説明

異方性導電材料、Bステージ状硬化物及び接続構造体

【課題】電極間の電気的な接続に用いられた場合に、導通信頼性を高めることができる異方性導電材料及びBステージ状硬化物、並びに該異方性導電材料又はBステージ状硬化物を用いた接続構造体を提供する。
【解決手段】異方性導電材料及びBステージ状硬化物を構成する異方性導電材料はそれぞれ、少なくとも3種の硬化性化合物と、導電性粒子とを含有する。上記硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物とを含む。上記光及び熱硬化性化合物の重量平均分子量は10万未満である。異方性導電材料の硬化を進行させたBステージ状硬化物は、海島構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導電性粒子を含む異方性導電材料に関し、例えば、フレキシブルプリント基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間の電気的な接続に用いることができる異方性導電材料、該異方性導電材料の硬化を進行させたBステージ状硬化物、並びに該異方性導電材料又は該Bステージ状硬化物を用いた接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。該異方性導電材料では、バインダー樹脂中に複数の導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、具体的には、ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続、及びICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に使用されている。例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に異方性導電材料を配置した後、加熱及び加圧することにより、これらの電極同士を接続できる。
【0004】
上記異方性導電材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂と、ゴム状ポリマー粒子と、熱活性な潜在性エポキシ硬化剤と、高軟化点ポリマー粒子と、導電性粒子とを含む異方性導電材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−345010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような従来の異方性導電材料により、例えば、半導体チップの電極とガラス基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラス基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、半導体チップを積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、かつ導電性粒子を介して電極間を電気的に接続し、接続構造体を得る。
【0007】
従来の異方性導電材料では、ガラス基板上に配置された異方性導電材料及び該異方性導電材料に含まれている導電性粒子が、硬化前に大きく流動することがある。特に、従来の異方性導電材料に関しては、該異方性導電材料の硬化が進行されてBステージ状態となったときでも、導電性粒子が容易に移動しやすく、更にBステージ状態において導電性粒子が含まれない部分が比較的大きくなることもある。このため、異方性導電材料により形成された硬化物層及び導電性粒子を特定の領域に配置できないことがある。さらに、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を配置できなかったり、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続されたりすることがある。このため、得られた接続構造体の導通信頼性が低いことがある。
【0008】
本発明の目的は、電極間の電気的な接続に用いられた場合に、導通信頼性を高めることができる異方性導電材料及びBステージ状硬化物、並びに該異方性導電材料又はBステージ状硬化物を用いた接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、少なくとも3種の硬化性化合物と、導電性粒子とを含有する異方性導電材料であり、上記硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物とを含み、上記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物の重量平均分子量が10万未満であり、異方性導電材料の硬化を進行させてBステージ状硬化物を得たときに、該Bステージ状硬化物が海島構造を有する、異方性導電材料が提供される。
【0010】
また、本発明の他の広い局面によれば、異方性導電材料に光を照射し、該異方性導電材料の硬化を進行させたBステージ状硬化物であって、上記異方性導電材料が、少なくとも3種の硬化性化合物と、導電性粒子とを含有し、該硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物とを含み、上記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物の重量平均分子量が10万未満であり、海島構造を有する、Bステージ状硬化物が提供される。
【0011】
本発明に係る異方性導電材料及びBステージ状硬化物のある特定の局面では、熱硬化剤と、光重合開始剤とがさらに含まれる。
【0012】
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備えており、上記接続部が、本発明に従って構成された異方性導電材料を硬化させることにより形成されているか、又は該異方性導電材料の硬化を進行させたBステージ状硬化物を硬化させることにより形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る異方性導電材料は、少なくとも3種の硬化性化合物と導電性粒子とを含有し、上記硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物とを含むので、光の照射及び加熱により、異方性導電材料を硬化させることができる。具体的には、異方性導電材料を光の照射により半硬化させた後に、熱硬化させることにより2段階で、異方性導電材料を硬化させることが可能である。
【0014】
さらに、本発明に係る異方性導電材料の光硬化を進行させたBステージ状硬化物及び本発明に係るBステージ状硬化物は、海島構造を有するので、該Bステージ状硬化物の状態において導電性粒子の流動及び沈降を抑制できる。また、海島構造の大きさを制御することができるので、Bステージ状硬化物の状態において、導電性粒子が含まれない部分が大きくなりすぎるのを抑制できる。
【0015】
従って、本発明に係る異方性導電性材料を用いて、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。例えば、接続されるべき上下の電極間を導電性粒子により容易に接続でき、かつ接続されてはならない隣り合う電極間が複数の導電性粒子を介して接続されるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明に係る異方性導電材料は、少なくとも3種の硬化性化合物(以下、硬化性化合物Aと記載することがある)と、導電性粒子とを含有する。上記硬化性化合物Aは、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物(以下、光及び熱硬化性化合物A1と記載することがある)と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物(以下、熱硬化性化合物A2と記載することがある)と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物(以下、光硬化性化合物A3と記載することがある)とを含む。上記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物A1の重量平均分子量は、10万未満である。
【0019】
本発明に係る異方性導電材料は、熱硬化剤と、光重合開始剤とをさらに含むことが好ましい。熱硬化剤と光重合開始剤とは、異方性導電材料に予め添加されていてもよく、異方性導電材料の使用時に異方性導電材料に添加されてもよい。
【0020】
また、本発明に係る異方性導電材料に光を照射し、該異方性導電材料の硬化を進行させたBステージ状硬化物は海島構造を有する。また、本発明に係るBステージ状硬化物は、海島構造を有する。
【0021】
「海島構造」とは、海成分と島成分とが相分離した状態で存在し、海成分の中に島成分が分散状態にある構造をいう。
【0022】
本発明の主な特徴の1つは、Bステージ状硬化物の状態において、該Bステージ状硬化物が海島構造を有することである。このような海島構造の形成によって、Bステージ状硬化物において導電性粒子の流動及び沈降を顕著に抑制できる。従って、光の照射により異方性導電材料の硬化を進行させてBステージ状硬化物にするだけで、導電性粒子の流動及び沈降を抑制して、特定の領域に導電性粒子を容易に配置することが可能である。これは、海成分と島成分との界面において、導電性粒子の移動が妨げられるためであると考えられる。また、上記Bステージ状硬化物の状態を経て接続構造体を作製することにより、硬化前の異方性導電材料の流動性を低下させ、異方性導電材料の流動を抑制することもできる。このため、異方性導電材料により形成された硬化物層及び導電性粒子を特定の領域に配置できる。
