説明

異型肝機能をもつ患者に対するピルフェニドン治療

【課題】ピルフェニドン投与に応答して肝機能のバイオマーカーの異常を示した患者に、ピルフェニドンを投与する方法が、提供される。
【解決手段】上記方法は、一定期間、完全な目標用量よりも少ない用量のピルフェニドンを患者に投与し、引き続き完全な目標用量のピルフェニドンを上記患者に投与する工程を含む。上記方法はまた、減少せずに、完全な目標用量のピルフェニドンを投与する工程、および、一貫して減少した用量のピルフェニドンを投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年6月19日に出願され、現在放棄される米国特許出願第12/488,228号に対する優先権を主張する。前述の米国特許出願は、2009年4月22日に出願された米国特許第7,566,729号に対する優先権を主張する。前述の米国特許出願は、2008年11月10日に出願された米国仮出願第61/113,107号に対する優先権を主張する。これらの開示は、それら全体が参考として援用される。本出願はまた、2009年7月27日に出願された米国仮出願第61/228,943号に対する優先権を主張し、この開示は、全体が参考として援用される。
【0002】
(背景)
(開示の分野)
本開示は、一般に、疾患および障害の治療に関わる有害事象を減少させる方法に関連している。さらに特に、本開示は5−メチル−1−フェニル−2−(1H)−ピリドン(ピルフェニドン(pirfenidone))療法に関わる肝機能の異常を減少させる方法と関連する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の簡単な説明)
特許文献1、特許文献2および特許文献3は一般にピルフェニドン投与と関連する。特許文献4、特許文献5、および特許文献6は、すべて出願人がMargolinであり、本明細書中で参考として援用されており、ピルフェニドン投与に関連する。
【0004】
肺線維症は、類肉腫症、過敏性肺炎、膠原病、および吸入曝露(inhalant exposure)を含む多数の異なった病気によって引き起こされうる。呼吸困難、X線写真の異常、および進行性の肺機能喪失の特徴をもつ特発性肺線維症(IPF)とは別個の存在である。IPFは、例外なく進行性で、そして2〜3年の平均余命の中央値という深刻な予後を伴う。
【0005】
ピルフェニドンはIPFを罹患した患者に投与されてきた。コンパッショネートユース試験(compassionate−use study)において、Raghuら(非特許文献1)は、ピルフェニドン投薬の報告をした。血液学試験もしくは血液化学試験における有害事象はないと記載された。
【0006】
Nagaiらは、コントロール実験を行っていない、患者におけるピルフェニドンの非盲検試験(open−label study)を行った(非特許文献2)。治療の間、肝臓の機能障害、血液学的異常、あるいはアレルギー反応またはショック反応は、報告されなかった。
【0007】
Moisesらの論文(非特許文献3)では、ピルフェニドン投与が報告された。
【0008】
Azumaらの論文(非特許文献4)では、ピルフェニドン投与を1日あたり最大1800ミリグラムまでのピルフェニドンとして記述し、そして有害事象後の薬物の段階ごとの減少および再投与を開始するプロトコルを報告している。
【0009】
肝機能の異常は、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、ビリルビンおよび/もしくはアルカリフォスファターゼを含む肝機能のバイオマーカーのレベルにおける異常として表れ、そして薬物誘発性の肝臓傷害の指標になり得る。非特許文献5を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,974,281号明細書
【特許文献2】米国特許第4,042,699号明細書
【特許文献3】米国特許第4,052,509号明細書
【特許文献4】米国特許第5,310,562号明細書
【特許文献5】米国特許第5,518,729号明細書
【特許文献6】米国特許第5,716,632号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】“Treatment of idiopathic pulmonary fibrosis with a new antifibrotic agent, pirfenidone: results of a prospective, open−label phase II study.” Am J Respir Crit Care Med 159:1061-1069, 1999
【非特許文献2】“Open−label compassionate use one year−treatment with pirfenidone to patients with chronic pulmonary fibrosis.” Internal Medicine 41:1118-1123, 2002
【非特許文献3】“A double−blind, multicenter study comparing pirfenidone and prednisone for moderate−to−severe pulmonary fibrosis.” Chest 124:116S, 2003
【非特許文献4】“Double−blind, placebo−controlled trial of pirfenidone in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.” Am J Respir Crit Care Med 171:1040-1047, 2005
【非特許文献5】FDA Draft Guidance for Industry. Drug−Induced Liver Injury: Premarketing Clinical Evaluation, October 2007
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要約)
本発明のひとつの局面は、線維症(例えば特発性肺線維症(IPF))の治療のためのピルフェニドン投与後に肝機能のバイオマーカーの異常を示した患者に対して、ピルフェニドン治療に効果的な用量を投与する方法を提供する。いくつかの実施態様において、患者は、ピルフェニドンの最初の完全な目標用量の投与後(例えば、1日あたり2400ミリグラムもしくは1日あたり2403ミリグラム)、肝機能のバイオマーカーの、1、2、3、またはそれ以上の有意な異常のレベル(例えばグレード2の異常)を示す人として同定される。このような患者において、ピルフェニドン用量は、バイオマーカーの異常のレベルが正常範囲に近づくか正常範囲内に入るまで、減少または中止させる。その後、患者は、最初の完全な目標用量までピルフェニドン用量を増加しながら投与される。あるいは、ピルフェニドン用量はまったく減少させないが、肝臓のバイオマーカーの監視を続ける。他の実施態様においては、必要に応じて一時的な用量減少および中止後、患者は1日に1602ミリグラムという一貫して減少させた用量のピルフェニドンを投与される。本明細書中で使用されている「最初の完全な目標用量」とは、米国食品医薬品局または必要に応じて日本以外の外国における同様の機関に承認されている治療に効果的な用量を意味する。いくつかの実施態様において、最初の完全な目標用量は、1日あたり約2400ミリグラムもしくは1日あたり約2403ミリグラムのピルフェニドンであり、あるいは約34mg/kg/日(例えば33から35mg/kg/日)、あるいは1日あたり2200から2600ミリグラムのピルフェニドン、あるいは31mg/kg/日から37mg/kg/日である。一日の合計量は、1日に1、2もしくは3回投与される。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
ピルフェニドン投与から利益を得る患者、必要に応じて特発性肺線維症(IPF)に罹患している患者を治療するためのピルフェニドンの投与方法であって、該患者はピルフェニドン投与後、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーにおいてグレード2の異常を示した患者であり、該方法は、(a)1日あたり少なくとも1600ミリグラムまたは1日あたり少なくとも1602ミリグラムの用量のピルフェニドンを該患者に投与する工程を包含する方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、
(a)1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量のピルフェニドンを前記患者に投与する工程、
を包含する方法。
(項目3)
項目1または2に記載の方法であって、
工程(a)の前に、前記患者に、一定期間1日あたり2400ミリグラムよりも少ない用量でピルフェニドンを投与する工程、
をさらに包含する方法。
(項目4)
項目1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、工程(a)の前に肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまで、ピルフェニドンを中止する方法。
(項目5)
項目1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、
工程(a)の前に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する工程、
をさらに包含する方法。
(項目6)
項目1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、
工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンを投与し、引き続いて、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する工程、
をさらに包含する方法。
(項目7)
項目1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、
工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、ピルフェニドンを中止する工程、
をさらに包含する方法。
(項目8)
項目1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、前記ピルフェニドンは食物とともに1日あたり3回投与される方法。
(項目9)
項目1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、およびビリルビンからなる群から選択される、方法。
(項目10)
項目1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、
ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程、
