説明

異常検出装置および棚

【課題】棚に収納された物品の重量変化を簡易かつ安価な構成で検出して、装置コストを抑制する。
【解決手段】物品としての商品を収納する棚1の横板部17に異常検出装置4を設置する。異常検出装置4に、内部に流体が封入されるチューブ部材40と、一般市販品の圧力センサ41と、物品が載置される棚板42とを設ける。チューブ部材40の一方端を封止するとともに、他方端を圧力センサ41に連結する。そして、横板部17と棚板42との間にチューブ部材40と圧力センサ41とを設置し、棚板42に載置された物品の荷重をチューブ部材40で支持する構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫や店舗において、棚に収納された製品や商品といった物品の重量変化を検出して、当該物品の異常を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物流倉庫ではピッキング棚等に製品が収納され保管される。また、店舗では、陳列棚に商品が収納され陳列される。このような棚には物品を収納する複数の収納スペースが設けられており、物品が補充されたり、搬出されたりすることによって収納スペースにおける物品の数量が増減する。そして、棚に収納されている物品の数量を把握することは物品を管理するにあたっての重要な課題となっている。例えば、店舗内に設置される商品陳列用の棚では、商品の数量を把握して、物品の異常状態として商品が万引きされる状態を検出したいという要求がある。
【0003】
物品の数量をデータとして管理するためには、測定値を電気信号として出力する重量計によって物品の重量を測定することが考えられる。そして、このような重量計としては電磁式およびロードセル式(電気抵抗線式)が一般的に知られている。しかし、電磁式の重量計は小型化が難しく、棚に適用する場合には収納スペースや広告スペースが狭くなってしまう上に、消費電力が大きく、制御装置も必要となるなど、欠点が多くて不向きである。
【0004】
そこで従来より、ロードセル式の重量計を収納スペースに設け、当該収納スペース内の物品の数量を求めて、管理する技術が提案されている。例えば、このような棚卸し装置が特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−017121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の装置は、物品の数量を把握できなければ目的をまったく達成できない装置である(検出誤差がでるようであれば、結局、店員が棚卸しをしなければならず装置としての用をなさない)。そのため、特許文献1に記載の装置には、取り扱う全種類の物品1つ1つの重量を確実に検出するだけの高い精度が要求されるという事情がある。したがって、特許文献1に記載の装置は、測定精度を上げるために、棚板上の加重を金属板で受けることにより、物品の荷重を直接的に金属板に伝達し、このときの金属板に生じる歪みをストレンゲージで検出する構造となっており、比較的高価な装置として構成されている。
【0007】
一方、先述のように、物品の盗難を検出しようとする場合、1つ2つの商品であれば店舗側の被害も少額で済むが、商品をケースごと万引きされるような事態が起こればその被害は甚大となる。つまり、物品の盗難を検出することを目的とする場合には、高精度で高価な装置を導入して少量の商品の盗難を検出できるようにしても費用対効果の面で適当ではないが、多量の商品が盗まれるような事態を検出できれば利用価値がある。
【0008】
ところで昨今の技術的進歩により、市場には安価な圧力センサが供給されるようになってきた。このような圧力センサは、ダイアフラムと呼ばれる受圧部を備えており、受圧部に加わる圧力を電気信号として出力する構造となっている。ところが、特許文献1に記載の装置では、先述のように、圧力センサとしてストレンゲージが提案されているものの、ストレンゲージの代わりに、安価な圧力センサを採用することができない構造である。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の技術では、装置が高価であり、かつ、市販品と組み合わせて装置コストを抑制することも容易でないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、棚に収納された物品の重量変化を簡易かつ安価な構成で検出して、装置コストを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、棚に収納されている物品の異常を検出する異常検出装置であって、内部に封入された流体の圧力によって物品の荷重を支持する支持部材と、前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の変化を検出する圧力センサとを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る異常検出装置であって、前記圧力センサは、前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の減少を検出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