説明

異方性形態を持つ粒子からなる導電性ポリマ

【解決手段】本発明は、導電性ポリマまたは有機金属であって、100nm未満の粒径を持つ上記ポリマまたは金属から作られたナノスケールの粒子は異方性形態を有し、この異方性形態は球形でなく、長さ/直径(“L/D”)比が1.2より大きい、ことを特徴とする導電性ポリマまたは有機金属に関する。本発明は、そのようなポリマの製造方法、および導電性を有する付形部品、自立箔または塗膜の調製へのそれらの使用であって、特に異方性支持体上または異方性媒体および界での使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性形態を持つ粒子からなる導電性ポリマ、そのポリマの製造方法、および付形部品(成形品)、箔または塗膜の製造への上記ポリマの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマ、または“固有導電性ポリマ”あるいは“有機金属”という用語は、低分子量化合物(モノマ)から誘導され、重合により少なくともオリゴマとなっており、したがって化学結合により結合された少なくとも3つのモノマ単位を含有し、中性(非導電性)状態において共役π電子系を持ち、酸化、還元またはプロトン化(“ドーピング”と記述されることが多い)により導電性であるイオン型に変換できる物質を表すのに用いられる。導電性は少なくとも10-7S/cmである。
【0003】
酸化によるドーピングの場合には、ドーピング剤として、例えばヨウ素、過酸化物、ルイス酸およびプロトン酸が、還元によるドーピングの場合には、ドーピング剤として、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムが使用される。
【0004】
導電性ポリマは、並外れて変化のある化学組成を持つ可能性もある。例えば、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、ピロール、アニリン、チオフェン、硫化フェニレン、ペリナフタレン、その他、およびスルホアニリン、エチレンジオキシチオフェン、チエノチオフェンその他のようなそれらの誘導体、それらのアルキルまたはアルコキシ誘導体、またはスルホン酸塩、フェニルおよび他の側基のような他の側基との誘導体が、モノマであると判明している。
【0005】
上に挙げたモノマの組み合わせもモノマとして用いることができる。例えば、アニリンと硫化フェニレンを結合させ、これらのA−Bダイマをモノマとして使用する。目的に応じ、ピロール、チオフェンまたはアルキルチオフェン類、エチレンジオキシチオフェン、チエノチオフェン、アニリン、硫化フェニレン、その他を互いに結合させてA−B構造を形成し、次にこれらを反応させてオリゴマまたはポリマを形成することができる。または、2つ以上の、例えば3つの異なったモノマを共に重合させることができる。
【0006】
ほとんどの導電性ポリマは温度が上がると導電性の多少の増加を示し、これはそれらのポリマが非金属導体であることを示している。温度が上がると導電性が低下する限りでは、この物質群のうち2、3の代表は少なくとも室温に近い温度範囲において金属の挙動を示す。金属挙動を検出するいっそうの方法は、低温(0K近くまで)で伝導性のいわゆる”還元活性化エネルギ(reduced activation energy)”を温度に対しプロットすることである。導電性に金属的寄与をする導体は、低温で曲線の正の傾斜を示す。このような物質は“有機金属”と呼ばれる。
【0007】
そのような有機金属は下記非特許文献1においてWesslingらにより説明されている。非金属導体の状態から少なくとも部分的に金属導体への転移は、固有導電性ポリマの合成が完了した後の一段摩擦または分散法により実施された。ここで、上記分散法により導電性も増大するが、用いた導電性ポリマの化学組成は実質的に変化することはなかった。
【0008】
導電性を明らかに増大させる多くの努力を従来技術に認めることができる。特に、導電性ポリマの溶液を作成し(特殊のドーピング剤を用いてもよい)、次に流延または他の加工およびその後の乾燥で得られた製品(フィルム、線維)を延伸するという戦略が用いられている。下記非特許文献2に加え、これらの方法はEpsteinらやHeegerら(下記非特許文献3)による論文にも適切に略述されている。
【0009】
約5S/cm未満の導電率範囲は通常、合成で達成されるが、数十、時には数百S/cmの数値は様々な操作により達成される。下記非特許文献4においてNaarmannとTheophilouにより15年前に特殊な重合法とその後の延伸に基づきポリアセチレンで達成されたような、数千または数万S/cmの導電率値は、他の導電性ポリマ系では従来達成できなかった。しかしながら、Naarmannらの方法は、実行が困難で、再現も難しいという欠点がある。さらに、この方法は、空気安定性と酸化安定性がなく、それ以上の加工ができない製品をもたらす。
【0010】
上記のハンドブックにおけるKohlmanとEpsteinの図3.2には従来得られた導電率値が極めて適切に概説されており、一般的に、固有導電性ポリマから作られた箔または線維の延伸によってのみ、102S/cmの高値が達成されている。
【0011】
