説明

異なる材質からなる平面部材の研磨・洗浄装置

【課題】異なる材質が貼り合わされている平面部材の左右面または上下面を同時に研磨および/または洗浄を行うことができる平面部材研磨・洗浄装置を提供する。
【解決手段】研磨・洗浄装置は、両面が異なる材質からなる平面部材111、112を垂直にした場合の左右面、または水平にした場合の上下面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる。前記研磨・洗浄装置は、平面部材の一つの面を研磨および/または洗浄する複数組の第1ブラシ組立体131、134と、平面部材の他の面で、異なる材質からなる面を研磨および/または洗浄する前記第1のブラシ組立体と異なる種類のブラシ毛および異なる構造からなる複数組の第2ブラシ組立体132、135、133n、133n’とから構成され、制御装置によって、異なる駆動態様および駆動速度でそれぞれ制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる材質が貼り合わされている平面部材の左右両面または上下両面を同時に研磨および/または洗浄を行うことができる平面部材の研磨・洗浄装置に関するものである。また、本発明は、異なる材質が貼り合わされている平面部材の左右両面または上下両面を同時に、紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類からなるブラシ毛で構成された複数のブラシ組立体によって、研磨および/または洗浄を行うことができる平面部材研磨・洗浄装置に関するものである。
【0002】
本発明は、たとえば、大型液晶表示画面あるいは大型太陽電池パネル等の平面部材の左右両面または上下両面に残る洗浄液に含まれたゴミあるいは細菌等の微細跡を無くすことができる平面部材研磨・洗浄装置に関するものである。本発明の「ブラシ組立体」は、主にブラシ毛部分と、ブラシ毛を支持する部分とからなり、単体としてブラシを使用できる構造のものである。なお、本発明において、「縦」、「左右」、および「上下」なる用語は、図面に対するものであり、ワークの使用態様に限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
特開2000−316634号公報に記載されているブラシは、柔らかいブラシ面を有すると共に、腰が適度に強く、さらに、毛材の脱落を改良している。前記ブラシの毛材は、太さが10〜70ミクロンの合成繊維単糸を集束した太さ100〜500ミクロンの集束糸に50〜300ターン/メートルの下撚りをかけ、さらにこの集束糸を合糸した太さ200〜1200ミクロンの繊維束に50〜300ターン/メートルの上撚りをかけたものに、接着剤を付与することにより、前記合成繊維単糸間を接合している。
【0004】
また、特開2006−184388号公報に記載されているブラシ組立体は、異なる形状をした直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシから構成され、それぞれのブラシが異なる速度で駆動制御されている。前記直線ブラシは、前記基板表面上を直交する方向に往復移動を行なうものである。前記ロールブラシは、前記基板表面上を転がり摩擦が発生する方向に回転する。前記カップブラシは、前記基板表面と、ブラシの回転面とが同じである。そして、基板表面を洗浄するブラシ組立体は、前記直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシの内の少なくとも二つを組み合わせることにより、異なるブラシの形状と異なる駆動速度により相乗効果を発揮して、液晶表示装置の基板表面の隅々までを均等に、かつ、効率良く洗浄することができる。
【0005】
さらに、特願2010−273411に記載されている大型平面部材研磨・洗浄装置は、大型平面部材を研磨・洗浄するものであり、装置の面積が大きく取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−316634号公報
【特許文献2】特開2006−184388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特開2000−316634号公報に記載されているブラシは、柔らかいブラシ面を有するように、毛材の太さ、撚りのかけかたを工夫したブラシ毛素材である。しかし、大型平面部材の研磨・洗浄は、ブラシ毛素材を細くすれば良いというものでもない。また、大型平面部材の研磨・洗浄は、表と裏を別々に研磨・洗浄するための手間が非常にかかるため、両面研磨・洗浄装置の開発が望まれている。
【0008】
前記特開2006−184388号公報に記載されているブラシ組立体は、大型平面部材の研磨・洗浄を効率良く、かつ、綺麗に行うことができるが、左右両面を同時に処理するという発想がなされていなかった。前記特願2010−273411は、装置の設置に大面積が必要であるだけでなく、洗浄水に含まれる微細なゴミあるいは細菌等が洗浄から時間が経過するにしたがい、染みのようになるという問題を有していた。
【0009】
以上のような課題を解決するために、本発明は、ブラシの素材とともに、異なる構造のブラシ組立体を複数使用することにより、異なる材質からなる部材が貼り合わされている平面部材の両面を同時に研磨・洗浄することができる平面部材の自動研磨・洗浄装置を提供することを目的とする。本発明は、異なる性質と構造のブラシ組立体の平面部材の両面に配置するとともに、それぞれのブラシ組立体の回転速度を制御することにより、平面部材の両面を同時に研磨・洗浄することができる平面部材の自動研磨・洗浄装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、洗浄液または研磨液等に入っている微細なゴミあるいは細菌が後に染み等になるという汚れを無くすことができる異なる材質からなる部材が貼り合わされている平面部材の自動研磨・洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
第1発明の研磨・洗浄装置は、両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができるものであり、前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を研磨および/または洗浄できる、異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシからなる複数組の第1ブラシ組立体と、前記異なる材質からなる平面部材の他の面を研磨および/または洗浄できる、前記第1ブラシ組立体と異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシからなる複数組の第2ブラシ組立体と、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0011】
(第2発明)
