説明

異方性導電膜及びそれを用いた表示装置、並びに、表示装置の検査方法及び検査装置

【課題】 異方性導電フィルムを用いて接合した場合に、接合部の外観検査、導電粒子のつぶれの状態を顕微鏡による確認を容易にする。
【解決手段】 コア粒子の表面に金層が設けられた導電粒子と、導電粒子が分散された樹脂を有する異方性導電フィルムにおいて、コア粒子と金層の間にマーカー層を設けることとした。透明基板に部品を接合させ際に、導電粒子がつぶれ金属メッキ層の一部が開いて割れ、バンプや銅配線と区別しやすい色のついたマーカー層内のマーカー材が排出されることで、導電粒子のつぶれが一目で確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(以下、LCDと称す)ガラス基板に半導体部品等の電子部品や樹脂等のプリント配線基板を接合する異方性導電フィルム(以下、ACFと称す)及びACFを用いたLCDとその接合外観検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、図2、図3、図4により従来のACF接合について説明する。従来のACFの構造図を図2(a)に示す。従来のACFは導電粒子20を熱硬化性樹脂10等の樹脂中に分散させた接着フィルムであり、その導電粒子の異方導電性及び熱硬化性樹脂の接着性を利用して、電子部品の電極と基板の電極を機械的及び電気的に接合させる。導電粒子の断面図を図2(b)に示す。ACFの導電粒子構造は、コア粒子30とその表面をニッケル(以下、Niと称す)メッキ層40と金(以下、Auと称す)メッキ層50で構成されているもの、または、Ni粒子のような金属粒子をそのまま用いて、さらにその金属粒子をAuメッキし使用されるものがある。
【0003】
ファインピッチ実装において、LCDと半導体部品等の接続信頼性を確保すると共に、電気的特性の低下を防ぐACF接合構造が知られている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0004】
従来の半導体部品等をLCDガラス基板にACFを用いて接合する方法として図3に示し、以下に述べる。図3(a)は接合前断面図、図3(b)は接合後断面図を示す。図3(a)において透明電極80(ITO等)がパターン形成されたLCDガラス基板70にACF110を貼り付け、ACF110の上から加熱し仮圧着する。LCDガラス基板70に半導体部品90をACF110上に仮圧着し、半導体部品90のバンプ100とLCDガラス基板70の透明電極80の位置を合わせる。図3(b)において、半導体部品90の上から加熱圧着し本圧着を行なう。このとき、加熱・加圧によってACF110中のエポキシ樹脂及び接着剤が溶融しながらバンプ100と透明電極80の間から流れ出し、分散している導電粒子20がバンプ100と透明電極80の電極間に捕捉される。導電粒子20は圧力を加えたことでバンプ100と透明電極80間でつぶれ、機械的及び電気的に接触した状態でACF内のエポキシ樹脂の熱硬化と接着剤の接着力により保持され、バンプ100と透明電極80間の電気的導通をとる。
【0005】
従来のACF接合部の接合状態を良否判定するために顕微鏡による外観検査を行っている。接合状態の確認は、本圧着後にLCDガラス基板側から透明電極80とバンプ100間のACF接合面を顕微鏡で観察する。図4に従来のACFを使用した圧着後のLCDガラス基板側から観察した接合面を示す。透明電極80とバンプ100間のつぶれていない導電粒子120は丸い形状のまま確認でき、導電粒子での接合は点接触になり、電気的特性として 接続抵抗が高くなる。一方、圧着後の導電粒子はつぶれて導電粒子の形が扁平になり導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れた導電粒子130として確認できる。この導電粒子130の状態が機械的、電気的に透明電極80とバンプ100間を面接触した状態となり、接続抵抗が低く安定した値をとれる。従って、導電粒子130の状態が良否判定として電気的、機械的に接合している状態としている。また、バンプ100と透明電極80が接合している範囲内でつぶれた導電粒子130の数が一定数量以上確保していることでも接合状態の良否判定を行なっている。
【特許文献1】特開平11−16949号公報(第1−2図)
【特許文献2】特開2000−195339号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のACFを使用した実装では、バンプや透明電極のファインピッチ化に伴い、ACFの導電粒子径φ2μmからφ10μm程度、特に小さい導電粒子径φ2μmからφ5μm程度を使用すると、圧着後の接合部の外観検査で導電粒子のつぶれ形状、すなわち導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れる電気的接合が安定した状態と、導電粒子が割れていない電気的接合が不安定な状態との区別を顕微鏡で確認することが困難になり良否判定が行なえないという問題点がでてくる。
