異方導電性コネクターおよびその製造方法、アダプター装置並びに回路装置の電気的検査装置
【課題】 電極のパターンに関わらず、電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成され、電極のピッチが微小で高密度に配置されていても、電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成され、小さいコストで製造可能な異方導電性コネクターおよびその製造方法、これを具えたアダプター装置並びに回路装置の電気的検査装置を提供する。
【解決手段】 本発明の異方導電性コネクターは、離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、複数の導電路形成部を形成し、離型性支持板に形成された導電路形成部の各々を、フレーム板の開口を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成することによって得られる。
【解決手段】 本発明の異方導電性コネクターは、離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に導電性粒子が厚み方向に配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、複数の導電路形成部を形成し、離型性支持板に形成された導電路形成部の各々を、フレーム板の開口を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成することによって得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント回路基板などの回路装置の電気的検査に好適に用いることができる異方導電性コネクターおよびその製造方法、この異方導電性コネクターを具えたアダプター装置、並びにこのアダプター装置を具えた回路装置の電気的検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に集積回路装置、その他の電子部品などを構成するまたは搭載するための回路基板については、電子部品などを組み立てる以前に或いは電子部品などを搭載する以前に、当該回路基板の配線パターンが所期の性能を有することを確認するためにその電気的特性を検査することが必要である。
従来、回路基板の電気的検査を実行する方法としては、縦横に並ぶ格子点位置に従って複数の検査電極が配置されてなる検査電極装置と、この検査電極装置の検査電極に検査対象である回路基板の被検査電極を電気的に接続するアダプターとを組み合わせて用いる方法などが知られている。この方法において用いられるアダプターは、ピッチ変換ボードと称されるプリント配線板よりなるものである。
このアダプターとしては、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された複数の接続用電極を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するもの、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された、電流供給用接続用電極および電圧測定用接続用電極よりなる複数の接続用電極対を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するものなどが知られており、前者のアダプターは、例えば回路基板における各回路のオープン・ショート試験などに用いられ、後者のアダプターは、回路基板における各回路の電気抵抗測定試験に用いられている。
而して、回路基板の電気的検査においては、一般に、検査対象である回路基板とアダプターとの安定な電気的接続を達成するために、検査対象である回路基板とアダプターとの間に、異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
【0003】
この異方導電性エラストマーシートは、厚さ方向にのみ導電性を示すもの、あるいは加圧されたときに厚さ方向にのみ導電性を示す多数の加圧導電性導電部を有するものである。
このような異方導電性エラストマーシートとしては、従来、種々の構造のものが知られており、その代表的な例としては、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られるもの(例えば特許文献1参照。)、導電性磁性金属粒子をエラストマー中に不均一に分散させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなるもの(例えば特許文献2参照。)、導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成されたもの(例えば特許文献3参照。)などが挙げられる。
そして、配置ピッチの小さい被検査電極を有する回路基板に対しては、当該回路基板の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って導電路形成部が形成されてなる異方導電性エラストマーシートが、高い接続信頼性が得られる点で好ましい。
【0004】
然るに、このような異方導電性エラストマーシートは、それ自体が単独の製品として製造され、また単独で取り扱われるものであって、電気的接続作業においてはアダプターおよび回路基板に対して特定の位置関係をもって保持固定することが必要である。
しかしながら、独立した異方導電性エラストマーシートを利用して回路基板の電気的接続を達成する手段においては、検査対象である回路基板における被検査電極の配置ピッチ、すなわち互いに隣接する被検査電極の中心間距離が小さくなるに従って異方導電性エラストマーシートの位置合わせおよび保持固定が困難となる、という問題点がある。
また、一旦は所望の位置合わせおよび保持固定が実現された場合においても、温度変化による熱履歴を受けた場合などには、熱膨張および熱収縮による応力の程度が、検査対象である回路基板を構成する材料と異方導電性エラストマーシートを構成する材料との間で大きく異なるため、電気的接続状態が変化して安定な接続状態が維持されない、という問題点がある。
【0005】
従来、以上のような問題を解決するために、異方導電性エラストマーシートの周縁部が金属よりなるフレーム板によって支持されてなる異方導電性コネクターが提案されている(例えば特許文献4参照。)。
このような異方導電性コネクターは、例えば次のようにして製造される。
先ず、図24に示すような構成の金型を用意する。この金型は、基板81上に、例えば検査対象である回路基板の被検査電極と同一のパターンに従って強磁性体部82が配置されると共に、当該強磁性体部82以外の部分に非磁性体部83が配置されてなる一方の型板(以下、「上型」という。)80と、基板86上に、検査対象である回路基板の被検査電極と対掌のパターンに従って強磁性体部87が配置されると共に、当該強磁性体部87以外の部分に非磁性体部88が配置されてなる他方の型板(以下、「下型」という。)85とにより構成されている。
そして、この金型内に、図25に示すように、開口91を有するフレーム板90を配置すると共に、このフレーム板90の開口91を塞ぐよう異方導電性エラストマー用材料層95Aを形成する。この異方導電性エラストマー用材料層95Aは、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子Pが含有されてなるものである。
次いで、上型80の上面および下型85の下面に一対の電磁石(図示省略)を配置し、この電磁石を作動させることにより、上型80の強磁性体部82からこれに対応する下型85の強磁性体部87に向かう方向に平行磁場を作用させる。このとき、上型80の強磁性体部82および下型85の強磁性体部87の各々が磁極として作用するため、上型80の強磁性体部82と下型85の強磁性体部87との間の領域には、それ以外の領域よりも大きい強度の磁場が作用する。その結果、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいては、当該異方導電性エラストマー用材料層95A中に分散されていた導電性粒子Pが、上型80の強磁性体部82と下型85の強磁性体部87との間に位置する部分に向かって移動して当該部分に集合し、更に厚み方向に並ぶよう配向する。
この状態で、異方導電性エラストマー用材料層95Aに対して例えば加熱による硬化処理を行うことにより、図26に示すように、導電性粒子Pが含有されてなる厚み方向に伸びる多数の導電路形成部96とこれらを相互に絶縁する絶縁部97とよりなる異方導電性エラストマーシート95が、フレーム板90に支持されてなる異方導電性コネクターが製造される。
【0006】
このような異方導電性コネクターによれば、回路基板の電気的検査において、回路基板に対する異方導電性エラストマーシートの位置合わせ作業を容易に行うことができ、また、異方導電性エラストマーシートの熱膨張をフレーム板によって規制することができるので、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持され、従って高い接続信頼性が得られる。
【0007】
しかしながら、上記の異方導電性コネクターにおいては、以下のような問題がある。
電子部品を構成または搭載するための回路基板としては、その電極が例えば矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなるものが知られている。而して、このような回路基板の電気的検査を行うためには、導電路形成部96が矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなる異方導電性エラストマーシート95を有する異方導電性コネクターを用いることが必要である。然るに、このような異方導電性エラストマーシート95は、導電路形成部96に囲まれた中央部分がすべて絶縁部97となるため、当該異方導電性エラストマーシート95の形成において、異方導電性エラストマー用材料層95Aの中央部分に存在する導電性粒子についてはその移動距離が極めて長いものとなる結果、当該導電性粒子を導電路形成部となるべき部分に確実に集合させることは困難である。そのため、得られる導電路形成部96には、所要の量の導電性粒子が充填されず、しかも、絶縁部97には、相当な量の導電性粒子が残存するため、所期の異方導電性エラストマーシートを確実に形成することができない。
【0008】
また、現在、集積回路装置においては、その高機能化、高容量化に伴って電極数が増加し、電極の配置ピッチすなわち隣接する電極の中心間距離が小さくなって高密度化が一層推進される傾向にある。従って、このような集積回路装置を構成または搭載するための回路基板に対して電気的検査を行う場合には、導電路形成部のピッチが小さくて高密度に配置された異方導電性コネクターを用いることが必要である。
而して、このような異方導電性コネクターの製造においては、当然のことながら強磁性体部82,87が極めて小さいピッチで配置された上型80および下型85を用いることが必要である。
【0009】
然るに、このような上型80および下型85を用い、上述のようにして異方導電性エラストマーシート95を形成する場合には、図27に示すように、上型80および下型85の各々において、或る強磁性体部82a,87aとこれに隣接する強磁性体部82b,87bとの間の離間距離が小さいため、上型80の強磁性体部82aからこれに対応する下型85の強磁性体部87aに向かう方向(矢印Xで示す)のみならず、例えば上型80の強磁性体部82aからこれに対応する下型85の強磁性体部87aに隣接する強磁性体部87bに向かう方向(矢印Yで示す)にも磁場が作用することとなる。そのため、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいて、導電性磁性体粒子を、上型80の強磁性体部82aとこれに対応する下型85の強磁性体部87aとの間に位置する部分に集合させることが困難となり、上型80の強磁性体部82aと下型85の強磁性体部87bとの間に位置する部分にも導電性磁性体粒子が集合してしまい、また、導電性粒子を異方導電性エラストマー用材料層95Aの厚み方向に十分に配向させることが困難となり、その結果、所期の導電路形成部および絶縁部を有する異方導電性コネクターが得られない。
【0010】
また、異方導電性エラストマーシートの形成においては、前述したように、上型80および下型85の2つの型板が必要である。これらの型板は、例えば検査対象である回路基板に応じて個別的に製造されるものであり、また、その製造工程が煩雑なものであるため、異方導電性コネクターの製造コストが極めて高いものとなり、延いては回路装置の検査コストの増大を招く。
【0011】
【特許文献1】特開昭51−93393号公報
【特許文献2】特開昭53−147772号公報
【特許文献3】特開昭61−250906号公報
【特許文献4】特開平11−40224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、接続すべき電極の配置パターンに関わらず、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、小さいコストで製造することができる異方導電性コネクターおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、小さいコストで製造することができるアダプター装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる回路装置の電気的検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法は、1または2以上の開口が形成されたフレーム板と、このフレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板に支持された1または2以上の弾性異方導電膜とよりなり、前記弾性異方導電膜は、前記フレーム板の開口内に配置された、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部と、導電路形成部の周囲に形成された絶縁部とよりなる異方導電性コネクターを製造する方法であって、
離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、当該離型性支持板上に複数の導電路形成部を形成し、
この離型性支持板に形成された導電路形成部の各々を、フレーム板の開口を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法においては、レーザー加工は、炭酸ガスレーザーによるものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の異方導電性コネクターの製造方法においては、導電性エラストマー層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに従って金属マスクを形成し、その後、当該導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、複数の導電路形成部を形成することが好ましい。
このような製造方法においては、導電性エラストマー層の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することが好ましい。
また、導電性エラストマー層の表面に金属薄層を形成し、この金属薄層の表面に特定のパターンに従って開口が形成されたレジスト層を形成し、前記金属薄層における前記レジスト層の開口から露出した部分の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することが好ましい。
【0016】
また、本発明の異方導電性コネクターの製造方法においては、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成することが好ましい。
【0017】
本発明の異方導電性コネクターは、上記の製造方法によって得られることを特徴とする。
【0018】
本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0020】
本発明の回路装置の電気的検査装置は、上記のアダプター装置を具えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法によれば、導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、導電路形成部を形成するため、所期の導電性を有する導電路形成部を確実に得ることができる。また、離型性支持板上に導電路形成部を形成したうえで、当該導電路形成部をエラストマー用材料層中に浸入させ、当該エラストマー用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成するため、導電性粒子が全く存在しない絶縁部を確実に得ることができる。しかも、従来の異方導電性コネクターを製造するために使用されていた多数の強磁性体部が配列されてなる金型を用いることが不要である。