をさらに包含する方法。
(項目11)
項目1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーはアラニントランスアミナーゼおよびアスパラギン酸トランスアミナーゼである、方法。
(項目12)
ピルフェニドン投与から利益を得る患者、必要に応じて特発性肺線維症(IPF)に罹患している患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、該患者は、ピルフェニドン投与後、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーにおけるグレード2の異常を示した患者であり、ここで、(a)該患者は1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量でピルフェニドンを投与される、ピルフェニドン。(項目13)
項目11に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、前記患者は、一定期間1日あたり2400ミリグラムよりも少ない用量でピルフェニドンを投与される、ピルフェニドン。
(項目14)
項目11または12に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者へのピルフェニドン投与は中止される、ピルフェニドン。
(項目15)
項目11〜13のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンが投与される、ピルフェニドン。
(項目16)
項目11〜14のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンが投与され、そして次に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンが投与される、ピルフェニドン。
(項目17)
項目11〜15のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、ピルフェニドン投与を中止させ、そして次に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンが投与され、そして次に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンが投与される、ピルフェニドン。
(項目18)
項目11〜16のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、前記ピルフェニドンは食物とともに1日3回投与される、ピルフェニドン。
(項目19)
項目11〜17のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、およびビリルビンからなる群から選択される、ピルフェニドン。
(項目20)
項目11〜18のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、
ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程、
をさらに包含するピルフェニドン。
(項目21)
項目11〜19のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーはアラニントランスアミナーゼおよびアスパラギン酸トランスアミナーゼである、ピルフェニドン。
(項目22)
ピルフェニドン投与から利益を得る患者、必要に応じて特発性肺線維症(IPF)に罹患している患者の治療のための医薬の製造におけるピルフェニドンの使用であって、必要に応じて、該患者は、ピルフェニドン投与後、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーにおいてグレード2の異常を示した患者であり、ここで(a)該患者は、1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量のピルフェニドンを投与される、ピルフェニドンの使用。
(項目23)
項目21に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、前記患者は、一定期間1日あたり2400ミリグラムよりも少ない用量のピルフェニドンを投与される、使用。
(項目24)
項目21または22に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、前記患者へのピルフェニドンの投与は中止させる、使用。
(項目25)
項目21〜23のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンが投与される、使用。
(項目26)
項目21〜24のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンが投与され、そして次に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンが投与される、使用。
(項目27)
項目21〜25のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、ピルフェニドンの投与を中止し、そして次に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンが投与され、そして次に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンが投与される、使用。
(項目28)
項目21〜26のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、前記ピルフェニドンは、食物とともに1日3回投与される、使用。
(項目29)
項目21〜27のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、前記のひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、およびビリルビンからなる群から選択される、使用。
(項目30)
項目21〜28のいずれか1項に記載の使用であって、ピルフェニドン投与の間、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程をさらに包含する、使用。
(項目31)
項目21〜29のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼおよびアスパラギン酸トランスアミナーゼである、使用。
(項目32)
項目1に記載の方法であって、ここで、工程(a)の前に、前記患者は、一定期間1日あたり1600ミリグラムより少ない用量のピルフェニドンを投与される、方法。
(項目33)
項目1または32記載の方法であって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者へのピルフェニドン投与を中止する、方法。
(項目34)
項目1または32〜33のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンが投与される、方法。
(項目35)
項目1または32〜34のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記ピルフェニドンは、食物とともに1日3回投与される、方法。
(項目36)
項目1または32〜35のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、およびビリルビンからなる群から選択される、方法。
(項目37)
項目1または32〜36のいずれか1項に記載の方法であって、ピルフェニドン投与の間、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程をさらに包含する、方法。
(項目38)
項目1または32〜37のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーはアラニントランスアミナーゼおよびアスパラギン酸トランスアミナーゼである、方法。
(項目39)
ピルフェニドン投与から利益を得る患者、必要に応じて特発性肺線維症(IPF)に罹患している患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、該患者は、ピルフェニドン投与後、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーにおいてグレード2の異常を示した患者であり、ここで、(a)該患者は少なくとも1日あたり1600ミリグラムまたは1日あたり1602ミリグラムの用量のピルフェニドンを投与される、ピルフェニドン。
(項目40)
項目39に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、前記患者は、一定期間1日あたり1600ミリグラムよりも少ない用量のピルフェニドンを投与される、ピルフェニドン。
(項目41)
項目39または40に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの前記患者へのピルフェニドン投与を中止する、ピルフェニドン。
(項目42)
項目39〜41のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、工程(a)の前に、一定期間、必要に応じて約1週間、または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、前記患者に1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンが投与される、ピルフェニドン。
(項目43)
項目39〜42のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、前記ピルフェニドンは、食物とともに1日3回投与される、ピルフェニドン。
(項目44)
項目39〜43のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、およびビリルビンからなる群から選択される、ピルフェニドン。
(項目45)
項目39〜44のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ピルフェニドン投与の間、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程をさらに包含する、ピルフェニドン。
(項目46)
項目39〜45のいずれか1項に記載の患者の治療において使用するためのピルフェニドンであって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼおよびアスパラギン酸トランスアミナーゼである、ピルフェニドン。(項目47)
