したオルガノポリシロキサンが含まれる。
【0039】
なお、これらの化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物は、nの数に分布を生じる場合があり、この場合、厳密には複数種類のポリオキシアルキレン化合物の混合物となる。なお、この場合でも製造方法を限定するものではない。
【0040】
非還元性の二又は三糖類(a1)、アルキレンオキシド(a2)、アリルグリシジルエーテル(a3)及びジグリシジルエーテル(a4)の使用量について説明する。
【0041】
ポリオキシアルキレン化合物(2)の場合、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部に対して、10〜70が好ましく、さらに好ましくは20〜70、特に好ましくは20〜60、最も好ましくは20〜50である。この範囲であると、動的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0042】
ポリオキシアルキレン化合物(3)の場合、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)2モル部に対して、20〜120が好ましく、さらに好ましくは20〜100、特に好ましくは40〜100、最も好ましくは40〜80である。この範囲であると、動的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0043】
ポリオキシアルキレン化合物(2)の場合、アリルグリシジルエーテル(a3)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部に対して、0.8〜1.2が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.1、特に好ましくは0.9〜1.1である。この範囲であると、形成される塗膜の耐水性及び動的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0044】
ポリオキシアルキレン化合物(3)の場合、アリルグリシジルエーテル(a3)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)2モル部に対して、0.8〜1.2が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.1、特に好ましくは0.9〜1.1である。この範囲であると、動的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0045】
ジグリリジルエーテル(a4)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)2モル部に対して、0.8〜1.2が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.1、特に好ましくは0.9〜1.1である。この範囲であると、動的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0046】
非還元性の二又は三糖類(a1)としては、一般式(2)、(3)における反応残基(Q)を構成することができる非還元性の二又は三糖類と同じものが使用でき、好ましい範囲も同じである。
【0047】
アルキレンオキシド(a2)としては、炭素数2〜4のアルキレンオキシド等が使用でき、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、塗膜の耐水性等の観点から、PO及びBOが好ましい。
【0048】
また、複数種類のアルキレンオキシドを用いる場合、反応させる順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び使用割合には制限ないが、ブロック状、又はブロック状とランダム状の組合せを含むことが好ましい。また、EOを含有する場合、EOの使用割合(モル%)は、形成される塗膜の耐水性の観点から、アルキレンオキシドの全モル数に基づいて、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜18、特に好ましくは3〜16、最も好ましくは4〜15である。
【0049】
EOと、PO又は/及びBOとを含む場合、動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能の観点から、非還元性の二又は三糖類(a1)へのEOの反応後にPO及び/又はBOを反応させることが好ましい。
【0050】
炭素数10〜46のジグリリジルエーテル(a4)は、一般式(3)で表される有機基のうち、-G-Y-G-を構成できる。そして、ジグリシジルエーテルとしては、ポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテル、アルカンジオールジグリシジルエーテル及びアルカンポリオール(アルカンジオールを除く。)ジグリシジルエーテルが含まれる。
【0051】
ポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテルとしては、ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルカンジオールジグリシジルエーテルとしては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル及び1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルカンポリオールジグリシジルエーテルとしては、グリセリンジグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0052】
これらのうち、形成される塗膜の耐水性及び動的表面張力低下能の観点から、ポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテルが好ましく、さらに好ましくはポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0053】
炭素数10〜46のジグリリジルエーテル(a4)は、市場から容易に入手でき、たとえば、商品シリーズ名として、グリシエール{三洋化成工業(株)の登録商標、三洋化成工業(株)製};エピオール{エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント(株)の登録商標、日本油脂(株)製};DEP{14BD−DEP、DEG−DEP、HD−DEP、四日市合成株式会社製};及びエポライト{三菱化学(株)の登録商標、共栄社化学(株)製}が挙げられる。
【0054】
ポリオキシアルキレン化合物(2)及びポリオキシアルキレン化合物(3)は、たとえば、まず非還元性の二又三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)とを反応させて得られる化合物(a12)を用いて、次のようにして得られる。
【0055】
(1)化合物(a12)とアリルグリシジルエーテル(a3)とを反応させ、反応生成物(a123){ポリオキシアルキレン化合物(2)}を得る。
【0056】
(2)化合物(a12)と、アリルグリシジルエーテル(a3)と、ジグリシジルエーテル(a4)とを反応させ、反応生成物(a1234){ポリオキシアルキレン化合物(3)}を得る。
【0057】
非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応(付加反応)には、公知の反応触媒(特開2004−224945号公報等)等が使用できる。なお、反応溶媒として以下に説明するアミドを用いる場合、反応触媒を用いる必要がない。反応触媒を使用する場合、その使用量(重量%)は、非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との合計重量に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.8、特に好ましくは0.05〜0.6である。この範囲であると、経済性(製造の所要時間及び触媒コスト等)及び生成物の純度(単分散性等)等がさらに良好となる。
【0058】
