説明

番地カラーシステム、カラー写真画像を利用した符号化方法および復号化方法、並びに暗号化方法

【課題】符号化および復号化に最適なカラー概念を提案する共に、コンピュータでインターネット等の通信回線を経由したコンピュータ間の情報配信等でカラー写真画像を配信する際にメッセージも暗号的に送ることができる番地カラーシステム等を提供する。
【解決手段】本発明の番地カラーシステムは、任意のカラー写真画像21C,30を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、複数のピクセルの各々について、ピクセル位置情報に基づいて付与される番号(n)と、対応するピクセルで表現されるカラー(C)とから番地カラー(Cn)を作成して構成される。テキストの符号化、復号化に利用され、インターネットを経由した通信における暗号化手段として利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報配信等でカラー写真画像を利用した番地カラーシステム、符号化方法および復号化方法、並びに暗号化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータおよびその周辺装置、コンピュータに関連する種々の装置、または通信回線で接続された複数のコンピュータから成るコンピュータシステム等で取り扱われる文書、文字、図形、数式、画像、音声等のデータや情報(プログラムを含む)等を「コンピュータオブジェクト」と呼ぶ。かかるコンピュータオブジェクトについては、従来のコンピュータ等において、認識可能な言語、図、絵画等を常態として使用している。この使用の「常態」は、換言すれば、常に、当該言語等のデータを取得すれば、その内容を即座に直接的に認識することができるということである。またコンピュータ等におけるコンピュータオブジェクトの記録、再生、圧縮等においても同じである。
【0003】
インターネット等の通信回線を介したコンピュータ同士の間のコンピュータオブジェクトに係る情報配信においても、上記の常態のままでの情報配信が行われる傾向にある。
【0004】
上記のコンピュータ等のシステムでは、関係のない他者による情報の漏洩や盗難が生じやすい。
【0005】
そこで従来では、上記の情報漏洩や盗難を防止すべく、当該情報等の内容を直接に認識することを不能にするため、暗号化処理を行う技術が提案されている(例えば特許文献1等)。
【0006】
また本出願人は、先に、「カラーを利用したコンピュータオブジェクトの表現等」に係る発明を提案した(特許文献2)。この発明は、コンピュータの内部で扱われる、あるいはコンピュータを介して扱われるデータまたは情報を、例えばカラードット等の表現手段でカラー(色)を利用して表現しようとする技術であり、印刷手法によって紙等の表面での狭い箇所に所要のデータまたは情報(コンピュータオブジェクト、あるいは簡略してオブジェクト)を記録するときにカラードット等で表現する。これにより大量のデータ等を簡単な表記で表現することができる。また当該発明ではカラーを利用した暗号作成の方法についても言及している。
【0007】
近年、カラー写真画像(あるいはカラー画像)を配信すべき情報とし、情報配信側コンピュータから情報受信側コンピュータへインターネット等を経由して伝送することも多い。カラー写真画像は、情報を提供する媒体として有用となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−40250号公報
【特許文献2】国際公開WO00/72228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、例えば、或るサーバ等から他のPC端末等へインターネットを経由して情報配信を行うとき、インターネット上で配信される情報が盗まれることがある。当該情報が、コンピュータオブジェクトとして常態のままであると、簡単に情報内容が盗聴されることになる。インターネット等の通信回線を経由したコンピュータ間の情報配信においてコンピュータオブジェクトの暗号化を図り、情報配信等で取り扱われるデータ等の完全秘匿性を実現することが求められている。
【0010】
さらにPC(Personal Computer)端末等を用いてかつインターネットを介してカラー写真画像を配信する場合において、当該カラー写真画像の中に、画像内容以外の他のメッセージを埋め込みたいという要望がある。これは、必要な情報を暗号的な形式で送りたいという要望に沿うものである。
【0011】
さらにカラー写真画像であっても、フルカラー的な色彩で表現されたものではなく、例えば山水画のような色の変化の幅が小さく色数の少ないカラー写真画像の場合もある。このようなカラー写真画像でも、望ましい所定数(例えば65,536個)に減じられたカラーを利用して割り当て処理を行って、当該所定数のオブジェクトの割り当てを行うことを可能にすることが望まれる。
【0012】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、符号化および復号化に最適なカラー概念を提案する共に、PC等のコンピュータでインターネット等の通信回線を経由したコンピュータ間の情報配信等において、カラー写真画像を配信する際にメッセージも暗号的に送ることがことができ、さらに、色の変化幅が小さく色数の少ないカラー写真画像であってもオブジェクト割り当てを行うことができる番地カラーシステム、カラー写真画像を利用した符号化方法および復号化方法、並びに暗号化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るカラー写真画像を利用した番地カラーシステム、符号化方法、および復号化方法、並びに暗号化方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0014】
本発明に係る番地カラーシステムは、カラーコード表で取り扱われ、コンピュータオブジェクトとして取り扱われるコンピュータ上の任意のカラーを表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルからの一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、複数のピクセルの各々について、ピクセル位置情報に基づいて付与される番号(n)と、対応するピクセルで表現されるカラー(C)とから番地カラー(Cn)を作成して成ることを特徴とする。
ここで、以下、コンピュータ上取り扱われるカラーコード表のカラーでかつコンピュータオブジェクトの対象として利用するカラーを「仮想カラー」と呼び、さらにかかるカラーで構成された任意のカラーテーブルを「仮想カラーシート」と呼ぶことにする。
従って、換言すれば、上記の本発明に係る番地カラーシステムは、カラー写真画像とコンピュータ上仮想する仮想カラーシートの画像からなり、仮想カラーシートは、当該仮想カラーシートに付与されるピクセルの位置情報に基づいて付与される番号(n)と当該ピクセル番号(n)によって表現されるカラー(C)とによって番地カラー(Cn)を作成する。
仮想カラーシートを構成するピクセルに付与される番地は物理的なピクセル領域を必要とせず、カラーはコンピュータ上生成されるカラーであることから物理的なカラーの特性を必要としないことで、番地、カラー共にデジタル値として利用する。
かかるコンピュータでの仮想上の領域およびカラーの特性を生かして、コンピュータ上取り扱えるカラーを任意の数で、しかもカラーの外界の状況変化に依存しない番地カラーを作成して成ることで特徴づけられる。
【0015】
上記の番地カラーシステムの構成では、カラー(色)は、ディスプレイ環境、OS環境、カメラの環境条件、素材周辺等で性質上違って見えるという課題があり、かかる課題を回避して、ONCの関係式でCをカラーコード表に従って利用可能にすることを目的としている。
クローズされたコンピュータ上のカラーは、カラーとして、カラーコードで指定したコードのカラーに特定され、特定カラーはカラー「C」としてカラーコード表に基づいて利用できる。従って、フルカラーを自在に利用できることになる。カラーの活用が外界影響で多種多様にぶれるという条件が存在したが、カラー写真画像で特定できるカラーを番地カラーとして特定することは比較的容易なことから、比較的に簡単なカラー写真画像で多くの分野にコンピュータオブジェクトの活用を期待することができる。
写真画像の目的は、外界の環境条件に影響を受けるカラーを当該画像から有効なカラーを抽出することにあり、一般的にカラーがぶれて「特定カラー」としての指定が難しいという現実から、有用にONCで利用し得るカラーを特定するための構成であるが、また同時に、フルカラー利用が可能な「カラーコード表に基づいてカラーによるONC」を利用するための導入部でもある。
ONC構成に際し、カラーを任意に、例えば、#33FFFF (51.255.255)、#00FFCC(0.255.204)、#00FF00(0.255.0)として、写真画像では取り扱いが難しいカラーをONC構成上利用することができる。
【0016】
また本発明に係る番地カラーシステムは、任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、複数のピクセルの各々について、ピクセル位置情報に基づいて付与される番号(n)と、対応するピクセルで表現されるカラー(C)とから番地カラー(Cn)を作成して成ることで特徴づけられる。
【0017】
