説明

異方性導電膜及びこれを用いた接合体

【課題】電子部品等と基板との接続の際に、導電性粒子の流動を抑制して、高い粒子捕捉率を確保することにより、優れた導通信頼性を得ることができる異方性導電膜、及び該異方性導電膜を用い、粒子捕捉率が高く優れた導通信頼性を有する、電子部品等と基板との接合体の提供。
【解決手段】本発明の異方性導電膜は、一の噴霧手段10を用いて噴出され、静電電位付与手段により静電電位が付与された導電性粒子12と、他の噴霧手段20を用いて噴出された樹脂粒子22とを、被処理面上に同時に噴霧することにより得られ、前記樹脂粒子で形成された樹脂膜中であって、該樹脂膜24の厚み方向における一方の面側に、前記導電性粒子が単層配列してなり、前記樹脂膜の厚み方向における一方の面と、前記導電性粒子の中心との距離の10点平均が、9μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップ、液晶ディスプレイ(LCD)における液晶パネル(LCDパネル)等の電子部品と基板や、基板同士を電気的かつ機械的に接続可能な異方性導電膜及びこれを用いた接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品等と回路基板とを接続する手段として、異方導電性接着フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)が用いられている。この異方導電性接着フィルムは、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)やICチップの端子と、LCDパネルのガラス基板上に形成されたITO(Indium Tin Oxide)電極とを接続する場合を始めとして、種々の端子同士を接着すると共に電気的に接続する場合に用いられている。
【0003】
前記異方導電性接着フィルムとしては、一般に、エポキシ樹脂系の絶縁性接着剤層中に導電性粒子を分散させたものが使用されており、例えば、ICチップの端子とガラス基板におけるITO電極との間に、導電性粒子が挟まれて潰されることにより、前記ICチップの端子と前記ITO電極との電気的接続が実現されている。
近年、電子機器の小型化及び高機能化により、接合端子のファインピッチ化に伴う接合端子の面積が減少しているが、端子面積が狭くなっても、高い導通信頼性の確保が求められている。
しかし、前記異方導電性接着フィルムにおいては、前記導電性粒子が前記絶縁性接着剤層中に分散されているので、接続時の熱圧着により、絶縁性接着剤と共に導電性粒子が流動してしまうという問題があり、電気的接続を確実に行うためには、接続後に端子上に載っている導電性粒子の個数を一定以上にすることが必要となり、絶縁性接着剤層中に含有させる導電性粒子の個数を増大させなければならなかった。
【0004】
そこで、前記絶縁性接着剤層の厚み方向における一方の面側に、前記導電性粒子を規則配列させることにより、該導電性粒子の流動を抑制し、前記端子への粒子捕捉率を増大させ、導通信頼性の向上を実現可能な異方導電性接着フィルムの開発が望まれている。
前記導電性粒子を規則配列させた異方導電性接着フィルムを製造する方法としては、例えば、以下に示す方法が知られている。
特許文献1には、導電性粒子を絶縁性接着剤層の表面に配置させた異方性接着フィルムが開示されており、前記導電性粒子を前記絶縁性接着剤層の表面層に均一配置させる方法としては、前記導電性粒子を同一電荷に帯電させて散布させる方式が提案されている。しかし、この方式では、前記導電性粒子の電荷は、僅か数十秒間程度で消滅するため、前記絶縁性接着剤層上に、前記導電性粒子を配列させた状態を維持するのが困難である。
【0005】
また、特許文献2には、導電性粒子が特定の領域にのみ配置された異方導電フィルムの製造方法が開示されており、前記導電性粒子を特定の領域にのみ配置させる方法としては、前記導電性粒子に電圧を印加し、基板上の電極に対応する領域のみが開口しているマスクを用いて、粘着層における前記電極に対応する領域のみに前記導電性粒子を散布する方法が提案されている。しかし、この方法では、粘着層の厚みが大きくなると、前記導電性粒子の電荷が拡散してしまい、前記電極に対応した微細な粒子配列を得ることができないことがある。
【0006】
更に、特許文献3には、導電性粒子が規則的に配列した異方導電フィルム及びその製造方法が開示されており、前記導電性粒子を規則的に配列させる方法としては、基材上に絶縁性接着剤を塗工した絶縁性接着剤面上に、導電性粒子を噴霧し配列させた後、この上に、絶縁性接着剤を塗工する、あるいは、導電性粒子が絶縁性接着剤中に分散されたものを噴霧する方法が提案されている。しかし、この方法では、前記導電性粒子の配列間隔の狭小化を図ると、前記導電性粒子が凝集してしまい、前記導電性粒子を単層配列させることが困難である。
【0007】
また、これらの方法のほか、例えば、特許文献4には、異方導電性シートの製造方法において、導電性磁性粒子を用いて、磁石により該導電性粒子を配列させる方法が提案されている。しかし、この方法では、現在市販の導電性粒子を用いることができず、汎用性に劣るという問題がある。
