説明

異方導電性を持つ接着剤ならびにその製造方法および使用

本発明は、接着的に有効な硬化可能で電気的非導電性マトリックス材料ならびに、マトリックス材料において分布した導電性カーボンナノチューブの相を含む導電性接着剤に関する。本発明により、カーボンナノチューブは複数の個々のマクロ構造に存在し、各マクロ構造は、相互間の電気接触を形成する複数の凝集したカーボンナノチューブよりなる。本発明のもう一つの態様は、かかる導電性接着剤の製造方法、ならびに2構成材の導電性結合のための方法、およびかかる方法で形成された接着接合の質をチェックするための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着的に作用する硬化可能な電気的非導電性マトリックス材料および、マトリックス材料に分布した導電性カーボンナノチューブの相を含む導電性接着剤に関する。本発明のもう一つの態様は、かかる導電性接着剤の製造方法、および2構成材の導電性接合のための方法、およびかかる方法で形成された接着接合の質をチェックする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性接着剤は、多数の適用に用いられる。かかる使用の例は、その上に複数の個々の伝導性構造が形成され、目的がこれらの伝導性構造を接着隙間を横切って相互に電気接点にもたらすことである、2つのプリント回路基板の接着接合である。もう一つの使用は、プリント回路基板上の電子部品の接着接合を含み、かくして、この電気的接続は、プリント回路基板上の電気的接触を持つ構成材上の電気的接触間に形成される。
【0003】
多数の方法および接着剤が、かかる電気的接続を形成するために基本的に知られている。それらが共通して有するものは、信頼できる電気的接続が接続される2つの接触間に形成されるという、および複数のかかる離散性の隣接した電気的接続が、その間の電気的絶縁で形成されるのを可能にするようにこの電気的接続が空間的に制限されるという各ケースにおける基本的必要条件である。
【0004】
導電性接着剤およびその製造方法は、JP2001−316655Aから知られている。この接着剤はカーボン粉末、バインダ樹脂および水を含み、ペーストの形態である。この接着剤の不利は、薄層で大面積を覆う、小さな構造を囲む、またはトラップされた空気のポケットを生じることなく小さな構造に浸透するための非常に限定された能力、ならびに電気回路の信頼できる操作のための接着性コーティングに対する十分に低い抵抗性で導電率を提供するために、添加剤として大部分の炭素ナノパウダーを用いる必要性である。この先行技術の接着剤のもう一つの不利は、複雑な連続工程が、接着隙間内の複数の電気的接触の離散性分解および相互からのそれらの電気的絶縁を達成するために単一接触の別々の製造に必要であるということであり、その結果、この方法は、複雑な工程順序に従わなければならず、相互に別々に絶縁されたかかる複数の接触を形成するのに長時間がかかる。
【0005】
フィルム中に微細に分布した、金、ニッケル、金メッキしたニッケル、銀または金メッキしたポリスチレンボールの導電性粒子を含有する異方性導電性接着剤は、EP0748507B1から知られている。電気的接触は、パンチで圧力を働かせ、系を約150℃〜230℃の温度に加熱することにより、このケースにおいて達成され、かくして、導電性構造をフィルムにプレスし、粒子との接触に加わるのを可能にする。第1には、この種の接着剤フィルムの不利は、粒子が接着剤フィルムにより供された全体的な接着および粘着力においてかなりの機械的崩壊を誘導し、この結果、全体としての接着接合が、いずれの強力な機械力も吸収できないだけではなく、実質的不完全が電気的接触の領域における粒子により生成され、特に、機械的因子が接続される2構成材に対して作用する場合の層剥離および結果的に電気的接触に導きかねないことである。第2には、この先行技術の方法のもう一つの不利は、粒子を含むフィルムの形態の接着剤を提供することが、実質的に平らな構成材の接着性結合にだけ適当であり、かつ適用分野がその結果限定されることである。もう一つの不利は、低い電気抵抗を持つ適切な電気的接続を得るために、粒子はその部分の凝集を生成する濃度においてフィルムに存在しなければならず、かかる凝集を防止するために粒子の表面上にスペーサーを提供しなければならないことである。これらのスペーサーは実質的製造努力および費用に関与し、さらなる生成工程において粒子コーティングとして適用されなければならず、このコーティングの結果、電気抵抗が増加し、全体として接着剤の電気的特性を低下させる。多数の適用において、高い加工温度は、結合される構成材に対する受け入れがたいひずみを強いる。
【0006】
カーボンナノチューブ(CNT)を含有する乾燥接着剤は、米国第2009/0011232A1から知られている。これらのナノチューブは、並列軸配列で乾燥形態において存在し、表面を結合するために圧力の発揮下表面に適用される。この乾燥材料の不利は、並列のカーボンナノチューブ構造の創製に関与する複合物製造プロセス、必要な長いカーボンナノチューブに関連した実質的コスト、および重負荷に付される接着接合用の乾燥接着剤の不十分な接着である。もう一つの不利は、指向的電気的特性は指向的機械的特性に加えてこの種の乾燥接着剤とある程度まで達成されるが、接着隙間を横切って電気的に絶縁された形態で電気的に離散性の接触を接続するために、電気回路に十分に信頼できる異方性を達成することができないということである。
【0007】
最後に、カーボンナノチューブを含有するエポキシ樹脂マトリックスで作製され、導電性接着剤として用いることができる接着剤が、DE 10 2005 063403 A1から知られている。この先行技術の接着剤の1つの不利は、適切な特性を持つ電気的接続を得るためにマトリックス材料へ導入されなければならない高率の炭素ナノ繊維材料であり、接着剤が高粘度、その結果貧弱な処理可能性および被覆特性、ならびに接着剤についての高レベルのコストを有するという結果を含む。もう一つの不利は、電気的特性が接着隙間を横切って接触するのに十分である場合は常に、相互から絶縁され、離散性の距離で別々に間隔を置いた接着剤材料と電気的接触との間の異方性の電気的接続を達成することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、接着的に作用する硬化可能な電気的非導電性マトリックス材料および、マトリックス材料に分布した導電性カーボンナノチューブの相を含む導電性接着剤に関する。本発明のもう一つの態様は、かかる導電性接着剤の製造方法、および2構成材の導電性接合のための方法、およびかかる方法で形成された接着接合の質をチェックする方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の先行技術と比較した本発明の目的は、信頼できる電気的接触が信頼できる製造プロセスにおいて2構成材の電気的接触の間に形成されるのを可能にし、高い空間分解能を持つアレイにおいて配列されるべき相互から絶縁された単一の電気的接触をさらに可能につつ、接着接合が低コストで形成されることを可能にする接着剤を提供することである。本発明のもう一つの目的は、離散性のポイントでの電気的接触および相互からのこれらの離散性のポイントの絶縁に関する前記の要件を満たすことに加えて、機械的に信頼できる接着接合を達成する接着剤を提供することである。