【0007】
接合された半導体部品のバンプやプリント配線基板の銅配線等の色とACFの導電粒子の金属メッキ色が似ているため、顕微鏡で導電粒子のつぶれを確認するのに困難が生じると同時に時間がかかる問題がある。
【0008】
検査員毎につぶれた導電粒子の見え方や、同じ試料での外観検査でも導電粒子のつぶれた数量の計測に違いが生じ、検査員よる良否判定のばらつきが発生し時間もかかる問題が生じる。
【0009】
従来の導電粒子のつぶれ形状による接合外観検査方法で自動化を実現する方法の1つとして導電粒子形状の画像認識が考えられるが、導電粒子のつぶれ形状、すなわち導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れる状態は一様でないことより、外観検査の自動化を実現するためには導電粒子のつぶれた形状を認識し比較するための画像が多数必要となり画像認識時間と処理時間がかかる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、導電粒子にマーカー層を有することを特徴とするACFを使用しLCDガラス基板に半導体部品またはプリント配線基板を接合させ、導電粒子がつぶれ金属メッキ層の一部の割れ、バンプや銅配線と区別しやすい色のついたマーカー層内のマーカー材が排出されることで、顕微鏡による接合部の外観検査の際、導電粒子のつぶれ形状によらず、色のついたマーカー材の有無により導電粒子のつぶれが一目で確認できる。
【0011】
すなわち、本発明の異方性導電フィルムは、コア粒子の表面に設けられた金層を備える導電粒子が樹脂中に分散された異方性導電フィルムであって、コア粒子と金層の間にマーカー層が設けられている。ここで、マーカー層が顔料を含んでいる。または、マーカー層が液状またはジェル状である。または、マーカー層が蛍光体である。
【0012】
さらに、コア粒子がプラスチック球体または金属球体であり、コア粒子の表面にはニッケルメッキ層が施され、ニッケル層の表面にマーカー層が形成され、マーカー層の表面に金メッキ層が形成されている。ここで、樹脂として熱硬化性樹脂を用いている。
【0013】
また、本発明の表示装置は上述に記載した構成のいずれかの異方性導電フィルムを用いて、透明基板と部品を接続する表示装置であって、透明基板と部品との接続部において、導電粒子の金属メッキ層からマーカー層内のマーカー材が排出されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による表示装置の検査方法は、上述した表示装置の接続部を観察して、導電粒子の周りに排出されたマーカー層内のマーカー材の有無により良否判定を行なうことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の検査装置は、上述した表示装置を固定するステージと、表示装置の透明基板と部品との接続部の画像の捕らえるレンズと、レンズが捕らえた画像を画像データとして認識する電荷結合素子と、画像データを処理するCPUと、CPUに接続され規格データを記録したメモリと、CPUの処理した画像を映し出すモニタを備え、メモリに記憶してある規格データと電荷結合素子が写した画像データとを比較し、良否判定を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
ファインピッチ実装において導電粒子にマーカー層を有したACFを使用することにより導電粒子径がφ2μmからφ5μm程度のACFでも顕微鏡による接合外観検査の際、粒子径が小さくなった導電粒子つぶれをつぶれた形状によらず、バンプや銅配線と区別しやすい色がついたマーカー材の有無で確認できる。
【0017】
バンプや銅配線と区別しやすい色のついたマーカー材は導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れた際に排出されるため顕微鏡での導電粒子つぶれを一目で確認でき検査時間の短縮の効果がある。
【0018】
導電粒子つぶれをマーカー材の有無で確認できることで、良否判定の基準が明確になり、検査員による接合外観検査のばらつきが減り、一目で確認できるため検査時間の短縮と不良コスト削減の効果がある。
【0019】
バンプや銅配線と区別しやすい色がついて、マーカー材の色とその他の接合面との色のコントラストで画像認識ができることで、比較する規格データを少なくでき、画像認識による自動化を実現することが容易となるため、検査時間の短縮と不良コスト削減の効果がある。
【0020】