【0008】
したがって、絶縁性樹脂膜中に、導電性粒子を凝集させることなく、ミクロンオーダーの配列間隔で単層配列させることができ、しかも該導電性粒子の配列を、前記絶縁性樹脂膜の厚み方向における一方の面側に配置させることができる簡便な方法は、未だ提供されていないのが現状であり、電子部品等と基板との接続の際に、導電性粒子の流動を抑制して、高い粒子捕捉率を確保することにより、優れた導通信頼性を得ることができる異方性導電膜及びこれに関連する技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−32335号公報
【特許文献2】特開2002−75580号公報
【特許文献3】特開2007−115560号公報
【特許文献4】特開2006−93020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、電子部品等と基板との接続の際に、導電性粒子の流動を抑制して、高い粒子捕捉率を確保することにより、優れた導通信頼性を得ることができる異方性導電膜、及び該異方性導電膜を用い、粒子捕捉率が高く優れた導通信頼性を有する、電子部品等と基板との接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 樹脂膜中であって、該樹脂膜の厚み方向における一方の面側に、導電性粒子が単層配列してなり、前記樹脂膜の厚み方向における一方の面と、前記導電性粒子の中心との距離の10点平均が、9μm以下であることを特徴とする異方性導電膜である。
該<1>に記載の異方性導電膜においては、前記樹脂膜の厚み方向における一方の面側に前記導電性粒子が単層配列しており、しかも該導電性粒子の中心は、前記一方の面から9μm以下の距離に位置している。このため、該異方性導電膜を用いて電子部品等と基板とを接合すると、前記導電性粒子は、樹脂の流動の影響を受け難く、前記電子部品等における接合端子に高い割合で捕捉され、優れた導通信頼性が得られる。
<2> 隣接する導電性粒子同士の中心間距離の10点平均が、1μm〜30μmである前記<1>に記載の異方性導電膜である。
<3> 一の噴霧手段を用いて噴出され、静電電位付与手段により静電電位が付与された導電性粒子と、他の噴霧手段を用いて噴出された樹脂粒子とを、被処理面上に同時に噴霧することにより、前記樹脂粒子で形成された樹脂膜中に、前記導電性粒子を単層配列させて得られる前記<1>から<2>のいずれかに記載の異方性導電膜である。
該<3>に記載の異方性導電膜においては、別々の前記噴霧手段を用いて噴出され、静電電位が付与された前記導電性粒子と、前記樹脂粒子とが、前記被処理面上に向かって同時に噴霧される。すると、前記導電性粒子の静電電位が損なわれることなく、前記被処理面における前記導電性粒子の位置安定性が確保された状態にて、前記樹脂粒子が堆積されて前記樹脂膜が形成される。その結果、前記樹脂膜の厚み方向における一方の面側に、ミクロンオーダーの配列間隔で前記導電性粒子が単層配列された異方性導電膜が得られる。
<4> 樹脂膜が、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂から選択される少なくとも1種の絶縁性樹脂からなる前記<1>から<3>のいずれかに記載の異方性導電膜である。
【0012】
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の異方性導電膜を介して、電子部品及び基板から選択される2種以上が、電気的に接合されてなることを特徴とする接合体である。
該<5>に記載の接合体においては、本発明の前記異方性導電膜を用いて、前記電子部品及び前記基板から選択される2種以上が電気的に接合されているので、前記導電性粒子の粒子捕捉率が高く、導通信頼性に優れる。
<6> 電子部品及び基板から選択される2種以上における接合端子の面積が、600μm以上1,800μm未満である前記<5>に記載の接合体である。
<7> 電子部品が、ICチップ及び液晶パネルから選択され、基板が、ITOガラス基板、フレキシブル基板、リジッド基板及びフレキシブルプリント基板から選択される前記<5>から<6>のいずれかに記載の接合体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決でき、電子部品等と基板との接続の際に、導電性粒子の流動を抑制して、高い粒子捕捉率を確保することにより、優れた導通信頼性を得ることができる異方性導電膜、及び該異方性導電膜を用い、粒子捕捉率が高く優れた導通信頼性を有する、電子部品等と基板との接合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、噴霧手段の一例としての2流体ノズルの概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の異方性導電膜の製造方法の一例を示す概略説明図である。
【図3A】図3Aは、実施例1の異方性導電膜を用いて作製した接合体の断面SEM写真である。
