留め具
【課題】スタッドボルトに対する締め付けが所定状態を超えて締め付けられることを防止できると共に、所定の締め付け状態を維持できる留め具を提供する。
【解決手段】円筒形状の外部材6とその外部材6内に嵌挿される内部材5とを備え、スタッドボルト1の雄ねじ1bに係合させて用いられる留め具2において、内部材5は、筒形状を常に維持する筒材とされて、その内周面側にスタッドボルト1の雄ねじ1bに対して螺合可能とされるねじ部が設けられている。内部材5と外部材6との間にはラチェット機構が介在され、そのラチェット機構は内部材5の締結方向において所定のトルクを超えたときに内部材5と外部材6との相対回転を許容するように設定されている。これにより、スタッドボルト1に対して留め具2が所定の締め付け状態とされた後は、外部材6が存在しなくなっても、内部材5だけで所定の締め付け状態を維持するようにする。
【解決手段】円筒形状の外部材6とその外部材6内に嵌挿される内部材5とを備え、スタッドボルト1の雄ねじ1bに係合させて用いられる留め具2において、内部材5は、筒形状を常に維持する筒材とされて、その内周面側にスタッドボルト1の雄ねじ1bに対して螺合可能とされるねじ部が設けられている。内部材5と外部材6との間にはラチェット機構が介在され、そのラチェット機構は内部材5の締結方向において所定のトルクを超えたときに内部材5と外部材6との相対回転を許容するように設定されている。これにより、スタッドボルト1に対して留め具2が所定の締め付け状態とされた後は、外部材6が存在しなくなっても、内部材5だけで所定の締め付け状態を維持するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドボルト等のボルトに対して係止させる留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドボルト等のボルトと留め具とを用いた取付け構造として、ボルトに対して留め具を係止し、その留め具とボルトの頭部側とで取付け部材を挟持するものが知られている。このような取付け構造に用いられる留め具としては、例えば特許文献1に示すように、内面にセレーションを有する円筒状の外部材と、その外部材内に嵌挿されると共に、その外面に外部材のセレーションに係合するためのセレーションが形成されている内部材と、を設け、その内部材として、折り曲げ可能な連結片をもって連結された一対の半割円筒体を、その連結片で折り曲げて互いに整合させることにより円筒体に形成したものが用いられている。このものによれば、使用に際して、内部材が、その連結片側から外部材に差し込まれてその開口側が外部に向くようにされ、その上で、その内部材内にボルトが差し込まれる。そして、外部材を回して内部材をボルトに締め付け、一定のトルク以上になったときには、外部材及び内部材のセレーション同士の係合が解除されて外部材が内部材に対して空転するようにされている。これにより、内部材に対するボルトの差し込みを容易にできると共に、ボルトに対する内部材の締め付け過ぎを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3873183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記留め具は、内部材と外部材とが常に協働して機能することになっており、外部材が取り除かれたり或いは破損して、内部材における一対の半割円筒体が互いに分離する状態に至ったときには、もはや、内部材とボルトとは螺合関係を維持することができず、内部材だけをもってボルトに対して所定の締め付け状態を維持できない。このため、部品点数の低減化、外力に対する配慮の点で十分とはいえない。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、ボルトに対する締め付けが所定状態を超えて締め付けられることを防止できると共に、内部材及び外部材のうち、ボルトの基端部側に配置される一方の筒材だけでボルトに対する所定の締め付け状態を維持できる留め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
筒形状の外部材と該外部材内に嵌挿される内部材とを備え、ボルト外周面の雄ねじに係合させて用いられる留め具であって、
前記内部材が、筒形状を常に維持する筒材とされ、
前記内部材及び外部材のうち、前記ボルトの基端部側に配置される一方の筒材の内周面側に、前記ボルトの雄ねじに対して螺合可能とされるねじ部が設けられ、
前記内部材と前記外部材との間に、ラチェット機構が介在され、
前記ラチェット機構は、前記ボルトに対する前記一方の筒材の締結方向において、所定のトルクを超えたときに該内部材と該外部材との相対回転を許容するように設定されている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2以下の記載の通りとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明(請求項1の発明)によれば、当該留め具を用いて、ボルトの雄ねじに一方の筒材のねじ部を螺合して所定のトルクを超えたときには、ラチェット機構に基づき、内部材と外部材とが相対回転することになり、所定のトルクを超えた状態をもってボルトに対して留め具が締め付けられることを防止できる。
他方、ボルトに対して当該留め具が所定の締め付け状態とされた後は、内部材及び外部材のうち、ボルトの基端部側から遠い側に配置される他方の筒材が存在しなくなっても、内部材及び外部材のいずれもが筒形状を常に維持する筒材とされて、一方の筒材も同じ形状構造となっていることから、一方の筒材だけでボルトに対して所定の締め付け状態を維持できる。これにより、他方の筒材を、共用部品として、他の留め具(他の留め具における一方の筒材)に利用でき、部品点数の低減化を図ることができる。また、一方の筒材に他方の筒材を保持して使用する場合には、他方の筒材をもって一方の筒材を保護できると共に、その結果、他方の筒材が何らかの外力(例えば飛び石等)により破損して存在しなくなっても、一方の筒材だけでボルトに対して所定の締め付け状態を維持できる。
【0008】
請求項2の発明によれば、内部材の外周面又は外部材の内周面の一方に、フランジ部が張り出され、内部材の外周面又は外部材の内周面の他方に、フランジ部に係止されて外部材と内部材とが離間する方向に移動することを規制する係止脚部が設けられていることから、一方の筒材に他方の筒材を保持して用いる構造となり、他方の筒材をもって一方の筒材を保護できると共に、その結果、他方の筒材が何らかの外力(例えば飛び石等)により破損して存在しなくなっても、一方の筒材だけでボルトに対して所定の締め付け状態を維持できる。このため、信頼性の高い留め具とすることができる。
また、一方の筒材に他方の筒材を保持して用いることができ、作業を容易にすることができる。
【0009】
請求項3の発明によれば、ラチェット機構が、フランジ部面上に全周に亘って所定間隔毎に形成されるラチェット歯群と、外部材及び内部材のうち、係止脚部が設けられる部材に、ラチェット歯群に対向する部分において撓み可能に設けられて通常時はラチェット歯群に噛み合っているラチェット爪と、を備えていることから、フランジ部と係止脚部との係止関係に基づく一方の筒材と他方の筒材との離間方向の移動規制を利用して、ラチェット歯群に対するラチェット爪の作動(撓み動等)を円滑に行わせることができる。
