説明

異常発報装置

【課題】所持者の異常状態を検出し、その検出信号に基づいて発報信号を送信する転倒発報ユニットをPHSのような携帯端末と組合わせ、所持者が管理場所から遠い位置で転倒しても管理場所で転倒したこと及びその位置を特定できる発報信号を送信し得る異常発報装置を得ることである。
【解決手段】異常発報装置は、転倒発報ユニット1とPHS携帯端末2を接続コード3により接続した組合せから成り、転倒発報ユニット1は傾斜センサ11’により検出された傾斜角度θが所定の値を超えると転倒時間設定部14でその転倒状態が所定の時間以上継続しているかを測定し、所定時間以上継続しているときは転倒と判定する判定手段、及び緊急手動通報の判定手段のワンチップマイコン10を備え、異常が判定されると発報信号を送り出し、携帯端末を介して送信するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所持者の転倒状態を検出し、又は緊急手動通報を検出し、その検出信号に基づく発報信号をPHS、携帯電話のような携帯端末を介して送信し得る異常発報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人が危険な状態に陥るケースとして、例えば消防士や救急隊員が危険な場所で消火活動あるいは人命救助活動をする際に火災に巻込まれたり、マンホールやタンク内で救急隊員自身が動けなくなったりする場合がある。このような危険状態が生じた時に、救急隊員等を救助するためのシステムについて特許文献1に開示されている。この特許文献1の緊急事態監視システムは、救急隊員等が携行する送信装置に振動センサを内蔵し、振動センサの振動検出信号が所定時間検出されなくなると、送信装置から無線信号を送信し、所定距離遠隔位置の安全な監視場所に置かれた受信装置により受信して警報を発するように構成されている。
【0003】
しかしながら、このような監視システムは通信手段として特定の無線信号を用いるため、送受信できる距離は極く短い範囲内に限られており、かつ障害物が存在すると利用できないこともあり、しかも専用機に限定される。又、送、受信設備は特別システムとなるためコストがかかる。さらに、他の危険状態のケースとして、生産工場、建設現場等で休日や夜間に一人で見廻り、点検などの保守作業を行う場合、その作業中に作業者が転倒し自己の意志、動作で管理場所へ危険な状態に陥っていることを連絡することが出来ない場合がある。このような場合、生産工場、建設現場が広いと、特許文献1のようなシステムでは電波が監視場所迄届かないため、このようなシステムでは不十分である。
【特許文献1】特開2004−54778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上記の問題に留意して、所持者の転倒状態を検出し、その検出信号に基づいて発報信号を送信する転倒発報ユニットをPHSのような携帯端末と組合わせ、所持者が管理場所から遠く、人目に見えない位置で転倒しても、管理場所でその所持者が転倒したこと及び位置を特定できる発報信号を送信し得る異常発報装置を提供することを課題とする。さらに、所持者の転倒状態を自動検出し、また、緊急の手動通報を検出し、誤報なく、その検出手段に基づいて発報信号を送信する発報ユニットをPHSのような携帯端末と組合わせ、所持者が管理場所から遠く、人目に見えない位置で通報しても、管理場所でその所持者が異常状態に至ったこと及び場所を特定できる発報信号を送信し得る異常発報装置を提供することをもう1つの課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、所持者が転倒した状態を検出する転倒検知センサ、転倒が継続している時間を設定する時間設定手段、転倒検知センサにより直立状態から所定以上の傾斜角度に所持者が転倒して傾斜角度信号と時間設定手段により設定された時間以上の転倒継続を表わす設定信号とにより転倒を判定する判定手段、及びその転倒判定により携帯端末へ発報信号を送り出すための接続コネクタを備えた転倒発報ユニットと、電話回線に接続し得る機能を有する携帯端末とを接続コードで接続し、上記判定手段により傾斜角度信号と設定信号に基づいて所持者が転倒状態にあると判定すると発報信号を発報し、携帯端末を介して送信するように構成した異常発報装置としたのである。
【0006】