【図3B】図3Bは、比較例1の異方性導電膜を用いて作製した接合体の断面SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(異方性導電膜)
本発明の異方性導電膜は、樹脂膜中であって、該樹脂膜の厚み方向における一方の面側に、導電性粒子が単層配列してなり、前記樹脂膜の厚み方向における一方の面と、前記導電性粒子の中心との距離の10点平均が、9μm以下である。
本発明の前記異方性導電膜においては、前記樹脂膜の厚み方向における一方の面側に前記導電性粒子が単層配列しており、しかも該導電性粒子の中心は、前記一方の面から9μm以下の距離に位置しているので、電子部品等と基板との接続の際に、導電性粒子の流動の影響を受け難く、少ない粒子添加量で、高い粒子捕捉率を確保することができ、優れた導通信頼性を得ることができる。
【0016】
前記異方性導電膜における、単層配列された前記導電性粒子の配列間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、隣接する導電性粒子同士の中心間距離の10点平均が、1〜30μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、1〜10μmが特に好ましい。これらの場合、接合端子のファインピッチ化に伴う、該接合端子の面積の狭小化に充分対応可能な点で、有利である。
【0017】
本発明の前記異方性導電膜の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、従来の異方性導電膜の一般的な製造方法では、樹脂中に導電性粒子が分散されてなる樹脂組成物を塗布することにより製造するので、10μm以下の厚みで異方性導電膜を連続生産するのが困難であり、塗布ヘッド部分に発生した増粘部分、粒子溜まりなどの影響によるスジ、ムラ等の不良が発生し易いという問題がある。
これに対し、以下に説明する方法により異方性導電膜を製造すると、これらの不良の発生が抑制される点で、有利である。即ち、本発明の前記異方性導電膜の製造方法としては、一の噴霧手段を用いて噴出され、静電電位付与手段により静電電位が付与された導電性粒子と、他の噴霧手段を用いて噴出された樹脂粒子とを、被処理面上に同時に噴霧することにより、前記樹脂粒子で形成された樹脂膜中に、前記導電性粒子を単層配列させる工程を含んでいるのが好ましく、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでいてもよい。
【0018】
−導電性粒子−
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、半田、ニッケル、金等の金属粒子;金属(ニッケル、金、アルミニウム、銅等)で被覆(メッキ)された、樹脂粒子、ガラス粒子あるいはセラミック粒子;などが挙げられる。
前記導電性粒子の平均粒径としては、例えば、体積平均粒径で、2〜10μmが好ましく、2〜4μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、2μm未満であると、分級処理及び入手が困難であり、10μmを超えると、接合端子のファインピッチ化に伴う、該接合端子の狭小化への対応が困難となることがある。
前記導電性粒子の比重としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1.5〜3.0が好ましい。
前記比重が、1.5未満であると、前記被処理面上での前記導電性粒子の位置安定性を確保することが困難になることがあり、3.0を超えると、前記導電性粒子を単層配列させるためには、より高い静電電位の付与が必要となることがある。
【0019】
前記導電性粒子は、溶剤に溶解乃至分散させることにより調製したスラリー溶液の状態で、前記噴霧手段を用いて噴出させるのが好ましい。
前記スラリー溶液における前記導電性粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜40質量%が好ましい。
前記含有量が、20質量%未満であると、噴霧時間が長くなり、製造効率が低下することがあり、40質量%を超えると、前記導電性粒子間で凝集が発生し易くなることがある。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、エタノールなどが好適に挙げられる。
【0020】
−樹脂粒子−
前記樹脂粒子は、樹脂を溶剤に溶解させて調製したスラリー溶液を、前記噴霧手段を用いてミスト状に噴出させることにより形成される。
また、前記樹脂粒子が、前記噴霧手段により前記被処理面に対して噴霧されることにより、堆積されて樹脂膜が形成される。
【0021】
前記樹脂粒子の粒径としては、特に制限はなく、前記導電性粒子の粒径に応じて適宜選択することができるが、4〜6μmが好ましい。
前記粒径が、4μm未満あるいは6μmを超えると、前記導電性粒子の配列に乱れが生じることがある。
【0022】
