畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法
【課題】吸気部材の破損の防止を図った畜糞処理装置を提供する。
【解決手段】畜糞処理装置1は、畜糞を発酵させる発酵槽2と、この発酵槽2の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材4と、発酵槽2に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体3と、この走行体3に取り付けられ、吸気部材4を巻き取る回転体Mと、吸気部材4に内在されると共に、一端を吸気部材4に取り付けられ、他端を回転体Mに取り付けられたロープRと、走行体3に取り付けられ、発酵槽2内の吸気部材4の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材Sと備えているものである。
【解決手段】畜糞処理装置1は、畜糞を発酵させる発酵槽2と、この発酵槽2の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材4と、発酵槽2に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体3と、この走行体3に取り付けられ、吸気部材4を巻き取る回転体Mと、吸気部材4に内在されると共に、一端を吸気部材4に取り付けられ、他端を回転体Mに取り付けられたロープRと、走行体3に取り付けられ、発酵槽2内の吸気部材4の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材Sと備えているものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法に係り、特に、吸気部材の破損の防止を図った畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、先に「生の状態で採取した畜糞と泥炭とを撹拌および混合を行って混合物を得て、この混合物を発酵槽内に収容し、該混合物中に対して、多数の穿孔を有する吸気部材を敷設して混合物の静置と発酵とを行い、所定の日時が経過した後、混合物中に敷設した吸気部材を取り出して、この混合物の切り返しを行って発酵を促進させて畜糞を処理させる畜糞処理装置」を開示した(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3400762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献(特許第3400762号の図7)に記載のものにあっては、巻き取り手段により吸気部材そのものを巻き取るため、吸気部材が破損するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を防ぐようにした畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の畜糞処理装置は、畜糞を発酵させる発酵槽と、この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材とを備えているものである。
【0007】
また、請求項2記載の畜糞処理装置は、請求項1記載の畜糞処理装置において、畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっているものである。
【0008】
また、請求項3記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法は、畜糞を発酵させる発酵槽と、この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材と、備え、前記走行体の移動に伴い、前記取り除き部材も移動し前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除きながら、前記回転体の回転により前記ロープを介して前記吸気部材を前記回転体に巻き付けるものである。
【0009】
また、請求項4記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法は、請求項3記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法において、畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の畜糞処理装置によれば、走行体の移動に伴い、取り除き部材も移動し発酵槽内の吸気部材の上の畜糞を取り除きながら、回転体の回転によりロープを介して吸気部材を回転体に巻き付けるため、吸気部材の「巻き付けに伴う力」を一部ロープが負担するため、吸気部材の巻き付けに伴う吸気部材の破損を防止することができる。
【0011】