また、撓み性(ばね性)を有するラチェット爪と係止脚部とがフランジ部を挟持することになり、内部材と外部材(一方の筒材と他方の筒材)とががたつくことを抑制できる。
【0010】
請求項4の発明によれば、一方の筒材の外側端部外周面に、着座用フランジ部が設けられ、着座用フランジ部が、一方の筒材の軸心方向外方に向かうに従って一方の筒材の径方向外方に拡径されるように設定されていることから、取付け部材に着座用フランジ部がその形状に基づく可撓性等を利用して的確に着座することになり、取付け部材に所望の締結力を付与して取付け部材ががたつくことを抑制できる。
【0011】
請求項5の発明によれば、着座用フランジ部に、径方向外方側から径方向内方側に向けて切り欠きが形成されていることから、可撓性を高めることができ、前述の請求項4の作用効果を、一層、高めることができる。
【0012】
請求項6の発明によれば、ねじ部が、一方の筒材内周面から撓み可能な状態で突出する複数の突出部の先端部に形成され、各突出部が、一方の筒材の径方向内方に向かうに従ってボルトの基端部から遠のくように傾斜されていることから、ボルトに対して当該留め具を、複数の突出部を撓ませつつ押し込むことができ、一方の筒材の外側端面を取付け部材に直ちに着座させて、作業性を高めることができる。
しかもこの場合、一方の筒材の内周面に、一方の筒材の周回り方向において、各突出部と互い違いに配設されて一方の筒材とボルトとの位置関係を案内するための複数のガイド部が設けられていることから、複数の突出部がボルトを一方の筒材の径方向外方側から支える負担を減らすことができ、複数の突出部の撓み性を高めることができる。このため、ボルトに対する当該留め具の押し込み作業を一層、容易にして、作業性を高めることができる。
【0013】
請求項7の発明によれば、ホイールハウスの内面に内張材を取り付けるものとして、用いられることから、飛び石等の外力が働く環境下でも、他方の筒材をもって一方の筒材を保護できると共に、その結果、他方の筒材が飛び石等により破損して存在しなくなっても、一方の筒材だけで内張材をホイールハウスの内面に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る留め具を示す一部破断斜視図。
【図2】実施形態に係る留め具を示す一部破断正面図。
【図3】図2のX3−X3線断面図。
【図4】実施形態に係る内部材を示す斜視図。
【図5】実施形態に係る内部材を示す正面図。
【図6】図5の平面図。
【図7】図5のX7−X7線断面図。
【図8】図7の要部拡大図。
【図9】実施形態に係る外部材を示す斜視図。
【図10】実施形態に係る外部材を示す平面図。
【図11】実施形態に係る外部材を示す正面図。
【図12】実施形態に係る外部材の裏面を示す図。
【図13】図10のX13−X13線断面図。
【図14】図11のX14−X14線断面図。
【図15】図13の要部拡大図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付した図面を参照しつつ説明する。
図1〜図3は、ボルトとしてのスタッドボルト1、実施形態に係る留め具2を利用して、取付け基板としてのホイールハウス3の内面に取付け部材としての内張材4を取付けた状態を示している。具体的に説明すれば、ホイールハウス3の内面には、ボルトとしてのスタッドボルト1が植立されていると共に、内張材4がホイールハウス3内面を覆うようにして配設され、スタッドボルト1は、その内張材4に予め形成されている孔4aを貫通してホイールハウス3内面から離間する方向に延びている。このスタッドボルト1には、実施形態に係る留め具2が貫通された状態で保持(係止)されており、この留め具2とスタッドボルト1の基端部としての頭部1aとが、協働して、内張材4を挟持している。
【0016】
前記留め具2は、図1〜図3に示すように、樹脂製(例えばポリアセタール)の内部材5と外部材6の2部品からなる。
【0017】
前記内部材5は、図4〜図7に示すように、円筒形状を常に維持する筒材(一方の筒材)として一体形成されている。この内部材5内には、その軸心方向に延びるようにして貫通孔7が形成されており、その貫通孔7は、内部材5の軸心方向両側から外部に開口されている。この場合、貫通孔7の軸心方向一端側開口は、内部材5を一方の筒材とすべく、その軸心方向他端側開口よりも縮径され、その軸心方向一端側(図7中、下側)開口から貫通孔7内にスタッドボルト1が遊嵌されている(図1、図3参照)。
【0018】
内部材5の軸心方向一端部外周面には、着座用フランジ部8が形成されている。この着座用フランジ部8は、内部材5の軸心方向一端側外方に向かうに従って該内部材5の径方向外方に拡径されるように形成されており、着座用フランジ部8の外周縁部は、内部材5の軸心方向一端部よりも該内部材5の軸心方向外方に位置されている。これにより、着座用フランジ部8は、樹脂製に基づく可撓性に加えて、着座用フランジ部8の形状に基づき、内部材5は、一方の筒材として内張材4上に、スタッドボルト1に貫通された状態で的確に着座される。この場合、着座用フランジ部8には、図4の仮想線に示すように、内部材5の径方向外方側から径方向内方側に向けて切り欠かれる複数の切欠き9を形成してもよい。これにより、着座用フランジ部8には、さらに切欠き9に基づく可撓性が加わることになり、内部材5は、内張材4上に一層的確に着座されることになる。
【0019】
内部材5の軸心方向一端側内周面には、図7、図8に示すように、複数の突出部10が設けられている。各突出部10は、内部材5の内周面から撓み可能な状態で突出されており、各突出部10は、内部材5の径方向内方に向かうに従って内部材5の軸心方向他端側(軸心方向内方(図7中、上側))に向かうように傾斜されている。この各突出部10の先端部には、前記スタッドボルト1の雄ねじ1b(スタッドボルト1の外周面をもって示す)に係止するための爪部10aがそれぞれ形成されており、この複数の突出部10先端部における爪部10aは、雌ねじ部(ねじ部)を構成している。
このため、この内部材5においては、複数の突出部10先端部における爪部10aをスタッドボルト1に対して螺合させることにより、着座用フランジ部8を内張材4上に移動させることができると共に、スタッドボルト1を貫通孔7内に、その軸心方向一端側開口から押し込んで、スタッドボルト1の外周面により各突出部10を撓ませつつ、着座用フランジ部8を内張材4上に移動できる。また、着座用フランジ部8が内張材4上に着座されると、複数の各突出部10の傾斜、その各爪部10aと雄ねじ1bとの係止関係により、内部材5がスタッドボルト1の抜け方向(図2、図3中、上方向)に移動することが規制され、複数の突出部10先端部における爪部とスタッドボルト1における雄ねじ1aとの螺合関係を利用して、内部材5をその軸心を中心として回転させてスタッドボルト1の先端側に移動させない限り、内部材5は、スタッドボルト1から取り外すことはできない。
内部材5は、このような複数の突出部10先端部における爪部10aとスタッドボルト1との関係を利用することにより、その着座用フランジ部8が内張材4上に着座され、スタッドボルト1からの抜け方向の移動が規制された状態となっており、これにより、内部材5とスタッドボルトの基端部としての頭部1aとは、内張材4を挟持している。
【0020】
内部材5の内周面には、複数のガイド部11が設けられている。この複数のガイド部11は、内部材5の周回り方向に各突出部10と互い違いに配設されて、内部材5の軸心方向全長に亘って延びており、この各ガイド部11により、内部材5とスタッドボルト1との位置関係(内部材5の径方向における位置関係)が案内(決定)されることになっている。
