説明

留置針装置及びストッパー

【課題】簡単な構造で血液の流路を閉塞させることができる機構を備えた留置針装置を提供する。
【解決手段】ハブ40の前端に硬質の内針50が固定され、その後端に可撓性を有するチューブ60が接続されている。ハブは、内針が外針30の先端から突出するようにシールド20の前端側に位置する初期位置と、内針がシールド内に収納されるようにシールドの後端側に位置する後退位置とに変位する。シールドの後端からストッパー170がシールド内に挿抜される。ストッパーの挿入部72を、その先端が初期位置にあるハブに当接するようにシールド内に挿入したときにシールド外に位置するストッパーの後端部分171に、チューブの流路が閉塞するようにチューブを押し潰すクランプ機構が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質の外針と硬質の内針とを備え、外針の先端から内針の先端を突出させた状態で患者に穿刺し、その後、内針を外針から後退させることができるように構成された留置針装置に関する。また、本発明は、このような留置針装置に使用されるストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
留置針装置は、輸液、輸血、体外血液循環などの処置に広く使用される。このような処置において、金属針を血管内に留置すると血管が傷付けられる可能性がある。そこで、軟質の外針と硬質の内針とを備えた留置針装置が知られている。外針の先端から内針の先端を突出させた状態で外針及び内針を患者の血管に穿刺し、その後、内針を外針から後退させ、外針のみを患者に留置する。留置された軟質の外針は患者の血管を傷付ける可能性は低い。
【0003】
図17は、このような従来の留置針装置900(例えば特許文献1参照)の一例の上方から見た斜視図、図18は、図17の18−18線を含む垂直面に沿った従来の留置針装置900の矢視断面図である。説明の便宜のため、患者に穿刺する側(図17、図18の紙面の左側)を「前側」、これと反対側を「後側」と呼ぶ。
【0004】
留置針装置900は、略円筒形状を有するシールド筒921と、その一端(前端)に固定された外ハブ925とを含むシールド920を備える。外ハブ925の前端に軟質の外針930が固定されている。
【0005】
シールド筒921の外ハブ925側端近傍の外周面に一対の翼929a,929bが設けられている。翼929a,929bは柔軟性を有しており、上下に揺動可能である。
【0006】
シールド920の内腔内にはハブ940が、シールド920の長手方向(即ち、前後方向)に移動可能に挿入されている。ハブ940の前端には金属製の硬質の内針950が固定され、ハブ940の後端には柔軟なチューブ960の一端が接続されている。内針950とチューブ960とは、ハブ940を前後方向に貫通する縦貫路943を介して連通している。
【0007】
図17、図18では、ハブ940はシールド920の内腔の前端側に位置している。シールド920に対するハブ940のこの位置を「初期位置」と呼ぶ。初期位置では、ハブ940に保持された内針950は外針930を貫通し、内針950の先端は外針930の先端から外部に突出している。
【0008】
ハブ940を初期位置に保持するために、ストッパー970が用いられる。図19はストッパー970の斜視図である。略半円筒形状の基部971から、略半円筒形状の挿入部972及び一対の固定部973が延びている。挿入部972は一対の固定部973の間に配置され、これらは互いに平行である。
【0009】
図18に示されているように、シールド筒921の後端から、ストッパー970の挿入部972を挿入する。挿入部972の先端をハブ940の後端に衝突させてハブ940を前側に押し込むことにより、ハブ940を初期位置に配置することができる。
【0010】
ハブ940を初期位置に保持したまま、内針950及び外針930を患者の血管に穿刺する。即ち、シールド920に対してストッパー970が変位しないように留置針装置900を保持しながら、留置針装置900を穿刺する。
【0011】
その後、シールド920からストッパー970を抜き去り、続いてシールド920からチューブ960を引っ張る。チューブ960とともにハブ940及び内針950がシールド920に対して後方に移動し、図20に示すように、内針950がシールド920内に収納される。図20に示したシールド920に対するハブ940の位置を「後退位置」と呼ぶ。この状態で粘着テープ等を用いて留置針装置900を患者に固定する。軟質の外針930のみが患者に穿刺された状態で留置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4506834号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
留置針装置900の内針950及び外針930が患者の血管に正しく穿刺されたことは、シールド筒921及びチューブ960内に血液が流入することを目視することで確認することができる。その一方で、留置針装置900内への血液の流入を放置しておくと、漏血の危険が高まる。従って、留置針装置900内へ血液がある程度流入した時点で、血液の流入を止める必要がある。
【0014】
このような血液の流入を停止する方法として、従来は、チューブ960内の流路を押しつぶして閉塞させるためのクランプを留置針装置900とは別にチューブ960上に設ける方法や、気体は通過させるが、液体(血液)は通過させない疎水性フィルタを留置針装置900内の血液の流路上に設ける方法などが知られている。
【0015】
しかしながら、留置針装置900とは別にチューブ960上にクランプを設ける方法は、留置針装置900とは別にクランプが必要であるので、血液回路を構成する部品点数が増加し、コストが上昇するという課題を有している。また、クランプと留置針装置900とが遠く離れるので、留置針装置900の穿刺作業とクランプの開閉操作とを連続的に効率よく行うことが困難であるという課題を有している。
【0016】
また、血液の流路上に疎水性フィルタを設ける方法は、留置針装置の部品点数の増加、留置針装置の組み立て工数の増加、留置針装置の構造の複雑化等を招き、留置針装置のコストが上昇するという課題を有している。
【0017】
本発明は、上記の従来の課題を解決し、簡単な構造で血液の流路を閉塞させることができる機構を備えた留置針装置を提供することを目的とする。また、本発明は、簡単な構造で血液の流路を閉塞させることができる機構を備えた留置針装置用ストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の留置針装置は、内腔を有するシールドと、前記シールドの前端に固定された軟質の外針と、前記シールドの前記内腔内に配置され、前記シールドの長手方向に移動可能なハブと、前記ハブの前端に固定された硬質の内針と、前記ハブの後端に接続され、内部に流路が形成された可撓性を有するチューブと、前記シールドの前記内腔に、前記シールドの後端から挿抜されるストッパーとを備える。前記ハブが前記シールドの前記内腔の前端側に位置し且つ前記内針が前記外針を貫通して前記外針の先端から突出する初期位置と、前記ハブが前記シールドの前記内腔の後端側に位置し且つ前記内針が前記シールドの前記内腔内に収納される後退位置とに前記ハブが変位する。前記ストッパーは、前記シールドの前記内腔内に挿入される挿入部と、前記挿入部を前記シールドの前記内腔内に挿入し且つその先端を前記初期位置にある前記ハブに当接させたときに前記シールド外に位置する後端部分とを備える。前記後端部分に、前記チューブの前記流路が閉塞するように前記チューブを押し潰すクランプ機構が設けられている。
【0019】