上記の構成としたこの発明の異常発報装置は、所持者が胸及び腰の専用ケース、あるいはポケット等にそれぞれ転倒発報ユニットとPHSのような携帯端末とを所持し、両者を接続コードで接続することにより転倒状態の検知が可能な状態とされる。転倒状態の検出は、転倒検知センサにより所持者の身体の傾斜角度が一定以上を超えたかによって検出される。一般に、作業中であっても傾斜角度θ(垂直方向から測った角度)が65°±5°を超えると転倒する場合が多く、作業時に単に身体を傾けただけの場合は傾斜角度は上記設定角度より大きくなったり小さくなったりする。一方、傾斜角度θが上記設定角度を超えた場合に、その超えた状態が所定時間以上継続すると転倒が生じている場合が多い。
【0007】
このため、転倒検知センサにより設定された傾斜角度θ以上の傾斜が検出されると、傾斜状態の継続時間が設定された時間以上であるかを時間設定手段により計測する。そして傾斜角度θが設定値以上で、かつ傾斜状態が設定時間以上継続していると、判定手段により所持者が転倒したと判定し、発報信号を転倒発報ユニットから送信する。この発報信号は、携帯端末を起動させ、発報信号を送信する送信先を特定するアドレス信号、転倒状態になっていることを表わすメッセージ信号、及び自己を表わすID信号などを含む信号である。
【0008】
このような発報信号が転倒発報ユニットから携帯端末へ出力されると、携帯端末が自動起動し、アドレス信号により送信先を特定する信号、メッセージ信号、及びID信号が携帯端末から発信され、電話回線等を経由して特定の場所で受信される。このような発報信号は受信場所で、例えばパソコン画面に表示すると転倒位置を特定でき、直ちに所持者を探索することができることとなる。
【0009】
上記のもう1つの課題を解決する手段として、所持者が転倒した状態を自動検出する傾斜センサ、転倒が継続している時間を設定する時間設定手段、傾斜センサにより直立状態から所定以上の傾斜角度に所持者が転倒して傾斜角度信号と時間設定手段により設定された時間以上の転倒継続を表わす設定信号とにより転倒を判定する判定手段、緊急手動通報を入力する緊急ボタン、転倒自動検出通報又は緊急手動通報のプレアラーム機能を選択するプレアラーム設定手段、プレアラーム時に転倒自動検出又は手動通報の誤報を停止するリセットボタン、発報時に周囲に場所を知らせるブザー、及び異常判定により携帯端末へ発報信号を送り出すための接続コネクタを備えた転倒発報ユニットと、電話回線に接続し得る機能を有する携帯端末とを接続コードで接続し、上記判定手段により所持者が転倒状態或いは手動による異常通報状態にあると判定すると発報すると共に、携帯端末を介して外部へ送信し、上記誤報の際はリセットボタンにより誤報を停止するように構成した異常発報装置とすることができる。
【0010】
上記構成の異常発報装置では、所持者の転倒による異常状態の検知が可能な状態とされる。この異常発報装置においては、判定手段により所持者が転倒したと判定し、転倒自動検出のプレアラーム機能がプレアラーム設定手段のボタンにより有効と設定されている場合は、プレアラームを鳴らし、一定時間以内にリセットボタンが押されない時は、ブザーによる発報をすると共に発報信号を外部へ送信する。プレアラーム機能がプレアラーム設定手段のボタンにより無効と設定されている場合は直ちにブザーによる発報をすると共に発報信号を外部(管理室)へ送信する。上記プレアラームを鳴らしている際に転倒自動検出がされても、外部へ通報の必要がない誤報となる場合はリセットボタンにより誤報を防止する。
【0011】
また、緊急手動通報の緊急ボタンが押された時、手動検出プレアラーム機能がプレアラーム設定手段により有効と設定されている場合は、プレアラームを鳴らし、一定時間以内にリセットボタンが押されない時は、ブザーによる発報をすると共に発報信号を外部(管理室)へ送信する。プレアラーム機能がプレアラーム設定手段により無効と設定されている場合は、ブザーによる発報をすると共に直ちに発報信号を外部へ送信する。この場合も緊急手動通報の緊急ボタンを誤って押したときは、プレアラーム後にリセットボタンにより誤報を防止する。又、上記いずれの場合も発報信号は携帯端末を起動させ、予め登録されている通報先に自動ダイヤルし、通報する。
【0012】
このような発報信号が転倒発報ユニットから携帯端末へ出力されると、携帯端末が自動起動し、ID信号が携帯端末から外部へ発信され、構内PHSの通信回線を経由して特定の場所で受信される。このような受信場所で、例えばパソコン画面に表示すると異常発生場所の大まかな位置を特定でき、ブザーが鳴動している場所を探すことで、直ちに所持者を探索することができることとなる。
【発明の効果】
【0013】
