説明

異物回収装置

【課題】 取扱いが容易であるとともに、燃料棒を傷つける可能性を格段に減少させる異物吸引回収装置の提供。
【解決手段】 回収ストレーナを介して吸引用水中ポンプに取り付け自在な吸引パイプと、該吸引パイプの先端に設けられた吸引部と、前記吸引パイプに軸方向摺動自在に装着され内部に燃料棒容器取っ手部を収納自在な取っ手収納ガイドとを備えた異物回収装置であって、前記取っ手収納ガイドには、該取っ手収納ガイドの摺動を規制して任意の位置でロックし、かつ、該取っ手収納ガイド内に燃料棒容器取っ手部が収納されることによりそのロックが解除されるロック部が連設されていることを特徴とする異物回収装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物吸引回収装置に関し、更に詳細には、原子力発電所の燃料棒容器上部等、人間が立ち入れない部分で異物を回収するための異物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の燃料棒容器上部に異物が発見された場合、それを回収するため、従来は水中ポンプ、ストレーナおよび吸引部をホースで接続し、燃料プールに沈め、操作ポール等を用いて吸引部を燃料棒容器上部に近づけ吸引回収していた。
【0003】
かかる従来の異物回収作業は、吸引部を遠隔操作しなければならず熟練を要する作業であり、準備作業、回収作業および片付けに多大な労力を要していたため、簡易で取扱いの容易な異物回収装置が求められていた。そこで、本出願人は、上記課題を解決すべく、水中ポンプを内蔵した容器とストレーナおよび吸引部とを一体化させ、さらに、前記吸引部内に燃料棒容器取っ手部を収納するガイドを設け、燃料棒容器の取っ手をガイドにして燃料棒容器上部に装着するようにした装置を考案した(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、この方式の場合、該装置の吸引部が燃料棒取っ手ガイドより下に位置するため(特許文献1図4)、燃料棒取っ手ガイド内へ燃料棒取っ手部を挿入する操作のとき、吸引部を該取っ手部に接触させて傷つけることが懸念された。
【0005】
また、特許文献1に記載の異物吸引回収装置は燃料交換プラットホームに常設の補助ホイストにより吊り降ろし使用するが、吊り降ろし後、燃料棒取っ手収納ガイドを燃料取っ手部に合せ、操作ポールなどを用いて異物吸引回収装置を回転させる作業には熟練を要した。また、異物吸引回収装置を上部より吊るすための補助ホイストワイヤを手で保持、回転させることも可能であるが、かかるワイヤが細いため、実際にはかなりの労力を要していた。
【特許文献1】特開2006−284302
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、従来の異物吸引回収装置のかかる欠点を克服し、より簡易で取扱いが容易であるとともに、燃料棒を傷つける可能性を格段に減少させる異物吸引回収装置の提供をその課題とするものである。さらに、異物吸引回収装置を燃料交換プラットホームに常設の補助ホイストにより吊りおろす際に異物吸引回収装置を簡易に操作できる治具の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、回収ストレーナを介して吸引用水中ポンプに取り付け自在な吸引パイプと、該吸引パイプの先端に設けられた吸引部と、前記吸引パイプに軸方向摺動自在に装着され内部に燃料棒容器取っ手部を収納自在な取っ手収納ガイドとを備えた異物回収装置であって、前記取っ手収納ガイドには、該取っ手収納ガイドの摺動を規制して任意の位置でロックし、かつ、該取っ手収納ガイド内に燃料棒容器取っ手部が収納されることによりそのロックが解除されるロック部が連設されていることを特徴とする異物回収装置である。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明の異物回収装置は、取っ手収納ガイドが吸引パイプに対し軸方向に摺動自在に装着されており、取っ手収納ガイド内に燃料棒容器の取っ手部を収納する前は、取っ手収納ガイドが吸引部に対して下に位置しているため、燃料棒容器取っ手部を取っ手収納ガイド内に挿入するにあたり該取っ手部を傷付ける心配なく操作できるものである。
【0009】
また、本発明の異物回収装置は、取っ手収納ガイドの摺動を規制して任意の位置でロックすることができるロック部を備えており、該ロック部は取っ手収納ガイドが吸引部に対して下に位置した状態でロックがかかり、該取っ手収納ガイド内に燃料棒容器取っ手部が確実に収納されることにより初めてそのロックが解除される。したがって、確実に燃料棒容器上部に吸引部を装着できる。