第2発明の研磨・洗浄装置は、前記平面部材の垂直方向左右面または水平方向上下面を同時に研磨および/または洗浄をすることを特徴とする。
【0012】
(第3発明)
第3発明の研磨・洗浄装置は、両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができるものであり、前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられたサンドペーパーの間に短めのブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布の少なくとも一つが挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第1ブラシ組立体と、前記異なる材質からなる平面部材の他の面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられ、砥粒の大きさが異なるサンドペーパーの間に短めのブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布の少なくとも一つが挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第2ブラシ組立体と、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0013】
(第4発明)
第4発明の研磨・洗浄装置において、第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体のサンドペーパーは、両面に異なる粒径、および/または異なる種類の砥粒が設けられていることを特徴とする。
【0014】
(第5発明)
第5発明の研磨・洗浄装置は、両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができるものであり、前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられた紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つの間に前記部材より短めのブラシ毛が挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第1ブラシ組立体と、前記異なる材質からなる平面部材の他の面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられた紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つの間に前記部材より短めのブラシ毛が挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第2ブラシ組立体と、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0015】
(第6発明)
第6発明の研磨・洗浄装置において、第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体の紙、スポンジ、バフ、布、不織布は、両面において、異なる材質および/または異なる厚さであることを特徴とする。
【0016】
(第7発明)
第7発明の研磨・洗浄装置は、両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができるものであり、前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を同時に研磨および/または洗浄できる、複数本のブラシ毛と、前記ブラシ毛と長さが異なる対をなす構造に設けられている紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つとがデッキに植設されており、前記デッキに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第1ブラシ組立体と、前記異なる材質からなる平面部材の他の面を同時に研磨および/または洗浄できる、複数本のブラシ毛と、前記ブラシ毛と長さが異なり対をなす構造に設けられている紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つとがデッキに植設されており、前記デッキに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第2ブラシ組立体と、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0017】
(第8発明)
第8発明の研磨・洗浄装置において、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体は、ブラシ毛がほぼ同心円状に植設されており、回転および/または移動しながら研磨および/または洗浄ができることを特徴とする。
【0018】
(第9発明)
第9発明の研磨・洗浄装置において、前記第1ブラシ組立体および第2組立体におけるブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布は、異なる粒径の砥粒、納豆菌、香料の少なくとも一つが接着剤により付着されていることを特徴とする。
【0019】
(第10発明)
第10発明の研磨・洗浄装置において、前記ブラシ毛は、紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類であることを特徴とする。
【0020】
(第11発明)
第11発明の研磨・洗浄装置において、前記紙または布からなるブラシ毛は、丸められた棒状体を捻じり、縒ったものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、平面部材の左右表面または上下表面を研磨・洗浄するブラシ組立体を直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシの内の少なくとも二つを組み合わせることにより、異なる材質または複数の形状からなる複数組のブラシ組立体と、これらのブラシ組立体の異なる駆動速度により相乗効果を発揮して、平面部材の左右表面または上下表面の隅々までを均等に、かつ、効率良く研磨・洗浄することができる。
【0022】
本発明によれば、複数の形状からなる複数組のブラシ組立体で、表面の材質が左右表面または上下表面で異なる平面部材を洗浄および/または研磨する際の洗浄液および/または研磨液に納豆菌を加えることにより、洗浄後の前記平面部材の両表面に微細なゴミあるいは細菌等の染みを残すことなく、綺麗にすることができる。
【0023】
本発明によれば、直線ブラシ、ロールブラシ、カップブラシ、回転バフを左右表面または上下表面において、同じまたは異なる位置に配置し、駆動装置により、同じ速度、あるいは異なる速度、同じ方向の回転、異なる方向の回転等で制御することにより、平面部材の表面に合った研磨・洗浄が効率良く、かつ、前記左右表面または上下表面の隅々まで均等に行なうことができるだけでなく、平面部材の表面に歪みができないようにすることができる。
