説明

異物検出装置およびエレベータのドア装置

【課題】細長い異物をより正確に検出することができる異物検出装置等を提供する。
【解決手段】異物検出装置18は、第1検出子31と、複数の第2検出子32と、複数の付勢部材33と、回路部34と、通電検出部35と、を備える。第1検出子31は、エレベータの乗りカゴの出入口を開閉するドアの閉じ合わせ面を挟んで一方側に設けられている。複数の第2検出子32は、第1検出子31に対向するように、ドアの閉じ合わせ面を挟んで他方側に設けられ、第1検出子31に沿って並べられている。複数の付勢部材33は、複数の第2検出子32を、第1検出子31側へ向けてそれぞれ付勢している。回路部34は、ドアの閉塞時に第1検出子31に全ての第2検出子32が対接することで通電可能となっている。通電検出部35は、ドアの閉塞時に回路部34が通電状態であるか否かを検出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、異物検出装置およびエレベータのドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒモやロープ、コード類等の細長い異物が、エレベータのドアに挟まれているか否かを検出するドア安全装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−37015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、細長い異物をより正確に検出することができる異物検出装置およびエレベータのドア装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の異物検出装置は、第1検出子と、複数の第2検出子と、複数の付勢部材と、回路部と、通電検出部と、を備える。第1検出子は、エレベータの乗りカゴの出入口を開閉するドアの閉じ合わせ面を挟んで一方側に設けられている。複数の第2検出子は、第1検出子に対向するように、ドアの閉じ合わせ面を挟んで他方側に設けられ、第1検出子に沿って並べられている。複数の付勢部材は、複数の第2検出子を、第1検出子側へ向けてそれぞれ付勢している。回路部は、ドアの閉塞時に第1検出子に全ての第2検出子が対接することで通電可能となっている。通電検出部は、ドアの閉塞時に回路部が通電状態であるか否かを検出している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本実施形態に係るエレベータのドア装置周りを模式的に表した部分平面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るエレベータの異物検出装置を示す模式図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る第1検出子および第2検出子の外観斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る隣接する第2検出子を示す模式図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るエレベータの閉塞動作を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、本実施形態に係るエレベータの開放動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔実施形態〕
図1は、本実施形態に係るエレベータのドア装置周りを模式的に表した部分平面図である。図2は、本実施形態に係るエレベータの異物検出装置を示す模式図である。図3は、本実施形態に係る第1検出子および第2検出子の外観斜視図である。図4は、本実施形態に係る隣接する第2検出子を示す模式図である。図5は、本実施形態に係るエレベータの閉塞動作時における制御の一例を説明するフローチャートである。図6は、本実施形態に係るエレベータの開放動作時における制御の一例を説明するフローチャートである。
【0008】
図1に示すように、本実施形態の異物検出装置18を搭載したエレベータ1のドア装置10は、乗りカゴ5と乗り場6との間の出入口7に設けられている。このドア装置10は、カードア(ドア)15と、ホールドア16と、セーフティシュー17と、異物検出装置18と、連動機構19と、ドア制御部20とを含んで構成されている。