マーカー材が蛍光体の場合、本圧着後の接合外観検査では導電粒子から排出されたマーカー材が顕微鏡等の明かりを蓄光し発光するためバンプや銅配線と区別しやすく、検査員による圧着外観検査のばらつきが減り、一目で確認でき検査時間の短縮と不良コスト削減の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、表示装置の透明基板上に異方性導電膜を用いて半導体部品(例えば駆動用ICチップ)または樹脂等のプリント配線基板を接続する技術に係わるものである。すなわち、圧着後に導電粒子がつぶれて導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れ、つぶれた導電粒子から色のついたマーカー層内のマーカー材が排出される異方性導電膜と、この異方性導電膜を用いて部品を接続した表示装置、マーカー材の排出の有無により導電粒子のつぶれの状態を確認する検査方法と検査装置を示す。
【実施例1】
【0022】
本発明のACFの構成について、導電粒子の断面図を図1に示し、以下に述べる。本発明のACFの構成は図2(a)と同様で導電粒子20を熱硬化性樹脂10等の樹脂中に分散させた接着フィルムである。図1において本発明のACFの導電粒子構造は、プラスチック球体または金属球体のコア粒子30とその表面にNiメッキを施したNiメッキ層40とさらにNiメッキ層上にマーカー材を塗布したマーカー層60とさらにマーカー層60上にAuメッキを施したAuメッキ層50で構成されている。
【0023】
導電粒子のコア粒子30としては、例えば、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂粒子、または、例えば、Ni、Au粒子等の金属粒子を用いることができる。
【0024】
Niメッキ層40は電解または無電解メッキによりコア粒子30上にメッキされる。
【0025】
マーカー層60のマーカー材の顔料は無機酸化物などの無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、酸化チタン等が採用できる。また、LCDガラス基板等のカラーフィルタで用いられている顔料で、赤色にはアントラキノン系、緑色にはハロゲン化銅フタロシアニン系、青色には銅フタロシアニン系の材料も採用できる。
【0026】
マーカー層60のマーカー材は蛍光体を使用することができる。蛍光体は、畜光性蛍光体顔料であることが好ましい。蓄光性蛍光体顔料として、従来から知られている硫化亜鉛蛍光体、例えば、ZnS:Cu等、または希土類元素を添加したアルミン酸塩化合物、例えば、SrAl:Eu、Dy、SrAl1425:Eu、Dy、CaAl:Eu、Nd等が採用できる。(例えば、根本特殊化学株式会社製「N夜光(ルミノーバ)」G-300シリーズ、BG-300シリーズ、V-300シリーズ、日亜化学工業株式会社製「ウルトラ・グロー」NP-2810、NP-2820、NP-2830等)
ここで、色についてはバンプや銅配線等のその他の接合面と区別できる白色や青色等が好ましい。また、マーカー材は熱硬化材のものでも良い。マーカー材の主溶剤として、アルコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル(セロソルブ類)、プロピレングリコールモノアルキルエーテルを用いることができる。また、Auメッキ層50は電解または無電解メッキによりマーカー層60の上にメッキされる。本発明の導電粒子の平均粒径はφ2μmからφ10μm程度のものであるが、ファインピッチ接合用として特にφ2μmからφ5μm程度のものが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエン樹脂等を用いることができる。ACFは厚さが10μmから50μm程度で、幅1mmから5mm程度を用いることができる。
【0027】
本発明のACFを用いた接合とそのLCDについて以下に述べる。LCDガラス基板の透明電極上にACFを貼り付け、前記ACF上に実装機の圧着ヘッドを下ろし温度50℃から80℃程度、圧力0.1MPaから1MPa程度、時間1秒から2秒程度の範囲でACFを仮貼りする。前記ACFを仮貼りしたLCDガラス基板の透明電極と駆動用ICチップ等のバンプを電荷結合素子(以下、CCDと称す)等による画像認識で位置合わせする。ここで駆動用ICチップの代わりにプリント配線基板を使用しても良い。駆動用ICチップ上に実装機の圧着ヘッドを下ろし温度60℃から100℃程度、圧力0.1MPaから5MPa程度、時間1秒から5秒程度の範囲で仮圧着する。前記駆動用ICチップ等の上から実装機の圧着ヘッドを下ろし温度160℃から230℃程度、圧力2MPaから100MPa程度、時間3秒から20秒程度の範囲で本圧着を行なう。このとき、加熱・加圧によりACF中のエポキシ樹脂及び接着剤が溶融しながらバンプと透明電極の間から流れ出し、分散している導電粒子がバンプと透明電極の電極間に捕捉される。導電粒子は圧力を加えたことでバンプと透明電極間でつぶれ、導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れ、バンプや銅配線と区別しやすい色のついたマーカー材が排出される。バンプとつぶれた導電粒子と透明電極は機械的及び電気的に接触し導通した状態となる。また、加熱により導電粒子が機械的及び電気的にバンプと透明電極間で接触した状態でACF内のエポキシ樹脂の熱硬化と接着剤の接着力により保持され、バンプと透明電極間で接続抵抗0.1Ω程度の電気的導通がとれる。つぶれた導電粒子からマーカー材が排出されたことで導電粒子のつぶれ形状によらず、色のついたマーカー材の有無により導電粒子のつぶれが一目で確認できる。
