説明

番号標検出装置、コンピュータプログラム及び番号標検出方法

【課題】簡易な構成で精度良く番号標を検出することが可能となる番号標検出装置、コンピュータを前記番号標検出装置として動作させるコンピュータプログラム、及び番号標検出方法を提供する。
【解決手段】番号標検出装置1は、1台の撮像装置2にて複数車線に亘る範囲を撮像し、撮像画像から複数車線夫々に対応し、且つ相互に所定の重複部分を持つ複数の領域を抽出する。番号標検出装置1は、抽出した複数の領域に対して夫々番号標検出処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行する車両を撮像部で撮像して番号標を検出する番号標検出装置に関する。特に、簡易な構成で精度良く番号標を検出することが可能となる番号標検出装置、コンピュータを前記番号標検出装置として動作させるコンピュータプログラム、及び番号標検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の車両の通行を検知するために、走行する車両の番号標(所謂ナンバープレート)を検出する技術が開発されている。
【0003】
従前からの番号標検出装置は、1車線を1台のカメラで撮像して検出する構成が一般的であった。しかしながら、車両は車線変更を行なう場合や、道路上に障害物が存在する場合など、車線内を常に走行するとは限らない。1車線に1台のカメラとする構成では、番号標がカメラの撮像範囲外となるか、又は撮像範囲内であっても一部が欠ける可能性があり、検出が困難となって検出漏れが生じる虞がある。そこで、これらの検出誤り及び検出漏れを防ぐための方法が種々提案されている。
【0004】
特許文献1には、処理対象エリアを分割して複数のカメラ夫々に割り当て、各カメラで同時的に撮像し、夫々の撮像画像に対し別々に一連の番号標検出処理を行なう方法が開示されている。特許文献2には、コストを低減するために比較的低解像度のカメラを用い、時間的に前後する画像の差分から番号標の動きを検知し、検知した番号標から情報を読み取る方法が開示されている。特許文献3には、1台のカメラで広範囲を撮像できるように、カメラを回転台に設置し、カメラの回転を自動的に制御する構成とし、車両が撮像範囲外を走行する場合でも検出漏れを防ぐ方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−105352号公報
【特許文献2】特開2001−273461号公報
【特許文献3】特開2010−211720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数台のカメラを用いる方法は、比較的にコスト高となる。また、夫々の撮像範囲の境界付近にて検出漏れが生じる可能性がある。特許文献1に開示されている方法は、複数台のカメラに対する同時性を担保するためのシャッタ信号の制御を必要とする。更に、特許文献1に開示されている方法は、複数のカメラに対して画像入力部及び画像処理部を共有化するので、1つの番号標の検出に要する処理時間が長くなる可能性がある。
【0007】
コストを低減するために低解像度のカメラを用いる場合には、番号標を撮像した領域からの文字認識処理が複雑化し、処理時間が長くなる可能性がある。一方で、1台のカメラで複数車線を網羅するように高解像度のカメラを用いる場合、高解像度画像に対する処理負荷が加重され、処理時間が長くなる可能性がある。
【0008】
特許文献3に開示されているように1台のカメラを可動化して撮像する構成では、可動化のための制御が新たに必要になり、コストの低減が困難になる上、制御が煩雑である。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で精度良く番号標を検出することが可能となる番号標検出装置、コンピュータを前記番号標検出装置として動作させるコンピュータプログラム、及び番号標検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る番号標検出装置は、道路を走行する車両を撮像部で撮像して得られた撮像画像に基づき、前記車両の番号標を検出する番号標検出装置において、前記撮像部は、前記道路の複数車線を撮像範囲としてあり、前記撮像部から得た撮像画像から、前記複数車線夫々に対応し、且つ相互に重複する複数の領域を抽出する抽出手段と、該抽出手段が抽出した複数の領域夫々について番号標を検