化合物(a12)とアリルグリシジルエーテル(a3)との反応、又は化合物(a12)とアリルグリシジルエーテル(a3)とジグリシジルエーテル(a4)との反応には、非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応と同じ反応触媒を用いることができる。したがって、非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応後、反応触媒を除去することなく引き続いて、化合物(a12)とアリルグリシジルエーテル(a3)との反応、又は化合物(a12)とアリルグリシジルエーテル(a3)とジグリシジルエーテル(a4)との反応を実施できる。
【0059】
反応触媒を使用する場合、反応触媒を反応生成物から除去することが好ましい。反応触媒の除去方法としては、アルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業(株)製合成アルミノシリケート}等を用いる方法(特開昭53−123499号公報等)、キシレン又はトルエン等の溶媒に溶かして水洗する方法(特公昭49−14359号公報等)、イオン交換樹脂を用いる方法(特開昭51−23211号公報等)及びアルカリ性触媒を炭酸ガスで中和して生じる炭酸塩を濾過する方法(特公昭52−33000号公報)等が挙げられる。反応触媒の除去の終点としては、JIS K1557−4:2007に記載されたCPR(Controlled Polymerization Rate)値が20以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは2以下であることである。
【0060】
反応には公知の反応容器(特開2004−224945号公報等)等が使用できる。反応雰囲気としては、アルキレンオキシド(a2)を反応系に導入する前に反応装置内を真空または乾燥した不活性気体(アルゴン、窒素及び二酸化炭素等)の雰囲気下とすることが好ましい。また、反応温度(℃)としては80〜150が好ましく、さらに好ましくは90〜130である。反応圧力(ゲージ圧:MPa、以下同じ)は0.8以下が好ましく、さらに好ましくは0.5以下である。反応終点の確認は、次の方法等により行うことができる。すなわち、反応温度を15分間一定に保ったとき、反応圧力の低下が0.001MPa以下となれば反応終点とする。所要反応時間は通常4〜12時間である。
【0061】
アルキレンオキシド(a2)の付加反応の工程、及び化合物(a12)とアリルグリシジルエーテル(a3)との反応、又は化合物(a12)とアリルグリシジルエーテル(a3)とジグリシジルエーテル(a4)との反応には、反応溶媒を用いることができる。反応溶媒としては、活性水素を持たないもので、好ましくは非還元性の二又は三糖類(a1)、アルキレンオキシド(a2)、化合物(a12)、ポリオキシアルキレン化合物を溶解するものが好ましい。
【0062】
このような反応溶媒としては、炭素数3〜8のアルキルアミド及び炭素数5〜7の複素環式アミド等が使用できる。アルキルアミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−プロピルアセトアミド及び2−ジメチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール等が挙げられる。複素環式アミドとしては、N−メチルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム及びN,N−ジメチルピロールカルボン酸アミド等が挙げられる。これらのうち、アルキルアミド及びN−メチルピロリドンが好ましく、さらに好ましくはDMF、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン、特に好ましくはDMF及びN−メチルピロリドン、最も好ましくはDMFである。
【0063】
反応溶媒を用いる場合、その使用量(重量%)は、化合物(a12)の重量に基づいて、20〜200が好ましく、さらに好ましくは40〜180、特に好ましくは60〜150である。
【0064】
反応溶媒を用いた場合、反応後に反応溶媒を除去することが好ましい。反応溶媒の除去方法としては、特開2005−132916号公報に記載の方法等が挙げられる。なお、このときポリオキシアルキレン化合物が褐色に着色することがあるが、過酸化水素等を用いて脱色してもよい。例えば有効成分30重量%の過酸化水素をポリオキシアルキレン化合物の重量に基づいて1〜5重量%添加し、60〜100℃、1〜6時間攪拌することで脱色ができる。
【0065】
このようにして得られるポリオキシアルキレン化合物(2)及びポリオキシアルキレン化合物(3)を用いて、ハイドロジェンポリシロキサンを変性することにより、一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンが得られる。なお、変性する場合、ポリオキシアルキレン化合物(2)又はポリオキシアルキレン化合物(3)のいずれか一方を用いてもよいし、両方を用いてもよい。
【0066】
ハイドロジェンポリシロキサンとしては、一般式(4)で表される化合物が含まれる。これらのハイドロジェンポリシロキサンは、次式で表される環状メチルハイドロジェンシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン{(CHSi-Si(CH}及び必要により環状ジメチルシロキサン{分子量222〜444}等を用いて、通常の方法で合成できる。なお、合成に際して、反応触媒{硫酸等の酸触媒やアルカリ金属等の塩基触媒等}を用いてもよい。
【0067】
【化10】


【0068】
Meはメチル基、Siはケイ素原子、Hは水素原子、Oは酸素原子、nは3〜6の整数を表す。
【0069】
ハイドロジェンポリシロキサンは、精製{50〜150℃、−0.095MPa以上の高真空下にて低分子量化合物をストリッピングする方法等}してから用いてもよいし、未精製のものであってもよいが、精製したものが好ましい。
【0070】
【化11】


【0071】
なお、Hは水素原子を表し、R、Si、O、j及びkは、一般式(1)に対応し、好ましい範囲も対応する。
【0072】
一般式(33)で表されるハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子の総数は、4〜30の整数が好ましく、さらに好ましくは6〜30の整数、特に好ましくは7〜26の整数である。これらの範囲であると、静的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0073】
ポリオキシアルキレン化合物(2)及び/又はポリオキシアルキレン化合物(3)で、ハイドロジェンポリシロキサンを変性する方法としては、一般式(33)のハイドロジェンポリシロキサンと、ポリオキシアルキレン化合物(2)及び/又はポリオキシアルキレン化合物(3)とを付加反応させる方法が含まれる{ハイドロジェンポリシロキサンの−SiH基とポリオキシアルキレン化合物(2)及び/又はポリオキシアルキレン化合物(3)のアルケニル基とがヒドロシリル化反応する。}。
【0074】
一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを得る場合、ポリオキシアルキレン化合物(2)及び/又はポリオキシアルキレン化合物(3)の使用量(モル){2つ使用する場合はこれらの合計量}は、ハイドロジェンポリシロキサン1モル当たり、0.5〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは2〜10である。これらの範囲であると、動的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0075】
付加反応には、触媒を用いてもよい。触媒としては、塩化白金酸(米国特許第2,823,218号)及びアルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号)等が含まれる。反応条件としては、例えば50〜100℃、1〜5時間等が挙げられる。
【0076】
また、付加反応には、ポリオキシアルキレン化合物(2)及び/又はポリオキシアルキレン化合物(3)と共に、不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加体を反応させてもよい。不飽和アルコールアルキレンオキシド付加体としては、アリルアルコールのアルキレンオキシド付加体等が含まれる。不飽和アルコールに付加させるアルキレンオキシドとしては、EO、PO及びBO等が挙げられる。これらのうち、EO及びEOとPO又はBOとの混合が好ましい。付加反応は、公知の方法(特開2004−224945号公報等)等が適用できる。アルキレンオキシドの付加モル数は、不飽和アルコール1モル当たり、5〜80が好ましく、さらに好ましくは7〜70、特に好ましくは10〜60である。