【0009】
カードア15は、乗りカゴ5側に一対設けられており、一対のカードア15は、両開き式となっている。一対のカードア15は、出入口7の幅方向が開閉方向となっており、特に、開閉方向において、一対のカードア15の閉じる方向が閉塞方向となっており、一対のカードア15の開く方向が開放方向となっている。一対のカードア15は、ドア制御部20によって図示しない動力源が制御されながら、開閉動作を行う。各カードア15は、その閉塞方向における先端面が、カードア15同士が当接し合って閉塞する閉じ合わせ面となっている。
【0010】
ホールドア16は、乗り場6側に一対設けられており、一対のホールドア16は、両開き式となっている。一対のホールドア16は、一対のカードア15にそれぞれ対向させて設けられている。一対のホールドア16は、一対のカードア15と同様に、出入口7の幅方向が開閉方向となっている。一対のホールドア16は、一対のカードア15の開閉動作に連動して、開閉動作を行うように構成されている。
【0011】
セーフティシュー17は、エレベータ1の出入口7に、障害物が有るか否かを検出するものである。セーフティシュー17は、各カードア15と各ホールドア16との間に設けられ、また、一対のカードア15の閉塞方向の先端部にそれぞれ設けられている。各セーフティシュー17は、閉塞方向において、前進位置と後退位置との間で進退可能となっている。このため、一対のセーフティシュー17は、一対のカードア15が閉塞動作すると、一対のカードア15に先行して移動する。
【0012】
一対のセーフティシュー17は、一対のカードア15が閉塞動作する場合、それぞれ前進位置にある。一対のセーフティシュー17は、障害物に当たって前進位置から後退位置に移動すると、障害物がある旨の検出信号を、ドア制御部20へ向けて出力する。一方で、一対のセーフティシュー17は、一対のカードア15が閉塞動作する場合、障害物に当たらずに、セーフティシュー17同士が当接する。そして、一対のセーフティシュー17は、一対のカードア15が当接することで、相対的に後退位置に移動すると、障害物がないとして、検出信号をドア制御部20へ向けて出力しない。
【0013】
なお、本実施形態において、カードア15およびホールドア16は、両開き式としたが、片開き式でもよい。この場合、セーフティシュー17は、開閉動作を行う1つのカードア15に設けられる。
【0014】
図1ないし図3に示すように、異物検出装置18は、ヒモやロープ等の細長い異物を検出するものである。異物検出装置18は、第1検出子31と、複数の第2検出子32と、回路部34と、複数の付勢部材33と、支持体36と、通電検出部35と、を含んで構成されている。
【0015】
第1検出子31は、一対のカードア15の閉じ合わせ面を挟んで一方側(図1の左側)に設けられている。第1検出子31は、カードア15の高さ方向(鉛直方向)に長い長尺物であり、カードア15に取り付けられている。このため、第1検出子31は、固定側の検出子となる。なお、本実施形態では、第1検出子31を固定したが、この構成に限らず、第1検出子31を閉塞方向に進退可能な構成としてもよい。
【0016】
また、第1検出子31は、複数の第2検出子32に対接する第1対接面41を有している。第1対接面41は、第1検出子31の閉塞方向における先端面である。第1対接面41には、カードア15の開閉方向において、外側に没入する凹部43が形成されている。この凹部43は、底面となる平坦面43aと、平坦面43aの両側から外側へ向けて広がるように設けられた一対の第1斜面部43bとから構成され、鉛直方向に直交する水平面において台形状に形成されている。そして、この凹部43は、第1検出子31の長手方向(鉛直方向)に延在して形成されている。なお、本実施形態では、凹部43を台形状に形成したが、この形状に限定されない。つまり、凹部43は、少なくとも第1斜面部43bを有していればよく、例えば、円弧形状に形成してもよい。
【0017】
複数の第2検出子32は、第1検出子31に対向するように、一対のカードア15の閉じ合わせ面を挟んで他方側(図1の右側)に設けられている。複数の第2検出子32は、第1検出子31に沿って、カードア15の高さ方向に並べられている。複数の第2検出子32は、閉塞方向においてそれぞれ進退可能に構成されている。このため、第2検出子32は、可動側の検出子となる。