従って、このような方法によって得られる本発明の異方導電性コネクターによれば、接続すべき電極の配置パターンに関わらず、当該電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成されると共に、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成され、しかも、小さいコストで製造することができる。
【0022】
本発明のアダプター装置によれば、上記の異方導電性コネクターを具えてなるため、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、小さいコストで製造することができる。
【0023】
本発明の回路装置の電気的検査装置によれば、上記のアダプター装置を具えてなるため、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈異方導電性コネクター〉
図1は、本発明に係る異方導電性コネクターの一例における構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す異方導電性コネクターの要部を拡大して示す説明用断面図である。この異方導電性コネクター10は、複数の開口12が形成されたフレーム板11と、このフレーム板11の開口12の各々を塞ぐよう配置され、当該フレーム板11に支持された単一の弾性異方導電膜15とにより構成されている。
弾性異方導電膜15においては、その厚み方向に伸びる複数の導電路形成部16が、特定のパターンに従ってフレーム板11の開口12内に位置するよう配置され、導電路形成部16の各々の周囲には、隣接する導電路形成部16を相互に絶縁する一体の絶縁部17が導電路形成部16に一体的に接着した状態で形成されている。導電路形成部16の特定のパターンは、接続すべき電極例えば検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンである。
導電路形成部16は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部17は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。
図示の例においては、弾性異方導電膜15の一面(図1において上面)において、導電路形成部16が絶縁部17の表面から突出する突出部が形成されている。
このような例によれば、加圧による圧縮の程度が絶縁部17より導電路形成部16において大きいために十分に抵抗値の低い導電路が確実に導電路形成部16に形成され、これにより、加圧力の変化乃至変動に対して抵抗値の変化を小さくすることができ、その結果、弾性異方導電膜15に作用される加圧力が不均一であっても、各導電路形成部16間における導電性のバラツキの発生を防止することができる。
【0025】
フレーム板11を構成する材料としては、機械的強度の高い種々の非金属材料および金属材料を用いることができる。
非金属材料の具体例としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂等の繊維補強型樹脂材料、エポキシ樹脂等にアルミナ、ポロンナイトライド等の無機材料をフィラーとして含有した複合樹脂材料などが挙げられる。
金属材料としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト若しくはこれらの合金または合金鋼なとが挙げられる。
また、異方導電性コネクターを高温環境下で使用する場合には、フレーム板11として、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-6〜2×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。このようなフレーム板11を用いることにより、弾性異方導電膜15の熱膨張による位置ずれを抑制することができる。
また、フレーム板11の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。この厚みが過小である場合には、当該フレーム板11に必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、弾性異方導電膜15の厚みが必然的に大きくなり、従って、良好な導電性が得られないことがある。
【0026】
弾性異方導電膜15において、導電路形成部16を構成する弾性高分子物質と絶縁部17を構成する弾性高分子物質とは、互いに異なる種類のものであっても同じ種類のものであってもよい。
導電路形成部16および絶縁部17を構成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらの中では、耐久性、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0027】
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
また、シリコーンゴムは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10,000〜40,000のものであることが好ましい。また、得られる導電路形成部16に良好な耐熱性が得られることから、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
【0028】
導電路形成部16に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法により当該粒子を容易に厚み方向に並ぶよう配向させることができることから、磁性を示す導電性粒子が用いられる。このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられている。
【0029】
導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られることから、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0030】
また、導電性粒子Pの粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。 また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電路形成部16は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該導電路形成部16において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
また、導電性粒子Pとして、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤や潤滑剤で処理されたものを適宜用いることができる。カップリング剤や潤滑剤で粒子表面を処理することにより、異方導電性性コネクターの耐久性が向上する。
【0031】
このような導電性粒子Pは、導電路形成部16中に体積分率で15〜45%、好ましくは20〜40%となる割合で含有されていることが好ましい。この割合が過小である場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部16が得られないことがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる導電路形成部16は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部16として必要な弾性が得られないことがある。
【0032】
また、導電路形成部16の厚みは、20〜250μmであることが好ましく、より好ましくは30〜200μmである。この厚みが過小である場合には、十分な凹凸吸収能が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、良好な導電性が得られないことがある。
また、導電路形成部16の突出部の突出高さは、当該導電路形成部16の厚みの5〜70%であることが好ましく、より好ましくは10〜60%である。
【0033】
本発明において、上記の異方導電性コネクター10は、離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、当該離型性支持板上に複数の導電路形成部16を形成し、この離型性支持板に形成された導電路形成部16の各々を、フレーム板11の開口12を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部17を形成することによって、得られる。
また、上記の導電性エラストマー層は、離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、得られる。
以下、異方導電性コネクター10の製造方法を具体的に説明する。
【0034】
《導電性エラストマー層の形成》
先ず、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる導電性エラストマー用材料を調製し、図3に示すように、導電路形成部形成用の離型性支持板13上に、導電性エラストマー用材料を塗布することによって導電性エラストマー用材料層16Aを形成する。ここで、導電性エラストマー用材料層16A中においては、図4に示すように、磁性を示す導電性粒子Pが分散された状態で含有されている。
次いで、導電性エラストマー用材料層16Aに対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、図5に示すように、導電性エラストマー用材料層16A中に分散されていた導電性粒子Pを当該導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に並ぶよう配向させる。そして、導電性エラストマー用材料層16Aに対する磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理を行うことにより、図6に示すように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層16Bが、離型性支持板13上に支持された状態で形成される。
【0035】
以上において、離型性支持板13を構成する材料としては、金属、セラミックス、樹脂およびこれらの複合材などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
導電性エラストマー用材料層16Aの厚みは、形成すべき導電路形成部の厚みに応じて設定される。
導電性エラストマー用材料層16Aに磁場を作用させる手段としては、電磁石、永久磁石などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料層16Aに作用させる磁場の強度は、0.2〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、導電性エラストマー用材料層16Aを構成するエラストマー用材料の種類、導電性粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0036】
《導電路形成部の形成》
図7に示すように、離型性支持板13上に支持された導電性エラストマー層16Bの表面に、メッキ電極用の金属薄層14を形成する。次いで、図8に示すように、この金属薄層14上に、フォトリソグラフィーの手法により、形成すべき導電路形成部のパターンすなわち接続すべき電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の開口18aが形成されたレジスト層18を形成する。その後、図9に示すように、金属薄層14をメッキ電極として、当該金属薄層14におけるレジスト層18の開口18aを介して露出した部分に、電解メッキ処理を施すことにより、当該レジスト層18の開口18a内に金属マスク19を形成する。そして、この状態で、導電性エラストマー層16B、金属薄層14およびレジスト層18に対してレーザー加工を施すことにより、レジスト層18、金属薄層14および導電性エラストマー層16Bの一部が除去され、その結果、図10に示すように、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16が離型性支持板13上に支持された状態で形成される。その後、導電路形成部16の表面から残存する金属薄層14および金属マスク19を剥離する。
【0037】
以上において、導電性エラストマー層16Bの表面に金属薄層14を形成する方法としては、無電解メッキ法、スパッタ法などを利用することができる。
金属薄層14を構成する材料としては、銅、金、アルミニウム、ロジウムなどを用いることができる。
金属薄層14の厚みは、0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚みが過小である場合には、均一な薄層が形成されず、メッキ電極として不適なものとなることがある。一方、この厚みが過大である場合には、レーザー加工によって除去することが困難となることがある。
レジスト層18の厚みは、形成すべき金属マスク19の厚みに応じて設定される。
金属マスク19を構成する材料としては、銅、鉄、アルミウニム、金、ロジウムなどを用いることができる。
金属マスク19の厚みは、2μm以上であることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。この厚みが過小である場合には、レーザーに対するマスクとして不適なものとなることがある。
レーザー加工は、炭酸ガスレーザーによるものが好ましく、これにより、目的とする形態の導電路形成部16を確実に形成することができる。
【0038】
《絶縁部の形成》
図11に示すように、絶縁部形成用の離型性支持板13Aを用意し、この離型性支持板13Aの表面に、フレーム板11を配置すると共に、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料を塗布することにより、絶縁部用材料層17Aを形成する。次いで、図12に示すように、複数の導電路形成部16が形成された離型性支持板13を、絶縁部用材料層17Aが形成された離型性支持板13A上に重ね合わせることにより、導電路形成部16の各々を絶縁部用材料層17A中に浸入させて離型性支持板13Aに接触させる。これにより、隣接する導電路形成部16の間に絶縁部用材料層17Aが形成された状態となる。その後、この状態で、絶縁部用材料層17Aの硬化処理を行うことにより、図13に示すように、導電路形成部16の各々の周囲に、これらを相互に絶縁する絶縁部17が、導電路形成部16に一体的に形成され、以て弾性異方導電膜15が形成される。
そして、離型性支持板13,13Aから弾性異方導電膜15を離型させることにより、図1に示す構成の異方導電性コネクター10が得られる。
【0039】
以上において、離型性支持板13Aを構成する材料としては、導電路形成部形成用の離型性支持板13と同様のものを用いることができる。
エラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
絶縁部用材料層17Aの厚みは、形成すべき絶縁部の厚みに応じて設定される。
絶縁部用材料層17Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、絶縁部用材料層17Aを構成するエラストマー用材料の種類などを考慮して適宜設定される。
【0040】
上記の製造方法によれば、導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層16Bをレーザー加工してその一部を除去することにより、目的とする形態の導電路形成部16を形成するため、所要の量の導電性粒子Pが充填された所期の導電性を有する導電路形成部16を確実に得ることができる。
また、離型性支持板13上に特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16を形成したうえで、これらの導電路形成部16の間に絶縁部用材料層17Aを形成して硬化処理することにより絶縁部17を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部17を確実に得ることができる。