【0021】
内部材5の外周面には、その内部材5の軸心方向内方側において、フランジ部12が径方向外方に張り出すように全周に亘って設けられている。フランジ部12は、内部材5の軸心方向両側に向けた面12a,12bを有しており、そのうち、内部材5の軸心方向一端側を向いた面12aは、平坦面として形成されている。このフランジ部12と前記着座用フランジ部8との間には、一定の間隔があけられており、フランジ部12と着座用フランジ部8との間には溝状の空間13が形成されている。
【0022】
フランジ部12の面のうち、内部材5の軸心方向他端側を向いた面12b上には、ラチェット機構14の構成要素として複数のラチェット歯15群(フランジ面12b上の複数の凸部)が設けられている。複数のラチェット歯15群は、フランジ部12の面12bの全周に亘って所定間隔毎に配置されている。
【0023】
前記外部材(他方の筒材)6は、図9に示すように、有底円筒形状に形成され、その底部16には、前記スタッドボルト1が貫通するための孔17が形成されている。具体的には、外部材6の開口部側部分18の内径が、前記内部材5のフランジ部12の外径よりも若干、広くされ、外部材6の底部側部分19の内径が、前記内部材5の外径よりも若干、広くされて、外部材6の開口部側部分18の内径がその底部側部分19の内径よりも大きくなっており、外部材6内には、その全周に亘ってその開口部側部分18と底部側部分19との間において段部20が形成されている。これにより、外部材6の開口部側部分18に内部材5のフランジ部12が嵌挿され、それに伴い、外部材6の底部側部分19内に内部材5自体も嵌挿されている。このとき、段部20は、前記ラチェット歯15群に対して対向された配置状態となる。尚、図9中、符号21は、外部材6の底部側部分19の周壁に突設された指掛け部であり、この指掛け部21により、外部材6の回動操作は容易となる。
【0024】
この外部材6には、開口部側部分18において、図2、図10、図12、図13に示すように、一対の係止脚部22が形成されている。各係止脚部22は、外部材6の開口部側部分18にその開口端から一対のスリットを入れることにより、片持ち状の撓み片として形成されており、その各係止脚部22の自由端部には、爪部22aが外部材6の径方向内方に向けてそれぞれ設けられている。この両係止脚部22は、互いに対向した状態で配置されている。
これにより、内部材5に外部材6が嵌挿されるに伴い、両係止脚部22の爪部22aは、内部材5におけるフランジ部12の面のうち、内部材5の軸心方向一端側を向いた面に係止され、外部材6は、内部材5に対して相対回転可能な状態で該内部材5から離間することが規制されている(図2参照)。
【0025】
また、外部材6には、内部材5内における前記段部20を利用して、前述のラチェット歯15群と協働してラチェット機構14を構成すべく、一対のラチェット爪23が形成されている。各ラチェット爪23は、段部20の一部及び外部材6の一部を切り欠くことにより、片持ち状の撓み片として形成されており、その各ラチェット爪23は、段部20の一部として、前記一対の係止脚部22の間にそれぞれ配置されている。各ラチェット爪23は、段部20の周方向(外部材6の周方向)に延びており、その段部20に連続する基端部を支点として、各ラチェット爪23の自由端部は、内部材5と外部材6の並設方向に撓み可能となっている。この場合、各ラチェット爪23における基端部から自由端部への向きは、前記スタッドボルト1に対する締結方向(右ねじ方向)とは逆方向とされている。図13〜図15において、符号24は、その各ラチェット爪23を撓み片としてその撓み動を確保するために外部材6の周壁に切り欠かれた窓であり、符号25は、各ラチェット爪23が外部材6の底部側に撓むために段部20に切り欠かれた切欠きである。
【0026】
各ラチェット爪23の自由端部には、図13、図15に示すように、外部材6の開口側に向けて爪部23aが突設されている。この爪部23aは、通常時(ラチェット爪23に外力が作用しないとき)には、段部20から外部材6の開口側に向けて突出されており、その爪部先端面23aaは、外部材6の周方向を向いた平坦面とされ、その爪部先端面23aaよりもラチェット爪23基端側の係止面23abは、その爪部先端面23aaからラチェット爪23基端側に向かうに従ってラチェット爪23の肉厚(外部材6の軸心方向の厚み)を徐々に薄くすることにより、傾斜されている。
【0027】
このような外部材6は、内部材5がその外部材6内に入り込んで係止脚部22とフランジ部12とが係止されているときには、各ラチェット爪23が前記ラチェット歯15群に噛み合っている(ラチェット歯15間の凹所に爪部23aが入り込んでいる状態)。このため、外部材6を、この状態からスタッドボルト1に対する締結解除方向L(図2参照)に回動させた場合には、各ラチェット爪23の爪部先端面23aaがラチェット歯15に係合して、外部材6と内部材5とが相対回転不能となり、外部材6と内部材5とは、スタッドボルト1の雄ねじ1bと各突出部10先端部の爪部10aとの螺合関係を利用することにより、スタッドボルト1の抜け方向に移動することになる。その一方、外部材6をスタッドボルト1に対する締結方向Rに回動させた場合には、所定のトルクを超えたとき、各ラチェット爪23における傾斜した係止面23ab(図15参照)がラチェット歯15に撓められ、これまで噛み合っていたラチェット歯15とラチェット爪23との噛み合い関係が解除され、その解除後は、ラチェット爪23の復帰力により、そのラチェット爪23は、隣り合うラチェット歯15に再び噛み合う。これにより、外部材6を回動させても、所定のトルクを超えて、内部材5が、スタッドボルト1に締結されないことになっている。このとき、ラチェット爪23とラチェット歯15との噛み合いの度に節度感を感じると共に、噛み合い音が生じることになっている。
【0028】
次に、上記留め具2の使用方法について説明する。
先ず、取付け基板としてのホイールハウス3の内面に取付け部材としての内張材4が、ホイールハウス3から植立されたスタッドボルト1を貫通した状態で配設され、留め具2として、外部材6と内部材5とを一体化(相対回転不能)したものが用意される。すなわち、留め具2は、外部材6内に内部材5が嵌挿され、これに伴い、内部材5のフランジ部に外部材6の係止脚部22が係止され、各ラチェット爪23はラチェット歯15に噛み合う状態となっている。
【0029】
その上で、留め具2を、その内部材5の軸心方向一端側開口からスタッドボルト1に押し込み、スタッドボルト1の外周面により各突出部10を撓ませつつ、着座用フランジ部8を内張材4上に移動させる(図2参照)。これにより、留め具2(内部材5)は、スライドという移動方法を取り得ることにより直ちに内張材4上に移動させることができ、留め具2とスタッドボルト1との螺合関係を利用して該留め具2を内張材4上に移動させる場合に比して作業性を高めることができる。
【0030】
着座用フランジ部8が内張材4上に着座されると、外部材6(指掛け部)を指で把持して、その外部材6を、図2に示すように、その外部材6の軸心を中心としてスタッドボルト1の締結方向Rに回動する。これにより、内部材5と外部材6との間で所定のトルクになるまで、内部材5はスタッドボルト1に締め付けられ、スタッドボルト1の頭部1aと内部材5とは内張材4を挟持する。
【0031】