【0010】
本発明により、これらの目的は複数の個々のマクロ構造に存在するカーボンナノチューブにより、相互間の電気的接触を形成する複数の凝集したカーボンナノチューブよりなる各マクロ構造により、および好ましくはマトリックス材料内のマクロ構造のパーコレーション閾値より低い濃度のマトリックス材料に存在するマクロ構造により達成される。
【0011】
本発明により、そこに分配された導電性カーボンナノチューブを含むマトリックス材料、特に、モノマー、プレポリマーまたはポリマーは、カーボンナノチューブが、マトリックス材料の内側にランダムまたは意図的に均一な分布で存在しないが、代わりに、マクロ構造として凝集した形態で存在する点、および複数のかかるマクロ構造がマトリックス材料に存在する点で特徴付けられる接着剤材料として用いられる。マクロ構造がパーコレーション閾値より低い濃度においてマトリックス材料に存在することは有利であり得る。「パーコレーション閾値下」は、マトリックス材料に組み込まれた経路なくして、それらの液相にある要素が、材料の一端から他端までの要素に沿って進むことが可能である範囲まで、相互に接触する。したがって、導電性要素を含有するマトリックス材料は、要素がパーコレーション閾値内またはそれを超えて存在する場合、等方に導電性である。基本原理として、カーボンナノチューブのごとき個々の要素だけでなく複数のカーボンナノチューブからなるマクロ構造のごとき複数の単一要素からなるマクロ要素についてもパーコレーションを定義できると理解されるべきである。
【0012】
本発明により、異方性で伝導性の接着剤用のマクロ構造は、パーコレーション閾値未満の濃度においてマトリックス材料に存在し、すなわち、いずれかの外部影響の不存在下、マクロ構造は、大きな距離に架けることができるような種類のより大きな隣接構造を凝集および形成するいずれの傾向または十分なパーセンテージの合計体積も有しない。
【0013】
この組成物により、本発明による導電性接着剤は、伝導性構造を形成する複数のカーボンナノチューブ凝集物により特徴付けられる。本発明による接着剤のための製造プロセス、または本発明による接着剤を用いる接着結合プロセスの間に、これらの凝集物は、特に、それらの形状だけでなくそれらの面積についても適することができる。例えば、ずりの方向が相互に直角であるならば、形状において球状の凝集物を製造することは、2回連続して接着剤をずらすことにより可能である。ずりの2つの方向間の角度が鋭ければ鋭いほど、形状は球形から遠く離れた形状となり、細長い形状を採用する。異なる形状を持つ凝集物は、ずりの方向を回転することにより製造できる。凝集物の寸法は、例えば、接着剤がずりに曝露されるずりギャップのサイズを変更することにより影響できる。これらの導電性マクロ構造は、電気的非導電性マトリックス材料にランダムに分布し、凝集する傾向がない。電気的接続される2つの接触間の特定形態のマクロ構造で配置すると、接触間の局所的電気的接続を形成することは、かかる接着剤で可能である。マクロ構造のコンパクトな寸法の結果、電気的接触の高い空間分解能を生じ、かくして、導電性接着剤で形成され、相互から電気的に絶縁されなければならない別々の電気的接続間の非常に小さな離散性の距離を可能にする。また、コンパクトな寸法は、マトリックス材料の補助によりマクロ構造間の導電性カーボンナノチューブがない領域を提供することを可能にし、これは、信頼できる絶縁を保証し、加えて、接続されるべき2構成材間の高い接着性および粘着性の伝導を保証し、その結果、機械的に信頼できる接着接合がで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の具体例の模式的な側面断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の第2の具体例の模式的な側面断面図を示す。
【図3】図3は、本発明による接着剤についての製造プロセスについての模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明により、凝集へのカーボンナノチューブの傾向を特に利用して、特定の伝導率を提供できる。この目的のために、カーボンナノチューブは、このように形成されるマクロ構造自体の濃度の限定により、特定の範囲までだけ凝集される。これは、先行技術に観察された緩く接触するフラクタル構造の形成を防止し、不確定性で予測不能な面積にわたる導電率を提供する。したがって、あるアレイにおけるカーボンナノチューブにより形成された単一の緩く凝集した構造の公知で自然な明示とは対照的に、本発明による接着剤は、相互から分離し、高濃度のカーボンナノチューブを有する複数のマクロ構造により特徴付けられ、それらの間のマトリックス領域は、非常に枯渇した濃度のカーボンナノチューブを有する。
【0016】
また、多数のケースにおいて、接触面が微視的レベルで一様に滑らかな表面を形成しないが、その代りにある程度の粗さにより特徴付けられるために、本発明は接触幾何学について有利である。通常隆起した部分との一次元の接触を単に形成し、その結果、接触抵抗を増加させて、特に強い電流について、接触を弱める銀フレークまたは被覆ボールのごときフィラー粒子とは対照的に、接続構造には、電流密度に関するいくらかのオーダーの標準材料により優れた伝導を有する本発明によるカーボンナノチューブのマクロ構造が提供される。カーボンナノチューブの非常に微細に構成された繊維様の幾何学は、接触幾何学について特に有利である。それらの柔軟性により、カーボンナノチューブは表面輪郭に固執し、微視的隙間にあり得、それは多次元の接触およびかなりより大きな有効面積の接触に導く。マクロ構造の構造のために、潜在的接触面積が複数の要因により増加されるように、粗い表面はマクロ構造へ突出し得る。
【0017】
マトリックス材料が液体形態で被接着面に通常適用されることは基本原理として理解されるが、ある種の適用において、例えば、フィルムとして固体形態でそれを適用することも有利である。内在的にマトリックス材料の粘性およびその中のマクロ構造のサイズ、構造および濃度により、また、間接的に温度および圧力のごとき外部因子により影響される接着剤の粘度および湿潤能力は、被接着面が完全にカバーされ、接着剤が結合される構成材の小さな構造にも入り込むように、好ましくは調節できる。この意図は、接着剤を硬化状態に移行させて、結合状態を達成できるということである。接着剤は、基本的に化学反応において、または物理的設定により硬化でき;反応性ホットメルト型接着剤も配置できる。「硬化可能」は、機械的負荷が接着剤を介して伝わることができる状態へ移行する接着剤の特性として理解されるべきである。その状態において、接着剤は、弾性で、実質的に堅くてもよい。
