説明

番組録画装置

【課題】 ハードディスクを使用した録画再生装置で、番組の頭出し検索に加え番組途中の区切り点での検索を可能とする索引情報の抽出と記録が行える録画装置を提供する。
【解決手段】 記録する放送番組の映像データから画面に表示される文字情報を抽出し、予め用意されている辞書データと照合して辞書データに存在する文字列を検出する文字認識処理手段と、この文字認識処理手段により検出された文字列と、この文字列が検出された映像データが記録されている前記ハードディスク上の記録位置を示すアドレス情報とを保存する文字列データ位置保存手段とを有することにより番組途中の区切り点での検索を可能とする索引情報の抽出と記録が行える録画装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送などの番組データを録画する番組録画装置に係り、特に録画されている番組を検索するときに用いる索引情報の記録に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送番組の録画再生装置として、記録メディアに大容量のハードディスクを使用し、多量のテレビ番組を録画できる装置が普及してきている。
このようなハードディスクを使用した録画再生装置では、記録した番組を装置内部に大量に保存して置き、再生するときに使用者は画面に表示された保存番組の一覧表から見たい番組を選択する操作を行う様になっている。
【0003】
ハードディスクを使用した録画再生装置の一例として、内蔵するハードディスクの容量が250GB(ギガバイト)のものでは、標準モードで100時間以上、長時間モードでは200時間以上が記録できるので、装置内部に保存できる番組数は数十本から数百本と膨大な数になる。
【0004】
このように大量に録画された番組から希望の番組を検索するには、録画日時や放送局のチャンネル等の簡単な識別情報では番組の区別ができにくく、少なくとも番組のタイトル名が必要になる。しかしながら、文字の入力は手間が掛かり大変である。そこで、録画する映像データの中から番組のタイトル名などの文字列を文字認識で抽出し、これを索引情報として利用する手段が考えられる。
【0005】
下記特許文献1では、入力された映像データをハードディスク等のランダムアクセス可能なメディアに記録し、この録画動作と並行してメディアに記録された映像データを適宜読み出し、既知の文字認識技術を用いて映像フレームから文字列抽出を行うことで録画番組のタイトル等の情報を得ることを可能とする技術が開示されている。この特許文献1では、録画作業と並行して所定時間置きに文字抽出動作を行うことで、当該機器がそれほど高い処理能力を持っていなくても映像データから文字列の抽出が行える様に工夫されている。
【特許文献1】特開2002−359803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなタイトル名による番組検索は使用者にとって非常に分り易いものであるが、しかし、ハードディスクを使用した録画再生装置では番組のアクセスが高速に行えることから、これまでの番組の頭出し検索にとどまらず、番組の途中の検索も望まれており、特許文献1や従来技術ではこの点で使用者の満足する検索手段が提供されていない。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ハードディスクを使用した録画再生装置で、番組の頭出し検索に加え、番組途中の区切り点での検索を可能とする検索情報の抽出と記録を行う録画装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決する手段として以下の(1)(2)に記載の構成からなる。すなわち、
(1)ランダムアクセス可能なデータ記録メディアに放送番組を記録した後、記録された前記放送番組の途中の区切り点での検索を可能とし、前記区切り点からの再生が行える番組録画装置であって、
前記映像データから画面に表示される文字情報を抽出し、予め用意されている辞書データと照合して前記辞書データに存在する文字列を検出する文字認識処理手段と、
前記文字認識処理手段により検出された文字列と、この文字列が検出された映像データが記録されている前記データ記録メディア上での記録位置を示すアドレス情報とを保存する文字列データ位置保存手段と
を有することを特徴とする番組録画装置。
(2)前記辞書データは、別途接続して取得したEPG情報若しくはインターネット上のニュースソース情報から得た文字列を追加更新できることを特徴とする請求項1に記載の番組録画再生装置である。
