異方導電性組成物

【課題】ハロゲン系ガスを発生させず、ガラス基板に対する接着性に優れた熱可塑性の異方導電性組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂、金属キレートフェノール樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂/金属キレートフェノール樹脂が、重量比で好ましくは90/10〜80/20である)、導電性粉末及び溶剤を含む異方導電性組成物。前記金属キレートフェノール樹脂の水酸基価が、好ましくは330〜360mgKOH/gであり、前記金属キレートフェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂と酸化マグネシウム又は炭酸亜鉛との反応物である。異方導電性接着剤として好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方導電性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレーパネル(PDP)等を構成する電子部品(回路基板、ICチップ等)同士を機械的及び電気的に接続させるために、従来より異方導電性接着剤が用いられている。
【0003】
従来の異方導電性熱接着剤は、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性接着剤とクロロプレンゴムを主成分とする熱可塑性接着剤に大別される(特許文献1及び2)。
【0004】
前記熱硬化性接着剤は、通常、フィルム状で使用され、接合信頼性に優れている。しかしながら、前記熱硬化性接着剤は、圧着温度が高い、リペアが困難である、高価である等の問題がある。
【0005】
一方、前記熱可塑性接着剤は、ペースト状で使用され、圧着温度が低く、リペアが容易であり、安価である等の点で有利である。
【0006】
前記熱可塑性接着剤としては、一般的に、クロロプレンゴムを主成分とするものが使用されている。クロロプレンゴムを主成分とする熱可塑性接着剤は、ほとんどの被着体に対して良好な接着性を示し、接合信頼性に優れている。
【0007】
しかしながら、前記熱可塑性接着剤は、クロロプレンゴムを主成分とするため、100℃以上の環境下で、ハロゲン系ガス(塩素ガス)が発生し、そのガスが被着体の配線を腐食させ、断線に到らしめるという問題がある。
【0008】
なお、前記問題を解決するために、クロロプレンゴムの代わりにポリエステル樹脂を主成分とする異方導電性接着剤が提案されているが、該接着剤は、ITO基板等ガラス基板に対する接着性が劣るという問題がある。
【0009】
従って、ハロゲン系ガスを発生させず、ガラス基板に対する接着性に優れた熱可塑性の異方導電性接着剤の開発が切望されている。
【特許文献1】特開2006-22230号公報
【特許文献2】特許第3006944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ハロゲン系ガスを発生させず、ガラス基板に対する接着性に優れた熱可塑性の異方導電性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を行った。その結果、特定組成の異方導電性組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、以下の異方導電性組成物を提供するものである。
1. 熱可塑性ポリエステル樹脂、金属キレートフェノール樹脂、導電性粉末及び溶剤を含む異方導電性組成物。
2. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との含有割合(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)が、重量比で90/10〜80/20である上記項1に記載の異方導電性組成物。
3. 前記金属キレートフェノール樹脂の水酸基価が、330〜360mgKOH/gである上記項1又は2に記載の異方導電性組成物。
4. 前記金属キレートフェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂と酸化マグネシウム又は炭酸亜鉛との反応物である上記項1〜3のいずれかに記載の異方導電性組成物。
5. 前記溶剤が、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートとテトラリンとの混合溶剤である上記項1〜4のいずれかに記載の異方導電性組成物。
6. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂及び前記金属キレートフェノール樹脂が前記溶剤に溶解している上記項1〜5のいずれかに記載の異方導電性組成物。
7. 異方導電性接着剤である上記項1〜6のいずれかに記載の異方導電性組成物。
【0013】
本発明の異方導電性組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂、金属キレートフェノール樹脂、導電性粉末及び溶剤を含む。
