説明

異常検出装置

【課題】比較手段の数を抑制することができる異常検出装置を提供する。
【解決手段】複数の半導体素子と、複数の半導体素子にそれぞれ対応して設けられ、複数の半導体素子の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段と、複数の半導体素子の異常を検出する異常検出手段とを備え、異常検出手段は、複数の半導体素子のうち一の半導体素子の温度を検出する温度検出手段の検出温度と、半導体素子の上限温度を示す第1の閾値温度とを比較する第1の比較手段と、複数の半導体素子のうち他の半導体素子の温度を検出する温度検出手段の検出温度から、他の半導体素子の平均温度を算出する温度算出手段と、平均温度と所定の第2の閾値温度とを比較する第2の比較手段とを有し、第1の比較手段の比較結果及び第2の比較手段の比較結果に基づいて、複数の半導体素子の異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の異常検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子とその温度を検出するためのダイオードを内蔵した半導体モジュールを複数個用いて構成される電気回路において、複数個の前記温度検出用ダイオードを直列に接続して1個の定電流回路から一定電流を供給するとともに、基準電圧を発生する基準電圧源と、前記温度検出用ダイオードの両端の電圧を前記基準電圧と比較する比較回路とを直列に接続した回路を、前記各温度検出用ダイオードと並列に接続する半導体モジュールの温度検出装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−107232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の半導体モジュールの温度検出装置では、複数個の温度検出用ダイオードの数と同数の比較回路を設ける必要があり、比較回路の必要数が多くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、比較手段の数を抑制することができる異常検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の半導体素子のうち一の半導体素子の温度を検出する温度検出手段の検出温度と半導体素子の上限温度を示す第1の閾値温度とを比較する第1の比較手段と、複数の半導体素子のうち他の半導体素子の温度を検出する温度検出手段の検出温度から他の半導体素子の平均温度を算出する温度算出手段と、当該平均温度と所定の第2の閾値温度とを比較する第2の比較手段とを有し、第1の比較手段の比較結果及び第2の比較手段の比較結果に基づいて、複数の半導体素子の異常を検出することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の半導体素子の平均温度を比較手段における比較対象とすることで、複数の半導体素子に対応する複数の検出温度を、それぞれ異なる比較手段に入力する必要がないため、比較手段の数を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る異常検出装置を含む電力変換装置のブロック図である。
【図2】図1の異常検出装置のブロック図である。
【図3】図2のダイオードの温度に対する電圧特性を示すグラフである。
【図4】(a)図1のスイッチング素子及び冷却器の平面図である。(b)図1のスイッチング素子及び冷却器の側面図である。
【図5】図2の異常検出装置の回路図である。
【図6】図1スイッチング素子の時間に対する温度特性を示すグラフである。
【図7】図2の異常検出装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係る異常検出装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る異常検出装置を含む電力変換装置を示すブロック図である。詳細な図示は省略するが、電力変換装置は、例えば、電気自動車又はハイブリッド車両に搭載され、負荷4に含まれるモータを駆動させる駆動装置として用いられる。なお、本例の電力変換装置は、車両用に限らず、他の装置に搭載されてもよい。以下、本例の電力変換装置を電気自動車に搭載した場合の例について説明する。
【0011】
本例の電力変換装置は、負荷4の電源源となるバッテリ1と、リレー2と、当該バッテリ1の直流電力を交流電力に変換するインバータ3と、負荷4と、コントローラ10とを備える。
【0012】
バッテリ1は、リレー2を介してインバータ3に接続されている。バッテリ1には、例えばリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。リレー2は、車両のキースイッチ(図示しない)のON/OFF操作に連動して、開閉駆動する。キースイッチ(図示しない)がオンの時に、リレー2が閉じられ、キースイッチ(図示しない)がオフの時に、リレー2が開かれる。
【0013】
インバータ3は、複数のスイッチング素子Q1〜Q6と、各スイッチング素子Q1〜Q6に並列に接続され、スイッチング素子Q1〜Q6の電流方向とは逆方向に電流が流れる整流素子(ダイオード)D1〜D6を有し、バッテリ1の直流電力を交流電力に変換して、負荷4に供給する。本例では、2つのスイッチング素子を直列に接続した3対の回路がバッテリ1に並列に接続され、各対のスイッチング素子間とモータ4の三相入力部とがそれぞれ電気的に接続されている。各スイッチング素子Q1〜Q6には、同一のスイッチング素子が用いられ、例えば、絶縁ゲートパイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられる。