ピルフェニドン投与から利益を得る患者、必要に応じて特発性肺線維症(IPF)に罹患している患者の治療のための医薬の製造におけるピルフェニドンの使用であって、該患者は、ピルフェニドン投与後、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーにおけるグレード2の異常を示した患者であり、ここで(a)該患者は、少なくとも1日あたり1600ミリグラムまたは1日あたり1602ミリグラムの用量のピルフェニドンを投与される、使用。
(項目48)
項目47に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、前記患者は、一定期間1日あたり1600ミリグラムより少ない用量のピルフェニドンを投与される、使用。
(項目49)
項目47または48に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、前記患者へのピルフェニドン投与を中止する、使用。
(項目50)
項目47〜49のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、工程(a)の前に、必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲に入るまでの一定期間、前記患者に、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンが投与される、使用。
(項目51)
項目47〜50のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、前記ピルフェニドンは、食物とともに1日3回投与される、使用。
(項目52)
項目47〜51のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、およびビリルビンからなる群から選択される、使用。
(項目53)
項目47〜52のいずれか1項に記載の使用であって、ピルフェニドン投与の間、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程をさらに包含する、使用。
(項目54)
項目47〜53のいずれか1項に記載の使用であって、ここで、前記ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼおよびアスパラギン酸トランスアミナーゼである、使用。
(項目55)
項目1〜54のいずれか1項に記載の方法または使用であって、ここで、前記ピルフェニドン投与から利益を得る患者は、肺線維症、特発性間質性肺炎、肺の自己免疫性疾患、良性前立腺肥大、冠梗塞もしくは心筋梗塞、心房性細動、脳梗塞、心筋線維症、筋骨格線維症、術後癒着、肝硬変、腎線維性疾患、線維性脈管疾患、強皮症、ヘルマンスキーパドラック症候群、神経線維腫症、アルツハイマー病、糖尿病性網膜症、皮膚損傷、およびHIVに関わるリンパ節線維症からなる群から選択された状態に罹患している、方法または使用。
(項目56)
項目1〜55のいずれか1項に記載の方法または使用であって、ここで、前記ピルフェニドン投与から利益を得る患者は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺線維症(IPF)、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、通風、、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、トキシックショック症候群、顔面筋疼痛症候群(MPS)、細菌性赤痢、ぜん息、成人呼吸促進症候群、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、湿疹、潰瘍性大腸炎、糸球体腎炎、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、オーモンド病、自己免疫性胃炎、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少、膵線維症、慢性活動性肝炎、急性および慢性腎疾患、腎線維症、過敏性腸管症候群、発熱、再狭窄、大脳マラリア、脳卒中および虚血性障害、神経障害、ハンティングトン病、パーキンソン病、急性および慢性疼痛、アレルギー、心肥大、慢性的心不全、急性冠症候群、悪液質、マラリア、らい病、リーシュマニア症、ライム病、ライター症候群、急性滑膜炎、筋変性、滑液包炎、腱炎、腱滑膜炎、脱出椎間板症候群もしくは脱出椎間円板症候群、大理石骨病、血栓症、珪肺症、肺びまん性肉腫、骨吸収病、癌、対宿主性移植片反応;および自己免疫疾患、AIDS、帯状疱疹、単純疱疹IもしくはII、インフルエンザウイルス属、重症急性呼吸器症候群(SARS)、サイトメガロウイルスおよび糖尿病からなる群から選択された状態に罹患している、方法または使用。
【0013】
したがって、本発明は、ピルフェニドン投与後グレード2の肝機能の異常を患者が示したことを同定した後、1日あたり2400ミリグラムもしくは1日あたり2403ミリグラムの用量で患者にピルフェニドン投与する方法を提供する。いくつかの実施態様において、方法は、用量の一時的な中止もしくは減少をすることなく、完全な目標用量(例えば1日あたり2400ミリグラムもしくは1日あたり2403ミリグラム)を続けることを含む。患者の肝機能のバイオマーカーは監視され続け得る。ある実施態様においては、方法は以下の工程を含む、(a)一定期間(例えば1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、6週間もしくは2ヶ月)、1日あたり2400ミリグラムよりも低い用量を投与する工程、それに続いて、(b)1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量を投与する工程。特定の実施態様においては、ピルフェニドンは(a)の工程の前に一時的に中止される。
【0014】
方法のいくつかの実施様態においては、ピルフェニドンは、次のとおりに、グレード2の肝機能の異常を示す患者に投与される:(a)約一週間の間または肝機能のバイオマーカーがグレード0もしくはグレード1に戻るまで、1日あたり約1600ミリグラムもしくは約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月または3ヶ月、または1年、または2年、または3年、または4年、または5年、または7年、または10年、最初の完全な目標用量を投与する。好ましくは一日の合計用量は食物とともに1日あたり3回投与される。
【0015】
方法のいくつかの実施態様において、ピルフェニドンは、次のとおりに、グレード2の肝機能の異常を示す患者に投与される:(a)約1週間または肝機能のバイオマーカーがグレード0もしくはグレード1に戻るまで、1日あたり約800ミリグラムまたは約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、(b)約1週間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、という一定期間、最初の完全な目標用量を投与する。好ましくは、一日の合計用量は食物とともに1日あたり3回投与される。
【0016】
方法のいくつかの実施態様において、ピルフェニドンは、次のとおりに、グレード2の肝機能の異常を示す患者に投与される:(a)約1週間、または、肝機能のバイオマーカーがグレード0もしくはグレード1に戻るまで、ピルフェニドンを中止する、(b)約1週間、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、(c)約1週間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(d)少なくとも、1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間という一定期間、最初の完全な目標用量を投与する。好ましくは、一日の合計用量は、食物とともに1日3回投与される。
【0017】
あるいは、ピルフェニドンは、グレード2の肝機能の異常を示す患者に、一貫して減少した用量(例えば、1日あたり800ミリグラムもしくは801ミリグラム、または1日あたり1600ミリグラムもしくは1602ミリグラム)で投与される。いくつかの実施態様において、ピルフェニドンは次のように、グレード2の肝機能異常を示す患者に投与される:少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間に、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。いくつかの実施態様において、ピルフェニドンは、次のとおりに、グレード2の肝機能の異常を示す患者に投与される:(a)約1週間、または、肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまで、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(b)少なくとも、1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間という一定期間、患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。
【0018】
他の実施態様においては、ピルフェニドンは、次のとおりに、グレード2の肝機能の異常を示す患者に投与される:(a)約1週間、または、肝機能のバイオマーカーがグレード0もしくはグレード1に戻るまで、ピルフェニドンを中止する、(b)1週間、または、肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまで、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間、患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。さらに他の実施態様においては、ピルフェニドンは、次のように、グレード2の肝機能の異常を示す患者に投与される、(a)約1週間または肝機能のバイオマーカーがグレード0もしくはグレード1に戻るまで、ピルフェニドンを中止する、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間という一定期間、患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。
【0019】
本発明はまた、ピルフェニドン投与後、患者がグレード1の肝機能の異常を示したことを同定した後、1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量で患者にピルフェニドンを投与する方法を提供する。いくつかの実施態様において、方法は、用量の一時的な中止または減少をすることなく、完全な目標用量(例えば、1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラム)を続ける工程を含む。患者の肝機能のバイオマーカーは監視され続け得る。いくつかの実施態様において、方法は以下の工程を含む、(a)例えば1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、6週間、または2ヶ月の一定期間、1日あたり2400ミリグラムよりも低い用量を投与する工程、それに続いて、(b)1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量を投与する工程。特定の実施態様においては、ピルフェニドンは(a)の工程の前に一時的中止される。