【0014】
熱可塑性ポリエステル樹脂
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエステル骨格を有する熱可塑性樹脂であればよく特に限定されない。例えば、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和ジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等の飽和二価アルコールとを常法により重縮合反応させることにより得られるものが挙げられる。
【0015】
熱可塑性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、16,000〜24,000程度が好ましく、19,000〜21,000程度がより好ましい。
【0016】
特に、本発明では、前記異方導電性組成物の耐熱性等を向上させる点で、熱可塑性ポリエステル樹脂として、下記一般式(1)
【0017】
【化1】

(式中、mは1以上の整数、好ましくは20〜22の整数を示し、nは1以上の整数、好ましくは18〜24の整数を示す。)
で表されるポリエステル樹脂を用いることが好ましい。このようなポリエステル樹脂(1)は、公知の方法に従って合成するか、市販品を購入することにより容易に入手できる。市販品としては、例えば、商品名「東洋紡バイロン712」東洋紡績(株)製等が挙げられる。
【0018】
さらに、本発明の組成物は、前記ポリエステル樹脂(1)に加え、さらにイオン架橋したカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を含有してもよい。イオン架橋したカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を含有させることにより、本発明の組成物の耐熱性を向上させることができる。イオン架橋したカルボキシル基を有するポリエステル樹脂としては、例えば、商品名「東洋紡バイロンRV−296」東洋紡績(株)製等が挙げられる。これらの樹脂は一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。本発明の組成物中におけるイオン架橋したカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の含有量は、5〜10重量%程度が好ましい。
【0019】
金属キレートフェノール樹脂
本発明の組成物は、金属キレートフェノール樹脂を含有することにより、被着体(特にガラス基板)に対して優れた接着力を発揮できる。
【0020】
金属キレートフェノール樹脂とは、フェノール樹脂を構成するフェノールのOH基を金属元素に配位させたものである。
【0021】
前記金属キレートフェノール樹脂としては、フェノール樹脂と金属酸化物との反応物が好ましい。
【0022】
前記フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。レゾール型フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール、ビニルフェノール、ビスフェノール等の公知のフェノールとホルムアルデヒドとを付加或いは縮合させてなるものが挙げられる。
【0023】
前記フェノール樹脂の水酸基価は、330〜360mgKOH/g程度が好ましい。前記水酸基価が、330〜360mgKOH/g程度の場合、本発明の組成物のガラス基板に対する接着性をより確実に確保できる。
【0024】
前記フェノール樹脂1分子当たりのフェノール性水酸基の数は、1個以上が好ましく、1〜10個程度がより好ましい。前記水酸基の数が多い程、SiOに対する親和性が向上し、本発明の組成物をガラス基板に対してより効果的に接着させることができる。
【0025】
前記フェノール樹脂は、本発明の効果を妨げない範囲で、フェノール性水酸基以外の置換基をさらに有していてもよい。前記置換基としては、メチロール基が好ましい。前記フェノール樹脂がメチロール基を有する場合、前記フェノール樹脂1分子当たりのメチロール性水酸基の数は、0.1個以上が好ましく、0.1〜1個程度がより好ましい。
【0026】
前記フェノール樹脂1分子当たりのベンゼン環(フェノール性水酸基を有するベンゼン環)の数は、1〜10個程度が好ましい。本発明では、ベンゼン環の数が1〜10個程度の範囲内で、前記フェノール樹脂を1種単独で又は2種以上の混合物として使用できる。なお、前記フェノール樹脂を前記混合物として使用する場合、各フェノール樹脂の水酸基価の平均値、フェノール性水酸基の数の平均値、及びメチロール性水酸基の数の平均値が、それぞれ前記水酸基価の数値範囲、前記フェノール性水酸基の数の数値範囲、及び前記メチロール性水酸基の数の数値範囲に含まれることが好ましい。
【0027】
前記フェノール樹脂は、市販品又は公知の方法に従って製造することにより容易に入手できる。市販品としては、例えば、商品名「フェノライトTD−7300」「フェノライトTD−2625」(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0028】