【0018】
基本原理として、本発明による導電性接着剤は、それらの部分につき、複数のカーボンナノチューブからなり、マトリックス材料により点在するマクロ構造を含むという点で特徴付けられる。かくして、マクロ構造が理想的に統合された形態のマトリックス材料の内部に存在するので、および機械力の流れが小さな効果だけを有し、より詳細には、繊維強化材として働くので、いずれの境界表面問題も接着剤におけるマクロ構造により回避される。これらの理由のために、マクロ構造による層剥離または機械的破損は、本発明による接着剤において発生できなく、または先行技術の接着剤においてよりも非常に小さな範囲だけ発生する。また、特定濃度のマクロ構造の存在により、導電性接着剤は有利な異方導電性を提供し、したがって、電気接触を接続するために用いることができ、それは、第2の接着性の表面上で他のものからの絶縁された形態で同様に別々に間隔を置かれる他の電気接触に、電気的に他のものからの絶縁された形態で別々に電気的間隔が置かれている。
【0019】
本発明による接着剤が、好ましくはカーボンナノチューブを含有するマトリックス材料およびマクロ構造よりなること、およびマクロ構造またはカーボンナノチューブの表面被覆が施され、このように最適な方法で、それらの機械的性質だけでなくそれらの電気的特性についても用いた材料の可能性を利用することがこの文脈において基本原理として理解されるべきである。
【0020】
第1の好ましい具体例により、マクロ構造は実質的に球面幾何学で存在し、いずれかのマクロ構造の高さ、幅および長さについての値は、その他の値のいずれからも50%を超えていずれの値においても外れない。これは、接着性の表面平面の方向に導電性がなく、まだ、導電性はその面を介して直角に提供されるという点で異方導電性を促進する。このように幾何学的に成形されたマクロ粒子により、本発明の接着剤におけるマクロ構造は、球形、またはその理想的形状からある程度だけ外れる形状において理想的には提供される。それは、粒子の長さ、高さおよび幅の間の差異が好ましくはないか、または非常に少しの差だけが存在し、すなわち、粒子は、0の伸張および1の真円度に接近することが、この点に関する基本原理として理解されるべきである。本発明のこの展開は、マトリックス材料内のそれらの配置に独立したマクロ構造の接触特徴を与える。また、マクロ構造ができるだけ小さなそれらの幾何学的寸法において、相互から外れ、すなわち、測定された長さ、幅および高さの標準偏差またはマクロ構造の直径、断面積または全体積のごとき全体のサイズを特徴付ける値は、多数の測定されたマクロ構造に対しできる限り小さく、かくして、特定のマクロ構造サイズの著しい最大を持つマクロ構造のモノ様式のサイズ分布、およびサイズがより大きいかまたは小さいマクロ構造の小さなパーセンテージだけを生じる。かかる分布は、電気的接触が、規定されたマクロ構造による所定のプロセスパラメータでの再生方法において生成できる点で、本発明による接着剤による低い不合格率で信頼できる接着結合および電気的接触する電気的接触を可能する。また、例えば、接着性表面の限定された程度が、例えば、ペアでおよび相互間の短距離で配置される接触を接続するが、そのペアの2つのメンバーを相互に接続しないことが意図されるならば、マルチモーダルの分布が望ましいかもしれない。
【0021】
本発明による接着剤は、10〜70μmの典型的な接着隙間厚みに用いられ、その接着隙間の厚みは、それらの完成した結合状態において、一緒に結合された2つの電気接触表面間の平均距離として本明細書において理解される。マクロ構造は、40体積%以内、好ましくは、10〜20体積%の濃度で存在し得る。各マクロ構造は、1〜3倍の接着隙間厚み、好ましくは、1.1〜2倍の接着隙間厚みの最大寸法を有する。また、特定のケースにおいて、最大の寸法は、接着隙間厚み未満、例えば、0.5〜0.9倍の接着隙間厚みの範囲であり得る。これらの特別なケースは、パーコレーション閾値未満の濃度にもかかわらず、電気的に接触する表面の領域の2または少数のマクロ構造の凝集を生成するために特別な手段を必要とする。
【0022】
また、マクロ構造が、その中に分布したカーボンナノチューブを含む流体をずらすこと、特に、第1の方向で流体の少なくとも第1のずりに続いて、第1の方向とは異なり、第1の方向に非平行または反平行である第2の方向で第2のずりにより達成される形態で存在することが好ましい。本発明は、マクロ構造を形成するカーボンナノチューブの凝集の結果、本質的に有利なデザインおよびより良好な特性を有する導電性接着剤を生じることができるという認識に基づいている。この凝集は、少なくとも1つの方向にずらすことにより有利に生成される。かかるずりを行なうことにより、ずりの方向に横断する明白な軸の配向を有するマクロ構造を典型的に生成できる。この点で1つの有利な配置において、マクロ構造は、第1のずりのそれとは異なる方向にさらなる第2のずりにより製造される。このように、第1のずりにより生成されたマクロ構造は、再成形または、さらに、細長い構造から外れるか、またはより理想的球形に向かう幾何学的形状を持つマクロ構造として凝集することができる。また、基本原理としてのずりは、2つの表面間にカーボンナノチューブを含有するマトリックス材料を配置すること、まず、相互に対して第1の方向においてこれらの表面を移動し、次いで相互に対して第2の方向におけるそれらを移動により行なうことができる。これは、例えば、それを用いてパイプ共軸の内部にシリンダーを回転させ、続いて、パイプの内部にシリンダーの軸を置換し、カーボンナノチューブは、パイプとシリンダーとの間の環形で配置されること、または他のツーリングデザインにより実行することができる。本発明による接着剤は、本質的に一次元のずりの場合、マクロ構造を長く延在することにより、および2次元のずりの場合には、球形に接近するより短いマクロ構造により特徴付けられる。
【0023】
カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブのパーコレーション閾値未満の濃度でマトリックス材料に存在することがなおさらに好ましい。マトリックス材料におけるカーボンナノチューブは、パーコレーション閾値未満、それを超えるまたは正確にその閾値で存在でき、凝集が、機械的手段により達成できるか、または他のいくらかの方法で引き起こすことができることが、基本原理として理解されるべきである。しかしながら、カーボンナノチューブが接着剤の等方性の伝導率を既にそれら自身により提供し、次いで、異方導電性を得るためにマクロ構造の形成により改変されるような濃度において、カーボンナノチューブを導入することは特に有利である。カーボンナノチューブは、役割を果たす外部効果なくして凝集する傾向があり得、次いで必要ならば、この凝集は、例えば、先のものに記載されているような1または2方向の機械的ずりによりさらなる外部効果を持つかかる方法で制御でき、その有利に形成されたマクロ構造は、かかる凝集により形成される。導電性接着剤はこのように得られ、外部影響の不存在下で凝集する一部のマクロ構造に対するいずれの傾向も有さずに、マクロ構造内でかかる量および密度のカーボンナノチューブを有しつつ、接着剤が導電性であり、接着剤の接着性および粘着性の効果は理想的方法で達成される。