本発明のストッパーは、内腔を有するシールドと、前記シールドの前端に固定された軟質の外針と、前記シールドの前記内腔内に配置され、前記シールドの長手方向に移動可能なハブと、前記ハブの前端に固定された硬質の内針と、前記ハブの後端に接続され、内部に流路が形成された可撓性を有するチューブとを備え、前記ハブが前記シールドの前記内腔の前端側に位置し且つ前記内針が前記外針を貫通して前記外針の先端から突出する初期位置と、前記ハブが前記シールドの前記内腔の後端側に位置し且つ前記内針が前記シールドの前記内腔内に収納される後退位置とに前記ハブが変位する留置針装置の前記内腔に、前記シールドの後端から挿抜されるストッパーである。前記ストッパーは、前記シールドの前記内腔内に挿入される挿入部と、前記挿入部を前記シールドの前記内腔内に挿入し且つその先端を前記初期位置にある前記ハブに当接させたときに前記シールド外に位置する後端部分とを備える。前記後端部分に、前記チューブの前記流路が閉塞するように前記チューブを押し潰すクランプ機構が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ストッパーのシールド外に位置する部分(後端部分)に、チューブの流路が閉塞するようにチューブを押し潰すクランプ機構が設けられている。これにより、部品点数や組み立て工数を増加させることなく、簡単な構造で、チューブの流路を閉塞させることができる。また、クランプ機構が留置針装置を構成するストッパーに設けられているので、留置針装置の穿刺作業とチューブの流路の開閉操作とを連続的に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態1にかかる留置針装置の上方から見た斜視図である。
【図1B】図1Bは、本発明の実施形態1にかかる留置針装置の下方から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1の2−2線を含む垂直面に沿った本発明の実施形態1にかかる留置針装置の矢視断面図である。
【図3】図3Aは、本発明の実施形態1にかかる留置針装置に用いられるハブの斜視図、図3Bは図3Aの3B−3B線を含む面に沿ったハブの矢視断面図、図3Cは図3Aの3C−3C線を含む面に沿ったハブの矢視断面図である。
【図4】図4Aは本発明の実施形態1にかかる留置針装置に用いられるストッパーの上方から見た斜視図、図4Bはその下方から見た斜視図である。
【図5】図5Aは本発明の実施形態1にかかる留置針装置に用いられるストッパーの平面図、図5Bは図5Aの5B−5B線を含む垂直面に沿った本発明の実施形態1にかかる留置針装置に用いられるストッパーの矢視断面図、図5Cは本発明の実施形態1にかかる留置針装置に用いられるストッパーの底面図である。
【図6】図6は、チューブの流路をストッパーのクランプ機構で閉塞させた状態を示した、本発明の実施形態1にかかる留置針装置の上方から見た斜視図である。
【図7】図7は、ハブが後退位置にある本発明の実施形態1にかかる留置針装置の上方から見た斜視図である。
【図8】図8は、図7の8−8線を含む垂直面に沿った本発明の実施形態1にかかる留置針装置の矢視断面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の実施形態2にかかる留置針装置の上方から見た斜視図である。
【図9B】図9Bは、本発明の実施形態2にかかる留置針装置の下方から見た斜視図である。
【図10】図10Aは本発明の実施形態2にかかる留置針装置に用いられるストッパーの上方から見た斜視図、図10Bはその下方から見た斜視図である。
【図11】図11Aは本発明の実施形態2にかかる留置針装置に用いられるストッパーの平面図、図11Bは図11Aの11B−11B線を含む垂直面に沿った本発明の実施形態2にかかる留置針装置に用いられるストッパーの矢視断面図、図11Cは本発明の実施形態2にかかる留置針装置に用いられるストッパーの底面図である。
【図12】図12は、チューブの流路をストッパーのクランプ機構で閉塞させた状態を示した、本発明の実施形態2にかかる留置針装置の上方から見た斜視図である。
【図13A】図13Aは、本発明の実施形態3にかかる留置針装置の上方から見た斜視図である。
【図13B】図13Bは、本発明の実施形態3にかかる留置針装置の下方から見た斜視図である。
【図14】図14Aは本発明の実施形態3にかかる留置針装置に用いられるストッパーの上方から見た斜視図、図14Bはその下方から見た斜視図である。
【図15】図15Aは本発明の実施形態3にかかる留置針装置に用いられるストッパーの平面図、図15Bは図15Aの15B−15B線を含む垂直面に沿った本発明の実施形態3にかかる留置針装置に用いられるストッパーの矢視断面図、図15Cは本発明の実施形態3にかかる留置針装置に用いられるストッパーの底面図である。
【図16】図16Aは本発明の実施形態3にかかる留置針装置において、非クランプ時のストッパーのクランプ機構を示した拡大底面図、図16Bは本発明の実施形態3にかかる留置針装置において、チューブを押し潰しているクランプ時のストッパーのクランプ機構を示した拡大底面図である。
【図17】図17は、従来の留置針装置の上方から見た斜視図である。
【図18】図18は、図17の18−18線を含む垂直面に沿った従来の留置針装置の矢視断面図である。
【図19】図19は、図17に示した従来の留置針装置に使用されるストッパーの斜視図である。
【図20】図20は、内針がシールド内に収納された、図17に示した従来の留置針装置の、図18と同じ面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の上記の留置針装置において、前記後端部分にスリットが形成されていることが好ましい。この場合、前記クランプ機構は、前記スリットを挟んで対向する一対の挟持部を備えることが好ましい。これにより、一対の挟持部の間にチューブを挟んで押し潰すという簡単な構造のクランプ機構を構成することができる。
【0023】
上記において、一対の挟持部の少なくとも一方に、他方に向かって突出したリブが設けられていることが好ましい。これにより、リブの頂部でチューブを局所的に圧縮し変形させることができる。従って、チューブからの反力を小さく抑えながら、チューブの流路を効率的に閉塞させることができる。
【0024】
また、上記において、前記一対の挟持部間に前記チューブが配置されることが好ましい。この場合、前記一対の挟持部は、前記チューブを把持するように互いに接近する向きに弾性的に変位することができることが好ましい。これにより、ハブが初期位置にあるときに、一対の挟持部を把持してストッパーをシールドから引き抜けば、ストッパーとともにチューブが引く抜かれ、ハブを後退位置に移動させることができる。従って、ストッパーを引き抜くのみで、ハブを後退位置に移動させるのを忘れるという誤操作の可能性が低減する。
【0025】
あるいは、前記クランプ機構が、互いに接離する方向に可逆的に変位する第1部材及び第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材が接近した状態を維持する係合構造とを備えていてもよい。この場合、前記第1部材と前記第2部材との間に前記チューブが配置されることが好ましい。これにより、第1部材と第2部材とでチューブを押し潰す簡単な構造のクランプ機構を構成することができる。
【0026】
上記において、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方が、前記チューブの長手方向に略直交する方向に延びたリブを含むことが好ましい。これにより、リブの頂部でチューブを局所的に圧縮し変形させることができる。従って、チューブの流路を閉塞させるために第1部材及び/又は第2部材を変位させるのに必要な外力を小さくすることができ、クランプ機構の操作性が向上する。
【0027】
本発明の上記の留置針装置において、前記シールドの後端が前記後端部分よりも上側に突出するように、前記後端部分の上面に傾斜面が形成されていることが好ましい。これにより、ストッパーをシールドから抜き去る作業が容易になる。