また、請求項3記載の畜糞処理装置の巻き取り方法によれば、走行体の移動に伴い、取り除き部材も移動し発酵槽内の吸気部材の上の畜糞を取り除きながら、回転体の回転によりロープを介して吸気部材を回転体に巻き付けるため、吸気部材の「巻き付けに伴う力」を一部ロープが負担するため、吸気部材の巻き付けに伴う吸気部材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施例の畜糞処理装置の概略的平面図である。
【図2】図2は、図1の概略的側面図で、畜糞処理装置の吸気部材の巻き取りを開始するに当たり、吸気部材の中途を離脱させた状態を示している。
【図3】図3は、図2の一部を拡大して示す概略的一部拡大側面図である。
【図4】図4は、図3の4−4線による概略的断面図である。
【図5】図5は、図2の状態から取り除き部材を回動して、前記取り除き部材の下部部材を取り外した状態の概略的側面図である。
【図6】図6は、図5の状態から取り除き部材を回動し、ロープを回転体に巻き付けた状態の概略的側面図である。
【図7】図7は、図6の7−7線による概略的断面図である。
【図8】図8は、図6の一部の概略的右側面図である。
【図9】図9は、図6の状態から走行体が移動している途中を示した概略的側面図である。
【図10】図10は、図9の状態から走行体が移動し、吸気部材の巻き取りが完了した状態の概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例の畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法を図面を参照して説明する。
図1において、1は畜糞処理装置であって、畜糞処理装置1は、畜糞を収容し、該畜糞を発酵させる発酵槽2と、この発酵槽2に設けた軌道31に沿って進退自在に移動する走行体3(と、発酵槽2の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材4と、吸引手段(例えば、送風機)5と、切り返し手段(例えば、攪拌部材)6とにより、構成されている。
吸引手段5は、吸気部材4に接続させて発酵槽2の説明を後述する混合物A内の空気を、吸気部材4に設けた多数の穿孔41(図4参照)から吸引するもので、慣用の送風機を用いる。吸気部材4と吸引手段5とは配管5aにより接続されている。なお、この吸引手段5により吸引された空気は、配管5bを介して脱臭槽40に送気して、所定の臭気を除いた後、大気へ放出される[なお、脱臭槽40の具体的な内容については、特許第3400762号公報の段落番号[0027]〜[0029]を参照]。
【0014】
発酵槽2には、望ましくは、畜糞と泥炭を混合した混合物Aを収容し、該混合物Aを発酵させるようにする。畜糞は、畜産農家の飼育場より排出された生状態の豚糞や、牛糞,鶏糞等が使用されるものであって、その含水量は70%〜80%程度を有する。
また、泥炭は、水田土壌等から表土を取り除いた泥炭層を掘削するもので、この状態では高い含水量を有しているものであって、この泥炭層を所定場所へ運搬して、野積み放置による所定の水切り等の一次乾燥と、所定厚の層状に万遍なく広げて、天日乾燥等による二次乾燥を行なう。
更に、この二次乾燥において一旦集積され、雨水等がかからない屋内において再乾燥の後、粉砕機等により塊を粉砕しつつ乾燥を進行させると、粉末状態から20mm程度の粒状に成形された泥炭原料が得られる。こうしてでき上がった泥炭原料は、その含水量は50%〜60%程度に水分調整されているもので、また、内部には、細菌や放線菌,糸状菌等の微生物が混在する。この泥炭と上記した畜糞を混合して混合物Aが形成される。
また、上記した発酵槽2は、畜糞と泥炭とによる混合物Aを堆積状に収容するもので、コンクリート等による床21上に、所定高さに立設させた左右一対の壁体22、22により前部あるいは前後におよび上部に開口部23、24を有する容体状(断面略U字状)に形成される。
【0015】
走行体3は、発酵槽2における壁体22、22の上部に設けた軌道31、31に沿って、該発酵槽2の前端部から後端部までの間を進退自在にかつ任意に移動するもので、金属等により堅牢な枠体3aに形成して、その下部に走行輪32、32を駆動軸33および従動軸34により取り付けて、軌道31、31に係合してあるもので、駆動軸33を図示しない油圧モータ等の駆動手段により駆動するようになっている。
【0016】
更に、この走行体3は、枠体3aに油圧モータ等の回転手段35により正逆に回転されるドラム体36を取り付けてあり、このドラム体36へ巻き付けたワイヤー等の連係索37の外端部を建物等の基部38(図5参照)に固着しておき、回転手段35の作動により牽引して、該走行体3の走行を補助することができる。
【0017】
吸気部材4は、走行体3の枠体3aに載置した巻き取り手段M(巻き取り手段Mは、走行体3に取り付けられ、吸気部材4を巻き取る回転体である。)へ支持させ、説明を後述する取り除き部材Sにより発酵槽2における混合物A内へ敷設して混合物A内の空気を吸引するもので、多数の穿孔を有する可撓性を有する、例えば、合成樹脂製の長尺な連続したパイプを用いるものであって、その径は、例えば、50mm〜100mm程度である。