【0010】
さらに、本発明の異物回収装置で、吸引パイプに取っ手収納ガイドの軸方向への摺動を規制するストッパーが設けられている態様のものは、取っ手収納ガイドに対する吸引パイプおよび吸引部の下降の下限をかかるストッパーにより設定できるため、誤って異物回収装置を下降させ過ぎて、燃料棒等を破損するおそれがない。
【0011】
さらに、本発明の異物回収装置用操作治具は、2枚の押さえ板によって異物回収装置を吊るす補助ホイストワイヤを挟持し、該押さえ板に設けられたハンドルを把持して該ワイヤを容易に回転させることができるため、異物回収装置を容易に遠隔操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の異物回収装置および異物回収装置用操作治具の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0013】
図1および図2は、いずれも本発明に係る異物回収装置の側面図であり、図3および図4は、いずれも本発明に係る異物回収装置の正面図、図5は本発明に係る異物回収装置の底面図である。図中、1は吸引パイプ、2はパイプガイド、3はロック部、4は取っ手収納ガイド、11は吸引部、12はストッパー、13はストッパー、14は係止凹部、41は取っ手収納ガイド開口部、42は収納ガイド孔部、111は吸引開口部、7は回収ストレーナをそれぞれ示す。
【0014】
図1ないし図4に示すように、筒状の吸引パイプ1は吸引用水中ポンプ(図示せず)へ連接する回収ストレーナ7の底面より垂下して取り付けられている。そして、吸引パイプ1には、その先端に吸引部11が設けられ、吸引部11の上部には吸引パイプ1周壁よりストッパー13が凸設している。さらに、吸引パイプ1の回収ストレーナ7側には吸引パイプ1周壁よりストッパー12が凸設し、ストッパー12とストッパー13間には筒状のパイプガイド2が吸引パイプ1に対し軸方向に摺動自在に環装されている。また、パイプガイド4の前面にはロック部3が設けられており、その下部にはロック部3に連接するように取っ手収納ガイド4が設けられている。
【0015】
パイプガイド2は、吸引パイプ1に環装が可能な形状であればよいが、例えば、図6に示すように、その内周面に溝部21を形成し、吸引パイプ1には溝部21に嵌合可能なリブを形成し、互いにスプライン嵌合すれば、摺動させた場合に吸引パイプ1に対してパイプガイド2が回転することがないため好ましい。
【0016】
取っ手収納ガイド4は、断面コの字形状に形成された2つの部材を互いにその凹部分を内向きに対向させてパイプガイド2の下部に設けるとともに、該コの字状部材のおそよ下半分を裾広がりとなったスカート形状に形成している。そして、その下端には取っ手収納ガイド開口部41を設け、ここより燃料棒容器取っ手部を取っ手収納ガイド4内へと挿入する。取っ手収納ガイド開口部41は取っ手収納ガイド4がスカート形状に形成されているため、燃料棒容器取っ手部に対しかなり間口が広くなっており、よって、遠隔操作によっても、容易に燃料棒取っ手を挿入することができる。また、取っ手収納ガイド4内の天井面にはロック部3内と連通する孔部42が形成されている。
【0017】
図7は、ロック部3の内部の構造を表した一部切り欠き側面図である。図に示すように、ロック部3の内部にはロックピン31が軸方向に摺動自在に設けられており、ロックピン31の下端は、ロック部3の下部に形成された孔部35および孔部35に連通する取っ手収納ガイド4の孔部42より取っ手収納ガイド4内へ突出自在に設けられている。また、ロックピン31の上端は、ロック部3の上部に形成された孔部36より外部へ突出している。ロックピン31は、上部311がその下部313よりも太い外径に形成されており、上部311と下部313との間にはテーパー部312が形成されている。さらに、テーパー部312の近傍の上部311には、フランジ315が形成されており、フランジ315と孔部36との間にはスプリング33が設けられており、ロックピン31を下方向へ付勢している。
【0018】
また、ロック部3の周壁であって、吸引パイプ1に接する側には、ロック部内部と連通する保持孔部34が形成されており、該保持孔部34にはロックボール32が遊嵌されている。図7の状態では、ロックピン31がバネ33により付勢され最下位置にあり、ロックボール34はロックピン31の上部311外周面に接した状態となっている。この状態において、上部311の外周面からロック部3の外周壁までの距離がロックボール34の直径よりも小さくなるように形成されているため、ロックボール34はロックピン31によって吸引パイプ1方向へ押圧されて、その一部がロック部3外部より突出する。そして、突出したロックボール34は、吸引パイプ1の外周面に設けられた係止凹部14に係合する。この状態でロックがかかり、ロック部3に連接する取っ手収納ガイド4の軸方向の摺動は規制されることとなる。