前記スラリー溶液における前記樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜30質量%が好ましい。
前記含有量が、10質量%未満であると、噴霧時間が長くなり、製造効率が低下することがあり、30質量%を超えると、ミストを噴霧することが困難になることがある。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、エタノールなどが好適に挙げられる。
【0023】
前記樹脂粒子(該樹脂粒子から形成される樹脂膜)は、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂から選択される少なくとも1種の絶縁性樹脂からなるのが好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記アクリレートをメタクリレートにしたものが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記樹脂粒子により形成される前記樹脂膜の厚みとしては、前記導電性粒子を前記被処理面上に固定することができる限り特に制限はなく、前記導電性粒子の粒径に応じて、適宜選択することができるが、2〜20μmが好ましい。
前記厚みが、2μm未満であると、前記導電性粒子の固定化が困難になることがあり、20μmを超えると、噴霧時間が長くなり、製造効率が低下することがある。
【0026】
−噴霧手段−
前記噴霧手段は、前記導電性粒子及び前記樹脂粒子を、前記被処理面に対して噴霧する機能を有する。
前記噴霧手段は、前記一の噴霧手段と、前記他の噴霧手段との少なくとも2つが必要であり、これら別々の噴霧手段により、前記導電性粒子と前記樹脂粒子とを、前記被処理面に対して同時に噴霧することが必要である。これらの粒子を同時に噴霧しない場合、例えば、予め形成した樹脂膜上に、前記導電性粒子のみを噴霧する場合、後述する静電電位付与手段により前記導電性粒子に付与された静電電位を有していても、前記樹脂膜が存在することから、電気的な制御が不能となり、前記導電性粒子を単層配列させることができないことがある。
前記一の噴霧手段及び前記他の噴霧手段の形状、構造、大きさなどは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
前記噴霧手段における、前記導電性粒子の噴出口と、前記被処理面との距離としては、特に制限はなく、前記噴霧手段の前記導電性粒子の噴出速度と、前記導電性粒子の前記被処理面への到達速度との関係に応じて、適宜選択することができる。
前記被処理面への前記導電性粒子の到達速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3m/min以下が好ましい。
前記到達速度が、0.3m/minを超えると、任意の場所に前記導電性粒子の配列を形成するのが困難になることがある。
【0028】
前記噴霧手段としては、前記導電性粒子及び前記樹脂粒子を噴霧することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ノズルを有しているのが好ましい。
前記ノズルとしては、その形状、構造、大きさ、径としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、前記ノズルの径としては、0.1〜1.0mmが好ましい。
前記ノズルの径が、0.1mm未満であると、噴霧し難くなることがあり、1.0mmを超えると、ミストの粒径制御が困難となることがある。
前記ノズルは、市販品であってもよいし、適宜作製したものであってもよく、前記市販品としては、例えば、図1に示す、二流体ノズル(「2流体スプレーノズル 1/4JAUCO」;スプレイイングシステムス(株)製)が挙げられる。
【0029】
−静電電位付与手段−
前記静電電位付与手段は、前記導電性粒子に静電電位を付与する機能を有する。
前記静電電位付与手段は、前記導電性粒子が前記噴霧手段を用いて噴出された直後に、前記導電性粒子に静電電位を付与するのが好ましく、例えば、前記静電電位付与手段を、前記噴霧手段における前記導電性粒子の噴出口に隣接配設し、かつ特定の電圧を印加することにより、前記導電性粒子を帯電させることができる。
【0030】
前記静電電位付与手段における印加電圧としては、特に制限はなく、前記導電性粒子の種類に応じて適宜選択することができる。
前記静電電位付与手段により静電電位が付与された前記導電性粒子における、該静電電位の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300〜1,500Vが好ましい。
前記静電電位の大きさが、300V未満であると、前記導電性粒子が配列し難いことがあり、1,500Vを超えると、前記導電性粒子同士が反発し合い、配列構造を制御することができないことがある。
【0031】
前記静電電位付与手段としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、電荷印加装置(直流高圧電源、「PSD−200」;春日電機(株)製)などが挙げられる。
