説明

異常原因推定方法、分析システム、情報管理サーバ装置

【課題】検査結果に異常が生じた場合に、各種の原因を正しく推定等でき、また、測定項目等による原因の場合や、流路等による原因の場合も含めて、原因を正しく推定等できる技術を提供する。
【解決手段】本分析システム及び異常原因推定方法では、情報管理サーバ(13)等により、検査に係わる、検体、装置、工程、機構、消耗品、測定項目、及び検査結果等の情報を統合管理し、検査結果の異常を検出した場合、異常の原因、当該原因に関係する装置、工程、機構、消耗品、測定項目、他の検体、等を特定して情報を抽出し、各装置(11,12)により算出する装置毎、工程毎の個別の推定値を、演算により統合することで、原因毎の推定値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常原因推定方法、分析システム、情報管理サーバ装置に関し、特に、臨床検査におけるこれらの方法、システム、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−279583号公報(特許文献1)の技術(分析システムの制度管理方法等)によれば、検査の各工程の機構状況と、精度管理情報に対し、論理演算と数値演算を施すことによって、検査結果の異常を導いた原因(装置、試薬)を切り分けて推定することができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−279583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
臨床検査業務では、早く正確に検査を行うことが求められている。例えば、血液や尿を検査する生化学検査では、検体が到着してから、30分から1時間以内に検査結果を報告することを目標としている。この検査業務において、検査結果に異常がある場合には、迅速に異常の原因を突き止め、原因に応じた対策を行う必要がある。
【0005】
検査結果の異常を導く原因は、(a)検査する対象の検体に関わる原因と、(b)検査で用いる試薬や洗浄液等(消耗品)に関わる原因と、(c)検査で用いる装置に関わる原因とがある。以下にその具体例を述べる。
【0006】
(1)患者の容態が急変した場合、検査結果が異常となる((a)検体の原因)。
【0007】
(2)緊急の検体を検査する場合、作業者が依頼を入力し、検体を分析装置へ投入する。そのため、検体の取り違い(検体を入れるラックの並び順の間違い等)が起こり、前回値と比較した際に検査結果が異常となる((a)検体の原因)。
【0008】
(3)更に、検査で用いる試薬の使用期限が切れていた場合、装置に不具合が無くとも、検査結果が異常となる((b)試薬等の原因)。
【0009】
(4)この他、分注機を吸引するポンプの圧力が低下した場合、吸引した試薬や洗浄液が分注機のノズル内に残ってしまい、汚染(コンタミ)が発生して検査結果が異常となる((c)装置の原因)。
【0010】
しかしながら、前述した臨床検査の現場では、各種の原因を突き止めるために、作業者が検査結果を確認するが、検査結果が定められた基準値に入っているかどうかしか分からない。そのため、従来技術では、前述した(a)検体、(b)試薬等(消耗品)、(c)装置、等のどれに起因する原因であるかを推定することは困難である。
【0011】
前記特許文献1等の従来技術では、検査の各工程の機構状況と精度管理情報を論理演算および数値演算することで、ある原因が異常な検査結果を導いているかどうかを判別しているに過ぎない。そのため、異常があった検体を検査するために使われた機構の情報だけを勘案して原因を突き止めることには限界があった。つまり、無関係な機構状況を推定時に含んでしまうため、全機構状況に対する異常な傾向を示した機構状況の割合などで推定すると、異常な機構状況の数に対して、正常な機構状況の数が相対的に増加してしまうため、異常かどうかの判別が困難となる。
【0012】
なお、特許文献1の技術では、各機構状況から得られる正常や異常に関する情報を論理演算や数値演算する具体的な方法は述べられていない。これに対し、例えば、ある原因が異常な検査結果を導いているかどうかを確かめるために、ある原因に関係する複数の機構状況について、全機構状況に対する異常な機構状況の割合として算出する方法が考えられる。
【0013】
ここで、上記検査の各工程の機構状況と精度管理情報を論理演算および数値演算するだけでは異常かどうか判別が困難となる場合(従来技術では推定が困難となる原因の場合)として、以下がある。即ち、(1)第1に、装置の工程内で使われる機構が測定項目に応じて複数存在し(測定項目に応じて異なる機構が選択的に使用される)、その一部の機構に問題が生じて異常を導くような原因(第1の原因:「機構原因」、「測定項目原因」などと称する)の場合がある。ここで、測定項目とは、大きく比色、免疫、電解質等に分類され、測定する物質が指定されるものである。(2)第2に、工程間の共通部を通じて、複数の工程にわたって広範囲かつ微量・少量に悪影響を与えることで異常を導くような原因(第2の原因:「共通部原因」などと称する)によって異常を生じた場合がある。以下にその具体例を述べる。
【0014】
(1)(第1の原因) 例えば電解質分析を行う工程の場合、分析するイオンによって、消耗品である測定用電極が異なる。即ち、測定項目(イオン)に応じて、使用(選択)される電極が異なる。当該測定用電極(消耗品)は、装置の工程のうちの一部の機構に関係付けられる。ところが、この測定用電極の劣化は、電極全体の経過日数等で管理されているに過ぎず、一つ一つの電極を定期的に劣化していないかどうか確認しているわけではない。そのため、どれか一つの電極が先に劣化した場合、その特定の電極を使う検体の検査項目に対してのみ検査結果が異常となり、他の電極を使った検査結果は正常となる。そのため、電解質分析を行う工程としては、異常が顕在化しないため、本原因を突き止めることが困難である。
【0015】
(2)(第2の原因) 試薬の取り違いや、試薬または洗浄液等の劣化によって、複数の検体が共通して用いる流路や反応セルといった共通部が汚染された場合、その汚染された共通部を複数の検体が共通して用いるため、その影響が複数の検体にわたって広範囲に及ぶ。ここで、流路とは、試薬や洗浄液等のボトルから分注機までのチューブ(管)や弁であり、反応セルは、検体と試薬を混合し反応させるための器である。これら流路や反応セルといった共通部は、分注や洗浄といった複数の工程で使用される。共通部の汚染の影響が大きい場合、検査結果や各工程の稼働状態を監視していた場合には原因を突き止めることができる。ところが、成分の似た試薬を取り違えていたり、洗浄液が劣化していたりする場合、影響範囲は広いものの、一つ一つの検体が受ける影響は小さいため、検査結果や各工程の稼働状態を一つ一つ監視していたとしても、本原因を突き止めることが困難である。
【0016】
前記特許文献1等の従来技術では、前記(a)〜(c)の原因を分けて推定することは困難であり、特に、前記第1、第2の原因の場合については、推定等ができない。
【0017】
本発明の主な目的は、検査結果が異常となった原因を推定する際に、前述の各種の原因((a)〜(c)等)を、分析により正しく、精度良く、推定、通知等ができる技術を提供することである。詳しくは、前述した従来技術では推定等が困難な場合である、第1の原因(測定項目原因、機構原因)の場合や、第2の原因(共通部原因)の場合についても、正しく、精度良く、推定、通知等ができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。本発明の代表的な実施の形態は、臨床検査に関する分析システム、異常原因推定方法などの技術であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0019】
本形態では、検査結果に関する異常原因推定の際、検査で使用された装置、工程、機構、消耗品等に関する異常・正常に関する複数の情報を勘案することにより、前述の各種の原因((a)検体、(b)消耗品や機構、(c)装置など)を分けて推定しつつ、前述の従来技術では推定が困難であった原因(第1、第2の原因)の場合であっても、正しく、精度良く推定、通知等ができる手段として以下を備える。
【0020】
本形態の異常原因推定方法は、例えば、検査の処理に際し、情報管理サーバ等により、分析システムを構成する前処理装置及び分析装置等の各装置について、例えば処理工程単位に、検体の情報(検体の識別子等)、処理時刻の情報、装置の情報(装置名等)、工程の情報(工程名等)、装置・工程内の機構の情報、装置・工程内の消耗品の情報、工程の測定項目の情報、及び検査結果の情報、といったこれらの一部またはすべてを含んで成る履歴情報などの情報を管理(生成及び蓄積等)する処理ステップを有する。
【0021】
また本方法は、情報管理サーバ等により、例えば一連の検査の処理が終了する度に、履歴情報に含まれる検査結果を監視し、予め定められた許容範囲の値と照合することで異常の検出の判定をする処理ステップを有する。
【0022】