【0019】
次に、ロック部3のロックが解除し、また、ロックされるときの動作について説明する。図8は、取っ手収納ガイド4内に燃料棒容器取っ手部81を完全に挿入した状態を示す。この状態で、ロックピン31の下端部314は取っ手部81の上部に当接し、ロックピン31は上方向へ押し上げられる。ここに至って、ロックボール34はロックピン31の下部313の外周面に接した状態となっている。そして、ロックピン31の下部313は、上部311と比べて小さい外径に形成されており、下部313の外周面からロック部3の外周壁との間にもロックボール34の直径に対して遊びができるため、ロックボール34は、吸引パイプ1方向への押圧から開放されてロック部3内部方向へ収納される。その結果、ロックボール34の係止凹部14への係合が外れてロックが解除され、ロック部3に連接する取っ手収納ガイド4は、吸引パイプ1に対し、軸方向の摺動が可能となる。
【0020】
図9は、ロック部3がロックされるときの状態を示す。図に示すように、係止凹部14と保持孔部34との位置が一致する位置に取っ手収納ガイド4がある状態で、取っ手収納ガイド4から燃料棒容器取っ手部81を外すと、取っ手部81の上部に当接し上方向へ押し上げられていたロックピン31は、スプリング33の付勢力により下方向へと移動する。ロックピン31にはテーパー部312が形成されているため、ロックピン31が下方向へと移動する過程で、ロックボール34のロックピン31に対する相対的な位置は、下部313から上部311へと変化する。ロックボール34の位置がテーパー部312から上部311へ移る際に、ロックボール34は吸引パイプ1方向へ押圧され、最終的に、図7に示すようにロックピン31が最下位置の状態に戻り、再び、ロックボール34は、吸引パイプ1の外周面に設けられた係止凹部14に係合する。
【0021】
以下では、本発明の異物回収装置を燃料棒容器上部に装着する際の一連の操作について説明する。まず、吊ワイヤによって異物を回収する対象となる燃料棒容器8の上部に、異物回収装置を移動する。そして、取っ手収納ガイド4内に燃料棒容器取っ手部81が挿入されるように、異物回収装置を下降していく(図10)。ここで、取っ手収納ガイド4の下部は裾広がりとなったスカート形状に形成されているため、取っ手部81に対し多少位置が左右前後しても最終的には取っ手収納ガイド4内に収納することができる。
【0022】
異物回収装置を下降し、取っ手収納ガイド4内に燃料棒容器取っ手部81が完全に収納されると、ロック部3のロックピン31は取っ手部81によって上方向へ押し上げられ、よってロック部3のロックが解除される。ここで、取っ手収納ガイド4は吸引パイプ1に対し上方向へ摺動が可能となるので、この状態で、異物回収装置をさらに下降させると、取っ手収納ガイド4は取っ手部81を完全に収納した位置からさらに下降できないため、パイプガイド2に対し摺動が可能な吸引パイプ1のみがさらに下降を続ける。そして、吸引パイプ1の上部側にはストッパー12が設けられているため、パイプガイド2の上端部にストッパー12の下端部が接した時点で吸引パイプ1の下降は規制されることとなる(図11)。ここで、吸引部11は燃料棒容器上に適切に配置されているため、後は、吸引用水中ポンプ(図示せず)を作動させれば異物を回収することができる。ストッパー12の位置は、任意に設定することができるが、吸引部11の下端と燃料棒の上面との間に適当な空間を残して吸引パイプ1の下降が止まるように設定すると、下降の際、吸引部11によって誤って燃料棒部を傷付けるおそれもなくなるため好ましい。
【0023】
異物回収作業が終了し、異物回収装置を回収するには、まず、吊ワイヤによって異物回収装置を引き上げる。上昇を開始した当初は、取っ手収納ガイド4は取っ手部81を完全に収納した位置から移動せず、パイプガイド2内で摺動が可能な吸引パイプ1が上昇を続ける。そして、吸引パイプ1の下部側にはストッパー13が設けられているため、パイプガイド2の下端部にストッパー13の上端部が接した時点で取っ手収納ガイド4も吸引パイプ1とともに引き上げられ、ロックピン31の下端部が燃料棒取っ手部81の上部から離れる。ここで、吸引パイプ1の外周面に設けられた係止凹部14とロック部3保持孔部34との位置が一致しており、ロックピン31が内部のスプリング33により下方向へ押し下げられることで、ロックボール34は係止凹部14に係合し、ロック部3は再びロックされることになる。