【0024】
しかしながら、ある種の適用において、マトリックス材料においてパーコレーション閾値未満である濃度においてカーボンナノチューブを提供することも有利である。マクロ構造なくして、接着剤はそのケースにおいて、導電率を有しないが、マクロ構造の形成は接着剤を異方性の導電性にする。
【0025】
マクロ構造が少なくとも1つの物質、特に、連結する表面領域に結合するのに機能的に有効である磁気元素を含有することがなおさらに好ましい。本発明による接着剤を用いて、異方性の電気的接続は、適切なサイズおよび規定された濃度においてマクロ構造を提供することにより純粋に達成できる。接着剤におけるマクロ構造の統計的分布に基づいて、接着剤は、それが2構成材で規定された配置の導電体構造の十分な電気的接続を達成するように処理できる。しかしながら、より詳しくは、電気的接続されるために連結する表面領域上でマクロ構造の特定の沈着をもたらす機能要素または複数のかかる機能要素で、マクロ構造がドープされることが好ましい。また、この目的を達成するために、連結する表面領域を、マクロ構造のこの特定の沈積をもたらすかまたは促進するための特定の方法で機械的、化学的または物理的に処理できる。より詳しくは、磁石は、電気的接続されるマクロ構造と連結する表面領域との間で配置でき、化学親和性、静電効果等のごとき他の効果も、マクロ構造において、機能要素の形態で浸み込ませることができる。
【0026】
本発明のもう一つの態様は、導電性接着剤の製造方法に関し、この方法は、
a.補助的生成マトリックスを供給し;
b.カーボンナノチューブを補助的生成マトリックスに導入し;
c.カーボンナノチューブを凝集させて、補助的生成マトリックス内のマクロ構造を形成し;次いで
d.接着集団(mass)におけるマクロ構造のパーコレーション閾値未満の濃度でポリマー接着性マトリックスにマクロ構造を分布させる
ことを含む。
【0027】
本発明方法により、2つの相において少なくとも2つの出発物質よりなる導電性接着剤が製造される。第1の相は、硬化により、通常の液体状態から硬化状態にもたらすことができ、次いで、この硬化状態において、連結表面に接着力を発揮し、結合されるべき2構成材を結合することが必要とされる粘着力を伝えることができる接着性マトリックスである。第2相は、マクロ構造を形成するために凝集しており、これらのマクロ構造が外部影響の不存在下で浸透しないような濃度にて、この接着性マトリックスに分布された形態で存在するカーボンナノチューブよりなる。基本的には、マクロ構造は、接着性マトリックスとは化学的に異なるか、または後者に化学的に同一であり、例えば、全体として異なっているかまたは同一の濃度を有する補助的生成マトリックスにおいて製造できる。補助的生成マトリックスは、カーボンナノチューブからのマクロ構造の形成を促進するために、好ましくは、接着性マトリックスより低い粘性を有する。一旦マクロ構造が補助的生成マトリックスに形成されたならば、製造される接着剤を処理するための理想的状態を生成するために、それらは接着性マトリックスに導入することができ、その中に微細に分布できる。
【0028】
マクロ構造は、接着剤が接着隙間に導入される前でさえ、接着性マトリックスにおいて形成でき、またはそれらの形成は、接着剤が接着隙間に導入された後の結合工程まで遅延し得る。
【0029】
この方法は、工程cおよびdの間に以下の工程を行うことにより作成し得る。
−好ましくは、蒸留により補助的生成マトリックスからマクロ構造を抽出し、次いで
−接着性マトリックスにマクロ構造を導入し、ここに、接着性マトリックスは、補助的生成マトリックスのそれとは異なる化学組成を有する。
【0030】
補助的生成マトリックスと一緒のマクロ構造は、粘着性マトリックスに基本的に導入できるが、補助的生成マトリックスは、かくして、接着剤の成分になるか、またはプロセスの後の工程で接着剤から実質的に除去され、本発明のこの展開は、マクロ構造が、それらがその中で生成された後、補助的生成マトリックスから絶縁されることを有利には必要とする。この絶縁は、特に蒸留により達成でき、補助的生成マトリックスは、それを加熱することにより気体状態に変換され、マクロ構造は、その結果、絶縁された固体形態のままとされる。補助的生成マトリックスからのマクロ構造の抽出は、補助的生成マトリックスおよび接着性マトリックスが異なる化学組成を有するか、または少なくとも異なる濃度を有し、かくして粘性を有する場合は常に特に有利である。これは、マクロ構造を生成する工程に理想的に適する補助的生成マトリックスを選択し、その工程で製造されたマクロ構造を、所望の接着性の効果に理想的に適する接着性マトリックスに導入する可能性を開く。
【0031】
別法として、補助的生成マトリックスは、接着性マトリックスに化学的に同一であり得、工程c後のマクロ構造の濃度は、必要ならば蒸留し増加でき、または接着性マトリックスを添加することにより減少できる。補助的生成マトリックスからのマクロ構造の抽出を含む前記の変形よりも単純かつより経済的なプロセス工学を含むこの変形の方法において、必要ならば、それを薄くするか濃くすることにより、引き続いての接着作用および、マクロ構造の形成に理想的値に単にもたらされる粘度に既に適する接着性マトリックスが用いられる。次いで、一旦マクロ構造が生成されたならば、接着剤を処理するための理想的粘性は、接着性マトリックス部分の引き続いての除去での蒸留、または接着性マトリックス部分を添加することにより接着剤を薄めることのいずれかにより設定できる。
【0032】
工程cのカーボンナノチューブは、補助的生成マトリックスへのずりの導入、特に、2つの方向での連続的ずり、好ましくは、圧縮力の同時の適用で凝集させて、マクロ構造を形成することがなおさらに好ましい。本発明の展開は、マクロ構造の生成を特に効率的にする。参照は、特定のデザインのずり操作およびその特定の実施につき前記の記載になされる。
【0033】
工程cのカーボンナノチューブの凝集は、特に加熱により、補助的生成マトリックスの粘度を低下させることにより支持されることがなおさらに好ましい。電気的接続に良好である幾何学を有するマクロ構造を形成するための炭素ナノチューブの所望の凝集は、特に、高レベルの再現性、および補助的生成マトリックスが低粘性を有する場合の良好な結果で特に達成されることが基本的に判明した。また、これを達成するために、加熱が適用でき、これは、通常の補助的生成マトリックスにおいてかなりの粘性を生じさせ、接着剤を処理するための好ましい粘性は、それを冷却させることにより再度得ることができる。