また本方法は、情報管理サーバ等により、過去に発生した異常と、当該異常の原因がどの装置や工程で生じたかを表す情報に基づいて、当該原因が関与する装置の工程等を特定する処理ステップを有する。
【0023】
また本方法は、情報管理サーバ等により、当該特定した装置の工程で、異常が検出された検体と近い時間帯に処理された他の検体についても悪影響が及んでいる可能性を考慮して、当該他の検体を含む各検体の履歴情報を抽出する処理ステップを有する。
【0024】
また本方法は、情報管理サーバ等により、異常の原因が、工程の測定項目によって依存するかを判断し、依存する場合には、抽出した履歴情報のうち、異常が検出された検体と同じ測定項目で処理された他の検体を選別する処理ステップを有する。
【0025】
また本方法は、情報管理サーバ及び各装置等により、装置の工程毎に抽出された履歴情報を、予め設定された異常パターン情報との照合により、原因に関する装置毎、工程毎の個別の推定値を算出し、個別の推定値を数値演算により統合することで、原因毎の推定値を算出する処理ステップを有する。
【0026】
また本方法は、上記原因毎の推定値による推定された原因、及びその対応策の情報等を含む情報を、作業者用の表示端末等に出力し提示する処理ステップと、当該対応策が当該作業者により対応が不可能と判断した場合に、通信ネットワークを介してサービスセンタへ通知する処理ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0027】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。本発明によれば、検査結果が異常となった原因を推定する際に、前述の各種の原因を、分析により正しく、精度良く、推定、通知等ができる。詳しくは、前述した従来技術では推定等が困難な場合である、第1の原因の場合や、第2の原因の場合についても、正しく、精度良く、推定、通知等ができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態における分析システムの構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における前処理装置のハードウェア及びソフトウェア(機能)の構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態における分析装置のハードウェア及びソフトウェア(機能)の構成例を示す図である。
【図4】本実施の形態における情報管理サーバ及び表示端末のハードウェア及びソフトウェア(機能)の構成例を示す図である。
【図5】本実施の形態における分析システムの各処理部及び情報データ等の関係を説明するための図である。
【図6】(a)〜(d)は、本実施の形態における履歴情報の構造(その1)を示す図である。
【図7】(a),(b)は、本実施の形態における履歴情報の構造(その2)を示す図である。
【図8】(a),(b)は、本実施の形態における結果異常パターン情報、工程異常パターン情報の構造を示す図である。
【図9】(a),(b)は、本実施の形態における対応策情報、工程特定情報の構造を示す図である。
【図10】本実施の形態における処理フロー全体を示す図である。
【図11】本実施の形態における異常原因推定処理フローを示す図である。
【図12】本実施の形態における異常原因推定の具体例(その1)(第1の原因の場合)を説明するための図である。
【図13】本実施の形態における異常原因推定の具体例(その2)(第2の原因の場合)を説明するための図である。
【図14】本実施の形態における、結果(推定原因等)を表示するGUI(画面)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態(異常原因推定方法および分析システム)を図面(図1〜図14)に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0030】
<概要>
本実施の形態の概要(特徴)は以下である(符号は図5等を参照)。臨床検査(検体の検査処理)に際し、本分析システム10を構成する前処理装置11及び分析装置12を含む各装置は、履歴収集部(614,624)により、工程(処理工程)毎の機構(機器)や消耗品の情報を検体毎に履歴情報(D1)として蓄積し、情報管理サーバ13は、それらの情報を履歴収集部634により収集して蓄積する。情報管理サーバ13の監視部639は、一連の検査の処理が終了する度(例えば処理工程単位)に、収集した履歴情報(D1)に含まれる検査結果における異常を、パターン等(結果異常パターンDB632)の照合により判定することで検出する。異常を検出した場合、その原因を推定する処理が実行される。統合推定値算出部635は、結果に異常があった検体の情報、及び当該異常に対して考えられる、可能性がある原因(例えば測定用電極の劣化、試薬流路汚染など)の情報などをもとに、まず各装置の工程毎推定値を算出させる。
【0031】
各装置の工程毎推定値算出部(615,625)は、結果に異常があった検体が処理された工程のうち、原因が関与する装置の工程を工程特定情報をもとに特定し、当該検体と近い時間帯に処理された他の検体の履歴情報(D1)も抽出して用いる。そして、これら検体の履歴情報(D1)が、予め設定された異常パターン等(工程毎異常パターンDB612)に合致しているかの照合をもとに、工程毎の推定値を算出する。
【0032】
統合推定値算出部635は、上記各装置の工程毎推定値を演算により統合することで、原因毎の推定値を算出する。即ち異常の原因を推定する。推定した結果については、UI部や通知部636により、表示端末14等へ表示したり、作業者やサービスセンタ40へ通知したりする。
【0033】
上記により、本分析システム10では、装置の処理工程で測定項目(機構)による異常の発生傾向が異なる場合(第1の原因の場合)や、試薬流路汚染のような共通部の工程を通る複数の検体に渡って悪影響を与える場合(第2の原因の場合)も含めて、異常原因の推定を行うことができる。
【0034】
<用語等>
「装置」に対しては「工程(処理工程)」が関係付けられ、更に「装置」及び「工程」に対しては「機構」が関係付けられる。「機構」は、例えばロボットアームや分注機など各種があり、各機構は、所定の物かつ処理ステップ(「工程」よりも詳細な工程)に関係付けられる。また「工程」や「機構」に対しては、1つ以上の「測定項目(分析項目)」が関係付けられる。
【0035】
装置(機構)の工程(処理ステップ)に対しては、1つ以上の「消耗品」(消耗や劣化などの性質を持つ物)が関係付けられる。「消耗品」としては、当該装置(機構)に対して適用される、試薬等の化学物質や、電極等の物品などがある。工程の測定項目の違いは、適用される機構や消耗品などの違いと関係付けられる。
【0036】
「共通部」となるものとしては、工程、流路、反応セル、分注機などがある。共通部となる工程は、検査シーケンス(過程)全体のうちの1つの工程または複数の工程の連なりなどである。流路は、工程内または工程間をつなぐ路であり、例えば試薬等が適用される路である。反応セルは、試薬を入れる器など、工程で使用されるものである。分注機は、前処理装置11での分注機と、分析装置12での分注機とがある。
【0037】
<システム>
図1において、本実施の形態における異常原因推定方法を適用した検体(血液)の分析システムの全体構成例を示している。本システムは、例えば病院に設置され、臨床検査の分析、及び異常検出時の異常原因推定の機能を備える。主となる分析システム10は、前処理装置11、分析装置12、情報管理サーバ13、表示端末14等から構成される。これらの装置は、各装置間でデータの送受信を相互に可能とする装置ネットワーク90(LAN等)を介して接続される。検査・分析等を行う作業者は例えば表示端末14を操作する。システムの管理者は例えば情報管理サーバ13等を管理する。
【0038】
情報管理サーバ13は、病院内のネットワークを介して電子カルテシステム20と接続される。電子カルテシステム20は、病院全体の検査を取りまとめ、患者の検査依頼や結果を統合処理する。また、情報管理サーバ13は、インターネットもしくは専用回線等の通信ネットワーク30を介して、製品サポート、保守管理等を行うサービスセンタ40に接続される。なお、前処理装置11、分析装置12、表示端末14等の装置の台数は、限定されず、臨床検査の規模に応じて、それぞれが1台であっても複数台であってもよい。
【0039】
検査機能自体を構成する装置としては、大きく、前処理装置11(1つ以上)と、分析装置12(1つ以上)とがある。前処理装置11及び分析装置12は、それぞれ、1つ以上の工程が関係付けられる。前処理装置11が備える複数のモジュール(220等)は、それぞれ、所定の工程(1つ以上の機構)に関係付けられる。分析装置12が備える複数のモジュール(320等)は、それぞれ、所定の工程(1つ以上)に関係付けられる。各工程は、1つ以上の測定項目に関係付けられる。なお、各装置の各モジュール内には、アクチュエータ(225等)に接続されるハードウェア(例えばロボットアーム等)を有する。当該ハードウェアは装置内部の接続としても外部接続としてもよい。