【0018】
図4に示すように、複数の第2検出子32は、隣接する一方の第2検出子32の一方の端部と、隣接する他方の第2検出子32の他方の端部とが、互いにオーバーラップしている。具体的に、上方側の第2検出子32の下端部は、カードア15の高さ方向において、上側に窪む凹部46を有している。一方で、下方側の第2検出子32の上端部は、カードア15の高さ方向において、上側に突出する凸部47を有している。凹部46および凸部47は、第2検出子32の開閉方向に亘って形成されている。このため、凹部46と凸部47とが合わさることで、隣接する第2検出子32は、凹部46および凸部47をガイドとして、開閉方向における移動がそれぞれ許容される。また、異物が凹部46および凸部47が合わさるオーバーラップ部49に臨んでも、異物は少なくとも凹部46または凸部47に接触することになる。
【0019】
また、各第2検出子32は、第1検出子31の第1対接面41に対接する第2対接面42を有している。第2対接面42は、第2検出子32の閉塞方向における先端面である。第2対接面42には、カードア15の開閉方向において、内側に突出する凸部44が形成されている。この凸部44は、頂面となる平坦面44aと、平坦面44aの両側から内側へ向けて広がるように設けられた一対の第2斜面部44bとから構成され、鉛直方向に直交する水平面において台形状に形成されている。そして、この凸部44は、第2検出子32の長手方向(鉛直方向)に延在して形成されている。なお、本実施形態では、凹部43と同様に、凸部44を台形状に形成したが、この形状に限定されない。つまり、凸部44は、少なくとも第2斜面部44bを有していればよく、例えば、円弧形状に形成してもよい。
【0020】
上記の第1対接面41の凹部43と、上記の第2対接面42の凸部44とは、互いに相補的形状となるように形成され、第1対接面41の凹部43は、第2対接面42の凸部44を許容している。
【0021】
回路部34は、第1検出子31と全ての第2検出子32とが対接している状態において、直列回路を形成可能に設けられている。この回路部34は、一対の第1斜面部43bおよび一対の第2斜面部44bに応じて、一対設けられている。なお、以下では、一方の第1斜面部43bおよび一方の第2斜面部44bに設けられた回路部34について説明する。回路部34は、複数の第1電線51と、複数の第2電線52と、複数の第1電極53と、複数の第2電極54と、を含んで構成されている。
【0022】
図2に示すように、複数の第1電線51は、入力側電線61と、複数の第1湾曲電線62と、出力側電線63とから構成されている。入力側電線61は、第1検出子31の上端部に設けられ、第1検出子31の外部から、第1検出子31の内部を通って、第1検出子31の第1対接面41に至るように配設されている。各第1湾曲電線62は、U字状に形成され、第1検出子31の第1対接面41から、第1検出子31の内部を通って、再び第1検出子31の第1対接面41に至るように配設されている。また、各第1湾曲電線62は、その上端部が、隣接する上方側の第2検出子32の下端部に対向するように配設され、その下端部が、隣接する下方側の第2検出子32の上端部に対向するように配設されている。出力側電線63は、第1検出子31の下端部に設けられ、第1検出子31の第1対接面41から、第1検出子31の内部を通って、第1検出子31の外部に至るように配設されている。
【0023】
複数の第2電線52は、複数の第2検出子32にそれぞれ設けられている。各第2電線52は、U字状に形成され、第2検出子32の第2対接面42から、第2検出子32の内部を通って、再び第2検出子32の第2対接面42に至るように配設されている。また、各第2電線52は、その上端部が、第1湾曲電線62の下端部に対向するように配設され、その下端部が、第1湾曲電線62の上端部に対向するように配設されている。なお、鉛直方向の最上側の第2検出子32に設けられた第2電線52は、その上端部が、入力側電線61に対向するように配設されている。また、鉛直方向の最下側の第2検出子32に設けられた第2電線52は、その下端部が、出力側電線63に対向するように配設されている。
【0024】