【0020】
方法のいくつかの実施態様においては、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)必要に応じて約1週間または肝機能のバイオマーカーがグレード0に戻るまでの一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、最初の完全な目標用量で投与する。好ましくは、食物とともに、1日の合計用量は1日あたり3回投与される。
【0021】
方法のいくつかの実施態様においては、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される。(a)必要に応じて、1週間または肝機能のバイオマーカーがグレード0に戻るまでの一定期間、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、(b)必要に応じて約1週間の一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムピルフェニドンを投与する、そして、(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間、最初の完全な目標用量で投与する。好ましくは、食物とともに、1日の合計用量は1日あたり3回投与される。
【0022】
方法のいくつかの実施態様においては、ピルフェニドンはグレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーがグレード0に戻るまでの一定期間、ピルフェニドンを中止する、(b)必要に応じて約1週間の一定期間、1日あたり約800ミリグラムまたは約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、(c)必要に応じて約1週間の一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(d)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間、最初の完全な目標用量で投与する。好ましくは、食物とともに、1日の合計用量は1日あたり3回投与される。
【0023】
あるいは、ピルフェニドンは、例えば1日あたり800ミリグラムもしくは801ミリグラムまたは1日あたり1600ミリグラムもしくは1602ミリグラムの一貫した減少した用量で投与される。いくつかの実施態様において、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間、1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。いくつかの実施態様において、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまでの一定期間、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間、患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。
【0024】
他の実施態様では、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーがグレード0に戻るまでの一定期間、ピルフェニドンを中止する、(b)約1週間または肝機能のバイオマーカーが正常範囲内に入るまで、1日あたり約800ミリグラムまたは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドンを投与する、そして(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間、患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。さらに他の実施態様においては、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)必要に応じて、約1週間または肝機能のバイオマーカーがグレード0に戻るまでの一定期間、ピルフェニドンを中止する、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間の一定期間、患者に1日あたり約1600ミリグラムまたは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドンを投与する。
【0025】
本明細書中に記述される任意の実施態様において、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、約2週間、または肝機能のバイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内に戻るまで、またはすべてのバイオマーカーもしくは肝機能が正常範囲内に戻るまでの一定期間、任意の減少した用量のピルフェニドンは投与され得る。
【0026】
本明細書中に記述される任意の実施態様において、患者は線維症の病変組織を有し得る。そのような患者は、ピルフェニドン投与から利益を受けるであろう患者である。ある実施態様において、患者は肺線維症、特発性間質性肺炎、肺の自己免疫性疾患、良性前立腺肥大、冠梗塞もしくは心筋梗塞、心房性細動、脳梗塞、心筋線維症、筋骨格線維症、術後癒着、肝硬変、腎線維性疾患、線維性脈管疾患、強皮症、ヘルマンスキーパドラック症候群、神経線維腫症、アルツハイマー病、糖尿病性網膜症、および/または皮膚損傷に罹患している。ある実施態様において、患者はHIVに関わるリンパ腺線維症に罹患している。ある実施態様においては、患者は肺線維症、または特発性肺線維症に罹患している。他の実施態様においては、患者が特発性肺線維症に罹患しても、罹患していなくても、患者はピルフェニドン投与から利益を受けるであろう。
【0027】
いくつかの実施態様において、肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、ビリルビン、および/またはアルカリフォスファターゼである。γ−グルタミルトランスフェラーゼの上昇は、臨床的な肝障害は有さない、ピルフェニドンを投与される何人かの患者において観察されており、従って、γ−グルタミルトランスフェラーゼの上昇のみでは、必ずしも肝障害の兆候ではない。本明細書中に記述される任意の実施態様において、肝機能のバイオマーカーは、γ−グルタミルトランスフェラーゼを除外し得る。別の実施態様において、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、またはアルカリフォスファターゼの異常なレベルは、正常値上限(ULN)と比較して、約2.5倍増加したレベルよりも大きい。関連した実施態様においては、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、またはアルカリフォスファターゼの異常なレベルは、正常値上限(ULN)と比較して、約2.5倍から約5倍増加したレベルよりも大きい。すなわち「グレード2の肝機能の異常」である。いくつかの実施態様においては、ビリルビンの異常なレベルは、正常値上限(ULN)と比較して、約1.5倍から約3倍の増加したレベルよりも大きい。すなわち「グレード2の肝機能の異常」である。
【0028】
いくつかの実施態様において、肝機能のバイオマーカーの異常(例えば、アラニントランスアミナーゼの上昇および/またはアスパラギン酸トランスアミナーゼの上昇および/またはビリルビンの上昇)は、黄疸のような肝機能障害の臨床的な兆候を伴う。
【0029】
実施例とともに以下の詳細な説明を読めば、さらなる局面および利点は、当業者にとって明確である。方法は様々な形態の実施態様が可能であるが、開示は例示であるという理解で、以下の説明は、特定の実施態様を含み、そして本明細書中に記述される特定の実施態様に発明が限定されることを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(詳細な説明)
本発明は、ピルフェニドンで治療された後に、肝機能のバイオマーカーの異常なレベルを示した患者に、ピルフェニドンの治療に効果的な完全な用量を投与する方法を提供する。肝機能の異常は、薬物誘発性の肝障害(肝毒性)の指標であり得るので、この異常が肝障害を反映しているか、あるいは薬物を摂取し続ける間に経時的に解決する限定的な毒性を単に示しているかのいずれであるかを決定することが重要である。本発明によると、肝機能の異常を示す患者でさえ、必要に応じて短期間、ピルフェニドンを中止するか、ピルフェニドンを減少した用量で摂取した後、最初の完全な目標用量でピルフェニドンを摂取し続け得る。この投与養生法は、薬物の完全な目標用量での期間を最大限にする利点、および、それゆえに有益な治療効果の可能性を有する。
【0031】
患者はどんな病気にも罹患し得、病気の回復の徴候にピルフェニドン治療は有用であり得る。このような患者はピルフェニドン投与から利益を受ける患者である。これら病気は以下の病気を含むが、これらに限定されない:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺線維症(IPF)、慢性関節リウマチ;リウマチ様脊椎炎、変形性関節症;通風、他関節の状態;敗血症;敗血症性ショック;内毒素性ショック;グラム陰性敗血症;トキシックショック症候群;顔面筋疼痛症候群(myofacial pain syndrome)(MPS);細菌性赤痢;ぜん息;成人呼吸促進症候群;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;糸球体腎炎;強皮症;慢性甲状腺炎;グレーヴズ病;オーモンド病;自己免疫性胃炎;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性好中球減少症;血小板減少;膵線維症;肝線維症を含めた慢性活動性肝炎;急性および慢性腎疾患;腎線維症;過敏性腸管症候群;発熱(pyresis);再狭窄;大脳マラリア;脳卒中および虚血性障害;神経障害;アルツハイマー病;ハンティングトン病;パーキンソン病;急性および慢性疼痛;アレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎を含めたアレルギー;心肥大;慢性的心不全;急性冠症候群(coronary syndrome);悪液質;マラリア;らい病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋変性、滑液包炎;腱炎;腱滑膜炎;脱出椎間板症候群もしくは脱出椎間円板症候群(herniated, ruptured, or prolapsed intervertebral disk syndrome);大理石骨病;血栓症;珪肺症;肺びまん性肉腫(plumonary sarcosis);骨粗しょう症もしくは多発性骨髄腫関連骨障害のような骨吸収病;限定されないが転移性乳癌、結腸直腸癌、悪性黒色腫、胃癌、および非小細胞性肺癌を含む癌;対宿主性移植片反応;ならびに多発硬化症、狼瘡および線維筋痛症のような自己免疫疾患;AIDS、ならびに、帯状疱疹、単純疱疹IもしくはII、インフルエンザウイルス属、重症急性呼吸器症候群(SARS)、およびサイトメガロウイルスのような他のウイルス疾患;糖尿病。