【0028】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0029】
(実施形態1)
図1Aは、ハブが初期位置にある、本発明の実施形態1にかかる留置針装置100の上方から見た斜視図、図1Bはその下方から見た斜視図である。以下の説明の便宜のため、留置針装置100の長手方向をZ軸、Z軸と直交する水平方向軸及び上下方向軸をそれぞれX軸及びY軸とする直交座標系を設定する。Y軸の矢印の側(即ち、図1A及び図1Bの紙面の上側)を「上側」、これと反対側を「下側」と呼ぶ。但し、「水平方向」及び「上下方向」は、留置針装置100の実際の使用時の向きを意味するものではない。更に、患者に穿刺する側(Z軸の矢印の側、即ち、図1A及び図1Bの紙面の左側)を「前側」、これと反対側を「後側」と呼ぶ。図2は、図1Aの2−2線を含む垂直面(YZ面)に沿った留置針装置100の矢視断面図である。
【0030】
留置針装置100は、シールド20を備える。シールド20は、シールド筒21と、シールド筒21の一端(前端)に固定された外ハブ25とを有する。シールド筒21は、内径が一定の略円筒形状を有する。シールド筒21の外ハブ25とは反対側端(後端)近傍の内周面には、周方向に連続する係止突起22が形成されている。外ハブ25は略漏斗形状を有し、そのシールド筒21とは反対側端(前端)に軟質の外針30が固定されている。外針30は略円筒形状を有する。シールド筒21及び外ハブ25の材料としては、特に制限はないが、硬質材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等を用いることができる。シールド筒21及び外ハブ25が透明又は透光性を有すると、その内腔内の血液やハブ40を透視することができるので好ましい。外針30の材料としては、特に制限はないが、軟質材料が好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリウレタン系エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等を用いることができる。外針30が透明又は透光性を有すると、その内腔内の血液や内針50を透視することができるので好ましい。なお、外ハブ25及び外針30を、上記の軟質材料を用いて一体に形成してもよい。
【0031】
参照符号29a,29bは、X軸と略平行に延びた翼である。翼29a,29bは、略円筒形状の固定部材28に設けられている。固定部材28をシールド筒21の外ハブ25側端近傍の外周面に外装することにより、翼29a,29bがシールド20に装着されている。翼29a,29bの材料としては、特に制限はないが、軟質材料が好ましく、例えば、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレン、オレフィン系又はポリスチレン系の熱可塑性エラストマー等を用いることができる。なお、翼29a,29bは、シールド20に一体に成形されていてもよい。
【0032】
シールド20の内腔内にはハブ40が、シールド20の長手方向(即ち、Z軸方向)に移動可能に挿入されている。ハブ40の前端には金属製の硬質の内針50が固定されている。内針50は略円筒形状を有し、その先端は鋭利に加工されている。ハブ40の後端には樹脂製の柔軟なチューブ60の一端が接続されている。チューブ60の他端は、例えば血液透析を行うための血液回路に接続されている。チューブ60は筒形状(好ましくは円筒形状)を有しており、その内部に血液等の液体が流れる流路61を備えている。ハブ40の外周面にOリング49が装着されている。Oリング49はシールド筒21の内周面に密着し、シールド20の内腔において、Oリング49よりも外針30側の血液がOリング49よりもチューブ60側に漏洩するのを防ぐ。ハブ40の材料としては、特に制限はないが、硬質材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いることができる。チューブ60は、直径方向の圧縮力を加えることによりその内部の流路61を可逆的に閉塞することができる程度の可撓性(柔軟性)を有していることが好ましい。チューブ60の材料としては、特に制限はないが、軟質材料が好ましく、例えば、塩化ビニル等を用いることができる。
【0033】
図3Aはハブ40の斜視図、図3Bは図3Aの3B−3B線を含む面に沿ったハブ40の矢視断面図、図3Cは図3Aの3C−3C線を含む面に沿ったハブ40の矢視断面図である。図3Bの断面と図3Cの断面とは互いに直交する。ハブ40は、一端(前端)に、円錐面状の外面を有する前部41を有し、他端に円筒面状の外面を有する後部42を有する。縦貫路43が、ハブ40の中心軸40aに沿って前部41から後部42までハブ40を縦貫している。図2に示されているように、内針50は、前部41側から縦貫路43内に挿入されて、ハブ40に保持される。後部42がチューブ60内に挿入されて、ハブ40とチューブ60とが接続される。かくして、内針50とチューブ60とは、ハブ40の縦貫路43を通じて連通される。
【0034】
前部41と後部42との間の、ハブ40の外周面に、周方向に連続する環状溝44が形成されている。図2に示されているように、環状溝44にOリング49が装着される。
【0035】
ハブ40の外周面に、環状溝44と前部41との間に、環状溝44側から径大部45及び径小部46がこの順に形成されている。径小部46は前部41に隣接し、径小部46の外径は、前部41の最大径とほぼ同じであり、且つ、径大部45の外径よりも小さい。前部41、径小部46、及び径大部45には、これらを直径方向(中心軸40aに直交する方向)に横貫する横貫路47が形成されている。横貫路47は、縦貫路43と交差し且つ連通している。
【0036】
後部42の周囲に、片持ち支持された4つの弾性片48が、ハブ40の中心軸40aに対して等角度間隔で配置されている。弾性片48は、ハブ40の中心軸40aに対して略平行に延びている。弾性片48の後部42とは反対側の面には、嵌合溝48aとテーパ面48bとが形成されている。嵌合溝48aは、ハブ40の周方向に沿った凹部(溝)である。テーパ面48bは、嵌合溝48aに対して弾性片48の自由端側に隣接し、嵌合溝48a側で外径が大きな円錐面の一部をなす。
【0037】
図1、図2では、ハブ40はシールド20の内腔の前端側に位置している。シールド20に対するハブ40のこの位置を本発明では「初期位置」と呼ぶ。初期位置では、ハブ40に保持された内針50は外針30を貫通し、その先端は外針30の先端から外部に突出している。
【0038】
ハブ40を初期位置を維持するために、ストッパー170が用いられる。図4Aはストッパー170の上方から見た斜視図、図4Bはその下方から見た斜視図である。図5Aはストッパー170の平面図、図5Bは図5Aの5B−5B線を含む垂直面に沿ったストッパー170の矢視断面図、図5Cはストッパー170の底面図である。ストッパー170は、挿入部72と、一対の固定部73と、基部171とを備える。
【0039】
挿入部72は一対の固定部73の間に配置され、挿入部72及び一対の固定部73は基部171から前側に向かってZ軸と平行に延びている。挿入部72の、その長手方向に垂直な面(即ち、XY面に平行な面)に沿った断面は、下側が開放した略U字形状(または略半円形状)を有する。固定部73は、YZ面と平行な主面を有する板状体である。挿入部72及び基部171の下面には、Z軸方向に沿って連続する溝74が形成されている。
【0040】