複数の第1電極53は、第1検出子31の第1対接面41における第1斜面部43bにそれぞれ設けられている。複数の第1電極53は、入力側電線61、複数の第1湾曲電線62および出力側電線63にそれぞれ接続されている。つまり、複数の第1電極53のうち、その鉛直方向の最上側の第1電極53は、入力側電線61の第1対接面41側の端部に接続されて、第1斜面部43bの鉛直方向の最上側に配設されている。また、複数の第1電極53のうち、その鉛直方向の最下側の第1電極53は、出力側電線63の第1対接面41側の端部に接続されて、第1斜面部43bの鉛直方向の最下側に配設されている。また、その他の第1電極53は、第1湾曲電線62の両端部にそれぞれ接続されて、第1斜面部43bに配設されている。なお、本実施形態では、第1湾曲電線62の両端部に第1電極53をそれぞれ接続したが、第1湾曲電線62を省き、第1湾曲電線62の両端部の第1電極53同士を接続してもよい。
【0025】
複数の第2電極54は、複数の第1電極53に対向するように設けられ、複数の第2検出子32の第2対接面42における第2斜面部44bにそれぞれ設けられている。複数の第2電極54は、第2電線52に接続されている。つまり、複数の第2電極54は、各第2電線52の両端部にそれぞれ接続されて、第2斜面部44bに配設されている。
【0026】
このように構成された回路部43は、第1検出子31に全ての第2検出子32が対接すると、複数の第1電極53と複数の第2電極54とが接触する。これにより、回路部34は、入力側電線61と第2電線52とが接続され、第2電線52と第1湾曲電線62とが接続され、第1湾曲電線62と第2電線52とが接続され、第1湾曲電線62と第2電線52との接続が繰り返され、第2電線52と出力側電線63とが接続される。つまり、回路部34は、複数の第1電線53および複数の第2電線54が直列に接続されることで、直列回路となる。そして、回路部34が直列回路となることで、回路部34は通電可能な状態となる。
【0027】
支持体36は、複数の第2検出子32を、下記する複数の付勢部材33を介して支持している。支持体36は、鉛直方向に長い長尺物であり、カードア15に対し、閉塞方向に進退可能に取り付けられている。つまり、支持体36は、閉塞方向において、前進位置と後退位置との間で移動する。この支持体36は、セーフティシュー17の進退動作に連動して進退動作する。
【0028】
複数の付勢部材33は、複数の第2検出子32と支持体36との間に介設されており、複数の第2検出子32を弾性支持している。複数の付勢部材33は、複数の第2検出子32を第1検出子31へ向けて付勢している。付勢部材33は、各第2検出子32の上端側および下端側にそれぞれ設けられている。
【0029】
通電検出部35は、回路部34が通電状態(直列回路)となっているか否か、つまり、第1検出子31に全ての第2検出子32が対接しているか否かを検出するものである。通電検出部35には、入力側電線61と出力側電線63とが接続されており、通電検出部35は、入力側電線61へ向けて電気信号を出力可能となっている。そして、通電検出部35は、入力側電線61へ向けて電気信号を出力し、出力側電線63から電気信号が入力されないと、回路部34が通電状態でないとして、細長い異物が挟み込まれている旨の異常検出信号をドア制御部20へ向けて出力する。一方で、通電検出部35は、入力側電線61へ向けて電気信号を出力し、出力側電線63から電気信号が入力されると、回路部34が通電状態であるとして、異常検出信号をドア制御部20へ向けて出力しない。
【0030】
連動機構19は、セーフティシュー17の進退動作に連動させて、支持体36および複数の付勢部材33を介して、複数の第2検出子32を進退動作させるものである。なお、連動機構19は、例えば、リンク機構を用いて構成されているが、この構成に限定されず、カム機構またはラック・アンド・ピニオン等を用いて構成してもよい。連動機構19は、セーフティシュー17が閉塞方向において後退位置に移動すると、異物検出装置18の支持体36を閉塞方向の前進位置へ移動させることにより、複数の第2検出子32を第1検出子31へ対接させる。一方で、連動機構19は、セーフティシュー17が閉塞方向において前進位置に移動すると、異物検出装置18の支持体36を閉塞方向の後退位置へ移動させることにより、複数の第2検出子32を第1検出子31から離す。
【0031】