本発明に係る番地カラーシステムは、任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、複数のピクセルの各々について、同じカラーで表現される複数のピクセルでは、当該ピクセルによって表現されるカラー(C)に対して、対応するピクセルの位置情報に基づいて付与される番号(n)を組み合わせて番地カラー(Cn)を作成することで特徴づけられる。
【0018】
本発明に係る番地カラーシステムは、任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、複数のピクセルの各々について、同じカラーで表現される複数のピクセルでは、当該ピクセルによって表現されるカラー(C)に対して、対応するピクセルの位置情報に基づいて付与される番号(n)を組み合わせて番地カラー(Cn)を作成することで特徴づけられるものと任意複数のカラーピクセルの集合からなる仮想カラーシートを作成して成ることで特徴づけられる。
【0019】
本発明に係る番地カラーシステムは、任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルは、複数の区画に分割されており、
複数の区画から切り出された少なくとも1つの区画の中に含まれる複数のピクセルの各々について、ピクセルで表現されるカラー(C)と、対応するピクセルの位置情報とに基づいて付与される番号(n)とにより、番地カラー(Cn)を作成して成ることで特徴づけられる。
【0020】
本発明に係る番地カラーシステムは、写真画像とコンピュータ上仮想するシート画像からなり、仮想シートは仮想シートに付与されるピクセルの位置情報に基づいて付与される番号(n)と当該ピクセル番号(n)によって表現されるカラー(C)とによって番地カラー(Cn)を作成する。仮想シートに構成されるピクセルに付与される番地は物理的なピクセル領域を必要とせず、カラーはコンピュータ上生成されるカラーであることから物理的なカラーの特性を必要としないことで、番地、カラーともにデジタル値として利用する。係るコンピュータでの仮想上の領域およびカラーの特性を生かして、コンピュータ上取り扱えるカラーを任意の数で、然もカラーの外界の状況変化に依存しない番地カラーを作成して成ることで特徴づけられる。
【0021】
本発明に係る番地カラーシステムは、上記の構成において、カラー写真画像で用いられるカラー(C)の数は、3バイトのフルカラー(16,777,216色)の色数、または色数を限定した2バイトのカラー(65,536色)の色数、さらに色数を限定した1バイト以下のマルチカラー(256色、16色、もしくは8色)の色数、または三原色の色数であることで特徴づけられる。
【0022】
本発明に係る番地カラーシステムは、上記の構成において、カラー写真画像で用いられるカラー(C)の数は、代表的な3色とその他の1色とから成る4色であることで特徴づけられる。
【0023】
本発明に係る番地カラーシステムは、上記の構成において、代表的な3色はR(赤)とG(緑)とB(青)であることで特徴づけられる。
【0024】
本発明に係る番地カラーシステムは、上記の構成において、代表的な3色はC(シアン)とM(マゼンタ)とY(イエロー)であることで特徴づけられる。
【0025】
本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化方法は、
カラー写真画像から、ピクセルの番号(n)と複数のカラー(C)を基にして、番地カラー1次元配列を作成するステップと、
番地カラー1次元配列に挙げられた複数の番地カラー(Cn)の各々と、テキストに記載されたオブジェクト(O)と、カラー数値(N)を対応づけるONCn対応表(ONC対応表)を作成するステップと、
ONCn対応表を用いて、番地カラーリスト(NCn)、およびオブジェクトリスト(NO)を作成することで符号化するステップと、
から成ることで特徴づけられる。
【0026】
本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化方法は、
番地カラーリスト(NCn)を作成するステップは、
カラー写真画像で用いられるカラー(C)の数を、代表的な3色とその他の1色とから成る4色に減じるステップと、
カラー(C)の数が減じられたカラー写真画像を複数の区画に分割するステップと、
複数の区画化から少なくとも1つの区画を切り出すステップと、
切り出した区画に含まれる代表的な3色のピクセルの位置情報を用いて番地カラー(Cn)を作成するステップと、
作成された番地カラー(Cn)を利用して番地カラーリスト(NCn)を作成するステップとを含む、
ことで特徴づけられる。
【0027】
本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化方法は、上記の方法で、番地カラー(Cn)を作成するステップでは、複数のピクセルのそれぞれのカラーと発番とに基づいて、番地カラー(Cn)が決定されることで特徴づけられる。
【0028】
本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化方法は、上記の方法で、代表的な3色はR(赤)とG(緑)とB(青)であることで特徴づけられる。
【0029】
本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化方法は、上記の方法で、ONCn対応表(ONC対応表)を作成するステップで、番地カラー1次元配列に挙げられた複数の番地カラー(Cn)の内で、1つまたはいくつかの特定の番地カラーと、カラー写真画像にユニークな固有の画像識別番号(画像ID)と、カラー数値とを対応づけるONCn対応表(ONC対応表)を作成することで特徴づけられる。
【0030】
本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化方法は、上記の方法で、ONCn対応表(ONC対応表)を作成するステップで、番地カラー1次元配列に挙げられた複数の番地カラー(Cn)の内で、1つまたはいくつかの特定の番地カラーと、カラー写真画像にユニークな固有の画像識別番号(画像ID)と共に画像属性(作成者、作成年月日、作成場所、目的/用途を含む)、カラー数値とを対応づけるONCn対応表(ONC対応表)を作成することで特徴づけられる。
【0031】
上記において仮想カラーシートを必要とする写真画像にあっては、複数の番地カラー(Cn)、画像ID等で仮想カラーシートの利用を設定する。仮想カラーシートのONCn対応表(ONC対応表)でカラー写真画像で課題であるカラー固有の性質である撮像時の外部条件、光の条件の影響を受けることなく、フルに任意に個々カラーを用いてコンピュータオブジェクトの対象として利用可能であり、写真画像で要求される十分なコンピュータオブジェクトを表現できることとなり、かかる仮想カラーシートのONCn対応表(ONC対応表)を作成する。
【0032】
本発明に係る仮想カラーのONC対応表は、コンピュータから直接呼び出し、また写真画像から呼び出し可能に対応づけるONCn対応表(ONC対応表)を作成する。仮想カラーシートを出力した写真画像はカラー写真の課題のあるカラーで出力されるが本システムに基づき、出力カラーによらずにONCが構成されている関係上、写真画像の影響はコンピュータオブジェクトの複合化にあたり、何ら影響を受けることはなく、かかる仮想カラーシートのONCn対応表(ONC対応表)を作成する。
【0033】
本発明に係るカラー写真画像を利用した復号化方法は、上記したカラー写真画像を利用した符号化方法で符号化されたカラー写真画像を復号化する方法であり、
カラー写真画像を、番地カラーリスト(NCn)およびオブジェクトリスト(NO)を用いて、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することで特徴づけられる。
【0034】
本発明に係るカラー写真画像を利用した復号化方法は、情報配信装置の側で、上記したカラー写真画像を利用した符号化方法に基づいて作成されたカラー写真画像を予め情報受信側に記録媒体で送付し、
別の経路で、情報配信装置の側で作成されたカラー写真画像に基づく番地カラーリスト(NCn)とオブジェクトリスト(NO)を情報受信側に送付し、
情報受信装置は、情報配信装置から通信回線を介して送信されたカラー写真画像を受信し、別途に受信した番地カラーリスト(NCn)およびオブジェクト(NO)を用いて、カラー写真画像、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することで特徴づけられる。
【0035】
本発明に係るカラー写真画像を利用した復号化方法は、情報配信装置の側で、上記したカラー写真画像を利用した符号化方法に基づいて作成されたカラー写真画像と、情報配信装置の側で作成されたカラー写真画像に基づく番地カラーリスト(NCn)とオブジェクトリスト(NO)を、別々の経路または同じ経路で、情報受信側に記録媒体で送付するか、または、通信回線を介して配信し、
情報受信装置は、カラー写真画像と番地カラーリスト(NCn)およびオブジェクト(NO)を用いて、カラー写真画像、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することで特徴づけられている。
【0036】