ポリアニリンの場合には、操作は例えば塩酸水溶液中でアニリンを重合するというもので、プロトン化ポリアニリンの塩酸塩が形成される。これは強塩基、例えばアンモニア、により中和され、HClが除去される。これにより、いわゆるエメラルジン塩基が得られる。これを、キシレンまたはクロロホルム中、有毒なm−クレゾールの存在下に樟脳スルホン酸で溶解する。次に、この溶液から皮膜を流延し、次に延伸する。延伸後、約102S/cmの導電率が得られる。
【0012】
この二次ドーピングと呼ばれる方法(下記非特許文献5参照)は、様々な多くの形態で実施されており(特に、下記非特許文献6または下記非特許文献7)、この際、酸と二次ドーピング剤(“二次ドーパント”)を変える。Monkmanらによるいっそうの論文が下記非特許文献8−11に開示されている。
【0013】
この方法をさらに変形させた方法において、Mattes ら(下記特許文献1)は、延伸後ほぼ102S/cmの導電率を持つ線維を調製した。この方向をさらに追求したvon Mattes et al.による論文が下記非特許文献12および下記特許文献2,3に開示されている。
【0014】
これらの論文全てに共通するのは、上記導電性ポリマの分子溶液から出発しており、溶媒の蒸発後にポリマの鎖を伸ばすことにより、これらのポリマ鎖を配向させ(平行にし)、すなわち、整合させることを試みていることである。この方法により、導電性は例えば100倍は増加でき、異方性効果(すなわち、或る用途には有益で、他の用途には不利益ではない、導電性または或る光学特性の好ましい方向)も可能となることは、極めて明らかである。
【0015】
しかしながら、これに反して不溶性の導電性ポリマまたは有機金属が用いられ、そのためこれらは溶液から加工されず、分散液から加工される場合、延伸しても、分散されたナノ粒子の配向とその後の導電性の増加は得られず、鎖の配向ももたらされない。ポリマ粒子(一次粒子)は一般的に分散液中で球形の形状で存在する、すなわち、等方性構造(形態)で存在する。これらの粒子が凝集すると、特に、分散剤が分散液から層状で除去されると、同様に等方性の二次形態が形成される。
【0016】
最近、原則として配向および延伸がおそらく考えられるであろうポリアニリンから調製された、いわゆる“ナノファイバ”(英語では“ナノフィブリル”とも言う)が技術文献において提示されて来ている。しかしながら、これらのナノファイバを綿密に検討すると、それらは球形の一次粒子からなり、一方では延伸できず、他方では特に高い初期導電率を持たない(わずか数S/cmのみ)ことがわかる。さらに、線維の寸法(直径100〜200nm)からすると、これらナノファイバは決して“ナノ世界”に含められて当然ということにはならない。
【0017】
導電性ポリマに基づく真のナノファイバ(カーボンナノファイバの寸法と類似した寸法を持つものであり、充分に高い導電性を持つものであることは言うまでもない)は、現在までのところ知られていない。
【0018】
したがって、分散液から沈着させた箔、皮膜または線維を延伸することによる導電性の増加を、一次粒子の配列、すなわち、始めから好ましい方向に配向された配列、以上に達成することは、これまで不可能であった(したがって、そのような製品を延伸することによる導電性の増加も不可能であった)。導電性ポリマおよび有機金属の従来入手されていた一次粒子(ナノ粒子)は、本質的に等方性であったからである。
【0019】
【特許文献1】米国特許第6123883号明細書
【特許文献2】米国特許第5981695号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/042743号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第0329768号明細書
【非特許文献1】Wessling et al., Eur. Phys. J.E., 2, p. 207-210 (2000)
【非特許文献2】Synthetic Metal (Special Issue), Vol. 65, Nos. 2-3 (1994)
【非特許文献3】Handbook of Conductive Polymers, Skotheim, Eisenbanner, Reynolds (ed.), M. Dekker, N.Y. (1998)
【非特許文献4】Synth. Met., 22, 1 (1987)
【非特許文献5】MacDiarmid and Epstein, Synth. Met. (Special Issue), Vol. 65, Nos. 2-3, p. 103-116 (1994)
【非特許文献6】Holland, Monkman et al., J. Phys. Condens. Matter, 8, p.2991-3002 (1996)
【非特許文献7】Dufour, Pron et al., Synth. Met., No. 133-136, p. 63-68 (2003),
【非特許文献8】Polymer, 41, p. 2265 (2000)
【非特許文献9】J. Mater. Sci., 36(13), p. 3089-3095 (2001)
【非特許文献10】Synth. Met., (102), 685 (1999)
【非特許文献11】P N Adams et al., "A new acid-processing route to polyaniline films which exhibit metallic conductivity and electrical transport strongly dependent upon intrachain molecular dynamics", J. Phys. Condens. Matter, 10, p. 8293-8303 (1998)