しかも、従来の異方導電性コネクターを製造するために使用されていた多数の強磁性体部が配列されてなる高価な金型を用いることが不要である。
従って、このような方法によって得られる異方導電性コネクター10によれば、接続すべき電極の配置パターンに関わらず、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、製造コストの低減化を図ることができる。
【0041】
〈アダプター装置〉
図14は、本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図であり、図15は、図14に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、例えばオープン・ショート試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図14および図15において上面)には、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の接続用電極21が配置された接続用電極領域25が形成されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置され、端子電極22の各々は、内部配線部23によって接続用電極21に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、基本的に図1に示す構成の異方導電性コネクター10が配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター10においては、アダプター本体20における接続用電極21に係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の導電路形成部16が形成されており、当該異方導電性コネクター10は、導電路形成部16の各々がアダプター本体20の接続用電極21上に位置されるよう配置されている。
【0042】
このようなアダプター装置によれば、図1に示す構成の異方導電性コネクター10を有するため、検査対象である回路装置の検査電極の配置パターンに関わらず、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、製造コストの低減化を図ることができる。
【0043】
図16は、本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図であり、図17は、図16に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図16および図17において上面)には、それぞれ同一の被検査電極に電気的に接続される互いに離間して配置された電流供給用の接続用電極(以下、「電流供給用電極」ともいう。)21bおよび電圧測定用の接続用電極(以下、「電圧測定用電極」ともいう。)21cよりなる複数の接続用電極対21aが配置された接続用電極領域25が形成されている。これらの接続用電極対21aは、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置されている。
そして、電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの各々は、内部配線部23によって端子電極22に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、基本的に図1に示す構成の異方導電性コネクター10が配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター10においては、アダプター本体20における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の導電路形成部16が形成されており、当該異方導電性コネクター10は、導電路形成部16の各々がアダプター本体20の接続用電極21b,21c上に位置されるよう配置されている。
【0044】
上記のアダプター装置によれば、図1に示す構成の異方導電性コネクター10を有するため、検査対象である回路装置の検査電極の配置パターンに関わらず、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、製造コストの低減化を図ることができる。
【0045】
〈回路装置の電気的検査装置〉
図18は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、例えばオープン・ショート試験を行うものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。検査実行領域Eの上方には、図14に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図14に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって下部側支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
【0046】
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、いずれもその厚み方向にのみ導電路を形成する導電路形成部が形成されてなるものである。このような異方導電性シート55a,55bとしては、各導電路形成部が少なくとも一面において厚み方向に突出するよう形成されているものが、高い電気的な接触安定性を発揮する点で好ましい。
【0047】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極21に、当該異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極21に、当該異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0048】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。
【0049】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図14に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7の配置パターンに関わらず、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0050】
図19は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うためのものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。
検査実行領域Eの上方には、図16に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図16に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、第1の例の電気的検査装置と基本的に同様の構成である。
【0051】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0052】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。具体的には、上部側アダプター装置1aにおける電流供給用電極21bと下部側アダプター装置1bにおける電流供給用電極21bとの間に一定の値の電流が供給されると共に、上部側のアダプター装置1aにおける複数の電圧測定用電極21cの中から1つを指定し、当該指定された1つの電圧測定用電極21cと、当該電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極5に対応する下面側の被検査電極6に電気的に接続された、下部側アダプター装置1bにおける電圧測定用電極21cとの間の電圧が測定され、得られた電圧値に基づいて、当該指定された1つの電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極5とこれに対応する他面側の被検査電極6との間に形成された配線パターンの電気抵抗値が取得される。そして、指定する電圧測定用電極21cを順次変更することにより、全ての配線パターンの電気抵抗の測定が行われる。
【0053】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図16に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7の配置パターンに関わらず、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0054】
本発明においては、上記の実施の形態に限定されず種々の変更を加えることが可能である。
例えば、異方導電性コネクター10においては、導電路形成部16に突出部が形成されることは必須のことではなく、弾性異方導電膜15の表面全体が平坦なものであってもよい。
また、導電路形成部16は、その両面に突出部が形成されていてもよい。このような導電路形成部16を有する弾性異方導電膜15は、以下のようにして得ることができる。すなわち、絶縁部17の形成において、離型性支持板13,13Aによって導電路形成部16を厚み方向に加圧して圧縮させ、この状態で絶縁部用材料層17Aを硬化処理することにより、絶縁部17を形成する。その後、離型性支持板13,13Aによる導電路形成部16に対する加圧を解除することによって、圧縮された導電路形成部16を元の形態に復元させ、これにより、絶縁部17の両面から突出する突出部を有する導電路形成部16が得られる。
また、検査対象である回路装置は、プリント回路基板に限定されず、パッケージIC、MCMなどの半導体集積回路装置であってもよい。
【0055】
また、離型性支持板13上に支持された導電性エラストマー層16Bを形成する方法としては、予め製造された、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマーシートを、当該導電性エラストマーシートの有する粘着性によって或いは適宜の粘着剤によって、離型性支持板13上に粘着して支持させる方法を利用することもできる。ここで、導電性エラストマーシートは、例えば2枚の樹脂シートの間に導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー層に対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、導電性エラストマー用材料層中の導電性粒子を厚み方向に並ぶよう配向させ、磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層の硬化処理を行うことによって、製造することができる。
【0056】
また、導電路形成部16の形成においては、レーザー加工によって導電性エラストマー層16Bにおける導電路形成部となる部分以外の部分の全部が除去されることにより、導電路形成部を形成することもできるが、図20および図21に示すように、導電性エラストマー層16Bにおける導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部16を形成することもできる。この場合には、導電性エラストマー層16Bの残部は、離型性支持板13から機械的に剥離することによって除去することができる。
【0057】
また、異方導電性コネクター10としては、図22に示すように、単一の開口12が形成されたフレーム板11と、このフレーム板11の開口12を塞ぐよう配置された単一の弾性異方導電膜15とよりなる構成のものであってもよい。
また、異方導電性コネクター10としては、図23に示すように、複数の開口12が形成されたフレーム板11と、それぞれフレーム板11の一の開口12を塞ぐよう配置された複数の弾性異方導電膜15とよりなる構成のものであってもよい。
更に、異方導電性コネクター10としては、複数の開口が形成されたフレーム板と、フレーム板の一の開口を塞ぐよう配置された1または2以上の弾性異方導電膜と、フレーム板の複数の開口を塞ぐよう配置された1つまたは2以上の弾性異方導電膜とよりなる構成であってもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
〈実施例1〉
(1)導電性エラストマー層の形成:
付加型液状シリコーンゴム100重量部中に、ニッケルよりなる芯粒子に金が被覆されてなる導電性粒子(数平均粒子径が12μm,芯粒子に対する金の割合が2重量%)400重量部を分散させることにより、導電性エラストマー用材料を調製した。この導電性エラストマー用材料を、厚みが5mmのステンレスよりなる離型性支持板(13)の表面に、スクリーン印刷により塗布することにより、当該離型性支持板(13)上に、厚みが100μmの導電性エラストマー用材料層(16A)を形成した(図3および図4参照)。 次いで、導電性エラストマー用材料層(16A)に対して、電磁石によって厚み方向に2テスラの磁場を作用させながら、120℃、1時間の条件で硬化処理を行うことにより、離型性支持板13上に支持された厚みが100μmの導電性エラストマー層(16B)を形成した(図5および図6参照)。この導電性エラストマー層における導電性粒子の含有割合は、体積分率で30%であった。
【0060】
(2)導電路形成部の形成:
離型性支持板(13)上に支持された導電性エラストマー層(16B)の表面に、無電解メッキ処理を施すことによって、厚みが0.3μmの銅よりなる金属薄層(14)を形成し、この金属薄層(14)上に、フォトリソグラフィーの手法により、それぞれ寸法が120μm×60μmの矩形の4800個の開口(18a)が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で形成された、厚みが25μmのレジスト層(18)を形成した(図7および図8参照)。その後、金属薄層(14)の表面に電解メッキ処理を施すことにより、レジスト層(18)の開口(18a)内に厚みが約20μmの銅よりなる金属マスク(19)を形成した(図9参照)。そして、この状態で、導電性エラストマー層(16B)、金属薄層(14)およびレジスト層(18)に対して、炭酸ガスレーザー装置によってレーザー加工を施すことにより、それぞれ離型性支持板(13)上に支持された4800個の導電路形成部(16)を形成し(図10参照)、その後、導電路形成部(16)の表面から残存する金属薄層(14)および金属マスク(19)を剥離した。
以上において、炭酸ガスレーザー装置によるレーザー加工条件は、以下の通りである。 すなわち、装置として、炭酸ガスレーザー加工機「ML−605GTX」(三菱電機(株)製)を用い、レーザービーム径が直径60μm,レーザー出力が0.8mJの条件で、1つの加工点にレーザービームを10ショット照射することによりレーザー加工を行った。
【0061】
(3)フレーム板の作製:
図1に示す構成に従い、以下のようにしてフレーム板(11)を作製した。
厚みが50μmの液晶ポリマーよりなる樹脂シートの両面に銅箔が積層されてなる積層シート(新日鐵化学製の「エスパネックス LB18−50−18NEP」)を用意し、この積層シートの一面の銅箔上にドライフィルムレジストをラミネートすることによりレジスト膜を形成した。次いで、形成されたレジスト膜に対して露光処理および現像処理を施すことにより、当該レジスト膜に目的とするフレーム板の開口に対応するパターン孔を形成し、更に、エッチング処理を行うことにより、銅箔に目的とするフレーム板の開口に対応するパターンの開口を形成し、その後、レジスト膜を除去した。
そして、積層シートにおける樹脂シートに対して、銅箔に形成された開口を介してレーザー加工を施して開口を形成し、その後、積層シートにおける両面の銅箔を、エッチング処理によって除去することにより、フレーム板(11)を作成した。
このフレーム板(11)は、材質が液晶ポリマーで、寸法が190mm×130mm×50μmであり、開口(12)は、直径が400μmの円形であり、開口(12)の総数は2400である。
【0062】
(4)絶縁部の形成:
離型性支持板(13A)の表面に、付加型液状シリコーンゴムを塗布することにより、厚みが10μmの塗布膜を形成し、この塗布膜上にフレーム板(11)を配置し、更に、付加型液状シリコーンゴムを塗布することにより、フレーム板(11)の開口(12)を塞ぐよう配置された、全体の厚みが70μmの絶縁部用材料層(17A)を形成し、この絶縁部用材料層(127)上に、4800個の導電路形成部(16)が形成された離型性支持板(13)を位置合わせして重ね合わせることにより、当該導電路形成部(16)の各々を絶縁部用材料層(17A)中に浸入させ離型性支持板(13A)に接触させた(図11および図12参照)。そして、離型性支持板(13)に800kgfの圧力を加えることにより、導電路形成部(16)の厚みを100μmから80μmに弾性的に圧縮させ、この状態で、120℃、1時間の条件で、絶縁部用材料層(17A)の硬化処理を行うことにより、導電路形成部(16)の周囲に一体の絶縁部(17)を形成し、以て弾性異方導電膜(15)を形成し(図13参照)、その後、弾性異方導電膜(15)を離型性支持板(13,13A)から離型させることにより、本発明の異方導電性コネクター(10)を製造した。この異方導電性コネクター(10)における弾性異方導電膜(15)は、導電路形成部(16)の厚みが100μm、絶縁部(17)の厚みが70μm、導電路形成部(16)の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)であり、2個の導電路形成部(16)がフレーム板(11)の開口(12)内に位置するよう配置されている。また、導電路形成部(17)は絶縁部(17)の両面の各々から突出しており、導電路形成部(16)の突出高さが合計で30μmである。
【0063】
(5)アダプター装置の製造:
図15に示す構成に従い、下記の仕様のアダプター本体(20)を製造した。
すなわち、このアダプター本体(20)は、縦横の寸法が160mm×120mmで、基板材質がガラス繊維補強型エポキシ樹脂であり、当該アダプター本体(20)の表面における接続用電極領域には、寸法が120μm×60μmの矩形の接続用電極(21)が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で合計で4800個配置されている。また、アダプター本体(20)の裏面には、直径が400μmの円形の端子電極(22)が、750μmのピッチで合計で4800個配置されている。
そして、このアダプター本体(20)の表面における接続用電極領域上に、上記の異方導電性コネクター(10)を、その導電路形成部(16)の各々が接続用電極(21)上に位置するよう配置して固定することにより、本発明のアダプター装置を製造した。
【0064】
(6)アダプター装置の評価:
上記のアダプター装置について、電気抵抗測定器を用い、導電路形成部の各々をその厚み方向に5%圧縮した状態で、当該導電路形成部の表面と当該導電路形成部に電気的に接続された端子電極との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)を測定し、この導通抵抗が0.1Ω以下である導電路形成部の割合を求めたところ100%であった。
また、電気抵抗測定器を用い、導電路形成部の各々をその厚み方向に5%圧縮した状態で、互いに隣接する2つの導電路形成部(以下、「導電路形成部対」という。)の間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)を測定し、この絶縁抵抗が100MΩ以上である導電路形成部対の割合を求めたところ、100%であった。
このように、上記のアダプター装置においては、全ての導電路形成部に高い導電性が得られ、しかも、全ての導電路形成部について、隣接する導電路形成部の間において十分な絶縁状態が達成されていることが確認された。
【0065】
〈比較例1〉
(1)金型の作製:
図24に示す構成に示す構成に従い、下記の仕様の異方導電膜成形用の金型を作製した。
上型(80)および下型(85)の各々における基板(81,86)は、材質が鉄で、厚みが6mmである。
強磁性体部(82,87)は、材質がニッケルで、縦横の寸法が120μm×60μmの矩形で、厚みが100μmであり、板状の強磁性体部(82、87)の最小の離間距離30μm(最小の中心間距離が90μm)で、強磁性体層の総数は4800個である。
非磁性体部(83,88)は、材質がドライフィルムレジストを硬化処理したものであり、厚みが0.115mmである。
(2)フレーム板の作製:
実施例1と同様にしてフレーム板(90)を作製した。
(3)異方導電性エラストマー用材料の調製:
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、平均粒子径が12μmの導電性粒子60重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、異方導電性エラストマー用材料を調製した。以上において、導電性粒子としては、ニッケルよりなる芯粒子に金メッキが施されてなるもの(平均被覆量:芯粒子の重量の2重量%)を用いた。
【0066】
(4)弾性異方導電膜の形成:
上記の金型の下型(85)の成形面に、160mm×120mmの開口が形成された厚みが10μmのスペーサーを位置合わせして配置し、このスペーサーの開口内に、調製した異方導電性エラストマー用材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、厚みが10μmの異方導電性エラストマー用材料層を形成した。次いで、スペーサーおよび異方導電性エラストマー層上に、作製したフレーム板(90)および160mm×120mmの開口が形成された厚みが10μmのスペーサーをこの順で位置合わせして配置し、調整した異方導電性エラストマー用材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、目的とする弾性異方導電膜に対応する形態の異方導電性エラストマー用材料層(95A)を形成した。
そして、上型(80)を異方導電性エラストマー用材料層(95A)上に位置合わせして配置し、異方導電性エラストマー用材料層(95A)に対し、強磁性体部(82,87)の間に位置する部分に、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、120℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、導電性粒子が密に含有された厚み方向に伸びる4800個の導電路形成部と、これらの周囲に形成された絶縁部とよりなる弾性異方導電膜を形成し、以て、比較用の異方導電性コネクターを製造した。
この異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜は、導電路形成部の厚みが100μm、絶縁部の厚みが70μm、導電路形成部の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)であり、2個の導電路形成部がフレーム板の開口内に位置するよう配置されている。また、導電路形成部は絶縁部の両面の各々から突出しており、導電路形成部の突出高さが合計で30μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の含有割合は、体積分率で約30%である。
【0067】
(5)アダプター装置の製造:
実施例1と同様の仕様のアダプター本体を作製し、このアダプター本体の表面における接続用電極領域上に、上記の異方導電性コネクターを、その導電路形成部の各々が接続用電極上に位置するよう配置して固定することにより、比較用のアダプター装置を製造した。
(6)アダプター装置の評価:
上記のアダプター装置について、実施例1と同様にして導通抵抗を測定し、この導通抵抗が0.1Ω以下である導電路形成部の割合を求めたところ100%であった。
また、実施例1と同様にして絶縁抵抗を測定し、この絶縁抵抗が100MΩ以上である導電路形成部対の割合を求めたところ、95%であった。
このように、上記の比較用のアダプター装置においては、全ての導電路形成部に高い導電性が得られたが、全ての導電路形成部について、隣接する導電路形成部の間において十分な絶縁状態を達成することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る異方導電性コネクターの一例における構成を示す説明用断面図である。
【図2】図1に示す異方導電性コネクターの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図3】離型性支持板上に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図4】導電性エラストマー用材料層を拡大して示す説明用断面図である。
【図5】導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場が作用された状態を示す説明用断面図である。
【図6】離型性支持板上に導電性エラストマー層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図7】導電性エラストマー層上に金属薄層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図8】金属薄層上に開口を有するレジスト層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図9】レジスト層の開口内に金属マスクが形成された状態を示す説明用断面図である。
【図10】離型性支持体上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図11】離型性支持体上に、フレーム板が配置されると共に、絶縁部用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図12】絶縁部用材料層が形成された離型性支持板上に、導電路形成部が形成された離型性支持板が重ね合わされた状態を示す説明用断面図である。
【図13】導電路形成部の周囲に一体の絶縁部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図14】本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図である。
【図15】図14に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図16】本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図である。
【図17】図16に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図18】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。
【図19】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。
【図20】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明図である。
【図21】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図22】本発明に係る異方導電性コネクターの他の例における構成を示す説明図である。
【図23】本発明に係る異方導電性コネクターの更に他の例における構成を示す説明図である。
【図24】従来の異方導電性コネクターの製造方法において、異方導電性エラストマーシートを成形するための金型の構成を示す説明用断面図である。
【図25】図22に示す金型内に、フレーム板が配置されると共に、異方導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図26】従来の異方導電性コネクターが製造された状態を示す説明用断面図である。
【図27】従来の異方導電性コネクターの製造方法において、異方導電性エラストマー用材料層に作用される磁場の方向を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1a 上部側アダプター装置
1b 下部側アダプター装置
2 ホルダー
3 位置決めピン
5 回路装置
6,7 被検査電極
10 異方導電性コネクター
11 フレーム板
12 開口
13,13A 離型性支持板
14 金属薄層
15 弾性異方導電膜
16 導電路形成部
16A 導電性エラストマー用材料層
16B 導電性エラストマー層
17 絶縁部
17A 絶縁部用材料層
18 レジスト層
18a 開口
19 金属マスク
20 アダプター本体
21,21b,21c 接続用電極
21a 接続用電極対
22 端子電極
23 内部配線部
25 接続用電極領域
50a 上部側検査ヘッド
50b 下部側検査ヘッド
51a,51b 検査電極装置
52a,52b 検査電極
53a,53b 電線
54a,54b 支柱
55a,55b 異方導電性シート
56a 上部側支持板
56b 下部側支持板
57a,57b コネクター
80 一方の型板
81 基板
82,82a,82b 強磁性体部
83 非磁性体部
85 他方の型板
86 基板
87,87a,87b 強磁性体部
88 非磁性体部
90 フレーム板
91 開口
95 異方導電性エラストマーシート
95A 異方導電性エラストマー用材料層
96 導電路形成部
97 絶縁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント回路基板などの回路装置の電気的検査に好適に用いることができる異方導電性コネクターおよびその製造方法、この異方導電性コネクターを具えたアダプター装置、並びにこのアダプター装置を具えた回路装置の電気的検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に集積回路装置、その他の電子部品などを構成するまたは搭載するための回路基板については、電子部品などを組み立てる以前に或いは電子部品などを搭載する以前に、当該回路基板の配線パターンが所期の性能を有することを確認するためにその電気的特性を検査することが必要である。
従来、回路基板の電気的検査を実行する方法としては、縦横に並ぶ格子点位置に従って複数の検査電極が配置されてなる検査電極装置と、この検査電極装置の検査電極に検査対象である回路基板の被検査電極を電気的に接続するアダプターとを組み合わせて用いる方法などが知られている。この方法において用いられるアダプターは、ピッチ変換ボードと称されるプリント配線板よりなるものである。
このアダプターとしては、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された複数の接続用電極を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するもの、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された、電流供給用接続用電極および電圧測定用接続用電極よりなる複数の接続用電極対を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するものなどが知られており、前者のアダプターは、例えば回路基板における各回路のオープン・ショート試験などに用いられ、後者のアダプターは、回路基板における各回路の電気抵抗測定試験に用いられている。
而して、回路基板の電気的検査においては、一般に、検査対象である回路基板とアダプターとの安定な電気的接続を達成するために、検査対象である回路基板とアダプターとの間に、異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
【0003】
この異方導電性エラストマーシートは、厚さ方向にのみ導電性を示すもの、あるいは加圧されたときに厚さ方向にのみ導電性を示す多数の加圧導電性導電部を有するものである。
このような異方導電性エラストマーシートとしては、従来、種々の構造のものが知られており、その代表的な例としては、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られるもの(例えば特許文献1参照。)、導電性磁性金属粒子をエラストマー中に不均一に分散させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなるもの(例えば特許文献2参照。)、導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成されたもの(例えば特許文献3参照。)などが挙げられる。
そして、配置ピッチの小さい被検査電極を有する回路基板に対しては、当該回路基板の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って導電路形成部が形成されてなる異方導電性エラストマーシートが、高い接続信頼性が得られる点で好ましい。
【0004】