【0024】
本発明によれば、紙材、布材、不織布の少なくとも一つを所定の大きさに切り裂き、接着剤と、砥粒および/または香料を染み込ませ、あるいはシート状紙とし、これらを丸め、捩じり、縒った紙製ブラシ毛とし、必要に応じて、周囲をカバーリングして紙製ブラシ素材を構成し、前記平面部材研磨・洗浄装置の左右面または上下面に設けているため、紙の性質、捻じり、縒り独特の柔らかさ、弾性、バネ性、あるいクッション性が向上し、腰部分の強度も強い紙製ブラシ毛を作製することができる。特に、本発明のブラシ素材として、紙製および/または不織布とした場合、前記紙材および/または不織布独特の柔らかさを利用することができる。
【0025】
本発明によれば、接着剤および/または砥粒と、納豆菌が染み込んだ紙シートを丸める際に、紙製素材、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛を芯線として巻き込むことにより、ブラシ素材の腰の強度を調整することができ、使用目的に合った紙製ブラシ素材を作製することができる。
【0026】
本発明によれば、平面部材の表面に多少の凹凸または湾曲があっても、左右両面における隅々までの研磨・洗浄が行き届く。
【0027】
本発明によれば、前記サンドペーパーに設けられた切り込みにより、平面部材の表面に僅かな凹凸形状があっても、追従できるだけでなく、ブラシ毛の種類を選択することによってチャンネルブラシ全体の硬さを調整することができるため、多くの平面部材に合った研磨・洗浄装置とすることができる。
【0028】
本発明によれば、硬さおよび/または材質の異なるブラシ毛を複数段長さを変えて設けたデッキブラシとすることにより、異なる材質の表面を研磨および/または洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の左右表面を異なるブラシ組立体が同じ位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の左右表面を異なるブラシ組立体が異なる位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。
【図3】本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の上下表面を異なるブラシ組立体が同じ位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。(実施例2)
【図4】本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の上下表面を異なるブラシ組立体が異なる位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。
【図5】本発明の実施例であり、(イ)はサンドペーパーに砥粒を付着させる状態を説明する模式図であり、(ロ)はサンドペーパーに切り込みを入れる模式図である。(実施例3)
【図6】(イ)はサンドペーパーと間にブラシ毛を入れたチャンネルブラシを説明するための模式図であり、(ロ)はデッキブラシに異なるブラシ毛を植設した例を説明するための模式図である。(実施例4)
【図7】(イ)はカップブラシの平面図、(ロ)はカップブラシの断面図、(ハ)はカップブラシの斜視図であり、それぞれの模式図である。(実施例5)
【図8】図6におけるチャンネルブラシの変形例を説明するための模式図である。
【図9】(イ)から(ニ)は平面部材のエッジを研磨するに適したチャンネルブラシを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1発明)
第1発明の研磨・洗浄装置は、たとえば、大型太陽電池パネルあるいは大型液晶表示画面等で、両面が異なる材質からなる平面部材を垂直にした場合の左右両面、または水平にした場合の上下両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる。前記平面部材は、たとえば、水平または垂直にした状態で、左右両端部および/または上下両端部が支持される。前記平面部材の両端部は、左右位置または上下位置において、水平または垂直に支持された状態で、たとえば、搬送装置によって間欠的または連続的に搬送される。前記搬送装置は、所定の位置において、前記平面部材を所定の方向(研磨に適した方向−垂直または水平)に移動させる。
【0031】
前記研磨・洗浄装置は、平面部材の一つの面を研磨および/または洗浄する複数組の第1ブラシ組立体と、平面部材の他の面で、異なる材質からなる面を研磨および/または洗浄する前記第1のブラシ組立体と異なる種類のブラシ毛および異なる構造からなる複数組の第2ブラシ組立体とから構成されている。前記複数組の第1ブラシ組立体は、前記平面部材の一つの面(水平面または垂直面)を研磨および/または洗浄するものであり、異なる材質および/または異なる種類のブラシ毛(合成樹脂、天然素材、紙、スポンジ、バフ、布、不織布を含む)および構造の異なるブラシからなる。
【0032】
前記第2ブラシ組立体は、前記異なる材質からなる平面部材の他の面を研磨および/または洗浄できるものであり、前記第1ブラシ組立体と異なる複数種類のブラシ毛(合成樹脂、天然素材、紙、スポンジ、バフ、布、不織布を含む)および異なる構造のブラシからなる。前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体は、異なるブラシ組立体を複数設けることができ、制御装置によって、異なる駆動態様および駆動速度でそれぞれ制御される。
【0033】
前記制御装置は、第1ブラシ組立体および/または第2ブラシ組立体の駆動態様である回転運動(水平方向および/または垂直方向)、往復運動(左右方向、前後方向)、およびその速さを制御するものである。前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体は、面の材質に応じて、前記ブラシ毛(合成樹脂、天然素材、紙、スポンジ、バフ、布、不織布を含む)の種類を変えるだけにすることも可能である。
【0034】
(第2発明)
第2発明の研磨・洗浄装置は、前記平面部材の垂直方向左右両面または水平方向上下両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる。前記平面部材は、垂直方向左右両面と水平方向上下両面において、材質が異なっている。したがって、前記研磨・洗浄装置は、前記平面部材の垂直方向左右面と水平方向上下面の材質に対応したブラシ毛、運動により、また、複数のブラシ組立体により、一つのブラシによる欠点を補い合うよなブラシの組み合わせにすると大きな効果を発揮する。
【0035】
(第3発明)