基部171の後ろ側の部分は、その後端からZ軸方向に沿って形成されたスリット(第1スリット)176によって一対の挟持部175に分割されている。スリット176のZ軸方向の略中央位置に、X軸方向に沿った第2スリット177が、スリット176と交差するように一対の挟持部175に形成されている。第2スリット177が形成されていることにより、一対の挟持部175の第2スリット177よりも後ろ側の部分は、互いに接近する向きに弾性的に変位可能である。
【0041】
各挟持部175の第2スリット177よりも前側の領域には、対向する挟持部175に向かって突出したリブ178が形成されている。図5Bに示されているように、リブ178は、溝74の底面を延長するようにZ軸に沿って延びている。図5Aに示されているように、一対の挟持部178のそれぞに形成されたリブ178のうち、一方のリブ178の後ろ側端には他方のリブ178に向かって突出した突起179aが形成されており、他方のリブ178の突起179aに対向する部分には滑らかな円弧状の面取り179bが形成されている。
【0042】
スリット176及び溝74はZ軸方向に沿って一直線状に連続している。互いに対向するリブ178間の間隔は、スリット176のリブ178を除く領域での幅(X軸方向寸法)より狭い。
【0043】
基部171の上面には、挿入部72に近づくにしたがって低くなるように傾斜した傾斜面172が形成されている。
【0044】
図1A、図1B、図2に示されているように、シールド筒21の後端から、ストッパー170の挿入部72をシールド筒21の内腔内に挿入する。ストッパー170をシールド20内に可能なかぎり深く挿入すると、挿入部72の先端がハブ40の弾性片48の後端に衝突し、ハブ40の径大部45が外ハブ25の後端に衝突して、ハブ40はシールド20の内腔内の初期位置に配置される。ストッパー170の一対の固定部73は、シールド20のシールド筒21の両側に位置し、その先端は翼29a,29bの位置まで達している。ストッパー170の基部180は、シールド20外に位置している。
【0045】
ハブ40に接続されたチューブ60は、ストッパー170の溝74及び挟持部175の間のスリット176に嵌入し、Z軸方向に沿って配置される。溝74の幅及びリブ178を除く領域でのスリット176の幅はチューブ60の無負荷時の外径と略同じかこれよりわずかに小さいことが好ましい。互いに対向するリブ178間の間隔はチューブ60の無負荷時の外径より小さい。
【0046】
以上のように構成された本実施形態1の留置針装置100の使用方法及び作用を説明する。
【0047】
図1A、図1B、図2に示すように内針50が外針30の先端から突出した状態で、内針50及び外針30を患者の血管に穿刺する。穿刺する際に内針50は反力を受ける。この反力によって内針50及びこれを保持するハブ40が外針30及びシールド20に対して後方に向かって移動するのを防止する必要がある。ストッパー170の挿入部72は、その先端をハブ40の後端(弾性片48)に当接させて、ハブ40が移動するのを制限する。穿刺する際には、作業者は、ストッパー170がシールド20に対して移動することがないように留置針装置100を把持する必要がある。このような把持方法として、例えば、ストッパー170の基部171を上下方向(Y軸方向)又は水平方向(X軸方向)に把持する方法、ストッパー170の一対の固定部73をその間のシールド20と一緒に把持する方向、翼29a,29bを上側に折り曲げて重ね合わされた翼29a,29bをその間の一対の固定部73及びシールド20と一緒に把持する方法などがある。
【0048】
内針50及び外針30を患者の血管内に穿刺すると、血管内の血液が、内針50、シールド20、チューブ60に順に流入する。目視にて血液の流入を確認することは、内針50及び外針30が血管に適切に穿刺されたか否かを判断する手段として有効である。但し、血液の流入を放置すると漏血の危険が高まる。従って、血液が留置針装置100(更にはチューブ60)にある程度流入した時点で、血液の流入を停止させる必要がある。
【0049】
本実施形態1では、図6に示すように、チューブ60のストッパー170よりも後ろ側の部分を上方に持ち上げて、チューブ60をストッパー170のスリット176内に挿入し、更に一対のリブ178(図5A、図5C参照)間に嵌入させる。互いに対向するリブ178間の間隔はチューブ60の無負荷時の外径より小さいので、一対のリブ178によってチューブ60が押し潰され、チューブ60内の流路が閉塞される。これにより、血液の留置針装置100(更にはチューブ60)への流入が停止する。
【0050】
一対のリブ178の一方の後ろ側端に設けられた突起179a(図5A、図5C参照)は、一対のリブ178間に嵌入されたチューブ60が後方に移動して一対のリブ178間から外れるのを防止する。また、一対のリブ178の他方の後ろ側端に形成された円弧状の面取り179b(図5A、図5C参照)は、チューブ60を一対のリブ178間に嵌入させる際にチューブ60を案内し、一対のリブ178間への嵌入を容易にする。但し、本実施形態1では、突起179a及び面取り179bのうちの一方又は両方を省略することができる。あるいは、一対のリブ178の両方に突起179a及び面取り179bのうちの一方を設けてもよい。
【0051】
次いで、一対のリブ178間にチューブ60を嵌入させた状態で、ストッパー170をシールド20から引き抜く。チューブ60は、一対のリブ178によって挟持されているので、ストッパー170とともにシールド20から引き抜かれる。チューブ60の前端にはハブ40が接続されているので、チューブ60が引き抜かれることによって、ハブ40及びこれに保持された内針50がシールド20に対して後方に移動する。
【0052】
シールド筒21の後端近傍の内周面には係止突起22(図2参照)が形成されている。ハブ40が係止突起22まで移動し、ハブ40の弾性片48の外面に形成されたテーパ面48bが係止突起22上を摺動する。このとき弾性片48は後部42側に弾性変形する。次いで、テーパ面48bが係止突起22を乗り越えると、弾性片48が弾性回復し、嵌合溝48aに係止突起22が嵌入する。嵌合溝48aと係止突起22とが嵌合したときの、シールド20に対するハブ40の位置を本発明では「後退位置」と呼ぶ。
【0053】
図7は、ハブ40が後退位置にある留置針装置100の上方から見た斜視図である。チューブ60は依然としてストッパー170で挟持されており、血液の流入は停止されたままである。図7では、挿入部72の先端がシールド20内に挿入されているが、ハブ40が後退位置にあるときに挿入部72がシールド20から抜け出るように、挿入部72の長さなどの各部の寸法を設定してもよい。
【0054】
図8は、図7の8−8線を含む垂直面(YZ面)に沿った留置針装置100の矢視断面図である。なお、図8では、図面を簡単化するためにストッパー170の図示を省略している。図8に示されているように、ハブ40が後退位置にあるとき、ハブ40の嵌合溝48a(図3A、図3B、図3Cを参照)とシールド筒21の係止突起22とが嵌合している。また、ハブ40に保持された内針50は外針30から抜き去られ、シールド20の内腔内に収納されている。
【0055】
初期位置(図1、図2参照)に比べると、後退位置では、外針30内の流路の断面積は内針50の断面積分だけ増大するので、血液の流量が増大する。また、後退位置では、外針30からチューブ60に至る流路としては、内針50の内腔及びハブ40の縦貫路43を順に通る第1流路と、シールド20の内面と内針50及びハブ40の各外面との間の空間12、ハブ40の横貫路47、及びハブ40の縦貫路43を順に通る第2流路の2つがあるので、大きな流量で血液を流すことができる。
【0056】
この状態で翼29a,29bの上から粘着テープを患者の皮膚に貼り付け、留置針装置100を患者に固定する。外針30のみが患者に穿刺された状態で留置される。後退位置では、柔軟な外針30内に硬質の内針50が存在しないので、患者が動くなどにより、患者に対する留置針装置100の姿勢が仮に変化しても、外針30が患者の血管等を傷付けることはない。