なお、図5に示すRは、吸気部材4に内在されるロープで、ロープRは、一端を吸気部材4に取り付けられ(特に、図3参照)、他端を回転体Mに取り付けられている(特に、図5及び図6参照)。
【0018】
なお、回転体Mは、図5に示すように、枠体3aに立設した支持体M1へ支軸M2を回転自在に取り付けて、この支軸M2に所定径のリールM3を固着して、このリールM3に吸気部材4が巻き取りおよび繰り出し自在に巻かれてある。また、支軸M2は、図示しない油圧モータ等の回転手段により正逆に回転されるようになっている。
【0019】
また、前記した取り除き部材Sは、走行体3に取り付けられ、発酵槽2の混合物A内へ吸気部材4を敷設及び除去させる際に使用するもので、本実施例にあっては、取り除き部材Sは、発酵槽2内の吸気部材4の上の畜糞(又は畜糞と泥炭を混合した混合物A)を取り除くもので、枠体3aに取り付けられた回動軸S1に回動自在に支承させてある。
使用時は、図5に示すように、取り除き部材Sの下部部材S2を取り外し、図6乃至図10に示すように、取り除き部材Sを混合物A内へ埋入させる。
この取り除き部材S(特許第3400762号公報記載の押し広げ体35)は、図7に示すように、走行体の進行方向に向かって先細り形状となって、進行方向前部に混合物Aを切り開く刃体S3が高さ方向に連続した縦斜め向きに設けられ(図6乃至図8参照)、なお、この刃体S3の下側には、混合物A内に吸気部材4の敷設路を形成する下部部材S2が、該刃体S3へ着脱自在に設けられている。
なお、取り除き部材Sの作動にあっては、枠体3aに一端部を取り付けた流体シリンダ等の回動部材S5のロッドS4を、取り除き部材Sに軸支することで、該回動部材S5の操作により略90°の範囲内を回動する。また、回転体Mからの巻き取り又は回転体Mから繰り出された吸気部材4は、取り除き部材Sの内方に設けられた案内部材(例えば、ローラー)rにより案内される。つまり、回転体Mによる吸気部材4の巻き取りの場合、案内部材(例えば、ローラー)r は、吸気部材4を回転体Mに案内し、回転体Mから吸気部材4の繰り出しの場合、案内部材(例えば、ローラー)r は、吸気部材4を取り除き部材Sの外方へと案内することとなる。
【0020】
発酵槽2の混合物A内へ敷設させる吸気部材4は、該発酵槽2の幅方向に対して、一箇所(一本)あるいは複数箇所(本実施例では、例えば、図1に示すように、4本である。)に設けられるもので、例えば、50cm〜1m間隔に設けられるものであって、適宜、その敷設間隔は設定される。
従って、複数箇所(複数本)に設けられる場合は、回転体Mはその吸気部材4の数に相応して枠体3aに設けられることとなる。
【0021】
図1に図示した切り返し手段6は、発酵槽2に設けた軌道31、31に沿って、該発酵槽2の前端部から後端部までの間を進退自在にかつ任意に移動し、該発酵槽2の前端部から後端部までの間を進退自在にかつ任意に移動するもので、発酵槽2内の混合物Aを撹拌混合するものである。
【0022】
上記のように構成される本実施例の畜糞処理装置1およびその方法は、以下に述べる作用を奏する。
畜産農家から生状態で採取した畜糞と所定に調製した泥炭とを、例えば、30:70〜70:30の比率により配合して、発酵槽2内へ入れる前に、撹拌混合手段(図示せず)の槽(図示せず)内へ投入して、撹拌部材(図示せず)により畜糞、泥炭を撹拌および混合を行って所定に水分調整された混合物Aを得る。
【0023】
そして、この混合物Aを発酵槽2内へその全長に対して所定深さで万遍なく収容する。例えば、発酵槽2は、幅約6m、長さ約40m、深さ約1mに形成し、混合物Aを約6m3 投入する。なお、あらかじめ、切り返し手段6により投入された混合物9を切り返し整地することもある。
【0024】
この混合物A中に対して、発酵槽2の始端側から、回転体Mによる吸気部材4の繰り出しと取り除き部材Sの協働作業により吸気部材4を、該発酵槽2の全長に対して敷設する(図1参照)。敷設する作業については、特許第3400762号公報に開示されているので、その説明は、省略する。
敷設後、発酵槽2内から吸気部材4を巻き取るには、まず、図2、図5に示すように、取り除き部材Sから下部部材S2を取り外すと共に、吸気部材4の中途を取り外し、吸気部材4内からロープRを取り外し、該ロープRを取り除き部材S内に設けたローラr、走行体3に取り付けられたローラr1に掛け渡すと共に、回転体Mの支軸M2に巻き付けて、該吸気部材4の先端部を発酵槽2の始端側に臨ませる(図6参照)。
【0025】
この状態で、駆動手段により駆動軸33を、回転手段35によりドラム体36を、それぞれ動作させて、走行体3を走行させると、該走行体3は、発酵槽2の終端側へ向かって移動する。これに伴って、取り除き部材Sの刃体S3が混合物Aを切り開きつつ、つまり、吸気部材4の上の混合物Aを取り除きながら、回転体Mの回転によりロープRを介して吸気部材4を回転体Mに巻き付ける(図6、図7、図8、図9及び図10参照)。その結果、吸気部材4の「巻き付けに伴う力」を一部ロープRが負担するため、吸気部材4の巻き付けに伴う吸気部材4の破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 畜糞処理装置