第3発明は、両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる研磨・洗浄装置であり、チャンネルブラシからなる第1ブラシ組立体と、前記チャンネルブラシと異なる材質からなるチャンネルブラシからなる第2ブラシ組立体と、これらのブラシ組立体の駆動態様および駆動速度を制御する制御装置とから少なくとも構成されている。前記各ブラシ組立体は、チャンネル部材に対して、直角方向に移動できるものである。
【0036】
前記第1ブラシ組立体は、前記異なる材質からなる平面部材の内の一つの面を同時に研磨および/または洗浄できるものであり、チャンネル部材にサンドペーパーと、その間に、少し短めのブラシ毛が入れられた状態で挟持されている。前記サンドペーパーは、少なくとも一つの面に砥粒と、必要に応じて、納豆菌、香料とが接着剤等により付着さているとともに、両端部に向かって多数の切込みが設けられている。また、前記ブラシ毛は、合成樹脂製、天然素材、紙、スポンジ、バフ、布、不織布からなる。前記紙、スポンジ、バフ、布、不織布は、前記サンドペーパーと同様に両端部に向かって多数の切込みが設けられている。
【0037】
前記第2ブラシ組立体は、前記異なる材質からなる平面部材を研磨・洗浄するものであり、材質が異なるのみで構造が似ているものである。前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体は、少なくとも一列がチャンネル部材に対して直角方向に移動できるようになっている。前記制御装置は、第1ブラシ組立体および/または第2ブラシ組立体の駆動態様である回転運動(水平方向および/または垂直方向)、往復運動(左右方向、前後方向)、およびその速さをそれぞれ制御することによって、異なる材質に対して最適な研磨および/または洗浄が行えるように制御される。
【0038】
前記サンドペーパーに設けられた切り込みは、平面部材の僅かな凹凸に追従できるだけでなく、ブラシ毛等によって腰を強くしているため、前記サンドペーパーおよびブラシ毛等の材質によって、多くの材質に合った研磨・洗浄装置とすることができる。前記サンドペーパーおよびブラシ毛の関係は、前記平面部材の材質によって任意に選択することができる。また、前記サンドペーパーおよびブラシ毛の長さの関係は、前記ブラシの材質および腰の強さ、研磨および/または洗浄の程度によって任意に選択することができる。
【0039】
(第4発明)
第4発明は、第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に使用するサンドペーパーの両面に、異なる粒径、および/または異なる種類の砥粒が設けられているため、前記チャンネル部材を往復運動させた場合、往復方向に研磨および/または洗浄が可能になった。前記異なる材質からなる平面部材は、異なる粒径、および/または異なる種類の砥粒が設けられている第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体を使用することで、効率の良い研磨および/または洗浄ができる。
【0040】
(第5発明)
第5発明は、両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる研磨・洗浄装置である。第1ブラシ組立体は、切込みが入れられた紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つの間に前記部材より短めのブラシ毛が挟持されており、チャンネルブラシを構成している。第2ブラシ組立体は、前記第1ブラシ組立体と異なる材質からなり、切込みが入れられた紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つの間に前記部材より短めのブラシ毛が挟持されており、チャネルブラシを構成している。
【0041】
前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体のブラシ毛は、両側から少し長めの紙、スポンジ、バフ、布、不織布によって挟まれた状態であるため、前記紙等の腰を強くすることができ、異なる材質からなるワークに合った所望の強度を有するブラシとすることができる。前記第1ブラシ組立および第2ブラシ組立体は、チャネル部材に対して直角方向に移動されるため、ブラシを複数個連設することで、効率のよい研磨および/または洗浄が可能である。また、制御装置は、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体の材質、あるいはワークの異なる表面に合った駆動態様および駆動速度にすることができる。
【0042】
(第6発明)
第6発明は、第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体の一部を構成する部分の内、紙、スポンジ、バフ、布、不織布の両面を異なる材質および/または異なる厚さにしている。前記異なる材質および/または異なる厚さは、ワークの材質および研磨および/または洗浄の目的に合ったものとすることが容易であり、高い品質のワークに仕上げることが可能である。
【0043】
(第7発明)
第7発明は、ブラシ毛およびブラシ毛と長さが異なる対をなす構造に設けられている紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つがチャンネル部材に挟持されている点で、第1発明から第6発明と異なっている。第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体は、ブラシ毛および紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つが組み合わされて材質の異なるワークの表面を所望の通りに研磨および/または洗浄ができるようになっている。また、制御装置は、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度を第1発明および第6発明と異なるようにそれぞれ制御することができる。
【0044】
(第8発明)
第8発明における第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体は、矩形状からなるデッキ型ではなく、ほぼ円形のデッキにブラシ毛および紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つがほぼ同心円状に植設されている。前記ほぼ円形のブラシは、デッキを回転および/または移動させながらワークを研磨および/または洗浄することができる。
【0045】
(第9発明)
第9発明の第1ブラシ組立体および第2組立体は、ブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布に異なる粒径の砥粒、納豆菌、香料の少なくとも一つが接着剤によって付着されている。前記ブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布は、ワークの材質に合った粒径の砥粒、納豆菌、香料の少なくとも一つが付着されており、材質が異なっても、ワークの研磨および/または洗浄が所望の通りに出来上がる。