本発明に係る暗号化方法は、カラー写真画像を第1の割符(割符1)としかつONC対応表を第2の割符(割符2)とし、テキストオブジェクトを、当該カラー写真画像と当該ONC対応表を用いて割符暗号化することで特徴づけられる。
前述したカラー写真画像を利用した符号化方法に基づく符号化処理において、テキストオブジェクトを、カラー写真画像とONC対応表を用いて割符暗号化することで特徴づけられる。
前述したカラー写真画像を利用した復号化方法に基づく復号化処理において、カラー写真画像とONC対応表を用いて割符符号してテキストオブジェクトに復号化することで特徴づけられる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、次の効果を奏する。
第1に、本発明に係る番地カラーシステムによれば、任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部または全部を取り出し、ピクセル毎に、ピクセル位置情報に基づいて付与される番号(n)と、ピクセルで表現されるカラー(C)とを組み合わせて「番地カラー(Cn)」なるのものを作成することにより、ピクセルのカラー情報と当該ピクセルの位置情報を組み合わせて同じカラーであってもこれらのカラーを番地カラーとして区別することが可能になり、これらの番地カラーを利用して大量の情報を符号化/復号化することができる。
第2に、本発明に係る番地カラーシステムによれば、カラー写真画像から得られるカラー数が少ない場合にも、ピクセルのカラー情報と当該ピクセルの位置情報を組み合わせて同じカラーであってもこれらのカラーを番地カラーとして区別することが可能になり、これらの番地カラーを利用して大量の情報を符号化/復号化することができる。
第3に、カラー写真画像を利用して作成される上記の番地カラーシステムを利用してカラー写真画像に基づく2次元配列のピクセルに基づき番地カラーリストを作成し、この番地カラーリストとオブジェクトリスト等を利用してONC対応表を作成し、当該ONC対応表に基づいて符号化または復号化を行うようにしたため、例えばインターネット等で伝送されるカラー写真画像は、オブジェクトに対応づけられていても、その中には一切オブジェクトに関する情報が含まれず、解読不可能であるという暗号化の効果が発揮される。
第4に、カラー写真画像を利用して作成される上記の番地カラーシステムを利用し、カラー写真画像を利用して作成され、フルカラー数より適切に減じらた所定数のカラーを用い、かつカラー写真画像をの2次元配列のピクセルを分割してその中から1つの区画を切り出して番地カラーリストを作成し、この番地カラーリストとオブジェクトリスト等を利用してONC対応表を作成し、当該ONC対応表に基づいて符号化または復号化を行うようにしたため、インターネット等で伝送されるカラー写真画像は、オブジェクトに対応づけられていても、その中には一切オブジェクトに関する情報が含まれず、解読不可能であるという暗号化の効果が発揮される。
第5に、番地カラーシステムという技術を利用するため、例えば山水画のような色の変化の幅が小さく色数の少ないカラー写真画像を利用する場合であっても、実際の利用上、有効なカラー写真画像を作ることができる。
第6に、情報配信側から情報受信側に伝送されたカラー写真画像を復号化できるのは事前に用意されたONC対応表だけであり、かつ当該ONC対応表はオブジェクトリストとカラー写真画像による番地カラーリストを基礎に作られているため、たとえ伝送したカラー写真画像(カラー暗号キー)がインターネット上で盗聴されたとしても、オブジェクトリストがなければONC対応表を作ることはできず、カラー写真画像を解読することはできないという効果が発揮される。
なお、オブジェクトリストや番地カラーリストは、CD−RやUSBメモリ等の記録媒体に格納して郵便等のインターネット以外の別のルートで送るので、インターネットから完全に切り離され、盗聴されることはない。
第7に、情報配信側から情報受信側に送信するカラー写真画像の画像本体の一部等またはマージン部に描かれる画像部分のカラーを利用しかつ番地カラーを作成し、その上に暗号化したメッセージ情報を載せることができる。すなわち、情報の送信元と送信先のそれぞれで、カラー写真画像とメッセージ情報から生成されるONC対応表(番地カラーリストとオブジェクトリスト)とに基づいて、情報送信側ではメッセージ情報をカラーコード画像とONC対応表に割符分割変換して暗号化し、情報受信側ではカラー写真画像をONC対応表と符合してメッセージ情報に逆変換して復号化する構成とすることにより、情報配信側から情報受信側へインターネット等を経由してメッセージ情報を暗号化した状態で伝送することができる。番地カラーシステム技術は、カラー写真画像を用いた割符分割の秘密分散技術の実施の形態でもある。
第8に、仮想カラーシートとカラー写真画像を併用することにより、カラー写真画像の撮像にあたりカラーの性質上現れる色の変化でその都度特定が不安定な傾向があり、ピクセル領域の拡大や縮小やピクセル境界のにじみ、ぼやけ、撮像再現の割合など均一な色の課題を解消できる。従って撮像条件の緩和でき、仮想カラーシートに依拠することでフルカラーを利用できる。それに伴い十分なカラーエンティティーを構成できる。
第9に、カラー写真画像の僅かなカラー情報でもフルカラーを利用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化/復号化方法が実行されるシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化/復号化方法に基づく情報配信が実行される前の事前の設定のフェーズを説明するための図である。
【図3A】本発明に係るカラー写真画像を利用した符号化/復号化方法に基づく情報配信の運用のフェーズを説明するための図である。
【図3B】ONC対応表の内部構造を示すブロック図である。
【図4】情報配信されるべきコンピュータオブジェクト(文章、テキスト)の例である。
【図5】カラー写真画像の一例を示す図である。
【図6】カラー写真画像をRGBXで表す平面状の画像領域(ピクセル領域)の例で示す図である。
【図7A】原図となるカラー写真画像を元にして番地カラーシステム(番地カラー1次元配列)の生成の手順を示すフローチャートである。
【図7B】生成した番地カラーシステム(番地カラー1次元配列)を利用して番地カラー符号化を行う手順を示すフローチャートである。
【図8】図6に示す画像領域から取り出したRGBX1次元配列を示す図である。
【図9】図8に示したRGBX1次元配列を区画1〜8に分割した例を示す図である。
【図10】区画1〜8をRGBXで表す平面状の画像領域(ピクセル領域)で示した図である。
【図11】区画3を切り出した例を示す図である。
【図12】切り出した区画3のカラーを利用して作成した番地カラーのRGB1次元配列を示す図である。
【図13】番地カラー1次元配列の一例を示す図である。
【図14】情報配信側において番地カラーにオブジェクトを割り当てた符号化の例に係る対応表を示す図である。
【図15】番地カラー符号化でのカラー数値とオブジェクトと番地カラーとの対応関係を示す図である。
【図16】番地カラー符号化でのオブジェクトリスト(カラー数値とオブジェクトとの対応関係)を示す図である。
【図17】番地カラーリスト(番地カラーとカラー数値との対応関係)を示す図である。
【図18】情報受信側において番地カラーを利用して作られる復号化の例に係る対応表を示す図である。
【図19】情報受信側における番地カラーリストを示す図である。
【図20】情報受信側におけるオブジェクトリストを示す図である。
【図21】復号化で使用される番地カラー1次元配列を示す図である。
【図22】番地カラーの復号化の手順を示すフローチャートである。
【図23】番地カラー符号化における入力と出力を説明するための図である。
【図24】番地カラー復号化における入力と出力を説明するための図である。
【図25】プリント等されたカラー写真画像を撮像しファイルとして保管する装置構成例を示すブロック図である。
【図26】情報配信システムの装置構成例を示すブロック図である。
【図27】1台のコンピュータシステムのフィアル保管の構成例を示すブロック図である。
【図28】情報配信システムでの伝送/搬送の手段の例を表形式で示す図である。
【図29】1台のコンピュータシステムのフィアル保管での場所・手段を表形式で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0040】
本願発明に係るカラー写真画像を利用した番地カラーシステム、符号化方法、および復号化方法は、例えば、メッセージ/コンピュータ上取り扱われるファイルをデジタルのカラー写真画像で表現する技術である。ここで、前記のカラー写真画像は、カラー写真プリント印刷や、店頭の広告、書物、表示物等に掲載/貼り付けられたカラー印刷物をカメラ撮像入力/OCR撮像入力されたものを包含する。従って、カラー写真画像の代わりに、カラー写真プリント印刷やカラー印刷物を、情報配信側から情報受信側に配送することもある。
情報を配信する装置側では、カラー画像写真を選択・決定し、番地カラーシステムを利用して作成されたONC対応表(変換手段として用いる変換テーブル)に基づき情報内容であるオブジェクトを符号化する。
他方、情報を受信する装置の側では、事前に提供されたONC対応表(逆変換手段として用いる)に基づき、通信回線で送られた符号化処理後のカラー写真画像を受信し、これを復号化し、上記オブジェクトを取り出す。