【0032】
−被処理面−
前記被処理面は、前記導電性粒子を単層配列させる対象であり、該被処理面としては、各種部材の表面が挙げられ、例えば、基板の表面、各種膜(例えば、樹脂膜)の表面などが挙げられる。
【0033】
前記被処理面は、導電性パターンを有してなるのが好ましい。この場合、該導電性パターン上に、前記導電性粒子を選択的に配列させることができ、粒子の配列を容易に制御することができる点で、有利である。
前記導電性パターンとしては、導電性を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その材質としては、金属が好適に挙げられ、パターン形状としては、ライン状のほか、目的に応じて各種模様を選択することができる。
【0034】
以上の工程により、別々の前記噴霧手段を用いて噴出され、前記静電電位付与手段により静電電位が付与された前記導電性粒子と、前記樹脂粒子とが、前記被処理面上に同時に噴霧されて、前記樹脂粒子で形成された前記樹脂膜中に前記導電性粒子が単層配列される。その結果、本発明の前記異方性導電膜が得られる。
【0035】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記導電性粒子が単層配列された前記樹脂膜を加熱し、前記溶剤を乾燥させる工程などが挙げられる。
【0036】
ここで、本発明の前記異方性導電膜の製造方法の一例を、図面を用いて説明する。
図2に示すように、一の噴霧手段10を用いて噴出された導電性粒子12と、他の噴霧手段20を用いて噴出された樹脂粒子22とを、被処理面40上に同時に噴霧する。このとき、一の噴霧手段10と被処理面40との間であって、一の噴霧手段10における導電性粒子12の噴出口に、静電電位付与手段30が隣接配置されており、導電性粒子12は、一の噴霧手段10を用いて噴出された直後、静電電位付与手段30により電圧が印加されて、静電電位が付与される。
このように、別々の噴霧手段(噴霧手段10及び噴霧手段20)を用いて噴出された導電性粒子12と、樹脂粒子22とが、同時に被処理面40上に噴霧されるので、導電性粒子12は、静電電位が損なわれることなく被処理面40上にて単層配列され、しかも導電性粒子12の位置安定性が確保された状態にて、樹脂粒子22が堆積されて樹脂膜24が形成される。その結果、樹脂膜24中であって、樹脂膜24の厚み方向における一方の面側に、導電性粒子12が、ミクロンオーダーの配列間隔で単層配列された異方性導電膜が得られる。該異方性導電膜においては、樹脂膜24の厚み方向における一方の面と、導電性粒子12の中心との距離の10点平均が、9μm以下となっている。
【0037】
本発明の異方性導電膜は、前記樹脂膜の厚み方向における一方の面から9μm以内に、前記導電性粒子が単層配列しているので、電子部品等と基板との接続に用いると、接続の際に、前記導電性粒子の流動を抑制してショートの発生を防止すると共に、少ない粒子添加量で、高い粒子捕捉率を確保することができ、優れた導通信頼性が得られる。
このため、本発明の前記異方性導電膜は、各種電子部品と基板、基板同士などの接合に好適に使用することができ、例えば、ICタグ、ICカード、メモリーカード、フラットパネルディスプレイなどの製造に好適に使用することができる。
【0038】
(接合体)
本発明の接合体は、本発明の前記異方性導電膜を介して、電子部品及び基板から選択される2種以上が、電気的に接合されてなる。即ち、前記電子部品における接合端子と、前記基板における電極又は接合端子との間、或いは前記基板同士における接合端子間に、前記導電性粒子が挟まれて潰されることにより、前記接合端子と前記電極等との導通が図られている。
なお、本発明の前記異方性導電膜の詳細については、上述した通りである。
【0039】
前記電子部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ICチップ、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)における液晶画面制御用ICチップ、液晶パネルなどが挙げられる。
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ITOガラス基板、フレキシブル基板、リジッド基板、フレキシブルプリント基板などが挙げられる。
【0040】
前記電子部品及び前記基板から選択される2種以上における接合端子の面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子機器の小型化及び高機能化に伴う接合端子のファインピッチ化の技術動向に対応可能な点で、600μm以上1,800μm未満が好ましく、600〜1,200μmがより好ましい。
【0041】
本発明の前記接合体は、本発明の前記異方性導電膜を用いているので、前記導電性粒子の粒子捕捉率が高く、優れた導通信頼性を有する。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
−異方性導電膜の作製−