【0023】
従って、異方性導電材料を用いて接続対象部材の電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。具体的には、例えば、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子をより一層確実に配置できる。さらに、凝集した導電性粒子によって、接続されてはならない横方向に隣り合う電極間が接続され難く、隣り合う電極間の短絡が生じるのを抑制できる。
【0024】
本発明のもう1つの主な特徴は、硬化性化合物Aが、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物A1と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物A2と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物A3とを含むことである。この少なくとも3種の硬化性化合物Aの使用によって、Bステージ状硬化物が、単に海島構造を有するのではなく、良好な海島構造を有するようになる。
【0025】
異方性導電材料に光を照射して光硬化を進行させたときに、光硬化性化合物A3の硬化は、光及び熱硬化性化合物A1の硬化よりも先に比較的進行しやすい。すなわち、光及び熱硬化性化合物A1の光硬化性と光硬化性化合物A3の光硬化性とが適度な関係にあるので、光硬化性化合物A3の硬化が進行した部分において島部が形成され、光及び熱硬化性化合物A1により島部の拡大が阻害され、海島構造における島部が大きくなりすぎるのを抑制することができる。例えば、島部(島成分)の大きさを20μm未満にすることが容易であり、10μm以下にすることもできる。この結果、Bステージ状硬化物の状態において、導電性粒子の流動及び沈降を抑制することができるだけでなく、導電性粒子が含まれない部分が大きくなりすぎるのを抑制することもでき、接続構造体の導通信頼性を高めることができる。なお、光硬化性化合物A3の硬化が進行した部分において島部が形成された場合に、導電性粒子は島部ではなく海部に含まれやすい。また、「島部の大きさ」とは、1つの島部における最大径を示す。
【0026】
一方で、光及び熱硬化性化合物A1を用いずに光硬化性化合物A3のみを用いると、島部が容易に大きくなりやすく、導電性粒子が含まれない部分が大きくなりやすく、良好な海島構造を形成することは困難である。また、例えば、従来のエポキシ化合物と(メタ)アクリル化合物とを含む異方性導電材料の硬化を進行させた場合にも、島部が容易に大きくなりやすく、導電性粒子が含まれない部分が大きくなりやすく、良好な海島構造を形成することは困難である。さらに、光硬化性化合物A3を用いずに光及び熱硬化性化合物A1のみを用いた場合には、導電性粒子の流動及び沈降を十分に抑制することは困難である。
【0027】
本発明に係る異方性導電材料は、好ましくは、厚み20μmの異方性導電材料に、光の照射エネルギーが50mW/cmとなるように光を照射し、異方性導電材料の硬化を進行させてBステージ状硬化物を得たときに、該Bステージ状硬化物が海島構造を有する。
【0028】
本発明に係る異方性導電材料は、硬化を進行させてBステージ状硬化物を得た後に、該Bステージ状硬化物を硬化させる異方性導電材料であることが好ましい。また、本発明に係る異方性導電材料は、光の照射により硬化を進行させてBステージ状硬化物を得た後に、該Bステージ状硬化物を加熱により硬化させる異方性導電材料であることが好ましい。
【0029】
以下、本発明に係る異方性導電材料及び本発明に係るBステージ状硬化物を構成する異方性導電材料に含まれている各成分の詳細を説明する。
【0030】
〔硬化性化合物〕
上記異方性導電材料は、少なくとも3種の硬化性化合物Aを含む。
【0031】
硬化性化合物Aは、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物A1と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物A2と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物A3とを含む。光及び熱硬化性化合物A1は、光硬化性と熱硬化性とを有する。熱硬化性化合物A2は、熱硬化性を有する。光硬化性化合物A3は、光硬化性を有する。
【0032】
上記硬化性化合物は、光及び熱硬化性化合物A1、熱硬化性化合物A2及び光硬化性化合物A3以外の硬化性化合物を含んでいてもよい。
【0033】
異方性導電材料中の硬化性化合物A100重量%中、光及び熱硬化性化合物A1と熱硬化性化合物A2と光硬化性化合物A3の合計の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、100重量%以下である。硬化性化合物Aの全量が、光及び熱硬化性化合物A1と熱硬化性化合物A2と光硬化性化合物A3との混合物であってもよい。光及び熱硬化性化合物A1と熱硬化性化合物A2と光硬化性化合物A3との合計の含有量が上記下限以上であると、より一層良好な海島構造を形成できる。
【0034】
光及び熱硬化性化合物A1の詳細:
エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する硬化性化合物A1の重量平均分子量は、10万未満であり、好ましくは5万以下であり、より好ましくは1万以下である。光及び熱硬化性化合物A1の重量平均分子量が小さいほど、小さな島部を効果的に形成することができ、従って良好な海島構造を形成することができる。このため、接続構造体の導通信頼性がより一層高くなる。なお、光及び熱硬化性化合物A1の重量平均分子量の下限は特に限定されない。光及び熱硬化性化合物A1の重量平均分子量は、一般に50以上である。
【0035】
なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、光及び熱硬化性化合物A1が重合体ではない場合、及び光及び熱硬化性化合物A1の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、光及び熱硬化性化合物A1が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
【0036】
上記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基を有する光及び熱硬化性化合物A1は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られた光及び熱硬化性化合物であることが好ましい。このような光及び熱硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
【0037】
光及び熱硬化性化合物A1は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
【0038】
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
光及び熱硬化性化合物A1として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
【0040】
熱硬化性化合物A2の詳細:
エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物A2は、エポキシ基を有する化合物であってもよく、チイラン基を有する化合物であってもよい。上記エポキシ基を有する化合物は、エポキシ化合物である。上記チイラン基を有する化合物は、エピスルフィド化合物である。
【0041】
異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体の導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、硬化性化合物Aは、エポキシ化合物及びエピスルフィド化合物の内の少なくとも一種を含むことが好ましく、エピスルフィド化合物を含むことがより好ましい。
【0042】
上記エポキシ化合物及び上記エピスルフィド化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
【0043】
エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
【0044】
低温でより一層速やかに硬化させる観点からは、エピスルフィド化合物は、下記式(1−1)、(2−1)、(3)、(7)又は(8)で表される構造を有するエピスルフィド化合物であることが好ましく、下記式(1−1)、(2−1)又は(3)で表される構造を有するエピスルフィド化合物であることがより好ましい。下記式(1−1)において、ベンゼン環に結合している6つの基の結合部位は特に限定されない。下記式(2−1)において、ナフタレン環に結合している8つの基の結合部位は特に限定されない。
【0045】
【化1】