【0014】
図1に示す例でいえば、スイッチング素子Q1とQ2、スイッチング素子Q3とQ4、スイッチング素子Q5とQ6がそれぞれ直列に接続され、スイッチング素子Q1とQ2の間と、スイッチング素子Q3とQ4の間と、スイッチング素子Q5とQ6の間とが負荷4にそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q1、Q3、Q5は、バッテリ1の正極側に電気的に接続されており、スイッチング素子Q2、Q4、Q6は、バッテリ1の負極側に電気的に接続されている。各スイッチング素子Q1〜Q6のオン及びオフの切り換えは、コントローラ10又は保護部20により制御される。なお、図1では図示を省略しているが、インバータ3には、スイッチング素子Q1〜Q6のそれぞれの温度を検出するための検出素子として、ダイオード31〜36が各スイッチング素子Q1〜Q6と対応づけて設けられている。ダイオード31〜36に係る具体的な構成は後述する。
【0015】
インバータ3は、コンデンサ5、抵抗6、電圧センサ7、駆動部8及び保護部20を備え、コンデンサ5、抵抗6及び電圧センサ7は、リレー2と各スイッチング素子Q1〜Q6との間に接続されている。コンデンサ5は、バッテリ1から供給される直流電力を平滑化するために設けられる。電圧センサ7は、コンデンサ5の電圧を検出するセンサである。駆動部8は、各スイッチング素子Q1〜Q6に対してゲート信号を送信し、各スイッチング素子Q1〜Q6のオン及びオフを駆動させる。駆動部8は、電圧センサ7からの信号を入力とし、当該信号をコントローラ10により認識できる波形レベルに変換し、コンデンサ5の電圧を示す信号として、コントローラ10に送信する。保護部20は、スイッチング素子Q1〜Q6の異常を検出し、スイッチング素子Q1〜Q6に異常が発生した場合に、駆動部8を介して、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング動作を停止させる。なお、保護部20の具体的な構成及び制御は後述する。
【0016】
コントローラ10は、インバータ3を制御し、負荷4へ供給される電力を制御する。コントローラ10は、外部から送信されるトルク指令値(T)を示す信号、図示しない回転子位置センサからの信号、図示しない電流センサから送信される相電流の検出信号、及び、電圧センサ7からの信号を読み込み、PWM(パルス幅変調)信号を生成し、当該信号を駆動部8に送信する。そして、駆動部8は、当該パルス幅変調信号に基づき、スイッチング素子Q1〜Q6を所定のタイミングでオン及びオフさせる。
【0017】
次に、図2を用いて、本例の異常検出装置を説明する。図2は、本例の異常検出装置のブロック図である。なお、図2では、バッテリ1の正極側(P側)に接続されるスイッチング素子Q1、Q3及びQ5の接続部分について図示されているが、バッテリ1の負極側(N側)に接続されるスイッチング素子Q2、Q4及びQ6についても、下記と同様に、ダイオード32、34、36がスイッチング素子Q2、Q4、Q6とそれぞれ対応づけて設けられ、ダイオード32、34、36が保護部20に接続されている。
【0018】
本例の異常検出装置は、スイッチング素子Q1〜Q6、ダイオード31〜36、保護部20、駆動部8、論理回路41及びパルス発生器42を備えている。ダイオード31はスイッチング素子Q1の近傍であって、スイッチング素子Q1の温度変化による熱干渉を受ける範囲内に設けられている。ダイオード33、35も同様に、スイッチング素子Q3、Q5の近傍にそれぞれ設けられている。これにより、ダイオード31、33、35は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5にそれぞれ対応づけて設けられる。
【0019】
ダイオード31、33、35は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度をそれぞれ検出する検出素子であり、図3に示すような特性をもっている。図3は、ダイオード31〜36の素子温度に対する順方向電圧の特性を示すグラフである。ダイオード31〜36に定電流を流している状態で、ダイオード31〜36の温度が高くなるほどダイオード31〜36の順方向電圧が低くなるため、ダイオード31〜36に接続される保護部20は、順方向の降下電圧を測定することで、スイッチング素子Q1〜Q6の過温による異常を検出する。
【0020】
ダイオード31、スイッチング素子Q1及びダイオードD1は、スイッチングモジュール301としてモジュール化されており、同様に、ダイオード33、スイッチング素子Q3及びダイオードD3はスイッチングモジュール303として、ダイオード35、スイッチング素子Q5及びダイオードD5はスイッチングモジュール305としてモジュール化されている。なお、図示はしていないが、スイッチングモジュール301、303、305において、バッテリ1からの電流に対して、モジュールにおける損失を抑制し、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度上昇を抑制するために、スイッチング素子Q1、Q3、Q5は、複数のトランジスタを並列に接続する構成であってもよい。
【0021】