【0046】
(第10発明)
第10発明は、前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に使用するブラシ毛を紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類にしたものである。前記紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジは、ワークの材質に合った部材を選択することにより、前記材質の特徴を生かす研磨および/または洗浄が可能になった。
【0047】
(第11発明)
第11発明は、第10発明において、紙または布を採用した場合、前記紙または布からなる部材を丸めた棒状体を捻じり、縒ったものとすることができる。前記紙または布からなるブラシ毛は、柔らかさが紙または布独特のものとすることができる。
【実施例1】
【0048】
図1は本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の左右表面を異なるブラシ組立体が同じ位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。図1において、平面部材111、112は、直線ブラシ131、134、ロールブラシ132、135、カップブラシ133n、133n′の少なくとも3組が左右面にそれぞれ接するように設けられている。前記平面部材111、112は、たとえば、右表面111および左表面112に異なる材質が一体に貼り合わされる構成になっており、上方向から下方向に移動する。研磨・洗浄に先立ち、前記平面部材は、たとえば、純水のような洗浄液151、151′が水槽15、15′から前記平面部材111、112の表面の左右面に吹き付けられる。
【0049】
図示されていない駆動装置によって駆動される前記平面部材111、112は、駆動方向と直交する方向に往復運動する直線ブラシ131、134と、前記直線ブラシ131、134と平行に配置されたロールブラシ132、135と、前記平面部材111、112の左右面を回転しながら研磨・洗浄する複数個のカップブラシ133n、133n′とにより両面が同時に研磨・洗浄される。モータ13、13′は、ベルト等により、カップブラシ133n、133n′を回転させる。モータ16、16′は、ベルトを介してロールブラシ132、135を回転させる。モータ14、14′および往復運動機構(図示されていない)は、直線ブラシ131、134を直線運動させる。
【0050】
前記平面部材111、112は、両端部のコ字型溝を移動可能に設けられている。前記コ字型溝161は、前記平面部材111、112をクランプした状態で上下方向に移動できる機構とすることができる。前記スライド移動は、前記平面部材111、112の他端を押し出すような装置が必要である。また、前記コ字型溝161は、クランプまたはスライド移動の場合であっても、図示されていない支持機構が必要である。前記支持機構は、公知のものを適用できるため、詳細な説明を省略する。また、前記平面部材111、112は、図1の洗浄位置に搬送される装置がある。前記搬送装置は、直接本発明と関係がなく、周知のものを使用することができる。図1に示す両面に設けられた6組みのブラシ組立体は、図の配置に限らず、また、異なるブラシ毛を有するものとすることができる。
【0051】
図2は本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の左右表面を異なるブラシ組立体が異なる位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。図2において、異なる材質からなる平面部材の研磨・洗浄装置は、それぞれのブラシ組立体が左右両表面において、異なる位置に設けられている点で図1に記載されている実施例と異なっている。すなわち、前記左右6組のブラシ組立体は、それぞれが左右両面で異なる位置に配置されているが、これらの順番を任意に変えることができる。
【0052】
図1および図2に示すブラシ組立体は、前記それぞれのブラシを同じ位置に同じものが左右対向して設けられた方が良い場合と、それぞれのブラシを異なる位置に配置し、全体でバランスをとって設け方が良い場合がある。また、前記それぞれのブラシは、一部のものが対向して設け、他のものをずらして設けることもできる。本発明の平面部材研磨・洗浄装置は、大きさ、厚さ、両面の材質の硬さ等により、ブラシの配置を工夫することにより、平面部材の隅々まで、目的に合った表面を得ることができる。また、前記各種ブラシは、左面と右面において、摺動速度または回転速度を異なるようにすることもできる。前記制御は、左面と右面、平面部材の大きさ、厚さ、凹凸(基板が大きいため完全にフラットになっていない)等により変えることができる。
【0053】
図1および図2において、平面部の材研磨・洗浄装置は、平面部材111、112の上部斜め両方向に水槽15、15′が設けられている。前記水槽15、15′の内部には、必要に応じて、洗浄水以外に、納豆菌、砥粒、香料を入れておくことができる。前記納豆菌は、洗浄水等を常に綺麗に保持することができ、洗浄後に前記平面部材111、112の表面に出る汚れおよび染み等をなくすことができる。
【0054】
また、前記砥粒は、前記平面部材111、112の表面によって研磨・洗浄を行うに適した粒径と物質が選択される。さらに、前記香料は、前記平面部材111、112の表面と研磨材等からでる臭いを抑えと同時に、職場に合った良い香を出させる。前記納豆菌および香料は、前記ブラシ毛とワークの摩擦等により、発生する熱により、前記納豆菌の発酵を促進し、あるいは香料の香を強調することができる。また、ブラシ毛の材質は、紙、合成樹脂、天然素材、バフあるいはスポンジ等を使用することができる。前記ブラシ組立体の配置および/または配置順は、前記平面部材の大きさ、厚さ、硬さ、使用目的等によって変更することができる。
【0055】
図3は本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の上下表面を異なるブラシ組立体が同じ位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。図4は本発明の実施例であり、異なる材質からなる平面部材の上下表面を異なるブラシ組立体が異なる位置に配置され、研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。図3および図4において、研磨・洗浄装置は、図1および図2における縦型を横型にした点、すなわち、上下表面研磨および/または洗浄するものである点で異なる以外同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0056】