【0057】
図7の状態においてチューブ60からストッパー170を取り除くことにより、チューブ60内の流路を開通させることができる。ストッパー170は、必要に応じてチューブ60に対して何度でも繰り返して着脱することができ、チューブ60内の流路を任意に開閉することができる。
【0058】
必要な処置が終了すると、翼29a,29bを固定する粘着テープを患者から剥がし、外針30を患者から引き抜く。シールド20に対してチューブ60を押し引きしても、ハブ40の嵌合溝48aとシールド筒21の係止突起22との嵌合状態は解除されない。即ち、内針50を外針30の先端から再度突出させたり、ハブ40とともに内針50をシールド20から引き抜いたりすることはできない。従って、硬質の内針50を誤って穿刺したり、使用済みの留置針装置10を誤って再使用したりするのを防止している。使用済みの留置針装置100は廃棄される。
【0059】
以上のように、本実施形態1の留置針装置100では、チューブ60を押し潰してその流路61を閉塞させるクランプ機構として機能する一対の挟持部175(特に、スリット176内に突出したリブ178)がストッパー170に形成されている。これにより、部品点数や組み立て工数を増加させることなく、簡単な構造で、流路61を閉塞させることができる。また、クランプ機構がストッパー170に設けられているので、留置針装置100の穿刺作業と、チューブ60の流路61の開閉操作とを、留置針装置100を保持しながら連続的に効率よく行うことができる。また、従来のように、留置針装置とは別にチューブ上にチューブを押し潰すためのクランプを取り付ける必要がなくなるので、当該クランプに他のチューブなどが引っかかって作業が煩雑になるという従来の問題を解消することができる。
【0060】
互いに対向する一対のリブ178がスリット176内に突出しているので、チューブ60をスリット176内に嵌入させたとき、一対のリブ178の頂部がチューブ60を局所的に圧縮し変形させる。従って、チューブ60からの反力による一対の挟持部175の変位量を小さく抑えながら、チューブ60内の流路を効率的に閉塞させることができる。なお、本発明ではチューブ60の流路を閉塞させることができれば一対のリブ178は必須ではなく、その一方又は両方を省略することができる。
【0061】
ストッパー170をチューブ60に着脱することにより、チューブ60の流路を任意に開閉することができる。従って、例えば、留置針装置100内で血液が凝固するのを防止するために留置針装置100内をヘパリンを添加した生理食塩水で満たした状態で留置針装置100を患者の血管に穿刺したまま長時間放置する、いわゆる「ヘパリンロック」を行う場合にも、ストッパー170を用いてチューブ60の流路を閉塞することができる。
【0062】
ハブ40が初期位置(図2)にあるときに図6に示したようにチューブ60をスリット176の一対のリブ178間に嵌入した後にストッパー170をシールド20から引き抜けば、上述したようにストッパー170とともにチューブ60が引き抜かれ、ハブ40を後退位置(図8)に移動させることができる。即ち、ストッパー170をシールド20から引き抜くだけで、ハブ40を後退位置に確実に移動させることができる。図17、図18に示した従来の留置針装置900では、ストッパー970をシールド920から抜き去ったことにより、内針950がシールド920内に収納されたと勘違いし、チューブ960を引っ張るのを忘れてしまうという誤操作をする危険がある。この場合、外針930の先端から内針950が突出した状態で患者に留置されるので、硬質の内針950の先端が患者の血管を傷付けてしまう可能性がある。本実施形態1の留置針装置100では、従来の留置針装置900で起こりうるこのような誤操作の可能性が低減する。
【0063】
もちろん、ハブ40が初期位置(図2)にあるときには図6に示したようにチューブ60を一対のリブ178間に嵌入させず、ハブ40を後退位置(図8)に移動させた後に図7に示したようにチューブ60を一対のリブ178間に嵌入させることも可能である。この場合、ストッパー170の基部171の一対の挟持部175を2本の指で図1Aの矢印Hの向きに水平方向(X軸方向)に把持してシールド20から引き抜くことが好ましい。上述したように、基部171にスリット176及び第2スリット177が形成されているので、矢印Hの向きの把持力を一対の挟持部175に印加すると、一対の挟持部175は互いに接近する向きに変位する。従って、一対の挟持部175とともにその間のチューブ60をも把持することができる。このようにして一対の挟持部175を把持してシールド20からストッパー170を引っ張ると、チューブ60もストッパー170と一緒に引っ張ることができる。その結果、ストッパー170を引き抜くのみで、ハブ40を後退位置に移動さるのを忘れるという上述した誤操作の可能性を低減させることができる。
【0064】
上述した例では、図4Aに示されているように、基部171の上面に、挿入部72に近づくにしたがって徐々に低くなるように傾斜した傾斜面172が形成されている。これは、一対の挟持部175を図1Aの矢印Hの向きに水平方向(X軸方向)に把持してストッパー170をシールド20から抜き去る操作を行うのに有利である。即ち、親指と中指とで一対の挟持部185を把持しながら、人差し指をシールド筒21の後端21r(図2参照)に当てて、人差し指でシールド筒21を前方に押し出すように移動させることで、ストッパー170をシールド20から抜き去ることができる。このとき、基部171の上面に傾斜面172が形成されていると、図2から容易に理解できるように、傾斜面172に対してシールド筒21の後端21rが上側に突出するので、シールド筒21の後端21rに人差し指で力を印加しやすい。但し、本発明において傾斜面172は必須ではない。基部171の上面は、例えばXZ面と平行な平面や、図19に示した従来のストッパー970の基部971と同様の円筒面、あるいはこれら以外の任意の面(平面、曲面)であってもよい。
【0065】
(実施形態2)
本実施形態2の留置針装置200は、ストッパーに設けられたクランプ機構の構成に関して実施形態1の留置針装置100と異なる。以下の説明で参照する図面において、実施形態1の留置針装置100と同じ部材については同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1と異なる点を中心に本実施形態2の留置針装置200を説明する。
【0066】
図9Aは、ハブ40が初期位置にある、本発明の実施形態2にかかる留置針装置200の上方から見た斜視図、図9Bはその下方から見た斜視図である。詳細な説明を省略するが、留置針装置200の内部構造は、実施形態1の留置針装置100と同じである。
【0067】
実施形態1と同様に、本実施形態2においても、ハブ40を初期位置に配置し且つ維持するために、ストッパー270が用いられる。図10Aはストッパー270の上方から見た斜視図、図10Bはその下方から見た斜視図である。図11Aはストッパー270の平面図、図11Bは図11Aの11B−11B線を含む垂直面に沿ったストッパー270の矢視断面図、図11Cはストッパー270の底面図である。ストッパー270は、挿入部72と、一対の固定部73と、基部271とを備える。本実施形態2のストッパー270は基部271を除いて、実施形態1のストッパー170と同じである。
【0068】
基部271の後ろ側の部分は、その後端からZ軸方向に沿って形成されたスリット276によって一対の挟持部275に分割されている。各挟持部275の前側の領域には、対向する挟持部275に向かって突出したリブ278が形成されている。図11Bに示されているように、リブ278は、溝74の底面よりも高い位置に配置され、Z軸に沿って延びている。図11A、図11Cに示されているように、一対の挟持部275のリブ278よりも後ろ側の領域には、一対の挟持部275間の間隔(即ち、スリット276の幅)が後ろ側ほど大きくなるように、滑らかに傾斜した面取り279が形成されている。チューブ60の流路を閉塞する機能を損なわない限りにおいて、実施形態1の一対の挟持部175と同様に、一対の挟持部275が互いに接近する向きに弾性的に変位することができてもよい。