保護部20は、ダイオード31、33、35の降下電圧からスイッチング素子Q1、Q3、Q5の異常を検出するための回路であって、ダイオード31、33、35に接続されている。保護部20は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度が過度に上昇した場合には、スイッチング素子Q1、Q3、Q5に異常が生じた判定し、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の異常を示す異常信号を論理回路41に出力する。
【0022】
論理回路41は、AND回路で構成され、保護部20と駆動部8との間に接続されている。パルス発生器42は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の異常を所定の周期でサンプリングするための、パルス信号を論理回路41に出力する。そして、論理回路41は、保護部20からの信号出力及びパルス発生器42の出力パルスを入力とし、論理演算を行い、演算結果を駆動部8に出力する。そして、駆動部8は、論理回路41の出力信号がスイッチング素子Q1〜Q6の異常を示す信号である場合には、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング制御を停止する。
【0023】
次に、図4を用いて、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度特性について説明する。図4は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5のレイアウトを示す図であり、(a)はスイッチング素子Q1、Q3、Q5及び冷却器9の平面図を、スイッチング素子Q1、Q3、Q5及び冷却器9の側面図を示す。
【0024】
スイッチング素子Q1、Q3、Q5は図示しない基板上に設けられ、当該基板を介して冷却器9の表面に互いに並んだ状態で設けられている。スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q5に挟まれるよう配置されている。スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度は、スイッチングQ1、Q3、Q5の配置により影響する。ここで、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度をTJ1、TJ3、TJ5とし、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の熱抵抗をRth1、Rth3、Rth5とし、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の各損失をP1、P3、P5とし、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3との間の熱干渉係数をk、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q5との間の熱干渉係数をk’とする。スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度をTJ1、TJ3、TJ5は以下の式(1)で表される。
【数1】

【0025】
並列状態に配置されたスイッチング素子Q1、Q3、Q5には、素子間での損失の偏りを抑制するために、同等の特性のスイッチング素子が用いられるため、スイッチング動作状態における各スイッチング素子の損失P1、P3、P5の間には以下の式(2)の関係が成立する。
【数2】

【0026】
そして、これらの損失(P1、P3、P5)を損失(P)として置き換えると、式(1)は、以下の式(3)で表される。
【数3】

【0027】
また、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の下に設けられている冷却器9の冷却構造を同じにすると、各スイッチング素子Q1、Q3、Q5の熱抵抗Rth1、Rth3、Rth5はほぼ等しくなり、熱抵抗Rth1、Rth3、Rth5の間には、以下の式(4)の関係が成立する。
【数4】

【0028】
そして、これらの熱抵抗(Rth1、Rth3、Rth5)を損失(Rth)として置き換えると、式(3)は、以下の式(5)で表される。
【数5】

【0029】
スイッチング素子Q1の温度は主にスイッチング素子Q3からの熱干渉を、スイッチング素子Q5の温度は主にスイッチング素子Q3からの熱干渉を主に受けるが、スイッチング素子Q3の温度は、スイッチング素子Q1からの熱干渉及びスイッチング素子Q5からの熱干渉を受ける。そのため、式(5)でも表されるように、スイッチング素子Q3の単位時間あたりの温度上昇率は、スイッチング素子Q1、Q5の単位時間あたりの温度上昇率と比べて高くなる。そして、スイッチング素子Q1〜Q6のレイアウトは設計段階で予め決まるため、スイッチング素子Q1〜Q6の中から、温度上昇率が最も高いスイッチング素子Q1〜Q6を予め特定することができる。
【0030】