2 発酵槽
3 走行体
4 吸気部材
42 ダクト
M 回転体
R ロープ
S 取り除き部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法に係り、特に、吸気部材の破損の防止を図った畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、先に「生の状態で採取した畜糞と泥炭とを撹拌および混合を行って混合物を得て、この混合物を発酵槽内に収容し、該混合物中に対して、多数の穿孔を有する吸気部材を敷設して混合物の静置と発酵とを行い、所定の日時が経過した後、混合物中に敷設した吸気部材を取り出して、この混合物の切り返しを行って発酵を促進させて畜糞を処理させる畜糞処理装置」を開示した(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3400762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献(特許第3400762号の図7)に記載のものにあっては、巻き取り手段により吸気部材そのものを巻き取るため、吸気部材が破損するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を防ぐようにした畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の畜糞処理装置は、畜糞を発酵させる発酵槽と、この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材とを備えているものである。
【0007】
また、請求項2記載の畜糞処理装置は、請求項1記載の畜糞処理装置において、畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっているものである。
【0008】
また、請求項3記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法は、畜糞を発酵させる発酵槽と、この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材と、備え、前記走行体の移動に伴い、前記取り除き部材も移動し前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除きながら、前記回転体の回転により前記ロープを介して前記吸気部材を前記回転体に巻き付けるものである。
【0009】
また、請求項4記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法は、請求項3記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法において、畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の畜糞処理装置によれば、走行体の移動に伴い、取り除き部材も移動し発酵槽内の吸気部材の上の畜糞を取り除きながら、回転体の回転によりロープを介して吸気部材を回転体に巻き付けるため、吸気部材の「巻き付けに伴う力」を一部ロープが負担するため、吸気部材の巻き付けに伴う吸気部材の破損を防止することができる。
【0011】
また、請求項3記載の畜糞処理装置の巻き取り方法によれば、走行体の移動に伴い、取り除き部材も移動し発酵槽内の吸気部材の上の畜糞を取り除きながら、回転体の回転によりロープを介して吸気部材を回転体に巻き付けるため、吸気部材の「巻き付けに伴う力」を一部ロープが負担するため、吸気部材の巻き付けに伴う吸気部材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施例の畜糞処理装置の概略的平面図である。
【図2】図2は、図1の概略的側面図で、畜糞処理装置の吸気部材の巻き取りを開始するに当たり、吸気部材の中途を離脱させた状態を示している。
【図3】図3は、図2の一部を拡大して示す概略的一部拡大側面図である。
【図4】図4は、図3の4−4線による概略的断面図である。
【図5】図5は、図2の状態から取り除き部材を回動して、前記取り除き部材の下部部材を取り外した状態の概略的側面図である。
【図6】図6は、図5の状態から取り除き部材を回動し、ロープを回転体に巻き付けた状態の概略的側面図である。
【図7】図7は、図6の7−7線による概略的断面図である。
【図8】図8は、図6の一部の概略的右側面図である。
【図9】図9は、図6の状態から走行体が移動している途中を示した概略的側面図である。
【図10】図10は、図9の状態から走行体が移動し、吸気部材の巻き取りが完了した状態の概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例の畜糞処理装置及び畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法を図面を参照して説明する。