【0077】
不飽和アルコールアルキレンオキシド付加体を併用する場合、この使用量(モル)は、ハイドロジェンポリシロキサン1モル当たり、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3、特に好ましくは0.5〜1である。この範囲であると、静的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0078】
本発明の界面活性剤には、ポリオキシアルキレン化合物(2)、ポリオキシアルキレン化合物(3)及び/又は他のポリオキシアルキレン化合物(4)が含まれていても構わない。
【0079】
他のポリオキシアルキレン化合物(4)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物や、非還元性の二又は三糖類(a1)と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)と、ジグリシジルエーテル(a3)との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物等が含まれる。
【0080】
本発明の界面活性剤に、ポリオキシアルキレン化合物(2)、ポリオキシアルキレン化合物(3)及び/又は他のポリオキシアルキレン化合物(4)が含まれている場合、ポリオキシアルキレン化合物(2)、ポリオキシアルキレン化合物(3)及び他のポリオキシアルキレン化合物(4)の含有量(重量%){化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)の複数を含有する場合、これらの合計量}は、一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの重量に基づいて、2〜50が好ましく、さらに好ましくは5〜40、特に好ましくは10〜40、最も好ましくは10〜30である。この範囲であると、動的表面張力低下能がさらに良好となる。
【0081】
一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンの動粘度{cSt(mm/sec)、25℃}は、500〜3,500が好ましく、さらに好ましくは500〜2,400、特に好ましくは600〜2,400、最も好ましくは600〜2,100である。この範囲であると動的表面張力低下能及び静的表面張力低下能がさらに良好となる。なお、動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定される。
【0082】
本発明の界面活性剤には、他の添加剤{ポリオキシアルキレン化合物(4)、ポリオキシアルキレン化合物(5)及び他のポリオキシアルキレン化合物(6)以外の界面活性剤や溶剤等}が含まれていてもよい。他の添加剤としては、公知の界面活性剤{たとえば、商品名として、SNウエット123、125、970及び992等(サンノプコ株式会社);ライオノールTDL−30、50及び70等(ライオン株式会社);イオネットT−80C、S−80及びDO−600等(三洋化成工業株式会社);ソフタノール30、30S及びMES−5等(株式会社日本触媒);サーフィノール104、440及びエンバイルジェムAD01等(エアプロダクツ社);DAW−DC−67(ダウコーニングアジア社);SH−3771、SH−3771C、SH3746、SH3749(東レ・ダウコーニング社);並びにFZ−2162、FZ−2163、FZ−2104、L−7605、L−7607N、L−77(日本ユニカー社)}や公知の溶剤{希釈剤や反応溶剤等}等が含まれる。
【0083】
動的表面張力低下能とは、界面活性剤等を添加することにより、動的表面張力が低下することを意味する。動的表面張力とは、新たに界面が形成されてから10分の1秒(100ミリ秒、または10Hzとも表記する)程度の後に測定される表面張力のことである。通常の界面活性剤は動的表面張力低下能が低く、界面が新たに形成された場合、10分の1秒程度の経過では殆ど表面張力が低下しない(動的表面張力が低下しない。)。なお、動的表面張力の測定法としては、バブルプレッシャー法が一般的であり、例えばクルス社製のBP2バブルプレッシャー動的表面張力計等を用いて測定できる。
【0084】
本発明の界面活性剤の動的表面張力{mN/m、0.1重量%水溶液、25℃、界面寿命(泡寿命)20ミリ秒(50Hz)}は、32〜47を示し、さらに好ましくは32〜45、特に好ましくは32〜43、最も好ましくは32〜40を示す。
【0085】
本発明の界面活性剤の静的表面張力{mN/m、0.1重量%水溶液、25℃}は、21〜28を示し、さらに好ましくは21〜27.5、特に好ましくは21〜27、最も好ましくは21〜26.5を示す。
【0086】
本発明の界面活性剤は、水性コーティング液{界面活性剤、水、樹脂バインダー及び必要により着色剤を含有してなる。例えば、水性塗料、紙塗工塗料及び水性インキ等}用界面活性剤として適しており、高速塗工用水性コーティング液用界面活性剤として好適であり、特に、高速塗工用水性塗料(カーテンフローコート等)、高速塗工用紙塗工液、高速印刷用水性インキ又はバブルジェットインキ等用の界面活性剤として最適である。
【0087】
本発明の界面活性剤を水性コーティング液に用いた場合、塗膜欠損{クレーター、ハジキ及びピンホール等}を効果的に抑えることができる。また、水性コーティング液を高速塗工すると、高速塗工時における被塗布面へのなじみ、ぬれ性等を飛躍的に改善できるので、優れた塗工適性(ストリーク、ピンホール、はじき及びクレーター等の低減、並びに平滑性及び光沢性等の向上)を発揮する。また、本発明の界面活性剤は、塗膜本来の耐水性に悪影響を与えることがない。
【0088】
本発明の界面活性剤を水性コーティング液に適用する場合、本発明の界面活性剤は、水性コーティング液の製造工程のうち、顔料分散工程、レットダウン工程及び/又は各種調整剤(粘度調整剤、酸化防止剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、消泡剤、分散剤、保水剤及び流動特性改質剤等)の添加工程等に添加してもよく、原料樹脂エマルションに添加しておいてもよく、また製造後の水性コーティング液に添加してもよい。
【0089】
本発明の界面活性剤を水性コーティング液に適用する場合、本発明の界面活性剤の添加量(重量%)は、水性コーティング液(本発明の界面活性剤を含む。)の重量に基づいて、0.05〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜4、特に好ましくは0.15〜3、最も好ましくは0.2〜2である。
【0090】
本発明の界面活性剤を用いた水性コーティング液は、通常の方法により被塗装体に塗装又は印刷することができ、ハケ塗り、ローラー塗装、エアスプレー塗装、エアレス塗装、ロールコート塗装、カーテンフローコート塗装、グラビア印刷及びバブルジェット印刷等の塗装方法又は印刷方法等が適用できる。これらのうち、効果を発揮できるという観点から、カーテンフローコート塗装、グラビア印刷及びバブルジェット印刷が好適である。
【実施例】
【0091】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部、%は重量%を意味する。
【0092】
<製造例1>
攪拌、加熱、冷却、滴下、窒素による加圧及び真空ポンプによる減圧の可能な耐圧反応容器に、トレハロース{試薬特級、和光純薬工業(株)製}342部(1モル部)及びDMF{三菱ガス化学(株)製}1000部を投入した後、窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.4MPaになるまで加圧し0.02MPaになるまで排出する操作を3回繰り返した{以下、「窒素置換を行った」と略する。}。その後、攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてプロピレンオキシド(PO)464部(8モル部)及びブチレンオキシド(BO)144部(2モル部)の混合液を5時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続けて残存する(PO)等を反応させてDMFを含む粗反応液状物(S1)1950部を得た。
【0093】
次いで同温度にてアリルグリシジルエーテル{商品名:エピオールA、日本油脂(株)製}114部(1モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するアリルグリシジルエーテルを反応させた。次いで、DMFを減圧留去(120℃、−0.05〜−0.098MPa)し、トレハロース/(PO)8モル・(BO)2モル/アリルグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S101)を得た。