【0034】
カーボンナノチューブが、補助的生成マトリックスにおけるカーボンナノチューブのパーコレーション閾値より高濃度にて、工程bにおける補助的生成マトリックスに導入されることはなおさらに好ましい。基本原理として、カーボンナノチューブは、本発明による方法において、凝集が外部影響により、またはかかる外部影響なくして達成できるような濃度にて、すなわち、その濃度が、補助的生成マトリックスにおいてカーボンナノチューブのパーコレーション閾値を超えることにより、補助的生成マトリックスに導入しなければならない。後者の場合には、補助的生成マトリックスは、理想的には高レベルまで負荷され、かくして、マクロ構造の効率的生成を可能とする。この点について、マクロ構造自体が、一旦、それらが生成されるならば、パーコレーション閾値未満の補助的生成マトリックスに存在でき、すなわち、外部影響の不存在下で、均一な大きな構造を形成するマクロ構造の凝集は存在しない。
【0035】
本発明のもう一つの態様は、2構成材の導電性接合のための方法に関し、その方法は、以下の工程:
a.粘着作用材料から形成された接着性マトリックスおよび複数のカーボンナノチューブを含む接着剤を供給し、
b.接着剤を結合される2構成材の一方の少なくとも1つの結合表面に導入し、
c.一方の構成材の結合表面が、他方の構成材の結合表面に位置し、接着隙間がこれらの2つの結合する表面間で形成されるように、2構成材を結合し、
ここに、結合表面の2つの対向する領域の間にある接着隙間の少なくともそれらのセクションにおける接着隙間の厚みは、その間に導電性接続は接着隙間セクションを横切る一方の構成材の結合表面領域から他方の構成材の結合表面領域まで生成され、その接着隙間の厚みは、複数のカーボンナノチューブより形成され、かつ接着性マトリックスに存在するマクロ構造の寸法より小さいかまたは等しく、
d.接着隙間の方向で相互の方向に面した結合表面領域の導電性領域を有し、該領域を介して相互に電気的接続される結合表面の領域間にある接着隙間のセクションにおいてカーボンナノチューブのマクロ構造により電気的接続を形成し、
e.マトリックス材料を硬化させる
ことを含む。
【0036】
本発明による方法を用いて、機械的接続を接着剤と2構成材の結合表面との間の接着効果、および接着剤内の力の粘着性伝達により形成し、プロセスにおいて、導電性結合表面領域間の異方性電気的接続を同時に確立する。異方性の電気的接続は、一方の構成材および他方の構成材に対する2つの典型的な対向する電気ポイント間の電気的接続であるとこの文脈において理解され、それは、電流の流れを第1の方向で可能とするが、それに対して第2の方向で電荷のいずれかの流れを可能としないが、代わって、電流のかかる流れに対して絶縁する。換言すれば、異方性の電気的接続は、導かれた2つの別々に規定された接触間の外側に遮蔽された接続にある。
【0037】
本発明により、この異方性の電気的接続は、凝集したカーボンナノチューブから形成された接着剤含有マクロ構造を提供し、および接着隙間においてこの接着剤を配置することにより達成される。接着隙間の厚みは、少なくとも、異方性の導電性の接続のために提供された接着隙間のこれらのセクションにおいて、本発明によるある寸法未満または等しいマクロ構造である。寸法は、マクロ構造の高さ、幅または長さであり、特に、マクロ構造が本発明による方法を行うのに特に適当である球形に接近するならば、マクロ構造の直径であるとこの文脈において理解される。複数のマクロ構造の寸法が特定の範囲内に分布する場合、本発明方法は平均された寸法に基づいて行なわれるが、別法の具体例において、平均された寸法に代えて最小または最大値として下限または上限の寸法に基礎を置き、結果的に接着隙間の厚みを調整することも有利であるとこの点で基本的に推測できる。
【0038】
接着隙間厚みとマクロ構造の寸法との間の特定の関係により、2つの結合表面の間に配置されたマクロ構造は、少なくとも相互に電気的接続されるそれらの面積において、結合表面との直接的接触に加わり、かくして、電気的接続を確立する。一旦、この電気的接続が、結合される2構成材をより接近して一緒にすることにより形成されるならば、接着接合は、マトリックス材料を硬化することにより生成でき、かくして、このように生成した機械的および電気的接続状態を固定できる。
【0039】
結合表面が平面であり、接着隙間の各セクションを横切りその双方が他方の構成材に対する各結合表面領域まで電気的接続される、一つの構成材に対する第1の結合表面領域と、同一構成材に対する第2の結合表面領域との間の距離は、マクロ構造の寸法のいずれか1つよりも大きく、特に、マクロ構造の最大寸法より大きく、その結果、第1の結合表面領域と他の構成材に対するその対向する結合表面領域との間の接着隙間セクションは、第2の結合表面領域と他の構成材に対するその対向する結合表面領域との間の接着隙間セクションから電気的に絶縁されることが特に好ましい。本発明のこの展開により、1つの構成材上の複数の結合表面領域が、他の構成材上の複数の各結合表面領域に電気的接続され、これらの電気的接続の各単一のものは、他の電気的接続から接着剤の内部で絶縁されている。この電気的絶縁は、適切な幾何学の選択により達成され、一つの構成材上の2つの隣接した結合表面領域間の隙間は、そのマクロ構造の寸法より大きく、特に、その最大寸法より大きく選択され、それが、他の結合表面領域またはそれに配置されたマクロ構造に、およびそれらとの電気接触において電気的接触を同時に形成するかかる範囲まで側面に沿って延在するから電気的接触と結合表面領域を接触するマクロ構造を防止する。マクロ構造が本発明の結合方法を行なうために理想的球形に接近する1つの特定の具体例において、本発明の展開は、一つの構成材上で相互に絶縁される2つの隣接結合表面間の隙間が、マクロ構造の直径より大きいように、配置し得る。
【0040】
相互に電気的接続される対向する結合表面領域間の少なくとも1つの接着隙間セクションが、接着隙間を横切って形成されている電気的接続がない、対向する結合表面領域間の接着隙間セクションより小さな厚みを有することがなおさらに好ましい。この具体例は、本発明の従前に記載された展開に代替的であるか、その展開であり、全体として、より密集した配置の隣接した結合表面領域が、一つの構成材に対して相互に絶縁されることを可能とする。これは、かかる電気的接続に曝露されるそれらの結合表面領域により達成され、かかる電気的接続が達成されない領域よりも厚くない接着隙間を横切って相互に電気的接続を始める。本発明のこの展開は、接着隙間の厚みに対するマクロ構造のサイズの比率が、相互に電気的接続しないこれらの結合表面領域において低減される点で、相互から絶縁されるべき2つの結合表面領域の間に、電気的接続しない結合表面領域上でマクロ構造の沈着により、確立される接続のリスクを低減する。