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る番号標検出装置は、前記抽出手段は、撮像画像から道路の幅方向に番号標の幅以上の大きさで重複する複数の領域を抽出するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る番号標検出装置は、前記検出手段は、前記複数の領域夫々に対して同時的に検出処理する複数の検出処理部を備えることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る番号標検出装置は、前記検出手段は、前記撮像部から得た撮像画像、又は前記抽出手段が抽出した領域を複製して複数の検出処理部に夫々与えるようにしてあることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る番号標検出装置は、前記検出手段は、前記複数の検出処理部にて夫々検出した番号標が同一である場合、一方を選択する手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係るコンピュータプログラムは、道路の複数車線を撮像する撮像部と接続するコンピュータに、前記撮像部から得られる撮像画像に基づき、前記道路を走行する車両の番号標を検出させるコンピュータプログラムであって、前記撮像部から得た撮像画像から、前記複数車線夫々に対応し、且つ相互に重複する複数の領域を抽出するステップと、抽出された複数の領域の画像を、番号標を検出する処理部へ夫々与えるステップとを実行させることを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る番号標検出方法は、道路を走行する車両を撮像部で撮像して得られた撮像画像に基づき、前記車両の番号標を検出する番号標検出装置による番号標検出方法において、前記撮像部で、前記道路の複数車線を撮像し、前記撮像部から得た撮像画像から、前記複数車線夫々に対応し、且つ相互に重複する複数の領域を抽出し、抽出した複数の領域夫々について番号標を検出することを特徴とする。
【0017】
第1発明、第6発明及び第7発明では、撮像部は複数車線分を撮像するようにしてあり、撮像部にて得られる画像から、夫々の車線に対応する重複した複数の領域が抽出され、各々の領域に対して番号標検出処理が実行される。検出対象領域が重複して抽出させてあることによって、各々の境界付近での検出漏れが解消される。しかも、抽出された領域同士の同時性は必然的に担保される。
なお、本発明に係る撮像部は、好ましくは、隣り合う複数車線を上方から斜め下向きに俯瞰するように撮像する。撮像範囲の横方向は、例えば2車線分の幅から左右夫々に、車両本体の端部から該車両に取り付けられる番号標の端部までの長さの分を減算した範囲とすればよい。
これにより、撮像部で複数車線分の画像に基づく検出が可能であるから、撮像部の設置コストを低減することができる。また、検出対象領域が重複して抽出されるので、各々の境界付近での検出漏れが解消される。撮像部は複数車線分の範囲を撮像するので、複数の領域を抽出した場合に夫々の領域に写る物体の同時性が担保される。したがって、抽出された画像を用いる後段の検出処理にてタイミングを考慮せずともよい。カメラの撮像範囲を変更するような駆動制御も複数台のカメラによる同時撮影の制御も不要である。しかも、後段の検出に従前のものを使用することができるので、コストを更に低減することも可能である。
【0018】
第2発明では、撮像部にて得られる画像から、夫々の車線に対応する領域が抽出されるに際し、撮像画像内の車線が写っている領域及びその近傍で道路の幅方向に、番号標の幅以上の重複を持って抽出される。これにより、抽出された複数の領域の少なくともいずれか1つに、必ず番号標の全体が写るので、検出漏れが解消される。
【0019】
第3発明では、撮像画像から抽出された領域夫々についての番号標検出処理は、複数備えられた検出処理部にて同時的に行なわれる。したがって、1つの撮像画像に複数車線分の複数の番号標が写っている場合であっても夫々車両1台分の検出処理を同時的に行なう構成であるから、処理時間が長くなる虞がない。また、従前からの検出処理部を使用することが可能となり、コストを更に低減することが可能となる。
【0020】
第4発明では、複数の検出処理部にて独立に処理を行なわせるために、撮像部で得られた撮像画像が複製されて、又は抽出された領域が複製されて夫々に与えられる。撮像画像をデジタル化しておくことにより、複製が容易となって画像に対する検出処理時間が短縮化される。