カラー写真画像の画像内容は任意である。しかし本発明の場合には、例えば山水画のような色の変化の幅が小さく色数の少ないカラー写真画像にも適用することが可能である。当該カラー写真画像に係るデータは、上記の通り、情報配信側である或るコンピュータ(PCまたはサーバ等)から情報受信側である他のコンピュータ(PCまたはサーバ等)へインターネット等の通信回線を経由して送信される。
なお上記の番地カラーシステム、符号化方法、および復号化方法は、情報配信の場合のみだけではなく、1台のコンピュータ(PC等)において適用し、当該コンピュータに保存されるテキスト等を暗号化するシステムとして利用することも可能である。
【0041】
上記の番地カラーシステムに関する「番地カラー」という概念は、「画素位置番号付きカラー(Position Number Suffixed Color)」という内容で定義される。その詳細は、以下の実施形態で説明される。
【0042】
上記のカラー写真画像を使用し、かつ郵送や宅配等の物流に関する別のルートまたは経路で送られたONC対応表(特定の番地カラーリストとオブジェクトリストとの組み合せ)を使用して、当該カラー写真画像上に描かれた特定のカラー配列(カラーの並びまたはカラー・コンフィグレーション)の構造に基づいて、受信側で必要なデータまたは情報を取得することが可能となる。ONC対応表は、オブジェクト(O)・カラー数値(C)・カラー(C)の対応表であり、カラー写真画像に基づき作られ、情報配信側および情報受信側で共通に備えられる。
【0043】
上記において、「カラー写真画像」は、コンピュータのディスプレイ装置の表示画面に表示されるカラー写真画像(カラー画像を含む)、および、書籍や紙等の任意の材質に描かれた任意のカラー写真画像(カラー画像を含む)を概念的に含む。
【0044】
ここで図25を参照して、紙等に描かれたカラー写真画像(カラーコード画像)をカメラで撮像して入力する装置構成例を説明する。カラー写真画像が描かれた紙等111は照明装置112で所要の照明がなされ、かつ、かかる照明状態の紙等111を撮像装置(カメラ)113で撮像する。撮像装置による撮像で得られた画像信号はコンピュータ114に入力される。コンピュータ114は、CPU115、メモリ(画像メモリ)116、ハードディスク117を内蔵し、かつ表示装置118と入力装置119を備える。ハードディスク117内には処理プログラム121を備える。コンピュータ114に入力された画像信号は、ディジタルデータ化され、メモリ(画像メモリ)116に保存される。メモリ(画像メモリ)116に保存される表示データから、カラー写真画像に含まれる画像データとして必要なデータが読み取られ、読取データ122としてハードディスク117に保存される。こうして、紙等111に描かれたカラー写真画像がコンピュータ114のハードディスク117内に格納される。
【0045】
情報配信側のコンピュータでは、カラー写真画像を利用して作成された番地カラーシステムを用いて符号化方法が実施され、当該カラー写真画像は情報受信側のコンピュータに送信される。情報受信側のコンピュータでは、送信されてきたカラー写真画像を、予め取得していたONC対応表を用いて復号化する。上記の情報配信側のコンピュータでのカラー写真画像を利用した符号化方法、および情報受信側のコンピュータでのカラー写真画像を利用した復号化方法において、本発明による方式では、上記のごとく「番地カラー」という概念が用いられ、これについては後述される。
【0046】
図1に本発明が適用される情報配信システムの構成が示される。図1では、情報配信者12と情報受信者13とが、インターネット11等の通信手段を介在させて、通信可能の状態になっている。図1に示した状態は、事前の設定のフェーズを示している。
【0047】
図1に示された情報配信者12は、コンピュータシステムから成る情報配信装置14を備え、情報受信者13はコンピュータシステムから成る情報受信装置15を備えている。この情報配信システムでは、カラー写真画像21Cに基づいて、ONC対応表21(オブジェクトリスト21Aと番地カラーリスト21B)を作るという構成をとっている。
【0048】
上記のようにして作られたONC対応表21は、情報配信者12側の情報配信装置14の記憶装置14Aと、情報受信者13側の情報受信装置15の記憶装置15Aとに格納されている。ONC対応表21は、コンピュータオブジェクト(簡略して「オブジェクト」ともいう:O)とカラー数値(N)とカラー(C)との間を対応づけるという特性を有する対応表であって、変換表としても使用される。
【0049】
本発明の場合、上記のカラー(C)は「番地カラー」という概念に基づくカラーが用いられる。「番地カラー」は「画素位置番号付きカラー(Position Number Suffixed Color)」の意味である。すなわち「番地カラー」とは、前述したカラー写真画像において画像を形成するカラーセルを領域分割し、カラー写真画像の一部または全部を利用して、所定の基準で選択した複数のカラーセルに対応する各カラーをカラーセル毎に番地付けして区別し、その結果得られる特定のカラーである。カラーセル毎の番地付けは、当該カラーセルの位置情報に基づいて任意の番号を付与することである。複数の同一色であっても、出現順位番号(画素位置番号)に基づいて区別するように構成する。以下では、カラー(C)を「番地カラー(Cn)」と記す。
なお「カラーセル」とは、1画素以上の複数画素から構成される一様なカラー単位区画であり、特に1画素構成の場合はピクセル(画素)と呼ばれる。
【0050】
情報配信装置14と情報受信装置15の各コンピュータシステムでのCPUにおいて、所定の変換プログラムに基づいて「O−N」の間、「N−Cn(番地カラー)」の間、または「Cn(番地カラー)−O」の間に関する変換部が実現されるとき、これらのコンピュータオブジェクト(O)とカラー数値(N)と番地カラー(Cn)の各々の間の変換処理で用いられる。ONC対応表21について、オブジェクト(O)とカラー数値(N)と番地カラー(Cn)の具体例は、後で説明される。
【0051】
本実施形態によるONC対応表21は、前述の通り、オブジェクトリスト(NO)21Aと番地カラーリスト(NCn)21Bとカラー写真画像21Cとに基づいて構成される。オブジェクトリスト21Aは、コンピュータオブジェクト(O)は多数のオブジェクト要素(またはオブジェクト:O1,O2,…,On)のそれぞれを列挙し、それぞれの内容を記したリストである。オブジェクト要素の内容は任意であり、例えば、長文の文章を分解して成る各文章部分(単文、句、単語等)である。
【0052】
図4に、比較的に長い文章で表現されたコンピュータオブジェクト(テキストオブジェクト)の一例を示す。この文章(テキスト)28に係るコンピュータオブジェクトは、出願人(谷電機工業)に関する企業説明の文章である。図4に示した文章28を適宜に分解することにより、オブジェクト要素が生成される。分解の仕方については、その一例が後述される。
【0053】
カラー写真画像21Cは、この実施形態では、例えばフルカラー(16,777,216色)を基礎にして作成される所定数(約64,000色等:256×256=65,536)のカラーで描かれる画像である。カラー写真画像21Cについて、その具体例は、後で説明される。
【0054】
上記のONC対応表21は、図2に示すごとく、通常的には、情報配信者12の側で作成されかつ用意され、情報受信者13の側へ送られる。ONC対応表21(オブジェクトリスト21Aと番地カラーリスト21B)は、オブジェクトリスト21Aと番地カラーリスト21Bは、CD−RやUSBメモリ等の記録媒体22の形で郵送や宅配等の物流の経路(RU1)により情報受信者側に送られる。またカラー写真画像21Cは、カラーコード画像として、インターネット11を経由した経路(RU2)て情報受信者側に伝送される。カラー写真画像21Cは、換言すれば、例えばカラー暗号キー23として、情報配信者12の情報配信装置14から情報受信者13の情報受信装置15に送信される。
【0055】
図1と図2に示されたカラー写真画像21C、ONC対応表(オブジェクトリストと番地カラーリスト)の伝送または移動の経路を示すと次の通りになる。
<カラー写真画像21Cの伝送経路>
[情報配信装置14]→(送信)→カラー写真画像→(受信)→[情報受信装置15]
<ONC対応表の移動経路>
[情報配信者12]→(発送)→ONC対応表(オブジェクトリストと番地カラーリスト)→(受領)→[情報受信者13]
【0056】
なおカラー写真画像21Cについては、特別にカラー暗号キーとしての役割を持たせる必要は必ずしもない。通常的なカラー写真画像21Cとして利用することができるものである。本発明の技術によれば、メッセージ等の特別な情報を通常的なカラー写真画像21Cで表現することが可能となる。
【0057】
情報受信者13は、郵送や宅配等で送られてきたONC対応表21(オブジェクトリスト21Aおよび番地カラーリスト21B)と、インターネット11を経由して送信されてきたカラー写真画像21Cとを組み合わせることによりONC対応表21を手元に用意することになる。以上によって、情報受信者13の側で、カラーで暗号化された情報等を受信できる態勢ができることになる。
【0058】
なお、情報配信者12の側において、情報配信者12側から情報受信者13側に送られた、カラー写真画像21と対をなすONC対応表21(オブジェクトリスト21Aおよび番地カラーリスト21B)は、通常、定期的に更新することもできる。
【0059】