図1において、1は畜糞処理装置であって、畜糞処理装置1は、畜糞を収容し、該畜糞を発酵させる発酵槽2と、この発酵槽2に設けた軌道31に沿って進退自在に移動する走行体3(と、発酵槽2の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材4と、吸引手段(例えば、送風機)5と、切り返し手段(例えば、攪拌部材)6とにより、構成されている。
吸引手段5は、吸気部材4に接続させて発酵槽2の説明を後述する混合物A内の空気を、吸気部材4に設けた多数の穿孔41(図4参照)から吸引するもので、慣用の送風機を用いる。吸気部材4と吸引手段5とは配管5aにより接続されている。なお、この吸引手段5により吸引された空気は、配管5bを介して脱臭槽40に送気して、所定の臭気を除いた後、大気へ放出される[なお、脱臭槽40の具体的な内容については、特許第3400762号公報の段落番号[0027]〜[0029]を参照]。
【0014】
発酵槽2には、望ましくは、畜糞と泥炭を混合した混合物Aを収容し、該混合物Aを発酵させるようにする。畜糞は、畜産農家の飼育場より排出された生状態の豚糞や、牛糞,鶏糞等が使用されるものであって、その含水量は70%〜80%程度を有する。
また、泥炭は、水田土壌等から表土を取り除いた泥炭層を掘削するもので、この状態では高い含水量を有しているものであって、この泥炭層を所定場所へ運搬して、野積み放置による所定の水切り等の一次乾燥と、所定厚の層状に万遍なく広げて、天日乾燥等による二次乾燥を行なう。
更に、この二次乾燥において一旦集積され、雨水等がかからない屋内において再乾燥の後、粉砕機等により塊を粉砕しつつ乾燥を進行させると、粉末状態から20mm程度の粒状に成形された泥炭原料が得られる。こうしてでき上がった泥炭原料は、その含水量は50%〜60%程度に水分調整されているもので、また、内部には、細菌や放線菌,糸状菌等の微生物が混在する。この泥炭と上記した畜糞を混合して混合物Aが形成される。
また、上記した発酵槽2は、畜糞と泥炭とによる混合物Aを堆積状に収容するもので、コンクリート等による床21上に、所定高さに立設させた左右一対の壁体22、22により前部あるいは前後におよび上部に開口部23、24を有する容体状(断面略U字状)に形成される。
【0015】
走行体3は、発酵槽2における壁体22、22の上部に設けた軌道31、31に沿って、該発酵槽2の前端部から後端部までの間を進退自在にかつ任意に移動するもので、金属等により堅牢な枠体3aに形成して、その下部に走行輪32、32を駆動軸33および従動軸34により取り付けて、軌道31、31に係合してあるもので、駆動軸33を図示しない油圧モータ等の駆動手段により駆動するようになっている。
【0016】
更に、この走行体3は、枠体3aに油圧モータ等の回転手段35により正逆に回転されるドラム体36を取り付けてあり、このドラム体36へ巻き付けたワイヤー等の連係索37の外端部を建物等の基部38(図5参照)に固着しておき、回転手段35の作動により牽引して、該走行体3の走行を補助することができる。
【0017】
吸気部材4は、走行体3の枠体3aに載置した巻き取り手段M(巻き取り手段Mは、走行体3に取り付けられ、吸気部材4を巻き取る回転体である。)へ支持させ、説明を後述する取り除き部材Sにより発酵槽2における混合物A内へ敷設して混合物A内の空気を吸引するもので、多数の穿孔を有する可撓性を有する、例えば、合成樹脂製の長尺な連続したパイプを用いるものであって、その径は、例えば、50mm〜100mm程度である。
なお、図5に示すRは、吸気部材4に内在されるロープで、ロープRは、一端を吸気部材4に取り付けられ(特に、図3参照)、他端を回転体Mに取り付けられている(特に、図5及び図6参照)。
【0018】
なお、回転体Mは、図5に示すように、枠体3aに立設した支持体M1へ支軸M2を回転自在に取り付けて、この支軸M2に所定径のリールM3を固着して、このリールM3に吸気部材4が巻き取りおよび繰り出し自在に巻かれてある。また、支軸M2は、図示しない油圧モータ等の回転手段により正逆に回転されるようになっている。
【0019】
また、前記した取り除き部材Sは、走行体3に取り付けられ、発酵槽2の混合物A内へ吸気部材4を敷設及び除去させる際に使用するもので、本実施例にあっては、取り除き部材Sは、発酵槽2内の吸気部材4の上の畜糞(又は畜糞と泥炭を混合した混合物A)を取り除くもので、枠体3aに取り付けられた回動軸S1に回動自在に支承させてある。
使用時は、図5に示すように、取り除き部材Sの下部部材S2を取り外し、図6乃至図10に示すように、取り除き部材Sを混合物A内へ埋入させる。
この取り除き部材S(特許第3400762号公報記載の押し広げ体35)は、図7に示すように、走行体の進行方向に向かって先細り形状となって、進行方向前部に混合物Aを切り開く刃体S3が高さ方向に連続した縦斜め向きに設けられ(図6乃至図8参照)、なお、この刃体S3の下側には、混合物A内に吸気部材4の敷設路を形成する下部部材S2が、該刃体S3へ着脱自在に設けられている。