前記金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。特に、前記金属酸化物として酸化マグネシウム又は炭酸亜鉛を用いることが好ましい。
【0029】
すなわち、前記金属キレートフェノール樹脂としては、前記レゾール型フェノール樹脂のOH基をマグネシウム又は亜鉛に配位させたものが好ましい。
【0030】
前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との含有割合(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)は、重量比で90/10〜80/20程度が好ましく、88/12〜85/15程度がより好ましい。前記含有割合が重量比で90/10〜80/20程度の場合、被着体に対する接着力を効果的に発揮できる。具体的に、前記ポリエステル樹脂の含有割合が重量比で90/10程度を超える場合、ガラス基板に十分に接着できないおそれがある。また、前記ポリエステル樹脂の含有割合が重量比で80/20程度未満の場合、ポリエステルフィルム(基板)を十分に接着できないおそれがある。
【0031】
導電性粉末
導電性粉末としては、前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂とを含む樹脂組成物に好適に導電性を付与できるものであればよく特に限定されない。例えば、導電性金属粉、導電性合金粉、導電性金属メッキ粉、導電性金属メッキプラスチックビーズ、導電性金属酸化物、カーボンブラック等が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
導電性粉末の平均粒子径は、通常50μm程度以下、好ましくは10〜30μm程度である。導電性粉末の平均粒子径が50μm程度を超える場合、被着体(基板)上の配線(端子)間における絶縁性を確保できないおそれがある。
【0033】
導電性粒子の平均粒子径は、公知の測定装置を用いて測定できる。公知の測定装置としては、例えば、レーザー回折型測定装置、光学顕微鏡、電子顕微鏡等が挙げられる。
【0034】
必要に応じて、前記導電性粒子を表面処理してもよい。例えば、シランカップリング剤を用いて前記導電性粒子を表面処理することにより、本発明の組成物中で、前記導電性粒子を好適に分散させることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。表面処理の方法としては、特に限定されないが、例えばディッピング法等の公知の方法を適宜採用すればよい。
【0035】
本発明の組成物中における前記導電性粉末の含有量は、前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との混合物100重量部に対して、通常3〜50重量部程度、好ましくは10〜20重量部程度である。
【0036】
溶剤
溶剤としては、本発明の効果を妨げないものであれば特に制限されないが、前記熱可塑性ポリエステル樹脂及び前記金属キレートフェノール樹脂を好適に溶解できる溶剤が好ましい。前記溶剤としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)が好ましい。
【0037】
特に、前記溶剤としては、カルビトールアセテートとテトラリンとの混合溶剤が好ましい。前記混合溶剤を用いることにより、ペースト状接着剤として好適に使用可能な粘度を本発明の組成物に付与できる。また、前記粘度を長期間好適に維持(貯蔵安定性を付与)できる。
【0038】
前記混合溶剤中におけるカルビトールアセテートとテトラリンとの比率(カルビトールアセテート/テトラリン)は、重量比で50/50〜80/20程度が好ましく、60/40〜70/30程度がより好ましい。
【0039】
本発明の組成物中における前記溶剤の含有量は、前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との混合物100重量部に対して、通常120〜180重量部程度、好ましくは140〜160重量部程度である。
【0040】
その他の添加剤
本発明の組成物には、上記以外にも、必要に応じて公知の添加剤を含有させてもよい。公知の添加剤としては、例えば、チキソトロピック剤、フィラー沈降抑止剤、消泡剤等が挙げられる。これらの添加剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
【0041】
前記組成物の調製
本発明の組成物は、上記各成分を混合することにより調製できる。特に、前記熱可塑性ポリエステル樹脂及び前記金属キレートフェノール樹脂については、それぞれ前記溶剤に溶解させたものを用いることが好ましい。これにより、均一な接着層を好適に形成できる。熱可塑性ポリエステル樹脂を前記溶剤に溶解させてなる溶液の濃度については、特に限定されないが、35〜45重量%程度が好ましい。前記金属キレートフェノールを前記溶剤に溶解させてなる溶液の濃度については、特に限定されないが、40〜50重量%程度が好ましい。