定期的な更新には、元々のONC対応表21と、乱数シャッフル・カラーコード画像の組合せとに基づいて行われる。「乱数シャッフル」とは、線形合同法等により擬似乱数の初期値を設定して発生させた擬似乱数を、ONC対応表のカラー(C1〜Cn)あるいはカラー数値(1〜n)に対して割り当て、その擬似乱数をソートキーにしてカラー(C1〜Cn)あるいはカラー数値(1〜n)を並べ替えることにより、カラー(C1〜Cn)あるいはカラー数値(1〜n)の順番をランダムに入れ替える処理をいう。情報配信者12側の情報配信装置14で実行された定期的な更新は、情報配信者12側から情報受信者13側に送られた擬似乱数の同一の初期値(または初期値のカラーコード画像)に基づいて発生させた同一の擬似乱数を用いて、同期をとって、情報受信者13側の情報受信装置15でも実行される。
【0060】
ここで「線形合同法」とは、初期値X0にある定数aをかけて別の定数bを加え、それをある数cで割った余りの数値を次の乱数とするものであり、Xnを乱数列とするなら以下のような式で計算する。
【0061】
Xn+1=(Xn*a)+b mod c
【0062】
以上が事前の設定のフェーズである。その後に、情報配信の運用のフェーズになる。
【0063】
図3Aに、情報配信の運用のフェーズの状態図を示す。情報配信装置14の側では、配信したいテキストオブジェクト24がある場合に、用意されたカラー写真画像21C(割符1)を用いて、番地カラー(Cn)とオブジェクト(O)24とカラー数値(N)とを対応付けることにより、ONC対応表21(割符2)を作成する。ONC対応表21の内部構造を図3Bに示す。この実施形態では、テキストオブジェクト24は図4に示した文章(テキスト)28である。用意されたカラー写真画像21C(割符1)は情報配信装置14からインターネット11に送出される。カラー写真画像21C(割符1)は、インターネット11を経由して情報受信装置15へ伝送される。これにより情報配信がインターネット11を経由して行われる。情報受信装置15では、伝送されてきたカラー写真画像21C(割符1)を、予め自身に用意されているONC対応表21(割符2)を用いて逆変換を行い、テキストオブジェクト(O)24を得る。すなわち、カラー写真画像21C(割符1)から番地カラー(Cn)を抽出し、その後、Cn→N→Oの順序で変換(逆変換)を行ってテキストオブジェクト24を取り出す。こうして、所要の情報内容を含むテキストオブジェクト24を情報配信装置14から情報受信装置15に配信することができる。番地カラー技術は、カラー写真画像を用いた割符分割の秘密分散技術の実現形態でもある。
【0064】
ただし、カラ写真画像21Cの代わりに、カラ写真画像21Cによりもデータ容量の小さいカラー数値(N)を伝送する場合もあるが、ONC対応表21で符号化(O→N)/復号化(N→O)の変換ができることに変わりはない。
【0065】
前述した「事前の設定のフェーズ」において、インターネット11を経由して送信されるカラー写真画像21Cは、ONC対応表21を形成するための要部である。カラー写真画像21Cは前述の通り「カラー暗号キー(23)」としての機能を有する。カラー写真画像21Cでは、当該カラー写真画像21Cを利用して「番地カラーシステム」を構築するにあたって、本実施形態では、後述するように、代表的にRGB3色カラーリダクション方式が採用される。
【0066】
なお他の方式としては、RGB3色カラーリダクション方式の代わりに、ヒストグラム方式を採用することもできる。ヒストグラム方式は、カラー写真画像におけるRGBの各カラーの頻度分布状態を基礎にして頻度の高い順にカラーを並べ番地カラーリストを生成する方式である。
【0067】
なおカラー写真画像を利用した「番地カラーシステム」の構築では、RGB3色カラーリダクション方式等を利用することは望ましいことではあるが、これは必須の要素ではない。
【0068】
次に、図5〜図17を参照して、カラー写真画像を用いてRGB3色カラーリダクション方式を行い、番地カラーを作成し(番地カラーシステム)、さらに番地カラーを符号化を行うための処理について説明する。
【0069】
図5はカラー写真画像の例を示している。カラー写真画像30は、上記のカラー写真画像21Cの一例であり、実際にはフルカラーで描かれているが、図5では便宜上線図の上に色の違いを斜線等で示すようにしている。図6は、カラー写真画像30をピクセル(画素)の2次元配列構造として示した図である。各ピクセルは形状を誇張して描いている。また一部の所定のピクセルには、カラー写真画像30に応じた色を表す文字(R(赤)、G(緑)、B(青))が記されている。
なお、コンピュータ上の表示画面に表示されるカラー写真画像30に関してカラー画素(ピクセル)のカラーをカラーコード表(ONC表)で用いるカラーとするとき、当該カラーを「仮想カラー」と称する。
さらに、図6で示したカラー写真画像30に関するピクセルの2次元配列構造において、特定の番地カラーに画像IDを割り当てるように利用される。
【0070】
図7Aは、原図(原画)となるカラー写真画像30に基づいてONC対応表(カラー暗号キー)を作る手順を示すフローチャートである。
図7Aに示したフローチャートは、大きく分けて、番地カラー(番地カラーシステム)を生成するフロー(プロセス)S10と、番地カラーを符号化するフロー(プロセス)S20とから構成されている。番地カラーを生成するフローS10の前段に、テキスト(前述した文章28)を用意するステップS1と、カラー写真画像を用意するステップS11とが設けられている。番地カラー符号化のフローS20の詳細は図7Bに示されている。
【0071】
図7Aにおいて、最初に、原図としてカラー写真画像30が任意に用意される(ステップS11)。このカラー写真画像30は、童話「桃太郎の鬼退治」の一画面を描いている。図5で、30aは主人公の桃太郎、30bは鬼、30cは犬、30dは雉である。カラー写真画像30としては、例えば、PC等のコンピュータの表示装置の表示画面に表示された画像を想定している。このカラー写真画像30は、ビットマップ画像であり、二次元平面に配列された大量数のカラードットで作られている。各カラードットは、表示画面のピクセル(カラーセル)に対応している。
【0072】
図6は、カラー写真画像30をRGBXで表す平面状の画像領域31の例を示す。カラー写真画像30は画像領域31の中で表現されている。画像領域31は、画像左上のコーナー点の基準点Oを基準にして、縦方向(Y方向)にH個のピクセル、横方向(X方向)にW個のピクセルが並んでいる。画像領域31はH×W個のピクセル32から形成されている。通常的には、例えば、画像データサイズは320(H)×460(W)ピクセルである。各ピクセル32は、カラーセルであって、カラードットを形成する。実際、各ピクセル32は微小な形状を有している。各ピクセル32は、フルカラーで表現される。各ピクセル32のカラー(C)は、例えばR(赤)とG(緑)とB(青)の3原色の組合せで作られ、コンピュータの内部ではデータの上で3バイト(24ビット)で表現される。R(赤)とG(緑)とB(青)の各色は256段階(1バイト(2の8乗)で表現)で表されるので、フルカラーの場合には、16,777,216色で表現することが可能である。
【0073】
図6では、画像領域31において、図5に示したカラー写真画像30で描かれた各領域の色に対応してピクセル毎にカラーR,G,Bが表記されている。カラー写真画像30で表示された画像の内容に応じて画像領域ではカラーR,G,B、およびその他の1色(X)が分布している。この図6は、RGBX2次元配列を示し、後述するリダクション・ルールに基づく単色化された画像を示している。
【0074】
上記の画像領域31において、フルカラーで描かれたカラー写真画像30は、H×W個のピクセル32の各々にカラーが与えられる。画像領域31に描かれたカラー写真画像では、物語り性のあるカラー写真画像30の場合には、描かれた画像の各部に応じて部分領域毎に同じまたは類似するカラーのピクセルが集まっている。このため、図6に示された画像領域31をXY平面としてスキャニングして、画像領域31から一つ一つのピクセル32を選んで例えば一列状に並べていくと、同じカラー系統のカラーがまとまって並ぶことになる。
【0075】
原図であるカラー写真画像30、すなわち画像領域31に対して、カラーリダクションの処理が施される(ステップS12)。以下に「カラーリダクション」を説明する。「カラーリダクション」とは、この実施形態の場合、図5に示したフルカラーのカラー写真画像30において、各ピクセル32のカラーについて、カラーを作るRGBの各色の段階数(階調)を256段階から少なくし、使用するカラーの数を、直接に、R(赤)とG(緑)とB(青)とX(その他の任意の1色)とから成る4色に減じることである。
【0076】
なお以下に述べる方法では、カラーリダクションの代表的な色(カラー)は、上記のRGBの3色に限定されるものではなく、例えばCMY(シアン、マゼンタ、黄)の3色でもよく、一般的にカラー写真画像のカラーの区分けのグループ化が容易な代表的な3色であればよい。
【0077】
下記にカラーリダクションの処理を行うルールの一例を示す。
R色={(r,g,b):|(r,g,b)−(255, 0, 0 )|≦50}(R単色化)
G色={(r,g,b):|(r,g,b)−( 0, 255, 0 )|≦50}(G単色化)
B色={(r,g,b):|(r,g,b)−( 0, 0, 255 )|≦50}(B単色化)
X色={その他の色}(グレー色化)
【0078】
