説明

界面活性剤含有組成物及びこれを含んでなる液体洗剤組成物

【課題】酵素をより高濃度に溶解することができる界面活性剤含有組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物及びその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、界面活性剤(B)及び水(C)を含有し、界面活性剤含有組成物に対して、(A)の含有量が0.1〜30重量%、(B)の含有量が35〜75重量%、(C)の含有量が10〜65重量%である界面活性剤含有組成物。


[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤含有組成物及びこれを含んでなる液体洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体洗剤のコンパクト化(小容量化)が進んでいる。コンパクト化は、容器サイズが小さくなり容器の材料樹脂量を低減できる、省スペース化でき洗剤の輸送時の効率が向上する等、さまざまな観点で好ましい。
このコンパクト化を可能にした技術としては、液体洗剤の高濃度化が挙げられる。例えば、液体洗剤の洗浄成分の濃度を2倍にした場合、洗濯1回あたりの洗剤使用量を2分の1に減らすことができ、もとの液体洗剤と同じ回数洗濯できる液体洗剤の容器サイズを2分の1にすることが可能となる。
最近開発されている高濃度型液体洗剤は、洗浄成分の主な成分である界面活性剤の濃度を従来と比較して相当高濃度化しているので、洗濯1回あたりの使用量を相当減らすことが可能となっている(特許文献1)。しかしながら、洗浄性能が低下する問題がある。
例えば、洗濯1回あたりの使用量を2分の1にする場合、界面活性剤の濃度を2倍にし、その他の洗浄成分の濃度も2倍にすることが可能であれば、同じ洗浄性を維持することができる。しかしながら、界面活性剤の濃度を2倍にした際に、液体洗剤成分の中で酵素は、溶解度が低く、酵素の使用量を2倍にした場合に酵素が溶解した状態とならず、高濃度液体洗剤に対して十分量酵素を配合できない課題が発生している。すなわち、界面活性剤の濃度倍率に対して、酵素が高濃度化されず、その結果、洗浄性能の低下を引き起こしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−137074
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、酵素をこれまでより高濃度に溶解することができる界面活性剤含有組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、界面活性剤(B)及び水(C)を含有し、界面活性剤含有組成物に対して、(A)の含有量が0.1〜30重量%、(B)の含有量が35〜75重量%、(C)の含有量が10〜65重量%である界面活性剤含有組成物;界面活性剤含有組成物及び酵素(E)を含有する液体洗剤組成物である。
【化1】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の界面活性剤含有組成物は、酵素をこれまでより高濃度に溶解することができる。また、本発明の液体洗剤組成物は、洗浄性能が優れている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の界面活性剤含有組成物は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、界面活性剤(B)及び水(C)を含有し、界面活性剤含有組成物に対して、(A)の含有量が0.1〜30重量%、(B)の含有量が35〜75重量%、(C)の含有量が10〜65重量%である界面活性剤含有組成物である。
【化2】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【0008】
本発明の界面活性剤含有組成物において、必須成分の1つは、上記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)である。化合物(A)を含有すると、酵素をこれまでより高濃度に溶解することができる。
【0009】
上記一般式(1)で表される化合物として、具体的にはグアニジン、尿素及びチオ尿素が挙げられる。
【0010】
上記一般式(1)で表される化合物の塩としては、グアニジンの塩が挙げられる。塩としては塩酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩及びリン酸塩等が挙げられる。
【0011】
化合物(A)としては、酵素の溶解性の観点で、グアニジンの塩及び尿素が好ましく、さらに好ましくはグアニジンの塩、次にさらに好ましくはグアニジン塩酸塩である。
【0012】
本発明において、化合物(A)の含有量(重量%)は、界面活性剤含有組成物の重量を基準として0.1〜30であり、酵素の溶解性の観点から酵素活性化剤の重量に対し0.5〜30が好ましく、さらに好ましくは1〜20であり、特に好ましくは1〜10である。
【0013】
本発明の必須成分である界面活性剤(B)としては、ノニオン性界面活性剤(B−1)、アニオン性界面活性剤(B−2)、カチオン性界面活性剤(B−3)及び両性界面活性剤(B−4)が挙げられる。
【0014】