その上、方法の実施態様は、良性および悪性増殖両方を含めた増殖性疾患の治療に利用され得、次のような疾患を含む、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、カポージ肉腫、転移性黒色腫、多発性骨髄腫、転移性乳癌を含めた乳癌、結腸直腸癌;悪性黒色腫;胃癌;非小細胞性肺癌(NSCLC);骨転移など;神経筋疼痛、頭痛、癌による疼痛、歯痛、および関節炎による疼痛を含む疼痛障害;固形腫瘍脈管形成、眼新生血管形成、および小児血管腫をふくむ脈管形成障害;プロスタグランジンエンドペルオキサイドシンターゼ−2(水腫、発熱、痛覚脱失および疼痛を含む)に関わる状態を含む、シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼシグナル伝達に関連した状態;器官の低酸素;トロンビン誘導血小板凝集;原虫症(protozoal disease)。
【0032】
本発明の方法は、ピルフェニドンを受ける患者における肝機能の異常を同定する工程、および、減少した用量のピルフェニドンを受ける患者における肝機能のバイオマーカーを監視する工程を、必要に応じて含む。本明細書中で記載される任意の方法において、ASTおよび/またはALTは、例えばグレード2またはグレード3のレベルへ、上昇し得る。いくつかの実施態様において、その上昇はグレード1のレベルへの上昇である。あるいは、例えば、グレード1、グレード2もしくはグレード3のレベルへと、ASTおよびビリルビンは上昇し得るか、またはASTもしくはALPは上昇し得るか、またはASTおよびGGTは上昇し得るか、またはALTおよびビリルビンは上昇し得るか、またはALTおよびALPは上昇し得るか、またはALTおよびGGTは上昇し得るか、またはビリルビンおよびALPは上昇し得るか、またはビリルビンおよびGGTは上昇し得る。あるいは、例えば、ALTおよびASTおよびビリルビン、またはALTおよびASTおよびALPの、肝機能の3つのバイオマーカーが、グレード1、グレード2もしくはグレード3のレベルへと上昇し得る。明細書中に記載される任意の実施態様において、肝機能のバイオマーカーはγ−グルタミルトランスフェラーゼを除外し得る。
【0033】
いくつかの方法の実施態様において、ピルフェニドンは、ピルフェニドン投与後グレード2の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)少なくとも1日あたり約1600ミリグラムもしくは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドン、または約23mg/kg/日(例えば22から24mg/kg/日)、または1日あたり1400から1800ミリグラムのピルフェニドン、または20mg/kg/日から26mg/kg/日を一定期間投与する。いくつかの実施態様においては、工程(a)に引き続いて(b)最初の完全な目標用量を投与する。他の実施態様において、最初の完全な目標用量は、用量の一時的な減少または中止をなしに、続けさせる。いくつかの実施態様において、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間,5日間,6日間,約1週間,約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内に戻るまで、である。いくつかの実施態様においては、工程(b)は少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年、または2年、または3年、または4年、または5年、または7年、または10年、またはそれ以上の一定期間、行われる。必要に応じて、方法は、工程(a)および/または工程(b)の間、肝機能の1つかそれ以上のバイオマーカーを測定する工程を含む。
【0034】
いくつかの方法の実施態様において、ピルフェニドンは、グレード2の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)少なくとも1日あたり約800ミリグラムもしくは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドン、または約11mg/kg/日(例えば10から12mg/kg/日)、または1日あたり600から1000ミリグラム、または1日あたり700から900ミリグラム、または8mg/kg/日から15mg/kg/日を一定期間投与する、(b)少なくとも1日あたり約1600ミリグラムもしくは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドン、または約23mg/kg/日(例えば22から24mg/kg/日)、または1日あたり1400から1800ミリグラムのピルフェニドン、または20mg/kg/日から26mg/kg/日を一定期間投与する、そして、(c)最初の完全な目標用量を投与する。いくつかの実施態様において、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間,5日間,6日間,約1週間,約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間,5日間,6日間,約1週間,約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(c)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年、または2年、または3年、または4年、または5年、または7年、または10年、またはそれ以上の一定期間、行われる。必要に応じて、方法は、工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)の間、肝機能の1つかそれ以上のバイオマーカーを測定する工程を含む。
【0035】
いくつかの方法の実施態様において、ピルフェニドンは、グレード2の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)一定期間、ピルフェニドンを中止する、(b)少なくとも1日あたり約800ミリグラムもしくは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドン、または約11mg/kg/日(例えば10から12mg/kg/日)、または1日あたり600から1000ミリグラム、または1日あたり700から900ミリグラム、または8mg/kg/日から15mg/kg/日を一定期間投与する、(c)少なくとも1日あたり約1600ミリグラムもしくは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドン、または約23mg/kg/日(例えば22から24mg/kg/日)、または1日あたり1400から1800ミリグラムのピルフェニドン、または20mg/kg/日から26mg/kg/日を一定期間投与する、そして(d)最初の完全な目標用量を投与する。いくつかの実施態様において、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(c)の期間は2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(d)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の一定期間行われる。必要に応じて、方法は、工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)および/または工程(d)の間、肝機能の1つまたはそれ以上のバイオマーカーを測定する工程を含む。
【0036】
いくつかの方法の実施態様において、ピルフェニドンはグレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)少なくとも1日あたり約1600ミリグラムもしくは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドン、または約23mg/kg/日(例えば22から24mg/kg/日)、または1日あたり1400から1800ミリグラムのピルフェニドン、または20mg/kg/日から26mg/kg/日を一定期間投与する、そして(b)最初の完全な目標用量を投与する。いくつかの実施態様において、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(b)は少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の一定期間行われる。必要に応じて、方法は、工程(a)および/または(b)の間、1つもしくはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程を含む。
【0037】
いくつかの方法の実施態様において、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)少なくとも1日あたり約800ミリグラムもしくは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドン、または約11mg/kg/日(例えば10から12mg/kg/日)、または1日あたり600から1000ミリグラム、または1日あたり700から900ミリグラム、または8mg/kg/日から15mg/kg/日を一定期間投与する、(b)少なくとも1日あたり約1600ミリグラムもしくは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドン、または約23mg/kg/日(例えば22から24mg/kg/日)、または1日あたり1400から1800ミリグラムのピルフェニドン、または20mg/kg/日から26mg/kg/日を一定期間投与する、そして(c)最初の完全な目標用量を投与する。いくつかの実施態様において、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(c)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の一定期間行われる。必要に応じて、方法は工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)の間、1つもしくはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程を含む。