【0046】
上記式(1−1)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R3、R4、R5及びR6の4個の基の内の2〜4個の基は水素を表す。R3、R4、R5及びR6の内の水素ではない基は下記式(4)で表される基を表す。R3、R4、R5及びR6の4個の基の全てが水素であってもよい。R3、R4、R5及びR6の4個の基の内の1個又は2個が下記式(4)で表される基であり、かつR3、R4、R5及びR6の4個の基の内の下記式(4)で表される基ではない基は水素であってもよい。
【0047】
【化2】

【0048】
上記式(4)中、R7は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
【0049】
【化3】

【0050】
上記式(2−1)中、R51及びR52はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の内の4〜6個の基は水素を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の内の水素ではない基は、下記式(5)で表される基を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の全てが水素であってもよい。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の内の1個又は2個が下記式(5)で表される基であり、かつR53、R54、R55、R56、R57及びR58の内の下記式(5)で表される基ではない基は水素であってもよい。
【0051】
【化4】

【0052】
上記式(5)中、R59は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
【0053】
【化5】

【0054】
上記式(3)中、R101及びR102はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の8個の基の内の6〜8個の基は水素を表す。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の内の水素ではない基は、下記式(6)で表される基を表す。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の8個の基の全てが水素であってもよい。R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の8個の基の内の1個又は2個が下記式(6)で表される基であり、かつR103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110の内の下記式(6)で表される基ではない基は水素であってもよい。
【0055】
【化6】

【0056】
上記式(6)中、R111は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
【0057】
【化7】

【0058】
上記式(7)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
【0059】
【化8】

【0060】
上記式(8)中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
【0061】
上記エピスルフィド化合物は、上記式(1−1),(2−1)で表される構造を有することが好ましく、下記式(1),(2)で表される構造を有するエピスルフィド化合物であることがより好ましい。
【0062】
【化9】

【0063】
上記式(1)中、R1〜R6は、上記式(1−1)中のR1〜R6と同様の基である。
【0064】
【化10】

【0065】
上記式(2)中、R51〜R58は、上記式(2−1)中のR51〜R58と同様の基である。
【0066】
上記異方性導電材料は、エピスルフィド化合物として、フェノキシ樹脂のエポキシ基がチイラン基に変換されたチイラン基を有する変性フェノキシ樹脂を含んでいてもよい。硫化剤を用いて、従来公知の方法により、フェノキシ樹脂のエポキシ基をチイラン基に変換できる。
【0067】
「フェノキシ樹脂」は、一般的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
【0068】
フェノキシ樹脂を得る上記反応において、フェノキシ樹脂の原料となるエポキシ基を有する化合物にかえて該エポキシ基を有する化合物のエポキシ基をチイラン基に変換したチイラン基を有する化合物を用いることにより、チイラン基を有するフェノキシ樹脂を得ることができる。さらに、エポキシ基を有するフェノキシ樹脂を用意し、該エポキシ基を有するフェノキシ樹脂のエポキシ基をチイラン基に変換することによっても、チイラン基を有するフェノキシ樹脂を得ることができる。本明細書において、これらの方法で得られる樹脂を含めて、チイラン基を有する変性フェノキシ樹脂と呼ぶ。エポキシ基を有するフェノキシ樹脂のエポキシ基がチイラン基に変換された樹脂を、チイラン基を有する変性フェノキシ樹脂と呼ぶ。
【0069】
上記エポキシ化合物は特に限定されない。エポキシ化合物として、従来公知のエポキシ化合物を使用できる。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
上記エポキシ化合物としては、エポキシ基を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0071】
上記エポキシ化合物の具体例としては、例えばエピクロルヒドリンと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールD型エポキシ樹脂等とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、並びにエピクロルヒドリンとフェノールノボラック又はクレゾールノボラックとから誘導されるエポキシノボラック樹脂が挙げられる。グリシジルアミン、グリシジルエステル、並びに脂環式又は複素環式等の1分子内に2個以上のオキシラン基を有する各種のエポキシ化合物を用いてもよい。
【0072】
さらに、上記エポキシ化合物として、例えば、上記式(1−1)、(2−1)、(3)、(7)又は(8)で表される構造におけるチイラン基をエポキシ基に置き換えた構造を有するエポキシ化合物を用いてもよい。
【0073】
さらに、上記異方性導電材料は、エポキシ化合物として、下記式(21)で表される構造を有するエポキシ化合物の単量体、該エポキシ化合物が少なくとも2個結合された多量体、又は該単量体と該多量体との混合物を含んでいてもよい。
【0074】
【化11】