【0040】
なお、本分析システム10は、上記構成例に限らず、例えば、装置ネットワーク90を介して、検体を冷蔵保管しておくストッカといった後処理装置や、作業者が手作業で扱う分析作業機器などが接続されていても構わない。また、本分析システム10の構成要素の各装置は、装置ネットワーク90を介さずに直接接続されていても構わない。
【0041】
<前処理装置>
図2を用いて、前処理装置11のハードウェア構成例を詳しく説明する。前処理装置11は、管理モジュール210、遠心分離モジュール220、ラベラモジュール230、分注モジュール240、及び搬送モジュール250等から構成される。管理モジュール210と、遠心分離モジュール220等の各モジュールとは、前処理装置11の内部ネットワーク91を介して接続される。
【0042】
なお、本実施の形態では、前処理(それを構成する処理ステップ(機構))として、遠心分離、ラベラ(検体へのバーコード付与を行うラベリング)、分注(依頼に応じて検体をカップやチップに分ける分注)、及び搬送(前処理後の検体を分析装置12に運ぶ搬送等)を、モジュールとして記載しているが、これに限らず、例えば仕分け、一次退避などの他のモジュールを追加してもよい。
【0043】
管理モジュール210は、管理CPU211に結合された、装置間通信I/F212(装置ネットワーク90に接続し、装置間通信するためのI/F(インタフェース))と、外部記憶装置213(HDDなどの二次記憶装置)と、メモリ214(RAMなどの一次記憶装置)と、キーボート215(入力装置)と、タッチディスプレイ216(入出力装置)と、内部通信I/F2017(内部ネットワーク91に接続し、各モジュールと通信するためのI/F)とを有して構成される。
【0044】
遠心分離モジュール220は、遠心分離制御CPU221に結合された、外部記憶装置222(フラッシュメモリやSDカードなどの二次記憶装置)と、メモリ223(RAMなどの一次記憶装置)と、内部通信I/F224(内部ネットワーク91に接続するためのI/F)と、遠心分離を行うためのアクチュエータ225及びセンサ226とを有して構成される。
【0045】
同様に、ラベラモジュール230は、ラベラ制御CPU231に結合された、外部記憶装置232、メモリ233、内部通信I/F234、ラベリングを行うためのアクチュエータ235及びセンサ236等を有して構成される。
【0046】
同様に、分注モジュール240は、分注制御CPU241に結合された、外部記憶装置242、メモリ243、内部通信I/F244、分注を行うためのアクチュエータ245及びセンサ246等を有して構成される。
【0047】
同様に、搬送モジュール250は、搬送制御CPU251に結合された、外部記憶装置252、メモリ253、内部通信I/F254、搬送を行うためのアクチュエータ255及びセンサ256等を有して構成される。
【0048】
<分析装置>
図3を用いて、分析装置12のハードウェア構成例を詳しく説明する。分析装置11は、管理モジュール310、比色分析モジュール320、電解質分析モジュール330、免疫分析モジュール340、及び搬送モジュール350等から構成される。管理モジュール310と、比色分析モジュール320等の各モジュールとは、分析装置12の内部ネットワーク92を介して接続される。
【0049】
なお、本実施の形態では、分析処理(それを構成する処理ステップ(機構))として、比色分析、電解質分析、免疫分析、及び搬送処理(前処理装置11から運ばれた検体を各分析モジュールに配送する搬送処理)を、モジュールとして記載しているが、これに限らず、その他の分析、退避用のモジュールを追加してもよい。
【0050】
管理モジュール310は、管理CPU311に結合された、装置間通信I/F312(装置ネットワーク90に接続するためのI/F)と、外部記憶装置313と、メモリ314と、キーボート315と、タッチディスプレイ316と、内部通信I/F317(分析装置12の内部ネットワーク92に接続するためのI/F)とを有して構成される。
【0051】
比色分析モジュール320は、比色分析制御CPU321に結合された、外部記憶装置322と、メモリ323と、内部通信I/F324(内部ネットワーク92に接続するためのI/F)と、比色分析を行うためのアクチュエータ325及びセンサ326とを有して構成される。
【0052】
同様に、電解質分析モジュール330は、電解質分析制御CPU331に結合された、外部記憶装置332、メモリ333、内部通信I/F334、電解質分析を行うためのアクチュエータ335及びセンサ336等を有して構成される。
【0053】
同様に、免疫分析モジュール340は、比色分析制御CPU341に結合された、外部記憶装置342、メモリ343、内部通信I/F344、免疫分析を行うためのアクチュエータ345及びセンサ346等を有して構成される。
【0054】
同様に、搬送モジュール350は、搬送制御CPU351に結合された、外部記憶装置352、メモリ353、内部通信I/F354、搬送を行うためのアクチュエータ355及びセンサ356等を有して構成される。
【0055】
なお、上記前処理装置11や分析装置12に関しては、臨床検査の規模に応じて、各モジュールが1つでも複数でもよい。また、1つのモジュールが複数の機能(処理ステップ(機構)等)を有していてもよい。また、図示した以外の他の入出力機器、例えばマウスなどが接続されていても構わない。また、各アクチュエータは、対応する駆動対象のハードウェア(例えばロボットアーム等)を接続しているが、図示省略している。また、各センサは、対応する測定対象のハードウェア等を有するが、図示省略している。
【0056】
<情報管理サーバ及び表示端末>
図4を用いて、情報管理サーバ13及び表示端末14のハードウェア構成例を示す。情報管理サーバ13は、CPU411に結合された、外部通信I/F412(電子カルテシステム20との接続、及び、通信ネットワーク30を介したサポートセンタ40等との接続を可能とするI/F)と、外部記憶装置413(HDDなどの二次記憶装置)と、メモリ414(RAMなどの一次記憶装置)と、キーボード415及びマウス416(入力装置)と、ディスプレイ417(出力装置)と、装置間通信I/F418(装置ネットワーク90に接続するI/F)とを有して構成される。
【0057】
図4を用いて、表示端末14のハードウェア構成例を示す。表示端末14は、CPU511に結合された、外部記憶装置512と、メモリ513と、キーボード514及びマウス515と、ディスプレイ516と、装置間通信I/F517とを有して構成される。
【0058】
<分析システム(機能)>
次に、図2〜図5を用いて、本分析システム10の機能(処理部)の構成例を詳しく説明する。図5には、本システムの各処理部や情報データ等(図2〜図4)の関係を一部示している。
【0059】
図2で、前処理装置11は、前処理部613、履歴収集部614、工程毎推定値算出部615、UI部616(UI:ユーザインタフェース)、通信部617、装置毎履歴情報DB611(DB:データベース)、工程毎異常パターンDB612等を有して成る。これらの各部は、管理モジュール210等の各モジュールのCPU(211,221等)が、各メモリ(214,223等)または外部記憶装置(213,222等)に格納されたプログラムを実行し、各ハードウェアを制御すること等によって実現される(図2中では代表として管理モジュール210による処理部として図示している)。
【0060】
前処理部613は、検査依頼に応じてハードウェア(アクチュエータ等)を制御し、検体に前処理(例えば遠心分離、ラベリング、分注、搬送の組み合わせによる)を行う。
【0061】
履歴収集部614は、前処理部613による前処理の履歴情報(図5、履歴情報D1)を、前処理が行われる度に収集し、装置毎履歴情報DB(DB1)611に格納する。また、収集した履歴情報D1を、通信部617を介して、情報管理サーバ13に送信・提供する。この装置毎の履歴情報D1(図5)は、例えば、前処理部613で制御されたハードウェアの動作をセンサにより測定したセンサ値(動作情報)や、消耗品の経年情報などの情報(消耗品情報)や、検査結果・精度管理情報などを含むの分析情報、などを含む情報である(後述、図6等)。
【0062】
工程毎推定値算出部615は、情報管理サーバ13(統合推定値算出部635)から、検査結果の異常が発見(通知)された際に、結果異常パターンDB632に格納された工程特定情報D10(後述、図9(b))を使って、関連する工程を特定し、その工程で異常のあった検体に関係する履歴情報D1を、装置毎履歴情報DB611から取得する。そして、工程毎推定値算出部615は、その取得した履歴情報D1を、工程毎異常パターンDB612に格納された異常時の履歴情報のパターンである工程異常パターン情報D8(後述、図8(b))と比較することによって、異常を生じさせたと考えられる原因の推定(工程毎の推定値の算出)を行う。
【0063】