【0038】
いくつかの方法の実施態様において、ピルフェニドンは、グレード1の肝機能の異常を示す患者に、次のとおりに投与される:(a)一定期間、ピルフェニドンを中止する、(b)少なくとも1日あたり約800ミリグラムもしくは1日あたり約801ミリグラムのピルフェニドン、または約11mg/kg/日(例えば10から12mg/kg/日)、または1日あたり600から1000ミリグラム、または1日あたり700から900ミリグラム、または8mg/kg/日から15mg/kg/日を一定期間投与する、(c)少なくとも1日あたり約1600ミリグラムもしくは1日あたり約1602ミリグラムのピルフェニドン、または約23mg/kg/日(例えば22から24mg/kg/日)、または1日あたり1400から1800ミリグラムのピルフェニドン、または20mg/kg/日から26mg/kg/日を一定期間投与する、そして(d)最初の完全な目標用量を投与する。いくつかの実施態様において、工程(a)の期間は2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(c)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月、または少なくとも1つの肝機能のバイオマーカーのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能の全てのバイオマーカーが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、である。いくつかの実施態様において、工程(d)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間もしくは1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の一定期間行われる。必要に応じて、方法は、工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)および/または工程(d)の間、1つもしくはそれ以上の肝機能のバイオマーカーを測定する工程を含む。
【0039】
ピルフェニドンは錠剤もしくはカプセル剤の形または任意の他の経口投与の形でも提供され得、典型的に、経口投与として処方されている。典型的なカプセル剤の製法は、WO
2007/038315 (国際出願番号第PCT/US2006/037057号)に記述されている。
【0040】
ピルフェニドン治療は、以下を含む有害効果と関連し得る、光感受性発疹、食欲不振(食欲減少)、胃の不快感、吐き気、胸焼け、嗜眠状態(傾眠)、疲労、上気道感染、発熱、陽性の尿潜血、C反応性蛋白(CRP)の上昇、体重減少、頭痛、便秘および倦怠感である。肝機能の異常はまた、ピルフェニドンを受ける患者における有害効果(AE)として生じ得る。ピルフェニドンを受ける前に、患者の肝機能のベースラインは、一般的には、正常であり得る。肝機能は、肝機能のバイオマーカーを測定する血液の化学的試験のような、当該分野において公知の様々な手段によって評価されている。肝機能のバイオマーカーの例は、限定されないが、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ビリルビン、アルカリホスファターゼ(ALP)およびγ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)が挙げられる。
【0041】
血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)とも呼ばれるアラニントランスアミナーゼ(ALT)は、アラニンからα−ケトグルタル酸へのアミノ基転位を触媒し、ピルビン酸およびグルタミン酸を生成する。肝臓が損傷すると、損傷したまたは壊死した肝細胞から血液中へALTが漏れることに起因して、血液中のALTのレベルは上昇し得る。
【0042】
血清グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOTもしくはGOT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)とも呼ばれるアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)は、アスパラギン酸からα−ケトグルタル酸へのアミノ基転位を触媒し、オキサロ酢酸およびグルタミン酸を生成する。ASTは肝損傷に応答して増加し得る。ASTの上昇はまた、赤血球、心筋、骨格筋、腎組織、および脳組織を含む他の供給源への損傷に起因し得る。AST対ALTの割合は肝損傷のバイオマーカーとして用いられ得る。
【0043】
ビリルビンは、肝臓によって身体から排除されるヘムの異化代謝産物である。肝細胞によるビリルビンのグルクロン酸への結合は、身体から迅速に排除される水溶性産物である直接型ビリルビンを産出する。間接型ビリルビンは結合せず、直接型および間接型ビリルビンの合計は、総ビリルビンを構成する。総ビリルビンの上昇は肝障害の指標となり得る。
【0044】
アルカリホスファターゼ(ALP)は、様々な分子からのリン酸基を加水分解し、肝臓の胆管を裏打ちしている細胞中に存在している。血漿におけるALPレベルは肝損傷に応答して上昇し得、パジェット病に罹患している成長期の子どもおよび高齢者において、より高くなる。しかしながら、ALPレベルの上昇は、通例、胆樹病(biliary tree disease)を反映する。
【0045】
肝機能の異常の有害効果のグレードとは、表1で提供される修正された共通毒性基準(Common Toxicity Criteria;CTC)によって、本明細書中において定義される。National Cancer Instituteによって2006年8月9日に刊行されたthe Common Terminology Criteria for Adverse Events v3.0(CTCAE)を参照、これは本明細書中において全体が参考として援用されている。
【0046】
【表1】

肝機能の様々な指標についてのULNは、使用されるアッセイ、患者の人数、および具体的なバイオマーカーの値のそれぞれの試験所ごとの正常範囲によって決まるが、医師によって容易に決定し得る。健康な成人した人々の正常範囲の例示的な値を、下記の表2に提示している。Cecil Textbook of Medicine, pp. 2317−2341, W.B. Saunders & Co. (1985)を参照。
【0047】
【表2】

グレード0のレベルはバイオマーカーの正常範囲内(WNL)のレベルによって特徴づけられる。本明細書中において使用される「正常な」肝機能とは、グレード0の有害効果である。本明細書中において使用される「異常な」肝機能とは、グレード1およびそれ以上の有害効果である。
【0048】
「グレード1の肝機能の異常」は、ULNよりも大きく、かつ、ULNの2.5倍以下の、ALT、AST、ALPまたはGGTの上昇が挙げられる。グレード1の肝機能の異常はまた、ULNよりも大きく、かつ、ULNの1.5倍以下の、ビリルビンのレベルの上昇が挙げられる。
【0049】
「グレード2の肝機能の異常」は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、またはγ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)における、正常範囲の上限値(ULN)の2.5倍よりも大きく、かつ、5倍以下の上昇が挙げられる。グレード2の肝機能の異常はまた、ULNの1.5倍よりも大きく、かつ、3倍以下のビリルビンのレベルの上昇が挙げられる。
【0050】
「グレード3の肝機能の異常」は、ULNの5倍よりも大きく、かつ、20倍以下の、ALT、AST、ALPもしくはGGTの上昇が挙げられる。グレード3の肝機能の異常はまた、ULNの3倍よりも大きく、かつ、10倍以下のビリルビンのレベルの上昇が挙げられる。
【0051】
「グレード4の肝機能の異常」は、ULNの20倍よりも大きいALT、AST、ALPまたはGGTの上昇が挙げられる。グレード4の肝機能の異常はまた、ULNの10倍よりも大きいビリルビンのレベルの上昇が挙げられる。
【0052】
本開示は、特発性肺線維症に罹患し、完全な目標用量のピルフェニドンを受ける患者を治療する方法であって、完全な目標用量は、1日あたり2400または2403ミリグラムのピルフェニドンである方法を提供する。この方法に従って、肝機能の異常を有する患者は第二の用量のピルフェニドンを投与され、ここで、第二の用量は、肝機能が正常範囲になるまでの1日あたり1600または1602ミリグラムのピルフェニドンであり、引き続いて1日あたり2400または2403ミリグラムの完全な目標用量のピルフェニドンを患者に投与する。
【0053】
本開示はまた、ピルフェニドン投与後、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーにおいてグレード1の異常を示す患者の治療方法を提供する。その方法は、患者に1日あたり2400ミリグラムもしくは1日あたり2403ミリグラムの用量のピルフェニドンを投与する工程、または、患者に1日あたり1600ミリグラムもしくは1日あたり1602ミリグラムの用量でピルフェニドンを投与する工程を含む。好ましくは、患者は特発性肺線維症の治療のためにピルフェニドンを受け得る。または、患者はピルフェニドン投与が有益であり得る状態に罹り得る。必要に応じて、患者は一定期間減少した用量を受けるか、または、治療を中止し得、そして次にピルフェニドンの投与を再び開始し得る。
【0054】
本明細書中において開示される方法は、以下のような実施態様を含むことを意図され、その実施態様としては、そうでないと言明されない限り、本明細書中にさらに記述される、さらなる任意の構成要素、特徴、および工程(実施例に記述される実施態様を含む)のひとつまたはそれ以上の任意の組み合わせを含んでいる。
【0055】
範囲は、本明細書中で、「約」もしくは「おおよそ」のある特定の値から、および/または、「約」もしくは「おおよそ」の別の特定の値へ、として表現され得る。このような範囲の表現をするとき、別の実施態様は、そのある特定の値から、および/または、もう一方の特定の値へ、を含む。同様に、上記の「約」を用いることによって、値は近似値として表現される場合、その特定の値は別の実施態様を形作ると理解される。
【0056】
本発明はピルフェニドンを医薬として提供するということが理解され、医薬の投与パターンは、本明細書中で記述される任意の治療方法に従った投与を含有する。
【0057】