【0021】
第5発明では、複数の検出処理部で検出した番号標の番号及び文字が同一である場合、いずれか一方を選択して処理がなされる。同一の撮像画像から抽出された領域にて検出された番号標であるから同時性は担保されるので、一方を選択するのみで二重検出及び検出漏れを防止することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明による場合、1台のカメラで複数車線を撮像して得られた画像を元に処理を行なうことにより、簡易な構成で誤検出及び検出漏れを防ぎ、コストを低減することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1における交通監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】撮像装置にて得られる撮像画像の一例を示す説明図である。
【図3】実施の形態1における番号標検出装置の機能ブロック図である。
【図4】実施の形態1における番号標検出装置による処理内容を説明するための説明図である。
【図5】実施の形態1における番号標検出装置にて実行される番号標検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】番号標検出装置の処理対象の撮像画像の一例を示す説明図である。
【図7】実施の形態2における番号標検出装置の機能ブロック図である。
【図8】実施の形態2における番号標検出装置による処理内容を説明するための説明図である。
【図9】実施の形態2における番号標検出装置による処理内容を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明に係る番号標検出装置を、交通監視システムに適用した例を挙げて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における交通監視システムの構成を示すブロック図である。交通監視システムは、番号標検出装置1と、番号標検出装置1に接続される撮像装置2と、及び番号標検出装置1とネットワーク4を介して接続される中央装置3で構成される。交通監視システムは、番号標検出装置1が、撮像装置2から得られる撮像画像に基づき、走行してきた車両の番号標(例えば、ナンバープレート)を検出し、検出した番号標に対して認識した結果(陸運支局、分類番号、用途番号、一連番号等)を中央装置3へ送信して実現される。撮像装置2は、番号標検出装置1に内蔵される構成であってもよい。
【0026】
番号標検出装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、記憶部11と、一時記憶部12と、画像処理部13と、通信部16とを備える。番号標検出装置1は、路側に設置されて所定の高さで道路側に伸びている支柱に取り付けられている。
【0027】
CPU10は、記憶部11に記憶してある制御プログラム1Pを読み出して実行することにより、番号標検出装置1として動作する。CPU10は、独立した動作を並列的に行なうことができることが好ましい。複数のCPUから構成されてもよい。
【0028】
記憶部11は、フラッシュメモリなどを用い、制御プログラム1Pの他に、CPU10が演算中に参照する情報を予め記憶する。
【0029】
一時記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic RAM)などのRAMを用い、CPU10の演算の過程で発生する情報を一時的に記憶する。
【0030】
画像処理部13は、画像処理用の集積回路であり、撮像装置2から得られる撮像画像に対する画像処理を実行する。画像処理部13は、第1の処理部14と第2の処理部15とを備え、ほぼ同様の処理を独立して並列的に実行できるように構成されてある。画像処理の内容の詳細は後述する。なお、画像処理部13は書き換え可能なプログラムに基づき構成されるものであってもよい。
【0031】
通信部16は、ネットワークインタフェースであって、ネットワーク4を介した通信を実現するために所定のプロトコルによる通信を実現する。実施の形態1においては、プロトコルは問わない。無線通信であってもよい。CPU10は通信部16により、後述する機能によって検出した番号標の情報を中央装置3へ送信することが可能である。
【0032】