ノニオン性界面活性剤(B−1)としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[オレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物等]、脂肪族アミン(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ヘキサデシルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、ラウリルアミンエチレンオキサイド付加物、ステアリルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)グリコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜8,重合度=1〜100)[ソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド(重合度=10)付加物及びメチルグルコースジオレエートエチレンオキサイド(重合度=50)付加物等]、脂肪酸N−ヒドロキシアルキルアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、アルキル(炭素数1〜22)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)フェニルエーテル、アルキル(炭素数8〜24)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)−アミノアルキル(炭素数8〜24)−エーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0015】
アニオン性界面活性剤(B−2)としては、炭素数8〜24のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸ナトリウム及びラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸−トリエタノールアミン塩等]、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸スルホン酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキルリン酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0016】
カチオン性界面活性剤(B−3)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]及びアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
【0017】
両性界面活性剤(B−4)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0018】
(B)としては、1種又は2種以上が使用出来る。2種以上を使用する場合、その組み合わせとしては、例えばノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。
【0019】
(B)として、酵素の溶解性の観点から、ノニオン性界面活性剤単独での使用、及びノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との組み合わせでの使用が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、酵素の溶解性の観点から、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)エチレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)が好ましく、さらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜18)エチレンオキサイド付加物(重合度4〜20)、次にさらに好ましくは脂肪族アルコール(炭素数12〜15)エチレンオキサイド付加物(重合度=8〜12)、特に好ましくはオレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物である。
アニオン性界面活性剤としては、酵素の溶解性の観点から、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩、脂肪酸塩、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩が好ましく、さらに好ましくは、炭素数12〜16のアルキルフェニルスルホン酸塩及び炭素数8〜16の脂肪酸塩、次にさらに好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩及びラウリン酸ナトリウムである。
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との組み合わせとしては、酵素の溶解性の観点から、脂肪族アルコール(炭素数12〜15)エチレンオキサイド付加物(重合度=8〜12)と炭素数12〜16のアルキルフェニルスルホン酸塩及び炭素数8〜16の脂肪酸塩の組み合わせが好ましく、さらに好ましくはオレイルアルコールエチレンオキサイド11モル付加物とドデシルベンゼンスルホン酸モノエタノールアミン塩及びラウリン酸ナトリウムの組み合わせである。
【0020】
本発明の界面活性剤含有組成物に含まれる界面活性剤(B)の含有量は、界面活性剤含有組成物の重量に対し、35〜75重量%であり、洗浄性の観点から、40〜70重量%が好ましく、特に好ましくは45〜60重量%である。
【0021】
本発明の必須成分である水(C)は、特に限定するものではなく、水道水、イオン交換水、蒸留水及び逆浸透水等が挙げられる。
【0022】
本発明の界面活性剤含有組成物に含まれる水の含有量は、界面活性剤含有組成物の重量に対し、10〜65重量%であり、洗浄性の観点から、12〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜55重量%、特に好ましくは25〜50重量%である。
【0023】
本発明の界面活性剤含有組成物には、上記の化合物(A)、(B)、及び(C)以外に、下記一般式(2)で表される化合物(D)、無機塩(F)、多価アルコール(G)、糖(H)、アルギニン以外のアミノ酸(I)、ビルダー(J)、アルカリ剤(K)及びキレート剤(L)を含有することができる。
【化3】

[式中、Qは、アミノ基又はアルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されていてもよい。]
【0024】