【0075】
上記式(21)中、R1は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R2は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は下記式(22)で表される構造を表し、R4は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は下記式(23)で表される構造を表す。
【0076】
【化12】

【0077】
上記式(22)中、R5は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
【0078】
【化13】

【0079】
上記式(23)中、R6は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
【0080】
上記式(21)で表される構造を有するエポキシ化合物は、不飽和二重結合と、少なくとも2個のエポキシ基とを有することを特徴とする。上記式(21)で表される構造を有するエポキシ化合物の使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物をより一層低温で速やかに硬化させることができる。
【0081】
上記異方性導電材料は、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物として、下記式(31)で表される構造を有する化合物の単量体、該化合物が少なくとも2個結合された多量体、又は該単量体と該多量体との混合物を含んでいてもよい。
【0082】
【化14】

【0083】
上記式(31)中、R1は水素原子もしくは炭素数1〜5のアルキル基又は下記式(32)で表される構造を表し、R2は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R3は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X1は酸素原子又は硫黄原子を表し、X2は酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0084】
【化15】

【0085】
上記式(32)中、R4は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、X3は酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0086】
上記異方性導電材料は、エポキシ化合物として、窒素原子を含む複素環を有するエポキシ化合物を含んでいてもよい。上記窒素原子を含む複素環を有するエポキシ化合物は、下記式(41)で表されるエポキシ化合物、又は下記式(42)で表されるエポキシ化合物であることが好ましい。このような化合物の使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度をより一層速くし、硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
【0087】
【化16】

【0088】
上記式(41)中、R1〜R3はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Zはエポキシ基又はヒドロキシメチル基を表す。R1〜R3は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0089】
【化17】