本発明は、特発性肺線維症を治療している患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者にピルフェニドンを投与するという本発明の方法に関して、上記の任意の治療養生法に従って、特発性肺線維症に罹患している患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者の治療に用いるピルフェニドンを提供することが理解される。ピルフェニドンは、そのような治療養生法に従って、特発性肺線維症に罹患している患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者の治療に使用するために、パッケージがされ、そして与えられる。ピルフェニドンは上記の治療養生法に従って患者に投与される。特発性肺線維症の治療をする患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者にピルフェニドンを投与するという本発明の方法に関して、上記に記述されたように、患者は、ピルフェニドン投与後の肝機能のバイオマーカーの異常を示す患者である。
【0058】
特に、本発明は、特発性肺線維症に罹患している患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者の治療に用いるピルフェニドンを含み、前述の患者はピルフェニドン投与後、ひとつまたはそれ以上の肝機能のバイオマーカーにおいてグレード1またはグレード2の異常を示した患者であって、前述の患者は1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量のピルフェニドンを投与される。必要に応じて、1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量のピルフェニドンの投与前に、前述の患者は一定期間1日あたり2400ミリグラムよりも低い用量のピルフェニドンを投与される。
【0059】
本発明は、任意の方法に関して、上記の任意の治療養生法に従って、特発性肺線維症に罹患している患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者の治療のための医薬の製造における、ピルフェニドンの使用方法を提供することが理解される。本発明のこの局面に従って製造された本医薬は、このような治療養生法に従って、特発性肺線維症に罹患している患者またはピルフェニドンを投与から利益を得る患者の治療において、使用するためである。そのように製造される本医薬は、上記の治療養生法に従って、患者に投与される。特発性肺線維症を治療する患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者にピルフェニドンを投与するという本発明の方法に関して、上記に記述したように、患者は、ピルフェニドン投与後の肝機能のバイオマーカーの異常を示す患者である。
【0060】
特に、本発明は、特発性肺線維症に罹患している患者またはピルフェニドン投与から利益を得る患者の治療のための医薬の製造における、ピルフェニドンの使用方法を含み、前述の患者は、ピルフェニドン投与後、肝機能のひとつまたはそれ以上のバイオマーカーにおいてグレード1またはグレード2の異常を示した患者であって、ここで前述の患者は1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量のピルフェニドンを投与される。必要に応じて、1日あたり2400ミリグラムまたは1日あたり2403ミリグラムの用量のピルフェニドン投与前に、前述の患者は一定期間、1日あたり2400ミリグラムよりも低い用量のピルフェニドンを投与される。
【0061】
特発性肺線維症に罹患している患者の治療に用いるピルフェニドンに関連した本発明の局面に関して、そして、特発性肺線維症に罹患している患者の治療のための医薬の製造におけるピルフェニドンの使用方法に関連した本発明の局面に関して、特発性肺線維症に罹患している患者の治療のためにピルフェニドンを投与する方法に関連する本発明の局面の好ましい実施態様に関して表現される好ましい選択は、同様の様式で適用される。同様に、実施例は、特発性肺線維症に罹患する患者の治療に使用するピルフェニドン、特発性肺線維症に罹患する患者の治療のための医薬の製造におけるピルフェニドンの使用方法、および、特発性肺線維症を治療する患者にピルフェニドンを投与する方法に関連する。
【実施例】
【0062】
以下の実施例は、例示のために提供され、発明の範囲の限定を意図していない。
【0063】
実施例1
ピルフェニドン服用養生法
患者のピルフェニドン治療は、完全な維持量に達するまでの15日の期間以上、段階的に増加していく服用量のピルフェニドンを受けることによって始まる。具体的には、1日目から7日目は、患者は一日に三回、267ミリグラムのピルフェニドンを1カプセル投与される。8日目から14日目の間は、患者は一日に三回、267ミリグラムのピルフェニドンを2カプセル受け取る。15日目から先は、患者は一日に三回、267ミリグラムのピルフェニドンを3カプセルを用いて治療される。ピルフェニドンは経口投与され、それぞれの用量は食品とともに服用すべきである。もし、患者が食べることができなかったら、その時は、ピルフェニドン用量はミルクもしくはジュース(グレープフルーツジュースは除く)とともに服用すべきである。
【0064】
ピルフェニドンは、光感受性反応を引き起こすことが知られている。したがって、治療期間の初めから終わりまで、患者は、日光阻止因子(SPF)が50である、少なくともUV−Aから保護するサンブロックを使用するべきである。その上、患者は、日光への曝露を最小限にする適切な衣服を着用するべきであり、可能ならば、光感受性反応を引き起こすことが知られている他の薬剤を避けるべきである。
【0065】
いったん完全な維持量に達すると、ピルフェニドンは、一日用量である2403ミリグラムのピルフェニドンを与えるために、一日三回患者に経口投与される。801ミリグラムのピルフェニドンの3用量のそれぞれは、おのおの267ミリグラムのピルフェニドンを含むカプセルを、3つ含んでいる。267ミリグラムのピルフェニドンのカプセル内容物は、ピルフェニドン(82.15%)、クロスカルメロースナトリウム(8.15%)、微結晶性セルロース(7.39%)、ポビジン(povidine)、USP、EP(1.85%)およびステアリン酸マグネシウム(0.46%)である。
【0066】
患者は、最大72週間まで、ピルフェニドンを用いて治療される。72週間以上長く治療される患者もいる。2,4,6,12週目およびその後治療期間の間12週間ごと(前後2週間は変動)に、72週間目および治療が完了した時は除いて、下記の段階で詳しく述べているように、患者を診察し、病歴を収集する。
【0067】
1.患者の病歴は、有害作用(AE)および重篤な有害作用(SAE)の検査、併用薬の使用、酸素の使用、入院、IPFの増悪もしくは急性呼吸代償障害(acute respiratory decompensation)、ならびに投薬を含め、収集される。
【0068】
2.患者は理学的検査を受け、生命徴候およびに体重が測定される。
【0069】
3.肺機能は気管支拡張薬の投与の前後に肺活量測定によって判定する。努力肺活量(FVC)および1秒あたりの努力呼気量(FEV1)が測定される。
【0070】
4.臨床検査は、血液学的手法、血清の化学的試験、出産能力をもつ女性に対しては妊娠検査、および顕微鏡検査を用いた尿検査を含めて実施する。
【0071】
5.質問票は the University of California at San Diego Shortness of Breath Questionnaire (UCSD SOBQ)、St. George’s Hospital Respiratory Questionnaire (SGRQ)、 およびthe World Health Organization Quality of Life
(WHO QOL)質問票を含めて施行される。72週間後は、UCSD SOBQおよびSGRQだけは、予定通り12週間ごとに得られる。
【0072】
さらに、12週目から始めて24週ごとに(例えば、12、36および60週目)、心電図(ECG)の測定結果が得られる。ECGのデータは、肺機能試験(PFT)の測定をするための気管支拡張薬の投与の前に得られる。36週目は、薬物動態学的(PK)データが選抜された患者から得られる。
【0073】
もし、患者が、ベースラインにおいてまたはピルフェニドン投与の開始後6週目までの(6週目も含む)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)もしくはビリルビンの、グレード1もしくはそれ以上の上昇を経験するならば、さらなる安全のために化学的血液検査を8週目と10週目の間に行われなければならない。
【0074】
実施例2
肝機能試験(LFT)のグレード2への上昇に応じたピルフェニドン服用養生法の変更
患者は実施例1に従ってピルフェニドンで治療される。ピルフェニドン治療の課程の間、肝機能試験の異常な結果を提示している患者は、用量変更をする候補者である。実施例1で述べたように、血清の化学的試験は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のような肝機能のバイオマーカーを含む様々なパラメーターを監視するために、治療期間中の予定された間隔において、実施される。
【0075】
患者がAST、ALTもしくはビリルビンのどれか1つがグレード2への増加を経験するならば、ピルフェニドン用量を1日3回267ミリグラムのカプセル1つに減少させる。減少させたピルフェニドン用量を受け取っている間は、患者はAST、ALTおよびビリルビンのさらなる監視を受ける。減少させたピルフェニドン用量は、少なくともAST、ALTおよびビリルビンがすべてグレード1、もしくは正常値内(グレード0)になるまで、続ける。減少させたピルフェニドン用量は、AST、ALTおよびビリルビンがグレード1もしくはグレード0に達した後、一定期間投与され得る。
【0076】
AST、ALTおよびビリルビンがグレード0もしくはグレード1となった後はいつでもピルフェニドン用量は、初期の用量の増加と一致した様式において、1日あたり最大6カプセルまで再度増加し得る。AST、ALTおよびビリルビンがグレード0もしくはグレード1となった後は、ピルフェニドン用量はまた、初期の用量の増加と一致した様式において、1日あたり最大9カプセルまで再度増加し得る。
【0077】
血清の化学的試験は、増加期間中の予定された間隔において必要に応じて行われ、例えば、毎週もしくは2週間毎、もしくは3週間毎、もしくは毎月で、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のような肝機能のバイオマーカーを含む様々なパラメーターを監視するために行われる。
【0078】
実施例3
肝機能試験(LFT)のグレード2への上昇に応じたピルフェニドン服用養生法の一時的な中止
患者は実施例1に従ってピルフェニドンで治療される。ピルフェニドン治療の課程の間、肝機能試験の異常な結果を提示している患者は、用量変更をする候補者である。実施例1で述べたように、血清の化学的試験は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のような肝機能のバイオマーカーを含む様々なパラメーターを監視するために、治療期間中の予定された間隔において、実施される。