上記のルールによれば、まずR(赤)の色集合に属する要素は、最上位レベル(255)の赤色との差を求めて当該差の絶対値が50以下であるRである。これによりRの単色化処理が行われる。同様にして、G(緑)の色集合に属する要素は、最上位レベル(255)の緑色との差を求めて当該差の絶対値が50以下であるGである。これによりGの単色化処理が行われる。B(青)の色集合に属する要素は、最上位レベル(255)の緑色との差を求めて当該差の絶対値が50以下であるBである。これによりBの単色化処理が行われる。
【0079】
上記のカラーリダクション・ルールに基づいて、R色の集合、G色の集合、B色の集合を決め、これらのRGBにより、フルカラーのカラー写真画像30は、図6に示すごとくRGBXの2次元配列に変換される。さらに、このRGBX2次元配列は、図8に示すごとくRGBX1次元配列に再構成される(ステップS13)。図8に示したRGBX1次元配列において、その他の1色はスペーサ(/)に置き換えられている。
【0080】
さらに上記のRGBX1次元配列については、図9に示すごとく、区画化処理が行われる(ステップS14)。この区画化処理では、図8に示されたRGBX1次元配列に関して、これらを例えば区画1〜8に分ける設定が行われる。換言すれば、当該区画化の処理は、カラー写真画像30に関してカラーリダクション処理(ステップS12)が施されて得られたRGBX2次元配列を8個の区画に分割することを意味する。そこで、区画化処理で得られた区画1〜8を、前述した画像領域31において示すと、図10に示すようになる。この実施形態における区画1〜8による区画化によれば、画像領域31におけるRGBXの分布状態が個数の面で比較的に均等になるように設定されている。RGBXの分布に関する個数の面において当該分布が均等になることを優先したために、反対に、画像領域31における区画1〜8のそれぞれの面積は相違し、ばらつくことになる。
【0081】
区画化処理のためのステップS14の後には、例えば区画3の切り出し処理が行われる(ステップS15)。ここでは、上記のステップS13で得られたRGBX1次元配列において、区画化処理ステップS14で得られた区画1〜8の中から区画3を選択し、当該区画3に含まれるRGBX1次元配列を切り出す。この際に、その他の1色であるXを除去する処理(サプレス)が実行される。その結果、切出し処理を行うステップS15によりRGB1次元配列が切り出される。切り出された区画3に係るRGB1次元配列を、図11に示す。
【0082】
なお区画化のステップS14で区画処理を行い、1つの区画3を切り出したが、切り出す区画は2以上であってもよいし、また全部の区画(カラー写真画像30の全部)を用いることもできる。
【0083】
切り出されたRGB1次元配列は、当該配列順序に従ってメモリに保存される(ステップS16)。
【0084】
次のステップS17では番地カラー化の処理が実行される。番地カラー化処理ステップS17では、区画化処理(ステップS14)で取り出された区画3のRGB1次元配列について、番地カラー化を行う。ここで「番地カラー化」とは、この例では区画3のRGB1次元配列に関して、R集合、G集合、B集合のそれぞれに、別々に、それぞれの要素に連番(番地)を発番することを意味している。すなわち、図11に示すように、切り出された区画3のRGB1次元配列の各要素に番地を発番することにより、図12に示すように「番地カラー」が形成される。番地の発番において、同一色についても位置番号等を利用してナンバリング(発番または付番)が行われる。
【0085】
図12に示した区画3のRGB1次元配列の番地カラーの場合には、R集合については13個の「R」要素に対してR1からR13まで発番し、G集合については13個の「G」要素に対してG1からG13まで発番し、B集合については21個の「B」集合についてB1からB21まで発番している。これらのR1〜R13、G1〜G13、B1〜B21は、区画3のRGB1次元配列の配列順序通りに並べられている。番地カラー化処理が施された区画3に係るRGB1次元配列は、それらが保存されるメモリにおいて、番地カラー1次元配列が生成される(ステップS18)。生成された番地カラー1次元配列を利用し、カラー数値を割り当てることにより「番地カラーリスト」が作成される。ただし、ステップS18の時点では、番地カラー1次元配列の各番地カラー(Cn)には、対応するカラー数値は割り当てられていない。
【0086】
上記のごとくして生成された番地カラー1次元配列の例を図13に示す。番地カラー1次元配列の各番地カラー(Cn)には、対応するカラー数値は割り当てられていない。このようにして生成された番地カラー1次元配列を利用して次に番地カラーの符号化が行われる(ステップS20)
【0087】
番地カラー符号化(ステップS20)の具体的内容は図7Bに示される。
【0088】
この番地カラー符号化は、図13に示した番地カラー1次元配列を基礎にして、47個の番地カラーのそれぞれにオブジェクトを割り当て(図7BのステップS21)、ONC対応表を作成することを意味している。図14には、作成されたONC対応表の一部であるO−Cn対応表の一例を示す。本実施形態の場合には、図4を参照して説明した長い文章(コンピュータオブジェクト)28が分割されて個々のオブジェクトが決定されている。文章28の分割数や分割の仕方は任意であるが、本実施形態では47個の番地カラー(R1〜R13、G1〜G13、B1〜B21)のそれぞれにオブジェクトが割り当てられるように分割されている。各番地カラー(Cn)とオブジェクト(O)の対応関係は、図14で示したリストあるいは図表に示す通りであり、これによりO−C対応表が作成される。図14の番地カラー符号化では、番地カラーB1での「谷電機工業」から番地カラーR13での「小型軽量化」までの割り当て例が示されている。
【0089】
図15に、ステップS22(図7B)により生成された番地カラーコード表を示す。図14のテーブルのオブジェクト部(O)を文字や単語、語句でソートした上で、連番のカラー数値(N)を割り当てたテーブルである。この番地カラーコード表によれば、カラー数値(N)とオブジェクト(O)と番地カラー(Cn)との対応関係を示している。番地カラー(Cn)の欄では、同じオブジェクト(例えば「、」や「の」等)に対して複数の番地カラー(Cn)が対応づけられている。また、カラー数値(N)とオブジェクト(O)/番地カラー(Cn)との対応付けは任意に決めることができる。
【0090】
図16は、図15に示した対応表からN−O対応部分を取り出し、オブジェクトリスト(符号化)として示している。図16のオブジェクトリストはオブジェクトリスト生成のステップS23(図7B)により作られる。
【0091】
図17は、番地カラー(Cn)とカラー数値(N)との対応関係を示す番地カラーリストを示している。図15に示した対応表からCn−N対応部分を取り出した上で、番地カラー(Cn)の英数字でソートしたテーブルである。番地カラーリストは、番地カラーリストの生成ステップS24(図7B)によって作られる。図17に示した番地カラーリスト(符号化)が、前述した番地カラーリスト21Bに対応している。以上のようにしてONC対応表21(オブジェクトリスト21Aと番地カラーリスト21B)が作成される。
【0092】
上記のごとく、カラー写真画像30を選択し、当該カラー写真画像30を利用してRGB3色カラーリダクションを行い、区画化を行い、所定区画のRGB1次元配列を切り出し、当該RGB1次元配列を利用して番地カラー符号化を行うという各処理は、情報配信装置15の側において行われる。
【0093】
なお図7Bに示したフローチャートでは、番地カラー符号化のプロセス(S20)の前段で、「テキストの用意」のステップS1、「カラー写真画像(原図)の用意」のステップS11、前述した「番地カラー1次元配列の生成」のプロセス(S10)が設けられている。
【0094】
次に、図18〜図22を参照して、情報受信装置15の側で行われる復号化処理について説明する。情報受信装置15で行われる復号化処理は、前述した符号化処理の手順を逆に行う逆変換処理である。
【0095】
情報受信装置15の側で行われる復号化処理は、番地カラー(Cn)の復号化である。前述した通り、情報受信装置15の側には、情報配信装置14の側から事前にONC対応表21(オブジェクトリスト21Aと番地カラーリスト21B)が郵送等で提供されている。次に、カラー写真画像21Cがインターネット11を経由して情報配信装置14から情報受信装置15に送信されてくる。情報受信装置15では、カラー写真画像21Cを受信した後、ONC対応表21(オブジェクトリスト21Aと番地カラーリスト21B)に基づいて、図3Aで示した通りの逆変換を行ってメッセージ情報としてのテキストオブジェクト24を取り出す。この際において、前述のように決められた番地カラー(Cn)を利用して復号化(逆変換)が行われる。
【0096】
図18は、番地カラーによる復号化を解説するための表である。この表では、第1列に番地カラー(Cn)が示され、第2列にカラー数値(N)が示され、第3列にオブジェクト(O)が示され、かつそれぞれの項目同士の対応関係が示されている。
【0097】
情報受信装置15では、図22に示した番地カラーの復号化のフローに従って復号化の処理を実行する。
【0098】