然るに、このような異方導電性エラストマーシートは、それ自体が単独の製品として製造され、また単独で取り扱われるものであって、電気的接続作業においてはアダプターおよび回路基板に対して特定の位置関係をもって保持固定することが必要である。
しかしながら、独立した異方導電性エラストマーシートを利用して回路基板の電気的接続を達成する手段においては、検査対象である回路基板における被検査電極の配置ピッチ、すなわち互いに隣接する被検査電極の中心間距離が小さくなるに従って異方導電性エラストマーシートの位置合わせおよび保持固定が困難となる、という問題点がある。
また、一旦は所望の位置合わせおよび保持固定が実現された場合においても、温度変化による熱履歴を受けた場合などには、熱膨張および熱収縮による応力の程度が、検査対象である回路基板を構成する材料と異方導電性エラストマーシートを構成する材料との間で大きく異なるため、電気的接続状態が変化して安定な接続状態が維持されない、という問題点がある。
【0005】
従来、以上のような問題を解決するために、異方導電性エラストマーシートの周縁部が金属よりなるフレーム板によって支持されてなる異方導電性コネクターが提案されている(例えば特許文献4参照。)。
このような異方導電性コネクターは、例えば次のようにして製造される。
先ず、図24に示すような構成の金型を用意する。この金型は、基板81上に、例えば検査対象である回路基板の被検査電極と同一のパターンに従って強磁性体部82が配置されると共に、当該強磁性体部82以外の部分に非磁性体部83が配置されてなる一方の型板(以下、「上型」という。)80と、基板86上に、検査対象である回路基板の被検査電極と対掌のパターンに従って強磁性体部87が配置されると共に、当該強磁性体部87以外の部分に非磁性体部88が配置されてなる他方の型板(以下、「下型」という。)85とにより構成されている。
そして、この金型内に、図25に示すように、開口91を有するフレーム板90を配置すると共に、このフレーム板90の開口91を塞ぐよう異方導電性エラストマー用材料層95Aを形成する。この異方導電性エラストマー用材料層95Aは、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子Pが含有されてなるものである。
次いで、上型80の上面および下型85の下面に一対の電磁石(図示省略)を配置し、この電磁石を作動させることにより、上型80の強磁性体部82からこれに対応する下型85の強磁性体部87に向かう方向に平行磁場を作用させる。このとき、上型80の強磁性体部82および下型85の強磁性体部87の各々が磁極として作用するため、上型80の強磁性体部82と下型85の強磁性体部87との間の領域には、それ以外の領域よりも大きい強度の磁場が作用する。その結果、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいては、当該異方導電性エラストマー用材料層95A中に分散されていた導電性粒子Pが、上型80の強磁性体部82と下型85の強磁性体部87との間に位置する部分に向かって移動して当該部分に集合し、更に厚み方向に並ぶよう配向する。
この状態で、異方導電性エラストマー用材料層95Aに対して例えば加熱による硬化処理を行うことにより、図26に示すように、導電性粒子Pが含有されてなる厚み方向に伸びる多数の導電路形成部96とこれらを相互に絶縁する絶縁部97とよりなる異方導電性エラストマーシート95が、フレーム板90に支持されてなる異方導電性コネクターが製造される。
【0006】
このような異方導電性コネクターによれば、回路基板の電気的検査において、回路基板に対する異方導電性エラストマーシートの位置合わせ作業を容易に行うことができ、また、異方導電性エラストマーシートの熱膨張をフレーム板によって規制することができるので、温度変化による熱履歴などの環境の変化に対しても良好な電気的接続状態が安定に維持され、従って高い接続信頼性が得られる。
【0007】
しかしながら、上記の異方導電性コネクターにおいては、以下のような問題がある。
電子部品を構成または搭載するための回路基板としては、その電極が例えば矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなるものが知られている。而して、このような回路基板の電気的検査を行うためには、導電路形成部96が矩形の四辺に沿って枠状に配置されてなる異方導電性エラストマーシート95を有する異方導電性コネクターを用いることが必要である。然るに、このような異方導電性エラストマーシート95は、導電路形成部96に囲まれた中央部分がすべて絶縁部97となるため、当該異方導電性エラストマーシート95の形成において、異方導電性エラストマー用材料層95Aの中央部分に存在する導電性粒子についてはその移動距離が極めて長いものとなる結果、当該導電性粒子を導電路形成部となるべき部分に確実に集合させることは困難である。そのため、得られる導電路形成部96には、所要の量の導電性粒子が充填されず、しかも、絶縁部97には、相当な量の導電性粒子が残存するため、所期の異方導電性エラストマーシートを確実に形成することができない。
【0008】
また、現在、集積回路装置においては、その高機能化、高容量化に伴って電極数が増加し、電極の配置ピッチすなわち隣接する電極の中心間距離が小さくなって高密度化が一層推進される傾向にある。従って、このような集積回路装置を構成または搭載するための回路基板に対して電気的検査を行う場合には、導電路形成部のピッチが小さくて高密度に配置された異方導電性コネクターを用いることが必要である。
而して、このような異方導電性コネクターの製造においては、当然のことながら強磁性体部82,87が極めて小さいピッチで配置された上型80および下型85を用いることが必要である。
【0009】
然るに、このような上型80および下型85を用い、上述のようにして異方導電性エラストマーシート95を形成する場合には、図27に示すように、上型80および下型85の各々において、或る強磁性体部82a,87aとこれに隣接する強磁性体部82b,87bとの間の離間距離が小さいため、上型80の強磁性体部82aからこれに対応する下型85の強磁性体部87aに向かう方向(矢印Xで示す)のみならず、例えば上型80の強磁性体部82aからこれに対応する下型85の強磁性体部87aに隣接する強磁性体部87bに向かう方向(矢印Yで示す)にも磁場が作用することとなる。そのため、異方導電性エラストマー用材料層95Aにおいて、導電性磁性体粒子を、上型80の強磁性体部82aとこれに対応する下型85の強磁性体部87aとの間に位置する部分に集合させることが困難となり、上型80の強磁性体部82aと下型85の強磁性体部87bとの間に位置する部分にも導電性磁性体粒子が集合してしまい、また、導電性粒子を異方導電性エラストマー用材料層95Aの厚み方向に十分に配向させることが困難となり、その結果、所期の導電路形成部および絶縁部を有する異方導電性コネクターが得られない。
【0010】
また、異方導電性エラストマーシートの形成においては、前述したように、上型80および下型85の2つの型板が必要である。これらの型板は、例えば検査対象である回路基板に応じて個別的に製造されるものであり、また、その製造工程が煩雑なものであるため、異方導電性コネクターの製造コストが極めて高いものとなり、延いては回路装置の検査コストの増大を招く。
【0011】
【特許文献1】特開昭51−93393号公報
【特許文献2】特開昭53−147772号公報
【特許文献3】特開昭61−250906号公報
【特許文献4】特開平11−40224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、接続すべき電極の配置パターンに関わらず、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、小さいコストで製造することができる異方導電性コネクターおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、小さいコストで製造することができるアダプター装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、検査対象である回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる回路装置の電気的検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法は、1または2以上の開口が形成されたフレーム板と、このフレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板に支持された1または2以上の弾性異方導電膜とよりなり、前記弾性異方導電膜は、前記フレーム板の開口内に配置された、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部と、導電路形成部の周囲に形成された絶縁部とよりなる異方導電性コネクターを製造する方法であって、
離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、当該離型性支持板上に複数の導電路形成部を形成し、
この離型性支持板に形成された導電路形成部の各々を、フレーム板の開口を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法においては、レーザー加工は、炭酸ガスレーザーによるものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の異方導電性コネクターの製造方法においては、導電性エラストマー層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに従って金属マスクを形成し、その後、当該導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、複数の導電路形成部を形成することが好ましい。
このような製造方法においては、導電性エラストマー層の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することが好ましい。
また、導電性エラストマー層の表面に金属薄層を形成し、この金属薄層の表面に特定のパターンに従って開口が形成されたレジスト層を形成し、前記金属薄層における前記レジスト層の開口から露出した部分の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することが好ましい。
【0016】
また、本発明の異方導電性コネクターの製造方法においては、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成することが好ましい。
【0017】
本発明の異方導電性コネクターは、上記の製造方法によって得られることを特徴とする。
【0018】
本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0020】
本発明の回路装置の電気的検査装置は、上記のアダプター装置を具えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の異方導電性コネクターの製造方法によれば、導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、導電路形成部を形成するため、所期の導電性を有する導電路形成部を確実に得ることができる。また、離型性支持板上に導電路形成部を形成したうえで、当該導電路形成部をエラストマー用材料層中に浸入させ、当該エラストマー用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成するため、導電性粒子が全く存在しない絶縁部を確実に得ることができる。しかも、従来の異方導電性コネクターを製造するために使用されていた多数の強磁性体部が配列されてなる金型を用いることが不要である。
従って、このような方法によって得られる本発明の異方導電性コネクターによれば、接続すべき電極の配置パターンに関わらず、当該電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成されると共に、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該電極の各々に対して所要の電気的接続が確実に達成され、しかも、小さいコストで製造することができる。
【0022】
本発明のアダプター装置によれば、上記の異方導電性コネクターを具えてなるため、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、小さいコストで製造することができる。
【0023】
本発明の回路装置の電気的検査装置によれば、上記のアダプター装置を具えてなるため、検査対象である回路装置の被検査電極の配置パターンに関わらず、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置の被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈異方導電性コネクター〉
図1は、本発明に係る異方導電性コネクターの一例における構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す異方導電性コネクターの要部を拡大して示す説明用断面図である。この異方導電性コネクター10は、複数の開口12が形成されたフレーム板11と、このフレーム板11の開口12の各々を塞ぐよう配置され、当該フレーム板11に支持された単一の弾性異方導電膜15とにより構成されている。
弾性異方導電膜15においては、その厚み方向に伸びる複数の導電路形成部16が、特定のパターンに従ってフレーム板11の開口12内に位置するよう配置され、導電路形成部16の各々の周囲には、隣接する導電路形成部16を相互に絶縁する一体の絶縁部17が導電路形成部16に一体的に接着した状態で形成されている。導電路形成部16の特定のパターンは、接続すべき電極例えば検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンである。
導電路形成部16は、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されて構成されている。これに対し、絶縁部17は、導電性粒子Pを全く含有しない弾性高分子物質により構成されている。
図示の例においては、弾性異方導電膜15の一面(図1において上面)において、導電路形成部16が絶縁部17の表面から突出する突出部が形成されている。
このような例によれば、加圧による圧縮の程度が絶縁部17より導電路形成部16において大きいために十分に抵抗値の低い導電路が確実に導電路形成部16に形成され、これにより、加圧力の変化乃至変動に対して抵抗値の変化を小さくすることができ、その結果、弾性異方導電膜15に作用される加圧力が不均一であっても、各導電路形成部16間における導電性のバラツキの発生を防止することができる。
【0025】
フレーム板11を構成する材料としては、機械的強度の高い種々の非金属材料および金属材料を用いることができる。
非金属材料の具体例としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂等の繊維補強型樹脂材料、エポキシ樹脂等にアルミナ、ポロンナイトライド等の無機材料をフィラーとして含有した複合樹脂材料などが挙げられる。
金属材料としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト若しくはこれらの合金または合金鋼なとが挙げられる。
また、異方導電性コネクターを高温環境下で使用する場合には、フレーム板11として、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-6〜2×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。このようなフレーム板11を用いることにより、弾性異方導電膜15の熱膨張による位置ずれを抑制することができる。
また、フレーム板11の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。この厚みが過小である場合には、当該フレーム板11に必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、弾性異方導電膜15の厚みが必然的に大きくなり、従って、良好な導電性が得られないことがある。
【0026】
弾性異方導電膜15において、導電路形成部16を構成する弾性高分子物質と絶縁部17を構成する弾性高分子物質とは、互いに異なる種類のものであっても同じ種類のものであってもよい。