図1から図4に示す実施例において、それぞれの駆動装置は、図示されていない制御装置によって制御される。前記制御装置は、それぞれのモータ等に、駆動制御部と、電源供給部と、電源制御部と、設定部と、設定記憶部とから構成されている。前記駆動部は、前記各モータをそれぞれ制御しながら所望の方向に駆動される。
【0057】
図5は本発明の実施例であり、(イ)はサンドペーパーに砥粒を付着させる状態を説明する模式図であり、(ロ)はサンドペーパーに切り込みを入れる模式図である。図5(イ)において、サンドペーパーの素材は、紙、合成樹脂製、金属製、天然素材、スポンジ、ゴム製、バフ、布製等であり、必ずしもペーパーに限らない。前記サンドペーパーは、予め巻回されてロール状部材58となっている。前記サンドペーパーは、基台51上に載置された第1のスペーサー52、第2のスペーサー53、第3のスペーサー54上を移動する。
【0058】
前記サンドペーパーは、たとえば、前記第1のスペーサー52、第2のスペーサー53、第3のスペーサー54上を通過する際に、上下方向から接着剤57、57′が噴霧または塗布される。前記サンドペーパーの上、および前記第2のスペーサー53と第3のスペーサー54の間には、砥粒512、512′を収納することができる収納室が構成されている。前記収納室は、たとえば、砥粒供給装置59から砥粒、納豆菌、香料等が所望の量だけ供給される。また、前記収納室は、上下に高い静電気を印加するための電極板または電極棒55、55′、56、56′が設けられている。
【0059】
前記ロール状部材58から引き出されたサンドペーパーは、たとえば、上下方向から接着剤57、57′が両面に塗布される。前記サンドペーパーは、スペーサー52、53、54上に沿って移動し、砥粒等が収納されている収納室の上部を通過する。前記収納室の上下に設けられた電極55、56、55′、56′には、たとえば、6万ボルトの静電気が印加される。前記静電気の印加により、前記収納室に収納されていた砥粒512、512′は、パウダー状に舞い上がり、前記サンドペーパーを覆うようにコーティングされる。前記静電気は、6万ボルトと高いため、前記砥粒512、512′を舞い上がる際のエネルギーによって、前記サンドペーパーの隙間および幾重にも積層して付着され、密度の高い砥粒層ができる。前記砥粒は、必要に応じて、接着剤を予め塗布しておくこともできる。
【0060】
図5(ロ)に示す図は、サンドペーパー511の上下面に砥粒512、512′を付着させる場合についてのみ記載されているが、前記サンドペーパーの片面に設けることができる。また、前記サンドペーパー511は、砥粒512、512′とともに、必要に応じて、納豆菌および/または香料を付着させることができる。前記納豆菌および/または香料は、たとえば、前記砥粒供給装置59から砥粒512とともに必要量供給される。
【0061】
図5(ロ)において、サンドペーパー511は、中央部が連設された連設部と、前記連設部から外方に向かって切込みが入れられている。前記サンドペーパー511は、二つ折りにしてチャンネル部材に挟んだ場合、短冊状のサンドペーパーができる。
【0062】
図6(イ)はサンドペーパーと間にブラシ毛を入れたチャンネルブラシを説明するための模式図であり、(ロ)はデッキブラシに異なるブラシ毛を植設した例を説明するための模式図である。図6(イ)において、チャンネル部材61は、たとえば、アルミニウム、鋼材、合成樹脂部材等からなる断面U字型部材またはコ字型部材である。サンドペーパー62は、植物製、動物製、紙、不織布、等からなる静電気を帯び難いブラシ毛64および芯線65が載置され、その後、中央部からU字状に折り曲げて、二つ折りにする。
【0063】
前記サンドペーパー62は、チャンネル部材61に植え込んだ際に、前記ブラシ毛64より長さが僅かに長くなるように、U字状に曲げられる。前記サンドペーパー62の先端は、僅かに突出する形状、丸く突出する形状等にすることができる。前記サンドペーパー62およびブラシ毛64は、芯線65を中心にして折り曲げられ、前記チャンネル部材61に挟持させる。前記サンドペーパー62およびブラシ毛64は、必要に応じて、左右をカシメて挟持するとともに、充填部材66を入れて固定することができる。
【0064】
前記サンドペーパー62は、一面または両面に砥粒、納豆菌、香料を付着させることができる。また、ブラシ毛64は、植物製、動物製、紙、不織布、ゴム製、スポンジ、布製、バフ材等からなる静電気を帯び難い部材からなる。前記納豆菌および/または香料は、前記ブラシ毛64に付着させることもできる。チャンネルブラシは、図6(イ)に示すように、たとえば、二組設け、矢印方向に往復運動させることにより、材質の異なる両面を研磨および/または洗浄することができる。前記ブラシ組立体は、前後のサンドペーパー62、62′の長さが長く、複数本のブラシ毛64の高さより高くなっている。
【0065】
前記サンドペーパー62、62′の長さは、図6(イ)において、誇張して描かれている。特に、前記サンドペーパー62、62′は、付着している砥粒の種類、大きさ等によってワークの表面が研磨または洗浄される。その際に、前記研磨の際に発生する熱は、香料から多くの香を出し、また、納豆菌の発酵を促す。したがって、前記サンドペーパーサンドペーパー62、62′は、ワークの研磨中に表面を研磨および/または洗浄するだけでなく、職場環境を良好にするとともに、洗浄水を浄化することができる。
【0066】
図6(イ)に示すチャンネルブラシは、サンドペーパー62、62′より、背丈の低いブラシ毛64によって側部が支えられている。また、前記サンドペーパー62、62′は、一枚の場合、腰が弱いが、複数枚のサンドペーパーまたは複数本のブラシ毛64によって支えることにより、適度の強さを持つだけでなく、程よい弾性を持たせることができる。さらに、短冊状に切れ目を入れたサンドペーパー62、62′は、いろいろな形状からなるワークに対応し易く、また、高さが異なる凹凸を同時に研磨、研削、バリ取りが可能になった。
【0067】
図6(ロ)に示す植え込みブラシは、砥粒を付けた短冊状サンドペーパー(図示されていない)を丸め、棒状体68、68′として、デッキ67に植設されている。ブラシ毛69、69′は、前記棒状体68、68′と交互(ブラシの進行方向矢印に対して)に配置されている。前記植え込みブラシは、砥粒付きブラシ毛68を前列に設け、前記砥粒付きブラシ毛68の長さより短く、弾力性を持たせるブラシ毛69を進行方向の後列に設ける。図6(ロ)において、植え込みブラシは、ブラシ毛が4列に設けられている。ブラシ毛68、68′、69、69′は、ブラシ毛の高さおよび腰の弾力等を考慮して作製される。前記棒状体68、68′は、紙あるいは合成樹脂シートを丸め、捻じり、縒ったものとすることができる。
【0068】
前記砥粒は、使用するワークによって、ダイヤモンド、セラミックス、アルミナ、シリコン、ジルコニア、ジルコニウム、ガラス、エメリー、酸化セリウム、窒化ホウ素(CBN)、GCからなる少なくとも1種類である。前記サンドペーパーは、紙、布、合成樹脂、ゴム素材、不織布、スポンジ、コルク、および金属の少なくとも1種類からなるシート素材の上に、紙、布、樹脂、不織布、または金属素材の少なくとも1種類からなる網素材を貼り合わせ、その後、前記砥粒を接着させることができる。