【0069】
スリット276及び溝74はZ軸方向に沿って一直線状に連続している。互いに対向するリブ278間の間隔は、スリット276のリブ278を除く領域での幅(X軸方向寸法)より狭い。溝74の幅及びリブ278を除く領域でのスリット276の幅はチューブ60の無負荷時の外径と略同じかこれよりわずかに小さいことが好ましい。互いに対向するリブ278間の間隔はチューブ60の無負荷時の外径より小さい。
【0070】
基部271の上面は略円筒面である。但し、実施形態1の傾斜面172と同様の、挿入部72に近づくにしたがって低くなるように傾斜した傾斜面が形成されていてもよい。
【0071】
以上のように構成された本実施形態2の留置針装置200の使用方法は実施形態1の留置針装置100と概略同じである。
【0072】
即ち、ハブ40を初期位置(図9A、図9B参照)に維持しながら、内針50及び外針30を患者の血管に穿刺する。このとき、実施形態1で説明したように、ストッパー270がシールド20に対して移動することがないように留置針装置200を把持する。
【0073】
内針50及び外針30を患者の血管内に穿刺すると、血管内の血液が、内針50、シールド20、チューブ60に順に流入する。目視にて血液の流入を確認した後、血液の流入を停止させる。本実施形態2では、血液の流入の停止は、図12に示すように、チューブ60のストッパー270よりも後ろ側の部分を上方に持ち上げて、チューブ60をストッパー270のスリット276内に挿入し、更に一対のリブ278(図11A、図11C参照)間に嵌入させる。互いに対向するリブ278間の間隔はチューブ60の無負荷時の外径より小さいので、一対のリブ278によってチューブ60が押し潰され、チューブ60内の流路が閉塞される。これにより、血液の留置針装置200(更にはチューブ60)への流入が停止する。
【0074】
一対のリブ278の一方の後ろ側端に設けられた面取り279(図11A、図11C参照)は、チューブ60を一対のリブ278間に嵌入させる際にチューブ60を案内し、一対のリブ278間への嵌入を容易にする。但し、本実施形態2では、面取り279のうちの一方又は両方を省略することができる。また、一対のリブ278間へ嵌入されたチューブ60が一対のリブ278外に脱出するのを防止するために、実施形態1の突起179aと同様の突起を一対のリブ278の一方又は両方の後端に設けてもよい。
【0075】
その後、一対のリブ278間にチューブ60を嵌入させた状態のままで、実施形態1と同様にストッパー270をシールド20から引き抜く。チューブ60は、一対のリブ278によって挟持されているので、ストッパー270とともにシールド20から引き抜かれる。その結果、ハブ40及びこれに保持された内針50がシールド20に対して後方に移動し、ハブ40を後退位置(図8参照)に移動させることができる。図示を省略するが、ハブ40が後退位置に移動しても、実施形態1の図7と同様にチューブ60は依然としてストッパー270で挟持されており、血液の流入は停止されたままである。
【0076】
ハブ40が後退位置に移動した状態で翼29a,29bの上から粘着テープを患者の皮膚に貼り付け、留置針装置200を患者に固定する。チューブ60からストッパー270を取り除くことにより、チューブ60内の流路を開通させることができる。ストッパー270は、必要に応じてチューブ60に対して何度でも繰り返して着脱することができ、チューブ60内の流路を任意に開閉することができる。
【0077】
以上のように、本実施形態2の留置針装置200では、チューブ60を押し潰してその流路61を閉塞させるクランプ機構として機能する一対の挟持部275(特に、スリット276内に突出したリブ278)がストッパー270に形成されている。これにより、部品点数や組み立て工数を増加させることなく、簡単な構造で、流路61を閉塞させることができる。また、クランプ機構がストッパー270に設けられているので、留置針装置200の穿刺作業と、チューブ60の流路61の開閉操作とを、留置針装置200を保持しながら連続的に効率よく行うことができる。また、従来のように、留置針装置とは別にチューブ上にチューブを押し潰すためのクランプを取り付ける必要がなくなるので、当該クランプに他のチューブなどが引っかかって作業が煩雑になるという従来の問題を解消することができる。
【0078】
互いに対向する一対のリブ278がスリット276内に突出しているので、チューブ60をスリット276内に嵌入させたとき、一対のリブ278の頂部がチューブ60を局所的に圧縮し変形させる。従って、チューブ60からの反力による一対の挟持部275の変位量を小さく抑えながら、チューブ60内の流路を効率的に閉塞させることができる。なお、本発明ではチューブ60の流路を閉塞させることができれば一対のリブ278は必須ではなく、その一方又は両方を省略することができる。
【0079】
ストッパー270をチューブ60に着脱することにより、チューブ60の流路を任意に開閉することができる。従って、実施形態1で説明したように、本実施形態2においても、ストッパー270を用いてチューブ60の流路を閉塞してヘパリンロックを行うことができる。
【0080】
ハブ40が初期位置にあるときに図12に示したようにチューブ60をスリット276の一対のリブ178間に嵌入した後にストッパー270をシールド20から引き抜けば、上述したようにストッパー270とともにチューブ60が引き抜かれ、ハブ40を後退位置に移動させることができる。従って、実施形態1と同様に、ストッパー270をシールド20から抜き去ったことにより、内針50がシールド20内に収納されたと勘違いし、チューブ60を引っ張るのを忘れてしまうという誤操作をする可能性が低減される。
【0081】
もちろん、ハブ40が初期位置(図9A、図9B)にあるときには図12に示したようにチューブ60を一対のリブ278間に嵌入させず、ハブ40を後退位置(図8)に移動させた後にチューブ60を一対のリブ278間に嵌入させることも可能である。
【0082】
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同じである。
【0083】
(実施形態3)
本実施形態3の留置針装置300は、ストッパーに設けられたクランプ機構の構成に関して実施形態1の留置針装置100及び実施形態2の留置針装置200と異なる。以下の説明で参照する図面において、実施形態1の留置針装置100及び実施形態2の留置針装置200と同じ部材については同一の符号を付して、それらの説明を省略する。以下、実施形態1,2と異なる点を中心に本実施形態3の留置針装置300を説明する。
【0084】
図13Aは、ハブ40が初期位置にある、本発明の実施形態3にかかる留置針装置300の上方から見た斜視図、図13Bはその下方から見た斜視図である。詳細な説明を省略するが、留置針装置300の内部構造は、実施形態1の留置針装置100と同じである。
【0085】
実施形態1と同様に、本実施形態3においても、ハブ40を初期位置に配置し且つ維持するために、ストッパー370が用いられる。図14Aはストッパー370の上方から見た斜視図、図14Bはその下方から見た斜視図である。図15Aはストッパー370の平面図、図15Bは図15Aの15B−15B線を含む垂直面に沿ったストッパー370の矢視断面図、図15Cはストッパー370の底面図である。ストッパー370は、挿入部72と、一対の固定部73と、基部371とを備える。本実施形態3のストッパー370は基部371を除いて、実施形態1のストッパー170及び実施形態2のストッパー270と同じである。