撮像装置2は、照明部及びカメラ(いずれも図示せず)を備える。撮像装置2は、番号標検出装置1同様に、支柱に取り付けられている。カメラのレンズは、道路を俯瞰するように設置されている。撮像装置2のカメラは、1秒当たりに例えば30(29.97)フレームの画像を撮像し、アナログ信号にて番号標検出装置1へ出力する。撮像装置2のカメラは、1秒当たりに60フレームの画像を撮像し、出力するものであってもよい。照射部は、カメラで撮像するタイミング、即ち各フレームのタイミングに合わせて、道路上の車両に向けて近赤外光を照射する。これにより、例えば夜間であってもカメラで車両を撮像することができる。
【0033】
図2は、撮像装置2にて得られる撮像画像の一例を示す説明図である。撮像装置2のカメラは、従前の番号標検出装置にて使用されてきたカメラよりも高解像度であり、道路の2つの車線を跨いで撮像できるように設置されてある。図2の例では、2車線をほぼ平行して走行してきた2台の車両の番号標が写っている。撮像装置2のカメラの解像度は、1画素が車両上の2〜5mm程度であれば、後述するプレート認識部の処理に問題がない。横方向の画角は、例えば4000〜5000mm程度であればよい。より詳細には、2車線分の道路の両端の間の長さよりも、車両本体の横端部から前記車両に取り付けられた番号標の端部までの長さの分だけ内側の幅(即ち番号標が写る可能性がある領域)を捉えれば十分である。通常の走行をする車両の番号標が写り得ない領域は撮像範囲に入らなくともよいからである。
なお、番号標の大きさは例えば以下である。
大型番号標(所謂大型車用) :縦220mm×横440mm
中型番号標(所謂普通車用) :縦165mm×横330mm
小型番号標(所謂軽自動車用):縦125mm×横230mm
【0034】
このように構成される交通監視システムにて、番号標検出装置1が撮像装置2から得られた撮像画像から番号標を検出する処理について詳細を説明する。
【0035】
図3は、実施の形態1における番号標検出装置1の機能ブロック図である。番号標検出装置1は、図1に示したCPU10、記憶部11、一時記憶部12及び画像処理部13などのハードウェアと、CPU10の制御プログラム1Pに基づくソフトウェア的処理とが協働し、第1の処理部14、第2の処理部15、プレート認識部101,102、及び制御部103として機能する。
【0036】
第1の処理部14は、撮像装置2からの信号を入力してデジタル処理し、1枚のフレームデータとして複製を第2の処理部15へ渡す。また第1の処理部14は、デジタル処理後のフレームデータに対し、画像の左側の所定領域を抽出する。所定領域とは、後述するエリアAのように、撮像画像に写っている2つ車線の内の左側の車線を捉えた領域であって、且つ右側の車線の領域と番号標の幅以上に重複部分を有する領域である。このときの番号標の幅は例えば、最も大きな大型番号標の幅440mmに相当する幅とする。
【0037】
更に第1の処理部14は、抽出した領域に対し、ノイズ除去、色成分/輝度成分の抽出、明るさ調整、色反転、ガンマ補正、グレースケール化、及び任意角回転処理などの画像処理を施す。第1の処理部14は、画像処理後の抽出領域に対し、平準化フィルタ処理や、特徴抽出フィルタ処理などを行なう。第1の処理部14は、水平方向及び/又は垂直方向のエッジ検出、二値化によって矩形領域の番号標の領域を特定し、その中心位置を特定するなどの処理を行なう。第1の処理部14は、特定した位置の座標情報を、内蔵するメモリ(図示せず)又は一時記憶部12に記憶するなどして後段のプレート認識部101,102から参照することができるようにしてある。第1の処理部14は、特定した番号標領域に対して、前のフレームとの差分処理などの処理も行なう。そして第1の処理部14は、位置を特定した番号標領域の候補毎に、番号標領域からパターン検出に基づき文字候補の検出を行なう。なお、第1の処理部14による各種ノイズ除去、補正処理又はフィルタ処理などの画像処理、番号標領域の特定処理、文字候補の検出処理の内容については、公知の方法も含め、多様な方法を用いることが可能である。
【0038】
第2の処理部15は、第1の処理部14から渡されたフレームデータに対し、画像の右側の所定領域を抽出する。このときの所定領域とは、後述するように、撮像画像に写っている2つ車線の内の右側に写っている車線の領域であって、且つ左側の所定領域と番号標の幅以上に重複部分を有する領域である。更に第2の処理部15は、抽出した領域に対し、第1の処理部14と同様に各種画像処理を施して番号標の位置を特定し、特定した番号標領域における各文字領域候補の検出を行なう。