【0069】
前記チャンネルブラシまたは植え込みブラシは、ワークの上下面および左右面のみならず、エッジ部分を研磨、バリ取りをするのに適している。前記ブラシにおけるサンドペーパー部分は、表と裏に砥粒等が付着されており、中間に位置するブラシ毛等と相まってワークのエッジを研磨および/またはバリ取りを行うのに適した形状となっている。
【0070】
図7(イ)はカップブラシの平面図、(ロ)はカップブラシの断面図、(ハ)はカップブラシの斜視図であり、それぞれの模式図である。図7(イ)から(ハ)において、円盤状部材71は、回転ブラシのデッキに植え込まれたサンドペーパーおよび/またはブラシ毛から構成されている。前記円盤状部材71は、孔が開けられ、丸めたサンドペーパー72、74、76、76′、74′、72′、およびブラシ毛73、75、75′、73′が交互に植設されている。前記サンドペーパー72、74、76、76′、74′、72′の表面には、少なくとも砥粒が付着されている。前記ブラシ毛73、75、75′、73′は、複数本からなり、前に設けられているサンドペーパーの腰に弾力を与えている。
【0071】
前記円盤状のブラシは、柔軟性を高くして、高さの異なるワークが混在している部材に対して、回転しながら走査することによって、研磨、研削、バリ取りの作業を効率良く行うことができる。前記円盤状のブラシは、サンドペーパーおよびブラシ毛の種類を材質の面に合わせて多様化することができる。
【0072】
図8は図6におけるチャンネルブラシの変形例を説明するための模式図である。図8において、チャンネルブラシは、図6におけるサンドペーパーの代わりに切込みを入れて短冊状にしたスポンジ、布、不織布等であり、厚さの厚いものに必要に応じて、砥粒、納豆菌、香料等を入れたものである。前記サンドペーパーより厚いスポンジ82は、切込み83が入っており、内部に腰を固くするブラシ毛84が入っている。前記ブラシ毛84は、前記スポンジ82等の厚さあるいは硬さ等により本数あるいは材質を変える。すなわち、前記チャンネルブラシは、短冊状部材の材質および厚さ、内部に入るブラシ毛の種類、本数等を選択することにより、異なる材質からなるそれぞれの表面を所望通りに研磨および/または洗浄することができる。
【0073】
前記ブラシ毛として紙または布、あるいは薄い合成樹脂製シートを使用する場合、前記シート素材を丸めて棒状体とする。前記棒状体は、捻じられた後、さらに、複数本を縒ることにより、捻じり縒りブラシ毛が作製される。前記ブラシ毛が和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙製シートは、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品種のものを選択することができる。前記紙製シートは、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。
【0074】
図9(イ)から(ニ)は平面部材のエッジを研磨するに適したチャンネルブラシを説明するための模式図である。図9(イ)において、図5(イ)および(ロ)によって作製されたサンドペーパー92は、中央部に連結部92′を有し、両端に向けて切込み93が多数設けられている。前記切込みの間隔は、ブラシを作製する際の柔らかさ等を得ることができ、任意とすることができる。図9(ロ)において、前記サンドペーパー92は、前記連結部93′の上下に合成樹脂製部材94、94′を置く。
【0075】
図9(ハ)において、前記サンドペーパー92は、少なくとも一方の前記合成樹脂部材94の上にブラシ毛95、あるいは紙、バフ、スポンジ等を少なくとも一つを載置する。さらに、前記ブラシ毛95等は、中央部に芯線96が載置され、または上下中央部に芯線が置かれる。図9(ニ)において、通常のチャンネルブラシの作製方法により、前記サンドペーパー92、ブラシ毛95等は、前記芯線の部分から二つ折りに折り曲げられて、図示のチャンネル部材91によって挟持され、チャンネルブラシとなる。チャンネル部材91は、先端部を両側から押圧するとともに、熱を加える。前記熱は、前記チャンネル部材91を通し、前記合成樹脂部材94、94′に伝達される。前記熱は、チャンネルブラシの根本部分を溶融して前記各部を緊密に接着させて、チャンネルブラシが完成する。
【0076】
前記構造のチャンネルブラシは、サンドペーパーを比較的長く(長さは使用目的により任意に調整できる)設けているため、孔の周囲にできるバリ取り、エッジの研磨に適している。特に、前記チャンネルブラシは、図示されていないが、図1から図4に示されている平面部材のエッジを研磨する際に優れている。すなわち、前記チャンネルブラシは、エッジに対して斜め方向に接するように配置される。前記チャンネルブラシは、比較的長く、かつ、柔軟性の高い前記サンドペーパー部分でエッジを研磨あるいはバリ取りをするとともに、比較的短いブラシ毛の腰の強さと相まって、効率のよい研磨および/またはバリ取りが可能になった。
【0077】
前記チャンネルブラシは、前記平面部材の幅方向および/または長さ方向のエッジを研磨およびバリ取りが可能である。前記チャンネルブラシは、前記平面部材の幅および/または長さ方向において、所定の角度になるように公知の手段によって配置する。前記平面部材は、搬送装置によって水平または垂直に搬送される。したがって、前記平面部材は、前記チャンネルブラシによってエッジ部の研磨および/またはバリ取りを行う際に、邪魔となっている前記搬送装置を外す必要がある。しかし、前記平面部材は、一般に大型部材からなるため、前記搬送装置の一部を省略しても、搬送装置から脱落せずに研磨および/またはバリ取りが可能である。なお、前記搬送装置は、図面が省略されているが、公知の搬送装置を複数並べることにより、容易に達成できる。なお、前記チャンネルブラシは、先端部が平らになっているが、図6および図8のように少し尖らすことも可能である。
【0078】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明は、性質の異なるブラシ毛素材、ブラシの構造、複数の異なるブラシの使用、複数のブラシに対する異なる制御により、平面部材の隅々までを効率良く、かつ、綺麗に研磨・洗浄することができる。特に、ブラシ素材は、紙の種類、厚さ、透きかた、形状、密度、捩じり方、縒り方等の選択により、大型液晶表示画面、あるいは大型太陽電池等の表面を研磨・洗浄を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
111、112・・・平面部材
13・・・モータ
131、134・・・直線ブラシ
132、135・・・ロールブラシ
133n、133n・・・カップブラシ
14、14′・・・モータ
15:15′・・・水槽
151、151′・・・洗浄液(研磨液)
16、16′・・・モータ