導電路形成部16および絶縁部17を構成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができ、その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらの中では、耐久性、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0027】
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105 ポアズ以下のものが好ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
また、シリコーンゴムは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10,000〜40,000のものであることが好ましい。また、得られる導電路形成部16に良好な耐熱性が得られることから、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
【0028】
導電路形成部16に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法により当該粒子を容易に厚み方向に並ぶよう配向させることができることから、磁性を示す導電性粒子が用いられる。このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられている。
【0029】
導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られることから、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0030】
また、導電性粒子Pの粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。 また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
このような条件を満足する導電性粒子を用いることにより、得られる導電路形成部16は、加圧変形が容易なものとなり、また、当該導電路形成部16において導電性粒子間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
また、導電性粒子Pとして、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤や潤滑剤で処理されたものを適宜用いることができる。カップリング剤や潤滑剤で粒子表面を処理することにより、異方導電性性コネクターの耐久性が向上する。
【0031】
このような導電性粒子Pは、導電路形成部16中に体積分率で15〜45%、好ましくは20〜40%となる割合で含有されていることが好ましい。この割合が過小である場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電路形成部16が得られないことがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる導電路形成部16は脆弱なものとなりやすく、導電路形成部16として必要な弾性が得られないことがある。
【0032】
また、導電路形成部16の厚みは、20〜250μmであることが好ましく、より好ましくは30〜200μmである。この厚みが過小である場合には、十分な凹凸吸収能が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、良好な導電性が得られないことがある。
また、導電路形成部16の突出部の突出高さは、当該導電路形成部16の厚みの5〜70%であることが好ましく、より好ましくは10〜60%である。
【0033】
本発明において、上記の異方導電性コネクター10は、離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、当該離型性支持板上に複数の導電路形成部16を形成し、この離型性支持板に形成された導電路形成部16の各々を、フレーム板11の開口12を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部17を形成することによって、得られる。
また、上記の導電性エラストマー層は、離型性支持板上に、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、得られる。
以下、異方導電性コネクター10の製造方法を具体的に説明する。
【0034】
《導電性エラストマー層の形成》
先ず、硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が分散されてなる導電性エラストマー用材料を調製し、図3に示すように、導電路形成部形成用の離型性支持板13上に、導電性エラストマー用材料を塗布することによって導電性エラストマー用材料層16Aを形成する。ここで、導電性エラストマー用材料層16A中においては、図4に示すように、磁性を示す導電性粒子Pが分散された状態で含有されている。
次いで、導電性エラストマー用材料層16Aに対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、図5に示すように、導電性エラストマー用材料層16A中に分散されていた導電性粒子Pを当該導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に並ぶよう配向させる。そして、導電性エラストマー用材料層16Aに対する磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理を行うことにより、図6に示すように、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる導電性エラストマー層16Bが、離型性支持板13上に支持された状態で形成される。
【0035】
以上において、離型性支持板13を構成する材料としては、金属、セラミックス、樹脂およびこれらの複合材などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
導電性エラストマー用材料層16Aの厚みは、形成すべき導電路形成部の厚みに応じて設定される。
導電性エラストマー用材料層16Aに磁場を作用させる手段としては、電磁石、永久磁石などを用いることができる。
導電性エラストマー用材料層16Aに作用させる磁場の強度は、0.2〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、導電性エラストマー用材料層16Aを構成するエラストマー用材料の種類、導電性粒子の移動に要する時間などを考慮して適宜設定される。
【0036】
《導電路形成部の形成》
図7に示すように、離型性支持板13上に支持された導電性エラストマー層16Bの表面に、メッキ電極用の金属薄層14を形成する。次いで、図8に示すように、この金属薄層14上に、フォトリソグラフィーの手法により、形成すべき導電路形成部のパターンすなわち接続すべき電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の開口18aが形成されたレジスト層18を形成する。その後、図9に示すように、金属薄層14をメッキ電極として、当該金属薄層14におけるレジスト層18の開口18aを介して露出した部分に、電解メッキ処理を施すことにより、当該レジスト層18の開口18a内に金属マスク19を形成する。そして、この状態で、導電性エラストマー層16B、金属薄層14およびレジスト層18に対してレーザー加工を施すことにより、レジスト層18、金属薄層14および導電性エラストマー層16Bの一部が除去され、その結果、図10に示すように、特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16が離型性支持板13上に支持された状態で形成される。その後、導電路形成部16の表面から残存する金属薄層14および金属マスク19を剥離する。
【0037】
以上において、導電性エラストマー層16Bの表面に金属薄層14を形成する方法としては、無電解メッキ法、スパッタ法などを利用することができる。
金属薄層14を構成する材料としては、銅、金、アルミニウム、ロジウムなどを用いることができる。
金属薄層14の厚みは、0.05〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚みが過小である場合には、均一な薄層が形成されず、メッキ電極として不適なものとなることがある。一方、この厚みが過大である場合には、レーザー加工によって除去することが困難となることがある。
レジスト層18の厚みは、形成すべき金属マスク19の厚みに応じて設定される。
金属マスク19を構成する材料としては、銅、鉄、アルミウニム、金、ロジウムなどを用いることができる。
金属マスク19の厚みは、2μm以上であることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。この厚みが過小である場合には、レーザーに対するマスクとして不適なものとなることがある。
レーザー加工は、炭酸ガスレーザーによるものが好ましく、これにより、目的とする形態の導電路形成部16を確実に形成することができる。
【0038】
《絶縁部の形成》
図11に示すように、絶縁部形成用の離型性支持板13Aを用意し、この離型性支持板13Aの表面に、フレーム板11を配置すると共に、硬化されて絶縁性の弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料を塗布することにより、絶縁部用材料層17Aを形成する。次いで、図12に示すように、複数の導電路形成部16が形成された離型性支持板13を、絶縁部用材料層17Aが形成された離型性支持板13A上に重ね合わせることにより、導電路形成部16の各々を絶縁部用材料層17A中に浸入させて離型性支持板13Aに接触させる。これにより、隣接する導電路形成部16の間に絶縁部用材料層17Aが形成された状態となる。その後、この状態で、絶縁部用材料層17Aの硬化処理を行うことにより、図13に示すように、導電路形成部16の各々の周囲に、これらを相互に絶縁する絶縁部17が、導電路形成部16に一体的に形成され、以て弾性異方導電膜15が形成される。
そして、離型性支持板13,13Aから弾性異方導電膜15を離型させることにより、図1に示す構成の異方導電性コネクター10が得られる。
【0039】
以上において、離型性支持板13Aを構成する材料としては、導電路形成部形成用の離型性支持板13と同様のものを用いることができる。
エラストマー用材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷などの印刷法、ロール塗布法、ブレード塗布法などを利用することができる。
絶縁部用材料層17Aの厚みは、形成すべき絶縁部の厚みに応じて設定される。
絶縁部用材料層17Aの硬化処理は、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、絶縁部用材料層17Aを構成するエラストマー用材料の種類などを考慮して適宜設定される。
【0040】
上記の製造方法によれば、導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層16Bをレーザー加工してその一部を除去することにより、目的とする形態の導電路形成部16を形成するため、所要の量の導電性粒子Pが充填された所期の導電性を有する導電路形成部16を確実に得ることができる。
また、離型性支持板13上に特定のパターンに従って配置された複数の導電路形成部16を形成したうえで、これらの導電路形成部16の間に絶縁部用材料層17Aを形成して硬化処理することにより絶縁部17を形成するため、導電性粒子Pが全く存在しない絶縁部17を確実に得ることができる。
しかも、従来の異方導電性コネクターを製造するために使用されていた多数の強磁性体部が配列されてなる高価な金型を用いることが不要である。
従って、このような方法によって得られる異方導電性コネクター10によれば、接続すべき電極の配置パターンに関わらず、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、接続すべき電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、製造コストの低減化を図ることができる。
【0041】
〈アダプター装置〉
図14は、本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図であり、図15は、図14に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、例えばオープン・ショート試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図14および図15において上面)には、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の接続用電極21が配置された接続用電極領域25が形成されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置され、端子電極22の各々は、内部配線部23によって接続用電極21に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、基本的に図1に示す構成の異方導電性コネクター10が配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター10においては、アダプター本体20における接続用電極21に係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の導電路形成部16が形成されており、当該異方導電性コネクター10は、導電路形成部16の各々がアダプター本体20の接続用電極21上に位置されるよう配置されている。
【0042】
このようなアダプター装置によれば、図1に示す構成の異方導電性コネクター10を有するため、検査対象である回路装置の検査電極の配置パターンに関わらず、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、製造コストの低減化を図ることができる。
【0043】
図16は、本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図であり、図17は、図16に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図16および図17において上面)には、それぞれ同一の被検査電極に電気的に接続される互いに離間して配置された電流供給用の接続用電極(以下、「電流供給用電極」ともいう。)21bおよび電圧測定用の接続用電極(以下、「電圧測定用電極」ともいう。)21cよりなる複数の接続用電極対21aが配置された接続用電極領域25が形成されている。これらの接続用電極対21aは、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置されている。
そして、電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの各々は、内部配線部23によって端子電極22に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、基本的に図1に示す構成の異方導電性コネクター10が配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター10においては、アダプター本体20における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の導電路形成部16が形成されており、当該異方導電性コネクター10は、導電路形成部16の各々がアダプター本体20の接続用電極21b,21c上に位置されるよう配置されている。
【0044】
上記のアダプター装置によれば、図1に示す構成の異方導電性コネクター10を有するため、検査対象である回路装置の検査電極の配置パターンに関わらず、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができると共に、被検査電極が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該被検査電極の各々に対して所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも、製造コストの低減化を図ることができる。