る異常検出装置であって、前記圧力センサは、前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の増加を検出することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、物品を収納する棚であって、少なくとも1つの収納スペースを形成する筐体と、前記収納スペースに収納された物品の異常を検出する異常検出装置と、前記異常検出装置の検出結果に応じた出力を行う出力手段とを備え、前記異常検出装置は、内部に封入された流体の圧力によって物品の荷重を支持する支持部材と、前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の変化を検出する圧力センサとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし3に記載の発明は、棚に収納されている物品の異常を検出する異常検出装置であって、内部に封入された流体の圧力によって物品の荷重を支持する支持部材と、支持部材の内部に封入された流体の圧力の変化を検出する圧力センサとを備えることにより、市販品を用いた簡易な構成で実現できるため、コストを抑制することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、支持部材の内部に封入された流体の圧力の減少を検出することにより、物品が異常に減少したことを検出できる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、支持部材の内部に封入された流体の圧力の増加を検出することにより、物品が異常に増加したことを検出できる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、物品を収納する棚であって、少なくとも1つの収納スペースを形成する筐体と、収納スペースに収納された物品の異常を検出する異常検出装置と、異常検出装置の検出結果に応じた出力を行う出力手段とを備え、異常検出装置は、内部に封入された流体の圧力によって物品の荷重を支持する支持部材と、支持部材の内部に封入された流体の圧力の変化を検出する圧力センサとを備えることにより、収納された物品の数量に変動が生じたことを、極めて簡易な構成で検出することができる。したがって、コストを抑制しつつ適切な監視が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係る棚1を備えた商品管理システム100の構成例を示す図である。商品管理システム100は、棚1、監視カメラ2および管理端末3を備えている。なお、図1において詳細は図示しないが、棚1、監視カメラ2および管理端末3は、互いにネットワークを介したデータ通信が可能な状態で接続されている。このようなネットワークとして、例えば、店舗内に設置された構内LANや無線LAN等が考えられるが、これに限定されるものではなく、インターネットや公衆網を採用してもよい。また、商品管理システム100は、在庫管理システムやPOSシステム等と連動するように構成されていてもよい。
【0021】
本実施の形態における棚1は、複数の収納スペース9を形成する立方体形状の筐体10を備えており、物品として店舗内に陳列される商品を収納する陳列棚として構成されている。なお、図1では6つの収納スペース9を図示しているが、収納スペース9の個数はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの収納スペース9が筐体10によって形成されていればよい。また、収納スペース9の形状は立方体形状に限定されるものではなく、収納される商品の形状や店舗内におけるレイアウトに応じて決定されればよい。
【0022】
図2は、棚1の構成を示すブロック図である。図1では図示を省略したが、棚1は、各種データの演算を行うとともに棚1が備える各構成を制御するCPU11、CPU11によって実行されるプログラムを格納するROM12、およびCPU11の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAM13を備えており、一般的なマイクロコンピュータとしての機能を有している。
【0023】
また、棚1は、物品の状態を出力する構成として、LED14およびスピーカ15を備えている。LED14は物品の状態を光の点滅として出力し、スピーカ15は物品の状態を音声データを再生することにより出力する。さらに、棚1は、管理端末3および異常検出装置4との間でデータ通信を行うための通信部16を備えている。
【0024】
本実施の形態における棚1は異常検出装置4から得られる検出結果(異常検出装置4の出力信号)に応じてCPU11によって物品の状態をさらに判定し、その判定結果に応じた出力をLED14やスピーカ15によって行う。これにより棚1は、物品の異常を周囲に通報することが可能とされている。また、棚1は、CPU11の判定結果等を通信部16を介して管理端末3に伝達することにより、棚1から離れた遠方の店員等にも物品の異常を知らせることができる。
【0025】