図5を用いて、本例の異常検出装置の具体的な回路構成を説明する。図5は、本例の異常検出装置の回路図である。異常検出装置は、スイッチング素子Q1〜Q6の温度を検出する検出部30と、保護部20とを有している。検出部30は、温度検出用のダイオード31、33、35と、定電流を出力する電流源37、38とを有している。ダイオード31、33、35のうち、ダイオード33は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の中で最も温度上昇率の高いスイッチング素子Q3に設けられ、他のダイオード31及びダイオ−ド35に接続されていない。一方、ダイオード31、35は、スイッチング素子Q1、Q5にそれぞれ設けられ、直列に接続され、ダイオード33には接続されていない。ダイオード33のアノード側には電流源37が接続され、ダイオード33のカソード側はアース接地されている。ダイオード31のアノード側には電流源38が接続され、ダイオード31のカソード側とダイオード35のアノード側とが接続され、ダイオード35のカソード側はアース接地されている。電流源37から出力される電流はダイオード33に一定の電流を流し、電流源38はダイオード31及びダイオード35に一定の電流を流す。ダイオード33には単独の電流源37が設けられる。
【0031】
保護部20は、算出部21と、比較器22、23と、論理回路29とを有している。算出部21は、スイッチング素子Q1〜Q6の温度が異常温度になったことを判断するための閾値温度を閾値電圧(V3、V4)として算出し、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度を平均電圧(V5)として算出する。算出部21は、抵抗R1〜R6及び基準電源(V1)を有している。
【0032】
抵抗R1、R2は直列接続され、抵抗R1、R2の直列回路の一端には基準電源(V1)が接続され、当該直列回路の他端はアース設定されている。また抵抗R1と抵抗R2との接続点と比較器22の非反転入力が接続されている。抵抗R3、R4は直列接続され、抵抗R3、R4の直列回路の一端には、比較器22の反転入力及びダイオード33のアノード側が接続され、当該直列回路の他端はアース設定されている。また抵抗R3と抵抗R4との接続点と比較器23の非反転入力が接続されている。抵抗R5、R6は直列接続され、抵抗R5、R6の直列回路の一端には、ダイオード31のアノード側が接続され、当該直列回路の他端はアース設定されている。抵抗R5及び抵抗R6の接続点と比較器23の反転入力が接続されている。
【0033】
比較器22、23の入力側は算出部21に接続され、出力側はNOR回路である論理回路29及び論理回路41を介して駆動部8に接続されている。比較器22は最も温度上昇率の高いスイッチング素子Q3の異常を検出するための比較器である。比較器23はスイッチング素子Q1、Q5の平均温度を用いて、スイッチング素子Q1、Q5の異常を検出するための比較器である。論理回路29は、比較器22から出力されるスイッチング素子Q3の異常を示す信号、及び、比較器23から出力されるスイッチング素子Q1、Q5の異常を示す信号に基づいて、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の異常を示す信号を論理回路41に出力する。
【0034】
次に、図5に示す異常検出装置の回路の動作について説明する。比較器22は、閾値電圧(V3)と、ダイオード33の電圧(VF2)とを比較し、電圧(VF2)が閾値電圧(V3)より低くなると、比較器22から、スイッチング素子Q3の温度が異常温度に達したことを示す異常信号を出力する。閾値電圧(V3)は、スイッチング素子Q1〜Q6の上限温度に相当する電圧の閾値であって、基準電圧(V1)に対して、抵抗R1、R2の抵抗値を規定することで、設定される電圧である。閾値電圧(V3)は、以下の式(6)で表される。
【数6】

【0035】
スイッチング素子Q1〜Q6の上限温度は、スイッチング素子に性能劣化が発生する温度や耐熱温度等の、性能上許容可能な温度範囲の上限値であって、スイッチング素子Q1〜Q6の特性に応じて設計段階で予め決まっている。そして、スイッチング素子Q3が上限温度に達した時に、ダイオード33の降下電圧は、ダイオード33の特性及びスイッチングモジュール303のレイアウトに応じて予め決まる。そのため、比較器22において、当該降下電圧に相当するダイオード33の電圧が入力された場合に、出力値が反転するよう、閾値電圧(V3)を設定する。
【0036】
そして、スイッチング素子Q3の温度が高くなり、上限温度に達すると、ダイオード33の電圧(VF2)が閾値電圧(V3)より低くなるため、比較器22は、スイッチング素子Q3の異常を示す信号を出力する。
【0037】
ここで、上記のように、スイッチング素子Q3は、他のスイッチング素子Q1、Q5より温度上昇率が高い素子であるため、スイッチング素子Q3が上限温度に達した場合でも、通常、他のスイッチング素子Q1、Q5の温度は上限温度より低くなる。そのため、スイッチング素子Q3の温度が上限温度に達した時点で、スイッチング素子Q3の異常を検出し、スイッチング素子Q1〜Q6のフェールセーフ制御を行うことで、スイッチング素子Q3以外のスイッチング素子Q1〜Q6についても、保護を図ることができる。
【0038】
比較器23は、閾値電圧(V4)と、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度に相当する電圧(V5)とを比較して、電圧(V5)が閾値電圧(V4)より低くなると、比較器23から、スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q3の温度が異常温度に達したことを示す異常信号を出力する。電圧(V5)は、ダイオード31のアノードの電圧に対して、抵抗R5、R6の抵抗値を規定することで、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度に相当する、電圧であって、以下の式(7)で表される。
【数7】

【0039】