【0090】
上記式(42)中、R1〜R3はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を示し、p、q及びrはそれぞれ1〜5の整数を表し、R4〜R6はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R1〜R3は同一であってもよく、異なっていてもよい。p、q及びrは同一であってもよく、異なっていてもよい。R4〜6は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0091】
上記窒素原子を含む複素環を有するエポキシ化合物は、トリグリシジルイソシアヌレート、又はトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリグリシジルエーテルであることが好ましい。これらの化合物の使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度をさらに一層速くすることができる。
【0092】
上記異方性導電材料は、エポキシ化合物として、芳香族環を有するエポキシ化合物を含むことが好ましい。芳香族環を有するエポキシ化合物の使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度をより一層速くし、ペースト状の異方性導電材料を塗布しやすくすることができる。異方性導電材料の塗布性をより一層高める観点からは、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。上記芳香族環を有するエポキシ化合物としては、レゾルシノールジグリシジルエーテル又は1,6−ナフタレンジグリシジルエーテルが挙げられる。なかでも、レゾルシノールジグリシジルエーテルが特に好ましい。レゾルシノールジグリシジルエーテルの使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度を速くし、ペースト状の異方性導電材料を塗布しやすくすることができる。
【0093】
光硬化性化合物A3の詳細:
エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物A3として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート(但し、エポキシ基を有さない)、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
【0094】
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
【0095】
また、光硬化性化合物A3は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
【0096】
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0097】
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0098】
Bステージ状硬化物においてより一層良好な海島構造を形成する観点からは、異方性導電材料は、光及び熱硬化性化合物A1と熱硬化性化合物A2と光硬化性化合物A3とを、重量比(A1:A2:A3)で、0.1〜20:50〜94.9:5〜45で含むことが好ましく、2〜10:70〜88:10〜28で含むことがより好ましい。
【0099】
重量比(A1:A2:A3)が上記範囲内であると、異方性導電材料の光硬化を適度に進行させたBステージフィルムを得ることができ、更に得られたBステージフィルムを効率的に熱硬化させることができる。
【0100】
光硬化性化合物A3の含有量が少ないほど島部の体積が小さくなり、さらに光及び熱硬化性化合物A1の含有量が多いほど島部がより一層小さくなる傾向があり、Bステージ状硬化物において、導電性粒子が存在しない部分の大きさを小さくすることができる。
【0101】
〔熱硬化剤〕
上記異方性導電材料は、熱硬化剤を含むことが好ましい。該熱硬化剤は特に限定されない。該熱硬化剤は、熱硬化性化合物又は光及び熱硬化性化合物を硬化させる。該熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。該熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0102】
上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。なかでも、異方性導電材料及びBステージ状硬化物を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、上記硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。これらの熱硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
【0103】
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されないが、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0104】
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されないが、トリメチロールプロパン トリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0105】
上記アミン硬化剤としては、特に限定されないが、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0106】
上記熱硬化剤の中でもポリチオール化合物又は酸無水物等が好ましく用いられる。異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度をより一層速くできるので、ポリチオール化合物がより好ましく用いられる。
【0107】
上記ポリチオール化合物の中でもペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネートがより好ましい。このポリチオール化合物の使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度をより一層速くできる。
【0108】
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。硬化性化合物A中の熱硬化成分(熱硬化性化合物、及び光及び熱硬化性化合物)100重量部に対して、熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、異方性導電材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
【0109】
〔光重合開始剤〕
上記異方性導電材料は、光重合開始剤を含むことが好ましい。該光重合開始剤は特に限定されない。該光重合開始剤は、光硬化性化合物又は光及び熱硬化性化合物を重合させる。該光重合開始剤として、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。該光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0110】
上記光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン光重合開始剤、ベンゾフェノン光重合開始剤、チオキサントン、ケタール光重合開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
【0111】
上記アセトフェノン光重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光重合開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0112】
上記光重合開始剤の含有量は特に限定されない。硬化性化合物A中の光硬化成分(光硬化性化合物、及び光及び熱硬化性化合物)100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。光重合開始剤の含有量が上記下限以上であると、光重合開始剤を添加した効果を充分に得ることが容易である。光重合開始剤の含有量が上記上限以下であると、異方性導電材料及びBステージ状硬化物を硬化させた硬化物の接着力が充分に高くなる。
【0113】
〔導電性粒子〕
上記異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、第1,第2の接続対象部材の電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定されない。導電性粒子の導電層の表面が絶縁層により被覆されていてもよい。この場合には、接続対象部材の接続時に、導電層と電極との間の絶縁層が排除される。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を金属層で被覆した導電性粒子、又は実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記金属層は特に限定されない。上記金属層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層又は錫を含有する金属層等が挙げられる。
【0114】
電極と導電性粒子との接触面積を大きくし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有することが好ましい。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、少なくとも外側の表面が低融点金属層である導電性粒子であることが好ましい。上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外側の表面が、低融点金属層であることがより好ましい。
【0115】
上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記低融点金属層は錫を含むことが好ましい。低融点金属層に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記低融点金属層の含有量が上記下限以上であると、低融点金属層と電極との接続信頼性がより一層高くなる。なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
【0116】
導電層の外側の表面が低融点金属層である場合には、低融点金属層が溶融して電極に接合し、低融点金属層が電極間を導通させる。例えば、低融点金属層と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、少なくとも外側の表面が低融点金属層である導電性粒子の使用により、低融点金属層と電極との接合強度とが高くなる結果、低融点金属層と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
【0117】
上記低融点金属層を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
【0118】
また、上記低融点金属層は、はんだ層であることが好ましい。上記はんだ層を構成する材料は特に限定されないが、JIS Z3001:溶剤用語に基づき、液相線が450℃以下である溶可材であることが好ましい。上記はんだ層の組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、はんだ層は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ層、又は錫とビスマスとを含むはんだ層であることが好ましい。
【0119】
上記低融点金属層と電極との接合強度をより一層高めるために、上記低融点金属層は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。低融点金属と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記低融点金属は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。低融点金属層と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、低融点金属層100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
【0120】
上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の外側の表面が低融点金属層であり、上記樹脂粒子と上記低融点金属層(はんだ層など)との間に、上記低融点金属層とは別に第2の導電層を有することが好ましい。この場合に、上記低融点金属層は上記導電層全体の一部であり、上記第2の導電層は上記導電層全体の一部である。
【0121】
上記低融点金属層とは別の上記第2の導電層は、金属を含むことが好ましい。該第2の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0122】
上記第2の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、低融点金属層をより一層容易に形成できる。なお、上記第2の導電層は、はんだ層などの低融点金属層であってもよい。導電性粒子は、複数層の低融点金属層を有していてもよい。
【0123】
上記低融点金属層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。上記低融点金属層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。上記低融点金属層の厚みが上記上限以下であると、樹脂粒子と低融点金属層との熱膨張率の差が小さくなり、低融点金属層の剥離が生じ難くなる。
【0124】
導電層が低融点金属層以外の導電層である場合、又は導電層が多層構造を有する場合には、導電層の全体厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
【0125】
導電性粒子の粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm未満、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。
【0126】
異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子の平均粒子径は、1μm〜100μmの範囲内であることが特に好ましい。
【0127】
上記樹脂粒子は、実装する基板の電極サイズ又はランド径によって使い分けることができる。
【0128】