Qのアルキル基としては炭素数1〜22のアルキル基が挙げられ、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基及びベヘニル基等が挙げられる。これらのアルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の置換基に置換されてもよい。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。置換基の数は1〜3が好ましく、さらに好ましくは2〜3である。例えばQがブチル基の場合、ブチル基末端の水素原子2つが1つのアミノ基及び1つのカルボキシル基で置換された場合は(D)はアルギニンを表す。
【0025】
化合物(D)としては、アルギニン又はその塩(D−1)、アルギニン誘導体又はその塩(D−2)及びグアニジン誘導体又はその塩(D−3)が挙げられる。
【0026】
アルギニン又はその塩(D−1)として、アルギニン、アルギニンの無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及びアルギニンの有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0027】
アルギニン誘導体又はその塩(D−2)において、アルギニン誘導体は下記一般式(3)で表されるアルギニンのα−アミノ基若しくはα−カルボキシル基又はこれらの両方の基が置換された誘導体である。
α−アミノ基の置換は、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)への置換であり、α−カルボキシル基の置換は下記一般式(6)で表されるエステル基又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)への置換である。
言い換えると、アルギニン誘導体又はその塩(D−2)では、α−アミノ基又はα−カルボキシル基の少なくともいずれか一方が置換されている。すなわち、Yがアミノ基の場合、Zは下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるアミド基(Z−2)であり、Zがカルボキシル基の場合は、Yは下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)である。
【化4】

【0028】
一般式(3)中、Yはアミノ基、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)を表す。Zは、カルボキシル基、下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)を表す。
【0029】
【化5】

【0030】
一般式(4)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜36の1価の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0031】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)におけるR1の炭化水素基としては、炭素数1〜36の1価の炭化水素基であり、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びベヘニル基等が挙げられる。
分岐の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基及びメチルベンジル基等が挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、酵素活性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。
【0032】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)として具体的には、ホルムアミド基、アセチルアミド基、プロピオン酸アミド基、ブチル酸アミド基、ヘキシル酸アミド基、シクロヘキサンカルボキシアミド基、オクチル酸アミド基及びベンゾイルアミド基等が挙げられる。
【0033】
【化6】

【0034】
一般式(5)中、R2とR3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、これらの炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0035】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)において、R2とR3は、R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
【0036】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)としては、メチルイミノ基等が挙げられる。
【0037】
【化7】

【0038】
一般式(6)中、R4は、炭素数1〜36の炭化水素基を表す、又は多価アルコール若しくは糖から1つの水酸基を除いた残基を表す。
この炭化水素基はその水素原子の一部が他の官能基、例えば、水酸基、メトキシル基、エトキシル基、ニトロ基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる官能基で置換されていてもよい。
【0039】
一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)において、R4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基は、前記R1と同様の炭化水素基が含まれる。
4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、酵素活性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはエチル基である。
【0040】
多価アルコールとしては、2価〜3価のアルコールが含まれ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
糖としては、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール及びトレハロース等が挙げられる。