【0041】
相互に電気的接続される2つの対向する結合表面領域間の接着隙間のより小さな厚みが、同じ結合表面の周囲の結合表面領域について生起される2つの結合表面領域の少なくとも1つにより生成されることが特に好ましい。この具体例によれば、少なくとも1つの結合表面領域、好ましくは、双方の結合表面領域の三次元構造は、適当な技術を適用することにより得られ、ここに、電気的接続される結合表面領域は、電気的接続しない結合表面領域についで生起される。これは、例えば、接触の電気ポイントまたは線が、結合表面領域から突き出し、その結果、接着隙間に突出すること、および結合表面がそれらが特定の離れた距離まで一緒に近づく場合、より薄い接着隙間が、生起されていない構造間よりもこれらの生起された構造間で形成されるように実現される。
【0042】
ホック、とげまたは剛毛構造が少なくとも1つの結合表面領域で形成されることがなおさらに好ましく、該構造は、マクロ構造との形態固定接続を形成でき、電気的接続は、ホック構造にマクロ構造を接着性および機械的付着で接着隙間を洗い流すことにより形成される。基本原理として、本発明の結合方法は、マクロ構造に存在する1または複数の機能要素で行うことができ、これは、電気的接続される結合表面領域上の沈着を達成または促進する。参照は、各々具体化された接着剤の上記の記載にこの点についてなされる。より詳しくは、結合表面と平行な移動方向におけるラッチ(latching)効果を生じることができるとげ構造を提供でき、これは、接着剤が接着隙間を介して流される場合に電気的接続される結合表面にわたり流れ、該結合表面にそれ自体を付着させる。別法またはさらなる配置において、電気的接続される表面領域上のマクロ構造の標的化沈着は、機械的クランピング、ホッピング、ジャミングまたは他のいくらかの方法により、それにマクロ構造の適当な付着に適した適当な構造で電気的接続される結合表面領域を形成することにより、達成し得る。
【0043】
本発明による結合方法の1つの他の展開により、マトリックス材料は、接着隙間において接着剤上で直流または渦電流の作用により硬化される。1つの構成材から他の構成材への接着隙間内の多数の異方性の電気的結合を構成すると、マトリックス材料は、2−成分マトリックス材料による化学的硬化もしくは光誘起硬化、または周囲、特に、周囲空気での1成分の反応のごとき公知の硬化方法によるだけではなく、より詳しくは、渦電流により生成された熱によっても、硬化できる。適当な渦電流は、より詳しくは、接着隙間に作用する磁界により誘導できる。
【0044】
最後に、本発明のさらなる態様は、前記の結合方法により生成された接着性ボンドの質をチェックする方法に関し、該方法は、構成材の異なるポイント間、または一方および他方の構成材間の電気抵抗が、結合に対する機械的ひずみの影響下で測定される点、そのひずみに対する電気抵抗、インピーダンスまたはアドミタンスの比率が所定の値、特に、かかる接着性接続に対して行われた先立つ測定から得られた値、またはその比率または曲線を特徴付ける値、および/または幾何学的または電気的特性から計算された絶対値と比較される点、ならびにその比率が特定の許容範囲を超えて変化するか、または不連続が抵抗−ひずみ曲線において生じるならば、接着接合が部分的に破損したと推測される点で特徴付けられる。
【0045】
質をチェックするこの方法は、相互に電気的に今度は絶縁される複数のポイントで生成された別々の電気的接続を用いて、接着隙間を横切る抵抗を測定するポイントで、本発明の結合方法で得られた2構成材間の特定の異方性の電気的接続により可能とされる。本発明は、カーボンナノチューブのマクロ構造により形成された電気的接続が、機械的ひずみが接着隙間に適用される場合、または断裂が生じるならば、接着隙間を横切ってその電気抵抗を変更するという事実を利用し、それが可能ならば、電気抵抗を測定する場合、生じた効果間に適用されたひずみ、すなわち、接着隙間を横切る接着性および粘着性接続が存在し、無傷である場合にひずみにより生成された抵抗における変化により区別するため、結合表面領域からのマクロ構造の局所的部分的層剥離、または可能な粘着性張力が過剰であることにより、接着剤内の破損により生じた分離に比較される。本発明によるマクロ構造は、基本的に機械的ひずみ下に位置した場合にそれらの電気抵抗において、比例する増加を示す。しかしながら、層剥離または粘着性破損が生じるならば、これらは抵抗の突然の増加により明示され、ついで、かかる層剥離の和に起因する、ひずみの下で測定された、矛盾または不連続により、および抵抗におけるより大きな増加により特徴付けられる。
【0046】
本発明による接着剤の特定の1つの適用は、電磁気または静電的遮蔽のためのものである。カーボンナノチューブのタイプ、各マクロ構造におけるカーボンナノチューブの濃度、アレイにおけるマクロ構造の濃度、およびマクロ構造の形状およびサイズのすべてが、遮蔽を提供する電磁放射の波長または波長範囲により選択できる。例えば、マクロ構造の形状およびサイズは、好ましくは、波長に、または2分の1の波長の整数の倍数に等しいことができる。本発明は、今や、好ましい具体例および図を参照して、非常に詳しく説明されるであろう。
【0047】
図1は、本発明の第1の具体例の模式的な側面断面図を示す。
図2は、本発明の第2の具体例の模式的な側面断面図を示す。
図3は、本発明による接着剤についての製造プロセスについての模式図を示す。
【0048】
図1にみられるように、一緒に結合し、かつ、その間で異方性の電気的接続が接着隙間を横切ってプロセスにおいて形成されている2構成材は、第1の構成材10の結合表面領域11が、第2の構成材20の結合表面領域21に対向して配置されている。接着隙間30は、2つの結合表面11と21との間で形成されている。
【0049】
導電性結合表面領域11a、b、cは、第1の結合表面11に形成されている。これらの結合表面領域11a、b、cは、第2の結合表面21で形成される各々の結合する表面領域21a、b、cに対向して位置する。結合表面領域11a〜cは、結合表面11を含む平面にあり、同様に、結合表面領域21a〜cは、結合表面21を含む平面にある。2つの隣接した結合表面領域11a〜cまたは21a〜cの間の隙間dは、接着隙間30に配置されたマクロ構造40a〜cの直径より大きい。
【0050】
マクロ構造40a、b、cは、複数の凝集したカーボンナノチューブからなり、凝集して、直径D2を有する球形態を形成する。マクロ構造40a〜cは接着性マトリックス41により囲まれ、これは、結合表面領域11a〜cと21a〜cとの間の領域における結合表面11および21に接着力でそれ自体を付着させ、かくして、接着接合を形成する。接着性マトリックスは、化学的反応性接着剤の群からの接着剤、すなわち、冷硬化または熱硬化の重縮合、重合、重付加接着剤であり得る。エポキシ樹脂は、接着性マトリックスとして好ましく用いられる。
【0051】