最初のステップS31ではデジタルのカラー写真画像(原図)を用意する。当該カラー写真画像は、情報配信装置14からインターネット11を経由して送られてきたものである。ここで、前記のカラー写真画像は、カラー写真プリント印刷や、店頭の広告、書物、表示物等に掲載/貼り付けられたカラー印刷物をカメラ撮像入力/OCR撮像入力されたものを包含する。従って、カラー写真画像の代わりに、カラー写真プリント印刷やカラー印刷物を、情報配信側から情報受信側に配送することもある。次に、当該カラー写真画像を利用して番地カラー1次元配列を取り出す(ステップS32)。取り出した番地カラー1次元配列を図21に示す。次に、図19に示す番地カラーリストを用意する(ステップS33)。さらに、図20に示すオブジェクトリストを用意する(ステップS34)。番地カラーリストとオブジェクトリストは、事前に郵送等により情報配信装置14の側から提供されている。最後に番地カラー1次元配列、番地カラーリスト、オブジェクトリストを用いて番地カラー復号化を行う(ステップS35)。こうして、受信したカラー写真画像21Cから番地カラー1次元配列に基づき所定の番地カラー(Cn)を取り出し、取り出した番地カラー(Cn)に基づいて、図19に示す番地カラーリスト21Bを利用して、カラー数値(N)を取得する。さらに次に、取得したカラー数値に基づいて、図20に示すオブジェクトリスト(復号化)21Aを利用して、図18に示す番地カラーによる復号化テーブルを構成し、オブジェクト24を取得する。
【0099】
以上に説明した「番地カラー符号化」と「番地カラー復号化」の各々の変換処理において、変換前事項(入力)と変換後事項(出力)の関係を示すと、図23と図24に示すようになる。図23に示した番地カラー符号化(割符分割)に基づく変換処理51では、入力は割符1のカラー写真画像(原図)とテキスト(テキストオブジェクト)であり、出力は割符2のONC対応表(オブジェクトリストと番地カラーリスト)である。また図24に示した番地カラー復号化(割符符号)に基づく変換処理52では、入力は割符1のカラー写真画像(原図)であり、出力はテキスト(テキストオブジェクト)である。番地カラー復号化に基づく変換処理52では、割符2のONC対応表(オブジェクトリストと番地カラーリスト)が参照されることになる。
ここで、ONC対応表から(オブジェクトリストと番地カラーリスト)の組み合わせに分解することができ、逆に、(オブジェクトリストと番地カラーリスト)の組み合わせによればONC対応表を構成することができ、ONC対応表と(オブジェクトリストと番地カラーリスト)の組み合わせとは等価である。
【0100】
また、割符暗号化技術の観点からすると、符号化処理は、テキストオブジェクトを、カラー写真画像(割符1)とONC対応表(割符2)に割符分割して符号化(暗号化)する処理である。復号化処理は、カラー写真画像(割符1)とONC対応表(割符2)とを割符符合して、テキストオブジェクトに復号化する処理である。このことからして、番地カラー技術は、カラー写真画像を用いた割符分割の秘密分散技術の実現形態でもある。
【0101】
(変換処理)変換式表現
符号化:カラー写真画像(割符1)+テキストオブジェクト→ONC対応表(割符2)
復号化:カラー写真画像(割符1)+ONC対応表(割符2)→テキストオブジェクト
ここで、ONC対応表={オブジェクトリスト+番地カラーリスト}
【0102】
さらに、割符分割は、以下のように3分割まで可能である。
割符1=カラー写真画像、割符2=ON表、割符3=CN表
【0103】
以上の実施形態では、情報配信者から情報受信者へ、カラー写真画像(割符1)をインターネットを経由して送信し、ONC対応表(割符2)を郵送や宅配等で配送する情報配信システムの構成の具体例を示した。
一般に、情報配信システムは、図26に示すように、情報配信装置14と情報受信装置15の間で、インターネット伝送ルート61と記録媒体搬送ルート62から構成される。情報配信装置14と情報受信装置15では、それぞれ、構成要素としてPC(HD:ハードディスク)と記録媒体とが示されている。カラー写真画像(割符1)とONC対応表(割符2)は、図26のインターネット伝送ルート61と記録媒体搬送ルート62のどちらかの経路で伝送または搬送される。図28は、カラー写真画像(割符1)とONC対応表(割符2)を伝送または搬送する際に、インターネット伝送ルート61と記録媒体搬送ルート62の選択の組み合わせの構成を示したものである。ここに、記録媒体の範疇は、電子記録媒体(USBメモリ、CD、FD等)のみならず、印刷記録媒体(ペーパベース)をも包含している。
図28のケース(1)は、以上で示した実施形態であり、割符分割したカラー写真画像(割符1)をインターネット伝送し、ONC対応表(割符2)の記録媒体を郵送や宅配等で配送するので、セキュリティは高レベルである。しかし、セキュリティレベルが厳密に問われない場合は、ケース(2)〜(4)のいずれかを選択しても構わない。さらに、カラー印刷媒体にまで適用を拡大して、ケース(5)、(6)のように、カラー写真画像のプリント印刷を印刷記録媒体として搬送した後、カメラ撮像した撮像画像をPCに取り込むようなアプリケーションの実現も可能である。この装置構成の例については、図25を参照して先に説明した通りである。
【0104】
なお上記の番地カラーシステム、符号化方法、および復号化方法は、情報配信の場合のみだけではなく、1台のコンピュータ(PC等)において適用し、当該コンピュータに保存されるテキスト等(ファイル)を暗号化するシステムとして利用することも可能である。テキスト等のファイルを保管する構成例を図27に示す。71は1台のコンピュータシステムを示す。コンピュータシステム71では構成要素としてPC(HD:ハードディスク)と記録媒体とが示されている。また図27に、ファイルの保管の場所/手段をケース(1)、(2)に分けて表形式で示している。
【0105】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係るカラー写真画像を利用した番地カラーシステム、符号化方法、および復号化方法は、カラー数の少ないカラー写真画像を利用して文書情報等を暗号化し、インターネット等で伝送するのに利用される。
【符号の説明】
【0107】
11 インターネット
14 情報配信装置
15 情報受信装置
21 ONC対応表
21A オブジェクトリスト
21B 番地カラーリスト
21C カラー写真画像(原図)
22 記憶媒体
23 カラー暗号化キー
24 オブジェクト(O)
28 文章(テキスト)
30 カラー写真画像(原図)
31 画像領域
32 ピクセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーコード表で取り扱われ、コンピュータオブジェクトとして取り扱われるコンピュータ上の任意のカラーを表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルからの一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、
複数の前記ピクセルの各々について、ピクセル位置情報に基づいて付与される番号(n)と、対応する前記ピクセルで表現されるカラー(C)とから番地カラー(Cn)を作成して成ることを特徴とする番地カラーシステム。
【請求項2】
任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、
複数の前記ピクセルの各々について、ピクセル位置情報に基づいて付与される番号(n)と、対応する前記ピクセルで表現されるカラー(C)とから番地カラー(Cn)を作成して成ることを特徴とする番地カラーシステム。
【請求項3】
任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部または全部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、
複数の前記ピクセルの各々について、同じカラーで表現される複数の前記ピクセルでは、当該ピクセルによって表現されるカラー(C)に対して、対応する前記ピクセルの位置情報に基づいて付与される番号(n)を組み合わせて番地カラー(Cn)を作成することを特徴とする番地カラーシステム。
【請求項4】
任意のカラー写真画像を表示する表示画面を形成する2次元配列の複数のピクセルから一部を取り出して形成する番地カラーシステムであり、
前記表示画面を形成する前記2次元配列の複数の前記ピクセルは、複数の区画に分割されており、
前記複数の区画から切り出された少なくとも1つの前記区画の中に含まれる複数の前記ピクセルの各々について、前記ピクセルで表現されるカラー(C)と、対応するピクセルの位置情報とに基づいて付与される番号(n)とにより、番地カラー(Cn)を作成して成ることを特徴とする番地カラーシステム。
【請求項5】
前記カラー写真画像で用いられるカラー(C)の数は、3バイトのフルカラー(16,777,216色)の色数、または色数を限定した2バイトのカラー(65,536色)の色数、さらに色数を限定した1バイト以下のマルチカラー(256色、16色、もしくは8色)の色数、または三原色の色数であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載された番地カラーシステム。
【請求項6】
前記カラー写真画像で用いられるカラー(C)の数は、代表的な3色とその他の1色とから成る4色であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載された番地カラーシステム。
【請求項7】