内部材5と外部材6との間で所定のトルクを超えた場合には、ラチェット爪23とラチェット歯15群との噛み合いが解除されることになり、内部材5には、所定のトルクを超えたトルクは付与されない。このため、スタッドボルト1の頭部1aと留め具2(内部材5)とは、所定の締め付け力をもって内張材4を挟持する。このとき、可撓性を有する着座用フランジ部8が、内張材4上に的確に着座することになり、留め具2の締め付け力は、スタッドボルト1の頭部1aと内部材5との間の所望の挟持力として的確に伝達される。
【0032】
このように留め具2とスタッドボルト1を用いて内張材4がタイヤホイールハウス3内面に取付けられると、そのままの状態、或いは外部材6を内部材5から外した状態で使用される。
外部材6を内部材5から外す場合には、外部材6の係止脚部22と内部材5のフランジ部12との係止関係を解除することになるが、内部材5は、円筒形状を常に維持する筒材とされていることと、その複数の突出部10先端部の爪部10aとスタッドボルト1との係止関係とにより、独立してスタッドボルト1に保持され続けることになり、内部材5とスタッドボルト1の頭部1aとは、協働して内張材4を挟持し続ける。
【0033】
スタッドボルト1に留め具2(内部材5及び外部材6)が保持されたままの状態として使用する場合には、飛び石等が飛ぶ環境下において、外部材6が内部材5を保護することになる。仮に、飛び石等により外部材6が破損したとしても、内部材5がスタッドボルト1に保持され続け、内部材5とスタッドボルト1の頭部1aとは、協働して内張材4を挟持し続ける。
【0034】
一方、上記状態から留め具2(内部材5及び外部材6)を取り外す場合には、外部材6を指で把持して、その外部材6の軸心を中心としてその外部材6をスタッドボルト1の締結解除方向Lに回動する(図2参照)。これにより、外部材6と内部材5とが相対回転不能となり、その留め具2は、内部材5における複数の突出部10先端部の爪部10aとスタッドボルト1の雄ねじ1bとの螺合関係により、スタッドボルト1の抜け方向に移動し、スタッドボルト1の先端から取り外される。勿論、内部材5だけがスタッドボルト1に保持されている場合には、内部材5をスタッドボルト1の締結解除方向Lに回動させることにより取り外すことになる。
【0035】
したがって、当該留め具2を用いれば、スタッドボルト1の雄ねじ1bに内部材5における複数の突出部10先端部の爪部10aを螺合して所定のトルクを超えたときには、ラチェット機構14(ラチェット爪23及びラチェット歯15群)に基づき、内部材5と外部材6とが相対回転することになり、所定のトルクを超えた状態をもってスタッドボルト1に対して留め具2が締め付けられることを防止できる。
他方、スタッドボルト1に対して留め具2が所定の締め付け状態とされた後は、外部材6が存在しなくなっても、内部材5がスタッドボルト1に保持されてスタッドボルト1の頭部1aと内部材5とが内張材4とを挟持し続けることから、外部材6を内部材5から取り外す場合には、外部材6を他の留め具2に利用できることになり、部品点数の低減化を図る観点から好ましいものとなる。
また、外部材6を内部材5に取付けたまま使用する場合には、飛び石等から内部材5を外部材6により保護でき、仮に、外部材6が破損したとしても、内部材5とスタッドボルト1の頭部1aとにより内張材4を挟持し続けることができる。
【0036】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)一方の筒材を外部材6とし、他方の筒材を内部材5とすること。
(2)ラチェット爪23を内部材5に形成し、ラチェット歯15群、そのラチェット歯15群を設けるフランジ部等を外部材6に形成すること。
(3)ラチェット機構14を、外部材6の内周壁と内部材5の外周壁との間に設けること。
(4)ホイールハウス3に内張材4を取付ける場合の他、種々の取付け基板と取付け部材とに本発明に係る留め具を用いること。例えば、車両下回りを覆うアンダーカバーを車体に取付ける場合や、車両室内の内装材を車体に取付ける場合にも、本発明に係る留め具を用いることができる。
(5)取付け基板(実施形態ではホイールハウス3)に対するスタッドボルト1の取付け態様として、取付け基板の内面にスタッドボルト1の頭部1aを固着させることにより、そのスタッドボルト1を植立させる態様(実施形態の態様)をとる場合の他、取付け基板に対してスタッドボルト1を貫通させて、スタッドボルト1の頭部1aを取付け基板の外面に固着する一方、スタッドボルト1の軸部を取付け基板の内面側において植立させる態様をとること。
【0037】
本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【符号の説明】
【0038】
1 スタッドボルト
1a スタッドボルトの頭部
1b スタッドボルトの雄ねじ
2 留め具
5 内部材
6 外部材
8 着座用フランジ部
10 突出部
12 フランジ部
14 ラチェット機構
15 ラチェット歯
22 係止脚部
23 ラチェット爪
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドボルト等のボルトに対して係止させる留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドボルト等のボルトと留め具とを用いた取付け構造として、ボルトに対して留め具を係止し、その留め具とボルトの頭部側とで取付け部材を挟持するものが知られている。このような取付け構造に用いられる留め具としては、例えば特許文献1に示すように、内面にセレーションを有する円筒状の外部材と、その外部材内に嵌挿されると共に、その外面に外部材のセレーションに係合するためのセレーションが形成されている内部材と、を設け、その内部材として、折り曲げ可能な連結片をもって連結された一対の半割円筒体を、その連結片で折り曲げて互いに整合させることにより円筒体に形成したものが用いられている。このものによれば、使用に際して、内部材が、その連結片側から外部材に差し込まれてその開口側が外部に向くようにされ、その上で、その内部材内にボルトが差し込まれる。そして、外部材を回して内部材をボルトに締め付け、一定のトルク以上になったときには、外部材及び内部材のセレーション同士の係合が解除されて外部材が内部材に対して空転するようにされている。これにより、内部材に対するボルトの差し込みを容易にできると共に、ボルトに対する内部材の締め付け過ぎを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3873183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記留め具は、内部材と外部材とが常に協働して機能することになっており、外部材が取り除かれたり或いは破損して、内部材における一対の半割円筒体が互いに分離する状態に至ったときには、もはや、内部材とボルトとは螺合関係を維持することができず、内部材だけをもってボルトに対して所定の締め付け状態を維持できない。このため、部品点数の低減化、外力に対する配慮の点で十分とはいえない。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、ボルトに対する締め付けが所定状態を超えて締め付けられることを防止できると共に、内部材及び外部材のうち、ボルトの基端部側に配置される一方の筒材だけでボルトに対する所定の締め付け状態を維持できる留め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