なお、取り除き部材Sの作動にあっては、枠体3aに一端部を取り付けた流体シリンダ等の回動部材S5のロッドS4を、取り除き部材Sに軸支することで、該回動部材S5の操作により略90°の範囲内を回動する。また、回転体Mからの巻き取り又は回転体Mから繰り出された吸気部材4は、取り除き部材Sの内方に設けられた案内部材(例えば、ローラー)rにより案内される。つまり、回転体Mによる吸気部材4の巻き取りの場合、案内部材(例えば、ローラー)r は、吸気部材4を回転体Mに案内し、回転体Mから吸気部材4の繰り出しの場合、案内部材(例えば、ローラー)r は、吸気部材4を取り除き部材Sの外方へと案内することとなる。
【0020】
発酵槽2の混合物A内へ敷設させる吸気部材4は、該発酵槽2の幅方向に対して、一箇所(一本)あるいは複数箇所(本実施例では、例えば、図1に示すように、4本である。)に設けられるもので、例えば、50cm〜1m間隔に設けられるものであって、適宜、その敷設間隔は設定される。
従って、複数箇所(複数本)に設けられる場合は、回転体Mはその吸気部材4の数に相応して枠体3aに設けられることとなる。
【0021】
図1に図示した切り返し手段6は、発酵槽2に設けた軌道31、31に沿って、該発酵槽2の前端部から後端部までの間を進退自在にかつ任意に移動し、該発酵槽2の前端部から後端部までの間を進退自在にかつ任意に移動するもので、発酵槽2内の混合物Aを撹拌混合するものである。
【0022】
上記のように構成される本実施例の畜糞処理装置1およびその方法は、以下に述べる作用を奏する。
畜産農家から生状態で採取した畜糞と所定に調製した泥炭とを、例えば、30:70〜70:30の比率により配合して、発酵槽2内へ入れる前に、撹拌混合手段(図示せず)の槽(図示せず)内へ投入して、撹拌部材(図示せず)により畜糞、泥炭を撹拌および混合を行って所定に水分調整された混合物Aを得る。
【0023】
そして、この混合物Aを発酵槽2内へその全長に対して所定深さで万遍なく収容する。例えば、発酵槽2は、幅約6m、長さ約40m、深さ約1mに形成し、混合物Aを約6m3 投入する。なお、あらかじめ、切り返し手段6により投入された混合物9を切り返し整地することもある。
【0024】
この混合物A中に対して、発酵槽2の始端側から、回転体Mによる吸気部材4の繰り出しと取り除き部材Sの協働作業により吸気部材4を、該発酵槽2の全長に対して敷設する(図1参照)。敷設する作業については、特許第3400762号公報に開示されているので、その説明は、省略する。
敷設後、発酵槽2内から吸気部材4を巻き取るには、まず、図2、図5に示すように、取り除き部材Sから下部部材S2を取り外すと共に、吸気部材4の中途を取り外し、吸気部材4内からロープRを取り外し、該ロープRを取り除き部材S内に設けたローラr、走行体3に取り付けられたローラr1に掛け渡すと共に、回転体Mの支軸M2に巻き付けて、該吸気部材4の先端部を発酵槽2の始端側に臨ませる(図6参照)。
【0025】
この状態で、駆動手段により駆動軸33を、回転手段35によりドラム体36を、それぞれ動作させて、走行体3を走行させると、該走行体3は、発酵槽2の終端側へ向かって移動する。これに伴って、取り除き部材Sの刃体S3が混合物Aを切り開きつつ、つまり、吸気部材4の上の混合物Aを取り除きながら、回転体Mの回転によりロープRを介して吸気部材4を回転体Mに巻き付ける(図6、図7、図8、図9及び図10参照)。その結果、吸気部材4の「巻き付けに伴う力」を一部ロープRが負担するため、吸気部材4の巻き付けに伴う吸気部材4の破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 畜糞処理装置
2 発酵槽
3 走行体
4 吸気部材
42 ダクト
M 回転体
R ロープ
S 取り除き部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜糞を発酵させる発酵槽と、
この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、
前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、
この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、
前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、
前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、
この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材と、
を備えていることを特徴とする畜糞処理装置。
【請求項2】
畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、
この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっている
ことを特徴とする請求項1記載の畜糞処理装置。
【請求項3】