【非特許文献12】Synth. Met., 84, p. 45-49 (1997)
【非特許文献13】Herbst/Hunger, "Industrielle Organische Pigmente", VCH (1987)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の目的は、導電性ポリマまたは有機金属の一次粒子を配向(整合)させる可能性を作り出すこと、すなわち、そのような形状に適した形態を持つ導電性ポリマまたは有機金属を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的は、本発明によれば、固有導電性ポリマまたは有機金属であって、100nm未満の粒径を持つ同ポリマから作られたナノスケールの粒子は異方性形態を有し、この異方性形態は球形形態から外れ、長さ/直径(“L/D”)比が1.2より大きいことを特徴とする固有導電性ポリマまたは有機金属により達成される。
【0022】
塗膜、箔またはシートにさらに加工される前に、本発明に係るポリマ粒子は、一般的に安定な分散液の形で得られ、この分散液は、少なくとも固有導電性ポリマの粒子を含有し、粒径が平均(重量で)1μm未満であり、分散剤が室温で液体であるものである。分散剤の除去後、この分散液から形成された層、箔またはシートは一般的に100S/cmより大きな導電率を持つ。
【0023】
本発明の主題は、上記のポリマ粒子の製造方法でもあり、この方法においては、ポリマ粒子が分散液の形状で得られ、以下の順序による。
(a) 固有導電性ポリマがモノマから調製され、重合中温度が出発温度より1℃以上の数値より高くならないように制御され、
(b) 段階(a)の生成物は、導電性ポリマと比較して不活性である非導電性非重合極性物質の存在下、必要であれば非導電性ポリマの存在下、充分な剪断力を適用して粉砕および/または分散され、この際、上記導電性ポリマと上記極性物質との重量比は2:1〜1:10であり、段階(b)の生成物は250℃より低い温度、好ましくは180℃より低い温度、特に好ましくは100℃より低い温度でいっそうの分散剤中で分散されてもよく、この際、上記導電性ポリマと上記分散剤との重量比は1:10より小さく、非導電性ポリマの存在下に分散を実施する場合、温度は上記の限度を超えず、上記非導電性ポリマのガラス転移点より5℃〜最大80℃高い。
【0024】
この方法は、粒子が本発明で望まれる形態を獲得するように実施され、この事実は走査トンネル顕微鏡法または原子間力顕微鏡法および透過型電子顕微鏡法のような分析法により確認できる。
【0025】
驚くべきことに、光学的に活性の対イオンも重合中に使用できる。そのような対イオンの例は、D−またはL−樟脳スルホン酸、アミノ酸、または例えば光学的に活性の置換された芳香族スルホン酸(例えばパラスルホフェニルアラニンのような)である。
【0026】
本発明の主題は、上記のような、または上述の方法により得られたような分散液の、導電性を持つ付形部品(成形品)、自立箔または塗膜の製造への使用である。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施形態は従属請求項から派生する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本願で用いた“導電性ポリマ”という用語は、冒頭で述べたように、固有導電性ポリマといわゆる有機金属との両方を含む。
【0029】
本願において“一次粒子”とは、導電性ポリマの分散液中孤立して生じるか、または導電性ポリマの走査または透過型電子顕微鏡において認められる、最小の形態学的単位、すなわち、超分子構造単位を意味する。
【0030】
“二次粒子”または“二次構造”とは、高次構造(二次および三次構造)を意味し、一次粒子同士の累積(凝集)から生じる。“凝結体”とは、合体によりもたらされ、一次粒子同士の物的な橋により安定化された集合体を表す。したがって、“凝集体”とは、一次粒子同士の実質的に点状の接点からなる合体物を意味するだけである。凝集体は支持体中で破壊され、一次粒子として分散されることがあるが、凝結体の場合、これは化学結合の分解なしには起こらない。この限界設定は、顔料技術において慣用であり(上記非特許文献13参照)、本論中でも用いられている。この技術分野における従来技術は、常に上記の限界設定に留意するとは限らないが、特に区別することなく“凝集体”について述べている、ということを特に念頭に置くべきである。
【0031】
したがって、本発明により達成された成功は、特に次の理由から驚くべきことと思われる。すなわち、分散方法はそれ自体好ましい方向を持つものではないので、球形形態(粗状態では、第一の分散段階より前、重合の直後に存在する)から逸脱する形態が生じることは予想されないことである。さらに、重合中に用いられる光学的に活性の対イオンは異方性の一次粒子の形成に好都合であるという事実は、極めて驚くべきことである。光学的に活性の対イオンを持つ導電性ポリマは既に記述されているが、逸脱する一次形態はまったく観察されていない。
【0032】