【0041】
【化8】

【0042】
一般式(7)中、R5は、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0043】
一般式(7)で表されるアミド基(Z−2)において、R5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基としては、前記R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、酵素の溶解性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
【0044】
アルギニン誘導体又はその塩(D−2)がアルギニン誘導体の塩の場合、無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及び有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0045】
アルギニン誘導体又はその塩(D−2)の化合物として具体的に、N−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩が挙げられる。
【0046】
グアニジン誘導体又はその塩(D−3)としては、Qを特に限定するものではないが、具体的にアミノグアニジン(−NH2)、ジシアンジアミド(−CN)、グアニルチオウレア(−C(=S)NH2)、ドデシルグアニジン(−C1225)、エチルグアニジン(−C25)、オクチルグアニジン(−C817)及びビグアニド(−C(=NH)NH2)が挙げられる。ここで、()内はQを表す。
【0047】
これらのうち、酵素活性の持続性の観点で、好ましくは(D−1)及び(D−2)であり、さらに好ましくは、(D−2)であり、特に好ましいのはN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩である。
【0048】
本発明の酵素活性化剤中に含まれる化合物(D)の含有量(重量%)は、酵素の溶解性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜7、次にさらに好ましくは0〜5である。
【0049】
無機塩(F)として、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0050】
多価アルコール(G)として、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0051】
糖(H)として、トレハロース、スクロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸等が挙げられる。
【0052】
アルギニン以外のアミノ酸(I)として、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ロイシン、リシン、ヒスチジン及びそれらの塩等が挙げられる。
【0053】
ビルダー(J)として、ポリ(メタ)アクリル酸塩及びポリカルボン酸{例えば、シュウ酸、クエン酸、コハク酸及びリンゴ酸}が挙げられる。
【0054】
アルカリ剤(K)として、例えば、苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン及びトリポリリン酸ソーダ等が挙げられる。
【0055】
キレート剤(L)としては、液体洗剤に用いられる公知のものを用いることができる。例えば、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸及びジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸及びカルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩並びにアミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はこれらのアルカリ金属若しくは低級アミン塩等が挙げられる。
【0056】
本発明の界面活性剤含有組成物中に含まれる無機塩(F)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から界面活性剤含有組成物の重量に対し0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、次にさらに好ましくは0.1〜3である。
本発明の界面活性剤含有組成物中に含まれる多価アルコール(G)の含有量(重量%)は、界面活性剤含有組成物の均一性の観点から界面活性剤含有組成物の重量に対し0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、次にさらに好ましくは0〜5である。
本発明の界面活性剤含有組成物中に含まれる糖(H)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から界面活性剤含有組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の界面活性剤含有組成物中に含まれるアミノ酸(I)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から界面活性剤含有組成物の重量に対し0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、次にさらに好ましくは0〜3である。
本発明の界面活性剤含有組成物中に含まれるビルダー(J)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から界面活性剤含有組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の界面活性剤含有組成物に含まれるアルカリ剤(K)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から界面活性剤含有組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜4、次にさらに好ましくは0.5〜3である。