前記導電性粒子としてのNi−Auメッキ樹脂粒子(「ミクロパール AU」;積水化学工業(株)製、粒径4μm、以下、「金粒子」と称する。)9質量部に、前記溶剤としてのトルエンを加えて、導電性粒子の40質量%スラリー溶液を調製した。以下、このスラリー溶液を、「A液」と称する。
次に、前記絶縁性樹脂としての液状エポキシ樹脂(「EP828」;ジャパンエポキシレジン(株)製)30質量部、フェノキシ樹脂(「PKHH」;インケム(株)製)30質量部、シランカップリング剤(「A−187」;日本ユニカー(株)製)1質量部、及びイミダゾール系潜在性硬化剤(「3941HP」;旭化成ケミカルズ社製)30質量部を混合して樹脂組成物を調製し、これに前記溶剤としてのトルエンを加えて、樹脂の10質量%トルエン溶液を調製した。以下、このトルエン溶液を、「B液」と称する。
【0044】
導電性粒子を配列させる対象(前記被処理面)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルム(PET層)を用意した。
次いで、図1に示す二流体ノズル(「2流体スプレーノズル 1/4JAUCO」;スプレイイングシステムス(株)製)を接続した噴霧装置を、導電性粒子噴霧用と、樹脂粒子噴霧用との2つ用意し、それぞれのノズルの噴出口とPET層表面との離間距離が、1mとなるように配置した。また、導電性粒子噴霧用の噴霧装置とPET層表面との間に、電荷印加装置(直流高圧電源、「PSD−200」;春日電機(株)製)を配置した。
そして、噴霧装置を用いて、A液及びB液を、ノズル径0.6mm、噴霧時間0.5秒間、金粒子及び樹脂粒子のPET層への到達速度0.3m/minの条件で、別々のノズルから噴霧した。このとき、ノズルから噴出されたA液中の金粒子に対して、前記電荷印加装置により、500Vの電圧を印加することにより、静電電位が付与されて、金粒子は、帯電(静電電位300V)した状態にて、PET層の表面上に噴霧された。また、ノズルから噴出された、B液により形成された樹脂粒子が、PET層の表面上に噴霧されて堆積された。
【0045】
その結果、PET層の表面上に、エポキシ樹脂中に金粒子が単層配列されたエポキシ樹脂塗布膜(前記異方性導電膜)が形成された。
得られたエポキシ樹脂塗布膜を、60℃、15分間の条件にて、オーブン中で加熱し、トルエンを乾燥させ、金粒子が単層配列したエポキシ樹脂膜(厚み20μm)を得た。
【0046】
得られたエポキシ樹脂膜中の金粒子の存在位置を測定したところ、該エポキシ樹脂膜の厚み方向における金粒子の存在する側の面(PET層との境界面)と、金粒子の中心との距離の10点平均が、5μmであった。
また、金粒子の配列間隔を測定したところ、隣接する金粒子同士の中心間距離の10点平均が、10μmであった。
【0047】
(実施例2)
−異方性導電膜の作製−
実施例1において、前記導電性粒子のスラリー溶液(A液)、及び前記樹脂のトルエン溶液(B液)の組成を、下記組成に変えて調製した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電膜を作製した。
【0048】
導電性粒子のスラリー溶液(A液)は、前記導電性粒子としてのNi−Auメッキ樹脂粒子(「ミクロパール AU」;積水化学工業(株)製、粒径4μm)10質量部に、前記溶剤としてのトルエンを加えて、導電性粒子の40質量%スラリー溶液とした。
樹脂のトルエン溶液(B液)は、前記絶縁性樹脂としての液状アクリル樹脂(「3002A」;共栄社化学(株)製)35質量部、フェノキシ樹脂(「PKHH」;インケム(株)製)45質量部、シランカップリング剤(「A−172」;日本ユニカー(株)製)2質量部、及びラジカル開始剤(「パーヘキサ3M」;日本油脂(株)製)8質量部を混合して樹脂組成物を調製し、前記溶剤としてのトルエンを加えて、樹脂の10質量%トルエン溶液とした。
【0049】
その結果、PET層の表面上に、アクリル樹脂中に金粒子が単層配列されたアクリル樹脂膜(前記異方性導電膜)を得た。該アクリル樹脂膜中の金粒子の存在位置を測定したところ、該アクリル樹脂膜の厚み方向における金粒子の存在する側の面(PET層との境界面)と、金粒子の中心との距離の10点平均が、5μmであった。
また、金粒子の配列間隔を測定したところ、隣接する金粒子同士の中心間距離の10点平均が、10μmであった。
【0050】
(比較例1)
−異方性導電膜の作製−
イミダゾール系潜在性硬化剤(「3941HP」;旭化成ケミカルズ社製)40質量部、液状エポキシ樹脂(「EP828」;ジャパンエポキシレジン(株)製)14質量部、フェノキシ樹脂(「PKHH」;インケム(株)製)35質量部、及びシランカップリング剤(「A−187」;日本ユニカー(株)製)1質量部を混合し、これに、導電性粒子として、Ni−Auメッキ樹脂粒子(「ミクロパール AU」;積水化学工業(株)製、粒径4μm)10質量部を分散させて、導電性粒子含有樹脂組成物を調製した。
得られた導電性粒子含有樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルム(PET層)上に、バーコーターを用いて塗布し、厚み20μmのエポキシ樹脂塗布膜(前記異方性導電膜)を作製した。