筒形状の外部材と該外部材内に嵌挿される内部材とを備え、ボルト外周面の雄ねじに係合させて用いられる留め具であって、
前記内部材が、筒形状を常に維持する筒材とされ、
前記内部材及び外部材のうち、前記ボルトの基端部側に配置される一方の筒材の内周面側に、前記ボルトの雄ねじに対して螺合可能とされるねじ部が設けられ、
前記内部材と前記外部材との間に、ラチェット機構が介在され、
前記ラチェット機構は、前記ボルトに対する前記一方の筒材の締結方向において、所定のトルクを超えたときに該内部材と該外部材との相対回転を許容するように設定されている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2以下の記載の通りとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明(請求項1の発明)によれば、当該留め具を用いて、ボルトの雄ねじに一方の筒材のねじ部を螺合して所定のトルクを超えたときには、ラチェット機構に基づき、内部材と外部材とが相対回転することになり、所定のトルクを超えた状態をもってボルトに対して留め具が締め付けられることを防止できる。
他方、ボルトに対して当該留め具が所定の締め付け状態とされた後は、内部材及び外部材のうち、ボルトの基端部側から遠い側に配置される他方の筒材が存在しなくなっても、内部材及び外部材のいずれもが筒形状を常に維持する筒材とされて、一方の筒材も同じ形状構造となっていることから、一方の筒材だけでボルトに対して所定の締め付け状態を維持できる。これにより、他方の筒材を、共用部品として、他の留め具(他の留め具における一方の筒材)に利用でき、部品点数の低減化を図ることができる。また、一方の筒材に他方の筒材を保持して使用する場合には、他方の筒材をもって一方の筒材を保護できると共に、その結果、他方の筒材が何らかの外力(例えば飛び石等)により破損して存在しなくなっても、一方の筒材だけでボルトに対して所定の締め付け状態を維持できる。
【0008】
請求項2の発明によれば、内部材の外周面又は外部材の内周面の一方に、フランジ部が張り出され、内部材の外周面又は外部材の内周面の他方に、フランジ部に係止されて外部材と内部材とが離間する方向に移動することを規制する係止脚部が設けられていることから、一方の筒材に他方の筒材を保持して用いる構造となり、他方の筒材をもって一方の筒材を保護できると共に、その結果、他方の筒材が何らかの外力(例えば飛び石等)により破損して存在しなくなっても、一方の筒材だけでボルトに対して所定の締め付け状態を維持できる。このため、信頼性の高い留め具とすることができる。
また、一方の筒材に他方の筒材を保持して用いることができ、作業を容易にすることができる。
【0009】
請求項3の発明によれば、ラチェット機構が、フランジ部面上に全周に亘って所定間隔毎に形成されるラチェット歯群と、外部材及び内部材のうち、係止脚部が設けられる部材に、ラチェット歯群に対向する部分において撓み可能に設けられて通常時はラチェット歯群に噛み合っているラチェット爪と、を備えていることから、フランジ部と係止脚部との係止関係に基づく一方の筒材と他方の筒材との離間方向の移動規制を利用して、ラチェット歯群に対するラチェット爪の作動(撓み動等)を円滑に行わせることができる。
また、撓み性(ばね性)を有するラチェット爪と係止脚部とがフランジ部を挟持することになり、内部材と外部材(一方の筒材と他方の筒材)とががたつくことを抑制できる。
【0010】
請求項4の発明によれば、一方の筒材の外側端部外周面に、着座用フランジ部が設けられ、着座用フランジ部が、一方の筒材の軸心方向外方に向かうに従って一方の筒材の径方向外方に拡径されるように設定されていることから、取付け部材に着座用フランジ部がその形状に基づく可撓性等を利用して的確に着座することになり、取付け部材に所望の締結力を付与して取付け部材ががたつくことを抑制できる。
【0011】
請求項5の発明によれば、着座用フランジ部に、径方向外方側から径方向内方側に向けて切り欠きが形成されていることから、可撓性を高めることができ、前述の請求項4の作用効果を、一層、高めることができる。
【0012】
請求項6の発明によれば、ねじ部が、一方の筒材内周面から撓み可能な状態で突出する複数の突出部の先端部に形成され、各突出部が、一方の筒材の径方向内方に向かうに従ってボルトの基端部から遠のくように傾斜されていることから、ボルトに対して当該留め具を、複数の突出部を撓ませつつ押し込むことができ、一方の筒材の外側端面を取付け部材に直ちに着座させて、作業性を高めることができる。
しかもこの場合、一方の筒材の内周面に、一方の筒材の周回り方向において、各突出部と互い違いに配設されて一方の筒材とボルトとの位置関係を案内するための複数のガイド部が設けられていることから、複数の突出部がボルトを一方の筒材の径方向外方側から支える負担を減らすことができ、複数の突出部の撓み性を高めることができる。このため、ボルトに対する当該留め具の押し込み作業を一層、容易にして、作業性を高めることができる。
【0013】
請求項7の発明によれば、ホイールハウスの内面に内張材を取り付けるものとして、用いられることから、飛び石等の外力が働く環境下でも、他方の筒材をもって一方の筒材を保護できると共に、その結果、他方の筒材が飛び石等により破損して存在しなくなっても、一方の筒材だけで内張材をホイールハウスの内面に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る留め具を示す一部破断斜視図。
【図2】実施形態に係る留め具を示す一部破断正面図。
【図3】図2のX3−X3線断面図。
【図4】実施形態に係る内部材を示す斜視図。
【図5】実施形態に係る内部材を示す正面図。
【図6】図5の平面図。
【図7】図5のX7−X7線断面図。
【図8】図7の要部拡大図。
【図9】実施形態に係る外部材を示す斜視図。
【図10】実施形態に係る外部材を示す平面図。
【図11】実施形態に係る外部材を示す正面図。
【図12】実施形態に係る外部材の裏面を示す図。
【図13】図10のX13−X13線断面図。
【図14】図11のX14−X14線断面図。
【図15】図13の要部拡大図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付した図面を参照しつつ説明する。
図1〜図3は、ボルトとしてのスタッドボルト1、実施形態に係る留め具2を利用して、取付け基板としてのホイールハウス3の内面に取付け部材としての内張材4を取付けた状態を示している。具体的に説明すれば、ホイールハウス3の内面には、ボルトとしてのスタッドボルト1が植立されていると共に、内張材4がホイールハウス3内面を覆うようにして配設され、スタッドボルト1は、その内張材4に予め形成されている孔4aを貫通してホイールハウス3内面から離間する方向に延びている。このスタッドボルト1には、実施形態に係る留め具2が貫通された状態で保持(係止)されており、この留め具2とスタッドボルト1の基端部としての頭部1aとが、協働して、内張材4を挟持している。
【0016】
前記留め具2は、図1〜図3に示すように、樹脂製(例えばポリアセタール)の内部材5と外部材6の2部品からなる。
【0017】