【0039】
プレート認識部101は、CPU10が制御プログラム1Pを読み出して実行することにより実現されるソフトウェア的機能である。プレート認識部101は、第1の処理部14にて検出された文字領域候補夫々について、陸運支局、分類番号、用途番号、及び一連番号のパターン認識により文字認識を行なう。各種補正処理を施してから文字認識を行なうようにしてもよい。プレート認識部101は、認識結果を一時記憶部12に記憶しておく。プレート認識部102は、プレート認識部101と同様に、第2の処理部15にて検出された文字領域候補夫々について文字認識を行なうと共に、認識結果を一時記憶部12に記憶しておく。
【0040】
制御部103は、第1の処理部14、第2の処理部15、プレート認識部101及びプレート認識部102による処理を制御する。また、制御部103は、プレート認識部101による認識結果と、プレート認識部102による認識結果とを比較し、同一である場合には一方のみを選択して選択した認識結果を通信部16により中央装置3へ送信する。
【0041】
図4は、実施の形態1における番号標検出装置1の画像処理部13による処理内容を説明するための説明図である。図4の説明図は、図2に示した撮像画像の一例に重ねて、第1の処理部14及び第2の処理部15による画像処理範囲を破線にて示している。第1の処理部14による画像処理範囲をエリアA、第2の処理部15による画像処理範囲をエリアBとする。
【0042】
図4に示すように、エリアAとエリアBとは、車線が写っている領域近傍で重複部分を有している。重複部分は番号標の幅、少なくとも大型番号標の横幅以上であることにより、検出漏れを防ぐことが可能である。第1の処理部14は、入力する撮像画像に対するエリアAの座標情報を予め記憶しておき、当該座標情報に基づきエリアAを特定して処理を行なう。同様に、第2の処理部15は、エリアBの座標情報を予め記憶しておき、エリアBを特定して処理を行なう。
【0043】
上述のように機能する番号標検出装置1における動作について説明する。図5は、実施の形態1における番号標検出装置1にて実行される番号標検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0044】
第1の処理部14は、撮像画像を入力し(ステップS1)、デジタル処理を施して複製を作成し(ステップS2)、第2の処理部15へ渡す(ステップS3)。第1の処理部14は、デジタル処理後の撮像画像からエリアAを抽出する(ステップS4)。第1の処理部14は抽出したエリアAに対し、各種画像処理を行ない(ステップS5)、プレート認識部101がプレート認識を行なう(ステップS6)。
【0045】
第2の処理部15は、第1の処理部14から複製を受領し(ステップS7)、第1の処理部14における処理と同時並行的に処理を開始する。第2の処理部15は、渡された撮像画像からエリアBを抽出し(ステップS8)、抽出したエリアBに対し、各種画像処理(ステップS9)を行ない、プレート認識部102がプレート認識(ステップS10)を行なう。
【0046】
制御部103は、第1の処理部14及びプレート認識部101による認識結果と、第2の処理部15及びプレート認識部102による認識結果とを比較し(ステップS11)、同一の車両の番号標を検出したか否かを判断する(ステップS12)。制御部103は、同一の車両の番号標を検出していないと判断した場合(S12:NO)、検出結果を通信部16により中央装置3へ送信し(ステップS13)、同一の車両の番号標を検出したと判断した場合(S12:YES)、一方の検出結果を選択し(ステップS14)、処理をステップS13へ進める。いずれの検出結果を選択するかについては、制御部103は、プレート認識部101及びプレート認識部102のいずれか一方から、遅れて受け取った情報を選択するとしてもよいし、先に受け取った情報を選択するとしてもよい。
【0047】
図6は、番号標検出装置1の処理対象の撮像画像の一例を示す説明図である。図6に示す撮像画像には、中央部分に、車線上を跨ぐように1台の車両が写っている。第1の処理部14及びプレート認識部101の処理対象のエリアAにも、第2の処理部15及びプレート認識部102の処理対象のエリアBにも、車両の番号標の全体が包含されている。
【0048】