【0024】
図12は、異物回収装置の吸引パイプの異なる実施態様のものである。この吸引パイプは可撓性のある蛇腹状の吸引パイプ5の先端部に吸引部51を設けている。吸引パイプ5の内部にはホース53が挿入加工されており、これによって吸引パイプ5の内面が滑らかになり、例えば針金などを吸引した場合、蛇腹の凹凸部に引っ掛かるのを防止できる。また、吸引パイプ5は長いものを使用すれば吸引部51側を自在に曲げることができ、様々な箇所に吸引を可能にする。さらに、吸引部51先端部には着脱可能なストレーナ52を装着することができ、例えば高線量で水中から気中に引き上げられない異物があった場合、ストレーナ52を装着し異物を吸引すると、異物はストレーナ52に張り付いた状態となる。したがって、異物吸引状態で吸引部51を移動させ、水中に用意した容器に吸引部を挿入し、吸引を停止するとストレーナ52に張り付いていた異物は落下し、水中の容器に回収することができる。
【0025】
図13は、本発明の異物回収装置の操作に用いる治具の斜視図、図13は同平面図である。図中、61は押さえ板、62は回転押え板、63はねじ部、64はロックナット、611はハンドル、621は係合凹部、631は点付け溶接部、9は補助ホイストワイヤをそれぞれ示す。図に示すように、押さえ板61には2箇所のねじ部63が突設され、そのうち、一のねじ部63には回転押え板62が回転自在に取り付けられている。それぞれのねじ部63にはロックナット64が螺着されており、さらに、押さえ板61にはハンドル611が設けられ、回転押え板62にはねじ部63に係合自在な凹部621が設けられている。
【0026】
本発明の治具は以下のようにして使用する。まず、回転押え板62を上方向へ回転させて押さえ板61の中央に形成された溝部612にワイヤ9をあてがう。次に、回転押え板62を下方向へ回転させ、同じく回転押さえ板62の中央に形成された溝部622にワイヤ9をあてがうとともに、係合凹部621をねじ部64に係合させる。そして、2箇所のねじ部64に取り付けられたロックナット64を締め付けることにより2枚の押さえ板同士を固定する。二枚の押さえ板により挟み込まれたワイヤ9はハンドル611を左右方向に振ることにより容易に回転させることができるので、異物吸引回収装置を吊り下げる補助ホイストワイヤを挟み込み、該異物回収装置を遠隔より簡易に操作することが可能となる。
【0027】
ねじ部63の先端部には点付け溶接部631が設けられているため、ロックナット64はねじ部63から取り外し不可能となっている。これによって、ロックナット64を完全に緩めてもねじ部63から脱落することはなく、このような治具から部品などの異物を燃料プール(図示せず)などへ落とすことを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る異物回収装置の側面図。
【図2】本発明に係る異物回収装置の側面図。
【図3】本発明に係る異物回収装置の正面図。
【図4】本発明に係る異物回収装置の正面図。
【図5】本発明に係る異物回収装置の底面図。
【図6】パイプガイドの断面図。
【図7】ロック部の内部の構造を示した一部切り欠き側面図。
【図8】ロック部の動作時の内部の状態を示した一部切り欠き側面図。
【図9】ロック部の動作時の内部の状態を示した一部切り欠き側面図。
【図10】本発明の異物回収装置を燃料棒容器上部に装着する際の操作の状態を示した側面図。
【図11】本発明の異物回収装置を燃料棒容器上部に装着する際の操作の状態を示した側面図。
【図12】異物回収装置の吸引パイプの異なる実施態様のものを示す一部切り欠き正面図。
【図13】本発明の異物回収装置の操作に用いる治具の斜視図。
【図14】本発明の異物回収装置の操作に用いる治具の平面図。
【符号の説明】
【0029】
1 … … 吸引パイプ
2 … … パイプガイド
3 … … ロック部
4 … … 取っ手部収納ガイド
5 … … 吸引パイプ
6 … … 治具
7 … … 回収ストレーナ
8 … … 燃料棒容器
9 … … ワイヤ
11 … … 吸引部
12 … … ストッパー
13 … … ストッパー
14 … … 係止凹部
31 … … ロックピン
32 … … ロックボール
33 … … スプリング
34 … … 保持孔部
35 … … 孔部
36 … … 孔部
41 … … 取っ手部収納ガイド開口部
42 … … 収納ガイド孔部