UI部616は、前処理装置11のパラメータ設定等の入力処理や装置状態の表示等の出力処理を管理する。
【0064】
通信部617は、前処理装置11と、本分析システム10の他の構成要素とで相互にデータを送受信するための通信処理を行う。
【0065】
図3で、分析装置12は、分析部623、履歴集主部624、工程毎推定値算出部625、UI部626、通信部627、装置毎履歴情報DB(DB1)621、工程毎異常パターンDB622等を有して成る。これらの各部は、各モジュールのCPU(311,321等)が、各メモリ(314,323等)または外部記憶装置(313,322等)に格納されたプログラムを実行し、各ハードウェアを制御すること等によって実現される。
【0066】
分析部623は、検査依頼に応じてハードウェアを制御し、検体に分析処理(例えば比色分析)を行う。
【0067】
履歴収集部624は、分析部623で制御されたハードウェアの履歴情報を、分析が行われる度に収集し、装置毎履歴情報DB621に格納する。また、収集した履歴情報を、通信部627を介して情報管理サーバ13に送信・提供する。
【0068】
工程毎推定値算出部625は、情報管理サーバ13から、検査結果の異常が発見(通知)された際に、結果異常パターンDB632に格納された工程特定情報D10を使って、関連する工程を特定し、その工程で異常のあった検体に関係する履歴情報D1を、装置毎履歴情報DB621から取得する。そして、工程毎推定値算出部625は、その取得した履歴情報D1を、工程毎異常パターンDB622に格納された異常時の履歴情報のパターンである工程異常パターン情報D8と比較することによって、異常を生じさせたと考えられる原因の推定(工程毎の推定値の算出)を行う。
【0069】
UI部626は、分析装置12のパラメータ設定等の入力処理や装置状態の表示等の出力処理を管理する。通信部627は、分析装置12と、本分析システム10の他の構成要素とで相互にデータを送受信するための通信処理を行う。
【0070】
図4で、情報管理サーバ13は、履歴収集部634、統合推定値算出部635、通知部636、UI部637、通信部638、監視部639、履歴情報DB(DB2)631、結果異常パターンDB632、対応策DB633等を有して成る。これらの各部は、CPU411が、メモリ414または外部記憶装置413に格納されたプログラムを実行し、各ハードウェアを制御すること等によって実現される。
【0071】
履歴収集部634は、各前処理装置11及び分析装置12が処理毎に収集して送信した、装置毎の履歴情報D1を収集して、履歴情報DB(DB2)631に蓄積する。即ち、情報管理サーバ13(DB2)は、全装置(例えば、m個の前処理装置11(#1〜#m)、n個の分析装置12(#1〜#n))の装置毎の履歴情報D1を保持する(図5)。なお、情報管理サーバ13の履歴情報DB(DB2)631の中には、本システムでの検査(分析)結果情報なども保存される。
【0072】
監視部639は、上記DB2の履歴情報D1が更新される度に、当該収集された履歴情報D1に含まれる検査結果について、結果異常パターンDB632に保持される検査結果の許容範囲(後述、結果異常パターン情報D7内の結果許容範囲D703)を超えていないかを監視(異常検出判定)する。許容範囲を超えるような検査結果が発見された場合には、その検体を、検査結果が異常とみなし、統合推定値算出部635に、異常原因推定を依頼する(A01)。監視部639による照合・判定の際は、パターンと許容範囲との両方を判断する。
【0073】
統合推定値算出部635は、検査結果の異常が発見され監視部639から異常原因推定を依頼された際に、関連する前処理装置11及び分析装置12に対し、異常のあった検体の情報などを伝え、考えられる原因毎に、工程毎推定値を算出するように依頼する(A02)。そして、当該前処理装置11及び分析装置12が算出した工程毎推定値を受け取り、四則演算することによって統合し、原因毎の推定値を算出することで、異常の原因を推定する。
【0074】
通知部636は、統合推定値算出部635により推定した原因(推定異常原因)の情報と、対応策DB633に保持される対応策の情報とを、情報管理サーバ13及び表示端末14の少なくとも一方の表示装置に出力する。例えば通知部636は、履歴情報(検査結果異常のパターン)、推定した原因の情報、対応策などの情報を、表示端末14に送信して画面に表示させる(A03)。また、通知部636は、その対応策が、当該作業者に対応できないと判断される場合(対応策情報D9の参照により判断可能)には、サービスセンタ40に、履歴情報(検査結果異常のパターン)、推定した原因の情報、などの情報を送信することで、対応(対応策の実行等)を依頼する(A04)。
【0075】
UI部637は、履歴情報D1の閲覧、推定した異常、対応策の表示等に関わる入出力処理を管理する。通信部638は、情報管理サーバ13と、本分析システム10の他の構成要素とで相互にデータを送受信するための通信処理を行う。
【0076】
表示端末14は、UI部641、通知部642等を有して成る。各部は、CPUU511が、メモリ513または外部記憶装置512に格納されたプログラムを実行し、各ハードウェアを制御すること等によって実現される。
【0077】
UI部641は、情報管理サーバ13から通知された履歴情報D1などの閲覧、推定した異常の原因、対応策などの情報の表示等に関わる入出力処理を管理する。通信部642は、表示端末14と、本分析システム10の他の構成要素とで相互にデータを送受信するための通信処理を行う。
【0078】
<情報データ(履歴情報)>
図6〜図9を用いて、本実施の形態で用いる各種の情報データ(D1〜D10)の構造の例について説明する。
【0079】
図6(a)〜(d),図7を用いて、前処理装置11(装置毎履歴情報DB(DB1)611)、分析装置12(装置毎履歴情報DB(DB1)621)、及び情報管理サーバ13(履歴情報DB(DB2)631)で管理される、履歴情報D1の構造を示す。
【0080】
図6(a)で、履歴情報D1は、各履歴情報を一意に識別する履歴情報識別子D101と、各検体を一意に識別する検体識別子D102と、工程の処理(当該履歴情報を生成した処理工程)が終了した時刻である処理時刻D103と、当該工程を実施した装置名D104と、当該工程を識別する工程名D105と、当該処理工程に関わる機構情報D2(図6(b))を保持する配列である機構情報配列D106と、当該処理工程に関わる消耗品情報D5(図7(a))を保持する配列である消耗品情報配列D107と、反応工程で得た反応過程の推移と検査結果の情報から成る分析情報D108(D8、図8(b))とを有して構成される。ここで、反応工程とは、測定項目に応じた試薬を混合し、反応させ、分析する工程であり、最終的な反応した光や温度データといった結果だけでなく、反応注の結果(反応過程)も得ることができる。履歴情報D1は、処理工程単位に、生成及び蓄積される。
【0081】
図6(b)で、上記機構情報配列D106における機構情報D2は、分注機や反応セルといった装置内の機構を識別する機構識別子D201と、動作情報D3(図6(c))を保持する動作情報配列D202と、処理工程中で発生したアラーム情報D4(図6(d))を保持するアラーム情報配列D203とを有して構成される。
【0082】
図6(c)で、上記動作情報配列D202における動作情報D3は、対象(機構の動作部分)を識別する対象識別子D301と、機構が動作した際に測定された電子回路中の電流量やアームの角度、温度、光源の光量、吸引機構の圧力、検体の画像などの機器の異常を検知するために有用な情報である動作内容D302とを有して構成される。動作情報D3の測定は前述のセンサ等を用いる。
【0083】
図6(d)で、上記アラーム情報配列D203におけるアラーム情報D4は、アラームを識別するアラーム識別子D401と、アラームの重要度を表すアラームレベルD402と、アラームの発生時刻を表す発生時刻D403とを有して構成される。
【0084】
また、図7(a)で示すように、上記履歴情報D1の消耗品情報配列D107における消耗品情報D5は、処理工程で利用した消耗品を識別するための消耗品名D501と、当該消耗品の製造日時や製造ロットなどを表す製造情報D502と、当該消耗品の利用を開始した日時を示す利用開始日時D503と、当該消耗品が利用できる期限を表す利用期限D504とを有して構成される。
【0085】
上記消耗品は、具体例としては、チップやカップ(器)、純水や薬品(試薬、標準液、キャリブレータ)、電解質分析用電極(測定用電極)、光源(ランプ)などがある。
【0086】
また、図7(b)で示すように、上記履歴情報D1における分析情報D108(D6)は、分析装置12における検体と試薬の反応過程D601(キャリブレーションの結果(項目名と結果))と、各項目と結果(コントロール結果)から構成される検査結果D602と、分析精度を保証する制度管理情報D603とを有して構成される。精度管理情報D603としては、従来技術でも用いている一般的なものを本システムでも扱う。
【0087】