畜糞を発酵させる発酵槽と、
この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、
前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、
この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、
前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、
前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、
この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材と、
を備え、
前記走行体の移動に伴い、前記取り除き部材も移動し前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除きながら、前記回転体の回転により前記ロープを介して前記吸気部材を前記回転体に巻き付ける
ことを特徴とする畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法。
【請求項4】
畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、
この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっている
ことを特徴とする請求項3記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法。
【請求項1】
畜糞を発酵させる発酵槽と、
この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、
前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、
この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、
前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、
前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、
この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材と、
を備えていることを特徴とする畜糞処理装置。
【請求項2】
畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、
この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっている
ことを特徴とする請求項1記載の畜糞処理装置。
【請求項3】
畜糞を発酵させる発酵槽と、
この発酵槽の下部に設けられ、多数の穿孔を有する吸気部材と、
前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、
この走行体に取り付けられ、前記吸気部材を巻き取る回転体と、
前記吸気部材に内在されると共に、一端を前記吸気部材に取り付けられ、他端を前記回転体に取り付けられたロープと、
前記走行体に取り付けられ、前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除く取り除き部材と、
この取り除き部材の内方に設けられ、前記吸気部材を前記回転体に案内する案内部材と、
を備え、
前記走行体の移動に伴い、前記取り除き部材も移動し前記発酵槽内の前記吸気部材の上の前記畜糞を取り除きながら、前記回転体の回転により前記ロープを介して前記吸気部材を前記回転体に巻き付ける
ことを特徴とする畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法。
【請求項4】
畜糞と泥炭を混合して発酵させる発酵槽と、
この発酵槽内に位置する取り除き部材は、走行体の進行方向に向かって先細り形状となっている
ことを特徴とする請求項3記載の畜糞処理装置の吸気部材の巻き取り方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−143322(P2011−143322A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3601(P2010−3601)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(596134079)南榛原開発株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(596134079)南榛原開発株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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