ダイオード31、35はスイッチング素子Q1、Q5と対応させつつ、直列に接続されているため、ダイオード31のアノード側の電圧(VF1)は、スイッチング素子Q1の温度とスイッチング素子Q5の温度との合計温度に相当する。そして、式(7)において、抵抗R5、R6の抵抗値を等しくすれば、電圧(VF1)を、スイッチング素子Q1、Q5の個数(図5の例では2個)で除算していることになるため、電圧V5は、スイッチング素子Q1、Q5は平均温度に相当する電圧となる。
【0040】
なお、図5に示す回路では、3個のスイッチング素子Q1、Q3、Q5を並列に配列し、その内2個のスイッチング素子Q1、Q5の平均温度を、電圧V5で算出したが、並列に並べるスイッチング素子が増加し、n個(ただし、nは2以上の整数である)になった場合には、上記の抵抗R5、R6の比率を、以下の式(8)を満たすように設定すれば、(n−1)このスイッチング素子Q1〜Q6の平均温度に相当する電圧を算出することができる。
【数8】

【0041】
閾値電圧(V4)は、ダイオード33の電圧(VF2)に対して、抵抗R3、R4の抵抗値を規定することで、設定される電圧であり、以下の式(9)で表される。
【数9】

【0042】
スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5の温度が異常に高くなった場合には、スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5の温度は、スイッチング素子Q3の温度よりも高くなり、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度は、スイッチング素子Q3の温度より高くなる。そのため、比較器23において、スイッチング素子Q3の温度に基づく電圧(V4)と、平均温度に相当する(V5)とを比較することで、スイッチング素子Q1、Q5の異常を検出する。
【0043】
また、式(9)に示すように、閾値電圧(V4)は、ダイオード33の電圧(VF2)より低い電圧に設定されている。そのため、閾値電圧(V4)に相当する温度がスイッチング素子Q3の温度よりも高くなるように、閾値電圧(V4)は設定されている。
【0044】
通常、スイッチング素子Q3の温度は、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度より高くなる。しかし、過渡的には、スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5が正常に動作している場合にも、スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5の温度が、スイッチング素子Q3の温度より高くなる場合がある。一方、スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5に異常が生じている場合には、スイッチング素子Q1、Q5の温度は、過渡的に上昇した温度を超えて上昇する。そのため、本例では、比較器23が、過渡的に温度上昇した場合にスイッチング素子Q1、Q5に異常が生じている、と誤検知しないように、閾値電圧(V4)が設定されている。言い換えると、本例は、最も温度上昇率の高いスイッチング素子Q3の温度に対して偏差を持たせた閾値温度を設定し、当該閾値温度に相当する電圧を、閾値電圧(V4)として設定している。そして、当該偏差は、抵抗R3、R4の抵抗値で規定される。
【0045】
ここで、式(5)を用いて、当該偏差について説明する。まずスイッチング素子Q1、Q5の平均温度(Average(TJ1,TJ5))は以下の式(10)で表される。
【数10】

【0046】
スイッチング素子Q3の温度(TJ3)と式(10)で示される平均温度(Average(TJ1,TJ5))との差分をとることで、定常時の偏差(δ)が算出され、以下の式(11)で示される。
【数11】

【0047】
ここに熱抵抗Rthと正常時のスイッチング素子Q1〜Q6の最大損失(Pmax)を式(11)に代入することで、温度の偏差(δ)が算出される。さらに、偏差(δ)に相当する、ダイオード33の降下電圧を、抵抗R3、R4の抵抗値で規定する。これにより、算出部21において、電圧(VF2)を用いて、閾値電圧(V4)が算出される。
【0048】
そして、スイッチング素子Q1、Q5に異常が生じ、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度とスイッチング素子Q3の温度との温度差が、抵抗R3、R4の抵抗値で規定される偏差を超えると、電圧(V5)が閾値電圧(V4)より低くなるため、比較器23は、スイッチング素子Q1、Q5の異常を示す信号を出力する。
【0049】
次に、図6を用いて、スイッチング素子Q1、Q3、Q5に異常が生じた場合の温度推移に対する、本例の異常検出装置の異常検出のタイミングについて説明する。図6は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度の時間特性を示すグラフであり、グラフaはスイッチング素子Q3に異常が生じた場合のスイッチング素子Q3の温度特性を、グラフaはスイッチング素子Q1、Q5が正常な時のスイッチング素子Q1、Q5の平均温度の温度特性を、グラフbはスイッチング素子Q3が正常な時のスイッチング素子Q3の温度の温度特性を、グラフbはスイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5に異常が生じた場合のスイッチング素子Q1、Q5の平均温度の温度特性を示す。またグラフcは、閾値電圧(V4)に相当する閾値温度(T4)を示すグラフである。温度(T3)は閾値電圧(V3)に相当する閾値温度である。