<情報データ(異常パターン情報)>
図8(a)を用いて、情報管理サーバ13(結果異常パターンDB632)で管理される結果異常パターン情報D7の構造を示す。結果異常パターン情報D7は、検査結果の異常パターンの情報を識別する結果異常パターン識別子D701と、患者(検体元)の性別、年齢、病状の分類を表す患者パターンD702と、結果の各項目に関する許容範囲(上限や下限値)を表す結果許容範囲D703とを有して構成される。
【0088】
図8(b)を用いて、前処理装置11(工程毎異常パターンDB612)及び分析装置12(工程毎異常パターンDB622)で管理される、工程異常パターン情報D8の構造を示す。工程異常パターン情報D8は、工程の機構の異常パターンの情報を識別する工程異常パターン識別子D801と、機構の動作データの基準値の上限値と下限値を示す機構許容範囲D802と、消耗品の期限の上限値を示す消耗品許容範囲D803と、反応工程における温度などの基準値の上限値と下限値を示す分析許容範囲D804とを有して構成される。
【0089】
上記異常パターン情報(D7,D8)は、それぞれ、機構に関する情報(機構許容範囲D802等)を含んでいる。これら情報(D7,D8)は、管理者等により、適宜、各装置の各UI部を介して、当該装置のDB(612,622,632,)へ登録(設定)が可能となっている。
【0090】
<情報データ(対応策情報)>
図9(a)を用いて、情報管理サーバ13(対応策DB633)で管理される対応策情報D9の構造を示す。対応策情報D9は、原因を識別する原因識別子D901と、原因のテキストを表す原因情報D902と、異常の原因を取り除き解決するための対応策のテキスト情報を表す対応策情報D903と、作業者が直接原因を取り除くための対応が可能かどうかを表す作業者対応情報D904とを有して構成される。作業者対応情報D904については、予め作成(設定)されているものを参照することで、対応が可能かどうかを判断が可能である。
【0091】
<情報データ(工程特定情報)>
図9(b)を用いて、情報管理サーバ13(結果異常パターンDB632)、または前処理装置11及び分析装置12で管理される、工程特定情報D10の構造を示す。工程特定情報D10は、原因を識別する原因識別子D1001と、原因によって影響を受ける(受けた)可能性がある工程の識別子の列である被影響工程列D1002と、その被影響工程列D1002(被影響工程)に対応して、その工程がどのくらい寄与しているか(受ける影響の度合いを表す重み)を表す影響重み列D1003と、原因の履歴情報に対する影響が測定項目によって変化するかどうかの真偽(測定項目によって結果が依存するかどうかを表す真偽値情報)を表す測定項目依存情報D1004とを有して構成される。
【0092】
本実施の形態では、情報管理サーバ13(結果異常パターンDB632)に保持している工程特定情報D10を、各装置(工程毎推定値算出部615,625)が通信により取得して利用する。
【0093】
<処理フロー>
次に、図10を用いて、本実施の形態のシステムにおける異常の原因を推定する処理(異常原因推定処理)を含む処理全体のフロー概略を説明する(Sは処理ステップを表す)。
【0094】
S101: まず、履歴情報D1の収集処理において、それぞれの前処理装置11及び分析装置12で生成された履歴情報D1が、各装置内の装置毎履歴情報DB(DB1)(611,621)、及び通信を介して情報管理サーバ13の履歴情報DB(DB2)631に、収集、蓄積される。
【0095】
S102: 次に、検査結果の異常が起こっているかを判別する処理(S102)において、情報管理サーバ13(監視部639)では、各装置から送信された履歴情報D1の中で、検査結果D602(分析情報D6)を含むものを監視し、その検査結果D602が、結果異常パターンDB632内の異常のパターン(結果異常パターン識別子D701)に合致する場合、即ち、検査結果の各項目に関する許容範囲(D703)に収まっていないものとなっている場合、異常があると判断し(S102−Y)、異常原因を推定する処理(S103)に移る。異常でない場合は(S102−N)、次の履歴情報の監視に備えるためにフローを終了する。
【0096】
S103: 次に、異常原因を推定する処理において、統合推定値算出部635、及び工程毎推定値算出部(615,625)では、考えられる原因すべてについて、どのくらい原因としてもっともらしいかを表す推定値を算出する。そして、その結果を通知する処理(S104)に移る。
【0097】
S104: 最後に、結果を通知する処理において、通知部636により、上記推定した、異常の起こった原因と結果などの情報を、作業者(作業者が用いる表示端末14)あるいはサービスセンタ40に通知し、フローを終了する。なお、終了したフローをすぐに再実行することで、随時監視することができる。
【0098】
上記履歴情報D1の収集処理(S101)について詳しくは以下である。
【0099】
S201: 前処理装置11及び分析装置12では、処理が行われる度に、工程毎の履歴情報D1を生成する。例えば、検体を検査項目毎に小分けする分注工程では、分注機と呼ばれる機器が使われる。この機器では、検体(液体)を吸い上げて、新しいチップやカップに小分けするので、吸引機構とロボットアームを含んでいる。その動作情報D3として、吸引機構の圧力やロボットアームの角度や電流量などが、履歴情報D1として収集されることとなる。
【0100】
S202: 上記生成された履歴情報D1は、各装置の履歴収集部614,624により、生成された装置の装置毎履歴情報DB(DB1)(611,621)に蓄積される。
【0101】
S203: そして、前処理装置11及び分析装置12は、蓄積した履歴情報D1を、通信部617,627を介して、情報管理サーバ13に送信する。ここで、送信するタイミングは、前処理装置11及び分析装置12のハードウェア制御を損なわないように調節することが可能である。
【0102】
一方、情報管理サーバ13は、前処理装置11及び分析装置12から送信された各履歴情報D1を受信し(S204)、履歴情報DB(DB2)631内に蓄積する(S205)。
【0103】
前記検査結果の異常判定の処理(S102)について詳しく以下である。検査結果が異常かどうかは、基本的に、検査項目(値)が、定められた上限値と下限値の間(結果許容範囲D703)に入っているかどうかを使って判定される。これに加え、患者の性別、年齢、病状(患者パターンD702)と、過去の検査結果(前回値)とによっても、異常であるかどうかの判定は異なる場合がある。本実施の形態における異常判定処理(S102)でも、結果異常パターン情報D7で示したように、まず患者の前回値を履歴情報DB631(分析情報D108)から取得する。そして、患者パターンD702に応じた上限値と下限値(結果許容範囲D703)を使い、前回値及び今回の検査結果とその許容値とを比較して、許容範囲に入っているか離れているかに基づいて、異常を判定する。
【0104】
上記結果の通知処理(前記S104)について詳しくは以下である。情報管理サーバ13は、前述の算出した推定値が高い順に上位例えば10個について、当該原因の対応策を、対応策DB633から取得する(S501)。なお、上位10個の中で推定値が0となったものは、原因と考えられないので除外する。そして、UI部(637,642)を介して、作業者(表示端末14の画面)に対し、推定値が高い順に、原因と対応策と原因の影響を被ったと考えられる検体とを含む情報を、後述する通知用インタフェースG101(図14)上に提示する(S502)。さらに、推定値が最も高い原因について、その対応策が作業者に対応可能かどうかを確認し、対応可能であれば、フローを終了する(S503−Y)。対応不可能な場合(S503−N)は、サービスセンタ40に対し、異常があった検体の情報及び異常を推定するために使った履歴情報D1と、推定した原因とを含む情報を、通知する(S504)。なお、通信やセキュリティの点で、患者の個人情報などが問題となる場合には、患者名などを除いて通知してもよい。
【0105】
<異常原因推定処理(詳細)>
次に、図11を用いて、異常原因推定処理(S103)について詳しく説明する。
【0106】
検査結果の異常が発見された場合(S102−Y)、情報管理サーバ13(統合推定値算出部635)は、異常があった検体の検体識別子D102を、本分析システム10内のすべての前処理装置11及び分析装置12に送信(A02)する(S401)。前処理装置11及び分析装置12は、送信された検体識別子D102を受信(A02)する(S402)。そして、前処理装置11及び分析装置12(各工程毎推定値算出部615,625)は、考えられるすべての異常の原因(N個)について、それぞれ、以下の処理を行う(ループ1開始)(S403)。
【0107】
(1)S404: 第一に、原因に対して、影響を受けた可能性がある、結果が異常であった検体の検査に関わったすべての装置の工程(M個)を、各装置に予め設定された工程特定情報D10をもとに特定する(関与装置工程の特定)。なお、工程特定情報D10については、過去に発生した異常の原因に対して、工程の履歴情報が高い相関を示した場合、異常に関与する工程であると判断して生成することができる。