【0045】
〈回路装置の電気的検査装置〉
図18は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、例えばオープン・ショート試験を行うものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。検査実行領域Eの上方には、図14に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図14に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって下部側支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
【0046】
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、いずれもその厚み方向にのみ導電路を形成する導電路形成部が形成されてなるものである。このような異方導電性シート55a,55bとしては、各導電路形成部が少なくとも一面において厚み方向に突出するよう形成されているものが、高い電気的な接触安定性を発揮する点で好ましい。
【0047】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極21に、当該異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極21に、当該異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0048】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。
【0049】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図14に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7の配置パターンに関わらず、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0050】
図19は、本発明に係る回路基板の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うためのものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。
検査実行領域Eの上方には、図16に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図16に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性シート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性シート55a,55bは、第1の例の電気的検査装置と基本的に同様の構成である。
【0051】
このような回路基板の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性シート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター10の導電路形成部16を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性シート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0052】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。具体的には、上部側アダプター装置1aにおける電流供給用電極21bと下部側アダプター装置1bにおける電流供給用電極21bとの間に一定の値の電流が供給されると共に、上部側のアダプター装置1aにおける複数の電圧測定用電極21cの中から1つを指定し、当該指定された1つの電圧測定用電極21cと、当該電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極5に対応する下面側の被検査電極6に電気的に接続された、下部側アダプター装置1bにおける電圧測定用電極21cとの間の電圧が測定され、得られた電圧値に基づいて、当該指定された1つの電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極5とこれに対応する他面側の被検査電極6との間に形成された配線パターンの電気抵抗値が取得される。そして、指定する電圧測定用電極21cを順次変更することにより、全ての配線パターンの電気抵抗の測定が行われる。
【0053】
上記の回路基板の電気的検査装置によれば、図16に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、回路装置5の被検査電極6,7の配置パターンに関わらず、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができると共に、回路装置5の被検査電極6,7が、そのピッチが微小で高密度に配置されている場合であっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0054】
本発明においては、上記の実施の形態に限定されず種々の変更を加えることが可能である。
例えば、異方導電性コネクター10においては、導電路形成部16に突出部が形成されることは必須のことではなく、弾性異方導電膜15の表面全体が平坦なものであってもよい。
また、導電路形成部16は、その両面に突出部が形成されていてもよい。このような導電路形成部16を有する弾性異方導電膜15は、以下のようにして得ることができる。すなわち、絶縁部17の形成において、離型性支持板13,13Aによって導電路形成部16を厚み方向に加圧して圧縮させ、この状態で絶縁部用材料層17Aを硬化処理することにより、絶縁部17を形成する。その後、離型性支持板13,13Aによる導電路形成部16に対する加圧を解除することによって、圧縮された導電路形成部16を元の形態に復元させ、これにより、絶縁部17の両面から突出する突出部を有する導電路形成部16が得られる。
また、検査対象である回路装置は、プリント回路基板に限定されず、パッケージIC、MCMなどの半導体集積回路装置であってもよい。
【0055】
また、離型性支持板13上に支持された導電性エラストマー層16Bを形成する方法としては、予め製造された、絶縁性の弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマーシートを、当該導電性エラストマーシートの有する粘着性によって或いは適宜の粘着剤によって、離型性支持板13上に粘着して支持させる方法を利用することもできる。ここで、導電性エラストマーシートは、例えば2枚の樹脂シートの間に導電性エラストマー用材料層を形成し、この導電性エラストマー層に対してその厚み方向に磁場を作用させることにより、導電性エラストマー用材料層中の導電性粒子を厚み方向に並ぶよう配向させ、磁場の作用を継続しながら、或いは磁場の作用を停止した後、導電性エラストマー用材料層の硬化処理を行うことによって、製造することができる。
【0056】
また、導電路形成部16の形成においては、レーザー加工によって導電性エラストマー層16Bにおける導電路形成部となる部分以外の部分の全部が除去されることにより、導電路形成部を形成することもできるが、図20および図21に示すように、導電性エラストマー層16Bにおける導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部16を形成することもできる。この場合には、導電性エラストマー層16Bの残部は、離型性支持板13から機械的に剥離することによって除去することができる。
【0057】
また、異方導電性コネクター10としては、図22に示すように、単一の開口12が形成されたフレーム板11と、このフレーム板11の開口12を塞ぐよう配置された単一の弾性異方導電膜15とよりなる構成のものであってもよい。
また、異方導電性コネクター10としては、図23に示すように、複数の開口12が形成されたフレーム板11と、それぞれフレーム板11の一の開口12を塞ぐよう配置された複数の弾性異方導電膜15とよりなる構成のものであってもよい。
更に、異方導電性コネクター10としては、複数の開口が形成されたフレーム板と、フレーム板の一の開口を塞ぐよう配置された1または2以上の弾性異方導電膜と、フレーム板の複数の開口を塞ぐよう配置された1つまたは2以上の弾性異方導電膜とよりなる構成であってもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
〈実施例1〉
(1)導電性エラストマー層の形成:
付加型液状シリコーンゴム100重量部中に、ニッケルよりなる芯粒子に金が被覆されてなる導電性粒子(数平均粒子径が12μm,芯粒子に対する金の割合が2重量%)400重量部を分散させることにより、導電性エラストマー用材料を調製した。この導電性エラストマー用材料を、厚みが5mmのステンレスよりなる離型性支持板(13)の表面に、スクリーン印刷により塗布することにより、当該離型性支持板(13)上に、厚みが100μmの導電性エラストマー用材料層(16A)を形成した(図3および図4参照)。 次いで、導電性エラストマー用材料層(16A)に対して、電磁石によって厚み方向に2テスラの磁場を作用させながら、120℃、1時間の条件で硬化処理を行うことにより、離型性支持板13上に支持された厚みが100μmの導電性エラストマー層(16B)を形成した(図5および図6参照)。この導電性エラストマー層における導電性粒子の含有割合は、体積分率で30%であった。
【0060】
(2)導電路形成部の形成:
離型性支持板(13)上に支持された導電性エラストマー層(16B)の表面に、無電解メッキ処理を施すことによって、厚みが0.3μmの銅よりなる金属薄層(14)を形成し、この金属薄層(14)上に、フォトリソグラフィーの手法により、それぞれ寸法が120μm×60μmの矩形の4800個の開口(18a)が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で形成された、厚みが25μmのレジスト層(18)を形成した(図7および図8参照)。その後、金属薄層(14)の表面に電解メッキ処理を施すことにより、レジスト層(18)の開口(18a)内に厚みが約20μmの銅よりなる金属マスク(19)を形成した(図9参照)。そして、この状態で、導電性エラストマー層(16B)、金属薄層(14)およびレジスト層(18)に対して、炭酸ガスレーザー装置によってレーザー加工を施すことにより、それぞれ離型性支持板(13)上に支持された4800個の導電路形成部(16)を形成し(図10参照)、その後、導電路形成部(16)の表面から残存する金属薄層(14)および金属マスク(19)を剥離した。
以上において、炭酸ガスレーザー装置によるレーザー加工条件は、以下の通りである。 すなわち、装置として、炭酸ガスレーザー加工機「ML−605GTX」(三菱電機(株)製)を用い、レーザービーム径が直径60μm,レーザー出力が0.8mJの条件で、1つの加工点にレーザービームを10ショット照射することによりレーザー加工を行った。
【0061】
(3)フレーム板の作製:
図1に示す構成に従い、以下のようにしてフレーム板(11)を作製した。
厚みが50μmの液晶ポリマーよりなる樹脂シートの両面に銅箔が積層されてなる積層シート(新日鐵化学製の「エスパネックス LB18−50−18NEP」)を用意し、この積層シートの一面の銅箔上にドライフィルムレジストをラミネートすることによりレジスト膜を形成した。次いで、形成されたレジスト膜に対して露光処理および現像処理を施すことにより、当該レジスト膜に目的とするフレーム板の開口に対応するパターン孔を形成し、更に、エッチング処理を行うことにより、銅箔に目的とするフレーム板の開口に対応するパターンの開口を形成し、その後、レジスト膜を除去した。
そして、積層シートにおける樹脂シートに対して、銅箔に形成された開口を介してレーザー加工を施して開口を形成し、その後、積層シートにおける両面の銅箔を、エッチング処理によって除去することにより、フレーム板(11)を作成した。
このフレーム板(11)は、材質が液晶ポリマーで、寸法が190mm×130mm×50μmであり、開口(12)は、直径が400μmの円形であり、開口(12)の総数は2400である。
【0062】
(4)絶縁部の形成:
離型性支持板(13A)の表面に、付加型液状シリコーンゴムを塗布することにより、厚みが10μmの塗布膜を形成し、この塗布膜上にフレーム板(11)を配置し、更に、付加型液状シリコーンゴムを塗布することにより、フレーム板(11)の開口(12)を塞ぐよう配置された、全体の厚みが70μmの絶縁部用材料層(17A)を形成し、この絶縁部用材料層(127)上に、4800個の導電路形成部(16)が形成された離型性支持板(13)を位置合わせして重ね合わせることにより、当該導電路形成部(16)の各々を絶縁部用材料層(17A)中に浸入させ離型性支持板(13A)に接触させた(図11および図12参照)。そして、離型性支持板(13)に800kgfの圧力を加えることにより、導電路形成部(16)の厚みを100μmから80μmに弾性的に圧縮させ、この状態で、120℃、1時間の条件で、絶縁部用材料層(17A)の硬化処理を行うことにより、導電路形成部(16)の周囲に一体の絶縁部(17)を形成し、以て弾性異方導電膜(15)を形成し(図13参照)、その後、弾性異方導電膜(15)を離型性支持板(13,13A)から離型させることにより、本発明の異方導電性コネクター(10)を製造した。この異方導電性コネクター(10)における弾性異方導電膜(15)は、導電路形成部(16)の厚みが100μm、絶縁部(17)の厚みが70μm、導電路形成部(16)の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)であり、2個の導電路形成部(16)がフレーム板(11)の開口(12)内に位置するよう配置されている。また、導電路形成部(17)は絶縁部(17)の両面の各々から突出しており、導電路形成部(16)の突出高さが合計で30μmである。
【0063】
(5)アダプター装置の製造:
図15に示す構成に従い、下記の仕様のアダプター本体(20)を製造した。
すなわち、このアダプター本体(20)は、縦横の寸法が160mm×120mmで、基板材質がガラス繊維補強型エポキシ樹脂であり、当該アダプター本体(20)の表面における接続用電極領域には、寸法が120μm×60μmの矩形の接続用電極(21)が、最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)で合計で4800個配置されている。また、アダプター本体(20)の裏面には、直径が400μmの円形の端子電極(22)が、750μmのピッチで合計で4800個配置されている。
そして、このアダプター本体(20)の表面における接続用電極領域上に、上記の異方導電性コネクター(10)を、その導電路形成部(16)の各々が接続用電極(21)上に位置するよう配置して固定することにより、本発明のアダプター装置を製造した。
【0064】
(6)アダプター装置の評価:
上記のアダプター装置について、電気抵抗測定器を用い、導電路形成部の各々をその厚み方向に5%圧縮した状態で、当該導電路形成部の表面と当該導電路形成部に電気的に接続された端子電極との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)を測定し、この導通抵抗が0.1Ω以下である導電路形成部の割合を求めたところ100%であった。
また、電気抵抗測定器を用い、導電路形成部の各々をその厚み方向に5%圧縮した状態で、互いに隣接する2つの導電路形成部(以下、「導電路形成部対」という。)の間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)を測定し、この絶縁抵抗が100MΩ以上である導電路形成部対の割合を求めたところ、100%であった。
このように、上記のアダプター装置においては、全ての導電路形成部に高い導電性が得られ、しかも、全ての導電路形成部について、隣接する導電路形成部の間において十分な絶縁状態が達成されていることが確認された。
【0065】
〈比較例1〉
(1)金型の作製:
図24に示す構成に示す構成に従い、下記の仕様の異方導電膜成形用の金型を作製した。
上型(80)および下型(85)の各々における基板(81,86)は、材質が鉄で、厚みが6mmである。