【0028】
本発明のACFを用いたLCDの検査方法について以下に述べる。ACF接合部の接合状態を良否判定するために検査員が顕微鏡を使用し接合外観検査を行なう。接合状態の確認は、本圧着後にLCDガラス基板側から透明電極とバンプ間のACF接合面を倍率40倍から200倍程度の顕微鏡で観察する。図5に本発明のACFを使用した圧着後の接合面を示す。つぶれていない導電粒子120は顕微鏡で観察すると、球形の形のままで導電粒子の周りにはマーカー材150が排出されない。一方つぶれた導電粒子140は、導電粒子の形が扁平になり導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れ、バンプや銅配線と区別しやすい色のついたマーカー材150が排出され、つぶれていない導電粒子120と一目で区別できる。特にピッチ40μm以下のファインピッチ実装で使用されるACFの導電粒子径がφ2μmからφ5μm程度と小さい場合、粒子形状のみの良否判定をすると倍率40倍から200倍程度の顕微鏡での観察では導電粒子径が小さくなる程つぶれの形状を確認しにくい。しかし、本発明のACFを使用したことで、導電粒子径の大きさやつぶれ方の違いによらず、導電粒子周りのマーカー材150の有無のみで導電粒子のつぶれを判断できる。また、ACFで接合したバンプ100と透明電極80の接合範囲内のつぶれた導電粒子140の数量を数えることが容易になる。検査員はマーカー材150の有無を確認するだけであるため、接合外観検査の経験が少ない検査員でも容易に良否判定ができ、検査員による検査のばらつきが減る。また、一目で確認できるため、検査時間の短縮ができる。良否判定がしやすいため、後工程への不良流出が少なくなり、不良コストの削減にもつながる。
【実施例2】
【0029】
本発明のACFを使用したLCDの接合外観検査装置について述べる。図6に本発明のACFを使用したLCDの接合外観検査装置を示す。本発明である導電粒子にマーカー層を有したACFを使用したLCD170を固定するためのステージ160と、ステージ平面の垂直方向に設置されたLCDの実装部を観察し画像の倍率を25倍から500倍に可変できるレンズ180と、レンズ180が捕らえた画像を認識するCCD190と、CCD190が写した画像データを処理するコンピュータ(以下、CPUと称す)200と、コンピュータ200に接続され規格データを記録してあるメモリ210と、コンピュータ200の処理した画像を映し出すモニタ220を有した接合外観検査装置が構成である。
【0030】
予めメモリ210に記憶させたマーカー材の色のデータを色の濃淡を表すコントラスト・データとして保存しておく。このデータを規格データとする。規格データは例えば、コントラストを10段階に分け、濃い色を10、薄い色を1とし、6以上のコントラスト値であればマーカー材が存在しているとCPU200に判断させる。すなわち、マーカー材が存在しているということは、金属メッキ層の一部が開き割れた導電粒子がバンプと透明電極間を電気的、機械的に接合していることを意味する。
【0031】
本発明のACFを使用した本圧着後のLCD170の接合部を観察するため、LCD170のLCDガラス基板が上面になるようステージ160上に乗せ固定する。レンズ180の倍率を指定し、LCD170のLCDガラス基板側から透明電極とバンプ間のACF接合面がモニタ220で鮮明に見えるようにステージ160の高さを調節する。バンプ上または銅配線上の測定範囲をモニタ220で確認し設定する。CCD190を通して接合部の画像を認識する。つぶれていない導電粒子は導電粒子の周りにマーカー材が排出されない、一方つぶれた導電粒子は、導電粒子の金属メッキ層の一部が開いて割れ、バンプや銅配線と区別しやすい色のついたマーカー材が排出され、導電粒子の周りにマーカー材が存在する。CCD190が写した画像データを予めメモリ210に記録しておいた規格データと比較する。例えば測定範囲を設定した画像の範囲内においてコントラスト値6以上でかつ、色のカウント数を5個以上と規格を設定しておき、CPU200で演算処理後に設定した規格データと比較し規格データ以上の値であるなら良品、それ以外は不良品とし測定範囲内の良否判定を自動で行なう。これにより検査時間の短縮と不良コスト削減ができる。
【実施例3】
【0032】