ドア制御部20は、図示しない動力源を制御して、カードア15の開閉動作を制御している。具体的に、ドア制御部20は、カードア15の閉塞動作時において、セーフティシュー17から出力された検出信号が入力されると、カードア15の閉塞動作から、カードア15の開放動作へ切り換える。また、ドア制御部20は、カードア15の閉塞動作時において、異物検出装置18の通電検出部35から出力された異物検出信号が入力されると、カードア15の閉塞動作から、カードア15の開放動作へ切り換える。
【0032】
続いて、図5を参照し、一対のカードア15の閉塞動作に関する一連の動作フローについて説明する。先ず、ドア制御部20は、動力源を制御して、一対のカードア15を閉塞動作させる(ステップS1)。すると、一対のホールドア16は、一対のカードア15の閉塞動作に連動して閉塞動作を行う。このとき、一対のカードア15の閉塞方向の先端部に設けた一対のセーフティシュー17は、エレベータ1の出入口7に障害物が有るか否かを検出する(ステップS2)。
【0033】
ドア制御部20は、一対のセーフティシュー17により検出信号が入力される(ステップS2:Yes)と、一対のカードア15を一時的に開放動作させ(ステップS3)、この後、再度ステップS1に進んで、カードア15を閉塞動作させる。一方で、ドア制御部20は、一対のセーフティシュー17により検出信号が入力されず(ステップS2:No)、一対のセーフティシュー17同士が当接して後退位置に移動する。すると、図示右側のセーフティシュー17の移動により、連動機構19を介して、支持体36、複数の付勢部材33および複数の第2検出子32が一体に前進位置へ移動し、これにより、複数の第2検出子32を第1検出子31へ対接させる(ステップS4)。
【0034】
複数の第2検出子32を第1検出子31へ対接させると、第1検出子31の第1対接面41における凹部43に、各第2検出子32の第2対接面42における凸部44が合わさる。このとき、第1対接面41の第1斜面部43bに設けられた第1電極53と、第2対接面42の第2斜面部44bに設けられた第2電極54とは、カードア15の閉塞方向に対して斜めに対接する。これにより、第1電極53と第2電極54とは、擦れ合って接触する。また、複数の第2検出子32は、オーバーラップ部49において、上方側の第2検出子32の凹部46と、下方側の第2検出子32の凸部47とが合わさっているため、各第2検出子32は、凹部46および凸部47をガイドとして、開閉方向に個別に移動する。
【0035】
そして、複数の第2検出子32を第1検出子31へ対接させた後、ドア制御部20は、通電検出部35から回路部34の入力側電線61へ電気信号を出力することで、異常検出信号があるか否かを判定する(ステップS5)。この後、通電検出部35は、回路部34の出力側電線63から電気信号が入力されないと、回路部34が通電状態でないとして、異常検出信号をドア制御部20へ出力する(ステップS5:Yes)。ドア制御部20は、異物検出装置18により異常検出信号が入力されると、カードア15を一時的に開放動作させ(ステップS3)、この後、再度ステップS1に進んで、カードア15を閉塞動作させる。
【0036】
一方で、通電検出部35は、回路部34の出力側電線63から電気信号が入力されると、回路部34が通電状態であるとして、異常検出信号をドア制御部20へ出力しない(ステップS5:No)。ドア制御部20は、異物検出装置18により異常検出信号が入力されないため、カードア15の閉塞動作を継続する(ステップS6)。
【0037】
そして、ドア制御部20は、カードア15の閉塞動作が終了したか否かを検出し(ステップS7)、閉塞動作が終了したことを検出したら(ステップS7:Yes)、一対のカードア15の閉塞動作を終了する。一方で、ドア制御部20は、閉塞動作が終了していないことを検出したら(ステップS7:No)、再度ステップS1に進み、カードア15に閉塞動作を行わせる。
【0038】
次に、図6を参照し、一対のカードア15の開放動作時における異物検出装置18の一連の動作フローについて説明する。先ず、エレベータ1の乗りカゴ5が所定の乗り場6に着床する(ステップS11)と、ドア制御部20は、通電検出部35から回路部34の入力側電線61へ電気信号を出力することで、異常検出信号があるか否かを判定する(ステップS12)。
【0039】