【0094】
<製造例2>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例1で得られたDMFを含む粗反応液状物(S1)3900部(2モル部)を仕込み、20℃にて窒素置換を実施した。次いで攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてアリルグリシジルエーテル114部(1モル部)及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル{四日市合成(株)製}202部(1モル部)の混合液を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するアリルグリシジルエーテル等を反応させた。次いで、DMFを減圧留去し、(S1)2モル/アリルグリシジルエーテル1モル/1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S102)を得た。
【0095】
<製造例3>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、精製グラニュー糖{台糖(株)製}342部(1モル部)及びDMF800部を投入した後、窒素置換を行った。その後、攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてプロピレンオキシド(PO)1160部(20モル部)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存する(PO)を反応させた。次いでDMFを減圧留去し、蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)を得た。
【0096】
ついで、製造例1と同様な耐圧反応容器に、蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)1502部(1モル部)及び水酸化カリウム1.7部(0.03モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま100℃にてアリルグリシジルエーテル114部(1モル部)を1時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するアリルグリシジルエーテルを反応させて粗反応液状物を得た。得られた粗反応液状物にイオン交換水20部を添加して、90℃まで加熱攪拌した後、キョーワード700{協和化学工業(株)製}100部を加え、同温度にて1時間攪拌し、次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙(株)製}を用いてキョーワード700を取り除き、さらに減圧下、120℃にて1時間脱水して{以下、キョーワード処理と略する。}、(S2)1モル/アリルグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S103)を得た。
【0097】
<製造例4>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)3004部(2モル部)及び水酸化カリウム1.7部(0.03モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま100℃にてアリルグリシジルエーテル114部(1モル部)及びグリシエールPP−300P{商品名、三洋化成工業(株)製、ポリオキシプロピレン(5モル)グリコールジグリシジルエーテル}420部(1モル部)の混合液を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するアリルグリシジルエーテル等を反応させて粗反応液状物を得た。得られた粗反応液状物をキョーワード処理して、蔗糖/(S2)2モル/アリルグリシジルエーテル1モル/ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S104)を得た。
【0098】
<製造例5>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)1502部(1モル部)及び水酸化カリウム{試薬特級、和光純薬工業(株)製、使用量は水分を除いた純分換算量で表示した}4.6部(0.08モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま110℃にて(PO)580部(10モル部)を6時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存する(PO)を反応させ、蔗糖/(PO)30モル付加物の粗反応液状物(S3)を得た。
【0099】
ついで、「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)1502部(1モル部)」を「蔗糖/(PO)30モル付加物の粗反応液状物(S3)2082部(1モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0モル部)」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、(S3)1モル/アリルグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S105)を得た。
【0100】
<製造例6>
「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)3004部(2モル部)」を「蔗糖/(PO)30モル付加物の粗反応液状物(S3)4164部(2モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0)モル部」に変更したこと以外、製造例4と同様にして、(S3)2モル/アリルグリシジルエーテル1モル/ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S106)を得た。
【0101】
<製造例7>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、蔗糖/(PO)20モル付加物の粗反応液状物(S2)1502部(1モル部)及び水酸化カリウム4.5部(0.08モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま100℃にて(PO)1160部(20モル部)を6時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存する(PO)を反応させ、蔗糖/(PO)40モル付加物の粗反応液状物(S4)を得た。
【0102】
ついで、「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)1502部(1モル部)」を「蔗糖/(PO)40モル付加物の粗反応液状物(S4)2662部(1モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0モル部)」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、(S4)1モル/アリルグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S107)を得た。
【0103】
<製造例8>
「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)3004部(2モル部)」を「蔗糖/(PO)40モル付加物の粗反応液状物(S4)2662部(1モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0)モル部」に変更したこと以外、製造例4と同様にして、(S4)2モル/アリルグリシジルエーテル1モル/ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S108)を得た。
【0104】
<製造例9>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、蔗糖/(PO)20モル付加物の粗反応液状物(S2)1502部(1モル部)及び水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま100℃にて(PO)1740部(30モル部)を6時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存する(PO)を反応させ、蔗糖/(PO)50モル付加物の粗反応液状物(S5)を得た。