161・・・コ字型溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる研磨・洗浄装置において、
前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を研磨および/または洗浄できる、異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシからなる複数組の第1ブラシ組立体と、
前記異なる材質からなる平面部材の他の面を研磨および/または洗浄できる、前記第1ブラシ組立体と異なる種類のブラシ毛および構造の異なるブラシからなる複数組の第2ブラシ組立体と、
前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨・洗浄装置。
【請求項2】
前記平面部材の垂直方向左右面または水平方向上下面を同時に研磨および/または洗浄をすることを特徴とする請求項1に記載された研磨・洗浄装置。
【請求項3】
両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる研磨・洗浄装置において、
前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられたサンドペーパーの間に短めのブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布の少なくとも一つが挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第1ブラシ組立体と、
前記異なる材質からなる平面部材の他の面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられ、砥粒の大きさが異なるサンドペーパーの間に短めのブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布の少なくとも一つが挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第2ブラシ組立体と、
前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨・洗浄装置。
【請求項4】
第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体のサンドペーパーは、両面に異なる粒径、および/または異なる種類の砥粒が設けられていることを特徴とする請求項3に記載された研磨・洗浄装置。
【請求項5】
両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる研磨・洗浄装置において、
前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられた紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つの間に前記部材より短めのブラシ毛が挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第1ブラシ組立体と、
前記異なる材質からなる平面部材の他の面を同時に研磨および/または洗浄できる、切込みが入れられた紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つの間に前記部材より短めのブラシ毛が挟持されているチャンネルブラシが少なくとも一つ、前記チャンネルブラシのチャンネルに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第2ブラシ組立体と、
前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨・洗浄装置。
【請求項6】
第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体の紙、スポンジ、バフ、布、不織布は、両面において、異なる材質および/または異なる厚さであることを特徴とする請求項5に記載された研磨・洗浄装置。
【請求項7】
両面が異なる材質からなる平面部材の両面を同時に研磨および/または洗浄をすることができる研磨・洗浄装置において、
前記異なる材質からなる平面部材の一つの面を同時に研磨および/または洗浄できる、複数本のブラシ毛と、前記ブラシ毛と長さが異なる対をなす構造に設けられている紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つとがデッキに植設されており、前記デッキに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第1ブラシ組立体と、
前記異なる材質からなる平面部材の他の面を同時に研磨および/または洗浄できる、複数本のブラシ毛と、前記ブラシ毛と長さが異なり対をなす構造に設けられている紙、スポンジ、バフ、布、不織布の内の少なくとも一つとがデッキに植設されており、前記デッキに対して直角方向に移動できる少なくとも一組の第2ブラシ組立体と、
前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体に対する駆動態様および駆動速度をそれぞれ制御することができる制御装置と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする研磨・洗浄装置。
【請求項8】
前記第1ブラシ組立体および第2ブラシ組立体は、ブラシ毛がほぼ同心円状に植設されており、回転および/または移動しながら研磨および/または洗浄ができることを特徴とする請求項7に記載された研磨・洗浄装置。
【請求項9】
前記第1ブラシ組立体および第2組立体におけるブラシ毛、紙、スポンジ、バフ、布、不織布は、異なる粒径の砥粒、納豆菌、香料の少なくとも一つが接着剤により付着されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載された研磨・洗浄装置。
【請求項10】
前記ブラシ毛は、紙、布、合成樹脂製、動植物製、不織布、バフ、スポンジの中の少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載された研磨・洗浄装置。
【請求項11】
前記紙または布からなるブラシ毛は、丸められた棒状体を捻じり、縒ったものであることを特徴とする請求項10に記載された研磨・洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−232235(P2012−232235A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100848(P2011−100848)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(398029234)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】