前記内部材5は、図4〜図7に示すように、円筒形状を常に維持する筒材(一方の筒材)として一体形成されている。この内部材5内には、その軸心方向に延びるようにして貫通孔7が形成されており、その貫通孔7は、内部材5の軸心方向両側から外部に開口されている。この場合、貫通孔7の軸心方向一端側開口は、内部材5を一方の筒材とすべく、その軸心方向他端側開口よりも縮径され、その軸心方向一端側(図7中、下側)開口から貫通孔7内にスタッドボルト1が遊嵌されている(図1、図3参照)。
【0018】
内部材5の軸心方向一端部外周面には、着座用フランジ部8が形成されている。この着座用フランジ部8は、内部材5の軸心方向一端側外方に向かうに従って該内部材5の径方向外方に拡径されるように形成されており、着座用フランジ部8の外周縁部は、内部材5の軸心方向一端部よりも該内部材5の軸心方向外方に位置されている。これにより、着座用フランジ部8は、樹脂製に基づく可撓性に加えて、着座用フランジ部8の形状に基づき、内部材5は、一方の筒材として内張材4上に、スタッドボルト1に貫通された状態で的確に着座される。この場合、着座用フランジ部8には、図4の仮想線に示すように、内部材5の径方向外方側から径方向内方側に向けて切り欠かれる複数の切欠き9を形成してもよい。これにより、着座用フランジ部8には、さらに切欠き9に基づく可撓性が加わることになり、内部材5は、内張材4上に一層的確に着座されることになる。
【0019】
内部材5の軸心方向一端側内周面には、図7、図8に示すように、複数の突出部10が設けられている。各突出部10は、内部材5の内周面から撓み可能な状態で突出されており、各突出部10は、内部材5の径方向内方に向かうに従って内部材5の軸心方向他端側(軸心方向内方(図7中、上側))に向かうように傾斜されている。この各突出部10の先端部には、前記スタッドボルト1の雄ねじ1b(スタッドボルト1の外周面をもって示す)に係止するための爪部10aがそれぞれ形成されており、この複数の突出部10先端部における爪部10aは、雌ねじ部(ねじ部)を構成している。
このため、この内部材5においては、複数の突出部10先端部における爪部10aをスタッドボルト1に対して螺合させることにより、着座用フランジ部8を内張材4上に移動させることができると共に、スタッドボルト1を貫通孔7内に、その軸心方向一端側開口から押し込んで、スタッドボルト1の外周面により各突出部10を撓ませつつ、着座用フランジ部8を内張材4上に移動できる。また、着座用フランジ部8が内張材4上に着座されると、複数の各突出部10の傾斜、その各爪部10aと雄ねじ1bとの係止関係により、内部材5がスタッドボルト1の抜け方向(図2、図3中、上方向)に移動することが規制され、複数の突出部10先端部における爪部とスタッドボルト1における雄ねじ1aとの螺合関係を利用して、内部材5をその軸心を中心として回転させてスタッドボルト1の先端側に移動させない限り、内部材5は、スタッドボルト1から取り外すことはできない。
内部材5は、このような複数の突出部10先端部における爪部10aとスタッドボルト1との関係を利用することにより、その着座用フランジ部8が内張材4上に着座され、スタッドボルト1からの抜け方向の移動が規制された状態となっており、これにより、内部材5とスタッドボルトの基端部としての頭部1aとは、内張材4を挟持している。
【0020】
内部材5の内周面には、複数のガイド部11が設けられている。この複数のガイド部11は、内部材5の周回り方向に各突出部10と互い違いに配設されて、内部材5の軸心方向全長に亘って延びており、この各ガイド部11により、内部材5とスタッドボルト1との位置関係(内部材5の径方向における位置関係)が案内(決定)されることになっている。
【0021】
内部材5の外周面には、その内部材5の軸心方向内方側において、フランジ部12が径方向外方に張り出すように全周に亘って設けられている。フランジ部12は、内部材5の軸心方向両側に向けた面12a,12bを有しており、そのうち、内部材5の軸心方向一端側を向いた面12aは、平坦面として形成されている。このフランジ部12と前記着座用フランジ部8との間には、一定の間隔があけられており、フランジ部12と着座用フランジ部8との間には溝状の空間13が形成されている。
【0022】
フランジ部12の面のうち、内部材5の軸心方向他端側を向いた面12b上には、ラチェット機構14の構成要素として複数のラチェット歯15群(フランジ面12b上の複数の凸部)が設けられている。複数のラチェット歯15群は、フランジ部12の面12bの全周に亘って所定間隔毎に配置されている。
【0023】
前記外部材(他方の筒材)6は、図9に示すように、有底円筒形状に形成され、その底部16には、前記スタッドボルト1が貫通するための孔17が形成されている。具体的には、外部材6の開口部側部分18の内径が、前記内部材5のフランジ部12の外径よりも若干、広くされ、外部材6の底部側部分19の内径が、前記内部材5の外径よりも若干、広くされて、外部材6の開口部側部分18の内径がその底部側部分19の内径よりも大きくなっており、外部材6内には、その全周に亘ってその開口部側部分18と底部側部分19との間において段部20が形成されている。これにより、外部材6の開口部側部分18に内部材5のフランジ部12が嵌挿され、それに伴い、外部材6の底部側部分19内に内部材5自体も嵌挿されている。このとき、段部20は、前記ラチェット歯15群に対して対向された配置状態となる。尚、図9中、符号21は、外部材6の底部側部分19の周壁に突設された指掛け部であり、この指掛け部21により、外部材6の回動操作は容易となる。
【0024】
この外部材6には、開口部側部分18において、図2、図10、図12、図13に示すように、一対の係止脚部22が形成されている。各係止脚部22は、外部材6の開口部側部分18にその開口端から一対のスリットを入れることにより、片持ち状の撓み片として形成されており、その各係止脚部22の自由端部には、爪部22aが外部材6の径方向内方に向けてそれぞれ設けられている。この両係止脚部22は、互いに対向した状態で配置されている。
これにより、内部材5に外部材6が嵌挿されるに伴い、両係止脚部22の爪部22aは、内部材5におけるフランジ部12の面のうち、内部材5の軸心方向一端側を向いた面に係止され、外部材6は、内部材5に対して相対回転可能な状態で該内部材5から離間することが規制されている(図2参照)。
【0025】
また、外部材6には、内部材5内における前記段部20を利用して、前述のラチェット歯15群と協働してラチェット機構14を構成すべく、一対のラチェット爪23が形成されている。各ラチェット爪23は、段部20の一部及び外部材6の一部を切り欠くことにより、片持ち状の撓み片として形成されており、その各ラチェット爪23は、段部20の一部として、前記一対の係止脚部22の間にそれぞれ配置されている。各ラチェット爪23は、段部20の周方向(外部材6の周方向)に延びており、その段部20に連続する基端部を支点として、各ラチェット爪23の自由端部は、内部材5と外部材6の並設方向に撓み可能となっている。この場合、各ラチェット爪23における基端部から自由端部への向きは、前記スタッドボルト1に対する締結方向(右ねじ方向)とは逆方向とされている。図13〜図15において、符号24は、その各ラチェット爪23を撓み片としてその撓み動を確保するために外部材6の周壁に切り欠かれた窓であり、符号25は、各ラチェット爪23が外部材6の底部側に撓むために段部20に切り欠かれた切欠きである。
【0026】