仮に、各車線を撮像した撮像画像、例えば図6に示す撮像画像を単純に縦半分に分割した撮像画像から検出を行なった場合、図6に示したように車両が走行したときには、分割後の撮像画像のいずれでも番号標が欠ける。この場合に番号標から文字を認識することが困難であり、誤検出又は検出漏れが発生する。複数の撮像部にて各車線を撮像した場合、各撮像部の撮像範囲を重複させたとしても、撮像タイミングの同時性が担保されない限り、車線を跨ぐように車両が走行したときには、夫々の撮像画像にて番号標の欠けが発生する虞がある。複数の撮像部の撮像タイミングの同時性の担保には制御機構が必要となる。
【0049】
本発明では、図6に示したように番号標の幅以上の重複部分を有することにより、車両が車線を跨ぐように走行していた場合でも、いずれかの領域(エリアA/エリアB)にて番号標全体を包含する。一方の領域では番号標が欠けるように写っている場合であっても、他方の領域では番号標全体を包含している。したがって、いずれかの領域で番号標検出処理が行なわれることで検出漏れが解消される。しかも、本発明では図6に示したように1枚の撮像画像を元にしているから、エリアAとエリアBとでは同時性が担保されている。同時性を担保するための制御機構は不要であり、簡易な構成が可能である。制御部103にて、二重に検出された番号標の内のいずれか一方を検出結果として選択することで、二重検出の虞もない。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態1では、画像処理部13の第1の処理部14及び第2の処理部15は、同一の撮像画像(第2の処理部15は複製)から夫々エリアAとエリアBとを抽出する構成とした。実施の形態2では、撮像装置2から入力した撮像画像をエリアAとエリアBとに切り出して、第1の処理部18及び第2の処理部19に夫々与える領域抽出部17を別途設ける構成とする。他の構成部については実施の形態1における各構成部と同様であるので同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
図7は、実施の形態2における番号標検出装置1の機能ブロック図である。実施の形態2における番号標検出装置1は、領域抽出部17、第1の処理部18及び第2の処理部19として機能する。領域抽出部17は、画像処理部13の集積回路内で実現される。勿論、制御プログラム1Pに基づきソフトウェア的に実現されてもよい。領域抽出部17は、撮像装置2から信号を入力してデジタル処理し、1枚のフレームデータとする。領域抽出部17は、フレームデータから左側の所定領域(エリアA)を抽出し、抽出した領域を複製して切り出し、1つのフレームデータとして第1の処理部18へ与える。また領域抽出部17は、フレームデータから右側の所定領域(エリアB)を抽出し、抽出した領域を複製し切り出し、1つのフレームデータとして第2の処理部19へ与える。
【0052】
第1の処理部18は、与えられたフレームデータ全体に対し、各種ノイズ除去、補正処理又はフィルタ処理などの画像処理、番号標領域の特定処理、文字候補の検出処理を行なう。処理内容は、実施の形態1における第1の処理部14と同様である。第2の処理部19も、与えられたフレームデータ全体に対し、各種ノイズ除去、補正処理又はフィルタ処理などの画像処理、番号標領域の特定処理、文字候補の検出処理を行なう。処理内容は、実施の形態1における第2の処理部15と同様である。
【0053】
図8及び図9は、実施の形態2における番号標検出装置1による処理内容を説明するための説明図である。いずれも、領域抽出部17から切り出されたフレームデータの画像を示している。なお図8及び図9は、図6に示した撮像装置2から得られる撮像画像に対応する。図8には、切り出されたエリアAのフレームデータの画像を示し、図9には、切り出されたエリアBのフレームデータの画像を示している。エリアAとエリアBの重複部分は実施の形態1と同様に、番号標の幅以上となるように設定されてある。
【0054】
領域抽出部17は、撮像装置2から得られる撮像画像から相互に重複する領域を抽出し、各領域を切り出して図8及び図9に示すようにフレームデータとして第1の処理部18及び第2の処理部19へ与える。フレームデータ(図8)を受領した第1の処理部18、及びフレームデータ(図9)を受領した第2の処理部19は夫々、同時的に以後の画像処理を実行し、後段のプレート認識部101,102も同時的に認識処理を行なう。
【0055】