【0108】
(2)S405: 第二に、上記で特定された工程(M個)に対して、同じ工程で、例えば前後15分以内に処理された検体の履歴情報(L個)を抽出する。上記S404,S405の処理(特にS405)は、本実施の形態における大きな特徴である。
【0109】
(3)S406: 第三に、原因が測定項目に影響を受ける場合、即ち、測定項目依存情報D1003が真(依存する)である場合、上記抽出した各工程の履歴情報D1(M個×L個)のうち、測定項目が同じ履歴情報D1のみに選別(L個からP個に選別)する。即ち、M個×P個の履歴情報D1となる。S406の処理は、第1の原因(機構原因)に対応するための処理である。
【0110】
(4)S407: 第四に、上記で選別した履歴情報D1(M個×P個)が、工程異常パターン情報D8に合致しているかどうか、即ち、許容範囲内で機器が動作しているかを調べる。これにより、その比率、[合致数]/[P個]を、工程毎の推定値(M個)として算出する。即ち、異常パターンに合致すればするほど高い推定値となる。
【0111】
(5)S408: 第五に、上記で算出した工程毎の推定値を、各装置から、情報管理サーバ13に送信(A02)する。
【0112】
なお、本実施の形態では、上記工程毎の推定値の算出を、[合致数]/[P個]としたが、より簡単に、一定の合致数を超えた場合には1、そうでない場合は0といったようにする算出方法や、数が多くなった場合の変化を小さく見積もるために、本実施の形態における推定値に対数をとったものを利用する方法などを用いてもよい。
【0113】
さらに、本実施の形態では、工程異常パターンと履歴情報とを比較する際に、合致するか否かのみを扱ったが、工程異常パターンとどのくらい似ているかを表す類似度または距離尺度を用いてもよい。その場合、前記合致数は、類似度または距離尺度の総和とする。
【0114】
次に、情報管理サーバ13(統合推定値算出部635)は、上記の工程毎の推定値(N個×M個)の情報を受信する(S409)。そして、異常の原因(N個)毎に、次の処理を行う(ループ2開始)(S410)。
【0115】
S411の推定値の統合の処理において、工程毎の推定値(M個)と影響重み列D1003(M個)との重み付き平均を計算し、原因の推定値(N個)を算出する。S411では、S407による各装置・各工程の個別の推定値を統合する処理をしている。すべての原因の推定値(N個)を算出すると、フローを終了する。なお、S411では単純に重み付き平均のみで推定値を算出しているが、他に、分散値などを併用してもよい。
【0116】
<推定の具体例(第1の原因の場合)>
次に、図12を用いて、異常原因推定の具体例(その1)として、特に、第1の原因(測定項目に応じた機構原因)の場合の推定であって、検体A(C101)の検査結果が異常となった場合における推定値を算出する過程を説明する。なお、検査結果が異常であると判定された時点で、登録されたすべての原因について推定値が算出されるが、ここでは、そのうち、消耗品である測定用電極の劣化(原因)C102に関する例を述べる。なお以下の処理主体は主に前述の統合推定値算出部635や工程毎推定値算出部615,625である。
【0117】
結果異常パターンDB632に、工程特定情報D10として、「測定用電極の劣化」C102に関する情報が記憶されている。原因識別子D1001が「測定用電極の劣化」であり、被影響工程列D1002が「イオン測定」(イオン測定工程)であり、影響重み列D1003が{1.0}であり、測定項目依存情報D1004が「依存する」である。
【0118】
装置の処理工程として、前処理装置11及び分析装置12(特に電解質分析モジュール330)における、測定用電極を用いるイオン測定工程(Xとする)C103を有する。イオン測定工程(X)C103は、測定項目として例えば測定項目S,Tを有し、S,Tでそれぞれ異なる機構(測定用電極)を用いる。例えば測定項目に応じて異なるモジュールが選択使用される。検体として例えばA(C101)、B(C104)〜D(C106)を有する。イオン測定工程(X)の各測定項目(S,T)における各検体(A〜D)の測定工程の履歴情報(D1)は、装置毎履歴情報DB(DB1)611,612に格納される。イオン測定工程(X)で、検体A〜Cは、測定項目Sが行われ、検体Dは、測定項目Tが行われる。図12中、例えば検体Aの測定工程の履歴情報(D1)を、A−X(S)−D1とする。
【0119】
まず、異常となった対象の検体A(C101)が関わった工程のうち、「測定用電極の劣化」(原因)C102が影響を与える工程(被影響工程)を抽出する(前記S404)。即ち、D10に示すように、「測定用電極の劣化」C102では、その被影響工程として、イオン測定工程(X)(C103)のみが抽出される。
【0120】
次に、イオン測定工程(X)(C103)において、対象の検体Aの測定工程の履歴情報(A−X(S)−D1)だけでなく、検体A(C101)と近い時刻に処理された他の検体、即ち、検体B(C104)、検体C(C105)、検体D(C106)の各履歴情報(B−X(S)−D1,C−X(S)−D1,D−X(T)−D1)がDB1をもとに抽出される(前記S405)。
【0121】
次に、測定項目依存情報D1004を用いて、原因が測定項目によって左右される場合(「依存する」)、対象の検体Aの測定項目Sとは異なる測定項目を検査した検体の情報については取り除く。本例では、先の抽出した履歴情報の中から、異なる測定項目Tの検体D(C106)に関する情報を取り除く(前記S406)。
【0122】
次に、各工程の履歴情報(A〜C−X(S)−D1)を、工程異常パターン情報D8と照合する。即ち、工程の機構状況が、定められた範囲内で推移しているかどうかを確認する。そして、その機構状況に関する照合結果をもとに、イオン測定工程(X)の推定値(C107)(A〜Cを利用したもの)を算出する(前記S407)。本例では、当該原因(C102)に関わる他の工程は無いため、この算出された推定値(C107)が、「測定用電極の劣化」(C102)が原因となる可能性を表した推定値(C108)となる。
【0123】
上記の結果、第1の原因(測定項目に応じた機構原因)の場合に対応した異常原因の推定値(C108)が得られる。
【0124】
<推定の具体例(第2の原因の場合)>
次に、図13を用いて、異常原因推定の具体例(その2)として、特に、第2の原因(共通部原因)の場合の推定であって、検体E(C201)の検査結果が異常となった場合における推定値を算出する過程を説明する。なお、上記具体例(その1)と同様に、ここでは、複数あり得る原因のうち、「試薬流路汚染」(原因)C202に関する例を述べる。試薬流路汚染は、試薬が流れる路が汚染されることである。
【0125】
結果異常パターンDB632に、工程特定情報D10として、「試薬流路汚染」(原因)C202に関する情報が記憶されている。原因識別子D1001が「試薬流路汚染」であり、被影響工程列D1002が「希釈」、「溶血」、「反応」であり、影響重み列D1003が{0.3,0.4,0.3}であり、測定項目依存情報D1004が「依存しない」である。
【0126】
装置の処理工程として、前処理装置11及び分析装置12における、希釈工程(P)(C203)、溶血工程(Q)(C204)、反応工程(R)(C205)を有する。検体として例えばE(C201)、F(C206)〜H(C208)を有する。希釈工程(P)(C203)を通る検体としてE,F,G,Hがある。同様に、溶血工程(Q)(C204)を通る検体としてE,F,Hがあり、反応工程(R)(C205)を通る検体としてE,F,Gがある。検体E,Fの検査のシーケンス(工程等の連なり)では、工程P,Q,Rを通る。同様に、検体Gでは、工程P,Rを通り、検体Hでは、工程P,Qを通る。各検体の各工程の履歴情報(例えば検体Eにつき工程順に、E−P−D1,E−Q−D1,E−R−D1)は、それぞれ装置毎履歴情報DB(DB1)611,612に格納される。検体Eの検査のシーケンスにおいて、他の検体の検査のシーケンスとの共通部となる流路上に、工程P,Q,Rがあり、これらに関わる他の検体として、F,G,Hが存在する。
【0127】
まず、異常となった対象の検体E(C201)が関わった工程のうち、「試薬流路汚染」(原因)C202が影響を与える工程(被影響工程)を抽出する(前記S404)。D10に示すように、「試薬流路汚染」C202では、希釈工程(P)(C203)と、溶血工程(Q)(C204)と、反応工程(R)(C205)とが抽出される。これらの工程に関与する他の検体F,G,Hがあり、それら各検体の履歴情報(E−P−D1,G−P−D1,H−P−D1等)を抽出する(前記S405)。
【0128】
次に、測定項目依存情報D1004を用いて、原因が測定項目によって左右される場合、異なる測定項目を検査した検体の情報については取り除くが、本例では、「依存しない」であるので、ここで取り除く検体の情報は無い(前記S406)。