本発明の界面活性剤含有組成物に含まれるキレート剤(L)の含有量(重量%)は、洗浄性の観点から界面活性剤含有組成物の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜2である。
【0057】
本発明の界面活性剤含有組成物のpHは、洗浄性の観点から、1%(w/w)水溶液で7〜11が好ましく、さらに好ましくは7〜10である。
【0058】
本発明の界面活性剤含有組成物は、各成分を混合することにより得られ、製造方法は特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)水(C)に界面活性剤(B)、化合物(A)及び必要により化合物(D)を加え、常温で均一になるまで撹拌する。
(2)必要により(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(K)及び(L)を所定量添加し均一に溶解させる。
【0059】
本発明の界面活性剤含有組成物は、化合物(A)を含まない界面活性剤含有組成物と比較して、酵素(E)を高濃度で溶解することができる。これは、化合物(A)の一般式(1)で表される構造において、親水性の高いグアニジウム基のπ電子が、酵素分子中の疎水性の高い芳香環のπ電子とπ−π相互作用により結合し、酵素分子中の芳香環の周りを親水化するため、化合物(A)を含む本願発明の界面活性剤含有組成物は、酵素の溶解性が高いのだと推測される。
【0060】
本発明の洗浄剤組成物は、上述の本発明の界面活性剤含有組成物にさらに酵素(E)含有させたものである。
【0061】
酵素(E)としては、プロテアーゼ(E−1)、セルラーゼ(E−2)、アミラーゼ(E−3)、リパーゼ(E−4)及びオキシドレダクターゼ(E−5)が挙げられる。
【0062】
プロテアーゼ(E−1)としては、動物、植物又は微生物起源のものが含まれ、入手しやすさの観点から、微生物起源のものが好ましい。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。プロテアーゼのうち、洗浄性の観点から、セリンプロテアーゼが好ましく、より好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ及びトリプシン様プロテアーゼである。
【0063】
アルカリ性微生物プロテアーゼとしては、サブチリシン、特にバシラス菌(Bacillus)由来のもの、例えばサブチリシン Novo、サブチリシン Carlsberg、サブチリシン 309、サブチリシン 147及びサブチリシン 168が挙げられる。
トリプシン様プロテアーゼとしては、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)及びフザリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられる。
【0064】
市販のプロテアーゼとしては、ノボザイムス社のAlcalaseTM、SavinaseTM、PrimaseTM、DurazymTM及びEsperaseTM並びにジェネンコア社のPurafectTM及びPurafect OXPTM等が挙げられる。
【0065】
セルラーゼ(E−2)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。セルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から生産される真菌セルラーゼとして米国特許第4,435,307号明細書に開示されているものが含まれる。また、特に適当なセルラーゼは色彩保護(color care)に役立つセルラーゼであり、欧州特許出願第0,495,257号明細書に記載されたセルラーゼが含まれる。
市販のセルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)の株により生産されたノボザイムス社のCelluzymeTM及び花王社のKAC−500(B)TMが挙げられる。
【0066】
アミラーゼ(E−3)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。アミラーゼとしては、例えば、英国特許第1,296,839号明細書に詳細に記載されているB.リヘニフォルミス(B.licheniformis)の特殊株から得られるα−アミラーゼが挙げられる。
市販のアミラーゼとしては、ノボザイムス社の DuramylTM、TermamylTM、FungamylTM及びBANTM並びにGist−Brocades社のRapidaseTM及びMaxamyl PTMが挙げられる。
【0067】
リパーゼ(E−4)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。リパーゼの例としては、フミコーラ・ランギノーザ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(欧州特許第258068号明細書及び欧州特許第305216号明細書)、リゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ及びカンジダ(Candida)リパーゼ(欧州特許第238023号明細書)、C.アンタークティカ(C.ntarctica)リパーゼA及びB、シュードモナス(Pseudomonas )リパーゼ(欧州特許第214761号明細書)、P.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)及びP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)リパーゼ(欧州特許第218272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)リパーゼ(欧州特許第331376号明細書)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)リパーゼ、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)リパーゼ及びバシラス(Bacillus)リパーゼ(英国特許第1,372,034号明細書)、B.サチリス(B.subtilis)リパーゼ(Dartois 他(1993), Biochemica et Biophysica Acta1131,253−260)、B.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)リパーゼ(特公昭64−744992号公報)並びにB.ピュミルス(B.pumilus)リパーゼ(国際公開第91/16422号)が挙げられる。