【0050】
なお、図5に示す、異常検出の回路上では、スイッチング素子Q1〜Q6の温度変化を、ダイオード31〜36の降下電圧に変換した上で、保護部20で電圧を比較することで、スイッチング素子Q1〜Q6の異常を検出したが、ダイオード31〜36の降下電圧とスイッチング素子Q1〜Q6の温度は相関性を有しているため、以下では、ダイオード31〜36の電圧をスイッチング素子Q1〜Q6の検出温度に置き換えて説明する。
【0051】
まず、スイッチング素子Q3に異常が生じた場合の異常検出について、グラフa、aを用いて説明する。スイッチング素子Q3に異常が生じている場合には、スイッチング素子Q3の温度は、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度との温度よより高い温度に早く上昇する。そして、時刻tの時点で、スイッチング素子Q3の温度が閾値温度(T3)より高くなり、比較器22は出力を反転させて、スイッチング素子Q3の異常を示す信号を出力する。
【0052】
次に、スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5に異常が生じた場合の異常検出について、グラフb、b、cを用いて説明する。スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5に異常が生じている場合には、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度はスイッチング素子Q3の温度より高い温度に早く上昇する。また閾値電圧(V4)に相当する閾値温度(T4)は、スイッチング素子Q3の温度の上昇に伴い、スイッチング素子Q3の温度より高い温度で時間の経過と共に上昇する。スイッチング素子Q1又はスイッチング素子Q5の温度上昇が始まった時には、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度とスイッチング素子Q3との温度差が小さいため、平均温度は閾値温度(T4)より低い。しかし、時間の経過と共に、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度とスイッチング素子Q3との温度差が大きくなると、平均温度と閾値温度(T4)との温度差が縮まり、時刻tの時点で、平均温度が閾値温度(T4)より高くなる。そして、比較器23は出力を反転させて、スイッチング素子Q1、Q5の異常を示す信号を出力する。
【0053】
一方、本例とは異なり、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度が閾値温度(T3)より高くなった場合に、スイッチング素子Q1、Q5の異常を検出する比較例について説明する。比較例において、閾値温度(T3)は固定した値であって、スイッチング素子Q3の温度上昇とは相関性のない値である。そのため、図6に示すように、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度が閾値温度(T3)に達するのは、時刻tの後の時刻tの時点となる。すなわち、本例はスイッチング素子Q3の温度に基づいて設定した閾値温度(T4)とスイッチング素子Q1、Q5の平均温度との偏差、言い換えればスイッチング素子Q1、Q5の平均温度とスイッチング素子Q3の温度との偏差に基づいてスイッチング素子Q1、Q5の異常を検出することで、比較例より早く、スイッチング素子Q1、Q5の異常を検出することができる。
【0054】
次に、図7を用いて、本例の異常検出装置の制御手順を説明する。なお、図7に示す制御フローは、所定の周期で行われている。ステップS1にて、検出部30は、スイッチング素子Q1〜Q6の温度変化によるダイオード31〜36の降下電圧から、スイッチング素子Q1〜Q6の温度を検出する。ステップS2にて、算出部21は、電圧(V5)を算出することで、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度を算出する。ステップS3にて、算出部21は、電圧(VF2)から閾値電圧(V4)を算出することで、当該閾値電圧(V4)に相当する閾値温度(T4)を算出する。
【0055】
ステップS4にて、比較器22が電圧(VF2)と閾値電圧(V3)とを比較することで、スイッチング素子Q3の温度が閾値温度(T3)より高いか否かを判定する。スイッチング素子Q3の温度が閾値温度(T3)より高い場合には、ステップS6に遷る。
【0056】
一方、スイッチング素子Q3の温度が閾値温度(T3)以下である場合には、ステップS5にて、比較器23が電圧(V5)と閾値電圧(V4)とを比較することで、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度が閾値温度(T4)より高いか否かを判定する。スイッチング素子Q1、Q5の平均温度が閾値温度(T4)より高い場合には、ステップS6に遷る。一方、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度が閾値温度(T4)以下である場合には、本例の制御を終了する。
【0057】
ステップS4に戻り、スイッチング素子Q3の温度が閾値温度(T3)より高い場合には、ステップS6にて、保護部20はスイッチング素子Q3に異常が生じたと判断し、比較器22は、スイッチングQ3の異常を示す信号を駆動部8に送信し、駆動部8は当該信号に基づき、スイッチング素子Q1〜Q6のフェールセーフ制御を行い、本例の制御を終了する。