【0042】
前記各成分の添加順序については特に限定されないが、前記熱可塑性ポリエステル樹脂及び前記金属キレートフェノール樹脂を前記溶剤に溶解させ混合した後に、前記導電性粉末を添加し混合することが望ましい。
【0043】
前記各成分の添加量については、特に限定されず、例えば、上述した各成分の含有割合又は含有量となるように適宜設定すればよい。
【0044】
混合は、高速分散機等の公知の混合装置を用いて行えばよい。
【0045】
異方導電性接着剤
本発明の異方導電性組成物は、異方導電性接着剤として好適に用いることができる。具体的に、本発明の組成物は、ペースト状の異方導電性接着剤として使用でき、被着体に塗布することにより、被着体上に接着層を形成することができる。
【0046】
前記組成物を前記被着体に塗布する際の前記組成物の使用量は、特に限定されず、被着体の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0047】
前記被着体の材質は限定されない。本発明の組成物は、ポリエステルフィルム基板及びガラス基板(例えばITO基板)に対して優れた接着力を発揮できる。
【0048】
被着体としては、特に限定されず、公知の電子部品を用いることができる。
【0049】
公知の電子部品としては、例えば、フラットパネルディスプレイ(例えばLCD、PDP等)、フレキシブルプリント基板、リジッド基板、ITO基板、メンブレンスイッチ、タッチパネル、テール端子、アンダーフィル剤が使用されていないフリップチップ、ICカード、ICタグ等を挙げることができる。
【0050】
前記接着層の形成方法としては、例えば、前記組成物を被着体の全体又は一部に塗布することにより、未硬化の塗膜を形成した後、該未硬化の塗膜を加熱することにより被着体上に乾燥塗膜(接着層)を形成する方法が挙げられる。
【0051】
以下、かかる方法を代表例として前記接着層の形成方法について具体的に説明する。
【0052】
前記組成物の塗布方法としては、スクリーン印刷により該組成物を塗布する方法が好ましい。
【0053】
前記未硬化の塗膜の厚みは、特に限定されないが、40〜100μm程度が好ましい。
【0054】
得られた未硬化の塗膜を加熱する際の加熱温度は、特に限定されないが、70〜90℃程度が好ましい。
【0055】
加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜設定すればよい。通常、10〜20分間程度である。
【0056】
加熱は、通常、空気下で行われるが、前記接着層を形成できる限り、加熱雰囲気については特に制限されない。
【0057】
加熱には、加熱乾燥炉等の公知の加熱装置を用いればよい。
【0058】
前記接着層の厚みは、特に限定されないが、10〜50μm程度が好ましい。
【0059】
形成された接着層は、基本的にタック範囲を有さない。すなわち、本発明の組成物を用いることにより、タックが防止又は抑制された接着層を形成できる。
【0060】
前記接着層を有する電子部品の前記接着層部分に、他の電子部品の接着予定部分を熱圧着させることにより、機械的及び電気的に電子部品同士を接合することができる。
【0061】
熱圧着させる際の温度は、130〜170℃程度が好ましく、140〜160℃程度がより好ましい。
【発明の効果】
【0062】
本発明の組成物は、熱可塑性異方導電性接着剤として好適に使用できる。
【0063】
本発明の組成物は、ハロゲン化合物(例えばクロロプレンゴム)を含有しないため、ハロゲン系ガスを発生させずに、被着体を熱圧着させることができる。
【0064】
また、本発明の組成物は、種々の被着体に対して優れた接着力を発揮できる。特に、本発明の組成物は、ITO基板等のガラス基板に対して接着力を効果的に発揮できる。
【0065】
本発明の組成物は、ペースト状接着剤として好適に使用できるうえ、圧着温度が低く、リペアが容易であり、安価であるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下に、実施例及び比較例を示し本発明の特徴とするところをより一層明確にする。ただし、本発明は実施例等に限定されるものではない。
【0067】
実施例1
エチルカルビトールアセテート(商品名「酢酸エチルジューキゾル」神港有機化学工業(株)製)78重量部とテトラリン(商品名「テトラヒドロナフタリン」新日鉄化学(株)製)42重量部(重量比でエチルカルビトールアセテート/テトラリン=65/35)に、撹拌機を用いて、塩基性炭酸亜鉛(商品名「透明性亜鉛白:ナノファインMH」堺化学工業(株)製)6.0重量部を分散させた。
【0068】
得られた分散液に、レゾール型アルキルフェノール樹脂(A)(水酸基価:355mgKOH/g、フェノール性水酸基の数:1、メチロール性水酸基の数:0.1、商品名「フェノライトTD−7300」大日本インキ化学工業(株)製)50重量部と、レゾール型アルキルフェノール樹脂(B)(水酸基価:330mgKOH/g、フェノール性水酸基の数:1、メチロール性水酸基の数:0.1、商品名「フェノライトTD−2625」大日本インキ化学工業(株)製)50重量部とを溶解させながら反応させ、金属キレートフェノール樹脂の溶液を調製した。