【0086】
基部371の後ろ側端には、いずれもが片持ち支持構造を有し、弾性的に変形可能な保持片380及び係止片390が形成されている。
【0087】
保持片380は、YZ面に略平行な第1板状部381と、XY面に略平行な第2板状部382とからなり、これらが略直角に接続されてY軸方向に沿って見た形状が略L字形状を有している。第1板状部381の係止片390に対向する側の面に、Y軸方向と略平行に延びた第1リブ383が係止片390に向かって突出している。第2板状部382の自由端387又はその近傍に、前側に向かって突出した第1係止爪384が形成されている。図14Bに示されているように、第2板状部382には、その下端からY軸に沿って上方に向かって保持溝385が形成されている。保持溝385は、Z軸方向に沿って延びる溝74のほぼ延長上に位置している。後述するように、保持溝385内にはチューブ60が挿入され、保持される(図13B参照)。保持溝385の開口幅(X軸方向寸法)は、チューブ60の無負荷時の外径と略同一である。保持溝385に保持されたチューブ60が脱落することがないように、保持溝385内に突出する係止突起386が形成されている。
【0088】
係止片390は、第1板状部381と対向する板状部材である。係止片390の第1板状部381に対向する側の面に、Y軸方向と略平行に延びた第2リブ393が第1板状部381に向かって突出している。係止片390の自由端は、第1係止爪384と係合可能な第2係止爪394として機能する。
【0089】
以上のように構成された保持片380及び係止片390は、チューブ60を押し潰すクランプ機構として機能する。以下にこれを説明する。
【0090】
図13Bに示されているように、チューブ60は、溝74及び保持溝385に嵌入される。図16Aは、非クランプ時のクランプ機構及びその周辺部分を示した拡大底面図である。第1リブ383及び第2リブ393がチューブ60を挟んで対向している。この状態では、チューブ60内の流路は確保されている。
【0091】
図16Aにおいて、第1板状部381及び係止片390に互いに接近する向きの外力Fを印加する。外力Fにより保持片380及び係止片390は弾性的に変形し、図16Bに示すように、保持片380の第1係止爪384に、係止片390の第2係止爪394が係合する。このとき、第1リブ383及び第2リブ393がチューブ60を押し潰し、チューブ60内の流路が閉塞される。
【0092】
図16Bにおいて、保持片380の自由端387を矢印Aの向きに弾性変位させると、第1係止爪384と第2係止爪394との係合が解除され、保持片380及び係止片390は直ちに弾性復帰して図16Aの初期状態に戻る。
【0093】
このように、本実施形態3のクランプ機構は、互いに接離する方向に可逆的に変位する第1リブ383及び第2リブ393と、第1リブ383及び第2リブ393が接近した状態を維持する係合構造(第1係止爪384及び第2係止爪394)とを備えている。
【0094】
基部371の上面には、挿入部72に近づくにしたがって低くなるように傾斜した傾斜面372が形成されている。傾斜面372は、実施形態1の傾斜面172と同様に機能する。
【0095】
以上のように構成された本実施形態3の留置針装置300の使用方法は実施形態1の留置針装置100と概略同じである。
【0096】
即ち、ハブ40を初期位置(図13A、図13B参照)に維持しながら、内針50及び外針30を患者の血管に穿刺する。このとき、実施形態1で説明したように、ストッパー370がシールド20に対して移動することがないように留置針装置300を把持する。
【0097】
クランプ機構は図16Aに示す非クランプ状態にある。従って、内針50及び外針30を患者の血管内に穿刺すると、血管内の血液が、内針50、シールド20、チューブ60に順に流入する。目視にて血液の流入を確認した後、血液の流入を停止させる。即ち、図16Bに示すように第1係止爪384と第2係止爪394とを係合させて、第1リブ383及び第2リブ393でチューブ60を押し潰し、チューブ60内の流路を閉塞させる。これにより、血液の留置針装置100(更にはチューブ60)への流入が停止する。
【0098】
その後、クランプ機構が図16Bに示すクランプ状態のままで、実施形態1と同様にストッパー370をシールド20から引き抜く。チューブ60は、クランプ機構を構成する第1リブ383及び第2リブ393によって挟持されているので、ストッパー370とともにシールド20から引き抜かれる。その結果、ハブ40及びこれに保持された内針50がシールド20に対して後方に移動し、ハブ40を後退位置(図8参照)に移動させることができる。図示を省略するが、ハブ40が後退位置に移動しても、チューブ60は依然としてストッパー370で挟持されており、血液の流入は停止されたままである。
【0099】
ハブ40が後退位置に移動した状態で翼29a,29bの上から粘着テープを患者の皮膚に貼り付け、留置針装置300を患者に固定する。第1係止爪384と第2係止爪394との係合を解除すれば、チューブ60内の流路を開通させることができる。第1係止爪384と第2係止爪394との係合及びその解除は何度でも繰り返して行うことができ、チューブ60内の流路を任意に開閉することができる。第1係止爪384と第2係止爪394との係合を解除すれば、ストッパー370をチューブ60から取り除くこともできる。
【0100】
以上のように、本実施形態3の留置針装置300では、チューブ60を押し潰してその流路61を閉塞させるクランプ機構がストッパー370に形成されている。これにより、部品点数や組み立て工数を増加させることなく、簡単な構造で、流路61を閉塞させることができる。また、クランプ機構がストッパー370に設けられているので、留置針装置300の穿刺作業と、チューブ60の流路61の開閉操作とを、留置針装置300を保持しながら連続的に効率よく行うことができる。また、従来のように、留置針装置とは別にチューブ上にチューブを押し潰すためのクランプを取り付ける必要がなくなるので、当該クランプに他のチューブなどが引っかかって作業が煩雑になるという従来の問題を解消することができる。
【0101】
チューブ60の長手方向と略直交する方向に沿って延びた第1リブ383及び第2リブ393がチューブ60を挟んで対向し、第1リブ383が楔状断面を有し、第2リブ393が半円形断面を有するので、第1係止爪384と第2係止爪394とを係合させたとき、第1リブ383及び第2リブ393の各頂部がチューブ60を局所的に圧縮し変形させる。従って、チューブ60の流路を閉塞させるために必要な外力F(図16A参照)を小さくすることができ、クランプ機構の操作性が向上する。なお、本発明ではチューブ60の流路を閉塞させることができれば第1リブ383及び第2リブ393の形状は任意である。例えば、第1リブ383及び第2リブ393の両方が楔状断面又は半円形断面を有していてもよく、あるいはこれら以外の断面形状を有していてもよい。また、第1リブ383及び第2リブ393のうちの一方を平面に置き換えてもよい。
【0102】
クランプ機構のクランプ状態/非クランプ状態を切り替えることにより、チューブ60の流路を任意に開閉することができる。従って、実施形態1で説明したように、本実施形態3においても、ストッパー370を用いてチューブ60の流路を閉塞してヘパリンロックを行うことができる。
【0103】
ハブ40が初期位置にあるときにクランプ機構を図16Bに示したクランプ状態に切り替えた後にストッパー370をシールド20から引き抜けば、上述したようにストッパー370とともにチューブ60が引き抜かれ、ハブ40を後退位置に移動させることができる。従って、実施形態1と同様に、ストッパー370をシールド20から抜き去ったことにより、内針50がシールド20内に収納されたと勘違いし、チューブ60を引っ張るのを忘れてしまうという誤操作をする可能性が低減される。