一般的に分散方法はポリマの導電性にとり有害であると考えられているので、本発明により達成された成功は驚くべきことである。導電性ポリマの鎖は分散中にちぎれ、その結果、電子の伝導(これらの鎖に沿っての)は悪化する、とほとんどの専門家は推定している。したがって、従来技術において前述したように、導電性ポリマの真溶液を調製することが試みられている。さらに、分散剤および添加剤の使用も一般的に不都合とみなされている。それらは電子の輸送に対する障壁を作り、強化する可能性があるからである。実際には、本発明に係る方法において、二つの分散段階が好ましい。
【0033】
最後に、本発明に係る方法において、以下により詳細に説明するように、第一の分散段階(段階(b))の後で、必要に応じ実施される第二の分散段階の前に、存在してもよい非導電性ポリマを完全に除去することは実際には必須ではない、ということは驚くべきことと思われる。
【0034】
本発明からは一連の利点が生じる。例えば、導電性またはその他の(特に、光学的または機械的)特性の好ましい方向を達成できること、導電性が増加した(および、必要により機械的負荷運搬能力が増大した)延伸箔および線維を調製できること、さらに、導電性ポリマを異方性の環境で(例えば、電界または磁界中、または異方性構造の支持体中)沈着できること、および、そうする際に特性の向上を達成できること、といったものである。
【0035】
特定の理論に縛られることは望まないが、できるだけ低い温度で実施された分散方法は、流れの方向にほとんど差を作らず、そのため、一次粒子の異方性変形をもたらす可能性のある粒子に作用する力の好ましい方向にほとんど差を作らないので、本発明に係る粒子形態が生じると推定される。重合中に提唱される本発明に係る温度設定プログラムは、その後の異方性付形にとって有利な鎖配列度をもたらす限り、役に立つ可能性がある。光学的に活性の対イオンの使用は、同様の方向に導く可能性がある。
【0036】
本発明に係る導電性ポリマからなる分散液も、安定であるという利点がある。したがって、本発明に係る安定な分散液は、調製の直後または少なくとも短時間後にさらに加工する必要はなく、長期、例えば数時間、例えば5〜10時間、または数日、例えば1〜3日または4〜6日、または数週間、例えば1週間以上から数ヶ月、例えば1ヶ月以上、好ましくは3ヶ月以上、にわたり貯蔵できる。上記の貯蔵の詳細は周囲条件に関係がある。“周囲条件”とは、特に、温度がほぼ室温、すなわち約5〜25℃、であり、圧力がほぼ常圧、すなわち1013kPaであることを意味する。しかしながら、貯蔵場所によっては、上記の事柄はやや逸脱する典型的な周囲条件にも関係することは、当業者には明らかである。
【0037】
本発明に係る固有導電性ポリマまたは有機金属の例は、本明細書の冒頭に挙げたものである。特に以下のものを例として挙げることができる:ポリアニリン(PAni)、ポリチオフェン(PTh)、ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、ポリジアセチレン、ポリアセチレン(PAc)、ポリピロール(PPy)、ポリイソチアナフテン(PITN)、ポリヘテロアリーレンビニレン(PArV)(ここでヘテロアリーレン基は例えばチオフェン、フランまたはピロールであることができる)、ポリ−p−フェニレン(PpP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリペリナフタレン(PPN)、ポリフタロシアニン(PPc)、及びその他、そしてそれらの誘導体(例えば側鎖または基により置換されたモノマから形成されるもの)、それらのコポリマ、およびそれらの物理的混合物。ポリアニリン(PAni)、ポリチオフェン(PTh)、ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、ポリチエノチオフェン(PTT)およびそれらの誘導体が特に好ましい。
【0038】
固有導電性ポリマの好ましい二元混合物は、PAniとPThとの混合物、PAniとPEDTとの混合物、PAniとPPyとの混合物、PEDTとPPyとの混合物、およびPEDTとPThとの混合物である。ポリアニリンはもっとも好ましい。
【0039】
本発明に係る方法の段階(a)において、分散性の固有導電性ポリマ、好ましくはポリアニリン、は一般的に上記特許文献4に記載されたように調製される。特に、上記特許文献4で用いられた定義を参照する。これらの定義は、本明細書中において本発明に係る方法の段階(a)の実施に関しても当てはまる。
【0040】
温度は、重合中、本発明に係る方法の段階(a)において以下のように制御されるのが好ましい。すなわち、上記特許文献4の方法と異なり、重合中、温度は出発温度より1℃以上高い数値より高くならず、また、重合中、温度上昇率は1K/分より大きくはならない。反応は、温度上昇が0.5℃未満であり、温度上昇率が0.2°K/分より大きくはならないように操作されるのが好ましい。
【0041】
温度を制御するのに必要な冷却は、一般的に、少なくとも0.02K/分、好ましくは0.05K/分の冷却率で得ることができる。冷却率は、各々の場合に用いられた反応容器での活性化冷却中の温度変化を反応を開始させずに測定することにより決定される。
【0042】
本発明により段階(a)の後に得られた(中間)生成物は一般的にほぼ5S/cmの導電率を有する。
【0043】
段階(a)の中間生成物は一般的に粉末として生成され、一次粒子の80重量%は500nmより小さく、20重量%以下は1μmより大の凝結体に凝結している。これは、乾燥固形物の走査電子顕微鏡写真およびポリマブレンド中の分散液の光学顕微鏡検査から判る。