通電検出部35は、回路部34の出力側電線63から電気信号が入力されないと、回路部34が通電状態でないとして、異常検出信号をドア制御部20へ出力する(ステップS12:Yes)。すると、ドア制御部20は、異物検出装置18の故障であると判断し、エレベータ1を管理する管理会社へ、異物検出装置18の故障である旨の通報を行う(ステップS13)。そして、ドア制御部20は、ステップS13の後、一対のカードア15を開放動作させる(ステップS14)。
【0040】
一方で、ステップS12において、通電検出部35は、回路部34の出力側電線63から電気信号が入力されると、回路部34が通電状態であるとして、異常検出信号をドア制御部20へ出力しない(ステップS12:No)。そして、ドア制御部20は、ステップS13を行わず、一対のカードア15を開放動作させる(ステップS14)。
【0041】
以上のように、本実施形態の構成によれば、複数の第2検出子32を第1検出子31に沿って並べて設けたため、各第2検出子32の長さを、第1検出子31に比して短くすることができる。このため、第2検出子32は、その長さが短くなったことで撓み難くなる。これにより、第1検出子31と第2検出子32との間に、細長い異物が挟まった場合でも、第2検出子32が撓み難いため、第1検出子31と第2検出子32との間の隙間を、好適に維持することができる。よって、異物検出装置18は、細長い異物が挟まった場合、異物の検出を精度よく行うことが可能となる。
【0042】
また、本実施形態の構成によれば、第1対接面41に凹部43を設け、第2対接面42に凸部44を設けると共に、互いに相補的形状となる凹部43および凸部44を形成することができる。このため、第1対接面41および第2対接面42の間に細長い異物が挟み込まれると、細長い異物は、第1対接面41の凹部43における平坦面43aとの間に隙間が生じた状態で、第2対接面42の凸部44に挟み込まれる。これにより、第1対接面41および第2対接面42の間には、隙間が形成され易くなり、異物検出装置18は、細長い異物の検出をより精度よく行うことができる。
【0043】
また、本実施形態の構成によれば、第1電極53を第1斜面部43bに設け、第2電極54を第2斜面部44bに設けることができる。このため、カードア15の閉塞方向に対し、第1電極53と第2電極54とが斜めに対接し、第1電極53と第2電極54とが擦れ合い易くなる。これにより、第1電極53および第2電極54の表面に酸化皮膜が形成されても、第1電極53と第2電極54とが擦れ合うことで、形成される酸化皮膜を擦り落すことができるため、異物検出装置18は、検出精度を好適に維持することができる。
【0044】
また、本実施形態の構成によれば、上方側の第2検出子32の下端部と、下方側の第2検出子32の上端部とを互いにオーバーラップさせることができる。このため、第1検出子31と隣接する第2検出子32のオーバーラップ部49との間に、細長い異物が挟み込まれたとしても、異物を、第1検出子31と、上方側の第2検出子32または下方側の第2検出子32のいずれか一方との間に挟み込むことができる。これにより、異物が上方側の第2検出子32と下方側の第2検出子32との間に挟み込まれることがないため、異物検出装置18は、異物を第1検出子31および各第2検出子32の間に好適に挟み込むことができる。
【0045】
また、本実施形態の構成によれば、セーフティシュー17の進退動作に連動して複数の第2検出子32を進退動作させる連動機構19を設けることができる。このため、ドア装置10は、セーフティシュー17による障害物の検出を行い、カードア15を閉塞動作させた後、異物検出装置18による細長い異物の検出を行うことができる。これにより、第1検出子31および複数の第2検出子32は、カードア15が開放した状態で異物の検出を行うことがないため、第1電極53および第2電極54が外部に露出し難く、第1電極53および第2電極54を保護しながら使用することができる。
【0046】
また、本実施形態の構成によれば、カードア15が開放動作を行う前に、通電検出部35により回路部34が通電状態であるか否かを検出することができる。このため、異物検出装置18が正常であれば、第1検出子31と全ての第2検出子32が対接しているため、通電検出部35は、異常検出信号をドア制御部20へ向けて出力しない。一方で、通電検出部35は、第1検出子31と全ての第2検出子32が対接していても、異常検出信号をドア制御部20へ向けて出力する場合、異物検出装置18の異常として検出することができる。このため、ドア制御部20は、異物検出装置18の異常を好適に発見することができる。