【発明の効果】
【0009】
記録時に番組の途中で画面に現れる文字情報を認識し索引情報として登録しておくことで、再生時には、その番組の途中の見たい部分を正確に選択できるようになる。これにより、例えば歌番組では特定の歌手が歌う場面や、報道番組では特定のニュース項目の場面等が簡単に選択でき、加えてランダムアクセス可能な記録メディアを使うことで迅速にその部分の再生ができるので、快適な操作性を持った番組録画装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面と共に説明する。
図1は本発明に係る番組録画装置の構成を示すブロック図、図2は索引情報生成処理の流れを示すフローチャート図、図3は保存された索引情報の例を示した図である。
まず図1により、本発明に係る番組録画装置の主要な構成を説明する。
【0011】
本発明に係る番組録画装置は、記録番組の映像音声データが入力される映像音声入力部1と、ハードディスク等のランダムアクセス可能な記憶媒体を用いたデータ記録メディア3と、映像音声入力部1からの映像音声データをデータ記録メディア3に記録する映像音声処理部2と、データ記録メディア3に記録されている映像データを選択的に読み出す映像データ読出部4と、良く使う文字情報を格納してある文字情報辞書5と、映像データ読出部4によって読み出された映像データに含まれる文字映像について、文字情報辞書5に格納されている文字データを参照して文字認識を行う文字認識処理部6と、この文字認識処理部6の文字認識結果である文字列とその抽出元である映像データのデータ記録メディア3での記録位置とが索引情報として保存される文字列・データ記録位置保存部7とを備える。
【0012】
更に、本発明に係る番組録画装置は、文字情報辞書5の文字情報補完のために外部から新しい文字データを入手するためのEPG(Electronic Programming Guide)処理部8およびネットワーク処理部9を有する。
【0013】
次に、図2を用いて本発明による番組録画装置が番組を記録中に索引情報となる文字列を抽出する動作について説明する。
まず、チューナ(図示せず)から、現在受信している放送局の番組の映像音声データが映像音声データ入力部1に供給される(ステップS101)。
入力された映像音声データは、次いで映像音声処理部2で必要に応じて圧縮され、記録媒体への記録に相応しい形態の信号に変換処理されてデータ記録メディア3に記録される(ステップS102)。
【0014】
次に、映像データ読出部4により、データ記録メディア3から記録されている映像データを一定間隔で読み出し、フレーム単位で文字認識処理部6に映像データを供給する(ステップS103)。このとき、全ての映像フレームに対して文字認識処理を行うとデータ処理量が多くなってしまうので、前記したように一定の間隔で行うようにする。一般に画面にスーパーインポーズで表示する文字は数秒間継続表示されるので、文字認識処理は例えば0.5秒程度の間隔で行えば必ず文字が抽出できる。
【0015】
文字認識処理部6は供給された映像フレームから文字情報を抽出するが、このときの文字抽出方法は公知の技術、例えば前記特許文献1に記載されている技術を用いる。
ここで、文字情報を抽出するときに参照辞書として用いる文字情報辞書5について説明する。本発明で用いる文字情報辞書5には予め番組で良く使われる文字が格納されているが、それに加えて外部から最新の文字情報を取り込むようになっている(ステップS104)。
【0016】
取り込み先の1つはEPG情報である。EPG情報は番組の放送日時、チャンネルのほかに番組タイトルや出演者、制作スタッフ、あらすじ等の文字情報を有するデータで、特定放送局の映像信号の隙間やインターネットを使って送信されている。図1のEPG処理部8は接続されたEPG送信先からの文字情報を抽出する働きをする部分である。
【0017】
取り込み先のもう1つは、インターネット上にあるニュースソースである。多くの新聞社や通信社等がインターネット上にニュースを発信しているのでそれを利用する。図1のネットワーク処理部9は、家庭LANのネットワークに接続し、設定されたインターネット上のニュースソース先から最新の文字情報を取得する部分である。
なお、図2において、外部から最新の文字情報を取得する段階をステップS104の位置に表示しているが、これは説明の便宜上の位置であり、実際はこの段階ではなく、文字認識処理のタイミングに無関係にバックグラウンドで適宜行うようにしている。
【0018】