【0058】
ステップS5に戻り、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度が閾値温度(T4)より高い場合には、ステップS6にて、保護部20はスイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q5に異常が生じたと判断し、比較器22は、スイッチング素子Q1またはスイッチング素子Q5の異常を示す信号を駆動部8に送信し、駆動部8は当該信号に基づき、スイッチング素子Q1〜Q6のフェールセーフ制御を行い、本例の制御を終了する。
【0059】
上記のように、本例は、スイッチング素子Q1〜Q6にそれぞれ対応して設けられたダイオード31〜36と、スイッチング素子Q1〜Q6の異常を検出する保護部20とを備え、保護部20は、算出部21によりスイッチング素子Q1、Q5の平均温度を算出し、比較器22において、スイッチング素子Q3の検出温度と閾値温度(T3)とを比較し、比較器23において当該平均温度と閾値温度(T4)とを比較し、比較器22の比較結果及び比較器23の比較結果に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q6の異常を検出する。これにより、スイッチング素子Q1〜Q6及びダイオード31〜36の個数と同数の比較器22、23を設ける必要がないため、比較器22、23の数を抑制することができる。
【0060】
また本例は、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の中で最も温度上昇率が高いスイッチング素子Q3の検出温度と閾値温度(T3)とを比較する。これにより本例は、比較器22から出力される、スイッチング素子Q3の異常を示す信号に基づいて、駆動部8でスイッチング素子Q1〜Q6に対してフェールセーフ制御を行うことで、スイッチング素子Q3の温度が上限温度を超えることを防ぎつつ、他のスイッチング素子Q1、Q5の温度上昇も防ぐことができる。
【0061】
また本例において、閾値温度(T4)はスイッチング素子Q3の検出温度に相当し、当該閾値温度(T4)とスイッチング素子Q1、Q5の平均温度との温度差が、偏差(δ)に相当する所定値以上である場合に、スイッチング素子Q1又はQ5に異常が生じたと判定する。これにより、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度と、予め設定した固定値を比較して、スイッチング素子Q1、Q5の異常を検出する場合と比較して、本例は早く検出ことができ、また、検出精度を高めることができる。
【0062】
また、本例において、閾値温度(T4)はスイッチング素子Q3の検出温度に、偏差(δ)を加算した温度であり、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度が当該閾値温度(T4)以上である場合に、スイッチング素子Q1又はQ5に異常が生じたと判定する。これにより、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度と、予め設定した固定値とを比較して、スイッチング素子Q1、Q5の異常を検出する場合と比較して、本例は早く検出ことができ、また、検出精度を高めることができる。
【0063】
また本例において、検出部30は、ダイオード31〜36と、電流源37、38とを有している。これにより、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度を算出する回路を安価な回路構成で実現することができる。
【0064】
なお本例は、図8に示すように、検出部30の検出値を入力とし、ソフトウェア上で、スイッチング素子Q1〜Q6の異常を判定してもよい。図8は、本発明の変形例に係る異常検出装置のブロック図である。異常検出装置は、保護部20と、検出部30と、A/Dコンバータ50とを有している。A/Dコンバータ50は、検出部30と保護部20との間に接続され、検出部30から出力されるダイオード31のアノードの電圧及びダイオード33のアノードの電圧を、デジタル変換し、保護部20に出力する。
【0065】
保護部20は、温度算出部24と、第1比較部25と、第2比較部26と、異常判定部27とを有している。温度算出部24は、A/Dコンバータの出力値から、スイッチング素子Q1、Q3、Q5の温度(TQ1、TQ3、TQ5)を算出する。そして、温度算出部24は、スイッチング素子Q1、Q5の温度(TQ1、TQ5)を用いて、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度(TAVE)を算出し、スイッチング素子Q3の温度(TQ3)を用いて、偏差(δ)を含めた閾値温度(T4)を算出する。温度算出部24は、第1比較部25にスイッチング素子Q3の温度(TQ3)を、第2比較部26にスイッチング素子Q1、Q5の平均温度(TAVE)及び閾値温度(T4)を出力する。
【0066】
第1比較部25は、閾値電圧(T3)とスイッチング素子Q3の温度(TQ3)を比較し、スイッチング素子Q3の温度(TQ3)が閾値温度(T3)より高い場合に、スイッチング素子Q3の異常を示す信号を、異常判定部27に出力する。第2比較部26は、閾値電圧(T4)とスイッチング素子Q1、Q5の平均温度(TAVE)とを比較し、スイッチング素子Q1、Q5の平均温度(TAVE)が閾値電圧(T4)より高い場合に、スイッチング素子Q1、Q5の異常を示す信号を、異常判定部27に出力する。