マクロ構造40a〜cは、結合表面領域11a〜cおよび21a〜cに接触し、このように、結合表面領域11a、21aおよび11b、21bおよび11c、21cを接続する。マクロ構造の直径Dは、接着隙間厚みsより大きく、隙間dより小さい。これは、マクロ構造40a〜cを介する電気接触が結合表面領域11a〜c、21a〜c上の直接的沈着により達成され、同時に、接着隙間の縦方向において、電気的接続が、1つのマクロ構造40aにより生成されなく、隣接したマクロ構造40bとの電気的接続を形成できることを保証する。
【0052】
図2にみられるように、生起されていない表面面積111’および121’について生起された結合表面領域111a〜cおよび121a〜cは、結合表面111および121に対するこの具体例において提供し得る。その結果、相互に電気的接続される2つの表面領域間に存在する接着隙間は、構成材110および120はより接近して一緒にする場合に少量まで低減され、マクロ構造140a〜cを介する電気的接続が達成される。マクロ構造140a〜cは、マクロ構造140d、eが接着性マトリックス内のこれらの絶縁中間領域に配置される場合でさえ、1つの構成材110に対して隣接した結合表面領域111a〜cまたは他の構成材120に対して121a〜cの間で横に形成されるいずれかの望ましくない電気的接続のリスクを防止する寸法を有する。このように、全体として、より細かい構造を持つ電気的接続を達成することが可能である。
【0053】
図3は、本発明の接着剤を製造する好ましい方法を示す。方法の第1工程において、a)多数のカーボンナノチューブ1は、補助的生成マトリックス2に導入され、補助的生成マトリックス2におけるカーボンナノチューブ1は、パーコレーション閾値を超える濃度に達する。より大きな凝集物を形成し、次いで、必要とされる外部影響なくして生じるカーボンナノチューブの凝集は、接着剤の所望の効果についての有利な幾何学を持つマクロ構造が続くように、その中に分布するカーボンナノチューブを用いて補助的生成マトリックスをずらすことにより制御される。このずりはその中に分布したカーボンナノチューブに加えて補助的生成マトリックスにより達成され、2つの表面3、4、b)、c)間に配置され、これらの表面は、第1の工程d)の第1の方向で相互に移動し、第2の工程e)において、相互に第2の方向に移動する。
【0054】
2つの異なった方向の補助的生成マトリックスのこれらの連続的な2つのずりの結果、大部分には理想的球形に近く、かくして、1に近い真円度を有するマクロ構造が製造される。
【0055】
このように得られたマクロ構造5は、パーコレーション閾値未満である補助的生成マトリックス2における濃度の今や現在のf)であり、すなわち、マクロ構造5は、補助的生成マトリックス2に分布し、それらは相互に電気的接続されず、より大きなマクロ構造を形成するように凝集する傾向を示さない。
【0056】
さらなる形成工程g)において、このように形成されたマクロ構造5は、今や補助的生成マトリックス2から蒸留により抽出され、今や自由流動性形態で存在する。次いで、マクロ構造は、パーコレーション閾値未満である濃度で、接着性マトリックス6に導入されたh)であり、その結果、接着性マトリックス内の微細に分布した形態で分散することができる。
【0057】
液体接着性マトリックスがどのように固めまたは硬化するかに依存して、マクロ構造は、接着性マトリックスの2成分の一方に、または接着性マトリックスの双方に導入でき、次いで、接着性マトリックスの硬化を生じる遅延した化学反応を触発するために、2成分をそれらが処理される直前に一緒に混合できる。接着性マトリックスの硬化が、光誘導、熱誘導、または周囲空気等で反応により誘導される他の変形において、所望の方法で接着隙間にそれ自体を分布させるとすぐに、単一成分の接着性マトリックスを代りに用い、接着性マトリックスの硬化を結果的に誘導する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着的に作用し、電気的に非伝導性または弱く伝導性マトリックス材料(6;41)、
好ましくは、ポリマー材料または重合性材料、および
マトリックス材料に分布した導電性カーボンナノチューブ(1)の相
を含む導電性接着剤であって、
カーボンナノチューブが、複数の個々のマクロ構造(40a〜c;140a〜c;5)に存在し、各マクロ構造は、相互の中で電気的接触を形成する複数の凝集したカーボンナノチューブよりなり、マクロ構造は、マトリックス材料内のマクロ構造のパーコレーション閾値未満の濃度でマトリックス材料に存在することにより特徴付けられる該接着剤。
【請求項2】
マクロ構造が実質的に球面幾何学で存在し、いずれのマクロ構造の高さ、幅および長さについての値も、他の値のいずれからも50%を超えていずれの値においても外れないことを特徴とする、請求項1記載の接着剤。
【請求項3】
マクロ構造が、カーボンナノチューブを含む流体をずらすことにより、特に、第1の方向での流体の第1のずりに続いて、第1の方向とは異なる第2の方向での第2のずりにより達成される形態で存在することを特徴とする請求項1または2記載の接着剤。
【請求項4】
カーボンナノチューブが、マトリックス材料においてカーボンナノチューブのパーコレーション閾値未満の濃度でマトリックス材料に存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の接着剤。
【請求項5】
結合表面領域と結合するのに機能的に有効である少なくとも1つの元素、特に磁気元素が、マクロ構造に存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載の接着剤。
【請求項6】
a.補助的生成マトリックス(2)を供給し、
b.カーボンナノチューブ(1)を補助的生成マトリックスに導入し、
c.カーボンナノチューブを凝集させて、補助的生成マトリックス内にマクロ構造(5)を形成し、次いで
d.接着集団におけるマクロ構造のパーコレーション閾値未満の濃度でポリマー接着性マトリックス(6)にマクロ構造を分布させる
工程を含む、導電性接着剤の製造方法。
【請求項7】
下記工程:
−補助的生成マトリックス(2)からマクロ構造(5)を好ましくは蒸留により抽出し、次いで
−マクロ構造(5)を接着性マトリックス(6)に導入する
ことを工程cおよびdの間に行うことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
補助的生成マトリックス(2)が接着性マトリックス(6)に化学的に同一であって、工程c後のマクロ構造の濃度を必要ならば蒸留により増加させるか、または接着性マトリックスを添加することにより減少させることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