【0044】
それらの一次粒子形態は、実質的に球形であり続ける。
【0045】
光学顕微鏡検査は、本発明に係る固形物を直接または濃縮させて被検ポリマ中に密閉式混合機を使って分散させることにより行われる。PCLまたはPVCが被検ポリマとして適している。分散される物質の濃度は通常0.5重量%である。混合物を押し出して薄膜を形成する。本発明に係る原料では、均一に強く色づけられた半透明の物質が認められ、この色は分散された一次粒子に由来する。また、0.5〜1μmの非分散粒子と個々の粗大粒子が認められる場合もある。
【0046】
重合および処理後、得られたポリマが既に完全に乾燥しているか否かは重要でなく、本発明に係る段階(b)においては、同ポリマが非重合極性物質の存在下に分散されるか、または同物質と共に粉砕される。この極性物質(“分散助剤”とも呼ばれることがある)は以下の特性を持つ:

・ 30ダイン/cmより大の表面張力を持ち、
・ 導電性がなく(すなわち、10-6S/cm未満の導電率を持ち)、
・ 液状か固形状であることがあり、
・ 導電性ポリマに比べ不活性であり、すなわち、同ポリマとの有意な化学反応に参加せず、とりわけ、酸化的または還元的反応および酸−塩基反応は望ましくなく、
・ 通常条件下では、必ずしも分散助剤ではなく、界面活性剤の材料群には属さない。
【0047】
そのような極性物質の例は以下の通りである:
a) 固体: 硫酸バリウム;二酸化チタン、特に300nm未満の粒径を持つ超微細二酸化チタン;ピグメントイエロー18のような有機顔料;
b) 不活性溶媒: 水、DMF、DMSO、γ−ブチロラクトン、NMPおよびその他のピロリドン誘導体、例えば、n−メチル−2−ピロリドン、ジオキサン、THF;
但し、上記の列挙は例示のためであり、本発明を限定するものではない。
【0048】
上記極性物質を伴う分散または粉砕は一般的に、高速ミキサー(例えばいわゆる流動ミキサー)のような分散装置中で、または超音波下で、またはボールミル、ビーズミル、二本または三本ロールミル、または高圧分散装置(マイクロフルイディクスタイプ)において実施できる。
【0049】
高速ミキサー中または超音波下での加工時間は少なくとも3分間である。ボールミル中、二本または三本ロールミル上、または高剪断力を持つ他の装置中では、より長い処理時間、例えば少なくとも30分間の処理時間が必要である。同時に、電界、特に整流電界を用いると有利なことがある。この場合、ほとんどの状況で24時間より長時間が必要となる。
【0050】
固有導電性ポリマに比べ不活性の極性非導電性物質は、導電性ポリマ粉末と極性物質との重量比が2:1〜1:10となる量で用いられる。
【0051】
段階(b)を実施する際、少なくとも非導電性ポリマ、特に熱可塑性ポリマも存在するのが好ましい。例えば、Eastman Kodak社またはDegussa社から市販されているポリエチレンテレフタレート共重合体、またはDegussa社から入手されるポリメチルメタクリレート(PMMA)が使用できる。熱可塑性ポリマが存在すると、分散が高い剪断下、250℃未満、好ましくは180℃未満、特に好ましくは100℃未満の温度で、同時に上記非導電性ポリマのガラス転移点より5〜80℃高い温度で行われることが必要である。
【0052】
冷却後、固体混合物、すなわちポリマブレンド、が得られる。これは、導電性ポリマ、極性物質、必要に応じ非導電性ポリマからなる、室温で固体の段階(b)で生成された組成物の成分に対して20〜60重量%、好ましくは約35重量%の導電性ポリマを含有している。段階(b)を実施した後、導電性ポリマは一般的に約60S/cmの導電率を有する。
【0053】
段階(b)の後、添加された極性、不活性および非導電性物質または同様に存在する非導電性ポリマは洗浄または抽出により部分的にまたはほぼ完全に除去できる。この二次処理段階は、上記段落で記載したような段階(b)の終了後に行うのが好ましい。あるいは、二次処理は既に段階(b)中から開始することもできる。
【0054】
二次処理(段階(b)の生成物の状態調整とも呼ばれ、必要に応じさらに行われる以後の分散段階でもある)の目的は、段階(b)の生成物を必要に応じ行う次の分散段階に備えさせる(状態調整する)ことである。洗浄または抽出には最も広範な物質が使用できる。例えば、芳香族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、例えばキシレン、トルエン、エタノール、イソプロパノール、クロロベンゼン、ジイソプロピルエーテル等である。以後の分散段階を支える溶媒および助剤も使用できる。これらは、例えばキシレンまたはクロロベンゼンおよびドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)でよい。
【0055】
段階(b)の生成物の二次処理中、生成物中の導電性ポリマの比率は、室温で固形の生成物成分に対し少なくとも5重量%、好ましくは10重量%、特に20重量%増加されるのが好ましい。
【0056】
あるいは、例えば、いっそうの加工および導電性ポリマの使用が添加された物質の存在により妨害されない場合、極性物質または熱可塑性ポリマを減少もしくは除去させずに、加工を続けることができる。ポリマ粉末の導電性は、極性物質または熱可塑性ポリマの存在により損なわれることはない。
【0057】