【0069】
次いで、熱可塑性ポリエステル樹脂(商品名「東洋紡バイロン712」東洋紡績(株)製)100重量部を、60℃のエチルカルビトールアセテート(商品名「酢酸エチルジューキゾル」神港有機化学工業(株)製)165重量部に添加し、混練機を用いて混練し該樹脂を溶解させた。得られた溶液を室温に冷却後、該溶液に前記金属キレートフェノール樹脂の溶液37重量部を加えて若干混練し、続けてチクソトロープ剤(商品名「フローノンSH−290」共栄社化学(株)製)65重量部、フィラー沈降抑止剤(商品名「フローレンAC−326F」共栄社化学(株)製)6.0重量部及び消泡剤(商品名「トリデカノール」東京化成工業(株)製)4.0重量部を添加し混練した。混練液が均一になるように約2時間程度混練した後 シランカップリング剤(商品名「TSL−8350」東芝ケミカル(株)製)で表面処理した導電性粒子(商品名「APN−7」福田金属箔(株)製)20重量部を添加し、約1時間程度混練した。
【0070】
以上の方法により、異方導電性組成物を調製した。
【0071】
なお、得られた組成物中における前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との含有割合(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)は、重量比で86.5/13.5である。
【0072】
比較例1
クロロプレンゴムを主成分とする市販の異方導電性組成物(商品名「UI−101S」サンユレック(株)製)を用意した。
【0073】
比較例2
クロロプレンゴムを主成分とする市販の異方導電性組成物(商品名「TB3373C」(株)スリーボンド製)を用意した。
【0074】
比較例3
前記金属キレートフェノール樹脂の溶液を加えない以外は、実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0075】
試験例1
実施例1で調製した異方導電性組成物及び比較例1〜3で用意した異方導電性組成物を、それぞれ1.25mmピッチ(L/S=0.8/0.45)の20本の接合端子を持つ厚さ0.05mmの試験用ポリエステルフィルム基板電極にスクリーン印刷した。実施例1で調製した異方導電性組成物及び比較例1〜3で用意した異方導電性組成物のいずれを用いた場合も、厚みが約80μmの塗膜を形成できた。
【0076】
この塗膜を80℃で15分間乾燥し厚みが約30μmの熱接着層を形成した。次いで、形成した接着層とITO基板とを温度150℃、圧力3MPaの条件下で15秒間、熱圧着することにより、試験用ポリエステル基板電極、接着層及びITO基板が順に積層された積層体を得た。
【0077】
試験例2
得られた積層体を温度60℃、相対湿度95%(RH)の条件下で耐湿熱試験に供した。0時間、200時間、500時間、1,000時間、2,000時間、かかる試験に供した際の接着強度及び接続抵抗を確認した。
【0078】
接着強度及び接続抵抗は下記方法により確認した。
【0079】
<接着強度>
前記積層体を切断することにより、切断片を2つ得た。前記切断は、試験用ポリエステル(PET)基板電極内の接合端子集合体部分(25mm巾)が10mm巾に二つが切り出される様に切断した。
【0080】
そして、前記切断片の電極層を室温(20℃)下,50mm/minの速度で90°剥離した。
【0081】
剥離した際の剥離強度を万能試験機(商品名:「AUTOGRAPH AG−X」島津製作所製)を用いて測定した。
【0082】
結果を表1に示す。なお、表1には、2つの試験体(積層体)を測定した測定値の平均値を記載した。
【0083】
<接続抵抗>
積層体の電極内の各端子(20本)に触針し、各端子の抵抗値を確認した。抵抗値の測定には、抵抗計(商品名:「3540mΩ HiTESTER」HIOK社製)を用いた。結果を表1に示す。なお、表1には、2つの試験体(積層体)を測定した測定値の平均値を記載した。
【0084】
試験例3
試験例1で得られた積層体(試験用ポリエステル基板電極、接着層及びITO基板が順に積層された積層体)を、100℃の条件下で耐熱試験に供した。0時間、250時間、500時間、1,000時間に供した際の導電性の確認と、導電しなくなった場合の積層体中の接着層とITO基板とが接合した部分におけるITO基板の腐食の有無を確認した。
【0085】
結果を表1に示す。
【0086】
【表1】

実施例2
テトラリンを使用せずに、エチルカルビトールアセテートの使用量を120重量部とした以外は、実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0087】
実施例3
エチルカルビトールアセテートとテトラリンとの重量比(エチルカルビトールアセテート/テトラリン)を80/20とした以外は実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0088】
実施例4