【0104】
もちろん、ハブ40が初期位置(図13A、図13B)にあるときにはクランプ機構をクランプ状態(図16B)には切り替えず、ハブ40を後退位置(図8)に移動させた後にクランプ状態(図16B)には切り替えることも可能である。
【0105】
上記の第1係止爪384及び第2係止爪394は、クランプ機構の係合構造の一例である。第1リブ383及び第2リブ393でチューブ60を押し潰した状態を維持することができる構造であれば、他の構造に置き換えてもよい。
【0106】
本実施形態3は、上記を除いて実施形態1と同じである。
【0107】
本発明において、ストッパー170,270,370の材料は、特に制限はないが、硬質材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアセタール等の樹脂材料を用いることができる。
【0108】
上記の実施形態1〜3は例示であって、本発明は上記の実施形態1〜3に限定されず、適宜変更することができる。
【0109】
ストッパーの構成は上記の実施形態に示したものに限定されない。例えば、ストッパー170,270,370において、一対の固定部73を省略してもよい。シールド20内に収納されないストッパーの後端部分は、上記の実施形態で示した基部171,271,371のように挿入部72に比べて相対的に大きな幅寸法(X軸方向寸法)を有している必要はなく、例えば挿入部72とほぼ同じ幅寸法を有するように挿入部72を単に後方に延長したような形状を有していてもよい。
【0110】
上記の実施形態1〜3では、チューブ60を押し潰してその流路61を閉塞させるクランプ機能を効果的に発揮させるためにリブ178,278,383,393を用いた。本発明においてリブの形状は特に制限はないが、一般に、連続する畝状の突起であることが好ましい。リブの長手方向に直交する面に沿ったリブの断面形状は、三角形状(または楔状)であることが好ましいが、半円形状や台形状などであってもよい。クランプ機能を発揮させることができれば、リブ以外の形状を用いてもよい。上記の実施形態1,2では、クランプ機能を発揮する部分(クランプ機能部)は、スリット176,276のZ軸方向長さの一部のみであったが、スリット176,276のZ軸方向長さの全範囲がクランプ機能部であってもよい。
【0111】
実施形態1,2では、スリット176,276はZ軸に平行に延びていたが、スリットの形状はこれに限定されない。例えば、スリットは、Z軸に対して傾斜していてもよいし、また、屈曲又は湾曲した部分を有していてもよい。
【0112】
後退位置にあるハブ40とシールド20との嵌合構造は、上記以外の構成を有していてもよい。あるいは、当該嵌合構造を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の利用分野は特に制限はなく、輸液、輸血、体外血液循環などの処置を行う際の留置針装置として広範囲に利用することができる。中でも、血液透析用の留置針装置として好ましく利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
100,200,300 留置針装置
20 シールド
21 シールド筒
21r シールドの後端
25 外ハブ
30 外針
40 ハブ
50 内針
60 チューブ
61 チューブの流路
72 ストッパーの挿入部
170,270,370 ストッパー
171,271,371 基部(ストッパーの後端部分)
172,372 傾斜面
175,275 挟持部
176,276 スリット
178,278 リブ
383 第1リブ(第1部材)
384 第1係止爪(係合構造)
393 第2リブ(第2部材)
394 第2係止爪(係合構造)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔を有するシールドと、
前記シールドの前端に固定された軟質の外針と、
前記シールドの前記内腔内に配置され、前記シールドの長手方向に移動可能なハブと、
前記ハブの前端に固定された硬質の内針と、
前記ハブの後端に接続され、内部に流路が形成された可撓性を有するチューブと、
前記シールドの前記内腔に、前記シールドの後端から挿抜されるストッパーとを備え、
前記ハブが前記シールドの前記内腔の前端側に位置し且つ前記内針が前記外針を貫通して前記外針の先端から突出する初期位置と、前記ハブが前記シールドの前記内腔の後端側に位置し且つ前記内針が前記シールドの前記内腔内に収納される後退位置とに前記ハブが変位する留置針装置であって、
前記ストッパーは、前記シールドの前記内腔内に挿入される挿入部と、前記挿入部を前記シールドの前記内腔内に挿入し且つその先端を前記初期位置にある前記ハブに当接させたときに前記シールド外に位置する後端部分とを備え、
前記後端部分に、前記チューブの前記流路が閉塞するように前記チューブを押し潰すクランプ機構が設けられていることを特徴とする留置針装置。
【請求項2】
前記後端部分にスリットが形成されており、
前記クランプ機構は、前記スリットを挟んで対向する一対の挟持部を備える請求項1に記載の留置針装置。
【請求項3】
一対の挟持部の少なくとも一方に、他方に向かって突出したリブが設けられている請求項2に記載の留置針装置。
【請求項4】
前記一対の挟持部間に前記チューブが配置され、
前記一対の挟持部は、前記チューブを把持するように互いに接近する向きに弾性的に変位することができる請求項2又は3に記載の留置針装置。
【請求項5】
前記クランプ機構が、互いに接離する方向に可逆的に変位する第1部材及び第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材が接近した状態を維持する係合構造とを備え、
前記第1部材と前記第2部材との間に前記チューブが配置される請求項1に記載の留置針装置。
【請求項6】
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方が、前記チューブの長手方向に略直交する方向に延びたリブを含む請求項5に記載の留置針装置。
【請求項7】
前記シールドの後端が前記後端部分よりも上側に突出するように、前記後端部分の上面に傾斜面が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の留置針装置。
【請求項8】
内腔を有するシールドと、前記シールドの前端に固定された軟質の外針と、前記シールドの前記内腔内に配置され、前記シールドの長手方向に移動可能なハブと、前記ハブの前端に固定された硬質の内針と、前記ハブの後端に接続され、内部に流路が形成された可撓性を有するチューブとを備え、前記ハブが前記シールドの前記内腔の前端側に位置し且つ前記内針が前記外針を貫通して前記外針の先端から突出する初期位置と、前記ハブが前記シールドの前記内腔の後端側に位置し且つ前記内針が前記シールドの前記内腔内に収納される後退位置とに前記ハブが変位する留置針装置の前記内腔に、前記シールドの後端から挿抜されるストッパーであって、
前記ストッパーは、前記シールドの前記内腔内に挿入される挿入部と、前記挿入部を前記シールドの前記内腔内に挿入し且つその先端を前記初期位置にある前記ハブに当接させたときに前記シールド外に位置する後端部分とを備え、
前記後端部分に、前記チューブの前記流路が閉塞するように前記チューブを押し潰すクランプ機構が設けられていることを特徴とする留置針装置用ストッパー。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−94626(P2013−94626A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243345(P2011−243345)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】