このようにして外部より最新の文字情報を取得し、文字情報辞書5に加えることで文字認識処理部6の文字認識率を高めることができるようになる。
文字認識処理部6は、前記映像フレームから抽出した文字を1文字ずつ文字情報辞書5に格納されている辞書データと照合し、すべての文字が辞書データと一致した文字列を索引用の文字列とする(ステップS105)。
なお、文字数が多いときには、抽出した文字と辞書データの文字がすべて一致しなくとも、例えば50%程度の一致率であっても索引用の文字列として利用しても実用上は問題ない。
【0019】
こうして文字列が検出されたときは、この文字列と抽出に使った映像フレームのデータ記録メディア3上での記録位置のアドレス情報とを文字列・データ記録位置保存部7に保存する(ステップS106)。
このようにして次々と番組途中の区切り点で画面に現れた文字を索引情報として登録することができる。
なお、この文字列・データ記録位置保存部7は前記データ記録メディア3の一部を保存エリアとして用いるか、あるいは別途専用の半導体メモリを用いても良い。
【0020】
次に、文字列・データ記録位置保存部7に記録されている索引情報について図3を用いて説明する。この図において、(A)は歌番組の索引情報の例、(B)はニュース番組の例である。図の「文字列」の欄が表示画面から抽出した索引用の文字列である。この文字列は放送局が画面に表示したものと同じであるから、画面の検索に使ったとき内容を最も的確に表しているといえる。
【0021】
このように、本発明により抽出された索引情報の文字列は、使用者が見たいシーンを的確に表現しているので、再生時にこの索引情報を画面に一覧表示することで、番組の途中場面の検索を分り易く正確に行うことが可能となる。
なお、前記したように、EPG情報の内容は主に番組タイトルに関する情報であり、本発明で抽出するような番組途中の画面に対応した索引情報は送信されていない。
【0022】
以上詳述したように本発明による番組録画装置では、記録時に番組の途中で画面に現れる文字情報を認識し、索引情報として抽出に使った映像フレームの記録位置のアドレス情報と共に登録しておくことで、再生時には、その番組の途中の見たい部分を正確に選択できるようになる。これにより、例えば歌番組では特定の歌手名や曲名でその場面が、報道番組では特定のニュース項目の場面が簡単に選択でき、加えてランダムアクセス可能な記録メディアを使うことで迅速にその部分の再生ができるので、快適な操作性を持った番組録画装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る番組録画装置の構成を示すブロック図である。
【図2】索引情報生成処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】保存された索引情報の例を示した図であり(A)は歌番組の索引情報の例、(B)はニュース番組の例である。
【符号の説明】
【0024】
1 映像音声入力部
2 映像音声処理部
3 データ記録メディア
4 映像データ読出部
5 文字情報辞書
6 文字認識処理部
7 文字列・データ記録位置保存部
8 EPG処理部
9 ネットワーク処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムアクセス可能なデータ記録メディアに放送番組を記録した後、記録された前記放送番組の途中の区切り点での検索を可能とし、前記区切り点からの再生が行える番組録画装置であって、
前記映像データから画面に表示される文字情報を抽出し、予め用意されている辞書データと照合して前記辞書データに存在する文字列を検出する文字認識処理手段と、
前記文字認識処理手段により検出された文字列と、この文字列が検出された映像データが記録されている前記データ記録メディア上での記録位置を示すアドレス情報とを保存する文字列データ位置保存手段と
を有することを特徴とする番組録画装置。
【請求項2】
前記辞書データは、別途接続して取得したEPG情報若しくはインターネット上のニュースソース情報から得た文字列を追加更新できることを特徴とする請求項1に記載の番組録画再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−180056(P2006−180056A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369404(P2004−369404)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】