これにより、第1の処理部18及び第2の処理部19は、領域の抽出処理を行なわずともよい。したがって、第1の処理部18及び第2の処理部19として、入力したフレームデータ全体に対して画像処理を行なう従前からのリソースを用いることができ、コストをより抑えることも可能である。
【0056】
実施の形態1及び2では、第1の処理部14(18)及びプレート認識部101の処理と、第2の処理部15(19)及びプレート認識部102の処理とは、独立に並列的に行なう構成とした。しかしながら本発明はこれに限らず、順次行なう構成としてもよい。
【0057】
実施の形態1及び2では、番号標検出装置1はハードウェアとして画像処理部13を備え、図2又は図6に示したように画像処理部13とソフトウェアに基づくCPU10のプレート認識部101,102との機能により、番号標を検出する構成とした。しかしながら本発明は、画像処理部13もソフトウェア的に実現してもよいし、画像処理部13、及び番号標認識部101,102のいずれもハードウェア的に実現する構成としてもよい。
【0058】
また、実施の形態1及び2では、撮像装置2は図2に示したような2車線を撮像する構成としたが、3車線及びそれ以上の複数車線を撮像する構成としてもよい。
【0059】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 番号標検出装置
10 制御部
11 記憶部
13 画像処理部
14 第1の処理部(抽出手段)
15 第2の処理部(抽出手段)
101,102 プレート認識部
1P 制御プログラム
2 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する車両を撮像部で撮像して得られた撮像画像に基づき、前記車両の番号標を検出する番号標検出装置において、
前記撮像部は、前記道路の複数車線を撮像範囲としてあり、
前記撮像部から得た撮像画像から、前記複数車線夫々に対応し、且つ相互に重複する複数の領域を抽出する抽出手段と、
該抽出手段が抽出した複数の領域夫々について番号標を検出する検出手段と
を備えることを特徴とする番号標検出装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、
撮像画像から道路の幅方向に番号標の幅以上の大きさで重複する複数の領域を抽出するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の番号標検出装置。
【請求項3】
前記検出手段は、
前記複数の領域夫々に対して同時的に検出処理する複数の検出処理部を備えること
を特徴とする請求項1又は2に記載の番号標検出装置。
【請求項4】
前記検出手段は、
前記撮像部から得た撮像画像、又は前記抽出手段が抽出した領域を複製して複数の検出処理部に夫々与えるようにしてあること
を特徴とする請求項3に記載の番号標検出装置。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記複数の検出処理部にて夫々検出した番号標が同一である場合、一方を選択する手段を備えること
を特徴とする請求項3又は4に記載の番号標検出装置。
【請求項6】
道路の複数車線を撮像する撮像部と接続するコンピュータに、前記撮像部から得られる撮像画像に基づき、前記道路を走行する車両の番号標を検出させるコンピュータプログラムであって、
前記撮像部から得た撮像画像から、前記複数車線夫々に対応し、且つ相互に重複する複数の領域を抽出するステップと、
抽出された複数の領域の画像を、番号標を検出する処理部へ夫々与えるステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
道路を走行する車両を撮像部で撮像して得られた撮像画像に基づき、前記車両の番号標を検出する番号標検出装置による番号標検出方法において、
前記撮像部で、前記道路の複数車線を撮像し、
前記撮像部から得た撮像画像から、前記複数車線夫々に対応し、且つ相互に重複する複数の領域を抽出し、
抽出した複数の領域夫々について番号標を検出する
ことを特徴とする番号標検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89031(P2013−89031A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229010(P2011−229010)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】