【0129】
次に、各工程(P,Q,R)の履歴情報を、工程異常パターン情報D8と照合する。即ち、工程の機構状況が、定められた範囲内で推移しているかどうかを確認する。この場合、上記照合結果をもとに、各工程(P,Q,R)毎の推定値(C209,C210,C211)を算出する(前記S407)。希釈工程(P)C203の推定値C209は、検体E〜Hを利用したものであり、溶血工程(Q)C204の推定値C210は、検体E,F,Hを利用したものであり、反応工程(R)C204の推定値C211は、検体E,F,Gを利用したものである。
【0130】
最後に、影響重み列D1003の値{0.3,0.4,0.3}の演算に従って、各工程(P,Q,R)の推定値(C209,C210,C211)を統合した、「試薬流路汚染」C202の推定値C212を算出する(前記S411)。
【0131】
上記の結果、第2の原因(共通部原因)の場合に対応した異常原因の推定値(C212)が得られる。
【0132】
なお、検査シーケンス(処理工程の連なり)は、全体的には概ねコンピュータ制御により自動的に実現されるが、一部、人間による介入部分がある。例えば、検体や消耗品を、装置(工程)の機構に対してセット、投入する動作などがある。この際、前述のように、取り違いなどの人的ミスが発生し得る。人的ミスが発生した場合、検査結果の異常につながる。この人的ミスについては、前述した(a)検体、(b)消耗品(試薬等)、(c)装置などの原因に影響・関連するが、本システムにより、それらの原因を分けて推定することができるので、当該原因が判明した場合、そこから当該人的ミスの発生についても遡及することができる。
【0133】
<表示例>
図14を用いて、本実施の形態における作業者に対する結果の通知用インタフェースG101(画面)を説明する。通知用インタフェースG101は、異常のあった検体を提示する異常検体コンポーネントG102と、推定した原因の上位10個をリスト表示する推定原因リストG103と、推定原因リストG103で選択した原因に該当する原因情報D902を提示する推定原因コンポーネントG104と、推定原因リストG103で選択した原因に該当する対応策情報D903を提示する対応策コンポーネントG105と、推定原因リストG103で選択した原因に影響を受けた可能性がある検体をリスト表示する影響範囲リストG106とを有して構成される。
【0134】
異常検体コンポーネントG102と影響範囲リストG106は、内部にデータボタン(G1021,G1061)を含んでいる。作業者は、このボタンを押すことで、過去及び今回の検査結果(履歴、詳細情報)を表示して確認することができる。
【0135】
また、異常検体コンポーネントG102と影響範囲リストG106は、内部に再検ボタン(G1022,G1062)を含んでいる。作業者は、このボタンを押すことで、容易に検体の再検査(同じ患者の同じ検査)を実施(自動的に開始)することができる。
【0136】
対応策コンポーネントG105は、「装置一時停止」ボタンG1051と「サービスに連絡」ボタンG1052を含んでいる。作業者は、「装置一時停止」ボタンG1051を押すことで、任意の装置を一時停止することができる。さらに、作業者は、「サービスに連絡」ボタンG1052を押すことで、原因に関する検体、及び、異常を推定するために使った履歴情報D100と、推定した原因とを含む情報を、サービスセンタへ通知することができる。
【0137】
<実施の形態の効果等>
以上説明したように、本実施の形態の異常原因推定方法及び分析システムによれば、次のような効果がある。
【0138】
検体の検査結果が異常であった際に、同じ測定項目で処理された検体を用いて推定するので(図12等)、測定項目によって異常の発生傾向が異なる原因(第1の原因)の場合でも、正しく、精度良く、異常の原因を推定して作業者に通知することができる。
【0139】
また、検体の検査結果が異常であった際に、異常の起こった検体と近い時刻に同じ工程(共通部の工程、流路等)で処理された他の検体を用いて推定するので(図13等)、試薬流路汚染のような広範囲に微量の悪影響を与えるような原因(第2の原因)の場合でも、正しく、精度良く、異常の原因を推定して作業者に通知することができる。
【0140】
また、異常の原因を解決するための対応策が、作業者だけで実施可能かどうかを判別できるので(図9(a)等)、サポートセンタ40に連絡すべきかどうか等を迷うことなく迅速に対応可能である。
【0141】
さらに、異常原因推定処理を工程毎の推定値算出処理と、それを統合した原因毎の推定値算出処理とに分けているので(図11等)、前処理装置11、分析装置12、及び情報管理サーバ13に処理を振り分けることができ、システムの構成要素の一部に負荷が偏ることがなく原因の推定が可能である。
【0142】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、臨床検査システム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0144】
10…分析システム、11…前処理装置、12…分析装置、13…情報管理サーバ、14…表示端末、20…電子カルテシステム、30…通信ネットワーク、40…サービスセンタ、90…装置ネットワーク、91,92…内部ネットワーク、210,310…管理モジュール、211,311…管理CPU、212,312…装置間通信I/F、213,313…外部記憶装置、214,314…メモリ、215,315…キーボード、216,316…タッチディスプレイ、217,317…内部通信I/F、220…遠心分離モジュール、221…遠心分離制御CPU、222,232,242,252…外部記憶装置、223,233,243,253…メモリ、224,234,244,254…内部通信I/F、225,235,235,245…アクチュエータ、226,236,246,256…センサ、230…ラベラモジュール、231…ラベラ制御CPU、240…分注モジュール、241…分注制御CPU、250…搬送モジュール、251…搬送制御CPU、320…比色分析モジュール、322,332,342,352…外部記憶装置、323,333,343,353…メモリ、324,334,344,354…内部通信I/F、325,335,335,345…アクチュエータ、326,336,346,356…センサ、330…電解質分析モジュール、340…免疫分析モジュール、350…搬送モジュール、411,511…CPU、412…外部通信I/F、413,512…外部記憶装置、414,513…メモリ、415,514…キーボード、416,515…マウス、417,516…ディスプレイ、418,517…通信間通信I/F、611,621…装置毎履歴情報DB(DB1)、612,622…工程毎異常パターンDB、613…前処理部、614,624…履歴収集部、615,625…工程毎推定値算出部、616,626…UI部、617,627…通信部、623…分析部、631…履歴情報DB、632…結果異常パターンDB、633…対応策DB、634…履歴収集部、635…統合推定値算出部、636…通知部、637…UI部、638…通信部、641…UI部、642…通信部、D1…履歴情報、D2…機構情報、D3…動作情報、D4…アラーム情報、D5…消耗品情報、D6(D108)…分析情報、D7…結果異常パターン情報、D8…工程異常パターン情報、D9…対応策情報、D10…工程特定情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床検査における検体の検査に関する、前処理を行う前処理装置、分析処理を行う分析装置、情報を統合管理する情報管理サーバ、及び情報を表示する表示端末を有する分析システムにおける、検査結果の異常の原因を推定する処理を行う異常原因推定方法であって、
前記情報管理サーバ、または前記前処理装置及び分析装置を含む各装置により、前記検査の処理に関する前記各装置での処理の履歴情報を管理する処理ステップを有し、
前記履歴情報は、前記検体、前記各装置、前記処理を構成する工程、前記各装置を構成する機構、適用される消耗品、及び検査結果、を管理する情報を含み、
前記情報管理サーバまたは前記各装置により、前記履歴情報に対する、前記検査結果の異常のパターンまたは許容範囲を含む異常パターン情報と、前記異常に対する原因と前記工程とを関係付けて管理する工程特定情報と、を管理する処理ステップを有し、
前記情報管理サーバまたは前記各装置により、前記検査結果を前記異常パターン情報と照合することにより当該検査結果の異常を検出する処理ステップと、前記異常の原因を推定する異常原因推定処理を行う処理ステップと、前記推定した原因を含む情報を前記表示端末へ出力する処理ステップと、を行い、
前記異常原因推定処理の処理ステップでは、前記情報管理サーバまたは前記各装置により、前記異常が検出された検体と、可能性がある原因と、当該検体及び原因に関係付けられる装置、工程、機構、消耗品、及び他の検体と、を含む情報を抽出する処理ステップと、前記異常の原因の可能性を表す、装置毎、工程毎の個別の推定値を算出する処理ステップと、前記個別の推定値を演算により統合することで、原因毎の推定値を算出する処理ステップと、を行うこと、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項2】