上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制する観点からは、導電性粒子の平均粒子径Cの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(C/A)は、1.0を超え、好ましくは3.0以下である。また、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第1の導電層がある場合に、はんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(B/A)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。さらに、上記樹脂粒子と上記はんだ層との間に上記第1の導電層がある場合に、はんだ層を含む導電性粒子の平均粒子径Cのはんだ層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する比(C/B)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。上記比(B/A)が上記範囲内であったり、上記比(C/B)が上記範囲内であったりすると、上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制できる。
【0129】
FOB及びFOF用途向け異方性導電材料:
上記異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))との接続、又はフレキシブルプリント基板とフレキシブルプリント基板との接続(FOF(Film on Film))に好適に用いられる。
【0130】
FOB及びFOF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に100〜500μmである。FOB及びFOF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以上であると、電極間に配置される異方性導電材料及び接続部の厚みが十分に厚くなり、接着力がより一層高くなる。樹脂粒子の平均粒子径が100μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
【0131】
フリップチップ用途向け異方性導電材料:
上記異方性導電材料は、フリップチップ用途に好適に用いられる。
【0132】
フリップチップ用途では、一般にランド径が15〜80μmである。フリップチップ用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜15μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
【0133】
COF向け異方性導電材料:
上記異方性導電材料は、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))に好適に用いられる。
【0134】
COF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に10〜50μmである。COF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜10μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置されるはんだ層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
【0135】
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0136】
導電性粒子の表面は、絶縁性材料、絶縁性粒子、フラックス等により絶縁処理されていてもよい。絶縁性材料、絶縁性粒子、フラックス等は、接続時の熱により軟化、流動することで接続部から排除されることが好ましい。これにより、電極間での短絡を抑制することができる。
【0137】
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
【0138】
異方性導電材料がペースト状である場合、異方性導電材料の粘度(25℃)は、20000〜300000mPa・sの範囲内であることが好ましい。上記粘度が低すぎると、導電性粒子が沈降することがある。上記粘度が高すぎると、導電性粒子が充分に分散しないことがある。なお、ペースト状には液状も含まれる。
【0139】
〔他の成分〕
上記異方性導電材料は、フィラーをさらに含むことが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム又はアルミナ等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0140】
上記フィラーの含有量は特に限定されない。硬化性化合物A100重量部に対して、上記フィラーの含有量の好ましい下限は5重量部、より好ましい下限は15重量部、好ましい上限は70重量部、より好ましい上限は50重量部である。フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記Bステージ状硬化物の表面の粘着力を好適な範囲に容易に制御できる。さらに、異方性導電材料及びBステージ状硬化物におけるフィラーの分散性を高めることができ、かつ異方性導電材料及びBステージ状硬化物を硬化させた硬化物の潜熱膨張を抑制できる。
【0141】
上記異方性導電材料は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、異方性導電材料及びBステージ状硬化物の硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0142】
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
【0143】
上記イミダゾール硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0144】
硬化性化合物A中の熱硬化成分(熱硬化性化合物及び光及び熱硬化性化合物)100重量部に対して、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは6重量部以下、より好ましくは4重量部以下である。硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、異方性導電材料及びBステージ状硬化物を充分に硬化させることが容易である。硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化促進剤が残存し難くなる。
【0145】
上記異方性導電材料は、エピスルフィド化合物(チイラン基を有する化合物)とともに、フェノール性化合物をさらに含むことが好ましい。上記エピスルフィド化合物と熱硬化剤とフェノール性化合物との併用により、異方性導電材料の保管時にチイラン基がより一層開環し難くなる。また、電極間に導電性粒子を含む異方性導電材料を配置して導電性粒子を適度に圧縮したときに、電極に適度な圧痕を形成できる。従って、電極間の接続抵抗を低くすることができる。
【0146】
上記フェノール性化合物は、ベンゼン環に水酸基が結合したフェノール性水酸基を有する。上記フェノール性化合物としては、ポリフェノール、トリオール、ハイドロキノン、及びトコフェロール(ビタミンE)等が挙げられる。上記フェノール性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0147】
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
【0148】
上記異方性導電材料は、貯蔵安定剤をさらに含むことが好ましい。上記異方性導電材料は、上記貯蔵安定剤として、リン酸エステル、亜リン酸エステル及びホウ酸エステルからなる群から選択された少なくとも一種を含むことが好ましく、リン酸エステル及び亜リン酸エステルの内の少なくとも一種を含むことがより好ましく、亜リン酸エステルを含むことが更に好ましい。これらの貯蔵安定剤の使用により、特に亜リン酸エステルの使用により、上記エピスルフィド化合物の保存安定性をより一層高めることができる。上記貯蔵安定剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0149】
上記リン酸エステルとしては、ジエチルベンジルホスフェート等が挙げられる。上記亜リン酸エステルとしては、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト又はジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトが好ましく、ジフェニルモノデシルホスファイト及びジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト等が挙げられる。
【0150】
上記異方性導電材料は、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、アスコルビン酸の塩、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸の誘導体及びイソアスコルビン酸の塩からなる群から選択された少なくとも1種の成分を含んでいてもよい。これらの成分の配合により、異方性導電材料の保存安定性が高くなる。
【0151】
上記異方性導電材料は、必要に応じて、イオン捕捉剤又はシランカップリング剤をさらに含んでいてもよい。
【0152】
(異方性導電材料の詳細及び用途)
本発明に係る異方性導電材料は、ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料であり、ペースト状の異方性導電材料であることが好ましい。ペースト状の異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。フィルム状の異方性導電材料は、異方性導電フィルムである。異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
【0153】
本発明に係る異方性導電材料及びBステージ状硬化物はそれぞれ、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。上記異方性導電材料及びBステージ状硬化物はそれぞれ、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
【0154】
図1に、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
【0155】
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部3とを備える。接続部3は、導電性粒子5を含む異方性導電材料又は該異方性導電材料の硬化を進行させたBステージ状硬化物を硬化させることにより形成されている。
【0156】
第1の接続対象部材2は上面2aに、複数の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4aに、複数の電極4bを有する。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材2,4が導電性粒子5により電気的に接続されている。
【0157】
電極2b,4b間の接続は、通常、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とを異方性導電材料を介して電極2b,4b同士が対向するように重ね合わせた後に、異方性導電材料を硬化させる際に、加圧することにより行われる。加圧により、一般に導電性粒子5は圧縮される。
【0158】
上記接続構造体としては、具体的には、回路基板上に、半導体チップ、コンデンサチップ又はダイオードチップ等の電子部品チップが搭載されており、該電子部品チップの電極が、回路基板上の電極と電気的に接続されている接続構造体等が挙げられる。回路基板としては、フレキシブルプリント基板等の様々なプリント基板、ガラス基板、又は金属箔が積層された基板等の様々な回路基板が挙げられる。第1,第2の接続対象部材は、電子部品又は回路基板であることが好ましい。上記異方性導電材料は、電子部品又は回路基板の接続に用いられる異方性導電材料であることが好ましい。上記異方性導電材料は、異方性導電ペーストであって、かつペーストの状態で接続対象部材の上面に塗工される異方性導電材料であることが好ましい。
【0159】
ところで、近年、回路基板などに設けられた複数の電極の幅が小さくなってきている。例えば、複数の電極の幅が30μm以下であったり、20μm程度であったりすることがある。このような微細な電極の接続に異方性導電材料及びBステージ状硬化物を用いたとしても、該Bステージ状硬化物における導電性粒子が含まれにくい島部を比較的小さくすることができ、島部の大きさ20μm未満、更に10μm以下にすることができるので、接続されるべき上限の電極間に導電性粒子を精度よく配置することができる。すなわち、導電性粒子が含まれていない部分の大きさを小さくすることができるので、接続されるべき上限の電極間に導電性粒子を精度よく配置することができる。
【0160】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0161】
(実施例1)
(1)エピスルフィド化合物含有混合物の調製
攪拌機、冷却機及び温度計を備えた2Lの容器内に、エタノール250mLと、純水250mLと、チオシアン酸カリウム20gとを加え、チオシアン酸カリウムを溶解させ、第1の溶液を調製した。その後、容器内の温度を20〜25℃の範囲内に保持した。次に、20〜25℃に保持された容器内の第1の溶液を攪拌しながら、該第1の溶液中に、レゾルシノールジグリシジルエーテル160gを5mL/分の速度で滴下した。滴下後、30分間さらに攪拌し、エポキシ化合物含有混合液を得た。
【0162】
次に、純水100mLと、エタノール100mLとを含む溶液に、チオシアン酸カリウム20gを溶解させた第2の溶液を用意した。得られたエポキシ基含有混合液に、得られた第2の溶液を5mL/分の速度で添加した後、30分攪拌した。攪拌後、純水100mLとエタノール100mLとを含む溶液に、チオシアン酸カリウム20gを溶解させた第2の溶液をさらに用意し、該第2の溶液を5mL/分の速度で容器内にさらに添加し、30分間攪拌した。その後、容器内の温度を10℃に冷却し、2時間攪拌し、反応させた。
【0163】
次に、容器内に飽和食塩水100mLを加え、10分間攪拌した。攪拌後、容器内にトルエン300mLをさらに加え、10分間攪拌した。その後、容器内の溶液を分液ロートに移し、2時間静置し、溶液を分離させた。分液ロート内の下方の溶液を排出し、上澄み液を取り出した。取り出された上澄み液にトルエン100mLを加え、攪拌し、2時間静置した。更に、トルエン100mLをさらに加え、攪拌し、2時間静置した。
【0164】
次に、トルエンが加えられた上澄み液に、硫酸マグネシウム50gを加え、5分間攪拌した。攪拌後、ろ紙により硫酸マグネシウムを取り除いて、溶液を分離した。真空乾燥機を用いて、分離された溶液を80℃で減圧乾燥することにより、残存している溶剤を除去した。このようにして、エピスルフィド化合物含有混合物を得た。
【0165】
クロロホルムを溶媒として、得られたエピスルフィド化合物含有混合物のH−NMRの測定を行った。この結果、エポキシ基の存在を示す6.5〜7.5ppmの領域のシグナルが減少し、エピスルフィド基の存在を示す2.0〜3.0ppmの領域にシグナルが現れた。これにより、レゾルシノールジグリシジルエーテルの一部のエポキシ基がエピスルフィド基に変換されていることを確認した。また、H−NMRの測定結果の積分値より、エピスルフィド化合物含有混合物は、レゾルシノールジグリシジルエーテル70重量%と、下記式(1B)で表される構造を有するエピスルフィド化合物30重量%とを含有することを確認した。
【0166】
【化18】