各ラチェット爪23の自由端部には、図13、図15に示すように、外部材6の開口側に向けて爪部23aが突設されている。この爪部23aは、通常時(ラチェット爪23に外力が作用しないとき)には、段部20から外部材6の開口側に向けて突出されており、その爪部先端面23aaは、外部材6の周方向を向いた平坦面とされ、その爪部先端面23aaよりもラチェット爪23基端側の係止面23abは、その爪部先端面23aaからラチェット爪23基端側に向かうに従ってラチェット爪23の肉厚(外部材6の軸心方向の厚み)を徐々に薄くすることにより、傾斜されている。
【0027】
このような外部材6は、内部材5がその外部材6内に入り込んで係止脚部22とフランジ部12とが係止されているときには、各ラチェット爪23が前記ラチェット歯15群に噛み合っている(ラチェット歯15間の凹所に爪部23aが入り込んでいる状態)。このため、外部材6を、この状態からスタッドボルト1に対する締結解除方向L(図2参照)に回動させた場合には、各ラチェット爪23の爪部先端面23aaがラチェット歯15に係合して、外部材6と内部材5とが相対回転不能となり、外部材6と内部材5とは、スタッドボルト1の雄ねじ1bと各突出部10先端部の爪部10aとの螺合関係を利用することにより、スタッドボルト1の抜け方向に移動することになる。その一方、外部材6をスタッドボルト1に対する締結方向Rに回動させた場合には、所定のトルクを超えたとき、各ラチェット爪23における傾斜した係止面23ab(図15参照)がラチェット歯15に撓められ、これまで噛み合っていたラチェット歯15とラチェット爪23との噛み合い関係が解除され、その解除後は、ラチェット爪23の復帰力により、そのラチェット爪23は、隣り合うラチェット歯15に再び噛み合う。これにより、外部材6を回動させても、所定のトルクを超えて、内部材5が、スタッドボルト1に締結されないことになっている。このとき、ラチェット爪23とラチェット歯15との噛み合いの度に節度感を感じると共に、噛み合い音が生じることになっている。
【0028】
次に、上記留め具2の使用方法について説明する。
先ず、取付け基板としてのホイールハウス3の内面に取付け部材としての内張材4が、ホイールハウス3から植立されたスタッドボルト1を貫通した状態で配設され、留め具2として、外部材6と内部材5とを一体化(相対回転不能)したものが用意される。すなわち、留め具2は、外部材6内に内部材5が嵌挿され、これに伴い、内部材5のフランジ部に外部材6の係止脚部22が係止され、各ラチェット爪23はラチェット歯15に噛み合う状態となっている。
【0029】
その上で、留め具2を、その内部材5の軸心方向一端側開口からスタッドボルト1に押し込み、スタッドボルト1の外周面により各突出部10を撓ませつつ、着座用フランジ部8を内張材4上に移動させる(図2参照)。これにより、留め具2(内部材5)は、スライドという移動方法を取り得ることにより直ちに内張材4上に移動させることができ、留め具2とスタッドボルト1との螺合関係を利用して該留め具2を内張材4上に移動させる場合に比して作業性を高めることができる。
【0030】
着座用フランジ部8が内張材4上に着座されると、外部材6(指掛け部)を指で把持して、その外部材6を、図2に示すように、その外部材6の軸心を中心としてスタッドボルト1の締結方向Rに回動する。これにより、内部材5と外部材6との間で所定のトルクになるまで、内部材5はスタッドボルト1に締め付けられ、スタッドボルト1の頭部1aと内部材5とは内張材4を挟持する。
【0031】
内部材5と外部材6との間で所定のトルクを超えた場合には、ラチェット爪23とラチェット歯15群との噛み合いが解除されることになり、内部材5には、所定のトルクを超えたトルクは付与されない。このため、スタッドボルト1の頭部1aと留め具2(内部材5)とは、所定の締め付け力をもって内張材4を挟持する。このとき、可撓性を有する着座用フランジ部8が、内張材4上に的確に着座することになり、留め具2の締め付け力は、スタッドボルト1の頭部1aと内部材5との間の所望の挟持力として的確に伝達される。
【0032】
このように留め具2とスタッドボルト1を用いて内張材4がタイヤホイールハウス3内面に取付けられると、そのままの状態、或いは外部材6を内部材5から外した状態で使用される。
外部材6を内部材5から外す場合には、外部材6の係止脚部22と内部材5のフランジ部12との係止関係を解除することになるが、内部材5は、円筒形状を常に維持する筒材とされていることと、その複数の突出部10先端部の爪部10aとスタッドボルト1との係止関係とにより、独立してスタッドボルト1に保持され続けることになり、内部材5とスタッドボルト1の頭部1aとは、協働して内張材4を挟持し続ける。
【0033】
スタッドボルト1に留め具2(内部材5及び外部材6)が保持されたままの状態として使用する場合には、飛び石等が飛ぶ環境下において、外部材6が内部材5を保護することになる。仮に、飛び石等により外部材6が破損したとしても、内部材5がスタッドボルト1に保持され続け、内部材5とスタッドボルト1の頭部1aとは、協働して内張材4を挟持し続ける。
【0034】
一方、上記状態から留め具2(内部材5及び外部材6)を取り外す場合には、外部材6を指で把持して、その外部材6の軸心を中心としてその外部材6をスタッドボルト1の締結解除方向Lに回動する(図2参照)。これにより、外部材6と内部材5とが相対回転不能となり、その留め具2は、内部材5における複数の突出部10先端部の爪部10aとスタッドボルト1の雄ねじ1bとの螺合関係により、スタッドボルト1の抜け方向に移動し、スタッドボルト1の先端から取り外される。勿論、内部材5だけがスタッドボルト1に保持されている場合には、内部材5をスタッドボルト1の締結解除方向Lに回動させることにより取り外すことになる。
【0035】
したがって、当該留め具2を用いれば、スタッドボルト1の雄ねじ1bに内部材5における複数の突出部10先端部の爪部10aを螺合して所定のトルクを超えたときには、ラチェット機構14(ラチェット爪23及びラチェット歯15群)に基づき、内部材5と外部材6とが相対回転することになり、所定のトルクを超えた状態をもってスタッドボルト1に対して留め具2が締め付けられることを防止できる。
他方、スタッドボルト1に対して留め具2が所定の締め付け状態とされた後は、外部材6が存在しなくなっても、内部材5がスタッドボルト1に保持されてスタッドボルト1の頭部1aと内部材5とが内張材4とを挟持し続けることから、外部材6を内部材5から取り外す場合には、外部材6を他の留め具2に利用できることになり、部品点数の低減化を図る観点から好ましいものとなる。
また、外部材6を内部材5に取付けたまま使用する場合には、飛び石等から内部材5を外部材6により保護でき、仮に、外部材6が破損したとしても、内部材5とスタッドボルト1の頭部1aとにより内張材4を挟持し続けることができる。
【0036】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)一方の筒材を外部材6とし、他方の筒材を内部材5とすること。
(2)ラチェット爪23を内部材5に形成し、ラチェット歯15群、そのラチェット歯15群を設けるフランジ部等を外部材6に形成すること。
(3)ラチェット機構14を、外部材6の内周壁と内部材5の外周壁との間に設けること。
(4)ホイールハウス3に内張材4を取付ける場合の他、種々の取付け基板と取付け部材とに本発明に係る留め具を用いること。例えば、車両下回りを覆うアンダーカバーを車体に取付ける場合や、車両室内の内装材を車体に取付ける場合にも、本発明に係る留め具を用いることができる。