得られたエポキシ樹脂塗布膜を、60℃、15分間の条件にて、オーブン中で加熱し、トルエンを乾燥させ、金粒子が分散されたエポキシ樹脂膜を得た。
【0051】
エポキシ樹脂膜中の金粒子の存在位置を測定したところ、該エポキシ樹脂膜の厚み方向における一方の面(PET層との境界面)と、金粒子の中心との距離の10点平均が、15μmであった。
また、金粒子の配列間隔を測定したところ、隣接する金粒子同士の中心間距離の10点平均が、40μmであった。
【0052】
(接合体の作製1)
実施例1〜2及び比較例1で作製した異方性導電膜を用いて、以下に示す評価用チップA及び評価用チップBと、ITOパターンガラスとの接合体を作製した。
〔評価用チップA〕
材質:シリコン、外寸:20mm×2mm、厚み:0.5mm
バンプ種類:金メッキバンプ、バンプ厚み:15μm、バンプ数:800/チップ、バンプサイズ:30μm×150μm、バンプ間スペース:18μm
〔評価用チップB〕
材質:シリコン、外寸:15mm×13mm、厚み:0.5mm
バンプ種類:金メッキバンプ、バンプ厚み:15μm、バンプ数:700/チップ、バンプサイズ:30μm×140μm、バンプ間スペース:6μm
〔ITOパターンガラス〕
厚み:0.7mm
【0053】
異方性導電膜における導電性粒子が存在している側の面を、評価用チップにおけるバンプ側に、他方の面をITOパターンガラスにおける導体パターン側に、それぞれ配置した状態で、バンプと導体パターンとが対向するように、異方性導電膜を介して、評価用チップA及び評価用チップBそれぞれと、ITOパターンガラスとを重ね、180℃及び200℃の加熱条件にて、80MPa/チップ、10秒間の条件でそれぞれ加圧することにより圧着し、接合体を得た。
【0054】
ここで、実施例1の異方性導電膜を介して評価用チップAとITOパターンガラスとが圧着されてなる接合体の断面SEM写真を図3Aに、比較例1の異方性導電膜を介して評価用チップAとITOパターンガラスとが圧着されてなる接合体の断面SEM写真を図3Bに、それぞれ示す。
実施例1の異方性導電膜における金粒子は、該膜の厚み方向における一方の面から極めて短い距離にて単層配列しているため、図3Aに示すように、導通に寄与する導電性粒子の粒子捕捉率を格段に向上させることができることが判った。
一方、比較例1の異方性導電膜における金粒子は、単層配列することなく、膜中に分散しているため、評価用チップAとITOパターンガラスとの圧着時に、樹脂の流動による影響を受け易く、図3Bに示すように、導通に寄与する導電性粒子の粒子捕捉率が低いことが判った。
【0055】
<COG(Chip on glass)導通抵抗試験>
次いで、各接合体について、JEITA EIAJ ED−4701の試験規格に従い、導体パターン間の抵抗値を4端子法によって測定し、下記評価基準に基づいて評価した。結果を、評価用チップAについては表1に、評価用チップBについては表2に、それぞれ示す。
〔評価基準〕
○:圧着直後の抵抗値が5Ω以下であり、ショートの発生無し。
×:圧着直後の抵抗値が5Ωより大きく、ショートの発生有り。
【0056】
【表1】

【表2】

【0057】
表1及び表2より、実施例1〜2で得られた異方性導電膜を用いると、圧着直後の接合体における導通抵抗値が低く、ショートの発生もなく、チップとITOパターンガラスとの接合が可能であることが確認された。このことは、実施例1〜2で得られた異方性導電膜は、導電性粒子が該膜の厚み方向における一方の面から極めて短い距離にて単層配列しているため、評価用チップBのようにバンプ間スペースが6μmと狭い場合であっても、導通に寄与する導電性粒子を確実に捕捉できることによるものである。
これに対し、比較例1で得られた異方性導電膜を用いると、評価用チップA(バンプ間スペース18μm)とITOパターンガラスとを圧着した接合体については、圧着直後の接合体における導通抵抗値が低く、ショートの発生もなく、チップとITOパターンガラスとの接合が可能であるものの、評価用チップBとITOパターンガラスとを圧着した接合体については、圧着直後の接合体における導通抵抗値が高く、ショートの発生があることが確認された。このことは、比較例1で得られた異方性導電膜は、導電性粒子が単層配列することなく、膜中に分散しているため、特に、評価用チップBのようにバンプ間スペースが6μmと狭い場合に、導通に寄与する導電性粒子を捕捉できないことによるものである。
【0058】
(接合体の作製2)
接合体の作製1と同様にして、実施例1及び比較例1の異方性導電膜を用いて、評価用チップAとITOパターンガラスとを圧着し、接合体を作製した。
【0059】
(接合体の作製3)
加熱条件を、170℃及び190℃に変えた以外は、接合体の作製1と同様にして、実施例2及び比較例1の異方性導電膜を用いて、評価用チップAとITOパターンガラスとを圧着し、接合体を作製した。
【0060】
<COG(Chip on glass)導通抵抗信頼性試験>