段階(b)と二次処理の後に達成される導電性ポリマの好ましい濃度は、組成物全体に対し45〜99重量%、好ましくは55〜70重量%である。例えば、段階(b)の生成物は、二次処理で用いた溶媒または助剤の比率が比較的高い湿潤なペーストであることができる。また、本発明に係る方法のいっそうの分散段階を実施する前に二次処理中に用いた物質のほとんどを除去することは、本発明にとり必須ではない。但し、これは、産業界の慣行においては有利なことがある。
【0058】
本発明に係る方法のいっそうの分散段階は、有機または水性媒体(分散剤)中で行われる分散であり、一般的に室温で、またはごくわずかに異なった温度で実施される分散である。分散集合体として、系中に高い分散エネルギーを導入できるような機械を考慮できる。これらの機械は例えば、Ultraturrax、Disolver、ビーズミル、ボールミル、Microfluidics型のような高圧分散装置、または超音波システムのような装置であることができる。分散時間は数分間、例えば20分間、から数時間まで、例えば1〜3時間、例えば2.5時間であることができる。
【0059】
分散剤として特に適しているのは、少なくとも25mN/mの表面張力を持つ溶媒である。本発明に係る分散剤は室温で液状であり、特に10,000未満、例えば5,000未満、特に1,000未満の相対粘度を持つ。
【0060】
本発明に係る分散剤の例は、キシレン、クロロフェノール、ジクロロ酢酸、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、オクタノール、ベンジルアルコールまたは高級アルコール類、例えばパラフィン系または芳香族のC9−C20アルコール類、またはこれらの混合物である。
【0061】
上記分散剤は、固有導電性ポリマに対し分散剤が過剰(重量比)であるような量で本発明に係る方法の段階(b)の生成物に添加される。特に、導電性ポリマと分散剤との重量比は1:10より小さい、好ましくは1:15より小さい、例えば1:18である。
【0062】
一般的に、この分散段階の生成物として、分散液全体に対し一般的にほぼ10重量%以下の導電性ポリマ濃度を持つ、高粘度ペースト、または液状低粘度分散液が得られる。この分散段階の後に得られる分散液は、状態調整の程度に応じ、段階(b)で用いられた極性物質および非導電性ポリマを低い比率で含有するのが好ましい。
【0063】
導電性を有する成形品、自立箔または塗膜を製造する際、本発明に係る分散液の使用を準備するには、最後に記載した分散段階の後、またはこの分散段階中に助剤と添加剤を添加することができる。これらの助剤と添加剤は、例えば粘度調整剤、湿潤剤、ワニス結合剤のようなマトリックスポリマ、皮膜形成物質、安定剤、湿潤助剤、蒸発促進剤または蒸発遅延剤のような蒸発調整剤、またはいっそうの助剤と添加剤でよい。これにより、生成物のいっそうの付形および特性にとり有用または決定的な成分の全てを含有する安定な分散液が得られる。
【0064】
二次処理および配合を含めた分散後に得られた分散液は、次に必要に応じいっそうの分散および二次処理工程を実施した後、導電性を持つ付形部品(成形品)、自立箔、または最も可変の層厚さを持つ塗膜の調製(付形)に使用できる。
【0065】
付形は、浸漬、滴下による湿潤、噴霧、スピンコーティング、印刷(例えばシルクスクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット、その他)、押出、流延、ナイフコーティング、エレクトロスピニング、その他のような一連の工程を経て行うことができる。付形は、浸漬、流延、滴下湿潤、スピンコーティング、または印刷により実施するのが特に好ましい。
【0066】
分散液を除去した後、このようにして得られた層、塗膜、箔、シートまたは他の付形部品または要素は、100S/cmより大、好ましくは少なくとも200S/cm以上、例えば250S/cmより大、特に少なくとも500S/cm、例えば200〜200,000S/cm,200〜20,000S/cmまたは500〜10,000S/cm、例えば300〜3,000または500〜1,000S/cmの導電率を持つ。
【0067】
さらに、本発明に係る分散液の粒子は、例えばポリアニリン(p−トルエンスルホン酸を“投入”)についてのX線回折像が鋭い反射を示さないことを特徴とし、さらに、2θ=約3°で反射が見られ、本発明に係る分散液からのポリアニリンの場合、この反射は2θ=約19°での広い反射に比べ高い強度を示すことを特徴とする。これに比較すると、段階(a)からの“粗”粉末はそこにピークを示さないか、または極めて弱い強度を示すだけである。他方、段階(b)に係る第一の粉砕/分散方法後のポリアニリンは明らかな反射を示すが、これは約19°でのピークに比べ弱い。
【0068】
第二の分散後、および本発明にしたがい実施されるので100S/cmより大きな導電率を与える分散についてだけ、この反射は明らかに最強であり、他の反射は導電性が増加するにつれて増々弱くなる。
【0069】
さらに、原子間力顕微鏡検査においては、一次粒子は明らかにもはや球形ではないが、約2のL/D比、約8〜11nmの長さ、約4nmの幅を持つことが判っている(図6参照)。
【0070】