【0105】
ついで、「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)1502部(1モル部)」を「蔗糖/(PO)50モル付加物の粗反応液状物(S5)3242部(1モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0モル部)」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、(S5)1モル/アリルグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S109)を得た。
【0106】
<製造例10>
「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)3004部(2モル部)」を「蔗糖/(PO)50モル付加物の粗反応液状物(S5)6484部(2モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0)モル部」に変更したこと以外、製造例4と同様にして、(S5)2モル/アリルグリシジルエーテル1モル/ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S110)を得た。
【0107】
<製造例11>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、蔗糖/(PO)30モル付加物の粗反応液状物(S3)2082部(1モル部)及び水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま100℃にて(PO)1740部(30モル部)を6時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存する(PO)を反応させ、蔗糖/(PO)60モル付加物の粗反応液状物(S6)を得た。
【0108】
ついで、 「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)1502部(1モル部)」を「蔗糖/(PO)60モル付加物の粗反応液状物(S6)3822部(1モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0モル部)」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、(S6)1モル/アリルグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S111)を得た。
【0109】
<製造例12>
「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)3004部(2モル部)」を「蔗糖/(PO)60モル付加物の粗反応液状物(S6)7644部(2モル部)」に変更したこと、「グリシエールPP−300P420部(1モル部)」を「ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル{エピオールE−400、オキシエチレンの繰り返し数約9、日本油脂(株)製}526部(1モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0)モル部」に変更したこと以外、製造例4と同様にして、(S6)2モル/アリルグリシジルエーテル1モル/ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S112)を得た。
【0110】
<製造例13>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、メレチトース{試薬特級、和光純薬工業(株)製}504部(1モル部)及びDMF1000部を投入した後、窒素置換を行った。その後、攪拌しつつ110℃まで昇温した後、この温度にてエチレンオキシド(EO)440部(10モル部)を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて0.5時間攪拌を続けて残存する(EO)を反応させた。次いでDMFを減圧留去した後、水酸化カリウム11.2部(0.2モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま100℃にて(PO)3480部(60モル部)を9時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存する(PO)を反応させ、メレチトース/(EO)10モル/(PO)60モル付加物の粗反応液状物(S7)を得た。
【0111】
ついで、 「蔗糖/(PO)20モル付加物(S2)1502部(1モル部)」を「メレチトース/(EO)10モル/(PO)60モル付加物の粗反応液状物(S7)4424部(1モル部)」に変更したこと、及び水酸化カリウムの使用量を「1.7部(0.03モル部)」から「0部(0モル部)」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、(S7)1モル/アリルグリシジルエーテル1モルが反応したポリオキシアルキレン化合物(S112)を得た。
【0112】
<製造例14>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール{試薬特級、和光純薬工業(株)製}59部(1モル部)及び水酸化カリウム1.1部(0.02モル部)を仕込み、液温15℃にて、ゲージ圧で0.1MPaになるまで窒素加圧した後、0.02MPaになるまで排出する操作を3回繰り返した。次いで100℃にて攪拌しつつ、EO660部(15モル部)及びPO290部(5モル部)の混合液を8時間かけて滴下し、さらに120℃にて2時間反応させた。次いでキョーワード処理して、アリルアルコール/EO15モル・PO5モルランダム付加体(AA1)を得た。
【0113】
<製造例15>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン{試薬特級、東京化成工業(株)製}1776部(6モル部)、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン{試薬特級、東京化成工業(株)製}360部(1.5モル部)、ヘキサメチルジシロキサン{試薬特級、東京化成工業(株)製}162部(1モル部)及び水酸化ナトリウム1部(0.025モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。
【0114】
次いで、約25℃に冷却し、蟻酸1.5部(0.025モル部)を仕込み0.5時間攪拌した後、減圧下、20℃/1時間の割合で昇温させ、140℃/−0.095MPaにてさらに2時間ストリッピングして{以下、中和・ストリッピングと略す。}、ハイドロジェンポリシロキサン(PS1)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS1)の動粘度は1200mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS1)が下記構造を有することを確認した{Meはメチル基を表し、他の記号は一般式(33)と同様である。以下同じ。}。
【0115】
【化12】


【0116】
<製造例16>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、テトラメチルテトラプロピルシクロテトラシロキサン{試薬特級、東京化成工業(株)製}2652部(6.5モル部)、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン720部(3モル部)、ヘキサメチルジシロキサン162部(1モル部)及び水酸化ナトリウム1部(0.025モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。次いで、約25℃に冷却し、中和・ストリッピングして、ハイドロジェンポリシロキサン(PS2)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS2)の動粘度は2400mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS2)が下記構造を有することを確認した。