監視カメラ2は、一般的なデジタルカメラとしての機能を有しており、店舗内の天井や柱等に固定される。また、監視カメラ2は、管理端末3によって制御され、撮像範囲内の被写体を撮像することによりデジタル画像データを作成し、当該デジタル画像データを管理端末3に向けて送信する。そして、監視カメラ2の撮像範囲は棚1の周囲が含まれるように設定されており、監視カメラ2は棚1の周囲の情報を収集する情報収集端末として構成されている。なお、監視カメラ2は静止画を撮像するスチルカメラであってもよいし、動画を撮像するビデオカメラであってもよい。
【0026】
詳細は図示しないが、管理端末3は、一般的なパーソナルコンピュータ(サーバ装置)としての構成を備えており、棚1から送信されるデータ(物品の状態を示すデータ等)に応じて、監視カメラ2による撮像のタイミングを決定する機能を有している。また、管理端末3は、棚1や監視カメラ2から送信されるデータをディスプレイに表示するとともに、これらのデータを大容量のハードディスク装置に記録する機能も有している。
【0027】
このように、商品管理システム100が管理端末3を備えていることにより、例えばバックヤードに控えるオペレータや店員であっても、管理端末3のディスプレイに表示されたデータ(文字や画像)を確認することによって、棚1における物品の異常を確認できる。また、商品管理システム100は、商品が盗難されたと判定されたときに監視カメラ2による撮像を行うことができ、効率的な情報収集が可能となる。
【0028】
図3は、棚1において1つの収納スペース9を形成する部分を拡大して示す図である。図3に示すように、各収納スペース9の床板を形成する横板部17が設けられている。なお、図3では内部構造を図示するために、横板部17の(+Y)側の面(前面)の一部を切り取った状態で図示している。また、図3に示す収納スペース9には3つの瓶からなる物品8が収納されている。
【0029】
図4は、図3に示す二点鎖線IV−IVで切断した状態の棚1を(+Z)方向から(−Z)方向に見た図である。ただし、図4では収納スペース9に収納された物品8を省略している。図4に示すように、本実施の形態における棚1は背板が存在しておらず、前面からだけでなく、(−Y)側からも物品8の搬入出が可能なように構成されている。
【0030】
図3および図4に示すように、棚1の収納スペース9には、当該収納スペース9に収納された物品8の異常を検出する異常検出装置4が設置される。異常検出装置4は、チューブ部材(支持部材)40、圧力センサ41および棚板42を備えており、通信部16との間のインターフェース規格(例えばUSB等)によって棚1に接続されている。
【0031】
チューブ部材40は、内部が中空の円筒状の部材である。チューブ部材40の一方端は封止されており、他端は圧力センサ41に連結されている。これにより、チューブ部材40の内部は密閉された空間となっており、当該内部には流体としての空気が封入されている。なお、チューブ部材40に封入される流体としては、空気以外の気体(例えば不活性ガス等)であってもよいし、気体ではなく水などの液体であってもよい。
【0032】
チューブ部材40は、外力によって内部容積が可逆的に変化する材質で構成されている。このようなチューブ部材40を構成する物質としては、例えばゴムや塩化ビニル、シリコン等を採用することができるが、内部に封入された流体が容易に漏れ出さないものが好ましい。
【0033】
チューブ部材40は、図4に示すように、棚板42の裏面周端部に配置されている。このような構成により、チューブ部材40は棚板42からの荷重に対して容易に変形する一方で、内部に封入された流体の圧力によって収納スペース9に収納された物品の荷重を支持する機能を有している。また、棚板42の周辺部を支持する位置にチューブ部材40を配置することにより、偏置荷重に対しても後述する圧力センサ41により良好な出力を得ることができる。
【0034】
圧力センサ41は、ダイヤフラムを有する受圧部を備えた一般的なセンサであって、先述のように、チューブ部材40の片端が連結される。このように構成することにより、チューブ部材40内の流体の圧力が圧力センサ41の受圧部に作用する構造となり、圧力センサ41は、チューブ部材40の内部に封入された流体の圧力の変化を検出することが可能となる。
【0035】
本実施の形態における異常検出装置4では、圧力センサ41の検出結果は、異常検出装置4の検出結果として通信部16を介して棚1のCPU11に伝達される。なお、圧力センサ41としては、一般に市販されている歪みゲージ式、薄膜式、あるいは半導体式等の様々なタイプを採用可能であり、チューブ部材40に封入される流体の性質等に応じて適宜選択することが可能である。
【0036】
棚板42は、収納スペース9内に水平姿勢で配置される略板状の部材であって、収納スペース9の水平方向の面積よりも、Y軸方向にわずかに短いサイズの部材である。棚板42は、横板部17のY軸方向両端に設けられる凸部によってY軸方向への移動を規制されており、筐体10の縦板によってX軸方向への移動を規制されている。
【0037】
一方、棚板42は、Z軸方向の移動は規制されておらず、上下方向には移動可能な状態となっている。すなわち、棚板42は筐体10に固設されることなく、はめ込まれた状態となっており、筐体10が棚板42を上下方向に案内するガイド部材を構成している。
【0038】