【0167】
(2)異方性導電ペーストの調製
光及び熱硬化性化合物A1に相当するグリシジルメタクリレート(日油社製「ブレンマーGS」、重量平均分子量142)1.5重量部と、熱硬化性化合物A2に相当する得られたエピスルフィド化合物含有混合物30重量部と、熱硬化剤であるアミンアダクト(味の素ファインテクノ社製「PN−23J」)5重量部と、光硬化性化合物A3に相当するエポキシアクリレート(エポキシ基及びチイラン基を有さない、ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、フィラーであるシリカ(平均粒子径0.25μm)20重量部と、フィラーであるアルミナ(平均粒子径0.5μm)20重量部とを配合し、さらに平均粒子径3μmの導電性粒子Aを配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。
【0168】
なお、用いた上記導電性粒子Aは、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が3.0である導電性粒子である。
【0169】
得られた配合物を、ナイロン製ろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、導電性粒子の含有量が10重量%である異方性導電ペーストを得た。
【0170】
(3)接続構造体の作製
L/Sが20μm/20μmのITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが20μm/20μmの銅電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
【0171】
また、ディスペンサーと、該ディスペンサーに接続された光照射装置としての紫外線照射ランプとを備える複合装置を用意した。
【0172】
複合装置を移動させながら、上記透明ガラス基板の上面に、ディスペンサーのシリンジから、得られた異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗布し、異方性導電ペースト層を形成した。さらに、複合装置を移動させて、異方性導電ペーストを塗布しながら、異方性導電ペースト層に紫外線照射ランプを用いて、420nmの紫外線を光照射エネルギーが50mW/cmとなるように照射し、光重合によって異方性導電ペースト層をBステージ化した。塗布してから、すなわち塗布された異方性導電ペーストが上記透明ガラス基板に接したときから、異方性導電ペースト層に光が照射されるまでの時間Tは、0.5秒であった。
【0173】
次に、Bステージ化された異方性導電ペースト層(Bステージ状硬化物)の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて、Bステージ化された異方性導電ペースト層を185℃で完全硬化させ、接続構造体を得た。
【0174】
(実施例2)
異方性導電ペーストの調製の際に、光及び熱硬化性化合物A1に相当するグリシジルメタクリレート(日油社製「ブレンマーGS」、重量平均分子量142)を、光及び熱硬化性化合物A1に相当するアリルグリシジルエーテル(四日市合成社製、重量平均分子量114)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を作製した。
【0175】
(実施例3)
異方性導電ペーストの調製の際に、光及び熱硬化性化合物A1に相当するグリシジルメタクリレート(日油社製「ブレンマーGS」、重量平均分子量142)を、光及び熱硬化性化合物A1に相当する4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成社製「4HBAGE」、重量平均分子量200)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を作製した。
【0176】
(実施例4)
異方性導電ペーストの調製の際に、光硬化性化合物A3に相当するエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)を、光硬化性化合物A3に相当するトリプロピレングリコールジアクリレート(エポキシ基及びチイラン基を有さない、ダイセル・サイテック社製「TPGDA」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を作製した。
【0177】
(実施例5)
異方性導電ペーストの調製の際に、光硬化性化合物A3に相当するエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)を、光硬化性化合物A3に相当するウレタンアクリレート(エポキシ基及びチイラン基を有さない、ダイセル・サイテック社製「EBECRYL8405」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を作製した。
【0178】
(実施例6)
異方性導電ペーストの調製の際に、熱硬化性化合物A2に相当するエピスルフィド化合物含有混合物を、熱硬化性化合物A2に相当するナフタレングリシジルエーテル((メタ)アクリロイル基を有さない、DIC社製「HP−4032D」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を作製した。
【0179】
(比較例1)
異方性導電ペーストの調製の際に、光及び熱硬化性化合物A1に相当するグリシジルメタクリレート(日油社製「ブレンマーGS」、重量平均分子量142)を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を作製した。
【0180】
(比較例2)
異方性導電ペーストの調製の際に、光硬化性化合物A3に相当するエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペースト及び接続構造体を作製した。
【0181】
(実施例1〜6及び比較例1,2の評価)
(1)海島構造の有無
実施例1〜6及び比較例1,2で得られた異方性導電ペーストを、透明ガラス基板の上に、厚みが20μmとなるように塗布した。その後、異方性導電ペースト層に紫外線照射ランプを用いて、光照射エネルギーが50mW/cmとなるように照射し、光重合によって異方性導電ペーストの硬化を進行させてBステージ状硬化物を得た。Bステージ化された異方性導電ペースト層の上面にさらに透明ガラス基板を置き、厚みが5μmになるように上部から圧力をかけてBステージ状硬化物を薄く伸ばした。
【0182】
光学顕微鏡を用いて、上記Bステージ状硬化物における海島構造の有無を観察した。さらに、島部の大きさ(最大径)を確認した。島部の大きさを下記の判定基準で判定した。
【0183】
[島部の大きさの判定基準]
○○:島部の大きさが10μm以下
○:島部の大きさが10μmを超え、20μm未満
×:島部の大きさが20μm以上
【0184】
(2)対向する電極間の導通の有無
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続抵抗の平均値が2.0Ω以下である場合を「○」、接続抵抗の平均値が2.0Ωを超える場合を「×」と判定した。
【0185】
(3)ボイドの有無
上記の評価で得られた接続構造体において、異方性導電ペースト層により形成された硬化物層にボイドが生じているか否かを、透明ガラス基板の下面側から目視により観察した。ボイドがない場合を「○○」、小さなボイドが1箇所のみにある場合を「○」、小さなボイドが2箇所以上ある場合を「△」、大きなボイドがあり使用上問題がある場合を「×」として結果を下記の表1に示した。
【0186】
結果を下記の表1に示す。
【0187】
【表1】