エチルカルビトールアセテートとテトラリンとの重量比(エチルカルビトールアセテート/テトラリン)を50/50とした以外は実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0089】
試験例4
実施例1〜4で得られた異方導電性組成物の粘度を測定した。具体的には、20℃の実施例1〜4で得られた異方導電性組成物の粘度をB型粘度計(株式会社東京計器製、ローターNo.6を使用)を用いて測定した。
【0090】
結果を表2に示す。
【0091】
【表2】

実施例5
前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との重量比(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)を80/20とした以外は、実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0092】
実施例6
前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との重量比(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)を85/15とした以外は、実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0093】
実施例7
前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との重量比(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)を88/12とした以外は、実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0094】
実施例8
前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との重量比(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)を90/10とした以外は、実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0095】
実施例9
前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との重量比(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)を70/30とした以外は、実施例1と同様の方法により異方導電性組成物を調製した。
【0096】
試験例5
実施例1,5〜9及び比較例3で得られた異方導電性組成物を用いて試験例1と同様の方法により積層体を得た。
【0097】
試験例2の<接着強度>の項目に記載の方法に従って、得られた積層体の接着強度を測定した。
【0098】
結果を表3に示す。なお、表3には、2つの試験体(積層体)を測定した測定値の平均値を記載した。
【0099】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリエステル樹脂、金属キレートフェノール樹脂、導電性粉末及び溶剤を含む異方導電性組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリエステル樹脂と前記金属キレートフェノール樹脂との含有割合(前記熱可塑性ポリエステル樹脂/前記金属キレートフェノール樹脂)が、重量比で90/10〜80/20である請求項1に記載の異方導電性組成物。
【請求項3】
前記金属キレートフェノール樹脂の水酸基価が、330〜360mgKOH/gである請求項1又は2に記載の異方導電性組成物。
【請求項4】
前記金属キレートフェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂と酸化マグネシウム又は炭酸亜鉛との反応物である請求項1〜3のいずれかに記載の異方導電性組成物。
【請求項5】
前記溶剤が、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートとテトラリンとの混合溶剤である請求項1〜4のいずれかに記載の異方導電性組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリエステル樹脂及び前記金属キレートフェノール樹脂が前記溶剤に溶解している請求項1〜5のいずれかに記載の異方導電性組成物。
【請求項7】
異方導電性接着剤である請求項1〜6のいずれかに記載の異方導電性組成物。

【公開番号】特開2010−138221(P2010−138221A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313205(P2008−313205)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(391003624)サンユレック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】