【0079】
患者がAST、ALTもしくはビリルビンのどれか1つがグレード2への増加を経験するならば、ピルフェニドン用量を中止する。ピルフェニドン用量を中止した後、患者はAST、ALTおよびビリルビンのさらなる監視を受ける。ピルフェニドン用量は、少なくともAST、ALTおよびビリルビンがすべてグレード1、もしくは正常値内(グレード0)になるまで、中止する。ピルフェニドン用量は、AST、ALTおよびビリルビンがグレード1もしくはグレード0に達した後、一定期間中止され得る。
【0080】
AST、ALTおよびビリルビンがグレード0もしくはグレード1となった後、もし患者が14日もしくはそれ以上薬物を中止していたならば、ピルフェニドン用量は、初期の用量の増加と一致した様式において、1日あたり最大6もしくは9カプセルまで、すなわち1日当たり1602ミリグラムもしくは2403ミリグラムまで再度増加させる。あるいは、AST、ALTおよびビリルビンがグレード0もしくはグレード1となった後、ピルフェニドン用量は、1日あたり6カプセル、すなわち1日当たり1602ミリグラム、再度実施し、一週間後に1日当たり最大9カプセルに再度増加させる。
【0081】
血清の化学的試験は、増加期間中の予定された間隔において必要に応じて行われ、例えば、毎週もしくは2週間毎、もしくは毎月で、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のような肝機能のバイオマーカーを含む様々なパラメーターを監視するために行われる。
【0082】
実施例4
肝機能試験(LFT)のグレード2への上昇に応じたピルフェニドン服用養生法の1日あたり3回の2カプセル投与への変更
患者は実施例1に従ってピルフェニドンで治療される。ピルフェニドン治療の課程の間、肝機能試験の異常な結果を提示している患者は、用量変更をする候補者である。実施例1で述べたように、血清の化学的試験は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のような肝機能のバイオマーカーを含む様々なパラメーターを監視するために、治療期間中の予定された間隔において、実施される。
【0083】
もし患者がAST、ALTもしくはビリルビンのどれか1つのグレード2への増加を経験するならば、ピルフェニドン用量は、1日あたり3回、267ミリグラムのピルフェニドンを2カプセル、すなわち1日あたり1602ミリグラムに減少させる。減少させたピルフェニドン用量を受け取っている間、患者はAST、ALTおよびビリルビンのさらなる監視を受ける。減少させたピルフェニドン用量は、少なくともAST、ALTおよびビリルビンがすべてグレード1、もしくは正常値内(グレード0)になるまで、続ける。減少させたピルフェニドン用量は、AST、ALTおよびビリルビンがグレード1もしくはグレード0に達した後、一定期間投与され得る。
【0084】
1日あたり1602ミリグラムの治療の一週間後、もしAST、ALTおよびビリルビンがグレード0またはグレード1となったならば、ピルフェニドン用量は1日あたり最大9カプセル、すなわち2403ミリグラムまで再度増加し得る。
【0085】
実施例5
肝機能試験(LFT)のグレード1もしくはグレード2への上昇に応じてピルフェニドン服用養生法を変更しない
患者は実施例1に従ってピルフェニドンで治療された。ピルフェニドン治療の課程の間、何人かの患者は肝機能試験の異常な結果を提示した。実施例1で述べたように、血清の化学的試験は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ(ALP)およびガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)のような肝機能のバイオマーカーを含む様々なパラメーターを監視するために、治療期間中の予定された間隔において、実施された。
【0086】
もし患者がAST、ALTもしくはビリルビンのいずれか1つの、グレード1もしくはグレード2への増加を示したならば、ピルフェニドン用量を、何人かの患者では減少させなかった。患者は1日当たり2403ミリグラムの完全な目標用量を受け続けた。完全な目標用量を受ける間、患者はAST、ALT、ビリルビンレベルの監視をされた。
【0087】
実施例6
肝機能異常の発生と服用養生法の応答
肝機能におけるグレード1の異常
特発性肺線維症に罹患し、1日の合計用量が1日あたり2403ミリグラムになるように1日3回ピルフェニドンを受け取っている患者345名についての研究において、肝機能異常のベースラインを有さない49名の患者は、ピルフェニドン投薬後のASTまたはALTレベルにおけるグレード1への増加を示した。49名の患者のうち、肝機能試験がグレード1へ上昇した患者3名は、ASTまたはALTの増加という緊急の有害事象の治療を受けた。1人目の患者においては、試験における薬物用量を、51日目から602日目までの試験の参加の残りの期間の間、1日当たり1602ミリグラムに減少させ、グレード1であるASTまたはALT異常はグレード0に戻った。二人目の患者においては、試験における薬物用量を1日あたり1602ミリグラムまで減少させ、次に、試験の参加の残りの期間の間1日当たり2403ミリグラムまで増加し、ALTはグレード0に戻った。三人目の患者は試験における薬物用量を1日あたり801ミリグラムに減少させ、最終的には、ALTがグレード0に戻った時点で、1日あたり1602ミリグラムで試験を完了した。残りの患者(46名の患者)は用量変更を受けなかった。
【0088】
肝機能におけるグレード2の異常
15名の患者は1日当たり2403ミリグラムのピルフェニドン投与後、ASTおよび/またはALTレベルにおいて肝機能試験のグレード2の異常に発展した。15名の患者のうち、12名はASTまたはALTの増加あるいは肝炎という緊急の有害事象の治療が報告されていた。残り3名の患者の肝機能試験の上昇は、有害事象として記録されていなかった(下記で議論した)。
【0089】
12名の患者のうち、2名の患者は1日当たり2403ミリグラムの完全な1日用量でピルフェニドンの引き続きの投与を受けた。1名の患者の肝機能試験ではグレード0となった。他の患者は、脂肪症の病歴を有し、そして、ピルフェニドン治療前のグレード1の異常を有し、そして、肝機能試験の異常のためではなく、無関係な理由(発疹や下痢)のために用量を減少し、グレード1の上昇の状態で試験を終えた。
【0090】
2名の患者はピルフェニドンの一時的な用量減少もしくは一時的な中止をし、そして投与を再開し完全な用量に戻るまで段階的に増加させた。患者たちは正常な肝臓酵素を有して1日あたり2403ミリグラムの完全な用量で試験を完了した。
【0091】
一時的な薬物の中止後のある場合においては、7名の患者はピルフェニドン用量の一貫した減少を受けた。つまり、試験が完了するまで、3名の患者は1日当たり801ミリグラム受けており、4名の患者は1日当たり1602ミリグラム受けていた。1人の患者を除いて、より高い用量の投与の再開は、これら患者には試されなかった。投与が再開した患者は、1日当たり2403ミリグラムの完全な用量を受けたが、ALTレベルのグレード2への上昇の再発が原因で、用量を後に減少させた。7名の患者すべては、試験完了時グレード1の上昇を有した患者1名を除いて、トランスアミナーゼが消失した状態で試験が完了した。
【0092】
1人の患者は、ASTおよび/またはALTレベルの肝機能試験の異常が起因して、治療を中止した。この患者への用量は、はじめに1日あたり1602ミリグラムに減少し、次に中止し、そして次に1日あたり1602ミリグラムで再び開始した。この患者に対しては、しかしながら、治療は永久に中止した。なぜなら、肝機能試験において、ASTのグレード2への上昇はALTのグレード3への上昇と同時に生じていたからである。
【0093】
肝機能試験の増加が有害事象として記録されていなかった3名の患者のうち、1名はベースラインにおいてASTおよびALTがグレード1へ上昇し、最後に記録された評価においてASTのグレード1への上昇を経験した。この患者はASTおよび/またはALTレベルのグレード2への上昇後、用量変更を受けなかった。トランスアミナーゼがグレード2に上昇している2人目の患者は、急性の大脳動脈閉塞症のために一時的に治療を中止した。いったん用量が1日あたり2403ミリグラムに増加し戻ると、トランスアミナーゼレベルは正常に戻り、そして患者は、正常なトランスアミナーゼを有し、完全な用量で試験を完了した。三人目の患者は、422日目まで治療している間、肝機能試験の異常を有さず、次に、患者はIPFに起因した呼吸不全を伴って、ASTのグレード2への上昇およびALTのグレード1への上昇を経験した。試験における薬物は呼吸不全と同じ日に中止した。患者は呼吸不全が原因で434日に入院し439日に死亡した。
【0094】
肝機能におけるグレード3の異常
4名の患者は、ピルフェニドン投与後ASTおよび/またはALTレベルがグレード3の肝機能異常になり、患者ら全員は、ASTおよび/またはALTいずれかの増加という緊急の有害事象の治療を受けた。4名のうちの2名の患者は肝機能試験の上昇のために試験における薬品を中止した。両方の例でも、最後の記録でグレード2およびグレード3の異常を有しており、異常は解決しなかった。他2名の患者はスクリーニングおよび/またはベースラインにおいてグレード1の異常を有した。1人の患者は、肺移植のために中止したが、肺移植のときは、最後に記録された値がグレード1の異常を示していた。他の患者は試験における薬品を中断し(研究者の決定)、そして、その後の試験のための薬品を中止した(スポンサーの決定)。ASTおよびALTの上昇は最後に記録された値で正常になった。
【0095】
前述の記述は、明確な理解のみのために与えられ、前述の記載から不必要な限定が理解されるべきでない。発明の範囲内の変更は当業者にとっては明らかであり得るためである。方法は特定の実施形態を参照して記述されたが、当業者は、その方法に関連した作用を行う他の方法を利用し得ることを、容易に理解するだろう。
【0096】
この文書で引用されているあらゆる特許、刊行物、参考文献は、本明細書において完全に参考として援用される。本明細書における開示ならびに援用された特許、刊行物、および参考文献での間の不一致がある場合は、本明細書における開示が優先する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2012−193193(P2012−193193A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−152844(P2012−152844)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2011−535716(P2011−535716)の分割
【原出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(502191619)インターミューン, インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】