また、棚板42の上面は、図3に示すように、物品8が載置される載置面を形成しており、下面はチューブ部材40の上面に当接している。このような構成により、棚板42は異常検出装置4における秤の「受け皿」の機能を担っており、棚板42上の物品8の荷重はチューブ部材40内の流体の圧力によって支持される構造となる。
【0039】
このような構造により、異常検出装置4では、棚板42に載置される物品8の重量変化が、当該物品8の荷重を支持するチューブ部材40に作用する外力変化に変換される。そして、さらに当該外力変化は、チューブ部材40の内部に封入された流体の圧力変化に変換され圧力センサ41によって検出される。すなわち、従来の装置と異なり、本実施の形態における異常検出装置4は、物品の荷重をチューブ部材40に封入された流体を介して間接的に圧力センサ41に伝達する構造となっている。
【0040】
したがって、異常検出装置4が設置された収納スペース9から物品8が取り出されると、棚板42を介してチューブ部材40内の流体に作用する圧力が低下し、圧力センサ41から出力される値(当該流体の圧力を示す値)が減少する。一方、当該収納スペース9に物品8が搬入されると、棚板42を介してチューブ部材40内の流体に作用する圧力が増加し、圧力センサ41から出力される値が増加する。
【0041】
先述のように、本実施の形態における異常検出装置4は、圧力センサ41の出力をそのまま異常検出装置4の出力として扱う。すなわち、圧力センサ41の出力値が減少したときに、物品8が減少したというステータス異常を検出したとして、棚1のCPU11に圧力センサ41の出力値とともに検出結果を伝達する。また、圧力センサ41の出力値が増加したときは、物品8が増加したというステータス異常を検出したとして、CPU11に圧力センサ41の出力値とともに検出結果を伝達する。さらに、出力値が変動していない場合も、異常なしという検出結果を圧力センサ41の出力値とともにCPU11に伝達する。
【0042】
このように異常検出装置4は、出力値(検出結果)として圧力センサ41の出力値をそのまま用いることにより、チューブ部材40の内部に封入された流体の圧力の変化を物品8の異常として検出する。一般に市販されている汎用の圧力センサも出力(端子等)は備えているため、異常検出装置4はチューブ部材40および圧力センサ41として一般市販品を採用することが可能である。
【0043】
すなわち、市販のチューブ部材40の一方端を密封し(この場合空気が流体として封入される)、他方端を市販の圧力センサ41に連結するだけで異常検出装置4は極めて簡易に製作することができる。したがって、異常検出装置4は従来の装置に比べて非常に安価に製造することが可能である。
【0044】
先述のように、異常検出装置4からの出力はCPU11にそのまま伝達される。本実施の形態では、異常検出装置4の検出結果に応じて、棚1のCPU11がこれを解析し、検出された「異常」への対応を決定する。言い換えれば、商品管理システム100では、異常検出装置4によって検出された「異常」を、そのまま店舗としての「異常」とみなすわけではない。
【0045】
具体的には、異常検出装置4は所定の周期で出力値を棚1に伝達しており、棚1のCPU11は、異常検出装置4から得られる出力値を毎回RAM13に記憶する。
【0046】
次に、CPU11は、前回得られた出力値と最新に得られた出力値との差(変動値)を求め、当該変動値の絶対値が、予め設定されRAM13に格納されている閾値よりも小さい場合は、「異常なし」とみなして、何らの出力も行わない。これにより、棚1は、異常検出装置4(圧力センサ41)の異常検出感度が必要以上に高すぎる場合であっても、誤報を抑制することができる。
【0047】
一方、変動値の絶対値が閾値以上である場合は、変動値の正負を判定し、「正」であれば「物品の増加異常」と判定し、「負」であれば「物品の減少異常」と判定する。
【0048】
一般に、「異常」として検出すべき変動値は、物品8の種類に応じて異なるものである。物品8の減少についていえば、減少した重量が同じでも、物品8を構成する商品1つあたりの重量によって、1個の商品が減少したのか、10個の商品が減少したのか、状況は異なる。また、商品によってまとめ買いされるものや、そうでないものもあり、減少した個数が同じでも物品の状態として「異常」か否かは異なる。
【0049】
また、店舗の営業時間内であれば、1つ2つの商品の減少は顧客による正規の購入である可能性が高く、これを異常と判定すれば誤報が増大する。したがって、一度に多数の物品8が減少した場合のみ「異常」と判定して、少なくとも商品がケースごと多量に盗難されるような場合については検出するようにするのが好ましい。一方、営業時間外であれば、店内に顧客はいないと考えられるので、例え少量の物品8の減少であったとしても、「異常」と判定するのが好ましい。
【0050】
したがって、本実施の形態における棚1は、収納スペース9(異常検出装置4)ごとにそれぞれ閾値をRAM13に記憶しており、各物品(各収納スペース9に収納される物品)について、どの程度の重量変化を「異常」と判定すべきかを、当該閾値を変更することによって調整できるように構成されている。なお、同じ物品であっても、増加であるか減少であるかによって異常と判定すべきか否かが異なるので、それぞれの場合ごとに異なる閾値を用いてもよい。