強磁性体部(82,87)は、材質がニッケルで、縦横の寸法が120μm×60μmの矩形で、厚みが100μmであり、板状の強磁性体部(82、87)の最小の離間距離30μm(最小の中心間距離が90μm)で、強磁性体層の総数は4800個である。
非磁性体部(83,88)は、材質がドライフィルムレジストを硬化処理したものであり、厚みが0.115mmである。
(2)フレーム板の作製:
実施例1と同様にしてフレーム板(90)を作製した。
(3)異方導電性エラストマー用材料の調製:
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、平均粒子径が12μmの導電性粒子60重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、異方導電性エラストマー用材料を調製した。以上において、導電性粒子としては、ニッケルよりなる芯粒子に金メッキが施されてなるもの(平均被覆量:芯粒子の重量の2重量%)を用いた。
【0066】
(4)弾性異方導電膜の形成:
上記の金型の下型(85)の成形面に、160mm×120mmの開口が形成された厚みが10μmのスペーサーを位置合わせして配置し、このスペーサーの開口内に、調製した異方導電性エラストマー用材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、厚みが10μmの異方導電性エラストマー用材料層を形成した。次いで、スペーサーおよび異方導電性エラストマー層上に、作製したフレーム板(90)および160mm×120mmの開口が形成された厚みが10μmのスペーサーをこの順で位置合わせして配置し、調整した異方導電性エラストマー用材料をスクリーン印刷によって塗布することにより、目的とする弾性異方導電膜に対応する形態の異方導電性エラストマー用材料層(95A)を形成した。
そして、上型(80)を異方導電性エラストマー用材料層(95A)上に位置合わせして配置し、異方導電性エラストマー用材料層(95A)に対し、強磁性体部(82,87)の間に位置する部分に、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、120℃、1時間の条件で硬化処理を施すことにより、導電性粒子が密に含有された厚み方向に伸びる4800個の導電路形成部と、これらの周囲に形成された絶縁部とよりなる弾性異方導電膜を形成し、以て、比較用の異方導電性コネクターを製造した。
この異方導電性コネクターにおける弾性異方導電膜は、導電路形成部の厚みが100μm、絶縁部の厚みが70μm、導電路形成部の最小の離間距離が30μm(最小の中心間距離が90μm)であり、2個の導電路形成部がフレーム板の開口内に位置するよう配置されている。また、導電路形成部は絶縁部の両面の各々から突出しており、導電路形成部の突出高さが合計で30μmである。また、導電路形成部における導電性粒子の含有割合は、体積分率で約30%である。
【0067】
(5)アダプター装置の製造:
実施例1と同様の仕様のアダプター本体を作製し、このアダプター本体の表面における接続用電極領域上に、上記の異方導電性コネクターを、その導電路形成部の各々が接続用電極上に位置するよう配置して固定することにより、比較用のアダプター装置を製造した。
(6)アダプター装置の評価:
上記のアダプター装置について、実施例1と同様にして導通抵抗を測定し、この導通抵抗が0.1Ω以下である導電路形成部の割合を求めたところ100%であった。
また、実施例1と同様にして絶縁抵抗を測定し、この絶縁抵抗が100MΩ以上である導電路形成部対の割合を求めたところ、95%であった。
このように、上記の比較用のアダプター装置においては、全ての導電路形成部に高い導電性が得られたが、全ての導電路形成部について、隣接する導電路形成部の間において十分な絶縁状態を達成することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る異方導電性コネクターの一例における構成を示す説明用断面図である。
【図2】図1に示す異方導電性コネクターの要部の構成を拡大して示す説明用断面図である。
【図3】離型性支持板上に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図4】導電性エラストマー用材料層を拡大して示す説明用断面図である。
【図5】導電性エラストマー用材料層にその厚み方向に磁場が作用された状態を示す説明用断面図である。
【図6】離型性支持板上に導電性エラストマー層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図7】導電性エラストマー層上に金属薄層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図8】金属薄層上に開口を有するレジスト層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図9】レジスト層の開口内に金属マスクが形成された状態を示す説明用断面図である。
【図10】離型性支持体上に特定のパターンに従って複数の導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図11】離型性支持体上に、フレーム板が配置されると共に、絶縁部用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図12】絶縁部用材料層が形成された離型性支持板上に、導電路形成部が形成された離型性支持板が重ね合わされた状態を示す説明用断面図である。
【図13】導電路形成部の周囲に一体の絶縁部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図14】本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図である。
【図15】図14に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図16】本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図である。
【図17】図16に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図18】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。
【図19】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。
【図20】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明図である。
【図21】導電性エラストマー層における導電路形成部となる部分の周辺部分のみが除去されることにより、導電路形成部が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図22】本発明に係る異方導電性コネクターの他の例における構成を示す説明図である。
【図23】本発明に係る異方導電性コネクターの更に他の例における構成を示す説明図である。
【図24】従来の異方導電性コネクターの製造方法において、異方導電性エラストマーシートを成形するための金型の構成を示す説明用断面図である。
【図25】図22に示す金型内に、フレーム板が配置されると共に、異方導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図26】従来の異方導電性コネクターが製造された状態を示す説明用断面図である。
【図27】従来の異方導電性コネクターの製造方法において、異方導電性エラストマー用材料層に作用される磁場の方向を示す説明用断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1a 上部側アダプター装置
1b 下部側アダプター装置
2 ホルダー
3 位置決めピン
5 回路装置
6,7 被検査電極
10 異方導電性コネクター
11 フレーム板
12 開口
13,13A 離型性支持板
14 金属薄層
15 弾性異方導電膜
16 導電路形成部
16A 導電性エラストマー用材料層
16B 導電性エラストマー層
17 絶縁部
17A 絶縁部用材料層
18 レジスト層
18a 開口
19 金属マスク
20 アダプター本体
21,21b,21c 接続用電極
21a 接続用電極対
22 端子電極
23 内部配線部
25 接続用電極領域
50a 上部側検査ヘッド
50b 下部側検査ヘッド
51a,51b 検査電極装置
52a,52b 検査電極
53a,53b 電線
54a,54b 支柱
55a,55b 異方導電性シート
56a 上部側支持板
56b 下部側支持板
57a,57b コネクター
80 一方の型板
81 基板
82,82a,82b 強磁性体部
83 非磁性体部
85 他方の型板
86 基板
87,87a,87b 強磁性体部
88 非磁性体部
90 フレーム板
91 開口
95 異方導電性エラストマーシート
95A 異方導電性エラストマー用材料層
96 導電路形成部
97 絶縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の開口が形成されたフレーム板と、このフレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板に支持された1または2以上の弾性異方導電膜とよりなり、前記弾性異方導電膜は、前記フレーム板の開口内に配置された、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部と、導電路形成部の周囲に形成された絶縁部とよりなる異方導電性コネクターを製造する方法であって、
離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、当該離型性支持板上に複数の導電路形成部を形成し、
この離型性支持板に形成された導電路形成部の各々を、フレーム板の開口を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項2】
レーザー加工は、炭酸ガスレーザーによるものであることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項3】
導電性エラストマー層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに従って金属マスクを形成し、その後、当該導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、複数の導電路形成部を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項4】
導電性エラストマー層の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することを特徴とする請求項3に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項5】
導電性エラストマー層の表面に金属薄層を形成し、この金属薄層の表面に特定のパターンに従って開口が形成されたレジスト層を形成し、前記金属薄層における前記レジスト層の開口から露出した部分の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することを特徴とする請求項3に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項6】
硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする異方導電性コネクター。
【請求項8】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、請求項7に記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項9】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、請求項7に記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載のアダプター装置を具えてなることを特徴とする回路装置の電気的検査装置。
【請求項1】
1または2以上の開口が形成されたフレーム板と、このフレーム板の開口を塞ぐよう配置され、当該フレーム板に支持された1または2以上の弾性異方導電膜とよりなり、前記弾性異方導電膜は、前記フレーム板の開口内に配置された、磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で含有されてなる厚み方向に伸びる複数の導電路形成部と、導電路形成部の周囲に形成された絶縁部とよりなる異方導電性コネクターを製造する方法であって、
離型性支持板上に支持された弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向した状態で分散されてなる導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、当該離型性支持板上に複数の導電路形成部を形成し、
この離型性支持板に形成された導電路形成部の各々を、フレーム板の開口を塞ぐよう形成された、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料よりなる絶縁部用材料層中に浸入させ、この状態で前記絶縁部用材料層を硬化処理することにより絶縁部を形成する工程を有することを特徴とする異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項2】
レーザー加工は、炭酸ガスレーザーによるものであることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項3】
導電性エラストマー層の表面に、形成すべき導電路形成部のパターンに従って金属マスクを形成し、その後、当該導電性エラストマー層をレーザー加工することにより、複数の導電路形成部を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項4】
導電性エラストマー層の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することを特徴とする請求項3に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項5】
導電性エラストマー層の表面に金属薄層を形成し、この金属薄層の表面に特定のパターンに従って開口が形成されたレジスト層を形成し、前記金属薄層における前記レジスト層の開口から露出した部分の表面をメッキ処理することにより、金属マスクを形成することを特徴とする請求項3に記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項6】
硬化されて弾性高分子物質となる液状のエラストマー用材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させると共に、当該導電性エラストマー用材料層を硬化処理することにより、導電性エラストマー層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の異方導電性コネクターの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする異方導電性コネクター。
【請求項8】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、請求項7に記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項9】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の導電路形成部を有する、請求項7に記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載のアダプター装置を具えてなることを特徴とする回路装置の電気的検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−40632(P2006−40632A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216041(P2004−216041)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
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