この発明の異常発報装置は、所持者が胸及び腰の専用ケースあるいはポケットにそれぞれ転倒発報ユニットと携帯端末とを接続コードで接続して所持し、転倒発報ユニットで傾斜角度とその継続時間が設定以上になると、転倒又は異常状態と判定して発報信号を携帯端末を経由して送信するように構成したから、発報信号を電話回線又は通信回線等を経由して所定場所で受信し、パソコン表示画面に表示することにより広い工場、広い建設現場等で人目に見えない場所で所持者が転倒あるいは異常状態になったとしても、その場所を特定でき、探索、救出が容易になり、このような機能を安価なコストの装置により実現できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は第一実施形態の異常発報装置の全体外観斜視図である。図1の転倒発報ユニット1とPHS携帯端末2は、(a)図では両者を近接して置いた外観斜視図、(b)図では両者を分離して使用状態に置いた外観斜視図を示す。又、図2の(a)図は転倒検知センサの内部構成とPHS携帯端末への接続構成、(b)図はPHS携帯端末からパソコン(パーソナルコンピュータ、以下略称を用いる)の画面へ使用時の位置表示状態を示す全体システムを示す。図示のように、実施形態の異常発報装置は、転倒発報ユニット1とPHS携帯端末2を接続コード3で接続したものから成る。
【0015】
転倒発報ユニット1は、図2に示すように、所持者が転倒した状態を検知する転倒検知センサ11と転倒状態が所定以上続いているかを内部クロックによる基準時間に基づき転倒時間を設定する転倒時間設定部14と、上記センサ及び設定部からの傾斜角度情報と転倒状態の設定時間以上の継続の情報とにより所持者の転倒状態を判定する判定手段としてのワンチップマイコン(ワンチップマイクロコンピュータ)10とを備えている。又、上記ワンチップマイコン10へは、転倒状態又は緊急状態にあることを手動操作で入力信号を入力する緊急ボタン12、及び転倒時又は緊急時の信号の送信を解除するためのリセットボタン13が接続されており、これらボタン12、13は図1の(a)図に示すように転倒発報ユニット1のケースに設けられている。
【0016】
さらに、転倒時又は緊急時の信号が入力されるとプレアラーム音又は警報音を発するブザー15がワンチップマイコン10に接続されており、その出力信号は転倒発報ユニット1の接続コネクタ10aとPHS携帯端末2の接続コネクタ2aに着脱自在に接続される接続コード3を介してPHS携帯端末2へ送られるように構成されている。PHS携帯端末2は、転倒発報ユニット1から転倒又は緊急時の送信信号を受けると、図2の(b)図に示すように、予め設定された信号を発信して特定位置のPHSアンテナで受信され、公衆回線、基地局を経由して、例えば特定工場内の管理室内のパソコン(パーソナルコンピュータ)の表示画面にその信号を受信したことを表示することができるように全体システムを構成している。
【0017】
この場合、PHS携帯端末、通信回線、パソコンを含む全体システムは、パソコンの表示画面にアンテナ受信信号、基地局位置からの通信情報から所持者の転倒又は緊急状態の位置を検索して表示する機能を有し、例えば図5に示すように、工場内の人目に分からないような特定場所で所持者が転倒又は緊急状態となった場合に、その位置を表示することができる。なお、パソコン表示画面へ位置を表示するために、通信情報を変換するための電話交換機等の付帯設備は図示省略している。又、転倒発報ユニット1、PHS携帯端末2にはそれぞれ動作電源(電池)が備えられる。さらに携帯端末としてPHS携帯端末に代えて携帯電話を用いてもよい。携帯電話での位置特定はGPS機能にて実施される。
【0018】
転倒検知センサ11は、水銀スイッチにより全方位の傾きを検出することができる。転倒時間設定部14は、例えばカウンタにより時間10/30/60/120秒のいずれかを選択自在に設定し、転倒又は傾きが始まった瞬間の転倒検知センサ11からのタイミング信号により内部クロックからの基準時間を分周した時間パルス信号のカウントを開始し、上記設定時間を超えると出力信号を送りだすように構成される。
【0019】
上記のように構成した第一実施形態の異常発報装置は、例えば図5(b)のような広い工場等で保守・安全点検などのため土、日曜日等に保安員が1人で見廻りをし、転倒又は緊急状態になった場合に有効に利用される。この装置では、次のようにして所持者の転倒又は傾きが検知され、転倒時には転倒発報信号が送信される。なお、図4のように所持者は予め両者間を接続コード3により接続し、異常発報装置が作動し得る状態にあるものとする。
【0020】