【0051】
棚1のCPU11が「異常」と判定した場合、CPU11は、LED14を点滅させるとともに、スピーカ15に音声データを再生させることにより警告音を鳴らす。これによって、万引き等をしようとする者に対して威嚇や店員への通報、あるいは注意喚起等を行うことができる。
【0052】
また、棚1のCPU11は、異常と判定した結果を管理端末3に伝達する。この場合、管理端末3は、ディスプレイに警報画面を表示してオペレータに通報するとともに、監視カメラ2に棚1の周囲を撮影させる。これによって、先述のように、バックヤード等に控えている店員にも異常を知らせることができる。また、「異常」を検出した場合に、監視カメラ2に撮影を行わせることにより、常に撮影する場合に比べて、効率よく情報収集することができる。
【0053】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0054】
例えば、上記実施の形態では、棚1のRAM13に格納されている閾値を変更することによって「異常」と判定する状態を変更するように構成した。しかし、チューブ部材40と圧力センサ41との間に、断面積の異なる2つのピストンからなる秤量変換アタッチメントを接続することにより、変更してもよい。あるいは、感度の異なる圧力センサ41を適宜選択してもよい。
【0055】
また、商品管理システム100が備える情報収集端末としては、映像情報を取得する監視カメラ2に限定されるわけではなく、音声情報を取得するマイク等であってもよい。
【0056】
また、チューブ部材40を渦巻き状にして、横板部17のほぼ全面に当接するように構成してもよい。あるいは支持部材をチューブ部材40のような円筒形状ではなく、座布団状としてもよい。あるいは面状の支持部材の周囲を筐体10の横板部17(あるいは棚板42)に密着させ、支持部材と横板部17(棚板42)との間に流体を封入する構造を採用してもよい。すなわち、支持部材は上方向からの物品の荷重を内部に封入した流体の圧力に変換できる構造であれば、どのような構造が採用されてもよい。
【0057】
また、商品管理システム100において、店員の行動とリンクさせることによって「異常」であるか否かの判定精度を向上させてもよい。例えば、物品8の補充を行うことを予め店員が管理端末3等から入力したときは、物品8が増加しても「正常」と判定するように構成してもよい。
【0058】
また、物品8の重量変化の大きさに応じて、棚1における出力方法を段階的に変更してもよい。例えば、変動値の絶対値が小さいときはLED14を点滅させるだけに止め、大きいときはスピーカ15による警告音を再生するように構成してもよい。
【0059】
また、異常検出装置4にマイクロコンピュータを搭載して、CPU11の機能を異常検出装置4において実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る棚を備えた商品管理システムの構成例を示す図である。
【図2】棚の構成を示すブロック図である。
【図3】棚において1つの収納スペースを形成する部分を拡大して示す図である。
【図4】図3に示す二点鎖線IV−IVで切断した状態の棚を(+Z)方向から(−Z)方向に見た図である。
【符号の説明】
【0061】
1 棚
10 筐体
11 CPU
14 LED
15 スピーカ
2 監視カメラ
3 管理端末
4 異常検出装置
40 チューブ部材
41 圧力センサ
42 棚板
8 物品
9 収納スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚に収納されている物品の異常を検出する異常検出装置であって、
内部に封入された流体の圧力によって物品の荷重を支持する支持部材と、
前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の変化を検出する圧力センサと、
を備えることを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異常検出装置であって、
前記圧力センサは、前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の減少を検出することを特徴とする異常検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の異常検出装置であって、
前記圧力センサは、前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の増加を検出することを特徴とする異常検出装置。
【請求項4】
物品を収納する棚であって、
少なくとも1つの収納スペースを形成する筐体と、
前記収納スペースに収納された物品の異常を検出する異常検出装置と、
前記異常検出装置の検出結果に応じた出力を行う出力手段と、
を備え、
前記異常検出装置は、
内部に封入された流体の圧力によって物品の荷重を支持する支持部材と、
前記支持部材の内部に封入された流体の圧力の変化を検出する圧力センサと、
を備えることを特徴とする棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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