(5)取付け基板(実施形態ではホイールハウス3)に対するスタッドボルト1の取付け態様として、取付け基板の内面にスタッドボルト1の頭部1aを固着させることにより、そのスタッドボルト1を植立させる態様(実施形態の態様)をとる場合の他、取付け基板に対してスタッドボルト1を貫通させて、スタッドボルト1の頭部1aを取付け基板の外面に固着する一方、スタッドボルト1の軸部を取付け基板の内面側において植立させる態様をとること。
【0037】
本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【符号の説明】
【0038】
1 スタッドボルト
1a スタッドボルトの頭部
1b スタッドボルトの雄ねじ
2 留め具
5 内部材
6 外部材
8 着座用フランジ部
10 突出部
12 フランジ部
14 ラチェット機構
15 ラチェット歯
22 係止脚部
23 ラチェット爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の外部材と該外部材内に嵌挿される内部材とを備え、ボルト外周面の雄ねじに係合させて用いられる留め具であって、
前記内部材が、筒形状を常に維持する筒材とされ、
前記内部材及び外部材のうち、前記ボルトの基端部側に配置される一方の筒材の内周面側に、前記ボルトの雄ねじに対して螺合可能とされるねじ部が設けられ、
前記内部材と前記外部材との間に、ラチェット機構が介在され、
前記ラチェット機構は、前記ボルトに対する前記一方の筒材の締結方向において、所定のトルクを超えたときに該内部材と該外部材との相対回転を許容するように設定されている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項2】
請求項1において、
前記内部材の外周面又は前記外部材の内周面の一方に、フランジ部が張り出され、
前記内部材の外周面又は前記外部材の内周面の他方に、前記フランジ部に係止されて該外部材と該内部材とが離間する方向に移動することを規制する係止脚部が設けられている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項3】
請求項2において、
前記ラチェット機構が、前記フランジ部面上に全周に亘って所定間隔毎に形成されるラチェット歯群と、前記外部材及び内部材のうち、前記係止脚部が設けられる部材に、前記ラチェット歯群に対向する部分において撓み可能に設けられて通常時は該ラチェット歯群に噛み合っているラチェット爪と、を備えている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項4】
請求項1において、
前記一方の筒材の外側端部外周面に、着座用フランジ部が設けられ、
前記着座用フランジ部が、前記一方の筒材の軸心方向外方に向かうに従って該一方の筒材の径方向外方に拡径されるように設定されている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項5】
請求項4において、
前記着座用フランジ部に、前記一方の筒材の径方向外方側から径方向内方側に向けて切り欠きが形成されている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項6】
請求項1において、
前記ねじ部が、前記一方の筒材内周面から撓み可能な状態で突出する複数の突出部の先端部に形成され、
前記各突出部が、前記一方の筒材の径方向内方に向かうに従って前記ボルトの基端部から遠のくように傾斜され、
前記一方の筒材の内周面には、該一方の筒材の周回り方向において、前記各突出部と互い違いに配設されて該一方の筒材と前記ボルトとの位置関係を案内する複数のガイド部が設けられている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項において、
ホイールハウスの内面に内張材を取り付けるものとして、用いられる、
ことを特徴とする留め具。
【請求項1】
筒形状の外部材と該外部材内に嵌挿される内部材とを備え、ボルト外周面の雄ねじに係合させて用いられる留め具であって、
前記内部材が、筒形状を常に維持する筒材とされ、
前記内部材及び外部材のうち、前記ボルトの基端部側に配置される一方の筒材の内周面側に、前記ボルトの雄ねじに対して螺合可能とされるねじ部が設けられ、
前記内部材と前記外部材との間に、ラチェット機構が介在され、
前記ラチェット機構は、前記ボルトに対する前記一方の筒材の締結方向において、所定のトルクを超えたときに該内部材と該外部材との相対回転を許容するように設定されている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項2】
請求項1において、
前記内部材の外周面又は前記外部材の内周面の一方に、フランジ部が張り出され、
前記内部材の外周面又は前記外部材の内周面の他方に、前記フランジ部に係止されて該外部材と該内部材とが離間する方向に移動することを規制する係止脚部が設けられている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項3】
請求項2において、
前記ラチェット機構が、前記フランジ部面上に全周に亘って所定間隔毎に形成されるラチェット歯群と、前記外部材及び内部材のうち、前記係止脚部が設けられる部材に、前記ラチェット歯群に対向する部分において撓み可能に設けられて通常時は該ラチェット歯群に噛み合っているラチェット爪と、を備えている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項4】
請求項1において、
前記一方の筒材の外側端部外周面に、着座用フランジ部が設けられ、
前記着座用フランジ部が、前記一方の筒材の軸心方向外方に向かうに従って該一方の筒材の径方向外方に拡径されるように設定されている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項5】
請求項4において、
前記着座用フランジ部に、前記一方の筒材の径方向外方側から径方向内方側に向けて切り欠きが形成されている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項6】
請求項1において、
前記ねじ部が、前記一方の筒材内周面から撓み可能な状態で突出する複数の突出部の先端部に形成され、
前記各突出部が、前記一方の筒材の径方向内方に向かうに従って前記ボルトの基端部から遠のくように傾斜され、
前記一方の筒材の内周面には、該一方の筒材の周回り方向において、前記各突出部と互い違いに配設されて該一方の筒材と前記ボルトとの位置関係を案内する複数のガイド部が設けられている、
ことを特徴とする留め具。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項において、
ホイールハウスの内面に内張材を取り付けるものとして、用いられる、
ことを特徴とする留め具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−61036(P2013−61036A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200827(P2011−200827)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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