【0188】
(実施例7〜12)
平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−220」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.1μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ3μmμmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み3μmμmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子Bを作製した。
【0189】
実施例7では、導電性粒子Aを導電性粒子Bに変更したこと、並びにろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料を得た。
【0190】
実施例8では、導電性粒子Aを導電性粒子Bに変更したこと、並びにろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、異方性導電材料を得た。
【0191】
実施例9では、導電性粒子Aを導電性粒子Bに変更したこと、並びにろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと以外は実施例3と同様にして、異方性導電材料を得た。
【0192】
実施例10では、導電性粒子Aを導電性粒子Bに変更したこと、並びにろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと以外は実施例4と同様にして、異方性導電材料を得た。
【0193】
実施例11では、導電性粒子Aを導電性粒子Bに変更したこと、並びにろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、異方性導電材料を得た。
【0194】
実施例12では、導電性粒子Aを導電性粒子Bに変更したこと、並びにろ過に用いたろ紙をナイロン製ろ紙(孔径30μm)に変更したこと以外は実施例6と同様にして、異方性導電材料を得た。
【0195】
(実施例7〜12の評価)
実施例1〜6及び比較例1,2の評価項目について評価を実施した。
【0196】
結果を下記の表2に示す。
【0197】
【表2】

【符号の説明】
【0198】
1…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…上面
2b…電極
3…接続部
4…第2の接続対象部材
4a…下面
4b…電極
5…導電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3種の硬化性化合物と、導電性粒子を含有する異方性導電材料であり、
前記硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物とを含み、
前記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物の重量平均分子量が10万未満であり、
異方性導電材料の硬化を進行させてBステージ状硬化物を得たときに、該Bステージ状硬化物が海島構造を有する、異方性導電材料。
【請求項2】
熱硬化剤と、光重合開始剤とをさらに含有する、請求項1に記載の異方性導電材料。
【請求項3】
異方性導電材料に光を照射し、該異方性導電材料の硬化を進行させたBステージ状硬化物であって、
前記異方性導電材料が、少なくとも3種の硬化性化合物と、導電性粒子とを含有し、
前記硬化性化合物が、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物と、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有さない熱硬化性化合物と、エポキシ基及びチイラン基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物とを含み、
前記エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物の重量平均分子量が10万未満であり、
海島構造を有する、Bステージ状硬化物。
【請求項4】
前記異方性導電材料が、熱硬化剤と、光重合開始剤とをさらに含有する、請求項3に記載のBステージ状硬化物。
【請求項5】
第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1又は2に記載の異方性導電材料を硬化させることにより形成されている、接続構造体。
【請求項6】
第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項3又は4に記載のBステージ状硬化物を硬化させることにより形成されている、接続構造体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−92321(P2012−92321A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213226(P2011−213226)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】