以下の動作説明は図3のフローチャートを参照して説明する。図示のように、異常発報装置の動作は、主として転倒発報ユニット1の動作が中心である。転倒発報ユニット1は接続コード3によりPHS携帯端末2と接続されると自動的に起動し(S1 )、直ちに転倒検知センサ11からのその瞬時の検知信号に基づいて傾斜角度θが検出される(S2 )。検出された傾斜角度θが65°±5°以上でなければS3 の判定で転倒ではないとしてS9 へ進み、緊急ボタン継続を確認し、継続していない限りS2 の前に戻りこれを繰り返す。但し、傾斜角度θは垂直方向と所持者の傾き方向とのなす角度である。
【0021】
3 で所持者の傾斜角度θが65°±5°を超えると、転倒した可能性があるから、S4 で転倒時間を計測する。この時間計測は、傾斜角度θが65°±5°を超えたことを検知した信号をタイミング信号として計測を開始する。例えば設定時間120秒と設定されていれば、この設定時間以上に傾斜角度θ>65°±5°以上が継続している信号が検出される限り、転倒に至ったと判定し、S5 で数秒間のプレアラーム音(ピッ、ピッ、ピッ、ピッ)を発報する(但し、復帰角度は55°±5°である)。
【0022】
そして、上記設定時間以内にリセット信号が無いかをS6 で判定し、リセットボタンが押されていない場合自動的にブザー15を鳴らし(S7 )、同時に転倒状態となったことを知らせる発報信号をPHS携帯端末2へ向けて送信する(S8 )。この発報信号は、予め転倒発報ユニット1内のワンチップマイコン10に設けられている内部メモリ(ROM)に記憶された、転倒時の連絡先のアドレス信号、転倒発生を知らせるメッセージ信号、及びID信号等を含む。このような発報信号をPHS携帯端末2が受信すると、自動でPHS携帯端末2は作動し、PHSアンテナ間で信号を送、受信し、前述した工場内の管理室内のパソコンへ送り、その表示画面に転倒状態の表示をすることができる。
【0023】
この場合、広大な工場であってもPHS携帯端末であれば発報信号はPHSアンテナで受信されるから、発報信号に基づいて転倒情報をパソコンで検出し、所持者の転倒位置を画面表示することができ、一人で作業中に転倒した所持者の位置を特定できる。なお、上記発報信号が発報された後であっても所持者が転倒から起き上がったときは、転倒発報ユニット1のリセットボタン13を押せば、発報信号の送信、ブザー鳴動は停止され元の通常状態に戻る。
【0024】
又、所持者が一旦転倒したが直ちに起き上がった、又は設定時間内に起き上がったが、緊急状態にあり救助を必要とする場合、緊急ボタン12を押せば(手動)、緊急時のメッセージ信号を連絡先へ発報することもできる。
【0025】
なお、上記の例では携帯端末をPHS携帯端末としたが一般の携帯電話を用いてもよい。又、転倒発報ユニット1はPHS携帯端末と別体にそれぞれ小型化して形成しているが、転倒発報ユニット1のケースに携帯端末を着脱自在に嵌合し一体化し得る嵌合部を設け、それぞれの接続コネクタを互いに直接接続できるように転倒発報ユニット1のケースを形成すれば、さらに全体を小型化、一体化できることとなる。
【0026】
図5は、第二実施形態の異常発報装置の(a)転倒発報ユニットの内部構成とPHS携帯端末への接続構成、(b)異常発報装置と構内PHSアンテナ、パソコンユニットを結ぶシステムの全体概略構成を示す。又、図6はその動作説明のフローチャートである。この実施形態では、図5の(a)図に示すように、転倒発報ユニット1にプレアラーム設定部16を設け、又図5の(b)図に示すように、PHS携帯端末の信号を構内アンテナで受信し、管理事務所内のパソコンで直接表示するシステムとした点が第一実施形態と異なる。
【0027】
なお、傾斜センサ11’は、転倒検知センサ11と同一のセンサであるが、この実施形態では傾斜状態を検出する機能に重点を置いているため異なる名称を用いている。従って、以下では同一機能部材には同一の符号を付して説明を省略し、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。この実施形態でも、図1に示す転倒発報ユニット1とPHS携帯端末2を用いることは第一実施形態と同じであるが、図5の(a)図に示すように、転倒発報ユニット1内のワンチップマイコン10にプレアラーム設定部16が接続されている。このプレアラーム設定部16のボタンは、後述する転倒プレアラーム設定機能及び手動プレアラーム設定機能を自動設定で有効の状態からボタンにより手動設定で無効とする設定機能を有する。
【0028】