【0047】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 エレベータ
5 乗りカゴ
6 乗り場
7 出入口
10 ドア装置
15 カードア
16 ホールドア
17 セーフティシュー
18 異物検出装置
19 連動機構
20 ドア制御部
31 第1検出子
32 第2検出子
33 付勢部材
34 回路部
35 通電検出部
36 支持体
41 第1対接面
42 第2対接面
43 第1対接面の凹部
43b 第1斜面部
44 第2対接面の凸部
44b 第2斜面部
46 第2検出子の凹部
47 第2検出子の凸部
49 オーバーラップ部
51 第1電線
52 第2電線
53 第1電極
54 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りカゴの出入口を開閉するドアの閉じ合わせ面を挟んで一方側に設けられた第1検出子と、
前記第1検出子に対向するように、前記ドアの閉じ合わせ面を挟んで他方側に設けられ、前記第1検出子に沿って並べた複数の第2検出子と、
前記複数の第2検出子を前記第1検出子側へ向けてそれぞれ付勢する複数の付勢部材と、
前記ドアの閉塞時に前記第1検出子に全ての前記第2検出子が対接することにより通電可能となる回路部と、
前記ドアの閉塞時に前記回路部が通電状態であるか否かを検出可能な通電検出部と、を備えたことを特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
前記第1検出子は、前記第2検出子に対接する第1対接面を有し、
前記第2検出子は、前記第1対接面に対接する第2対接面を有し、
前記第1対接面および前記第2対接面は、その一方の対接面が前記ドアの開閉方向に突出する凸部を有し、その他方の対接面が前記ドアの開閉方向に没入し、前記凸部を許容する凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記回路部は、前記第1検出子に設けられた複数の第1電極と、前記各第1電極に接触可能に、前記複数の第2検出子にそれぞれ設けられた複数の第2電極と、を有し、前記複数の第1電極に対し、前記複数の第2電極が全て対接することで、通電可能となっており、
前記第1対接面は、前記ドアが閉じる閉塞方向に対して傾斜する第1斜面部を有し、
前記第2対接面は、前記第1斜面部に対接する第2斜面部を有し、
前記複数の第1電極は、前記第1斜面部に設けられ、前記複数の第2電極は、前記第2斜面部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記複数の第2検出子は、隣接する一方の前記第2検出子の一方の端部と、隣接する他方の前記第2検出子の他方の端部とが、互いにオーバーラップしていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記エレベータの乗りカゴの出入口を開閉可能な前記ドアと、
前記ドアの閉塞方向の先端部に進退可能に設けられ、障害物の接触により後退動作することで、前記障害物を検出可能なセーフティシューと、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の異物検出装置と、
前記セーフティシューの後退動作に連動して、前記異物検出装置の前記複数の第2検出子を前記第1検出子へ向けて移動させる連動機構と、
前記ドアの開閉動作を制御可能なドア制御部と、を備えたエレベータのドア装置。
【請求項6】
前記ドア制御部は、前記ドアの開放動作前に前記回路部へ通電し、前記異物検出装置の前記通電検出部が、前記回路部が非通電状態であることを検出した場合、前記異物検出装置の故障であると判定することを特徴とする請求項5に記載のエレベータのドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−201418(P2012−201418A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64338(P2011−64338)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】