等方性粒子形態を持つ導電性ポリマ/有機金属と異なり、例えば液状−結晶状(低または高分子)物質のような異方性媒体からの付形、または異方性電界および/または磁界または配向され、あるいは事前に構造化された配向支持体(HOPG、延伸配向したポリプロピレンまたは他のプラスチック箔、好ましくは一軸延伸箔等)の影響下での付形が今や可能となり、有用であり、異方性を持つ付形(成形)部品や表面塗膜の作成ができる。したがって、本発明に係るポリマ粒子を配向支持体(例えば配向ポリプロピレン)に沈着することにより、約1,000S/cm以上の導電率が達成される。これに比べ、等方性支持体(例えばガラス)への同分散液からの沈着の場合、約300S/cmの導電率が達成される。
【0071】
帯電防止または導電性塗膜、透明および不透明電極、EMI遮蔽に適したワニス、エレクトロニクスにおける接点、または電界効果トランジスタにおける“ソース”、“ドレイン”または“ゲート”は、付形といっそうの加工により製造でき、アンテナ、発振回路、論理回路、導体、またはコンデンサ、電解コンデンサ、またはいわゆる“スーパーコンデンサ”における対向極も同様である。従来の金属、電極の高ドープ半導体、酸化還元活性塗膜により従来の電気工学およびエレクトロニクスで発揮される機能のような多くの機能が発揮できる。
【0072】
乾燥により、または上記の付形方法のいずれかを実施することにより実現できる製品であって、本発明に係る分散液から入手できる導電性ポリマを含有する製品は、本発明の実施形態の一つである。上記の製品は実質的に導電性ポリマからなるのが好ましい。
【0073】
新規の一次粒子形態は、一般的に高い導電性に起因して多くの用途に興味深い利点をもたらし、ただ1つの好ましい方向において慣用されている場合よりも高い導電性でよいことは不利ではない(例えば、EMI遮蔽において、導電性が等方性に高いか異方性に高いかは重要でなく、導電性はそのままで遮蔽の効率にとり決定的である)。
【0074】
“ソース”、“ドレイン”および“ゲート”は従来慣用の導電率でも可能であるが、有機電界効果トランジスタへのリード(“直接接続”)およびそれらの配線は気相蒸着金属で実施される、ポリマエレクトロニクスにおいて、新規の形態は幾つかの用途について導電性ポリマの使用をはじめて可能にするものである。導電性ポリマ/有機金属の使用も、“直接接続”の方向における導電性の増大を通してはじめて実現するものである。
【0075】
以下の用途が実例として挙げられよう:
・ 電気導体(例えば電気接点、電気リード、押しボタンスイッチ、電極等)または半導体として、
・ 静電負荷に対する防御として、
・ 電磁波を遮蔽するため(EMI遮蔽)、
・ マイクロ波を吸収するため(遮蔽または加熱の目的で)、
・ コンデンサを製造するため、または電解コンデンサにおける電解質の代わりとして、
・ いわゆる“スーパーコンデンサ”における電極または電極成分として(このタイプのコンデンサは二層コンデンサ(DLC)とも呼ばれ、カーボンブラックおよび/またはグラファイトに基づくことが多い電気的二層の形成を特徴とする。“電気化学的二層コンデンサ”という用語も英語で使われることが多い)、
・ ダイオード、トランジスタその他のような半導体部品を製造するため、
・ 光導電体として、または光起電エネルギー変換において、
・ 金属または半金属を含む組成物において、または熱電作用を温度センサ(IR吸収)として利用する様々な導電性ポリマを含む組成物において、または熱起電エネルギー変換において、
・ センサとして、
・ 例えばエレクトロクロミズム、マイクロ波吸収、熱電力等による表示器として、
・ 電気分解または電気合成法において電極触媒電極として(例えば燃料電池において)、
・ 光電極触媒作用または合成において、および光起電作用において、
・ 腐食防御において、例えば陽極腐食防御において、
・ 蓄電池における電極として、
・ UVおよび光に安定な顔料として、
・ 電界ルミネセンスアレイにおける電極またはリードとして(例えば、不透明ないわゆる“バック電極”として、または透明ないわゆる“フロント電極”として)、
・ 正孔注入層または陽極緩衝層として、または有機/重合発光ダイオードまたは太陽電池における透明陽極として。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、走査トンネル顕微鏡写真であり、大きさが約10μmのポリアニリンの球形一次粒子の凝集物を示す。
【図2】図2は、透過型電子顕微鏡写真であり、約100〜150μmの大きさを持つポリアニリン二次粒子の構造であって、約10μmの大きさの球形一次粒子の微細構造を持つ構造を示す。
【図3】図3は、ポリアニリン分散液から流延され、その後に乾燥された箔であって、球形一次粒子からなる箔の走査電子顕微鏡写真である。乾燥後、球形の二次または三次形態も存在していることが判る。
【図4】図4は、キシレンに基づく分散液から沈着させたポリアニリン粒子の透過型電子顕微鏡写真であり、無定形の乾燥残渣に加え、球形の一次および二次粒子を示している。
【図5】図5は、高解像度透過型電子顕微鏡写真であり、ポリアニリンの分散液から沈着させた、互いの上に堆積した一次粒子を示している。
【図6】図6は、本発明に係る形態を持つ、互いに沿って並んだポリアニリン一次粒子の原子間力顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ポリマであって、
100nm未満の粒径を持つ上記ポリマから作られたナノスケールの粒子は異方性形態を有し、上記異方性形態は球形でなく、長さ/直径(“L/D”)比が1.2より大きい、
ことを特徴とする導電性ポリマ。