図5のマーカー材150が蛍光体の場合、本圧着後の接合外観検査では顕微鏡等の明かりを蓄光し発光するためバンプや銅配線と区別しやすく、検査員による接合外観検査のばらつきが減り、一目で導電粒子のつぶれ確認でき検査時間の短縮と不良コスト削減につながる。
【実施例4】
【0033】
図5においてマーカー材150が低抵抗の導通材である場合、導電粒子140のみならず、圧着後に排出されたマーカー材150でもバンプ等と透明電極間で導通が取れ、さらにその状態で硬化できれば、導電粒子での接合だけでなくマーカー材150の接触面でも導通が取れ、接続抵抗が安定し接続信頼性が増す。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のACFを使用することで、導電粒子径の大きさやつぶれ方の違いによらず、導電粒子周りのマーカー材の有無のみで導電粒子のつぶれを容易に判断できるため、接合外観検査の経験が少ない検査員でも容易に良否判定ができ、検査員による検査のばらつきが減る。また、一目で確認できるため、検査時間の短縮ができる。良否判定がしやすいため、後工程への不良流出が少なくなり、不良コストの削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のACF導電粒子を示す模式図である。
【図2】従来のACFを説明する模式図である。
【図3】ACFの接合部の接合前と接合後を模式的に示す断面図である。
【図4】従来のACFを使用した接合外観図である。
【図5】本発明のACFを使用した接合外観図である。
【図6】本発明の検査装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0036】
10 熱硬化性樹脂
20 導電粒子
30 コア粒子
40 Niメッキ層
50 Auメッキ層
60 マーカー層
70 LCDガラス基板
80 透明電極
90 半導体部品(IC等)
100 バンプ
110 ACF
120 つぶれていない導電粒子
130 従来のつぶれている導電粒子
140 本発明品のつぶれている導電粒子
150 マーカー材
160 ステージ
170 LCD
180 レンズ
190 CCD
200 CPU
210 メモリ
220 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子の表面に金層が設けられてなる導電粒子が樹脂中に分散された異方性導電膜において、前記コア粒子と前記金層の間にマーカー層が設けられたことを特徴とする異方性導電膜。
【請求項2】
前記マーカー層が顔料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の異方性導電膜。
【請求項3】
前記マーカー層が液状またはジェル状であることを特徴とする請求項1または2に記載の異方性導電膜。
【請求項4】
前記マーカー層が蛍光体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の異方性導電膜。
【請求項5】
前記コア粒子がプラスチック球体または金属球体であり、前記コア粒子の表面にはニッケルメッキ層が施され、前記ニッケル層の表面に前記マーカー層が形成され、前記マーカー層の表面に金メッキ層が形成され、前記樹脂が熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の異方性導電膜。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の異方性導電膜を用いて、透明基板と部品を接続する表示装置であって、前記透明基板と前記部品との接続部において、導電粒子の金属メッキ層からマーカー層内のマーカー材が排出されたことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置の検査方法であって、導電粒子の周りに排出されたマーカー層内のマーカー材の有無により良否判定を行なうことを特徴とする表示装置の検査方法。
【請求項8】
請求項6に記載の表示装置を固定するステージと、前記表示装置の透明基板と部品との接続部の画像の捕らえるレンズと、前記レンズが捕らえた画像を画像データとして認識する電荷結合素子と、前記画像データを処理するCPUと、前記CPUに接続され規格データを記録したメモリと、前記CPUの処理した画像を映し出すモニタを備え、前記メモリに記憶してある規格データと前記電荷結合素子が写した画像データとを比較し、良否判定を行なうことを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−54109(P2006−54109A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235006(P2004−235006)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】