請求項1記載の異常原因推定方法において、
前記各装置により、前記装置毎の処理の履歴情報を生成及び蓄積する処理ステップと、
前記情報管理サーバにより、前記装置毎の履歴情報を収集して蓄積する処理ステップと、
前記情報管理サーバにより、前記履歴情報の前記検査結果の情報を監視して、当該検査結果を前記異常パターン情報と照合することにより、当該検査結果の異常を検出する処理ステップと、前記異常の検出に基づき、当該異常の原因を推定する異常原因推定処理を行う処理ステップと、前記推定した原因を含む情報を、前記表示端末へ出力、または、作業者もしくはサービスセンタへ通知する処理ステップと、を有し、
前記異常原因推定処理の処理ステップでは、
前記情報管理サーバにより、前記異常が検出された検体と、可能性がある原因と、当該検体及び原因に関係付けられる装置、工程、機構、消耗品、及び他の検体と、を含む情報を抽出し、関係する各装置へ当該情報を送信して前記個別の推定値の算出を依頼する処理ステップと、
前記各装置により、装置毎、工程毎の異常のパターンまたは許容範囲を含む情報との照合により、当該異常の原因の可能性を表す、装置毎、工程毎の個別の推定値を算出し、前記情報管理サーバへ送信する処理ステップと、
前記情報管理サーバにより、前記個別の推定値を演算により統合することで、前記原因毎の推定値を算出する処理ステップと、を有すること、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項3】
請求項1記載の異常原因推定方法において、
前記情報管理サーバにより統合管理する情報として、
前記履歴情報として、前記処理の時刻、前記検体、前記各装置、前記工程、前記機構、前記消耗品、前記工程の測定項目、及び前記検査結果、を関係付けて管理する情報を含み、
前記異常パターン情報として、前記機構の異常のパターン、前記機構の許容範囲、及び前記消耗品の許容範囲を含み、
前記工程特定情報として、前記異常に対して考えられる原因、当該原因に影響を受ける可能性のある工程、当該影響の度合いの重み値、及び前記工程の測定項目に対する依存性を表す情報、を含むこと、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項4】
請求項1記載の異常原因推定方法において、
前記異常原因推定処理の処理ステップでは、前記情報管理サーバにより、前記抽出の際に、前記統合管理の情報に基づき、前記異常が検出された検体が処理された装置及び工程に関係して近い時間帯に処理された他の検体も含めた前記履歴情報を抽出して、前記個別の推定値を算出すること、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項5】
請求項1記載の異常原因推定方法において、
前記異常原因推定処理の処理ステップでは、前記情報管理サーバにより、前記抽出の際に、前記統合管理の情報に基づき、前記異常の原因が前記工程の測定項目に依存するか否かを判断し、当該測定項目に依存する場合は、前記異常が検出された検体が処理された工程の測定項目に関係する検体の前記履歴情報を抽出して、前記個別の推定値を算出すること、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項6】
請求項1記載の異常原因推定方法において、
前記異常原因推定処理の処理ステップでは、前記情報管理サーバにより、前記抽出の際に、前記統合管理の情報に基づき、前記異常が検出された検体が処理された1つ以上の装置及び工程を共通部として処理された他の検体も含めた前記履歴情報を抽出して、当該工程毎に当該工程で処理された1つ以上の検体を利用した前記個別の推定値を算出すること、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項7】
請求項1記載の異常原因推定方法において、
前記情報管理サーバにより統合管理する情報として、前記異常の原因に対する対応策の情報を含み、
前記情報管理サーバにより、前記推定した原因、及び当該原因に対する対応策を含む情報を、前記表示端末へ出力、または、作業者もしくはサービスセンタへ通知する処理を行うこと、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項8】
請求項7記載の異常原因推定方法において、
前記情報管理サーバにより、前記推定した原因を含む情報を出力する際、複数の原因のうち、当該原因の推定値が高いものから順に、当該原因及び推定値の情報を画面に表示すること、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項9】
請求項7記載の異常原因推定方法において、
前記異常の原因に対する対応策の情報は、予め設定される、当該対応策が作業者により対応が可能か否かを表す情報を含み、
前記情報管理サーバにより、前記推定した原因、及び当該原因に対する対応策を含む情報を、前記表示端末へ出力、または、作業者もしくはサービスセンタへ通知する処理を行う際に、当該対応策が当該作業者により対応が可能か否かを、前記対応策の情報に基づき判断し、可能な場合は当該作業者へ通知し、否の場合は前記サービスセンタへ自動的に通知する処理を行うこと、を特徴とする異常原因推定方法。
【請求項10】
臨床検査における検体の検査に関する、前処理を行う前処理装置、分析処理を行う分析装置、情報を統合管理する情報管理サーバ、及び情報を表示する表示端末を有する分析システムであって、
前記情報管理サーバ、または前記前処理装置及び分析装置を含む各装置により、前記検査の処理に関する前記各装置での処理の履歴情報を管理する処理を行い、
前記履歴情報は、前記検体、前記装置、前記処理を構成する工程、前記装置を構成する機構、適用される消耗品、及び検査結果、を管理する情報を含み、
前記情報管理サーバまたは前記各装置により、前記履歴情報に対する、前記検査結果の異常のパターンまたは許容範囲を含む異常パターン情報と、前記異常に対する原因と前記工程とを関係付けて管理する工程特定情報と、を管理する処理を行い、
前記情報管理サーバまたは前記各装置により、前記検査結果を前記異常パターン情報と照合することにより当該検査結果の異常を検出する処理と、前記異常の原因を推定する異常原因推定処理を行う処理と、前記推定した原因を含む情報を前記表示端末へ出力する処理と、を行い、
前記異常原因推定処理では、前記情報管理サーバまたは前記各装置により、前記異常が検出された検体と、可能性がある原因と、当該検体及び原因に関係付けられる装置、工程、機構、消耗品、及び他の検体と、を含む情報を抽出する処理と、前記異常の原因の可能性を表す、装置毎、工程毎の個別の推定値を算出する処理と、前記個別の推定値を演算により統合することで、原因毎の推定値を算出する処理と、を行うこと、を特徴とする分析システム。
【請求項11】
臨床検査における検体の検査に関する、前処理を行う前処理装置、分析処理を行う分析装置、情報を統合管理する情報管理サーバ装置、及び情報を表示する表示端末を有する分析システムにおける前記情報管理サーバ装置であって、
前記情報管理サーバ装置により、前記検査の処理に関する前記前処理装置及び分析装置を含む各装置での処理の履歴情報を管理する処理を行い、
前記履歴情報は、前記検体、前記装置、前記処理を構成する工程、前記装置を構成する機構、適用される消耗品、及び検査結果、を管理する情報を含み、
前記情報管理サーバにより、前記履歴情報に対する、前記検査結果の異常のパターンまたは許容範囲を含む異常パターン情報と、前記異常に対する原因と前記工程とを関係付けて管理する工程特定情報と、を管理する処理を行い、
前記情報管理サーバにより、前記検査結果を前記異常パターン情報と照合することにより当該検査結果の異常を検出する処理と、前記異常の原因を推定する異常原因推定処理を行う処理と、前記推定した原因を含む情報を前記表示端末へ出力する処理と、を行い、
前記異常原因推定処理では、前記情報管理サーバにより、前記異常が検出された検体と、可能性がある原因と、当該検体及び原因に関係付けられる装置、工程、機構、消耗品、及び他の検体と、を含む情報を抽出する処理と、前記各装置により、前記異常の原因の可能性を表す、装置毎、工程毎の個別の推定値を算出させる処理と、前記個別の推定値を演算により統合することで、原因毎の推定値を算出する処理と、を行うこと、を特徴とする情報管理サーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−266271(P2010−266271A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116374(P2009−116374)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】