【0117】
【化13】


【0118】
<製造例17>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン296部(1モル部)、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン240部(1モル部)、ヘキサメチルジシロキサン372.6部(2.3モル部)及び水酸化ナトリウム1部(0.025モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。次いで、約25℃に冷却し、中和・ストリッピングして、ハイドロジェンポリシロキサン(PS3)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS3)の動粘度は300mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS3)が下記構造を有することを確認した。
【0119】
【化14】


【0120】
<製造例18>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン360部(1.5モル部)、ヘキサメチルジシロキサン162部(1モル部)及び水酸化ナトリウム1部(0.025モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。次いで、約25℃に冷却し、中和・ストリッピングして、ハイドロジェンポリシロキサン(PS4)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS4)の動粘度は420mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS4)が下記構造を有することを確認した。
【0121】
【化15】


【0122】
<製造例19>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン296部(1モル部)、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン168部(0.7モル部)、ヘキサメチルジシロキサン48.6部(0.3モル部)及び水酸化ナトリウム0.3部(0.0075モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。次いで、約25℃に冷却し、中和・ストリッピングして、ハイドロジェンポリシロキサン(PS5)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS5)の動粘度は2200mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS5)が下記構造を有することを確認した。
【0123】
【化16】


【0124】
<製造例20>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン296部(1モル部)、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン120部(0.5モル部)、ヘキサメチルジシロキサン162部(0.7モル部)及び水酸化ナトリウム0.6部(0.015モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。次いで、約25℃に冷却し、中和・ストリッピングして、ハイドロジェンポリシロキサン(PS6)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS6)の動粘度は520mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS6)が下記構造を有することを確認した。
【0125】
【化17】


【0126】
<製造例21>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン{試薬特級、東京化成工業(株)製}548部(1モル部)、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン120部(0.5モル部)、ヘキサメチルジシロキサン162部(1.2モル部)及び水酸化ナトリウム0.6部(0.015モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。次いで、約25℃に冷却し、中和・ストリッピングして、ハイドロジェンポリシロキサン(PS7)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS7)の動粘度は1200mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS7)が下記構造を有することを確認した。
【0127】
【化18】


【0128】
<製造例22>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、オクタメチルシクロテトラシロキサン38.5部(0.13モル部)、テトラメチルテトラハイドロシクロテトラシロキサン48部(0.2モル部)、ヘキサメチルジシロキサン8.1部(0.05モル部)及び水酸化ナトリウム0.03部(0.0008モル部)を仕込み、90℃にて5時間攪拌を続けた。次いで、約25℃に冷却し、中和・ストリッピングして、ハイドロジェンポリシロキサン(PS8)を得た。ハイドロジェンポリシロキサン(PS8)の動粘度は1100mm/secであった。また、H−NMR、IRにより、ハイドロジェンポリシロキサン(PS8)が下記構造を有することを確認した。
【0129】
【化19】


【0130】
<実施例1>
攪拌、加熱、冷却、滴下、コンデンサー及び真空ポンプによる減圧の可能な反応容器に、製造例15で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS1)182部(0.1モル部)、製造例4で得たポリオキシアルキレン化合物(S104)708部(0.2モル部)、製造例1で得たポリオキシアルキレン化合物(S101)106部(0.1モル部)及びイソプロピルアルコール500部と塩化白金酸とのイソプロピルアルコール溶液(塩化白金酸の含有量:5×10−6%、白金酸溶液と略記)0.12部を仕込み、還流下7時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、本発明の界面活性剤(1){オルガノポリシロキサン(OPS1)、イソプロピルアルコールの含有量:0.01%}得た。オルガノポリシロキサン(OPS1)の動粘度は1750mm/secであった。
【0131】
<実施例2>
実施例1と同様な反応容器に、製造例16で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS2)260部(0.1モル部)、製造例2で得たポリオキシアルキレン化合物(S102)886部(0.4モル部)、製造例3で得たポリオキシアルキレン化合物(S103)323部(0.2モル部)及びイソプロピルアルコール650部及び白金酸溶液0.17部を仕込み、還流下8時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、オルガノポリシロキサン(OPS2)イソプロピルアルコールの含有量:0.02%}を得た。オルガノポリシロキサン(OPS2)の動粘度は3470mm/secであった。
【0132】
次いでオルガノポリシロキサン(OPS2)100部と製造例13で得たポリオキシアルキレン化合物(S113)15部とを均一に混合して、本発明の界面活性剤(2)を得た。
【0133】
<実施例3>
実施例1と同様な反応容器に、製造例17で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS3)296部(1モル部)、製造例7で得た(S107)1666部(0.6モル部)、製造例14で得た(AA1)202部(0.2モル部)及びイソプロピルアルコール550部及び白金酸溶液0.18部を仕込み、還流下8時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、本発明の界面活性剤(3){オルガノポリシロキサン(OPS3)、イソプロピルアルコールの含有量:0.02%}を得た。オルガノポリシロキサン(OPS3)の動粘度は750mm/secであった。
【0134】
<実施例4>