但し、このプレアラーム設定部16の図示しない押ボタンを押さない限り、転倒プレアラーム設定機能は自動で有効(Yes)と設定されており、上記押ボタンを押すと転倒プレアラーム設定機能は無効(No)とされる。又、手動プレアラーム設定機能も緊急ボタン12を押せば自動設定されるものとし、上記押ボタンを押さない限り自動設定は有効(Yes)、上記押ボタンを押すと無効(No)とされる。転倒自動検出通報時、緊急手動通報時のいずれの場合であっても、プレアラームを鳴らした後ブザー15による発報をするか、あるいは通報時には直ちにブザー15を発報して外部へ発報信号を送信するかを選択できるようにするためである。
【0029】
又、図5の(b)図に示すように、この例では、異常発報装置を使用する環境として、工場あるいは倉庫、作業所、処理場のような広大な場所に多くの設備、機械、倉庫を備えた構内の適宜位置に、適宜間隔でPHS携帯端末用のアンテナAntを複数箇所設けた条件下で使用される。従って、上記異常発報装置からの信号を構内PHS用のアンテナAtnで受信し、構内の通信回線、図示しないインタフェースを経由して特定工場内の管理室20内のパソコン21の表示画面22にその信号を受信したことを表示するように全体システムが構成されている。
【0030】
この場合、PHS携帯端末、通信回線、パソコン、表示装置を含む全体システムは、パソコンの表示画面に異常信号を受信したアンテナ位置情報から所持者の異常状態の発生位置(実際には信号受信アンテナ位置)を表示する機能を有し、例えば図7に示すように、工場内の人目に分からないような場所で所持者が異常状態となっても、ある一定範囲の場所を特定でき、ブザーが鳴動している場所を捜索できる。なお、通信回線をパソコンに接続するためのインタフェースについては図示省略している。
【0031】
上記構成の第二実施形態の異常発報装置は、その基本的動作は第一実施形態と同様であるが、下記のように、一部動作が異なるため、異なる動作を中心に説明する。図6に示すように、転倒発報ユニットは、電源が入ると起動し(S1’)、直ちに傾斜センサ11’からのその瞬時の検知信号に基づいて傾斜角度θが検出される(S2)。以下、ステップS3、S4で転倒判定、設定時間tの計測が第一実施形態と同様に行なわれる。設定時間の計測において、例えば設定時間120秒と設定されていれば、この設定時間以上に傾斜角度θ>65°±5°以上が継続していると、判定手段のマイコンで転倒したと判定し、S5’でプレアラーム機能が有効に設定されている場合は、一定時間(数秒〜数10秒)以内にリセットボタン13が押されない限りS5で数秒間のブザー15によるプレアラーム音(ピッ、ピッ、ピッ、ピッ)を発報する(S6)。但し、復帰角度は55°±5°であることは第一実施形態と同じである。プレアラーム機能が無効に設定されていれば、直ちに発報する。
【0032】
上記プレアラーム機能の有効、無効の設定とは、上記自動転倒判定信号を受けた後S5’の判定で、あるいは手動プレアラーム設定で図示しない設定ボタンによりプレアラーム音を発報するか(Yes)(有効)、又は直ちにS7でプレアラームと異なる音色(ビリリリ、ビリリリ、・・・・)でブザー15を鳴らすか(No)(無効)を設定する機能である。S5〜S8については第一実施形態と同じ、又S9についても同じであるが、S10で手動プレアラーム設定機能が追加されている。これにより、所持者が転倒状態にない場合でも、緊急ボタン12を押せば(手動)、異常通報ができる。但し、いずれの場合も、プレアラーム設定時に、自動転倒検出通報あるいは手動緊急通報が外部へ連絡する必要のない誤報となる場合は、リセットボタン13を押すことにより誤報は防止される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明の異常発報装置は、転倒発報ユニットと携帯端末を接続コードで接続する組合わせにより小型化されたものであり、広い工場や建設現場、火災現場など種々の場所で転倒した人を探索、位置特定する用途に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第一実施形態の異常発報装置の(a)近接して置かれた転倒発報ユニットとPHS携帯端末の外観斜視図、(b)転倒発報ユニットとPHS携帯端末を離して使用状態で示した外観斜視図
【図2】(a)転倒発報ユニットの内部構成とPHS携帯端末の接続構成を示すブロック図、(b)異常発報装置とPHSアンテナ、回線、基地局を経由してパソコンユニットを結ぶシステムの全体概略構成図
【図3】転倒発報ユニットの作動のフローチャート
【図4】異常発報装置の人体への装着状態を示す図
【図5】第二実施形態の異常発報装置の(a)転倒発報ユニットの内部構成とPHS携帯端末の接続構成を示すブロック図、(b)PHSアンテナ、通信回線を経由してパソコンユニットを結ぶシステムの全体概略構成図