工程cにおけるカーボンナノチューブを凝集させて、ずりを補助的生成マトリックスに導入すること、特に、2つの異なる方向にずり力の連続的適用により、好ましくは、圧縮力の同時の適用でマクロ構造を形成する、請求項6〜8のいずれかの1記載の方法。
【請求項10】
工程cにおけるカーボンナノチューブの凝集が、特に加熱により補助的生成マトリックスの粘性の低減により支持されることを特徴とする請求項6〜9のいずれかの1記載の方法。
【請求項11】
カーボンナノチューブが、補助的生成マトリックスにおけるカーボンナノチューブのパーコレーション閾値より高い濃度で工程bにおいて補助的生成マトリックスに導入されることを特徴とする請求項6〜10のいずれかの1記載の方法。
【請求項12】
a.粘着性に作用する材料および複数のカーボンナノチューブから形成された接着性マトリックス(41)を含む接着剤(41、40a、b、c)を供給し、
b.連結される2構成材の一方の少なくとも1つの結合表面(21)に接着剤を導入し、
c.その一方の構成材の結合表面(11)が、他方の構成材の結合表面(21)に配置されて、接着隙間(30)がこれらの2つの結合表面間に形成するように2構成材を結合させ、
ここに、結合表面の2つの対向する領域間にある接着隙間の少なくともそれらのセクションにおける接着隙間の厚み(s)は、その間に導電性接続は、接着隙間セクションを横切る一方の構成材の結合表面領域から他方の構成材の結合表面領域まで生成され、その接着隙間の厚みは、複数のカーボンナノチューブから形成され、かつ接着性マトリックス(41)に存在するマクロ構造(40a、b、c)の寸法(D)より小さいかまたは等しく、
d.接着隙間の方向および相互の方法に面した結合表面領域(11a〜c、21a〜c)の導電性領域を有し、該領域を介して相互に電気的接続される結合表面の領域間にある接着隙間のセクションにおいてカーボンナノチューブのマクロ構造により電気的接続を形成し、
e.マトリックス材料を硬化させる
工程を含む2構成材(10、20)の導電性接合のための方法。
【請求項13】
結合表面(11、21)が平面であり、双方が接着隙間の各セクションを横切って他方の構成材に対する各々の結合表面領域に電気的接続される一方の構成材(10)に対する第1の結合表面領域(11a)と同一構成材に対する第2の結合表面領域(11b)との間の距離(d)が、第1の結合表面領域と他方の構成材に対するその対向する結合表面領域との間の接着隙間セクションが、第2の結合表面領域と他方の構成材に対するその対向する結合表面領域との間の接着隙間セクションから電気的に絶縁されるように、マクロ構造(40a〜c)の寸法(D)のいずれよりも大きく、特に、マクロ構造の最大寸法(D)より大きいことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
相互に電気的接続される対向する結合表面領域(111a、121a)間の少なくとも1つの接着隙間セクションが、対向する結合表面領域(111’、121’)間の接着隙間セクションより小さな厚みを有し、その対向する結合表面領域間で、接着隙間を横切って形成される電気的接続がないことを特徴とする請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
相互に電気的接続される2つの対向する結合表面領域間の接着隙間のより小さな厚みが、同じ結合表面の周囲の結合表面領域(111’、121’)について生起された2つの結合表面領域(111a〜c、121a.c)の少なくとも1つにより生成されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
表面構造が少なくとも1つの結合表面領域で形成され、該表面構造がマクロ構造と形態固定接続を形成でき、および電気的接続が、接着剤で接着隙間を洗い流し、次いでマクロ構造を表面構造に機械的に付着させることにより形成されることを特徴とする、請求項12〜15のいずれかの1記載の方法。
【請求項17】
マトリックス材料が、接着隙間において接着剤上で直流または渦電流の作用により硬化されることを特徴とする請求項12〜16のいずれかの1記載の方法。
【請求項18】
構成材の異なるポイント間または一方の構成材(10)と他方の構成材(20)との間の電気抵抗、インピーダンスまたはアドミタンスが、結合に対する機械的ひずみの影響下で測定され、電気抵抗−対−そのひずみの比が、所定の値と比較され、およびその比が特定の許容範囲を超えて変化するかまたは不連続が抵抗−ひずみ曲線において生じるならば、接着接合が部分的に破損したと推測されることを特徴とする、請求項12〜16のいずれかの1記載の方法により製造された接着接合の質をチェックする方法

【図1】
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【図2】
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【図3a)】
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【図3b)】
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【図3c)】
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【図3d)】
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【図3e)】
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【図3f)】
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【図3g)】
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【図3h)】
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【公表番号】特表2013−520544(P2013−520544A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554359(P2012−554359)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052862
【国際公開番号】WO2011/104370
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512221360)トゥーテック・イノヴェーション・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】TUTECH INNOVATION GMBH
【出願人】(512221382)
【氏名又は名称原語表記】TECHNISCHE UNIVERSITAET HAMBURG−HARBURG
【Fターム(参考)】