【0068】
市販のリパーゼとしては、ジェネンコア社の M1 LipaseTM、Luma fastTM及びLipomaxTM、ノボザイムス社のLipolaseTM及びLipolase UltraTM並びに天野エンザイム社のLipase P“Amano”TMが挙げられる。
【0069】
オキシドレダクターゼ(E−5)としては、ペルオキシダーゼ及びオキシダーゼ(例えばラッカーゼ)が含まれる。
ペルオキシダーゼとしては、植物、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。ペルオキシダーゼとしては、コプリナス(Coprinus)(例えばC.シネレウス(Coprinus cinereus)又はC.マクロリザス(C.macrorhizus)の菌株由来のもの)、バシラス(Bacillus)(B.ピュミラス(B.pumilus)の菌株由来のもの)及び国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼが好ましく、特に好ましくは国際公開第91/05858号に記載されたペルオキシダーゼである。
ラッカーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。ラッカーゼとしては、トラメテス(Trametes)(例えばT.ビロサ(T.villosa)又はT.ベルシコロール(T.versicolor)の菌株由来のもの]、コプリナス(Coprinus)[例えばC.シネレウス(C.cinereus)の菌株由来のもの]及びミセリオフトラ(Myceliophthora)[例えばM.サーモフィラ(M.thermophlla)の菌株由来のもの]が挙げられる。
【0070】
上記の酵素のうち、タンパク汚れ、脂汚れ、粒子汚れ及び炭水化物汚れに対する洗浄性の観点で、プロテアーゼ(E−1)、セルラーゼ(E−2)、アミラーゼ(E−3)及びリパーゼ(E−4)が好ましく、さらに好ましくは、プロテアーゼ(E−1)である。
本発明の体洗剤組成物に含まれる酵素(E)は、洗浄性の観点で2種以上を含むことができる。2種以上を含む場合の組み合わせとしては、プロテアーゼとセルラーゼ、プロテアーゼとセルラーゼとリパーゼ、プロテアーゼとアミラーゼ、及びプロテアーゼとセルラーゼとアミラーゼ等の組み合わせが挙げられる。
【0071】
本発明の液体洗剤組成物に含まれる酵素(E)の含有量は、洗浄性の観点から液体洗剤組成物の重量に対し、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2重量%、0.1〜1.5重量%である。
また、本発明の液体洗剤組成物に含まれる化合物(A)と酵素(E)の重量比((A)/(E))は、酵素の溶解性の観点から、0.05〜3,000が好ましく、さらに好ましくは、0.10〜1,000であり、特に好ましくは、0.30〜100である。
【0072】
本発明の液体洗剤組成物は、各成分を混合することにより得られ、製造方法は特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)水(C)に界面活性剤(B)、化合物(A)及び必要により化合物(D)を加え、25℃で均一になるまで撹拌する。
(2)酵素(E)以外の成分を所定量添加し均一に溶解させる。
(3)最後に酵素を添加し溶解させ、液体洗剤組成物を製造する。
【0073】
本発明の液体洗剤組成物の使用方法は、従来の液体洗剤組成物の使用方法と同じでよく、特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)洗濯物が入った洗濯機に水道水を張り、液体洗剤組成物を25℃で添加し、軽く撹拌して溶解させる。
(2)洗濯機で洗濯物を洗浄する。
(3)洗濯機から液を抜き、水道水で1〜2回すすぐ。
(4)適宜脱水をかける。
【実施例】
【0074】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
<製造例1>
N−α−アセチルアルギニン{アルギニンアセトアミド、株式会社エムピーバイオジャパン}12.6部(0.05モル部)、メタンスルホン酸1部及びエタノール92部(2モル部)を均一混合し、80℃で5時間加熱攪拌し、エバポレーターで濃縮後、塩酸(濃度:35重量%)5.2部(0.05モル部)を加え中和した。その後、水から再結晶し、減圧乾燥{60℃、20Pa}して、化合物(D)であるN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩を得た。
【0076】
<実施例1〜10>
表1の割合で25℃で配合し、本発明の界面活性剤含有組成物を得た。
【0077】
<比較例1〜9>
表2の割合で25℃で配合し、比較用の界面活性剤含有組成物を得た。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
なお、表1〜2中、各成分の割合は、重量部で示した。また、表1及び2中の化合物(A)及び化合物(D)は下記のものを使用した。
グアニジン塩酸塩:和光純薬工業製
尿素:和光純薬工業製
アルギニン塩酸塩:和光純薬工業製
【0081】
実施例1〜10で作製した界面活性剤含有組成物を用いて下記の溶解性試験及び洗浄性試験をおこなった。
【0082】
比較例1〜9で作製した比較用の界面活性剤含有組成物を用いて下記の溶解性試験及び洗浄性試験をおこなった。
【0083】
<溶解性試験>