実施例1と同様な反応容器に、製造例18で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS4)462部(1モル部)、製造例5で得たポリオキシアルキレン化合物(S105)4392部(2モル部)、イソプロピルアルコール800部及び白金酸溶液0.35部を仕込み、還流下8時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、オルガノポリシロキサン(OPS4){イソプロピルアルコールの含有量:0.01%}を得た。オルガノポリシロキサン(OPS4)の動粘度は510mm/secであった。
【0135】
次いでオルガノポリシロキサン(OPS4)100部と製造例10で得たポリオキシアルキレン化合物(S110)25部とを均一に混合して、本発明の界面活性剤(4)を得た。
【0136】
<実施例5>
実施例1と同様な反応容器に、製造例19で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS5)183部(0.1モル部)、製造例6で得たポリオキシアルキレン化合物(S106)940部(0.2モル部)、製造例10で得たポリオキシアルキレン化合物(S110)351部(0.05モル部)、製造例14で得た(AA1)202部(0.2モル部)及びイソプロピルアルコール600部及び白金酸溶液0.2部を仕込み、還流下6時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、本発明の界面活性剤(5){オルガノポリシロキサン(OPS5)、イソプロピルアルコールの含有量:0.01%}を得た。オルガノポリシロキサン(OPS5)の動粘度は2090mm/secであった。
【0137】
<実施例6>
実施例1と同様な反応容器に、製造例20で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS6)772部(1モル部)、製造例1で得たポリオキシアルキレン化合物(S101)532部(0.5モル部)、製造例11で得た(S111)1181部(0.3モル部)、製造例13で得たポリオキシアルキレン化合物(S113)227部(0.05モル部)及びイソプロピルアルコール1000部及び白金酸溶液0.3部を仕込み、還流下10時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、オルガノポリシロキサン(OPS6){イソプロピルアルコールの含有量:0.02%}を得た。オルガノポリシロキサン(OPS6)の動粘度は600mm/secであった。
【0138】
次いでオルガノポリシロキサン(OPS6)100部と製造例8で得たポリオキシアルキレン化合物(S108)20部とを均一に混合して、本発明の界面活性剤(6)を得た。
【0139】
<実施例7>
実施例1と同様な反応容器に、製造例21で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS7)554部(1モル部)、製造例8で得たポリオキシアルキレン化合物(S108)1172部(0.2モル部)、製造例9で得た(S109)671部(0.2モル部)、製造例12で得た(S112)420部(0.05モル部)、製造例14で得た(AA1)101部(0.1モル部)及びイソプロピルアルコール1000部及び白金酸溶液0.35部を仕込み、還流下6時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、本発明の界面活性剤(7){オルガノポリシロキサン(OPS7)、イソプロピルアルコールの含有量:0.01%}を得た。オルガノポリシロキサン(OPS7)の動粘度は2370mm/secであった。
【0140】
<実施例8>
実施例1と同様な反応容器に、製造例22で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS8)126部(0.1モル部)、製造例3で得たポリオキシアルキレン化合物(S103)323部(0.2モル部)、製造例9で得たポリオキシアルキレン化合物(S109)671部(0.2モル部)及びイソプロピルアルコール400部及び白金酸溶液0.16部を仕込み、還流下10時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、オルガノポリシロキサン(OPS8){イソプロピルアルコールの含有量:0.02%}を得た。オルガノポリシロキサン(OPS8)の動粘度は990mm/secであった。
【0141】
次いでオルガノポリシロキサン(OPS8)100部と製造例7で得たポリオキシアルキレン化合物(S4)30部とを均一に混合して、本発明の界面活性剤(8)を得た。
【0142】
<比較製造例1>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、ポリグリセリン{ポリグリセリン#500、水酸基価971、水分含有量10.2%、阪本薬品工業(株)製}431部(1モル部)及び水酸化カリウム1.4部(0.025モル)を仕込み、窒素置換を3回繰り返した。その後、攪拌しつつ減圧下120℃にて3時間脱水した。次いで同温度にて(PO)540部(10モル部)及び(EO)440部(10モル部)の混合液を6時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存する(PO、EO)を反応させ、ポリグリセリン/(PO)10モル・(EO)10モルランダム付加物(HS1)を得た。
【0143】
ついで、製造例1と同様な耐圧反応容器に、ポリグリセリン/(PO)10モル・(EO)10モル付加物(HS1)1368部(1モル部)及び水酸化カリウム2.2部(0.04モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま密閉下100℃にてアリルグリシジルエーテル114部(1モル部)を1時間かけて滴下し、さらに1時間100℃にて攪拌を続け完全に反応系の圧力が平衡に達したことを確認した。次いで得た粗反応液状物をキョーワード処理して、ポリオキシアルキレン化合物(HS101){(HS1)1モル/アリルグリシジルエーテル1モル}を得た。
【0144】
<比較製造例2>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、ポリグリセリン/(PO)10モル・(EO)10モル付加物(HS1)2736部(2モル部)及び水酸化カリウム2.8部(0.05モル部)を仕込み、減圧下120℃にて1時間脱水した。次いで同減圧のまま密閉下100℃にてアリルグリシジルエーテル114部(1モル部)及びグリシエールPP−300P420部(1モル部)の混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間100℃にて攪拌を続け完全に反応系の圧力が平衡に達したことを確認した。次いで得た粗反応液状物をキョーワード処理して、ポリオキシアルキレン化合物(HS102){(HS1)2モル/アリルグリシジルエーテル1モル/ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル1モル}を得た。
【0145】
<比較例1>
実施例1と同様な反応容器に、製造例19で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS5)168部(0.1モル部)、比較製造例1で得たポリオキシアルキレン化合物(HS101)741部(0.5モル部)、イソプロピルアルコール250部及び白金酸溶液0.12部を仕込み、還流下8時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、比較用の界面活性剤(H1){オルガノポリシロキサン(HOPS1)、イソプロピルアルコールの含有量:0.01%}を得た。オルガノポリシロキサン(HOPS1)の動粘度2660mm/secであった。
【0146】
<比較例2>
実施例1と同様な反応容器に、製造例20で得たハイドロジェンポリシロキサン(PS6)772部(1モル部)、比較製造例2で得たポリオキシアルキレン化合物(HS102)1308(0.4モル部)、イソプロピルアルコール700部及び白金酸溶液0.2部を仕込み、還流下8時間攪拌を続けた。次いで80〜90℃、減圧下、脱溶剤を実施して、比較用の界面活性剤(H2){オルガノポリシロキサン(HOPS2)、イソプロピルアルコールの含有量:0.01%}を得た。オルガノポリシロキサン(HOPS2)の動粘度740mm/secであった。
【0147】
<比較例3>
サーフィノール440(サーフィノール104/(EO)3.5モル付加品:エアープロダクツジャパン(株)製)を比較用の界面活性剤(H3)とした。