【請求項2】
分散剤の除去後、上記ポリマの分散液から形成された層、箔またはシートは100S/cmより大きな導電率を持つ、
ことを特徴とする請求項1のポリマ。
【請求項3】
導電率が200S/cmより大きいか、またはそれと等しい、
ことを特徴とする請求項2のポリマ。
【請求項4】
導電率が300S/cm〜3,000S/cmである、
ことを特徴とする請求項3のポリマ。
【請求項5】
上記ポリマがポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエノチオフェン、ポリピロール、これらのポリマのモノマのコポリマ、およびこれらのモノマの誘導体から得られるポリマまたはコポリマからなる群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかのポリマ。
【請求項6】
上記ポリマが分散液中に存在し、分散剤が10,000未満の相対粘度を持つ、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかのポリマ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかのポリマの製造方法であって、以下の順序によることを特徴とする方法。
(a) 固有導電性ポリマがモノマから調製され、重合中温度が出発温度より5℃以上の数値より高くならないように制御され、
(b) 段階(a)の生成物は、上記導電性ポリマと比較して不活性である非導電性非重合極性物質の存在下、必要であれば非導電性ポリマの存在下、充分な剪断力を適用して粉砕および/または分散され、この際、上記導電性ポリマと上記極性物質との重量比は2:1〜1:10であり、段階(b)の生成物は250℃より低い温度でいっそうの分散剤中で分散されてもよく、この際、上記導電性ポリマと上記分散剤との重量比は1:10より小さい。
【請求項8】
段階(a)において、光学的に活性の対イオンが重合中に使用される、
ことを特徴とする請求項7の方法。
【請求項9】
段階(b)の生成物は180℃より低い、特に100℃より低い温度でさらに分散される、
ことを特徴とする請求項7または8の方法。
【請求項10】
分散は非導電性ポリマの存在下に実施され、温度は上記非導電性ポリマのガラス転移点より5℃〜最大80℃高い、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかの方法。
【請求項11】
重合中、段階(a)の温度上昇率は1K/分より大きくならない、
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかの方法。
【請求項12】
上記非導電性ポリマは熱可塑性ポリマである、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれかの方法。
【請求項13】
段階(b)の生成物は二次処理に付される、
ことを特徴とする請求項7乃至12のいずれかの方法。
【請求項14】
段階(b)の生成物中の極性物質または非導電性ポリマの比率は、二次処理中に洗浄または抽出により低下される、
ことを特徴とする請求項13の方法。
【請求項15】
必要に応じて行う以後の分散段階を支える溶媒および/または助剤が添加される、ことを特徴とする請求項7乃至14のいずれかの方法。
【請求項16】
第二の分散の生成物は二次処理に付される、
ことを特徴とする請求項7乃至15のいずれかの方法。
【請求項17】
必要に応じ行われる以後の付形工程を支える粘度調整剤、湿潤剤、マトリックスポリマ、安定剤、湿潤助剤、蒸発調整剤、および/または他の助剤および添加剤が添加される、
ことを特徴とする請求項7乃至16のいずれかの方法。
【請求項18】
第二の分散段階前または第二の分散段階中に添加が行われる、
ことを特徴とする請求項17の方法。
【請求項19】
段階(b)の生成物の二次処理中および/または第二の分散段階中、25mN/mより大きな表面張力を持つ有機溶媒が用いられる、
ことを特徴とする請求項13乃至18のいずれかの方法。
【請求項20】
導電性を有する付形部品、自立箔または塗膜の調製への、請求項1乃至6のいずれかの分散液、または請求項7乃至19のいずれかの方法にしたがい調製された分散液、の使用。
【請求項21】
付形部品、自立箔または塗膜は電極、アンテナ、重合電子部品、コンデンサ、および二層コンデンサ(DLC)である、
ことを特徴とする請求項20の使用。
【請求項22】
付形は異方性材料および/または異方性の界において行われ、沈着は異方性支持体上になされる、
ことを特徴とする請求項20または21の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−531797(P2008−531797A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557419(P2007−557419)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/001872
【国際公開番号】WO2006/092292
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(504224957)オルメコン・ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】