次いで、前記接合体の作製2及び3で得られた各接合体について、JEITA EIAJ ED−4701の試験規格に従い、導体パターン間の抵抗値を4端子法によって測定した。ここで、抵抗値は、温度85℃、湿度85%RHの条件下にて、評価用チップAとITOパターンガラスとの圧着直後及びエージング後(250時間経過後、500時間経過後、及び1,000時間経過後)において測定し、下記評価基準に基づいて評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
○:圧着直後の抵抗値が5Ω以下であり、エージング後の抵抗値が、圧着直後の抵抗値の3倍以下である。
×:圧着直後の抵抗値は5Ω以下であるが、エージング後の抵抗値が、圧着直後の抵抗値の3倍より大きい。
【0061】
【表3】

【0062】
表3より、実施例1及び実施例2の異方性導電膜は、エージング後の接合体における抵抗値が低く、実用上充分な電気的特性を示し、優れた接続信頼性が得られることが判った。これに対し、比較例1の異方性導電膜は、圧着直後の接合体における抵抗値は低いものの、250時間経過後には、抵抗値が圧着直後の抵抗値の3倍よりも大きくなってしまい、接合体を製品として使用することができず、実用性に劣ることが判った。
【0063】
以上より、本発明の異方性導電膜は、噴霧装置を用いて導電性粒子と樹脂粒子とを同時に噴霧することにより形成することができるため、従来の異方性導電膜の製造における多層ラミネートが不要となり、製造工程の削減による大幅なコストダウンの実現が期待される。
また、本発明の異方性導電膜における、対応可能バンプスペースは、6μmであり、対応可能バンプ面積は、600μmであった。これに対し、従来の異方性導電膜における、対応可能バンプスペースは、18μmであり、対応可能バンプ面積は、1,800μmであり、本発明の異方性導電膜は、バンプの狭ピッチ化の動向に充分対応可能であることが判った。
【0064】
また、本発明の異方性導電膜を用いた接合体における導電性粒子の粒子捕捉率(バンプの単位面積あたりの粒子捕捉率)は、約98%と高いのに比して、従来の接合体における粒子捕捉率は、約40%と低く、本発明の異方性導電膜は、従来の異方性導電膜に比して、導電性粒子の配合量が、1/2〜1/5程度と少ないにもかかわらず、粒子捕捉率が高く、低コストで優れた導通信頼性が得られることが判った。なお、本発明の異方性導電膜を用いた接合体は、ダイシェア信頼性試験における強度が、従来の異方性導電膜を用いた接合体と同等であり、充分な強度を有している。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の異方性導電膜は、各種電子部品等と基板、基板同士などの接合に好適に使用することができ、例えば、ICタグ、ICカード、メモリーカード、フラットパネルディスプレイなどの製造に好適に使用することができる。
本発明の接合体は、導電性粒子の粒子捕捉率が高く、優れた導通信頼性を有する。
【符号の説明】
【0066】
10 一の噴霧手段
12 導電性粒子
20 他の噴霧手段
22 樹脂粒子
24 樹脂膜
30 静電電位付与手段
40 被処理面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の噴霧手段を用いて噴出され、静電電位付与手段により静電電位が付与された導電性粒子と、他の噴霧手段を用いて噴出された樹脂粒子とを、被処理面上に同時に噴霧することにより得られ、
前記樹脂粒子で形成された樹脂膜中であって、該樹脂膜の厚み方向における一方の面側に、前記導電性粒子が単層配列してなり、
前記樹脂膜の厚み方向における一方の面と、前記導電性粒子の中心との距離の10点平均が、9μm以下であることを特徴とする異方性導電膜。
【請求項2】
樹脂膜が、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂から選択される少なくとも1種の絶縁性樹脂からなる請求項1に記載の異方性導電膜。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載の異方性導電膜を介して、電子部品及び基板から選択される2種以上が、電気的に接合されてなることを特徴とする接合体。
【請求項4】
電子部品及び基板から選択される2種以上における接合端子の面積が、600μm以上1,800μm未満である請求項3に記載の接合体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2012−134155(P2012−134155A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285281(P2011−285281)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2007−308451(P2007−308451)の分割
【原出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】