【図6】同上の転倒発報ユニットの作動のフローチャート
【図7】転倒位置をパソコン画面に表示した例を示す図
【符号の説明】
【0035】
1 転倒発報ユニット
2 PHS携帯端末
3 接続コード
10 ワンチップマイコン
11 転倒検知センサ
11’ 傾斜センサ
12 緊急ボタン
13 リセットボタン
14 転倒時間設定部
15 ブザー
16 プレアラーム設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所持者が転倒した状態を検出する転倒検知センサ11、転倒が継続している時間を設定する時間設定手段14、転倒検知センサ11により直立状態から所定以上の傾斜角度に所持者が転倒して傾斜角度信号と時間設定手段により設定された時間以上の転倒継続を表わす設定信号とにより転倒を判定する判定手段10、及びその転倒判定により携帯端末へ発報信号を送り出すための接続コネクタ10aを備えた転倒発報ユニット1と、電話回線に接続し得る機能を有する携帯端末2とを接続コード3で接続し、上記判定手段により傾斜角度信号と設定信号に基づいて所持者が転倒状態にあると判定すると発報信号を発報し、携帯端末2を介して送信するように構成した異常発報装置。
【請求項2】
前記判定手段に対し、手動で緊急状態の発報信号を入力する緊急入力手段を接続し、手動操作により発報信号を発報できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の異常発報装置。
【請求項3】
前記判定手段に対し、転倒時又は緊急時のいずれかの発報信号の発報時に信号の送信をリセットする信号を入力するリセット手段を接続したことを特徴とする請求項2に記載の異常発報装置。
【請求項4】
前記転倒時又は緊急時の発報信号の発報の際に、転倒発報ユニットにプレアラーム又はブザーを鳴動させる警報手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の異常発報装置。
【請求項5】
所持者が転倒した状態を自動検出する傾斜センサ11’、転倒が継続している時間を設定する時間設定手段14、傾斜センサ11’により直立状態から所定以上の傾斜角度に所持者が転倒して傾斜角度信号と時間設定手段により設定された時間以上の転倒継続を表わす設定信号とにより転倒を判定する判定手段10、緊急手動通報を入力する緊急ボタン12、転倒自動検出通報又は緊急手動通報のプレアラーム機能を選択するプレアラーム設定手段16、プレアラーム時に転倒自動検出又は手動通報の誤報を停止するリセットボタン13、発報時に周囲に場所を知らせるブザー15、及び異常判定により携帯端末へ発報信号を送り出すための接続コネクタ10aを備えた転倒発報ユニット1と、電話回線に接続し得る機能を有する携帯端末2とを接続コード3で接続し、上記判定手段10により所持者が転倒状態或いは手動による異常通報状態にあると判定すると発報すると共に、携帯端末2を介して外部へ送信し、上記誤報の際はリセットボタン13により誤報を停止するように構成した異常発報装置。
【請求項6】
前記プレアラーム設定手段16を、転倒自動通報又は緊急手動通報の発報信号の発報前にブザー15によるプレアラームを鳴らして有効とするか、プレアラームを無効とするかをそれぞれ選択できる手段としたことを特徴とする請求項5に記載の異常発報装置。
【請求項7】
前記転倒自動通報時又は緊急手動通報時の発報の際に、転倒発報ユニット1にプレアラームと異なる音色でブザー15を鳴動させる警報手段を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の異常発報装置。
【請求項8】
前記請求項1乃至7のいずれかに記載の異常発報装置からの発報信号を電話回線、又は通信回線、パソコンを介して、発報者の情報、発報場所の位置を表示できるようにしたことを特徴とする異常発報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−172431(P2006−172431A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313172(P2005−313172)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(504432220)安積電気通信興業株式会社 (1)
【出願人】(000183392)住友電設株式会社 (18)
【Fターム(参考)】