【0067】
そして、異常判定部27は、第1比較部25、26から送信される信号に、スイッチング素子Q1〜Q6の異常を信号が含まれている場合には、論理回路41を介して、異常信号を駆動部8に送信する。駆動部8は当該異常信号に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q6のフェールセーフ制御を行う。
【0068】
なお、上記スイッチング素子Q1〜Q6は本発明の「複数の半導体素子」に相当し、ダイオード31〜36を含む検出部30が「複数の温度検出手段」に相当し、保護部20が本発明の「異常検出手段」に相当し、比較器22または第1比較部24が本発明の「第1の比較手段」に相当し、比較器23または第2比較部26が本発明の「第2の比較手段」に相当し、電流源37が本発明の「第1の電流源」に相当し、電流源38が本発明の「第2の電流源」に相当する。また、閾値温度(T3)が本発明の「第1の閾値温度」に、閾値温度(T4)が「第2の閾値温度」に、偏差(δ)に相当する温度が本発明の「所定の温度差」に相当する。
【符号の説明】
【0069】
1…バッテリ
2…リレー
3…インバータ
Q1〜Q6…スイッチング素子
D1〜D6…ダイオード
4…負荷
5…コンデンサ
6…抵抗
7…電圧センサ
8…駆動部
9…冷却器
10…コントローラ
20…保護部
R1〜R8…抵抗
21…算出部
22、23…比較器
24…温度算出部
25…第1比較部
26…第2比較部
27…異常判定部
29…論理回路
30…検出部
31〜36…ダイオード
37、38…電流源
41…論理回路
42…パルス発生器
301、303、305…スイッチングモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体素子と、
前記複数の半導体素子にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の半導体素子の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段と、
前記複数の半導体素子の異常を検出する異常検出手段とを備え、
前記異常検出手段は、
前記複数の半導体素子のうち一の半導体素子の温度を検出する前記温度検出手段の検出温度と、前記一の半導体素子の上限温度を示す第1の閾値温度とを比較する第1の比較手段と、
前記複数の半導体素子のうち他の半導体素子の温度を検出する前記温度検出手段の検出温度から、前記他の半導体素子の平均温度を算出する温度算出手段と、
前記平均温度と所定の第2の閾値温度とを比較する第2の比較手段とを有し、
前記第1の比較手段の比較結果及び前記第2の比較手段の比較結果に基づいて、前記複数の半導体素子の異常を検出する
ことを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
前記一の半導体素子は、前記複数の半導体素子のうち最も温度上昇率の高い半導体素子である
ことを特徴とする請求項1記載の異常検出装置。
【請求項3】
前記第2の閾値温度は前記一の半導体素子の温度を検出する前記温度検出手段の検出温度であって、
前記異常検出手段は、前記平均温度と前記第2の閾値温度との温度差が予め定められた所定値以上である場合に、前記他のスイッチング素子に異常が生じたと判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記第2の閾値温度は、前記一の半導体素子の温度を検出する前記温度検出手段の検出温度に対して予め定められた所定の偏差を加算した温度であって、
前記異常検出手段は、前記平均温度が前記第2の閾値温度以上である場合に、前記他のスイッチング素子に異常が生じたと判定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の異常検出装置。
【請求項5】
前記複数の温度検出手段は、
前記複数の半導体素子にそれぞれ対応して設けられた複数のダイオードと、
前記複数のダイオードのうち、前記一の半導体素子に含まれるダイオードに接続された第1の電流源と、
前記複数のダイオードのうち、前記他の半導体素子に含まれる直列接続の複数のダイオードに接続された第2の電流源とを有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の異常検出手段。
【請求項6】
複数の半導体素子のそれぞれの素子の温度を検出する検出工程と、
前記検出工程により検出される、前記複数の半導体素子のうち一の半導体素子の検出温度と、前記一の半導体素子の上限温度を示す第1の閾値温度とを比較する第1の比較工程と、
前記検出工程により検出される、前記複数の半導体素子のうち他の半導体素子の検出温度から、前記他の半導体素子の平均温度を算出する工程と、
前記平均温度と所定の第2の閾値温度とを比較する第2の比較工程と、
前記第1の比較工程の比較結果及び第2の比較工程の比較結果に基づいて、前記前記複数の半導体素子の異常を検出する工程とを含む
ことを特徴とする異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106489(P2013−106489A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250415(P2011−250415)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】