前記代表的な3色はR(赤)とG(緑)とB(青)であることを特徴とする請求項6記載の番地カラーシステム。
【請求項8】
前記代表的な3色はC(シアン)とM(マゼンタ)とY(イエロー)であることを特徴とする請求項6記載の番地カラーシステム。
【請求項9】
前記番地カラーは、情報配信システムにおいて配信される情報の暗号化手段として利用され、または、1台のコンピュータシステムにおいてそのメモリに保存されるファイルの暗号化手段として利用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の番地カラーシステム。
【請求項10】
カラー写真画像から、ピクセルの番号(n)と複数のカラー(C)を基にして、番地カラー1次元配列を作成するステップと、
前記番地カラー1次元配列に挙げられた複数の番地カラー(Cn)の各々と、テキストに記載されたオブジェクト(O)と、カラー数値(N)を対応づけるONCn対応表(ONC対応表)を作成するステップと、
前記ONCn対応表を用いて、番地カラーリスト(NCn)、およびオブジェクトリスト(NO)を作成することで符号化するステップと、
から成ることを特徴とするカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項11】
前記番地カラーリスト(NCn)を作成する前記ステップは、
前記カラー写真画像で用いられるカラー(C)の数を、代表的な3色とその他の1色とから成る4色に減じるステップと、
カラー(C)の数が減じられた前記カラー写真画像を複数の区画に分割するステップと、
前記複数の区画化から少なくとも1つの区画を切り出すステップと、
切り出した前記区画に含まれる前記代表的な3色のピクセルの位置情報を用いて番地カラー(Cn)を作成するステップと、
作成された番地カラー(Cn)を利用して前記番地カラーリスト(NCn)を作成するステップとを含む、
ことを特徴とする請求項10記載のカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項12】
前記番地カラー(Cn)を作成する前記ステップでは、複数の前記ピクセルのそれぞれのカラーと発番とに基づいて、前記番地カラー(Cn)が決定されることを特徴とする請求項11記載のカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項13】
前記代表的な3色はR(赤)とG(緑)とB(青)であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項14】
前記ONCn対応表(ONC対応表)を作成するステップで、前記番地カラー1次元配列に挙げられた前記複数の番地カラー(Cn)の内で、1つまたはいくつかの特定の番地カラーと、前記カラー写真画像にユニークな固有の画像識別番号(画像ID)と、前記カラー数値とを対応づける前記ONCn対応表(ONC対応表)を作成することを特徴とする請求項10記載のカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項15】
前記ONCn対応表(ONC対応表)を作成するステップで、前記番地カラー1次元配列に挙げられた前記複数の番地カラー(Cn)の内で、1つまたはいくつかの特定の番地カラーと、前記カラー写真画像にユニークな固有の画像識別番号(画像ID)と共に画像属性(作成者、作成年月日、作成場所、目的/用途を含む)、前記カラー数値とを対応づける前記ONCn対応表(ONC対応表)を作成することを特徴とする請求項10記載のカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項16】
前記符号化の方法は、情報配信システムにおいて配信されるテキストの暗号化手段として利用され、または、1台のコンピュータシステムにおいてそのメモリに保存されるファイルの暗号化手段として利用されることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項17】
請求項10〜15のいずれか1項に記載されたカラー写真画像を利用した符号化方法で符号化された前記カラー写真画像を復号化する方法であり、
前記カラー写真画像を、前記番地カラーリスト(NCn)および前記オブジェクトリスト(NO)を用いて、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することを特徴とするカラー写真画像を利用した復号化方法。
【請求項18】
情報配信装置の側で、請求項10〜15のいずれか1項に記載されたカラー写真画像を利用した符号化方法に基づいて作成された前記カラー写真画像を情報受信側に通信回線を介して配信し、
別の経路で、前記情報配信装置の側で作成された前記カラー写真画像に基づく前記番地カラーリスト(NCn)と前記オブジェクトリスト(NO)を記録媒体で前記情報受信側に送付し、
情報受信装置は、前記情報配信装置から通信回線を介して送信された前記カラー写真画像を受信し、別途に受信した前記番地カラーリスト(NCn)および前記オブジェクト(NO)を用いて、前記カラー写真画像、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することを特徴とするカラー写真画像を利用した復号化方法。
【請求項19】
情報配信装置の側で、請求項10〜15のいずれか1項に記載されたカラー写真画像を利用した符号化方法に基づいて作成された前記カラー写真画像を情報受信側に通信回線を介して配信し、
別の経路で、前記情報配信装置の側で作成された前記カラー写真画像に基づく前記番地カラーコード表(ONCn)を記録媒体で前記情報受信側に送付し、
情報受信装置は、前記情報配信装置から通信回線を介して送信された前記カラー写真画像を受信し、別途に受信した前記番地カラーコード表(ONCn)を用いて、前記カラー写真画像、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することを特徴とするカラー写真画像を利用した復号化方法。
【請求項20】
情報配信装置の側で、請求項10〜15のいずれか1項に記載されたカラー写真画像を利用した符号化方法に基づいて作成された前記カラー写真画像と、前記情報配信装置の側で作成された前記カラー写真画像に基づく前記番地カラーリスト(NCn)と前記オブジェクトリスト(NO)を、別々の経路または同じ経路で、情報受信側に記録媒体で送付するか、または、通信回線を介して配信し、
情報受信装置は、前記カラー写真画像と前記番地カラーリスト(NCn)および前記オブジェクト(NO)を用いて、前記カラー写真画像、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することを特徴とするカラー写真画像を利用した復号化方法。
【請求項21】
情報配信装置の側で、請求項10〜15のいずれか1項に記載されたカラー写真画像を利用した符号化方法に基づいて作成された前記カラー写真画像のプリント印刷の印刷記録媒体を情報受信側に送付し、
別の経路で、前記情報配信装置の側で作成された前記カラー写真画像に基づく前記番地カラーリスト(NCn)と前記オブジェクトリスト(NO)を通信回線を介して配信するか、または、記録媒体で前記情報受信側に送付するかし、
情報受信装置は、前記カラー写真画像のプリント印刷の印刷記録媒体を受領してカメラ撮像して撮像画像を情報受信装置に取り込み、別途に受信した前記番地カラーリスト(NCn)および前記オブジェクト(NO)を用いて、前記カラー写真画像、番地カラー(Cn)、カラー数値(N)、オブジェクト(O)の順序で逆変換して復号化することを特徴とするカラー写真画像を利用した復号化方法。
【請求項22】
前記復号化の方法は、情報配信システムにおいて配信されるファイルの暗号化手段として利用され、または、1台のコンピュータシステムにおいてそのメモリに保存されるファイルの暗号化手段として利用されることを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載のカラー写真画像を利用した符号化方法。
【請求項23】
カラー写真画像を第1の割符としかつONC対応表を第2の割符とし、テキストオブジェクトを、前記カラー写真画像と前記ONC対応表を用いて割符暗号化することを特徴とする暗号化方法。
【請求項24】
請求項10〜15のいずれか1項に記載されたカラー写真画像を利用した符号化方法に基づく符号化処理において、テキストオブジェクトを、前記カラー写真画像と前記ONC対応表を用いて割符暗号化することを特徴とする暗号化方法。
【請求項25】
請求項17〜21のいずれか1項に記載されたカラー写真画像を利用した復号化方法に基づく復号化処理において、前記カラー写真画像と前記ONC対応表を用いて割符符号してテキストオブジェクトに復号化することを特徴とする暗号化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−28152(P2011−28152A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176172(P2009−176172)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000209474)谷電機工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】