実施例1〜10又は比較例1〜9の界面活性剤含有組成物に、プロテアーゼ(ノボザイムズ社「アルカラーゼ2.5L」)を界面活性剤含有組成物の重量を基準として0.6重量%、2.0重量%又は5.0重量%となるように25℃で加え、1分間転倒混和した。その直後、この溶液の600nmにおける透過率を分光光度計(型 式:J−560、日本分光(株)製)で測定した。
評価は以下の3段階でおこなった。
5:透過率が95%以上
3:透過率が90%以上〜95%未満
1:透過率が90%未満
結果を表1及び2に示す。
【0084】
<洗浄性試験>
溶解性試験で作成したプロテアーゼ配合界面活性剤含有組成物(液体洗剤組成物)のそれぞれについて、作成後直ちに液体洗剤組成物0.8gを水999.2gに溶解させ溶液を得た。この溶液に、湿式人工汚染布(4cm×4cm)5枚を投入し、ターゴトメーター(大栄化学製)を用いて以下の条件にて洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン(TABAI製、GPS−222)を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。
ついで、多光源分光測色計(スガ試験機製)を使用して、この試験布の540nmの反射率を、試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布5枚で合計20個所)測定し、この平均値を求め、以下の式にて洗浄除去率(%)を算出した。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(洗浄除去率)
洗浄除去率(%)={(RW−RS)/(RI−RS)}×100
なお、RIは清浄布の反射率、RWは洗浄布の反射率、RSは汚染布の反射率を示す。
また、使用した湿式人工汚染布は、財団法人洗濯科学協会製の湿式人工汚染布(540nmにおける反射率が40±5%)である。
結果を表1及び2に示す。
【0085】
表2の溶解性試験の評価結果から、比較例1〜7に示す従来の界面活性剤含有組成物は、界面活性剤の量が比較的少ない比較例4を除き、プロテアーゼを界面活性剤含有組成物の重量を基準として0.6重量%溶解させたときの透過率が低く、プロテアーゼの溶解性が不十分であることがわかる。また、プロテアーゼ2.0重量%、5.0重量%を溶解させたときの溶解性試験結果から、比較例1〜7は全て透過率が低く、プロテアーゼを完全に溶解させることができないことがわかる。また、界面活性剤を含まない比較例8及び9は、プロテアーゼの溶解性は高いものの、洗浄性が極めて低いことがわかる。
一方、表1の本願発明の実施例1〜10の界面活性剤含有組成物は、プロテアーゼを0.6重量%溶解させたときの透過率が高く、プロテアーゼの溶解性が高いことが分かる。また、プロテアーゼの濃度を2.0重量%や5.0重量%と高くしても、透過率が高く、プロテアーゼの溶解性が高いことが分かる。
また、洗浄性試験の評価結果から、実施例1〜10及び比較例1〜7の界面活性剤の種類と量が同じものを比較した場合、プロテアーゼを0.6重量%溶解した液体洗剤組成物の洗浄性は、実施例4及び比較例4の結果を除いて、実施例の方が洗浄性が優れていることが分かる。また、プロテアーゼを2.0重量%又は5.0重量%溶解した液体洗剤組成物においては、界面活性剤の種類と量が同じものを比較した場合、全て比較例よりも実施例の方が洗浄性が優れていることが分かる。さらに実施例1〜10の界面活性剤含有組成物に、プロテアーゼを配合した液体洗剤組成物において、プロテアーゼの量が0.6重量%、2.0重量%、5.0重量%と高くなるにつれて、洗浄性が大きく向上することがわかる。
以上のことから、本願発明の界面活性剤含有組成物は酵素を高濃度に溶解することができることが分かる。また、本願発明の液体洗剤組成物は、洗浄性能が高いことがわかる。さらに、酵素をより高濃度に含むことで、洗浄性能が高くなることが分かる。したがって、本願発明の液体洗剤組成物は、従来の液体洗剤組成物よりも洗浄性能が高く、従来よりも少ない量で従来と同等の洗浄性能を得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の界面活性剤含有組成物は、酵素の溶解性が高い。また、酵素を配合した液体洗剤組成物は、高い洗浄性能を示す。この結果から、本発明の界面活性剤含有組成物は、特に高濃度型液体洗剤や超コンパクト型衣料用液体洗剤等の液体洗剤又はその原料として使用できる。また、液体洗剤組成物は、高濃度型液体洗剤や超コンパクト型衣料用液体洗剤等の液体洗剤として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、界面活性剤(B)及び水(C)を含有し、
界面活性剤含有組成物に対して、(A)の含有量が0.1〜30重量%、(B)の含有量が35〜75重量%、(C)の含有量が10〜65重量%である界面活性剤含有組成物。
【化1】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【請求項2】
化合物(A)がグアニジン塩酸塩である請求項1に記載の界面活性剤含有組成物。
【請求項3】
さらに、下記一般式(2)で表される化合物(D)を含有する請求項1又は2に記載の界面活性剤含有組成物。
【化2】

[式中、Qは、アミノ基又はアルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されていてもよい。]
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の界面活性剤含有組成物及び酵素(E)を含有する液体洗剤組成物。
【請求項5】
酵素(E)が、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ及びリパーゼからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の液体洗剤組成物。

【公開番号】特開2012−36387(P2012−36387A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156557(P2011−156557)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】