【0148】
<比較例4>
SH3746(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、ポリエーテル変性シリコーン)を比較用の界面活性剤(H4)とした。
【0149】
実施例1〜8で得た本発明の界面活性剤(1)〜(8)及び比較例で得た比較用の界面活性剤(H1)〜(H4)について、動的表面張力、静的表面張力及び耐泡立ち性を以下の方法により測定し、これらの結果を表1に示した。また、以下の方法により、これらの界面活性剤を含むカーテン塗工液を調製し、塗工液カーテンの耐膜切れ性、平滑度及び耐水性を評価して、これらの結果を表2に示した。
【0150】
<動的表面張力>
25±0.2℃において、評価サンプル(界面活性剤)を脱イオン水に溶解して0.10%の評価サンプル水溶液を調製し、25±0.2℃において、クルス社製のバブルプレッシャー型動的表面張力計クルスBP−2を用いて、50Hz(20ミリ秒)の動的表面張力を測定した。
【0151】
<静的表面張力>
25±0.2℃において、評価サンプルを脱イオン水に溶解して0.10%の評価サンプル水溶液を調製し、25±0.2℃において、協和界面科学(株)製の自動表面張力計CBVP−Z型を用いて表面張力を測定した。
【0152】
<耐泡立ち性>
25±0.2℃において、評価サンプルを脱イオン水に溶解して0.10%の評価サンプル水溶液を調製し、25±0.2℃において、100mL共栓付きメスシリンダーに20mLをとり、栓をして、上下に20回振とう(振とう幅30cm)し、1分後の泡量(mL)を読み取った。
【0153】
<カーテン塗工液の調製、塗工液カーテンの耐膜切れ性、平滑度及び耐水性>
(1)カーテン塗工液の調製
インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザー{日本精器(株)製、モデルED}を用いて、重質炭酸カルシウム{カービタル90、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン製}40部、1級カオリン{UW−90、エンゲルハード(株)製}200部、2級カオリン{カオブライト、白石工業(株)製}80部、軽質炭酸カルシウム(ブリリアントS−15、白石工業(株)製}80部、分散剤{サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040}2部、SBRラテックス{ジェイエスアール(株)製、JSR0629}83部、増粘剤{サンノプコ(株)製、SNシックナー630}5部及び水500部を均一混合して、ベース塗工液を調製した。なお、JIS K5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応する)に準拠して、ベース塗工液の分散度を測定し、5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。ついで、このベース塗工液985部及び評価サンプル(界面活性剤)15部を上記と同じホモジナイザーにて均一混合してカーテン塗工液を調製した。
【0154】
(2)塗工液カーテンの耐膜切れ性
カーテン塗工液をカーテンフローコーター(フローコータ FL−W6G、アネスト岩田社製)にて塗工速度200m/分、塗工量(乾燥時の坪量)15g/mの条件で、坪量64g/mの上質巻き取りロール紙に塗工し、カーテン塗工する際に発生する膜切れの回数(1分間当たりの発生回数)を数えた。数値が小さい程、塗工性に優れているといえる。
【0155】
(3)平滑度
カーテン塗工液を塗工した上質巻き取りロール紙をカレンダー処理(オートドライヤー L−3D、ジャポー社製、130℃、1分間、処理圧力0.3kg/cm)して、カーテン塗工紙を得た。このカーテン塗工紙をスムースター平滑度試験機(東英電子工業(株)製、形式SM−6A)を用いて平滑度を25±0.2℃、50±5%相対湿度条件下にて、測定した。数字が小さいほど平滑性は高い。
【0156】
(4)耐水性
平滑度を評価したカーテン塗工紙に、脱イオン水を0.2mlを滴下して、3分後に、濾紙を用いて水をかるく拭き取った。引き続いて、脱イオン水の滴下した周辺を次の基準で目視判定した。
【0157】
○:水を滴下した箇所が識別できない。
△:水を滴下した箇所が容易に識別できる。
×:水を滴下した箇所が容易に識別でき、変色した水跡がくっきり残っている。または、膨れが発生している。
【0158】
【表1】


【0159】
【表2】


【0160】
本発明の界面活性剤は、比較用の界面活性剤に比較して、膜切れ回数及び平滑度とも良好であり、さらに耐水性、耐泡立ち性ともに優れていることを示した。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明の界面活性剤は、あらゆる用途に用いることができるが、特に水性コーティング液用として適しており、さらに高速で塗工又は印刷される塗料等に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを含有してなることを特徴とする界面活性剤。
【化1】



一般式(1)において、Rは炭素数1〜6の一価炭化水素基、Siはケイ素原子、Oは酸素原子、Xは一般式(2)又は(3)で表される有機基、jは0又は1〜20の整数、kは1〜10の整数を表す。
【化2】



一般式(2)、(3)において、Qは非還元性の二又は三糖類のm個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Gは3−ヒドロキシ−1−オキサブチレン基{-O-CHCH(OH)CH-}又は3−ヒドロキシメチル−1−オキサプロピレン基{-O-CHCH(CHOH)-}、Yは炭素数4〜40の有機基、nは1〜40の整数、mは2〜4の整数を表し、一般式(2)で表される有機基のOAの総数は10〜70の整数、一般式(3)で表される有機基のOAの総数は20〜120の整数である。
【請求項2】
Qが蔗糖の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基である請求項1に記載の界面活性剤。
【請求項3】
非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜70モル部と、アリルグリシジルエーテル(a3)0.8〜1.2モル部との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物で変性したオルガノポリシロキサン;及び/又は
(a1)2モル部と、(a2)20〜120モル部と、(a3)0.8〜1.2モル部と、炭素数10〜46のジグリシジルエーテル(a4)0.8〜1.2モル部との化学反応により製造され得る構造を有するポリオキシアルキレン化合物で変性したオルガノポリシロキサンを含有してなる界面活性剤。
【請求項4】
動的表面張力{0.1重量%水溶液、25℃、界面寿命20ミリ秒(50Hz)}が32〜47mN/m、静的表面張力{0.1重量%水溶液、25℃}が21〜28mN/mである請求項1〜3のいずれかに記載の界面活性剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の界面活性剤、水、樹脂バインダー及び必要により着色剤を含有してなる水性コーティング液。
【請求項6】
アミドの存在下、非還元性の二又は三糖類(a1)と、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)とを反応させて化合物(a12)を得る工程(1)、
アミドの存在下、化合物(a12)と、アリルグリシジルエーテル(a3)及び/又はジグリシジルエーテル(a4)とを反応させてポリオキシアルキレン化合物を得る工程(2)、並びに
ポリオキシアルキレン化合物と、ハイドロジェンポリシロキサンとを反応させてオルガノポリシロキサンを得る工程(3)
を含むことを特徴とする界面活性剤の製造方法。
【請求項7】
アミドがN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−(ジメチルアミノ)アセトアルデヒドジメチルアセタール及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−297387(P2008−297387A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143194(P2007−143194)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】