42 … … 孔部
51 … … 吸引部
52 … … ストレーナ
53 … … ホース
61 … … 押さえ板
62 … … 回転押え板
63 … … ねじ部
64 … … ロックナット
81 … … 燃料棒取っ手部
311 … … ロックピン上部
313 … … ロックピン下部
312 … … テーパー部
314 … … ロックピン下端部
315 … … フランジ
611 … … ハンドル
612 … … 溝部
621 … … 係合凹部
622 … … 溝部
631 … … 点付け溶接部

以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収ストレーナを介して吸引用水中ポンプに取り付け自在な吸引パイプと、該吸引パイプの先端に設けられた吸引部と、前記吸引パイプに軸方向摺動自在に装着され内部に燃料棒容器取っ手部を収納自在な取っ手収納ガイドとを備えた異物回収装置であって、前記取っ手収納ガイドには、該取っ手収納ガイドの摺動を規制して任意の位置でロックし、かつ、該取っ手収納ガイド内に燃料棒容器取っ手部が収納されることによりそのロックが解除されるロック部が連設されていることを特徴とする異物回収装置。
【請求項2】
前記ロック部が、該ロック部周壁に設けられた保持孔部に遊嵌されるとともにその一部が前記保持孔部より突出して前記吸引パイプの外周面に設けられた係止凹部に係合自在なロックボールと、上部がその下部よりも太い外径に形成され、かつ、前記ロックボールと接しながらロック部内で軸方向摺動自在に設けられたロックピンと、該ロックピンを下方向へ付勢する弾性体とを備え、前記ロックピンはその下端部が前記取っ手収納ガイド内に突出自在に設けられ、該取っ手収納ガイド内に燃料棒容器取っ手部が収納されたときに該ロックピン下端部が該燃料棒容器取っ手部の上部に当接することにより該ロックピンが上方向へ押し上げられ該ロックボールの前記係止凹部に対する係合が解除されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の異物回収装置。
【請求項3】
前記ロックボールが、前記ロックピンの上部外周面に接するときは該ロックピンにより前記吸引パイプ方向へ押圧されてその一部が前記保持孔部より突出して該吸引パイプの外周面に設けられた前記係止凹部に係合するとともに、前記ロックピンの下部外周面に接するときは前記吸引パイプ方向への押圧から開放されてロック部内部方向へ収納され前記係止凹部への係合が外れるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の異物回収装置。
【請求項4】
前記吸引パイプが、前記取っ手収納ガイドの前記吸引パイプに対する軸方向の摺動を規制するストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の異物回収装置。
【請求項5】
前記取っ手収納ガイドが、前記吸引パイプに軸方向摺動自在に環装されたパイプガイドを介して前記吸引パイプに装着され、該吸引パイプ外周面と該パイプガイド内周面には互いに嵌合自在なリブおよび溝部が形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の異物回収装置。
【請求項6】
2枚の押さえ板によって異物回収装置を吊るすワイヤを挟持して該異物回収装置を遠隔操作する治具であって、第一の押さえ板には少なくとも2箇所以上のねじ部が設けられ、第二の押さえ板は第一の押さえ板に対し一箇所のねじ部を介して回転自在に取り付けられるとともに、別の箇所のねじ部に係合自在な凹部が設けられ、該凹部を該ねじ部に係合させたうえで、ねじ部に取り外し不可能に取り付けられたロックナットを締め付けることにより2枚の押さえ板同士を固定することを特徴とする異物回収装置用操作治具。
【請求項7】
2枚の押さえ板の少なくとも一方にはハンドル部および挟み込んだワイヤを保持するための保持溝が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の異物回収装置用操作治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−75007(P2009−75007A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245876(P2007−245876)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(591172663)荏原工業洗浄株式会社 (17)